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JP6901371B2 - 回転電機のロータ - Google Patents

回転電機のロータ Download PDF

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JP6901371B2 JP2017193255A JP2017193255A JP6901371B2 JP 6901371 B2 JP6901371 B2 JP 6901371B2 JP 2017193255 A JP2017193255 A JP 2017193255A JP 2017193255 A JP2017193255 A JP 2017193255A JP 6901371 B2 JP6901371 B2 JP 6901371B2
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Description

本発明は、回転電機の構造に関し、特に、ロータの構造に関する。
回転電機のロータには、ロータコアに設けられた磁石挿入孔に磁石を挿入するIPM(Interior Permanent Magnet)型ロータと呼ばれるタイプのものがある。
下記特許文献1には、IPM型ロータにおいて、磁石挿入孔に挿入した磁石を絶縁性の充填剤で固定する場合に、磁石を傾斜させた姿勢で固定する技術が開示されている。そして、磁石とロータコアとの接触部分を小さくできること、これにより、磁石表面に絶縁皮膜が形成されていない場合でも、磁石を介してロータコアに流れる渦電流ループ経路が大きく形成されるのを制限できることが記載されている。
国際公開第2012/169043号
IPM型ロータにおいて、磁石挿入孔に磁石を単に傾けて挿入する場合にも、磁石の角は磁石挿入孔の内壁面(ロータコア)にある程度接触する。また、磁石を所望の位置に設置する工程に時間がかかることが想像される。
本発明の目的は、磁石挿入孔に単に磁石を傾けて挿入する場合に比べて、磁石が磁石挿入孔の内壁面に接触する面積を減らすことにある。
また、本発明の別の目的は、磁石挿入孔に単に磁石を傾けて挿入する場合に比べて、磁石の位置決めを容易にすることにある。
本実施形態にかかる回転電機のロータは、一対の対向する長辺をもつ細長孔が設けられた電磁鋼板を回転軸方向に複数枚積層して形成されたロータコアと、前記細長孔が重ね合わされることで前記ロータコアに形成された磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、前記磁石挿入孔に充填され、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定させる絶縁充填剤と、を備え、前記磁石挿入孔の一方の長辺の面には、回転軸方向一端付近に電磁鋼板による第1の突起が設けられており、前記磁石挿入孔の他方の長辺の面には、回転軸方向他端付近に電磁鋼板による第2の突起が設けられており、前記永久磁石は、前記長辺間の距離よりも厚さが薄く形成され、前記一方の長辺の面から先端までの前記第1の突起の長さは、前記永久磁石の前記厚さの半分以下であって、前記永久磁石は、前記磁石挿入孔に挿入されて前記第1の突起の前記回転軸方向他端側に載せられると、自重で前記他方の長辺の面側に倒れ込んで前記第2の突起の先端に接触し、前記第1の突起の前記回転軸方向他端側と、前記第2の突起の先端とに接触する姿勢で前記磁石挿入孔内に固定されている、ことを特徴とする。
本実施形態にかかる回転電機のロータによれば、磁石挿入孔に単に磁石を傾けて挿入する場合に比べて、磁石が磁石挿入孔の内壁面に接触する面積が小さくなるため、磁石を介してロータコアに流れる渦電流ループ経路を制限し、渦電流損失を減少させることが可能となる。
また、別の観点からは、この回転電機のロータを製造する際に、磁石を所望の位置に挿入するプロセスが簡易化されることが期待できる。
実施形態に係るロータの概略的な端面図である。 2つの磁石挿入孔の端面図である。 磁石挿入孔の鉛直断面図である。 磁石挿入孔に永久磁石を挿入する過程を示した時系列図である。
以下に本実施形態の例について説明する。ここでは、理解を容易にするために、具体的な例を含めて説明を行っているが、本実施形態は、ここで説明した内容に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
図1は、回転電機のロータ10の概略的な端面図である。ロータ10は、回転軸であるシャフト12と、シャフト12の周りに設けられたロータコア14を含んでいる。ロータコア14の外周近くには、複数の磁石挿入孔16a、16b、16c、16d、・・・(以下、特に個々の孔について強調する必要が無い場合には、単に磁石挿入孔16という場合がある。)が設けられている。そして、磁石挿入孔16には、図示省略した永久磁石が挿入される。
シャフト12は、例えば丸棒鋼材を加工して作られている。ロータコア14は、例えば、板厚0.3mmの珪素鋼板等を同心の円環状に打ち抜き加工して形成した多数の電磁鋼板を、軸方向に積層して構成されている。また、磁石挿入孔16は、打ち抜き加工によってつくられた各電磁鋼板の孔が、積層されて軸方向に深さをもって形成されたものである。磁石挿入孔16は、隣り合った二つの磁石挿入孔(例えば16a、16bの組、16c、16dの組)が対となって一つの磁極を形成する。磁石挿入孔16は、こうした磁極がロータコア14の周方向に等間隔に並ぶように等間隔に配置されている。形成される磁極は、図示省略したロータ10の周囲に配置されるステータから電磁気学的な力を受け、回転軸回りに(周方向に)回転する。
図2は、図1のロータコア14における一対の磁石挿入孔16a、16b付近を拡大した図である。磁石挿入孔16aは、長辺18、22及び短辺20、24によってつくられる細長の長方形状の端面(断面)をもつ。磁石挿入孔16aは、全ての電磁鋼板を貫いて形成されており、全体として直方体形状に作られている。このうち、径方向内側の長辺18を含む内壁面には、長辺18の中央付近であって回転軸方向の下端付近に突起26が設けられている。この突起26は、ある一枚の電磁鋼板を打ち抜く際にこの部分を残して形成されたものである。また、この面に対向する内壁面(径方向外側の長辺22を含む内壁面)にも、長辺22の中央付近であって回転軸方向の上端付近に突起28が設けられている。この突起28も、突起26と同様にある一枚の電磁鋼板を打ち抜く際に形成されたものである。突起26、28は、隣の磁石挿入孔16bを含む全ての磁石挿入孔16に設けられている。
図3は、磁石挿入孔16aを図2のAA面で切った断面図である。磁石挿入孔16aは、積層された電磁鋼板からなるロータコア14に両側を挟まれている。そして、長辺18の内壁面には、最下層よりも若干上側の層に、突起26が設けられている。また、これと対向する長辺22の内壁面には、最上層よりも若干下側の層に、突起28が設けられている。
図4は、図3に示したものと同じ断面において、磁石挿入孔16aに永久磁石30を挿入する過程を時系列で示した図である。図4(a)に示すように、永久磁石30は、磁石挿入孔16aに対して、紙面の上側の開口部から挿入されている。この工程では、ロータコア14は、電磁鋼板がほぼ水平になる姿勢に保たれており、永久磁石30は、鉛直方向下向きに挿入されている。挿入にあたっては、永久磁石30は、長辺18の内壁面に接触するか、あるいは接触しなくても長辺18の内壁面に沿うように、磁石挿入孔16aに挿入される。これにより、永久磁石30は、その下端が突起26の上側の面に接触する。そして、この段階で永久磁石を保持する作業者あるいはロボットが、その保持を中止した場合には、永久磁石30は、自重によって長辺22の側に傾くことになる。
図4(b)は、この段階の様子を示した図である。永久磁石30は、下面32の一部が突起26に接触する形で、突起26に載って静止している。すなわち、永久磁石30では、下面32の一部の接触箇所34において突起26と接触している。接触箇所34が接触するのは、突起26の上面(永久磁石30が挿入されてきた側の面)における先端付近である。永久磁石30の下面32における長辺18の側の角部36は、長辺18の内壁面と接触する場合もあるし、接触しない場合もある。これは、後述するように、永久磁石30と、長辺18の内壁面との距離によって決まる。また、永久磁石30の長辺22の側の面38は、その上部あるいは角部40が、突起28の先端に接触している。
図4(c)は、その後に、磁石挿入孔16aに絶縁性の充填剤(例えば樹脂)を充填した様子を示している。充填剤を固化することで、永久磁石30は、磁石挿入孔16a内に固定される。図4(c)では、充填剤は、磁石挿入孔16aの隙間全体に充填されることを想定している。しかし、充填剤は、永久磁石30が高速回転に耐える強度で固定されるのであれば、空間の一部に充填されるだけでもよい。ロータコア14の両端には、この後、必要に応じて、エンドプレートが設置される。
磁石挿入孔16aには、例えば、長辺22側がN極、長辺18側がS極である永久磁石30が挿入される。同様にして、隣の磁石挿入孔16bには、径方向の外側の長辺側にN極、径方向の内側の長辺側にS極をもつ永久磁石が挿入される。これにより、磁石挿入孔16a、16bは、全体として径方向外側がN極となる磁極が構成されることになる。また、この磁極の両隣には、全体として径方向外側がS極となる磁極が構成される。このようにして、ロータコア14には、周方向に交互に等間隔で磁極が構成される。そして、ロータコア14の周囲に置かれたステータの磁極を時間的に変化させる制御を行うことで、ロータは周方向に回転する。この過程で、永久磁石30あるいは電磁鋼板には、渦電流が発生する。しかし、上述の通り、永久磁石30は、磁石挿入孔16aとの接触面積が小さくなるように固定されていることから、渦電流のループが限定され、渦電流に伴うエネルギー損失を抑制することが可能となる。また、この結果として、永久磁石30あるいはロータコア14における温度上昇を限定的なものとすることも可能となる。
上の説明で明らかなように、突起26、28は、挿入される永久磁石30の位置、姿勢を制御することになる。したがって、磁石挿入孔16aの大きさ、永久磁石30の大きさ、永久磁石30の姿勢などを勘案して、突起26、28の位置を決定することになる。永久磁石を磁石挿入孔16aの軸方向における中央付近に配置しようとする場合には、突起26、28はほぼ対称の位置に配置される。例えば、ロータコア14の軸方向の高さが30mmであり、永久磁石の高さが26mmである場合、下側の突起26はロータコア14の下端面より3mm上に設け、上側の突起28はロータコア14の上端面より3mm下に設けることが考えられる。永久磁石30が、下側の突起26の上面に接触し、上側の突起28の先端側に接触する非対称性を考慮して、例えば、下側の突起26とロータコア14の下端面の距離を、上側の突起28とロータコア14の上端面の距離よりも短くするようにしてもよい。また、ロータコア14の上端面及び下端面にエンドプレートが設置されて、磁石挿入孔16aが蓋をされる場合には、エンドプレートとの干渉を起さない位置に永久磁石30を設置する必要がある。
突起26、28の形状やサイズも、永久磁石30の位置、姿勢に影響する。図4(b)に図示したように、永久磁石30は、長辺22の内壁面側に自重で倒れると、磁石の設置工程が簡単化される。このため、下側の突起26の長さ(長辺18の内壁面から先端までの突起長さ)が、永久磁石30の厚さの半分以下である。これにより、永久磁石30は、その重心が突起26よりも先端側に位置することになり、長辺22の内壁面側に倒れ込む。また、上側の突起28は、この倒れ込みが可能となる程度に、短く設定することが好ましい。突起28の突起長さが長くなりすぎると、永久磁石30を挿入する作業効率を悪くしてしまう。また、永久磁石30の傾きが小さい場合には、充填剤を充填する際に、永久磁石30が動きやすくなってしまう。
突起26、28の幅(長辺18、22の辺方向の長さ)も様々に設定可能である。幅が狭い場合には、電磁鋼板との接触面積が減るが、永久磁石30を設置の際の安定性が減少する。逆に、幅を広くした場合には、電磁鋼板との接触面積は増大するが、永久磁石30を設置する際の安定性が高まる。また、突起26または突起28は、内壁面に1つだけ設けることにしてもよいが2個あるいは3個以上設けることにしてもよい。また、突起26または突起28は、1枚の電磁鋼板のみで作られてもよいが、複数枚の電磁鋼板によって作られてもよい。この場合には、突起26または突起28と、永久磁石30との立体的な接触状態を制御することも可能となる。
また、突起26、28を設ける内壁面は、自由に選択可能である。上の説明では、磁石挿入孔16aにおいて、径方向内側の長辺18の面に設けた突起26が、挿入される永久磁石30を奥側で待ち受けるものとした。これを変えて、径方向内側の長辺18の面に設けられた突起26を永久磁石30の挿入端側(上端側)に設けるようにしてもよい。対になって磁極を構成するもう一方の磁石挿入孔16bも、磁石挿入孔16aと同じ位置関係としてもよいし、異なる位置関係としてもよい。同様に、これ以外の磁石挿入孔16における突起位置も自由に選択することができる。
上述した説明では、図4(b)のタイミングにおいて、永久磁石30の下面32の角部36が長辺18の内壁面に接触するかどうかについて、十分な留意を払わなかった。角部36が長辺18の内壁面に接触する場合には、永久磁石30の安定性が高まるが、永久磁石30と電磁鋼板との接触面積が増える。これを勘案した上で、角部36が長辺18の内壁面に接触しないように、永久磁石30を若干内壁面から離して設置するようにしてもよいし、角部36が長辺18の内壁面に接触するように、永久磁石30を内壁面に近づけて設置してもよい。また、永久磁石30の角部36を長辺18の内壁面に接触させる場合に、その接触面積が小さくなるように、角部36が接触する部分の電磁鋼板の形状を変化させてもよい。例えば、突起26よりも上側3ミリ以内の電磁鋼板の内壁面の一部を、周囲よりも凹ませた場合には、角部は凹ませていない部分にのみ接触し、凹ませた部分には接触しないため、接触面積を減らすことが可能となる。
以上の説明においては、磁石挿入孔16は、各電磁鋼板において長方形の形状をもち、全体として直方体形状となるものとして説明した。しかし、磁石挿入孔16の形状はこれに限られるものではない。例えば、上記特許文献1には、磁石に対応した長方形に加えて、さらに両短辺の外側に若干の円形に近い膨らみ空間を持たせた磁石挿入孔が記載されている。本実施形態は、このような変形した形状をもつ磁石挿入孔にも適用可能である。また、挿入する永久磁石30の形状も、磁石挿入孔16よりも薄い直方体形状であることを想定してきたが、これに限られるものではない。例えば、磁石挿入孔16に傾けて挿入した場合に、ロータコア14の上端面あるいは下端面から角部が飛び出さないように、傾けた状態で上端面あるいは下端面がロータコア14の上端面あるいは下端面と並行となるような平行四辺形体とする例が挙げられる。
10 ロータ、12 シャフト、14 ロータコア、16,16a,16b,16c,16d 磁石挿入孔、18,22 長辺、20,24 短辺、26,28 突起、30 永久磁石、32 下面、34 接触箇所、36,40 角部、38 面。

Claims (1)

  1. 一対の対向する長辺をもつ細長孔が設けられた電磁鋼板を回転軸方向に複数枚積層して形成されたロータコアと、
    前記細長孔が重ね合わされることで前記ロータコアに形成された磁石挿入孔と、
    前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、
    前記磁石挿入孔に充填され、前記永久磁石を前記磁石挿入孔内に固定させる絶縁充填剤と、
    を備え、
    前記磁石挿入孔の一方の長辺の面には、回転軸方向一端付近に電磁鋼板による第1の突起が設けられており、
    前記磁石挿入孔の他方の長辺の面には、回転軸方向他端付近に電磁鋼板による第2の突起が設けられており、
    前記永久磁石は、前記長辺間の距離よりも厚さが薄く形成され、
    前記一方の長辺の面から先端までの前記第1の突起の長さは、前記永久磁石の前記厚さの半分以下であって、
    前記永久磁石は、前記磁石挿入孔に挿入されて前記第1の突起の前記回転軸方向他端側に載せられると、自重で前記他方の長辺の面側に倒れ込んで前記第2の突起の先端に接触し、前記第1の突起の前記回転軸方向他端側と、前記第2の突起の先端とに接触する姿勢で前記磁石挿入孔内に固定されている、ことを特徴とする回転電機のロータ。
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