JP6999527B2 - 試験方法、分注装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施形態1に係る自動分析装置100の概略図である。各部の機能は公知のものであるため、詳細についての記述は省略する。反応ディスク1上には、反応容器2が円周状に並んでいる。反応容器2は、恒温槽41により一定温度に保持されている。試薬ディスク9の中には複数の試薬ボトル10、51、52を円周状に載置することができる。反応ディスク1の近くには、試料容器15を載せたラック16を移動する試料搬送機構17が設置されている。反応ディスク1と試薬ディスク9の間には試薬用分注機構7と8が設置されている。反応ディスク1と試料搬送機構17の間には、回転と上下動することができる試料用分注機構11が設置されている。試料用分注機構11は、試料用分注プローブ11aを備えている。試料用分注プローブ11aには試料用シリンジ19が接続されている。試料用分注プローブ11aは、回転軸を中心に円弧を描きながら移動して、試料容器15から反応容器2に対して試料を分注する。圧力センサ40は、試料用分注プローブ11a内部の流路の圧力を検知する。
試薬ディスク9を回転させ、試薬用分注プローブ7a(または8a、以下同様)が試薬ボトル51に対してアクセス可能な位置に移動する。試薬用分注プローブ7aにより、試薬ボトル51から反応容器2(第1容器)に対して色素溶液を分注する(S201)。使用した試薬用分注プローブ7aは、洗浄槽32または33において十分に洗浄する(S202)。試薬ディスク9を回転させ、試薬用分注プローブ7aにより、色素溶液を分注したものとは別の反応容器2(第2容器)に対して、試薬ボトル52から生理食塩水を分注する(S203)。
反応ディスク1を回転させ、試料用分注プローブ11aで反応容器2(第1容器)に先ほど分注された色素溶液を吸引し、同じ反応容器2(第1容器)内に色素溶液を再度吐出する。これにより試料用分注プローブ11aの内壁に色素が付着する。
本ステップにおいて、試料用分注プローブ11aを停止したままで試料用シリンジ19を動かしてもよい。また、色素溶液を吸引後、試料用分注プローブ11aを色素溶液から引き上げてから、再度色素溶液に浸漬して吐出してもよい。
本実施形態1に係る試験方法においては、試料用分注機構11が試料容器15や反応容器2まで移動する必要がなく、色素溶液や色素を含まない溶液の吸引・吐出を繰り返すだけで実施できる。したがって本フローチャートは、通常の分析実施時の動作、すなわち、試料用分注プローブ11aが試料を試料容器15から吸引し反応容器2に対して吐出する一連の動作と比較して、短い時間内で完了することができる。例えば通常の分析動作において、試料を吸引する動作と反応容器2へ試料を吐出する動作を実施するために必要な時間内に、本試験方法においては色素溶液の吸引・吐出を複数回実施することができる。例えば、通常の分析動作において試料の吸引・吐出を1回実施するために必要な時間内に、本ステップに係る吸引・吐出を2回実施することができる。このように、本ステップは通常の分析動作における試料の吸引・吐出よりも短い時間で実施することができるので、試験にかかる時間をより短縮することができる。データの信頼性を高めるため、本ステップを繰り返し実施してもよい。
試料用分注プローブ11aを洗浄槽13や42で洗浄する。洗浄は洗浄槽13のみで実施してもよいし、洗浄槽13と42の両方で実施してもよい。洗浄回数は1回でもよいし繰り返し洗浄してもよい。本ステップは、試料用分注プローブ11aに付着している液滴などのように、以後のステップにおいて明らかに不要な成分を除去するためのものであるので、試料用分注プローブ11aの表面に付着した色素を完全に洗浄する必要はない。
本ステップもステップS204と同様に、通常の分析動作と併せて実施してもよいし、繰り返し回数を増やすためなどの目的のため、分析動作とは異なるタイミングで実施してもよい。
試料用分注プローブ11aで、色素溶液の吸引・吐出と同様に、反応容器2(第2容器)に分注された生理食塩水を吸引し、同じ反応容器2(第2容器)に生理食塩水を再度吐出する。以上のステップにより、試料用分注プローブ11aが色素溶液を分注した際に試料用分注プローブ11aの表面に残存した色素が、生理食塩水によって回収される。
本ステップもステップS204と同様に、試料用分注プローブ11aを停止したままで実施してもよいし、生理食塩水を吸引後に試料用分注プローブ11aを生理食塩水から引上げてから再度生理食塩水に侵入させて吐出をしてもよい。本ステップもステップS204と同様に通常の分析動作と併せて実施することができる。本ステップもステップS204と同様に、データの信頼性を高めるため繰り返し実施してもよい。
反応容器2(第2容器)内の生理食塩水を攪拌機構5と6で攪拌することにより、生理食塩水内の色素を均一化する(S207)。分光光度計4により反応容器2(第2容器)内の生理食塩水の吸光度を測定する(S208)。
洗浄槽13や42により試料用分注プローブ11aを洗浄し(S209)、さらに色素溶液や生理食塩水を収容していた反応容器2(第1容器、第2容器)を洗浄する(S210)。
本実施形態1に係る試験方法は、試薬用分注プローブ7a(第1分注プローブ)により第1容器に色素溶液をあらかじめ分注するとともに第2容器に生理食塩水をあらかじめ分注する。次に試料用分注プローブ11a(第2分注プローブ)により第1容器内の色素溶液を吸引・吐出するとともに第2容器内の生理食塩水を吸引・吐出する。この吸引・吐出過程において、試料用分注プローブ11aの表面から生理食塩水に対して持ち込まれた色素量を計算することにより、試料用分注プローブ11aの表面状態を評価することができる。
図3は、本発明の実施形態2における、試料用分注プローブ11aの表面状態を評価する手順を説明するフローチャートである。試験方法の信頼性を向上するためには、実施形態1で説明した手順を複数回繰り返すことが考えられる。例えば図3に示すように、図2で説明した手順を複数回(例えば3回)繰り返す。これにより、3回の平均値によって試料用分注プローブ11aの表面状態を評価することができるので、試験の信頼性が向上する。
実施形態2においては、実施形態1と同様の手順を繰り返すことを説明した。実施形態2で説明した手順の試験時間を短縮するためには、生理食塩水を分注した反応容器2をあらかじめ複数準備するとともに、色素溶液については1つの反応容器2(第1容器)に分注したものを繰り返し使用することが考えられる。本発明の実施形態3においては、その具体的手順を説明する。
ステップS203と同様に、試薬用分注プローブ7aにより、色素溶液を分注したものとは別の反応容器2に対して、試薬ボトル52から生理食塩水を分注する。ただし本ステップにおいては実施形態1とは異なり、N個(N≧2)の反応容器2に対して同様に生理食塩水を分注する。以上のステップにより、1つの反応容器2(第1容器)には色素溶液が分注された状態になるとともに、これとは異なるN個の反応容器2に生理食塩水が分注された状態になる。
ステップS204~S208を繰り返す。各繰り返しにおいて、色素溶液を分注した反応容器2(第1容器)については共通して用いるとともに、生理食塩水を分注した反応容器2については繰り返しごとに異なる反応容器2を用いる。すなわち、色素溶液を分注した反応容器2については毎回同じ位置に反応ディスク1を回転させ、生理食塩水を分注した反応容器2については繰り返しごとに異なる反応容器2の位置に反応ディスク1を回転させることになる。
実施形態1においては、同じ反応容器2(第1容器)に対して色素溶液を吸引・吐出するとともに、同じ反応容器2(第2容器)に対して生理食塩水を吸引・吐出する動作例を説明した。これに代えて、色素溶液と生理食塩水ともに、空の反応容器2に対して吐出してもよい。本発明の実施形態4においては、その具体的手順を説明する。
反応ディスク1を回転させ、試料用分注プローブ11aで反応容器2(第1容器)に先ほど分注された色素溶液を吸引する。その後、吸引した色素溶液を空の反応容器2に対して吐出する。反応ディスク1が回転しなくとも試料用分注プローブ11aが空の反応容器2に対してアクセスできる場合、さらに反応ディスク1を回転する必要はない。
試料用分注プローブ11aで、色素溶液の吸引・吐出と同様に、反応容器2(第2容器)に分注された生理食塩水を吸引し、空の反応容器2に生理食塩水を吐出する。ステップS501と同様に、反応ディスク1が回転しなくとも試料用分注プローブ11aが空の反応容器2に対してアクセスできる場合、さらに反応ディスク1を回転する必要はない。また、試料用の分注プローブ1回の分注で、S208の測光に必要な量の生理食塩水が分注できない場合などには、この分注動作を複数回繰返しても良い。
図6は、実施形態1~4において用いる色素溶液のpHと色素持込量との間の関係を実験した結果を示すグラフである。以上の実施形態に係る試験方法における色素として酸性色素オレンジGを用い、図6に示す結果を得た。図6に示すように、pH6.0以下において色素持込量が増えている。色素持込量が増えれば、プローブ表面状態をより正確に求めることができるので、試験感度が向上しているといえる。具体的には、pHを3.0まで下げると、pHが7.4の場合に対して5倍程度感度が向上していることが分かる。
以上の実施形態において、反応容器2を洗浄する洗浄機構が複数ある場合、これを利用して試験を効率良く実施することが必要となる。ただし洗浄機構の位置は固定されているので、反応容器2の配置を工夫する必要がある。本発明の実施形態6においては、その具体的な動作例を説明する。
図8は、本発明の実施形態7に係る試薬ボトルの構成例を示す図である。以上の実施形態において、色素溶液は試薬ボトル51に、生理食塩水は試薬ボトル52に収容されているが、1つの試薬ボトルに色素溶液と生理食塩水を収容してもよい。図8はこの場合の試薬ボトルの例である。この試薬ボトルは吸引口を2個以上有しており、片側のプローブ侵入口901-1からは色素溶液が、もう一方のプローブ侵入口901-2からは生理食塩水が分注できるようにすればよい。試薬ボトル内部において、これらの2種の溶液が入っている領域は仕切り板903などにより2つの領域902-1、902-2に仕切られており、それぞれが混合されないようになっている。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
4 分光光度計
5 攪拌機構
6 攪拌機構
7 試薬用分注機構
7a 試薬用分注プローブ
8 試薬分注機構
8a 試薬用分注プローブ
9 試薬ディスク
10 試薬ボトル
11 試料用分注機構
11a 試料用分注プローブ
13 洗浄槽
14 洗浄槽
15 試料容器
16 ラック
17 試料搬送機構
18 試薬用シリンジ
19 試料用シリンジ
20 洗浄用ポンプ
21 コントローラ
30 洗浄槽
31 洗浄槽
32 洗浄槽
33 洗浄槽
36 ポンプ
40 圧力センサ
41 恒温槽
42 洗浄槽
43 洗浄液タンク
44 洗浄液用シリンジ
45 洗浄加速機構
46 洗浄液
51 試薬ボトル
52 試薬ボトル
801-1 反応容器
801-5 反応容器
801-6 反応容器
801-9 反応容器
801-10 反応容器
810 洗浄機構
820 洗浄機構
901-1 プローブ侵入口
901-2 プローブ侵入口
902-1 領域
902-2 領域
903 仕切り版
Claims (13)
- 液体の試料を分注する分注装置が備える分注プローブの表面状態を評価する試験方法であって、
前記分注装置が備える第1分注プローブにより、色素を溶かした第1溶液を第1容器に分注する第1分注ステップ、
前記第1分注ステップの後に前記第1分注プローブを洗浄するステップ、
前記第1分注プローブを洗浄した後、前記第1分注プローブにより、色素を溶かしていない第2溶液を前記第1容器とは異なる第2容器に分注する第2分注ステップ、
前記分注装置が備える前記第1分注プローブとは異なる第2分注プローブにより、前記第1容器のなかの前記第1溶液を吸引するとともに、吸引した前記第1溶液を前記第2分注プローブから吐出する第1吸引吐出ステップ、
前記第1吸引吐出ステップの後、前記第2分注プローブにより、前記第2容器のなかの前記第2溶液を吸引するとともに、吸引した前記第2溶液を前記第2分注プローブから吐出する第2吸引吐出ステップ、
前記第2吸引吐出ステップの後、前記第2容器のなかの前記第2溶液の吸光度を測定するステップ、
前記測定した前記第2溶液の吸光度を用いて、前記第2分注プローブから吐出した前記第2溶液に含まれる前記色素の量を計算することにより、前記第2分注プローブに残留していた前記色素が前記第2溶液によって回収された量を計算するステップ、
前記第2溶液によって回収された前記色素の量に基づき前記第2分注プローブの表面状態を評価するステップ、
を有することを特徴とする試験方法。 - 前記分注装置は、回転可能なディスク上に前記第1容器と前記第2容器を備えており、 前記試験方法はさらに、
前記第1分注プローブにより前記第1溶液を前記第1容器に分注した後、前記第1分注プローブが前記第2溶液を前記第2容器に分注することができる位置まで、前記ディスクを回転させるステップ、
前記第2分注プローブが前記第1溶液を吐出した後、前記第2分注プローブが前記第2容器のなかの前記第2溶液を吸引することができる位置まで、前記ディスクを回転させるステップ、
を有することを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記試験方法はさらに、前記第1吸引吐出ステップと前記第2吸引吐出ステップを繰り返すことにより、前記第2分注プローブの表面状態を繰り返し評価する、繰り返しステップを有する
ことを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記試験方法はさらに、前記第1分注プローブにより、前記第2溶液を前記第1容器とも前記第2容器とも異なる第3容器に分注する第3分注ステップを有し、
前記繰り返しステップにおいては、
前記第1吸引吐出ステップ、
前記第2吸引吐出ステップ、
前記第1吸引吐出ステップ、
前記第2分注プローブにより、前記第3容器のなかの前記第2溶液を吸引するとともに、吸引した前記第2溶液を前記第2分注プローブから吐出する第3吸引吐出ステップ、 の順で各ステップを実施する
ことを特徴とする請求項3記載の試験方法。 - 前記第1吸引吐出ステップにおいては、前記第2分注プローブが前記第1容器から吸引した前記第1溶液を前記第1容器に対して吐出することにより、前記第1容器のなかの前記第1溶液を繰り返し使用する
ことを特徴とする請求項3記載の試験方法。 - 前記第1吸引吐出ステップにおいては、前記第2分注プローブが前記第1容器から吸引した前記第1溶液を、空の容器に対して吐出し、
前記第2吸引吐出ステップにおいては、前記第2分注プローブが前記第2容器から吸引した前記第2溶液を、空の容器に対して吐出する
ことを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記色素は酸性色素であり、
前記第1溶液のpHは2.0以上6.0以下である
ことを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記色素はオレンジGであることを特徴とする請求項7記載の試験方法。
- 前記分注装置はさらに、前記第1容器と前記第2容器を洗浄する洗浄機構を備え、
前記試験方法はさらに、
前記第1吸引吐出ステップが完了した後、前記洗浄機構によって前記第1容器を洗浄する第1洗浄ステップ、
前記第2吸引吐出ステップが完了した後、前記洗浄機構によって前記第2容器を洗浄する第2洗浄ステップ、
を有し、
前記第1洗浄ステップと前記第2洗浄ステップを同時に実施する
ことを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記分注装置は、回転可能なディスク上に前記第1容器と前記第2容器を備えており、 前記洗浄機構は、前記ディスクの円周に沿ってそれぞれ配置された第1洗浄部と第2洗浄部を備え、
前記第1洗浄ステップと前記第2洗浄ステップにおいては、前記ディスク上において、前記第1洗浄部が前記第1容器を洗浄するとき前記第2洗浄部が前記第2容器を洗浄することができる位置に、前記第1容器と前記第2容器をそれぞれ配置する
ことを特徴とする請求項9記載の試験方法。 - 前記試験方法はさらに、
前記第1溶液に対して前記第2分注プローブを浸した上で前記第1溶液を吸引せずに前記第2分注プローブを前記第1溶液から引き上げることにより、前記第2分注プローブの外面に対して前記色素を付着させるステップ、
前記外面に前記色素が付着した前記第2分注プローブを前記第2溶液に対して浸したうえで前記第2溶液を吸引せずに前記第2分注プローブを前記第2溶液から引き上げるステップ、
前記第2分注プローブを前記第2溶液から引き上げた後、前記第2容器のなかの前記第2溶液の吸光度を測定するステップ、
前記測定した前記第2溶液の吸光度を用いて、前記第2分注プローブの外面に残留していた前記色素から前記第2溶液に対して持ち込まれた前記色素の量を計算するステップ、
前記第2溶液に対して持ち込まれた前記色素の量に基づき前記分注プローブの外面の表面状態を評価するステップ、
を有することを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 前記第1分注ステップと前記第2分注ステップの前の時点において、前記第1溶液と前記第2溶液は、内部を隔壁によって仕切られたボトルに収容されており、
前記第1分注プローブは、支柱に対して回転可能に取り付けられた第1アームと、前記第1アームに対してさらに回転可能に取り付けられた第2アームとを備えており、
前記第1分注ステップにおいては前記ボトルから前記第1容器に対して前記第1溶液を分注し、
前記第2分注ステップにおいては前記ボトルから前記第2容器に対して前記第2溶液を分注する
ことを特徴とする請求項1記載の試験方法。 - 請求項1から12のいずれか1項記載の試験方法を実行するコントローラを備えたことを特徴とする分注装置。
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