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JP6998285B2 - 磁気センサ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、外部磁界の複数の方向の成分を検出するための複数の磁気センサを含む磁気センサ装置に関する。
近年、種々の用途で、外部磁界の所定の方向の成分を検出するための磁気センサが利用されている。磁気センサとしては、基板上に設けられた少なくとも1つの磁気検出素子を用いたものが知られている。磁気検出素子としては、例えば磁気抵抗効果素子が用いられる。
外部磁界の所定の方向の成分を検出するための磁気センサは、外部磁界の所定の方向の成分に対応する検出信号を生成する。以下、上記所定の方向を主軸方向と言う。主軸方向は、例えば磁気センサの感磁方向と一致する。ここで、この磁気センサにおいて、主軸方向の磁界の強度の変化に対する磁気センサの検出信号の変化の比率を、主軸感度と言う。
主軸感度は、磁気センサの個体差によって異なり得る。また、外部磁界の複数の方向の成分を検出するための複数の磁気センサを含む装置では、複数の磁気センサの主軸感度が互いに異なる場合がある。また、磁気センサの使用環境によって、主軸感度が変化する場合がある。そのため、磁気センサを含む装置では、必要に応じて、磁気センサの主軸感度を測定して、その測定結果に基づいて磁気センサの検出信号を補正できることが望まれる。
特許文献1には、複数の感磁部が互いに離間して設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた磁性体とを備え、複数の感磁部が磁性体の端部領域に設けられた磁気センサが記載されている。この磁気センサは、複数の感磁部の出力に基づいて、互いに直交する3軸に関する磁界強度を検出する。この磁気センサにおいて、各感磁部の感磁方向は、垂直方向である。この磁気センサは、感度測定のための水平磁界発生用コイルと、感度測定のための複数の垂直磁界発生用コイルとを備えている。水平磁界発生用コイルは、水平磁界成分を発生する。この水平磁界成分によって、磁性体の端部近傍において垂直磁界成分が発生し、複数の感磁部は、この垂直磁界成分を検出することによって水平磁界成分を検出する。複数の垂直磁界発生用コイルは、複数の感磁部の近傍に設けられ、垂直磁界成分を発生する。複数の感磁部は、それぞれ、複数の垂直磁界発生用コイルによって発生された垂直磁界成分を検出する。
特許文献1に記載された磁気センサによれば、3軸に関する主軸感度を測定することができる。
ところで、外部磁界の複数の方向の成分を検出するための複数の磁気センサを含む装置では、各磁気センサにおいて、主軸方向以外の方向の磁界の強度の変化によって検出信号が変化することが起こり得る。ここで、主軸方向以外の方向の磁界の強度の変化に対する磁気センサの検出信号の変化の比率を、他軸感度と言う。
そのため、複数の磁気センサを含む装置では、必要に応じて、各磁気センサの主軸感度のみならず他軸感度も測定して、その測定結果に基づいて複数の磁気センサの検出信号を補正できることが望まれる。
特許文献2には、磁性体と、磁性体の近傍に配置された第1ないし第4の磁気検出素子と、信号処理部と、補正係数記憶部と、磁界成分算出部とを備えた3次元磁界測定装置が記載されている。信号処理部は、第1ないし第4の磁気検出素子の出力信号に基づいて、磁性体に入力される3次元磁界ベクトルに対応する出力信号を生成する。補正係数記憶部は、信号処理部の出力信号に含まれる他軸感度成分を補正するための補正係数を記憶する。磁界成分算出部は、信号処理部の出力信号と補正係数とに基づいて、3次元の出力信号を生成する。
また、特許文献2には、線形独立な3つの磁界ベクトルを3次元磁界測定装置に入力し、その際に3次元磁界測定装置が生成する他軸感度を含んだ信号に基づいて、補正係数生成装置によって上記補正係数を生成する技術が記載されている。
特許第5027217号公報 特開2015-75465号公報
特許文献2に記載された技術では、3次元磁界測定装置の他軸感度を測定し、補正係数を生成するためには、3次元磁界測定装置の外部から、線形独立な3つの磁界ベクトルを3次元磁界測定装置に入力する必要がある。しかし、この技術では、3次元磁界測定装置の出荷後には、3次元磁界測定装置の使用環境によっては、3次元磁界測定装置の外部から、線形独立な3つの磁界ベクトルを3次元磁界測定装置に入力することが困難な場合があるという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の磁気センサを含む磁気センサ装置であって、磁気センサ装置の使用環境に関わらずに、各磁気センサの主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた各磁気センサの検出信号の補正を容易に行うことができるようにした磁気センサ装置を提供することにある。
本発明の第1の観点の磁気センサ装置は、外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する第1の磁気センサと、外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する第2の磁気センサと、外部磁界の、第3の感磁方向の成分である第3の外部磁界成分と対応関係を有する第3の検出信号を生成する第3の磁気センサと、第1の付加的磁界を発生可能な第1の磁界発生器と、第2の付加的磁界を発生可能な第2の磁界発生器と、第3の付加的磁界を発生可能な第3の磁界発生器と、第1ないし第3の磁界発生器を制御すると共に第1ないし第3の検出信号を補正する補正プロセッサとを備えている。
第1ないし第3の磁気センサならびに第1ないし第3の磁界発生器は、一体化されている。第1の磁界発生器によって第1の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサの各々には、第1の付加的磁界の、第1の方向に平行な方向の成分である第1の付加的磁界成分が印加される。第2の磁界発生器によって第2の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサの各々には、第2の付加的磁界の、第2の方向に平行な方向の成分である第2の付加的磁界成分が印加される。第3の磁界発生器によって第3の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサの各々には、第3の付加的磁界の、第3の方向に平行な方向の成分である第3の付加的磁界成分が印加される。
補正プロセッサは、第1ないし第3の検出信号を補正するための補正関数を決定する補正関数決定処理と、第1ないし第3の検出信号と補正関数とを用いて第1ないし第3の検出信号を補正する補正処理とを行う。補正関数決定処理は、第1の磁界発生器を制御して第1の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第1ないし第3のデータと、第2の磁界発生器を制御して第2の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第4ないし第6のデータと、第3の磁界発生器を制御して第3の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第7ないし第9のデータとを取得し、第1ないし第9のデータに基づいて補正関数を決定する。
本発明の第1の観点の磁気センサ装置において、第1ないし第3の方向は、互いに直交していてもよい。
また、本発明の第1の観点の磁気センサ装置において、補正プロセッサは、第1ないし第3の磁気センサならびに第1ないし第3の磁界発生器と一体化されていてもよい。
本発明の第2の観点の磁気センサ装置は、外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する第1の磁気センサと、外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する第2の磁気センサと、第1の付加的磁界を発生可能な第1の磁界発生器と、第2の付加的磁界を発生可能な第2の磁界発生器と、第1および第2の磁界発生器を制御すると共に第1および第2の検出信号を補正する補正プロセッサとを備えている。
第1および第2の磁気センサならびに第1および第2の磁界発生器は、一体化されている。第1の磁界発生器によって第1の付加的磁界が発生されたとき、第1および第2の磁気センサの各々には、第1の付加的磁界の、第1の方向に平行な方向の成分である第1の付加的磁界成分が印加される。第2の磁界発生器によって第2の付加的磁界が発生されたとき、第1および第2の磁気センサの各々には、第2の付加的磁界の、第2の方向に平行な方向の成分である第2の付加的磁界成分が印加される。
補正プロセッサは、第1および第2の検出信号を補正するための補正関数を決定する補正関数決定処理と、第1および第2の検出信号と補正関数とを用いて第1および第2の検出信号を補正する補正処理とを行う。補正関数決定処理は、第1の磁界発生器を制御して第1の付加的磁界を変化させたときの第1および第2の検出信号のそれぞれの変化に関する第1および第2のデータと、第2の磁界発生器を制御して第2の付加的磁界を変化させたときの第1および第2の検出信号のそれぞれの変化に関する第3および第4のデータとを取得し、第1ないし第4のデータに基づいて補正関数を決定する。
本発明の第2の観点の磁気センサ装置において、第1および第2の方向は、互いに直交していてもよい。
また、本発明の第2の観点の磁気センサ装置において、補正プロセッサは、第1および第2の磁気センサならびに第1および第2の磁界発生器と一体化されていてもよい。
本発明の第1の観点の磁気センサ装置では、第1ないし第3の磁気センサならびに第1ないし第3の磁界発生器が一体化されている。これにより、第1の観点の磁気センサ装置によれば、磁気センサ装置の使用環境に関わらずに、第1ないし第3の磁気センサの主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた第1ないし第3の検出信号の補正を容易に行うことができるという効果を奏する。
また、本発明の第2の観点の磁気センサ装置では、第1および第2の磁気センサならびに第1および第2の磁界発生器が一体化されている。これにより、第2の観点の磁気センサ装置によれば、磁気センサ装置の使用環境に関わらずに、第1および第2の磁気センサの主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた第1および第2の検出信号の補正を容易に行うことができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップを示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの構成を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの回路構成の一例を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態における磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態における1つの抵抗部の一部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態における磁界変換部と第3の磁気センサの構成を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップを示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における第1ないし第3の磁気センサと軟磁性構造体のそれぞれの一部を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における第1の磁界発生器を模式的に示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態における第2の磁界発生器を模式的に示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態における第3の磁界発生器を模式的に示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態における補正関数決定処理を示すフローチャートである。 図2に示したホストプロセッサの構成の一例を示す機能ブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサ装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の第2の実施の形態における補正関数決定処理を示すフローチャートである。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサ装置の概略の構成について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ装置1は、外部磁界の、互いに直交する3方向の成分を検出する装置である。磁気センサ装置1は、例えば、情報機器等の電子機器に搭載され、地磁気センサ装置として用いられる。
図1に示したように、磁気センサ装置1は、回路チップ3とセンサチップ4とを備えている。回路チップ3とセンサチップ4は、いずれも直方体形状を有している。また、回路チップ3とセンサチップ4は、いずれも外面を有している。
回路チップ3の外面は、互いに反対側に位置する上面3aおよび下面3bと、上面3aと下面3bを接続する4つの側面を含んでいる。センサチップ4の外面は、互いに反対側に位置する上面4aおよび下面4bと、上面4aと下面4bを接続する4つの側面を含んでいる。センサチップ4は、下面4bが回路チップ3の上面3aに対向する姿勢で、上面3a上に実装されている。
回路チップ3は、上面3aに設けられた端子群を備えている。センサチップ4は、上面4aに設けられた端子群を備えている。センサチップ4の端子群は、例えば複数のボンディングワイヤによって、回路チップ3の端子群に接続されている。
図2は、磁気センサ装置1の構成を示す機能ブロック図である。図2に示したように、センサチップ4は、第1の磁気センサ10と第2の磁気センサ20と第3の磁気センサ30を含んでいる。
第1の磁気センサ10は、外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する。第2の磁気センサ20は、外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する。第3の磁気センサ30は、外部磁界の、第3の感磁方向の成分である第3の外部磁界成分と対応関係を有する第3の検出信号を生成する。
磁気センサ装置1は、更に、磁界発生部70を備えている。磁界発生部70は、回路チップ3に含まれていてもよいし、センサチップ4に含まれていてもよい。以下、磁界発生部70がセンサチップ4に含まれている例について説明する。磁界発生部70は、第1ないし第3の付加的磁界を発生可能な第1ないし第3の磁界発生器を含んでいる。第1ないし第3の磁界発生器については、後で詳しく説明する。
回路チップ3は、磁界発生部70を制御すると共に第1ないし第3の検出信号を補正する補正プロセッサ80を含んでいる。補正プロセッサ80は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)によって構成されている。
補正プロセッサ80は、アナログ-デジタル変換器(以下、A/D変換器と記す。)81,82,83と、補正処理部84と、補正関数決定部85と、駆動部86と、制御部87とを含んでいる。A/D変換器81,82,83は、それぞれ、第1ないし第3の検出信号をデジタル信号に変換する。補正処理部84、補正関数決定部85、駆動部86および制御部87は、それぞれ以下で説明する処理を行う機能ブロックである。
補正関数決定部85は、制御部87および駆動部86と協働して、第1ないし第3の検出信号を補正するための補正関数を決定する補正関数決定処理を行う。制御部87は、補正関数決定処理が行われるように、補正関数決定部85と駆動部86を制御する。駆動部86は、磁界発生部70を制御して、第1ないし第3の付加的磁界を発生させると共に、第1ないし第3の付加的磁界を変化させる。補正関数決定部85は、第1ないし第3の付加的磁界の各々を変化させたときの第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関するデータに基づいて、補正関数を決定する。
補正処理部84は、第1ないし第3の検出信号と補正関数とを用いて第1ないし第3の検出信号を補正して第1ないし第3の補正後信号を生成する補正処理を行う。また、補正処理部84は、第1ないし第3の補正後信号を、磁気センサ装置1が搭載された電子機器のホストプロセッサ200に出力する。ホストプロセッサ200の構成については、後で説明する。
次に、図3を参照して、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の配置について説明する。図3は、センサチップ4を示す平面図である。図3に示したように、センサチップ4は、前述の第1ないし第3の磁気センサ10,20,30と、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30を支持する基板51を含んでいる。基板51は、上面51aと下面51bを有している。なお、下面51bは、後で説明する図9に示されている。
ここで、本実施の形態における基準座標系と第1ないし第3のセンサ座標系について説明する。基準座標系は、基準平面RPを基準にして設定された座標系である。磁界発生部70が発生する第1ないし第3の付加的磁界の方向は、基準座標系で表される。前述のように、磁界発生部70がセンサチップ4に含まれている場合には、例えば、基板51の上面51aを基準平面RPとする。磁界発生部70が回路チップ3に含まれている場合には、例えば、回路チップ3の上面3aを基準平面RPとする。
第1ないし第3のセンサ座標系は、それぞれ第1ないし第3の磁気センサ10,20,30を基準にして設定された座標系である。以下、第1ないし第3のセンサ座標系を代表して、単にセンサ座標系と言う。基準座標系とセンサ座標系のいずれにおいても、X方向、Y方向、Z方向が定義されている。
基準座標系におけるX方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。基準座標系におけるZ方向は、基準平面RPに垂直な方向であって、基板51の下面51bから上面51aに向かう方向である。基準座標系におけるX方向とY方向は、基準平面RPに平行な方向である。
磁気センサ装置1は、第1ないし第3のセンサ座標系が基準座標系と一致するように設計されている。しかし、基板51に対する第1ないし第3の磁気センサ10,20,30のアライメントのずれ等によって、第1ないし第3のセンサ座標系のうちの少なくとも1つが基準座標系と一致しない場合が起こり得る。
基準座標系とセンサ座標系のいずれにおいても、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ装置1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。
以下、特段の断りが無い限り、複数の図に示したX方向、Y方向、Z方向は、基準座標系とセンサ座標系の両方に当てはまる。
基準平面RPは、互いに異なる第1の領域A10と第2の領域A20と第3の領域A30を含んでいる。第1の領域A10は、基準平面RPに第1の磁気センサ10を垂直投影してできる領域である。第2の領域A20は、基準平面RPに第2の磁気センサ20を垂直投影してできる領域である。第3の領域A30は、基準平面RPに第3の磁気センサ30を垂直投影してできる領域である。
ここで、基準平面RP内に位置して、第3の領域A30の重心C30を通り、基準座標系におけるZ方向に垂直で且つ互いに直交する2つの直線を第1の直線L1と第2の直線L2とする。本実施の形態では特に、第1の直線L1は基準座標系におけるX方向に平行であり、第2の直線L2は基準座標系におけるY方向に平行である。
本実施の形態では、第1の磁気センサ10は、基準座標系におけるX方向の互いに異なる位置に配置された第1の部分11と第2の部分12を含んでいる。第1の領域A10は、基準平面RPに第1の磁気センサ10の第1の部分11を垂直投影してできる第1の部分領域A11と、基準平面RPに第1の磁気センサ10の第2の部分12を垂直投影してできる第2の部分領域A12を含んでいる。第1および第2の部分領域A11,A12は、第1の直線L1に平行な方向における第3の領域A30の両側に位置している。
また、第2の磁気センサ20は、基準座標系におけるY方向の互いに異なる位置に配置された第1の部分21と第2の部分22を含んでいる。第2の領域A20は、基準平面RPに第2の磁気センサ20の第1の部分21を垂直投影してできる第3の部分領域A21と、基準平面RPに第2の磁気センサ20の第2の部分22を垂直投影してできる第4の部分領域A22を含んでいる。第3および第4の部分領域A21,A22は、第2の直線L2に平行な方向における第3の領域A30の両側に位置している。
本実施の形態では、第1および第2の部分領域A11,A12は、いずれも第1の直線L1と交差する位置にある。また、第3および第4の部分領域A21,A22は、いずれも第2の直線L2と交差する位置にある。
第1の領域A10のいかなる部分も第2の直線L2とは交差しないことが好ましい。同様に、第2の領域A20のいかなる部分も第1の直線L1とは交差しないことが好ましい。
本実施の形態では特に、第1の領域A10と第2の領域A20は、上方から見て、第3の領域A30の重心C30を中心として第1の領域A10を90°回転すると第2の領域A20に重なる位置関係である。図3において、重心C30を中心として反時計回り方向に第1および第2の部分領域A11,A12を90°回転すると、第1および第2の部分領域A11,A12はそれぞれ第3および第4の部分領域A21,A22に重なる。
第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々は、少なくとも1つの磁気検出素子を含んでいる。
次に、図4および図5を参照して、センサチップ4の構成の一例について説明する。図4は、センサチップ4の構成を示す説明図である。図5は、センサチップ4の回路構成の一例を示す回路図である。
前述のように、第1の磁気センサ10は、外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する。第2の磁気センサ20は、外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する。第3の磁気センサ30は、外部磁界の、第3の感磁方向の成分である第3の外部磁界成分と対応関係を有する第3の検出信号を生成する。
本実施の形態では特に、第1の感磁方向は、第1のセンサ座標系におけるX方向に平行な方向である。第1の感磁方向は、第1のセンサ座標系におけるX方向と-X方向とを含む。第2の感磁方向は、第2のセンサ座標系におけるY方向に平行な方向である。第2の感磁方向は、第2のセンサ座標系におけるY方向と-Y方向とを含む。第3の感磁方向は、第3のセンサ座標系におけるZ方向に平行な方向である。第3の感磁方向は、第3のセンサ座標系におけるZ方向と-Z方向とを含む。
また、図4に示したように、センサチップ4の端子群は、第1の磁気センサ10に対応する電源端子Vxおよび出力端子Vx+,Vx-と、第2の磁気センサ20に対応する電源端子Vyおよび出力端子Vy+,Vy-と、第3の磁気センサ30に対応する電源端子Vzおよび出力端子Vz+,Vz-と、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30で共通に使用されるグランド端子Gとを含んでいる。
図5に示した例では、第1の磁気センサ10は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つの抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4を含んでいる。抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4の各々は、第1の外部磁界成分に応じて変化する抵抗値を有する。抵抗部Rx1は、電源端子Vxと出力端子Vx+との間に設けられている。抵抗部Rx2は、出力端子Vx+とグランド端子Gとの間に設けられている。抵抗部Rx3は、電源端子Vxと出力端子Vx-との間に設けられている。抵抗部Rx4は、出力端子Vx-とグランド端子Gとの間に設けられている。
第2の磁気センサ20は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つの抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4を含んでいる。抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4の各々は、第2の外部磁界成分に応じて変化する抵抗値を有する。抵抗部Ry1は、電源端子Vyと出力端子Vy+との間に設けられている。抵抗部Ry2は、出力端子Vy+とグランド端子Gとの間に設けられている。抵抗部Ry3は、電源端子Vyと出力端子Vy-との間に設けられている。抵抗部Ry4は、出力端子Vy-とグランド端子Gとの間に設けられている。
第3の磁気センサ30は、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つの抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4を含んでいる。抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4の各々は、後述する磁界変換部から出力される出力磁界成分に応じて変化する抵抗値を有する。抵抗部Rz1は、電源端子Vzと出力端子Vz+との間に設けられている。抵抗部Rz2は、出力端子Vz+とグランド端子Gとの間に設けられている。抵抗部Rz3は、電源端子Vzと出力端子Vz-との間に設けられている。抵抗部Rz4は、出力端子Vz-とグランド端子Gとの間に設けられている。
以下、抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4,Ry1,Ry2,Ry3,Ry4,Rz1,Rz2,Rz3,Rz4のうちの任意の1つを抵抗部Rと言う。抵抗部Rは、少なくとも1つの磁気検出素子を含んでいる。本実施の形態では特に、少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子である。以下、磁気抵抗効果素子をMR素子と記す。
本実施の形態では特に、MR素子は、スピンバルブ型のMR素子である。このスピンバルブ型のMR素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、印加磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを有している。スピンバルブ型のMR素子は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層は非磁性導電層である。スピンバルブ型のMR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。各MR素子において、自由層は、磁化容易軸方向が、磁化固定層の磁化の方向に直交する方向となる形状異方性を有している。
図5において、塗りつぶした矢印は、MR素子における磁化固定層の磁化の方向を表している。図5に示した例では、抵抗部Rx1,Rx4の各々におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、第1のセンサ座標系におけるX方向である。抵抗部Rx2,Rx3の各々におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、第1のセンサ座標系における-X方向である。
また、抵抗部Ry1,Ry4の各々におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、第2のセンサ座標系におけるY方向である。抵抗部Ry2,Ry3の各々におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向は、第2のセンサ座標系における-Y方向である。抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4の各々におけるMR素子の磁化固定層の磁化の方向については、後で説明する。
出力端子Vx+と出力端子Vx-との間の電位差は、第1の外部磁界成分と対応関係を有する。第1の磁気センサ10は、出力端子Vx+と出力端子Vx-との間の電位差に対応する第1の検出信号を生成する。第1の検出信号は、出力端子Vx+と出力端子Vx-との間の電位差に対して振幅やオフセットの調整を施したものであってもよい。
出力端子Vy+と出力端子Vy-との間の電位差は、第2の外部磁界成分と対応関係を有する。第2の磁気センサ20は、出力端子Vy+と出力端子Vy-との間の電位差に対応する第2の検出信号を生成する。第2の検出信号は、出力端子Vy+と出力端子Vy-との間の電位差に対して振幅やオフセットの調整を施したものであってもよい。
出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差は、第3の外部磁界成分と対応関係を有する。第3の磁気センサ30は、出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差に対応する第3の検出信号を生成する。第3の検出信号は、出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差に対して振幅やオフセットの調整を施したものであってもよい。
ここで、図4を参照して、抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4,Ry1,Ry2,Ry3,Ry4の配置の一例について説明する。この例では、第1の磁気センサ10の第1の部分11は抵抗部Rx1,Rx4を含み、第1の磁気センサ10の第2の部分12は抵抗部Rx2,Rx3を含んでいる。また、第2の磁気センサ20の第1の部分21は抵抗部Ry1,Ry4を含み、第2の磁気センサ20の第2の部分22は抵抗部Ry2,Ry3を含んでいる。
図4において、塗りつぶした矢印は、MR素子における磁化固定層の磁化の方向を表している。図4に示した例では、第1の磁気センサ10の第1の部分11と、第1の磁気センサ10の第2の部分12と、第2の磁気センサ20の第1の部分21と、第2の磁気センサ20の第2の部分22の各々において、そこに含まれる複数のMR素子の磁化固定層の磁化の方向が同じ方向になる。そのため、この例によれば、複数のMR素子の磁化固定層の磁化の方向の設定が容易になる。
次に、図6を参照して、MR素子の構成の一例について説明する。図6に示したMR素子100は、基板51側から順に積層された反強磁性層101、磁化固定層102、ギャップ層103および自由層104を含んでいる。反強磁性層101は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層102との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層102の磁化の方向を固定する。
なお、MR素子100における層101~104の配置は、図6に示した配置とは上下が反対でもよい。また、MR素子100は、反強磁性層101を含まない構成であってもよい。この構成は、例えば、反強磁性層101および磁化固定層102の代わりに、2つの強磁性層とこの2つの強磁性層の間に配置された非磁性金属層とを含む人工反強磁性構造の磁化固定層を含む構成であってもよい。また、磁気検出素子は、ホール素子、磁気インピーダンス素子等、MR素子以外の磁界を検出する素子であってもよい。
次に、図7を参照して、抵抗部Rの構成の一例について説明する。この例では、抵抗部Rは、直列に接続された複数のMR素子100を含んでいる。抵抗部Rは、更に、複数のMR素子100が直列に接続されるように、回路構成上隣接する2つのMR素子100を電気的に接続する1つ以上の接続層を含んでいる。図7に示した例では、抵抗部Rは、1つ以上の接続層として、1つ以上の下部接続層111と、1つ以上の上部接続層112とを含んでいる。下部接続層111は、回路構成上隣接する2つのMR素子100の下面に接し、この2つのMR素子100を電気的に接続する。上部接続層112は、回路構成上隣接する2つのMR素子100の上面に接し、この2つのMR素子100を電気的に接続する。
次に、図8を参照して、第3の磁気センサ30の構成の一例について説明する。第3の磁気センサ30は、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4の他に、軟磁性材料よりなる軟磁性構造体40を含んでいる。軟磁性構造体40は、磁界変換部42と、少なくとも1つの軟磁性層を含んでいる。磁界変換部42は、第3の外部磁界成分を受けて第3の感磁方向に垂直な方向の出力磁界成分を出力する。出力磁界成分の強度は、第3の外部磁界成分の強度と対応関係を有する。第3の磁気センサ30は、出力磁界成分の強度を検出することによって、第3の外部磁界成分の強度を検出する。
図8に示した例では、磁界変換部42は、抵抗部Rz1に対応する下部ヨーク42B1および上部ヨーク42T1と、抵抗部Rz2に対応する下部ヨーク42B2および上部ヨーク42T2と、抵抗部Rz3に対応する下部ヨーク42B3および上部ヨーク42T3と、抵抗部Rz4に対応する下部ヨーク42B4および上部ヨーク42T4とを含んでいる。
下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4および上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4の各々は、第3のセンサ座標系におけるZ方向に垂直な方向に長い直方体形状を有している。
下部ヨーク42B1および上部ヨーク42T1は、抵抗部Rz1の近傍に配置されている。下部ヨーク42B1は、抵抗部Rz1よりも、基板51の上面51aにより近い位置に配置されている。上部ヨーク42T1は、抵抗部Rz1よりも、基板51の上面51aからより遠い位置に配置されている。上方から見たときに、抵抗部Rz1は、下部ヨーク42B1と上部ヨーク42T1の間に位置している。
下部ヨーク42B2および上部ヨーク42T2は、抵抗部Rz2の近傍に配置されている。下部ヨーク42B2は、抵抗部Rz2よりも、基板51の上面51aにより近い位置に配置されている。上部ヨーク42T2は、抵抗部Rz2よりも、基板51の上面51aからより遠い位置に配置されている。上方から見たときに、抵抗部Rz2は、下部ヨーク42B2と上部ヨーク42T2の間に位置している。
下部ヨーク42B3および上部ヨーク42T3は、抵抗部Rz3の近傍に配置されている。下部ヨーク42B3は、抵抗部Rz3よりも、基板51の上面51aにより近い位置に配置されている。上部ヨーク42T3は、抵抗部Rz3よりも、基板51の上面51aからより遠い位置に配置されている。上方から見たときに、抵抗部Rz3は、下部ヨーク42B3と上部ヨーク42T3の間に位置している。
下部ヨーク42B4および上部ヨーク42T4は、抵抗部Rz4の近傍に配置されている。下部ヨーク42B4は、抵抗部Rz4よりも、基板51の上面51aにより近い位置に配置されている。上部ヨーク42T4は、抵抗部Rz4よりも、基板51の上面51aからより遠い位置に配置されている。上方から見たときに、抵抗部Rz4は、下部ヨーク42B4と上部ヨーク42T4の間に位置している。
磁界変換部42が出力する出力磁界成分は、下部ヨーク42B1および上部ヨーク42T1によって生成されて抵抗部Rz1に印加される磁界成分と、下部ヨーク42B2および上部ヨーク42T2によって生成されて抵抗部Rz2に印加される磁界成分と、下部ヨーク42B3および上部ヨーク42T3によって生成されて抵抗部Rz3に印加される磁界成分と、下部ヨーク42B4および上部ヨーク42T4によって生成されて抵抗部Rz4に印加される磁界成分を含んでいる。
図8において、4つの白抜きの矢印は、それぞれ、第3の外部磁界成分の方向が第3のセンサ座標系におけるZ方向であるときに、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4に印加される磁界成分の方向を表している。また、図8において、4つの塗りつぶした矢印は、それぞれ、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4のMR素子100の磁化固定層102の磁化の方向を表している。抵抗部Rz1,Rz4のMR素子100の磁化固定層102の磁化の方向は、それぞれ、第3の外部磁界成分の方向が第3のセンサ座標系におけるZ方向であるときに抵抗部Rz1,Rz4に印加される磁界成分の方向と同じ方向である。抵抗部Rz2,Rz3のMR素子100の磁化固定層102の磁化の方向は、それぞれ、第3の外部磁界成分の方向が第3のセンサ座標系におけるZ方向であるときに抵抗部Rz2,Rz3に印加される磁界成分の方向とは反対方向である。
ここで、第3の磁気センサ30の作用について説明する。第3の外部磁界成分が存在しない状態では、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4のMR素子100の自由層104の磁化の方向は、磁化固定層102の磁化の方向に対して垂直である。
第3の外部磁界成分の方向が第3のセンサ座標系におけるZ方向であるときには、抵抗部Rz1,Rz4のMR素子100では、自由層104の磁化の方向は、磁化固定層102の磁化の方向に対して垂直な方向から、磁化固定層102の磁化の方向に向かって傾く。このとき、抵抗部Rz2,Rz3のMR素子100では、自由層104の磁化の方向は、磁化固定層102の磁化の方向に対して垂直な方向から、磁化固定層102の磁化の方向とは反対方向に向かって傾く。その結果、第3の外部磁界成分が存在しない状態と比べて、抵抗部Rz1,Rz4の抵抗値は減少し、抵抗部Rz2,Rz3の抵抗値は増加する。
第3の外部磁界成分の方向が第3のセンサ座標系における-Z方向の場合は、上述の場合とは逆に、第3の外部磁界成分が存在しない状態と比べて、抵抗部Rz1,Rz4の抵抗値は増加し、抵抗部Rz2,Rz3の抵抗値は減少する。
抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4の抵抗値の変化量は、第3の外部磁界成分の強度に依存する。
第3の外部磁界成分の方向と強度が変化すると、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4のそれぞれの抵抗値は、抵抗部Rz1,Rz4の抵抗値が増加すると共に抵抗部Rz2,Rz3の抵抗値が減少するか、抵抗部Rz1,Rz4の抵抗値が減少すると共に抵抗部Rz2,Rz3の抵抗値が増加するように変化する。これにより、出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差が変化する。従って、この電位差に基づいて、第3の外部磁界成分を検出することができる。第3の磁気センサ30は、出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差に対応する第3の検出信号を生成する。第3の検出信号は、出力端子Vz+と出力端子Vz-との間の電位差に対して振幅やオフセットの調整を施したものであってもよい。
次に、センサチップ4の構造の一例について説明する。図9は、センサチップ4を示す断面図である。センサチップ4は、上面51aと下面51bを有する基板51と、基板51の上面51aの上に積層された第1の集積部分52と第2の集積部分53とを含んでいる。第1の集積部分52は、磁界発生部70を含んでいる。第2の集積部分53は、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30を含んでいる。なお、図3および図4では、第1の集積部分52を省略している。
磁界発生部70は、第1の磁界発生器71と、第2の磁界発生器72と、第3の磁界発生器73とを含んでいる。なお、第1ないし第3の磁界発生器71~73は、後で説明する図11ないし図13に示されている。第1ないし第3の磁界発生器71~73は、第1の集積部分52内において、基板51の上面51aに垂直な方向について互いに異なる位置に配置されている。第1ないし第3の磁気センサ10,20,30ならびに第1ないし第3の磁界発生器71~73は、センサチップ4において一体化されている。第1ないし第3の磁界発生器71~73については、後で説明する。
図10は、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30のそれぞれの一部を示している。この例では、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30は、第1の集積部分52の上に配置されている。第1の集積部分52は、上面52aを有している。第1の集積部分52の上面52aは絶縁性を有している。
第1の磁気センサ10は、抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4の他に、それぞれ絶縁材料よりなる絶縁層66A,67A,68Aを含んでいる。絶縁層66Aは、第1の集積部分52の上面52aの上に配置されている。抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、絶縁層66Aの上に配置されている。図10には、抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4に含まれる複数のMR素子100のうちの1つと、それに接続された下部接続層111および上部接続層112を示している。絶縁層67Aは、絶縁層66Aの上面の上において抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4の周囲に配置されている。絶縁層68Aは、抵抗部Rx1,Rx2,Rx3,Rx4および絶縁層67Aを覆っている。
第2の磁気センサ20の構造は、第1の磁気センサ10と同様である。すなわち、第2の磁気センサ20は、抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4の他に、それぞれ絶縁材料よりなる絶縁層66B,67B,68Bを含んでいる。絶縁層66Bは、第1の集積部分52の上面52aの上に配置されている。抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、絶縁層66Bの上に配置されている。図10には、抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4に含まれる複数のMR素子100のうちの1つと、それに接続された下部接続層111および上部接続層112を示している。絶縁層67Bは、絶縁層66Bの上面の上において抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4の周囲に配置されている。絶縁層68Bは、抵抗部Ry1,Ry2,Ry3,Ry4および絶縁層67Bを覆っている。
第3の磁気センサ30は、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4および軟磁性構造体40の他に、それぞれ絶縁材料よりなる絶縁層61,62,63,64を含んでいる。図10に示した例では、軟磁性構造体40は、磁界変換部42と、2つの軟磁性層41,43を含んでいる。
磁界変換部42は、図8に示した下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4および上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4を含んでいる。図10では、下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4のうちの1つを符号42Bで示し、それに対応する上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4のうちの1つを符号42Tで示している。
軟磁性層41は、第1の集積部分52の上面52aの上に配置されている。下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4は、軟磁性層41の上に配置されている。絶縁層61は、軟磁性層41の上において下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4の周囲に配置されている。
抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、絶縁層61の上に配置されている。図10には、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4に含まれる複数のMR素子100のうちの1つと、それに接続された下部接続層111および上部接続層112を示している。絶縁層62は、下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4および絶縁層61の上において抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4の周囲に配置されている。
上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4は、絶縁層62の上に配置されている。絶縁層63は、抵抗部Rz1,Rz2,Rz3,Rz4および絶縁層62の上において上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4の周囲に配置されている。
軟磁性層43は、上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4および絶縁層63の上に配置されている。絶縁層64は、軟磁性層43を覆っている。
上方から見たときに、軟磁性層41,43は、第3の磁気センサ30の全域またはほぼ全域にわたって存在する。言い換えると、基準平面RPに軟磁性層41を垂直投影してできる領域と、基準平面RPに軟磁性層43を垂直投影してできる領域は、いずれも、第3の領域A30と一致するかほぼ一致する。
図10に示した例では、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30に含まれる全ての磁気検出素子すなわちMR素子100は、第1の集積部分52の上面52aから等しい距離の位置に配置されている。本実施の形態では、第1の集積部分52の上面52aは、基板51の上面51aに対して平行である。従って、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30に含まれる全てのMR素子100は、基板51の上面51aすなわち基準平面RPから等しい距離の位置に配置されている。
なお、磁界変換部42は、下部ヨーク42B1,42B2,42B3,42B4と、上部ヨーク42T1,42T2,42T3,42T4の一方のみを含んでいてもよい。また、軟磁性構造体40は、軟磁性層41,43の一方のみを含んでいてもよい。
次に、第1ないし第3の磁界発生器71~73について説明する。第1ないし第3の磁界発生器71~73は、基板51の上面51a(図9参照)と第1ないし第3の磁気センサ10,20,30との間に位置している。
始めに、図11を参照して、第1の磁界発生器71について説明する。図11は、第1の磁界発生器71を模式的に示す説明図である。第1の磁界発生器71は、第1の付加的磁界を発生可能である。第1の磁界発生器71によって第1の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々には、第1の付加的磁界の、第1の方向に平行な方向の成分である第1の付加的磁界成分が印加される。本実施の形態では特に、第1の方向は、基準座標系におけるX方向と一致する。
図11に示したように、第1の磁界発生器71は、コイル導線71aと、コイル導線71aの両端に接続された2つの端子71b,71cとを有している。端子71b,71cは、それぞれ、補正プロセッサ80の駆動部86(図2参照)に接続されている。
コイル導線71aは、上方から見たときに第1ないし第3の磁気センサ10,20,30のうちの少なくとも1つと重なり、基準座標系におけるY方向に平行な方向に延びる複数の第1の導線部分を含んでいる。コイル導線71aは、端子71bから端子71cに向かって電流を流したときに、複数の第1の導線部分の各々を流れる電流の方向が基準座標系におけるY方向になるように、基準座標系におけるXY平面に沿って巻かれている。
端子71bから端子71cに向かう方向に電流を流すと、複数の第1の導線部分の各々を流れる電流の方向は基準座標系におけるY方向となり、第1の付加的磁界成分の方向は、基準座標系におけるX方向となる。電流の方向を上記の例とは逆にすると、第1の付加的磁界成分の方向は、基準座標系における-X方向となる。
次に、図12を参照して、第2の磁界発生器72について説明する。図12は、第2の磁界発生器72を模式的に示す説明図である。第2の磁界発生器72は、第2の付加的磁界を発生可能である。第2の磁界発生器72によって第2の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々には、第2の付加的磁界の、第2の方向に平行な方向の成分である第2の付加的磁界成分が印加される。本実施の形態では特に、第2の方向は、基準座標系におけるY方向と一致する。
図12に示したように、第2の磁界発生器72は、コイル導線72aと、コイル導線72aの両端に接続された2つの端子72b,72cとを有している。端子72b,72cは、それぞれ、補正プロセッサ80の駆動部86(図2参照)に接続されている。
コイル導線72aは、上方から見たときに第1ないし第3の磁気センサ10,20,30のうちの少なくとも1つと重なり、基準座標系におけるX方向に平行な方向に延びる複数の第2の導線部分を含んでいる。コイル導線72aは、端子72bから端子72cに向かって電流を流したときに、複数の第2の導線部分の各々を流れる電流の方向が基準座標系における-X方向になるように、基準座標系におけるXY平面に沿って巻かれている。
端子72bから端子72cに向かう方向に電流を流すと、複数の第2の導線部分の各々を流れる電流の方向は基準座標系における-X方向となり、第2の付加的磁界成分の方向は、基準座標系におけるY方向となる。電流の方向を上記の例とは逆にすると、第2の付加的磁界成分の方向は、基準座標系における-Y方向となる。
次に、図13を参照して、第3の磁界発生器73について説明する。図13は、第3の磁界発生器73を模式的に示す説明図である。第3の磁界発生器73は、第3の付加的磁界を発生可能である。第3の磁界発生器73によって第3の付加的磁界が発生されたとき、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々には、第3の付加的磁界の、第3の方向に平行な方向の成分である第3の付加的磁界成分が印加される。本実施の形態では特に、第3の方向は、基準座標系におけるZ方向と一致する。
図13に示したように、第3の磁界発生器73は、コイル導線73aと、コイル導線73aの両端に接続された2つの端子73b,73cとを有している。端子73b,73cは、それぞれ、補正プロセッサ80の駆動部86(図2参照)に接続されている。
コイル導線73aは、上方から見て、端子73bから端子73cに向かって反時計回り方向に巻かれるように、基準座標系におけるXY平面に沿って平面渦巻き状に複数回巻かれている。上方から見て、コイル導線73aは、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30を囲っている。コイル導線73aは、全体的に、正方形またはほぼ正方形の形状を有している。
端子73bから端子73cに向かう方向に電流を流すと、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に印加される第3の付加的磁界成分の方向は、基準座標系におけるZ方向となる。電流の方向を上記の例とは逆にすると、第3の付加的磁界成分の方向は、基準座標系における-Z方向となる。
次に、図2を参照して、補正プロセッサ80の補正処理部84の動作について説明する。始めに、補正処理部84が行う補正処理の概略について説明する。
ここで、理想状態を、以下の第1ないし第3の要件によって定義する。第1の要件は、第1の感磁方向は第1の方向に平行な方向と一致し、第2の感磁方向は第2の方向に平行な方向と一致し、第3の感磁方向は第3の方向に平行な方向と一致する、というものである。
第2の要件は、第1の外部磁界成分の変化に対する第1の検出信号の変化の比率と、第2の外部磁界成分の変化に対する第2の検出信号の変化の比率と、第3の外部磁界成分の変化に対する第3の検出信号の変化の比率は等しい、というものである。
第3の要件は、第1の外部磁界成分の変化に対する第2の検出信号の変化の比率と、第1の外部磁界成分の変化に対する第3の検出信号の変化の比率と、第2の外部磁界成分の変化に対する第1の検出信号の変化の比率と、第2の外部磁界成分の変化に対する第3の検出信号の変化の比率と、第3の外部磁界成分の変化に対する第1の検出信号の変化の比率と、第3の外部磁界成分の変化に対する第2の検出信号の変化の比率は、いずれも0である、というものである。
また、理想状態における第1の検出信号を第1の理想信号と言い、理想状態における第2の検出信号を第2の理想信号と言い、理想状態における第3の検出信号を第3の理想信号と言う。補正処理は、補正前の第1ないし第3の検出信号に比べて第1ないし第3の補正後信号が第1ないし第3の理想信号に近づくように、第1ないし第3の検出信号を補正して第1ないし第3の補正後信号を生成する処理である。
以下、補正処理の具体的な内容について説明する。以下の説明では、第1の検出信号を記号Sxで表し、第2の検出信号を記号Syで表し、第3の検出信号を記号Szで表す。また、第1の補正後信号を記号CSxで表し、第2の補正後信号を記号CSyで表し、第3の補正後信号を記号CSzで表す。第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzは、それぞれ、下記の式(1)~(3)で表される。
CSx=C11Sx+C12Sy+C13Sz …(1)
CSy=C21Sx+C22Sy+C23Sz …(2)
CSz=C31Sx+C32Sy+C33Sz …(3)
式(1)~(3)において、C11,C12,C13,C21,C22,C23,C31,C32,C33は、それぞれ、補正係数を表している。また、式(1)~(3)は、本実施の形態における補正関数を表している。
ここで、i,jをそれぞれ1以上3以下の整数としたときに、補正係数Cijを(i,j)成分とする3行3列の行列を、補正係数行列MCと言う。また、第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szを要素として含む列ベクトルを検出信号ベクトルVSと言い、第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzを要素として含む列ベクトルを補正後信号ベクトルVCSと言う。補正関数は、MC,VS,VCSを用いて、下記の式(4)で表される。
VCS=MC・VS …(4)
なお、式(4)において、VS=[Sx,Sy,Sz]Tであり、VCS=[CSx,CSy,CSz]Tである。
補正処理部84は、A/D変換器81~83によってデジタル信号に変換された第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szと、式(1)~(3)または式(4)で表される補正関数を用いて、補正処理を行う。また、補正処理部84は、補正処理によって生成された第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzを、ホストプロセッサ200に出力する。
次に、補正プロセッサ80の補正関数決定部85、駆動部86および制御部87の動作について説明する。前述のように、制御部87は、補正関数決定処理が行われるように、補正関数決定部85と駆動部86を制御する。
始めに、図14を参照して、補正関数決定処理の概略について説明する。図14は、補正関数決定処理を示すフローチャートである。補正関数決定処理では、まず、ステップS11において、第1の付加的磁界が発生され、且つ第1の付加的磁界が変化するように、駆動部86によって第1の磁界発生器71を制御する。そして、このようにして第1の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szのそれぞれの変化に関する第1ないし第3のデータを、補正関数決定部85が取得する。第1の付加的磁界は、例えば、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に、X方向の第1の付加的磁界成分と-X方向の第1の付加的磁界成分が、異なるタイミングで印加されるように変化させてもよい。
次に、ステップS12において、第2の付加的磁界が発生され、且つ第2の付加的磁界が変化するように、駆動部86によって第2の磁界発生器72を制御する。そして、このようにして第2の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szのそれぞれの変化に関する第4ないし第6のデータを、補正関数決定部85が取得する。第2の付加的磁界は、例えば、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に、Y方向の第2の付加的磁界成分と-Y方向の第2の付加的磁界成分が、異なるタイミングで印加されるように変化させてもよい。
次に、ステップS13において、第3の付加的磁界が発生され、且つ第3の付加的磁界が変化するように、駆動部86によって第3の磁界発生器73を制御する。そして、このようにして第3の付加的磁界を変化させたときの第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szのそれぞれの変化に関する第7ないし第9のデータを、補正関数決定部85が取得する。第3の付加的磁界は、例えば、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に、Z方向の第3の付加的磁界成分と-Z方向の第3の付加的磁界成分が、異なるタイミングで印加されるように変化させてもよい。
次に、ステップS14において、補正関数決定部85が、取得した第1ないし第9のデータに基づいて、補正関数を決定する。
ここで、ステップS11において、第1の付加的磁界を変化させたときの、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に印加される第1の付加的磁界成分の変化量を、記号dHxで表す。また、ステップS12において、第2の付加的磁界を変化させたときの、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に印加される第2の付加的磁界成分の変化量を、記号dHyで表す。また、ステップS13において、第3の付加的磁界を変化させたときの、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の各々に印加される第3の付加的磁界成分の変化量を、記号dHzで表す。
また、ステップS11において、第1の付加的磁界を変化させたときの、第1の検出信号Sxの変化量を第1の信号変化量と言い、記号dSxhxで表す。また、第1の付加的磁界を変化させたときの、第2の検出信号Syの変化量を第2の信号変化量と言い、記号dSyhxで表す。また、第1の付加的磁界を変化させたときの、第3の検出信号Szの変化量を第3の信号変化量と言い、記号dSzhxで表す。第1ないし第3の信号変化量dSxhx,dSyhx,dSzhxは、それぞれ第1ないし第3のデータに対応する。
また、ステップS12において、第2の付加的磁界を変化させたときの、第1の検出信号Sxの変化量を第4の信号変化量と言い、記号dSxhyで表す。また、第2の付加的磁界を変化させたときの、第2の検出信号Syの変化量を第5の信号変化量と言い、記号dSyhyで表す。また、第2の付加的磁界を変化させたときの、第3の検出信号Szの変化量を第6の信号変化量と言い、記号dSzhyで表す。第4ないし第6の信号変化量dSxhy,dSyhy,dSzhyは、それぞれ第4ないし第6のデータに対応する。
また、ステップS13において、第3の付加的磁界を変化させたときの、第1の検出信号Sxの変化量を第7の信号変化量と言い、記号dSxhzで表す。また、第3の付加的磁界を変化させたときの、第2の検出信号Syの変化量を第8の信号変化量と言い、記号dSyhzで表す。また、第3の付加的磁界を変化させたときの、第3の検出信号Szの変化量を第9の信号変化量と言い、記号dSzhzで表す。第7ないし第9の信号変化量dSxhz,dSyhz,dSzhzは、それぞれ、第7ないし第9のデータに対応する。
また、第1の方向に平行な方向を、第1の主軸方向と言う。そして、第1の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第1の検出信号Sxの変化の比率を、第1の主軸感度と言い、記号SSxhxで表す。また、第2の方向に平行な方向を、第2の主軸方向と言う。そして、第2の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第2の検出信号Syの変化の比率を、第2の主軸感度と言い、記号SSyhyで表す。また、第3の方向に平行な方向を、第3の主軸方向と言う。そして、第3の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第3の検出信号Szの変化の比率を、第3の主軸感度と言い、記号SSzhzで表す。
また、第1の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第2の検出信号Syの変化の比率を、第1の他軸感度と言い、記号SSyhxで表す。また、第1の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第3の検出信号Szの変化の比率を、第2の他軸感度と言い、記号SSzhxで表す。また、第2の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第1の検出信号Sxの変化の比率を、第3の他軸感度と言い、記号SSxhyで表す。また、第2の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第3の検出信号Szの変化の比率を、第4の他軸感度と言い、記号SSzhyで表す。また、第3の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第1の検出信号Sxの変化の比率を、第5の他軸感度と言い、記号SSxhzで表す。また、第3の主軸方向の磁界の強度の変化に対する第2の検出信号Syの変化の比率を、第6の他軸感度と言い、記号SSyhzで表す。
第1ないし第3の信号変化量dSxhx,dSyhx,dSzhxすなわち第1ないし第3のデータは、下記の式(5)で表される。
Figure 0006998285000001
第4ないし第6の信号変化量dSxhy,dSyhy,dSzhyすなわち第4ないし第6のデータは、下記の式(6)で表される。
Figure 0006998285000002
第7ないし第9の信号変化量dSxhz,dSyhz,dSzhzすなわち第7ないし第9のデータは、下記の式(7)で表される。
Figure 0006998285000003
以下、式(5)~(7)の右辺の3行3列の行列を感度行列と言い、記号MSSで表す。
次に、ステップS14における補正関数の決定方法について具体的に説明する。補正関数決定部85は、まず、第1ないし第9のデータすなわち第1ないし第9の信号変化量dSxhx,dSyhx,dSzhx,dSxhy,dSyhy,dSzhy,dSxhz,dSyhz,dSzhzと、第1の付加的磁界成分の変化量dHxと、第2の付加的磁界成分の変化量dHyと、第3の付加的磁界成分の変化量dHzとに基づいて、感度SSxhx,SSyhx,SSzhx,SSxhy,SSyhy,SSzhy,SSxhz,SSyhz,SSzhzを算出する。
なお、式(5)から、SSxhx=dSxhx/dHxであり、SSyhx=dSyhx/dHxであり、SSzhx=dSzhx/dHxである。また、式(6)から、SSxhy=dSxhy/dHyであり、SSyhy=dSyhy/dHyであり、SSzhy=dSzhy/dHyである。また、式(7)から、SSxhz=dSxhz/dHzであり、SSyhz=dSyhz/dHzであり、SSzhz=dSzhz/dHzである。
補正関数決定部85は、次に、算出した感度SSxhx,SSyhx,SSzhx,SSxhy,SSyhy,SSzhy,SSxhz,SSyhz,SSzhzを用いて、補正係数行列MCを決定する。ここで、補正係数行列MCの第1の例と第2の例について説明する。第1の例の補正係数行列MCは、感度行列MSSの逆行列MSS-1である。
第2の例の補正係数行列MCは、その(i,j)成分を、上記逆行列MSS-1の(i,j)成分の近似値とした行列である。第2の例の補正係数行列MCは、例えば、下記の式(8)で表される。この例では、第1ないし第3の主軸感度SSxhx,SSyhy,SSzhzは互いに近い値であり、第1ないし第6の他軸感度は0に近い値であることを利用して、逆行列MSS-1の(i,j)成分の近似値を求めている。
Figure 0006998285000004
補正関数決定部85は、次に、決定した補正係数行列MCに基づいて、補正関数を決定する。前述のように、補正関数は、式(1)~(3)または式(4)で表される。
補正関数決定処理は、例えば、以下の第1ないし第3の起動要件のうちの少なくとも1つを満足した場合に実行されるようにしてもよい。
第1の起動要件は、前回の補正関数決定処理から所定の時間が経過した、というものである。補正プロセッサ80は、所定の時間が経過したことを制御部87に知らせる図示しないタイマーを含んでいてもよい。
第2の起動要件は、第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの値が、非線形領域にある、というものである。ここで、第1の検出信号Sxを例にとって、線形領域と非線形領域について説明する。第1の外部磁界成分と第1の検出信号Sxとの関係を表すグラフにおいて、第1の外部磁界成分の強度が0に対応する点を原点と言う。第1の検出信号Sxの範囲は、線形領域と第1および第2の非線形領域とを含んでいる。線形領域は、原点を含む領域であって、第1の外部磁界成分の変化に対する第1の検出信号Sxの変化の割合、すなわち第1の主軸感度SSxhxが一定またはほぼ一定の領域である。第1および第2の非線形領域は、第1の主軸感度SSxhxが、線形領域における第1の主軸感度SSxhxと異なる領域であり、線形領域の両側に存在している。線形領域と第1および第2の非線形領域は、予め求められている。なお、第1および第2の非線形領域の各々における第1の主軸感度SSxhxは、第1の外部磁界成分の変化に応じて変化する場合もある。
同様に、第2の検出信号Syの範囲と第3の検出信号Szの範囲も、それぞれ、線形領域と第1および第2の非線形領域とを含んでいる。補正プロセッサ80は、第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの値が第1または第2非線形領域にあるか否かの判定を行う判定部を含んでいてもよい。第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szのいずれかの値が第1または第2の非線形領域にある場合には、第2の起動要件を満足する。この場合、判定部は、それを知らせる信号を制御部87に出力する。
第3の起動要件は、第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの値が、予め規定された使用レンジの範囲外である、というものである。使用レンジは、例えば、A/D変換器81,82,83における正常な入力信号の範囲である。この場合、A/D変換器81,82,83のいずれかにおいて、使用レンジの範囲外の信号が入力されたことが検出された場合に、第3の起動要件を満足する。A/D変換器81,82,83は、それを知らせる信号を制御部87に出力する。
次に、図15を参照して、図2に示したホストプロセッサ200の構成の一例について説明する。ホストプロセッサ200は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。図15は、磁気センサ装置1を地磁気センサ装置として用いる場合におけるホストプロセッサ200の構成例を示している。図15に示した例では、ホストプロセッサ200は、オフセット補正部201と、球体計算部202と、方位演算部203とを含んでいる。オフセット補正部201、球体計算部202および方位演算部203は、それぞれ以下で説明する処理を行う機能ブロックである。
オフセット補正部201には、補正プロセッサ80の補正処理部84(図2参照)における補正処理によって生成された第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzが入力される。オフセット補正部201は、検出対象の磁界すなわち地磁気以外の要因に起因して第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szにオフセットが生じた場合に、オフセットの影響が除去されるように、第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzに対してオフセット補正処理を行う。
ここで、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸によって定義される直交座標系を想定し、ある時点における第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの組に対応する第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzをそれぞれX座標の値、Y座標の値およびZ座標の値とした点を、測定点と言う。磁気センサ装置1を搭載した電子機器の姿勢や位置をランダムに動かしながら複数の測定点を取得し、複数の測定点を上記の直交座標系にプロットすると、複数の測定点は、点(cx,cy,cz)を中心点とする仮想の球の球面上に分布する。この仮想の球の半径は、地磁気の大きさと対応関係を有している。この仮想の球の中心点は、地磁気以外の要因に起因するオフセットを表している。オフセット補正処理は、例えば、中心点の座標が直交座標系の原点(0,0,0)になるように、測定点(CSx,CSy,CSz)を点(CSx-cx,CSy-cy,CSz-cz)に変換する処理であってもよい。
具体的には、オフセット補正部201は、第1の補正後信号CSxとcxの差を第4の補正後信号として生成し、第2の補正後信号CSyとcyの差を第5の補正後信号として生成し、第3の補正後信号CSzとczの差を第6の補正後信号として生成する。また、オフセット補正部201は、生成した第4ないし第6の補正後信号を、方位演算部203に出力する。
球体計算部202は、複数の測定点(CSx,CSy,CSz)に基づいて、中心点(cx,cy,cz)を算出する。また、球体計算部202は、算出したcx,cy,czを、オフセット補正部201に出力する。
方位演算部203は、第4ないし第6の補正後信号に基づいて、方位を算出する。例えば、磁気センサ装置1が搭載された電子機器が、常に、基準座標系における-Z方向が重力加速度の方向と一致する姿勢を維持するものである場合には、方位演算部203は、第4の補正後信号と第5の補正後信号のみを用いて、方位を算出してもよい。
例えば、磁気センサ装置1が搭載された電子機器が、基準座標系における-Z方向が重力加速度の方向に対してなす傾斜角度が変化する可能性のあるものである場合には、方位演算部203は、第4ないし第6の補正後信号と、図15に示した加速度センサ210の測定情報を用いて、方位を算出してもよい。加速度センサ210は、互いに直交する3方向における加速度を測定するものであり、電子機器に搭載されている。加速度センサ210の測定情報は、互いに直交する3方向における加速度の測定値を含んでいる。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ装置1による効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ装置1では、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の主軸感度および他軸感度の測定に用いられる第1ないし第3の磁界発生器71~73が、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30と一体化されている。これにより、本実施の形態によれば、磁気センサ装置1の使用環境に関わらずに、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30の主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの補正を、容易に行うことができる。
また、本実施の形態では、補正プロセッサ80は、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30ならびに第1ないし第3の磁界発生器71~73と一体化されている。これにより、本実施の形態によれば、1個の電子部品の形態を有する磁気センサ装置1によって、上述の主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの補正とを行うことが可能になる。
補正処理によって第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szを補正して第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzを生成すると、第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの非線形性等に起因して第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzにオフセットが生じる場合がある。しかし、この補正処理に伴うオフセットによる影響は、オフセット補正部201におけるオフセット補正処理によって、他の原因によるオフセットによる影響と共に除去することが可能である。
また、もし、補正関数の更新前後で、補正係数C11,C22,C33のうちの少なくとも1つが大きく変化してしまうと、同じ検出信号に対する補正後信号の値が急に変化するおそれがある。これを防止するために、例えば、式(1)~(3)の代わりに、下記の式(9)~(11)を、更新後の補正関数として用いてもよい。
CSx=C11(Sx-Sx1)+CSx1+C12Sy+C13Sz …(9)
CSy=C21Sx+C22(Sy-Sy1)+CSy1+C23Sz …(10)
CSz=C31Sx+C32Sy+C33(Sz-Sz1)+CSz1 …(11)
式(9)~(11)において、Sx1,Sy1,Sz1は、それぞれ、今回の補正関数決定処理が実行される前の、ある時点に生成された第1ないし第3の検出信号Sx,Sy,Szの値を表している。また、CSx1,CSy1,CSz1は、それぞれ、Sx1,Sy1,Sz1と更新前の補正関数とを用いて算出された第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzの値を表している。
なお、式(9)~(11)を補正関数として用いた場合には、第1ないし第3の補正後信号CSx,CSy,CSzにはオフセットが生じる場合がある。しかし、このオフセットは、オフセット補正部201におけるオフセット補正処理によって、他の原因によるオフセットによる影響と共に除去することが可能である。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、本実施の形態に係る磁気センサ装置301の構成が第1の実施の形態と異なる点について簡単に説明する。本実施の形態に係る磁気センサ装置301は、第1の実施の形態における第1ないし第3の磁気センサ10,20,30のうち、2つの磁気センサを備えている。以下、本実施の形態に係る磁気センサ装置301が、2つの磁気センサとして、第1および第2の磁気センサ10,20を備えている例について説明する。
図16は、本実施の形態に係る磁気センサ装置301の構成を示している。本実施の形態では、第1の実施の形態における第3の磁気センサ30とA/D変換器83が設けられていない。また、磁界発生部70は、第1および第2の磁界発生器71,72(図11および図12参照)を含んでいるが、第3の磁界発生器73を含んでいない。
次に、本実施の形態における補正プロセッサ80の補正処理部84の動作、すなわち本実施の形態における補正処理について説明する。第1の磁気センサ10は、第1の検出信号Sxを生成し、第2の磁気センサ20は、第2の検出信号Syを生成する。本実施の形態における補正処理は、補正前の第1および第2の検出信号Sx,Syに比べて、第1および第2の補正後信号CSx,CSyが、第1の実施の形態で説明した第1および第2の理想信号に近づくように、第1および第2の検出信号Sx,Syを補正して第1および第2の補正後信号CSx,CSyを生成する処理である。
本実施の形態における第1および第2の補正後信号CSx,CSyは、それぞれ、下記の式(12)、(13)で表される。
CSx=C11Sx+C12Sy …(12)
CSy=C21Sx+C22Sy …(13)
式(12)、(13)において、C11,C12,C21,C22は、それぞれ、補正係数を表している。また、式(12)、(13)は、本実施の形態における補正関数を表している。
なお、補正関数は、第1の実施の形態と同様に、補正係数行列MC、検出信号ベクトルVSおよび補正後信号ベクトルVCSを用いて、第1の実施の形態における式(4)で表される。ただし、本実施の形態では、補正係数行列MCは、i,jをそれぞれ1または2としたときに、補正係数Cijを(i,j)成分とする2行2列の行列である。また、VS=[Sx,Sy]Tであり、VCS=[CSx,CSy]Tである。
本実施の形態では、補正処理部84は、A/D変換器81,82によってデジタル信号に変換された第1および第2の検出信号Sx,Syと、式(12)、(13)または式(4)で表される補正関数を用いて、補正処理を行う。また、補正処理部84は、補正処理によって生成された第1および第2の補正後信号CSx,CSyを、ホストプロセッサ200に出力する。
次に、本実施の形態における補正プロセッサ80の補正関数決定部85、駆動部86および制御部87の動作、すなわち本実施の形態における補正関数決定処理について説明する。
始めに、図17を参照して、本実施の形態における補正関数決定処理の概略について説明する。図17は、補正関数決定処理を示すフローチャートである。補正関数決定処理では、まず、ステップS21において、第1の付加的磁界が発生され、且つ第1の付加的磁界が変化するように、駆動部86によって第1の磁界発生器71を制御する。そして、このようにして第1の付加的磁界を変化させたときの第1の磁気センサ10の第1の検出信号Sxと第2の磁気センサ20の第2の検出信号Syのそれぞれの変化に関する第1および第2のデータを、補正関数決定部85が取得する。
次に、ステップS22において、第2の付加的磁界が発生され、且つ第2の付加的磁界が変化するように、駆動部86によって第2の磁界発生器72を制御する。そして、このようにして第2の付加的磁界を変化させたときの第1および第2の検出信号Sx,Syのそれぞれの変化に関する第3および第4のデータを取得する。
次に、ステップS23において、補正関数決定部85が、取得した第1ないし第4のデータに基づいて、補正関数を決定する。
ここで、第1の実施の形態と同様に、信号変化量dSxhx,dSyhx,dSxhy,dSyhyを定義する。信号変化量dSxhx,dSyhx,dSxhy,dSyhyは、それぞれ本実施の形態における第1ないし第4のデータに対応する。
信号変化量dSxhx,dSyhxすなわち第1および第2のデータは、下記の式(14)で表される。
Figure 0006998285000005
信号変化量dSxhy,dSyhyすなわち第3および第4のデータは、下記の式(15)で表される。
Figure 0006998285000006
なお、式(14)、(15)におけるSSxhx,SSxhy,SSyhx,SSyhy,dHx,dHyの定義は、第1の実施の形態と同じである。また、式(14)、(15)の右辺の2行2列の行列は、本実施の形態における感度行列MSSである。
次に、ステップS23における補正関数の決定方法について具体的に説明する。補正関数決定部85は、まず、第1ないし第4のデータすなわち信号変化量dSxhx,dSyhx,dSxhy,dSyhyと、第1の付加的磁界成分の変化量dHxと、第2の付加的磁界成分の変化量dHyとに基づいて、感度SSxhx,SSyhx,SSxhy,SSyhyを算出する。感度SSxhx,SSyhx,SSxhy,SSyhyの算出方法は、第1の実施の形態と同じである。
補正関数決定部85は、次に、算出した感度SSxhx,SSyhx,SSxhy,SSyhyを用いて、補正係数行列MCを決定する。ここで、本実施の形態における補正係数行列MCの第1の例と第2の例について説明する。第1の例の補正係数行列MCは、感度行列MSSの逆行列MSS-1である。
第2の例の補正係数行列MCは、その(i,j)成分を、上記逆行列MSS-1の(i,j)成分の近似値とした行列である。第2の例の補正係数行列MCは、例えば、下記の式(16)で表される。
Figure 0006998285000007
補正関数決定部85は、次に、決定した補正係数行列MCに基づいて、補正関数を決定する。
本実施の形態に係る磁気センサ装置301では、第1および第2の磁気センサ10,20の主軸感度および他軸感度の測定に用いられる第1および第2の磁界発生器71,72が、第1および第2の磁気センサ10,20と一体化されている。これにより、本実施の形態によれば、磁気センサ装置301の使用環境に関わらずに、第1および第2の磁気センサ10,20の主軸感度および他軸感度の測定と、この測定結果に基づいた第1および第2の検出信号Sx,Syの補正を、容易に行うことができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1ないし第3の磁気センサ10,20,30と第1ないし第3の磁界発生器71,72,73の構成は、各実施の形態に示した例に限られず、請求の範囲の要件を満たすものであればよい。
また、第2の実施の形態に係る磁気センサ装置301は、2つの磁気センサとして、第1および第2の磁気センサ10,20の代わりに、第1および第3の磁気センサ10,30を備えていてもよいし、第2および第3の磁気センサ20,30を備えていてもよい。
1…磁気センサ装置、3…回路チップ、4…センサチップ、10…第1の磁気センサ、20…第2の磁気センサ、30…第3の磁気センサ、51…基板、70…磁界発生部、71…第1の磁界発生器、72…第2の磁界発生器、73…第3の磁界発生器、80…補正プロセッサ、84…補正処理部、85…補正関数決定部、86…駆動部、87…制御部。

Claims (6)

  1. 外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する第1の磁気センサと、
    前記外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する第2の磁気センサと、
    前記外部磁界の、第3の感磁方向の成分である第3の外部磁界成分と対応関係を有する第3の検出信号を生成する第3の磁気センサと、
    第1の付加的磁界を発生可能な第1の磁界発生器と、
    第2の付加的磁界を発生可能な第2の磁界発生器と、
    第3の付加的磁界を発生可能な第3の磁界発生器と、
    前記第1ないし第3の磁界発生器を制御すると共に前記第1ないし第3の検出信号を補正する補正プロセッサとを備えた磁気センサ装置であって、
    前記第1ないし第3の磁気センサならびに前記第1ないし第3の磁界発生器は、一体化され、
    前記第1の磁界発生器によって前記第1の付加的磁界が発生されたとき、前記第1ないし第3の磁気センサの各々には、前記第1の付加的磁界の、第1の方向に平行な方向の成分である第1の付加的磁界成分が印加され、
    前記第2の磁界発生器によって前記第2の付加的磁界が発生されたとき、前記第1ないし第3の磁気センサの各々には、前記第2の付加的磁界の、第2の方向に平行な方向の成分である第2の付加的磁界成分が印加され、
    前記第3の磁界発生器によって前記第3の付加的磁界が発生されたとき、前記第1ないし第3の磁気センサの各々には、前記第3の付加的磁界の、第3の方向に平行な方向の成分である第3の付加的磁界成分が印加され、
    前記補正プロセッサは、前記第1ないし第3の検出信号を補正するための補正関数を決定する補正関数決定処理と、前記第1ないし第3の検出信号と前記補正関数とを用いて前記第1ないし第3の検出信号を補正する補正処理とを行い、
    前記補正関数決定処理は、前記第1の磁界発生器を制御して前記第1の付加的磁界を変化させたときの前記第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第1ないし第3のデータと、前記第2の磁界発生器を制御して前記第2の付加的磁界を変化させたときの前記第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第4ないし第6のデータと、前記第3の磁界発生器を制御して前記第3の付加的磁界を変化させたときの前記第1ないし第3の検出信号のそれぞれの変化に関する第7ないし第9のデータとを取得し、前記第1ないし第9のデータに基づいて前記補正関数を決定することを特徴とする磁気センサ装置。
  2. 前記第1ないし第3の方向は、互いに直交することを特徴とする請求項1記載の磁気センサ装置。
  3. 前記補正プロセッサは、前記第1ないし第3の磁気センサならびに前記第1ないし第3の磁界発生器と一体化されていることを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ装置。
  4. 外部磁界の、第1の感磁方向の成分である第1の外部磁界成分と対応関係を有する第1の検出信号を生成する第1の磁気センサと、
    前記外部磁界の、第2の感磁方向の成分である第2の外部磁界成分と対応関係を有する第2の検出信号を生成する第2の磁気センサと、
    第1の付加的磁界を発生可能な第1の磁界発生器と、
    第2の付加的磁界を発生可能な第2の磁界発生器と、
    前記第1および第2の磁界発生器を制御すると共に前記第1および第2の検出信号を補正する補正プロセッサとを備えた磁気センサ装置であって、
    前記第1および第2の磁気センサならびに前記第1および第2の磁界発生器は、一体化され、
    前記第1の磁界発生器によって前記第1の付加的磁界が発生されたとき、前記第1および第2の磁気センサの各々には、前記第1の付加的磁界の、第1の方向に平行な方向の成分である第1の付加的磁界成分が印加され、
    前記第2の磁界発生器によって前記第2の付加的磁界が発生されたとき、前記第1および第2の磁気センサの各々には、前記第2の付加的磁界の、第2の方向に平行な方向の成分である第2の付加的磁界成分が印加され、
    前記補正プロセッサは、前記第1および第2の検出信号を補正するための補正関数を決定する補正関数決定処理と、前記第1および第2の検出信号と前記補正関数とを用いて前記第1および第2の検出信号を補正する補正処理とを行い、
    前記補正関数決定処理は、前記第1の磁界発生器を制御して前記第1の付加的磁界を変化させたときの前記第1および第2の検出信号のそれぞれの変化に関する第1および第2のデータと、前記第2の磁界発生器を制御して前記第2の付加的磁界を変化させたときの前記第1および第2の検出信号のそれぞれの変化に関する第3および第4のデータとを取得し、前記第1ないし第4のデータに基づいて前記補正関数を決定することを特徴とする磁気センサ装置。
  5. 前記第1および第2の方向は、互いに直交することを特徴とする請求項4記載の磁気センサ装置。
  6. 前記補正プロセッサは、前記第1および第2の磁気センサならびに前記第1および第2の磁界発生器と一体化されていることを特徴とする請求項4または5記載の磁気センサ装置。
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