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JP6992507B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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JP6992507B2 JP2017253273A JP2017253273A JP6992507B2 JP 6992507 B2 JP6992507 B2 JP 6992507B2 JP 2017253273 A JP2017253273 A JP 2017253273A JP 2017253273 A JP2017253273 A JP 2017253273A JP 6992507 B2 JP6992507 B2 JP 6992507B2
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Description

本発明は、高温多湿、高温乾燥環境下でもガスバリア性能が劣化しづらいバリアフィルムに関するものである。
食料品、医薬品、化成品、電子部材、工業製品等の品質を長期に渡って保持するために、酸素や水蒸気の透過量を遮断あるいは大幅に減少させた、バリア機能を有する包装材料、フィルムが求められている。例えば、酸素は内容物が有機物であれば酸化、腐敗等の品質劣化を加速させ、水蒸気は乾燥あるいは吸湿による内容物が劣化する場合、あるいは内容物の水分量によっては雑菌の増殖を加速することから各ガスのバリア性能が求められている。また近年のサプライチェーンのグローバル化に伴い、例えば東南アジア地域で生産・加工され、袋詰めされた製品が、高温多湿環境下で保管、あるいは船舶等による流通過程において、過酷な条件に置かれることもあることから、このような条件下においても高いガスバリア性能を維持するよう温湿度依存性が十分に小さいことが要求される。
また電子部材や建築部材の酸化劣化や湿潤劣化から保護するためにもバリア性材料、及びそれらを積層させたバリアフィルムを部材に組み込まれて用いられることがあり、高温多湿に曝されても安定したガスバリア性能が求められている。
従来、酸素あるいは水蒸気等に対するバリア材料として、フィルム基材に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等で形成してなる透明ガスバリアフィルムが注目されている。しかしながら、このような透明ガスバリアフィルムは、一般には透明性、剛性に優れる二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材面に無機酸化物を蒸着したフィルムであるので、そのままでは無機酸化物層が摩擦等に弱く、包装用フィルムとして製造する場合、後加工の印刷やラミネート時、又内容物の充填時に、擦れや伸びにより無機酸化物層にクラックが入る等でガスバリア性能が不安定化するという問題点があった。
そこで無機酸化物層を擦れや伸びによる機械的な劣化から守り、と同時にバリア性能を上げるために、種々の塗布型バリア材料を積層することが行われている。
例えば特許文献1によれば、アンモニアによって中和されたポリアクリル酸ポリマーと酸化亜鉛等からなる溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に製膜、180℃、3分の熱乾燥することでポリアクリル酸金属塩を形成することが記されている。しかしこれでは耐熱性のある基材に限定され、また加熱により積層フィルムの収縮によるシワやカール等の寸法変化が起きやすく、バリア層へ応力が集中することによる劣化が懸念される。また乾燥時やその後の流通過程等にアンモニアガスが放出、あるいは包装体中に残留するため、作業環境、内容物の変質、臭い、そして人体に対する健康面が懸念される。
また特許文献2によれば、アクリル酸亜鉛モノマーと光重合開始剤等からなる混合溶液を基材上に塗布し、これを電子線照射(EB、UV)によってガスバリア層を設けることが記されている。
特許文献1~3に記載されたガスバリアフィルムには層を有する積層フィルムが高温多湿下、例えば85℃・RH85%に24時間保管する試験後に酸素透過率、水蒸気透過率がどう変化するのか、あるいは変化しないのかの記載がない。
また特許文献2の実施例によれば、湿度RH90%時に酸素透過率が低く(酸素バリア性能が良く)、RH0%時に酸素透過率が高いこと(酸素バリア性能が悪い)が示されている。これは当該バリア材料が低湿度あるいは乾燥環境下になると酸素バリア性能が1ケタ程度変化することを示している。
以上のことから外部環境(高温多湿あるいは乾燥)に曝されることでバリア性能が劣化し、それに伴い内容物の品質が想定よりも短寿命化することになり、包装袋・包装容器、防酸化、防湿部材としての要求を満たせないことが予想される。
特開2016-193509号公報 特許第4808752号公報 特許第4373797号公報
本発明は、酸素や水蒸気等に対して優れたバリア性能を有すると共に、高温多湿下、あるいは高温乾燥下においても前記バリア性が劣化しづらいガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、(a)光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩と、(b)(a)以外の光重合性官能基を有する化合物とを含有する光重合性組成物層を基材層上の無機酸化物層に設け、前記光重合性組成物層の赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aと1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0との比(A/A0)を、0.01以上、1.2未満という特定の範囲にすることにより、上述の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
[1]基材の少なくとも片面に無機酸化物層と光重合性組成物層とをこの順に形成して得られるガスバリアフィルムであって、
前記光重合性組成物層は、
(a)光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩と、
(b)(a)以外の光重合性官能基を有する化合物と
を含有する光重合性組成物を重合して得られる樹脂により形成され、
そして、前記ガスバリア性層の赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aと1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0との比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満である、前記ガスバリアフィルム。
[2]A/A0が、0.01~1.0である、上記[1]に記載のガスバリアフィルム。
[3]化合物(a)のカルボン酸化合物が、不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が10以下のカルボン酸化合物である、上記[1]又は[2]に記載のガスバリアフィルム。
[4]化合物(a)のカルボン酸化合物が、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル
酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、化合物(a)の多価金属が、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Co、Ni、Al及びFeからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[5]化合物(b)が、不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が100以下のカルボン酸化合物である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[6]化合物(b)が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及び2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[7]化合物(b)が、不飽和二重結合を有する反応性ポリマーである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[8]化合物(b)として、光重合性官能基を有する反応性ポリマーをさらに含む、上記[5]又は[6]に記載のガスバリアフィルム。
[9]反応性ポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートから得られる単独重合体又は共重合体であって、主鎖又は側鎖に不飽和二重結合を有する単独重合体又は共重合体である、上記[7]又は[8]に記載のガスバリアフィルム。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた包装用積層材であって、前記積層フィルムのバリアフィルム上に中間層とヒートシール性樹脂層を順に設けることを特徴とする包装用積層材。
[11]上記[10]に記載の包装用積層材を用いた包装袋であって、一方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側と、他方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側とが対抗するように重ね合わせ、その端部をヒートシールしたことを特徴とする包装袋。
本発明は、酸素や水蒸気等に対して優れたバリア性能を有すると共に、高温多湿下、高温乾燥下に曝されても前記バリア性能が劣化しづらいガスバリアフィルム及びその積層体を提供することを目的とし、本発明のガスバリアフィルムを用いた包装袋・包装容器、防酸化、防湿部材は、従来よりも高温多湿によるバリア層の劣化が少なく、内容物の品質保持し、長寿命化するとして期待できるものである。
本発明のガスバリアフィルムについてその一例を示す概略的断面図である。 本発明のガスバリアフィルムを含む包装用積層材についてその一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
<ガスバリアフィルム及びこれを含む包装用積層材の層構成>
本発明のガスバリアフィルム及びこれを含む包装用積層材について説明する。
図1は、本発明のガスバリアフィルムについてその一例を示す概略的断面図である。
本発明のガスバリアフィルムは、図1に示すように、基材層1上に無機酸化物層2と光重合性組成物層3とをこの順に積層した構成を基本とする。
図2は、本発明のガスバリアフィルムを含む包装用積層材についてその一例を示す概略的断面図である。上記の包装用積層材は、図2に示すように、上記ガスバリアフィルムの光重合性組成物層3上に、中間層4とシーラント層5を順に積層した構成を基本とする。
以下、本発明のガスバリアフィルムやこれを含む包装用積層材を構成する各層について説明する。
<基材層>
上記のガスバリアフィルムを構成する基材層は、充填包装される内容物の包装材料に要求される機械的、物理的、化学的強度や耐熱性、及び質感を満足する樹脂のフィルムないしシートを任意に選択することができる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノレート、等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、及びこれらの混合物等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。これら各種の樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記のプラスチックフィルムにおいて、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、3~200μm、より好ましくは、9~100μmが望ましい。
<無機酸化物層>
無機酸化物層としては、酸化珪素、アルミナ等の無機酸化物の蒸着膜を用いることもできる。上記の蒸着膜としては、無機酸化物、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物、好ましくはアルミナ、シリカの蒸着膜が挙げられる。無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、ガスバリア性能の観点から、例えば、20~2000Å、好ましくは、50~500Åの範囲内で任意に選択することができる。また、上記無機酸化物の蒸着膜は、物理気相成長法や化学気相成長法により、フィルム上に設けることができる。
このような無機酸化物層を、基材層と光重合性組成物との間に設けることにより、得られるバリアフィルムのバリア性能が飛躍的に向上する。
<光重合性組成物層>
光重合性組成物層は基材層の無機酸化物面に塗布することにより形成されるものである。
液体組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート、スリットコート法等の塗布方法が挙げられる。液体組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。波長としては、190~450nmの波長域を使用することができる。
上記の光重合性組成物層において、赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aと1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0との比(A/A0)は、0.01以上、1.2未満であり、好ましくは、0.01~1.19であり、より好ましくは、0.01~1.1である。
本発明において、1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0と赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A/A0)とは、ガスバリアフィルムから1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、その表面(光重合性組成物層)の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定法(ATR法)により測定し、以下の手順で吸光度A及び吸光度A0を求め、これから算出された比(A/A0)を意味する。
上記において、1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとは、赤外線吸収スペクトルの1500cm-1と1600cm-1の吸光度とを直線(L)で結び、1500~1600cm-1間の最大吸光度(1560cm-1付近)から垂直に直線(M)を下ろし、当該直線(M)と直線(L)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)をいう。
上記において、1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0とは、赤外線吸収スペクトルの1600cm-1と1800cm-1の吸光度とを直線(N)で結び、1600~1800cm-1間の最大吸光度(1700cm-1付近)から垂直に直線(O)を下ろし、当該直線(O)と直線(N)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)をいう。
光重合性組成物層の厚さは、0.05~20μmであり、より好ましくは0.1~10μmである。
<光重合性組成物>
本発明において光重合性組成物は、(a)光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩(以下、「化合物(a)」ともいう。)と、(b)(a)以外の光重合性官能基を有する化合物(以下、「化合物(b)」ともいう。)とを含有するものである。
吸光度Aと吸光度A0との比(A/A0)は、光重合性組成物中におけるカルボン酸とカルボキシレートイオンの存在量に基づくものであるから、化合物(a)と化合物(b)との混合比を調節することにより、吸光度Aと吸光度A0との比(A/A0)を上記特定範囲のものとすることができる。化合物(a)と化合物(b)との混合比は、化合物の種類にもよるが、質量比で、1:1を超え、1:15以下であり、好ましくは、1:1.05~1:13である。
以下、上記の光重合性組成物に含まれる各成分について説明する。
<(a)光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩>
光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩(以下、「化合物(a)」ともいう。)とは、光重合性官能基とカルボン酸基とを有する化合物及び多価金属から形成される塩である。化合物(a)を形成する成分の1つである光重合性官能基を有するカルボン酸化合物において、「光重合性官能基」とは、例えば、不飽和二重結合を例示することができ、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の少なくともいずれかを意味するものである。
化合物(a)のカルボン酸化合物としては、不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が10以下のカルボン酸化合物が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の少なくともいずれかを意味するものである。
化合物(a)を形成する成分の1つである多価金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)及び鉄(Fe)等の二価以上の金属が挙げられ、この中でも、Mg、Ca、Ba、Zn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属を使用することが好ましい。
本発明において、上記の化合物(a)として、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム及び(メタ)アクリル酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。本発明においては、市販の不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物の多価金属塩を用いることもでき、例えば、和光純薬工業社製 アクリル酸亜鉛が挙げられる。
<(b)(a)以外の光重合性官能基を有する化合物>
(a)以外の光重合性官能基を有する化合物(以下、「化合物(b)」ともいう。)としては、化合物(a)以外のものであって、光重合性官能基、例えば、不飽和二重結合を有するものであればよく、例えば、エチレン性二重結合の官能基数や、親水性・疎水性といった化合物の性質にかかわらず広く使用することができる。化合物(b)としては、通常、光重合性官能基とカルボン酸基とを有する化合物であっても、多価金属塩、多価金属酸化物を含まない化合物であればよい。
化合物(b)としては、例えば、不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が100以下の化合物や、不飽和二重結合を有する反応性ポリマーを単独で又は組み合わせて使用することができる。上記の不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が100以下の化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及び2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種使用することができ、この中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレートを使用することが好まし
い。
本発明においては市販品を使うことができ、例えば、東亞合成社製ペンタエリストールトリアクリレート(商品名;M-306)、東亞合成社製ジペンタエリストールヘキサアクリレート(商品名;M-405)、新中村化学社製ジペンタエリストールヘキサアクリレートEO変性品(商品名;NKエステル A-DPH-6EL)、共栄社化学社製トリエチレングルコールジアクリレート(商品名:ライトアクリレート3EG-A)、新中村化学社製2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(商品名;701A)、東亞合成社製イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(商品名;M-215)、東亞合成社製ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名;M-5300)が挙げられる。
また、上記の不飽和二重結合を有する反応性ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、C8-22直鎖脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマー;エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマーなどを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。2種以上の単量体が共重合体を構成する場合、その配列は特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、いずれであっても良い。これら共重合体にグリシジル基、イソシアネート基、カルボン酸基を有する不飽和二重結合を有する化合物を付加反応させることにより、不飽和二重結合を有する反応性ポリマーが得ることができる。
上記の不飽和二重結合を有する反応性ポリマーと不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が100以下のカルボン酸化合物等の混合物を化合物(b)として用いると、酸素透過度・水蒸気透過度、湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度がさらに良好になる。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては、特に制限はなく、従来慣用されているものから適宜選択することができる。例えば、アルキルフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類などが挙げられる。より具体的には、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メチルフェニル)イミダゾール2量体、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-
トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1,3-ブタジエニル)-S-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-S-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン、2-(4-エトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン、2-(4-ブトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス-トリクロロメチル-S-トリアジン等のハロメチル-S-トリアジン系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパノン、1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4´-メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-n-ブトキシエチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、4-ベンゾイル-メチルジフェニルサルファイド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分>
本発明の光重合性組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、溶媒、各種添加剤を加えても良い。
添加剤としては、酸化防止剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられ、これらを単独または複数混合したものを用いても良い。
界面活性剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、セルロース系のレベリング剤及び天然ワックス系の滑剤、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド
等挙げられ、これらを単独または複数混合したものを用いても良い。
シランカップリング剤としては、例えば、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられ、これらを単独または複数混合したものを用いても良い。
<包装用積層材>
本発明のガスバリアフィルムを使用した包装用積層材としては、例えば、図2に示すように、上記ガスバリアフィルムのガスバリア性層上に、中間層とシーラント層を順に積層したものを挙げることができる。
<中間層>
中間層としては、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他の強靱な樹脂フィルムないしシートを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、10~100μm、特に、12~50μmが好ましい。
<シーラント層>
シーラント層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融著し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、又はこれらの樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシートは、単層ないし多層で使用することができ、その厚さとしては、5~300μm、好ましくは、10~150μmである。
<その他の層>
上記の包装用積層材は、基材層、無機酸化物層、光重合性組成物層、中間層、シーラント層以外に他の層をさらに有してもよい。他の層としては、例えば、金属を圧延して得られた金属箔からなる層、接着剤層、及び印刷層等を挙げることができる。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層は、基材層の金属酸化物層を設ける面とは逆側の面に、光重合性組成物と中間層との間に、中間層とシーラント層との間に形成することができる。
金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素バリア性及び水蒸気バ
リア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性、光沢の意匠性等の観点から、アルミニウム箔等が好ましい。
印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて、従来公知の方法により形成することができる。また、接着剤層は、いずれか2層をラミネートにより貼合するために形成される、接着剤層である。ラミネート用接着剤としては、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。その塗布量としては、0.1~10g/m2(乾燥状態)が好ましく、1~5g/m2(乾燥状態)がより好ましい。
<包装袋・包装容器の製造方法>
上記の積層材を用いた包装袋について説明する。装用袋からなる袋状容器本体は、上記したガスバリアフィルムからなる積層材を使用して、この積層材を二つ折にし、そのヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、その端部をヒートシールして筒状の包装体を形成し、次いで底部をシールして内容物を充填し、さらに天部をシールすることにより、包装体を製造することができる。
その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の装用袋を製造することができる。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンデイングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
実施例及び比較例における物性値等は、以下の評価方法により求めた。
<評価方法>
(1)酸素透過度[cc/m2/day]:MOCON社製のOX-TRAN 2/22Hを使用し、JIS K7126-2に準じ、1時間コンディショニングした後、酸素透過度を測定した。但し、酸素透過度の測定条件は、温度:23℃、湿度:90%RHとした。なお当該装置の標準試験範囲の下限値は0.1cc/m2/dayであるため、それ以下の値については、全て<0.1と表記する。
(2)水蒸気透過度[g/m2/day]:MOCON社製 PERMATRAN-W 3/34Gを使用し、JIS K7129Bに準じ、1時間コンディショニングした後、水蒸気透過度を測定した。但し、水蒸気透過度の測定条件は、温度:40℃、湿度:100%RHとした。なお当該装置の標準試験範囲の下限値は0.01g/m2/dayである。
(3)吸光度比(A/A0)の測定:本発明における赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンに基づく吸光度Aと1700cm-1付近のカルボン酸基のC=O伸縮振動に基づく吸光度A0との比(A/A0)は、ガスバリア性膜(ガスバリア性積層体)から1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、その表面(ガスバリア性層)の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)によってスペクトルを測定し、以下の手順で、まず、吸光度A及び吸光度A0を求めた。ピークA(1560cm-1付近)の吸光度は、1500cm-1の吸光度と1600cm-1の吸光度の2点を結んだ直線を基線として、1500~1600cm-1の範囲の吸収極大の高さから求めた。またピークA0(1700cm-1)は、1600cm -1の吸光度と1800cm-1の吸光度の2点を結んだ直線を基線として、1600~1800cm-1の範囲の吸収極大の高さから求めた。なお、本発明のおける赤外線スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は、日本分光社製 FT-IR 6100 装置を用い、入射角45度、室温、分解能4cm-1、積算回数32回の条件で行った。
(4)湿熱性試験:フィルムを85℃、85%RHの恒温恒湿機(YAMATO社製 Humidic Chamber IH401)中に24時間曝した後、上記(1)、(2)記載の方法で酸素透過度、水蒸気透過度を測定した。
(5)乾燥試験:フィルムを85℃、0%RHの恒温恒湿機(YAMATO社製 Humidic Chamber IH401)中に24時間曝した後、上記(1)記載の装置にて酸素透過度を測定した。但し、酸素透過度の測定条件は温度:23℃、湿度:0%RHに変更した。
(1)塗工液の作成
100mlナスフラスコにアクリル酸(東京化成社製)1g、メタノール(関東化学社製)10gを加え、次いで酸化亜鉛(純正化学社製)0.28gを徐々に加えた。
その後、60℃で10分加熱し、無色透明な液体を得た。
次いでエバポレーターによりメタノールと過剰なアクリル酸を揮発させ、白色結晶を0.71g得た。これにメタノール1.66gを加えて、30%溶液を作成した。
このアクリル酸亜鉛溶液に、メタノールで30%に希釈した光重合開始剤(商品名;IRGACURE 184、BASF 社製)を、アクリル酸亜鉛溶液に対しての固形分比率で10%となるように添加し、これを溶液(a)とした。
ペンタエリストールトリアクリレート(商品名;M-306、東亞合成社製)をメチルイソブチルケトン(関東化学社製)で30%に希釈し、溶液(b)とした。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。
(2)無機酸化物層の作成
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いでこれを繰り出し、その基材フィルムの蒸着層を形成する面に、コロナ放電処理を施すか、又はコロナ処理が施された基材フィルムのコロナ処理面を形成し、コロナ処理面を有する基材フィルムをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、基材フィルムのコロナ処理面に、厚さ100Åの酸化ケイ素等の金属酸化物の蒸着層を形成した。
蒸着条件:酸化ケイ素蒸着層を形成する際の条件
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5[Slm]
到達圧力;5.0×10^-5 [mbar]
製膜圧力;7.0×10^-2 [mbar]
ライン速度;150[m/min]
パワー;35[kW]
次に、上記で厚さ100Åの酸化ケイ素の蒸着層を形成した直後に、その酸化ケイ素の蒸着層面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5[Slm]からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10^-2[mbar]、処理速度420[m/min]で酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化ケイ素の蒸着層面の表面張力を54[dyn/cm]以上になるようにプラズマ処理を施した。
(3)ガスバリアフィルムの作成
上記の酸化ケイ素蒸着層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの蒸着面に上記(1)の塗工液をアプリケーターで塗布、熱風乾燥器を使用して温度:85℃、時間:60秒の条件で乾燥した。この状態から速やかに塗布面を上にしてステンレス板に固定し、窒素パージを施した後、UV照射装置(へレウス社製フュージョンUVランプ、型式DRS-10/12QN、Hバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して重合を行い、光重合性組成物の膜厚が1μmのガスバリアフィルムを得た。
得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=5.56であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈したジペンタエリストールヘキサアクリレート(商品名;M-405、東亞合成社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例4の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=5.56であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例4の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈したジペンタエリストールヘキサアクリレートEO変性品(商品名;NKエステル A-DPH-6EL、新中村化学社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(-CH2-CH2-O-)の繰り返し構造を有することを意味する。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例7の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=3.33であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例7の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈したトリエチレングルコールジアクリレート(商品名;ライトアクリレート3EG-A、共栄社化学社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例10の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=3.33であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例10の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈した2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(商品名;701A、新中村化学社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例13の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=3.33であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例13の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈したイソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(商品名;M-215、東亞合成社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例16の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様
の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=2.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例16の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例1記載の溶液(b)をメチルイソブチルケトンで30%に希釈したω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名;M-5300、東亞合成社製)に変更し、表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例19の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=2.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように実施例19の溶液(a)と溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
比較例1
実施例1記載の溶液(a)のみを塗工液として使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
比較例2
実施例1記載の溶液(b)にメタノールで30%に希釈した光重合開始剤(商品名;IRGACURE 184、BASF 社製)を、溶液(b)に対しての固形分比率で10%添加して作製した液のみを塗工液として使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でガスバリアィルムを得た。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1~2に記載されたとおり、吸光度比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満という特定の範囲内にある場合は、不飽和カルボン酸の官能基数、親水性や疎水性にかかわ
らず溶液(b)を添加することにより、透明で良好な酸素ガスバリア性・水蒸気ガスバリア性が得られるとともに、湿熱試験後の水蒸気ガスバリア性が劣化しないことが確認された。一方、比較例1のように吸光度比(A/A0)が、上記範囲を逸脱する場合は、ガスバリアフィルムは湿熱試験後の水蒸気透過度が高く、ガスバリア性に劣ることが確認された。
以上のとおり、不飽和カルボン酸多価金属塩に不飽和カルボン酸を混合させることにより、湿熱試験後の水蒸気透過度が劣化しないガスバリアフィルム作製が可能となる。
また、吸光度比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満であれば溶液(b)を反応性ポリマーやオリゴマーに変更してガスバリアフィルムを作製しても良好な結果が得られる。以下、その例を示す。
・溶液(b)の調製
不飽和二重結合を有するアクリルポリマー(商品名;SMP-250A、共栄社化学社製)とペンタエリストールトリアクリレート(商品名;M-306、東亞合成社製)を質量比2:3で混合し、その混液をメチルイソブチルケトンで濃度を30%に希釈した。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=1.11であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=2.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=3.33であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=5.56であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実
施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=11.1であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例22で得たガスバリアフィルムをさらに湿熱試験を72時間まで延長した。得られたガスバリアフィルムの湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例25で得たガスバリアフィルムをさらに湿熱試験を72時間まで延長した。得られたガスバリアフィルムの湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
実施例26で得たガスバリアフィルムをさらに湿熱試験を72時間まで延長した。得られたガスバリアフィルムの湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
比較例3
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=0.56であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
比較例4
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=0.22であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
比較例5
表1に示すような化合物(a)と化合物(b)の質量組成比率になるように、実施例1の溶液(a)と実施例22の溶液(b)を混合し、光重合組成物の塗工液を調合した。実施例1と同様の方法でガスバリアフィルムを作成した。化合物(b)/化合物(a)=22.2であった。得られたガスバリアフィルムの吸光度比(A/A0)を表1に示す。また酸素透過度・水蒸気透過度、及び湿熱試験後の酸素透過度・水蒸気透過度を表2に示す。
表1と表2に記載されたとおり、吸光度比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満であれば溶液(b)を反応性ポリマーやオリゴマーに変更しても良好な酸素ガスバリア性・水蒸気ガスバリア性が得られるとともに、湿熱試験後の水蒸気ガスバリア性が劣化しないことが確認された。一方、吸光度比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満の範囲から外れた比較例3~5では、湿熱試験後の水蒸気透過度が高く、ガスバリア性が劣化することが確認された。
(乾燥試験結果)
実施例25で得たガスバリアフィルムを乾燥試験により評価を行った。乾燥試験後の酸素透過度を表2に示す。
実施例26で得たガスバリアフィルムを乾燥試験により評価を行った。乾燥試験後の酸素透過度を表2に示す。
比較例6
比較例1で得たガスバリアフィルムを乾燥試験により評価を行った。乾燥試験後の酸素透過度を表2に示す。
表2に示された実施例30、31の結果から、溶液(b)に不飽和二重結合を有するアクリルポリマーを添加しても、溶液(a)と溶液(b)を含む組成物から成るバリアフィルムを作成することにより、良好な酸素ガスバリア性・水蒸気ガスバリア性が得られるとともに、乾燥試験後の酸素ガスバリア性が劣化しないことが確認された。一方、比較例6の結果から溶液(a)のみでは、乾燥試験後の酸素透過度が高く、ガスバリア性能が劣化することが確認された。
Figure 0006992507000001
Figure 0006992507000002
1:基材層
2:無機酸化物層
3:光重合性組成物層
4:中間層
5:シーラント層

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも片面に無機酸化物層と光重合性組成物層とをこの順に形成して得られるガスバリアフィルムであって、
    前記光重合性組成物層は、
    (a)光重合性官能基を有するカルボン酸化合物の多価金属塩と、
    (b)(a)以外の光重合性官能基を有する化合物とを含有する光重合性組成物を重合して得られる樹脂により形成され、
    光重合性組成物中における化合物(a)と化合物(b)との質量比が、1:1を超え、1:15以下であり、
    前記ガスバリアフィルムを85℃、85%RHの恒温恒湿機中に24時間曝した湿熱性試験後の水蒸気透過度が、0.26g/m 2 /day以下であり、
    そして、前記光重合性組成物層の赤外線吸収スペクトルにおける1560cm-1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aと1700cm-1付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A0との比(A/A0)が、0.01以上、1.2未満である、前記ガスバリアフィルム。
  2. A/A0が、0.01~1.1である、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 化合物(a)のカルボン酸化合物が、不飽和二重結合を有する単量体又は重合度が10以下のカルボン酸化合物である、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  4. 化合物(a)のカルボン酸化合物が、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、化合物(a)の多価金属が、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Co、Ni、Al及びFeからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 化合物(b)が、不飽和二重結合を有し、多価金属あるいは多価金属酸化物を含まない単量体である、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 化合物(b)が、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及び2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 化合物(b)が、不飽和二重結合を有する反応性ポリマーである、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  8. 化合物(b)として、不飽和二重結合を有する反応性ポリマーをさらに含む、請求項5又は6に記載のガスバリアフィルム。
  9. 反応性ポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートから得られる単独重合体又は共重合体であって、主鎖又は側鎖に不飽和二重結合を有する単独重合体又は共重合体である、請求項7又は8に記載のガスバリアフィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルムを用いた包装用積層材であって、前記積層フィルムのバリアフィルム上に中間層とヒートシール性樹脂層を順に設けることを特徴とする包装用積層材。
  11. 請求項10に記載の包装用積層材を用いた包装袋であって、一方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側と、他方の包装用積層材のヒートシール性樹脂層側とが対抗するように重ね合わせ、その端部をヒートシールしたことを特徴とする包装袋。
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