JP6988737B2 - シリコンウェーハの製造方法及びシリコンウェーハ - Google Patents
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Description
前記第1工程に引き続き、前記酸化性雰囲気下にて前記熱酸化膜が形成された前記シリコンウェーハを冷却する第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程を経て形成された前記熱酸化膜を除去する第3工程と、を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
Y>7.5×X-1.38 ・・・[1]
を満足するよう、前記第1工程及び前記第2工程を行う、前記(1)に記載のシリコンウェーハの製造方法。
前記第2工程における前記冷却速度Yを20℃/s以上とする、前記(2)に記載のシリコンウェーハの製造方法。
前記シリコンウェーハを窒素雰囲気下、350℃にて32時間の熱処理を行った後のサーマルドナー発生量が8.0×1012cm-3以上1.5×1013cm-3以下であることを特徴とするシリコンウェーハ。
本発明の一実施形態に従うシリコンウェーハの製造方法は、酸化性雰囲気下での急速熱酸化処理により、シリコンウェーハの表面に熱酸化膜を形成しつつ前記シリコンウェーハをドナーキラー熱処理する第1工程と、前記第1工程に引き続き、前記酸化性雰囲気下にて前記熱酸化膜が形成された前記シリコンウェーハを冷却する第2工程と、前記第1工程及び前記第2工程を経て形成された前記熱酸化膜を除去する第3工程と、を含む。そして、本発明の製造方法では、前記第1工程により形成される前記熱酸化膜の成長速度及び前記第2工程における前記冷却の冷却速度をそれぞれ制御するため、第3工程後のシリコンウェーハに熱処理が施された場合に生成されるサーマルドナーの発生量を抑制することができる。以下、図1のステップA〜ステップDを参照しつつ、第1〜第3工程の各工程の詳細を順次説明する。なお、図1中のシリコンウェーハ10A〜10D、熱酸化膜20並びにサーマルドナーTD及び格子間シリコンSiIの図示は説明の便宜のための模式的なものである。したがって、これらの図示が実際の大きさの比率及び濃度を意味しない。
図1のステップA及びステップBを参照して、第1工程を説明する。第1工程では、酸化性雰囲気下での急速熱酸化処理(以下、「RTO」)により、シリコンウェーハ10Aの表面に熱酸化膜20を形成する。ステップAにおけるシリコンウェーハ10Aには、熱酸化膜20が形成され、ステップBにおいてシリコンウェーハ10Bとなる。後述のとおり、本工程でのRTOによりシリコンウェーハ10Aのシリコン結晶中に存在するサーマルドナーTDはドナーキラー熱処理される。
酸化性雰囲気下での急速加熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)によりRTOを行うことができる。RTOは一般的な急速熱処理装置を用いて行うことができ、例えばMattoson社製HeliousIII、アドバンス理工社製RTA−12000などが知られる。RTOを行うための酸化性雰囲気としては所望の熱酸化膜が得られる限りは特に制限されないが、例えば酸素のみからなる酸化性雰囲気とすることができ、また、酸素と不活性ガス(アルゴン及び窒素など)との混合ガス雰囲気としてもよい。RTOを行う際の昇降温速度及び昇温後の保持時間は、RTOを行うための急速熱処理装置により制御することができる。
シリコンウェーハ10Aは、単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。本発明に適用可能なシリコンウェーハの導電型及びその抵抗率、並びに酸素濃度は何ら制限されない。p型及びn型のいずれにも適用可能であるし、抵抗率は数mΩ・cm〜数千Ω・cmまで任意である。なお、ここで言う抵抗率はドナーキラー処理後の抵抗率であり、抵抗率の測定は後述のJIS H 0602:1995に従う。また、酸素濃度についても、1.0×1017〜15.0×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979、以下では酸素濃度に関して同じ規格を参照する。)とすることができる。サーマルドナーは酸素濃度が高いほど発生しやすいため、酸素濃度が8.0×1017atoms/cm3以上のシリコンウェーハに対して本発明を適用することが好ましく、さらには、11.0×1017atoms/cm3以上のシリコンウェーハに対して本発明を適用することが好ましい。
第1工程によりシリコンウェーハ10A表面のシリコン結晶が酸化されて酸化シリコンが形成されることにより、熱酸化膜20が形成される。形成される熱酸化膜20の膜厚は昇温速度並びに、昇温後の保持温度及びその保持時間に依存するものの、通常数nm〜数十nm程度である。そして、昇温後の保持温度及びその保持時間が、熱酸化膜20の成長速度及び膜厚に対して支配的である。
図1のステップB及びステップCを参照して、第2工程を説明する。第2工程では、第1工程に引き続き、酸化性雰囲気下にて熱酸化膜20が形成されたシリコンウェーハ10Bを冷却し、シリコンウェーハ10Cを得る。第2工程における冷却を行う際の冷却速度は、RTOを行うための急速熱処理装置により制御することができ、急速冷却とも呼ばれる。
図1のステップC及びステップDを参照して、第3工程を説明する。第3工程では、第1工程及び第2工程を経て形成されたシリコンウェーハ10C表面の熱酸化膜20を除去してシリコンウェーハ10Dを得る。急速熱処理装置からシリコンウェーハ10Cを取り出して、フッ化水素酸(HF)などを用いた一般的なエッチング処理により熱酸化膜20を除去すれば、シリコンウェーハ10Dが得られる。
Y>7.5×X-1.38 ・・・[1]
を満足するよう、第1工程及び第2工程を行うことが好ましい。こうすることで、本発明の作用効果をより確実に得ることができることを本発明者らは実験的に確認した。成長速度X及び冷却速度Yが上記式[1]を満足することにより、熱酸化膜成長時(第1工程)における格子間シリコンSiIの注入及び急速冷却時(第2工程)における格子間シリコンSiIの外方拡散を適切に制御できるからと推察される。
図1のステップDを参照する。本発明の一実施形態に従うシリコンウェーハ10Dは、シリコンウェーハの酸素濃度が1.0×1017〜15.0×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)であり、前記シリコンウェーハを窒素雰囲気下、350℃にて32時間の熱処理を行った後のサーマルドナー発生量が8.0×1012cm-3以上1.5×1013cm-3以下である。上記の水準でのサーマルドナー発生量となるシリコンウェーハは、前述した本発明のシリコンウェーハの製造方法により初めて実現できたものである。
本明細書におけるサーマルドナー発生量は、以下の手順(i)〜(iv)に従い定量化されたものとする。
分光エリプソメータを用いて、RTO後の状態でのシリコンウェーハ表面の熱酸化膜の膜厚を測定した。
RTO時の最高温度に昇温させた後の保持中が熱酸化膜の成長に支配的であるため、熱酸化膜の膜厚と、RTO時の昇温後の保持時間とに基づき、熱酸化膜の成長速度を求めた。急速加熱における昇温後の保持温度に到達するまでの昇温中時間及び急速冷却中の冷却時間は、熱酸化膜の成長速度の算出にあたり用いていない。なお、RTO時の昇温速度、最高温度到達後の保持時間及び冷却速度は、急速加熱・急速冷却装置により制御した。
前述の手順(i)〜(iv)に従い、窒素雰囲気下、350℃にて32時間の熱処理を行った後のサーマルドナー発生量を求めた。
直径300mm、面方位(100)、酸素濃度11×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)のP型シリコン単結晶インゴット(ドナーキラー処理後の抵抗率:10Ω・cm)をCZ法により育成した。そのシリコン単結晶インゴットをスライスすることで、RTO前のシリコンウェーハを作製した。
RTOによる昇温後の保持温度及び保持時間、並びに冷却速度Yを表1のとおりとした以外は、サンプル1と同様にしてサンプル2〜19をそれぞれ作製した。さらに、熱酸化膜の成長速度X及びサーマルドナー発生量をサンプル1と同様にして求めた。図2のグラフに、サンプル2〜19のサーマルドナー発生量を示す。
サンプル1と同じRTO前のシリコンウェーハを用いて、これを酸化性雰囲気の縦型炉に導入し、650℃で30分のドナーキラー熱処理を行った。形成された酸化膜をサンプル1と同様にして除去した後、窒素雰囲気下、350℃にて32時間の熱処理を行い、当該熱処理によるサーマルドナー発生量を求めた。図2のグラフに、サンプル20のサーマルドナー発生量を示す。
RTOを経たサンプル1〜19のサーマルドナー発生量は、縦型炉の熱処理による従来例相当のサンプル20の発生量と比較して多い水準と少ない水準とに分かれることが図2のグラフにより確認される。このうち、サーマルドナー発生量が少ない水準は、多い水準に比べてサーマルドナー発生量が半分程度である。
○:サーマルドナー発生量が1.5×1013cm-3以下
×:サーマルドナー発生量が1.5×1013cm-3超
格子間シリコン濃度を直接測定することは難しいため、上記サンプルに残留した格子間シリコン濃度を以下のとおり計算により求めた。具体的には、上記サンプル1〜6,8,13,16,17のそれぞれについて、RTOにおける昇温開始から冷却過程までの、シリコンウェーハの厚み方向に対して拡散方程式を解くことにより、シリコンウェーハ中央部の格子間シリコン濃度を求めた。ウェーハ表裏面の格子間シリコン濃度の境界条件として、任意の温度及び酸化膜の成長速度における定常値(Scott T. Dunham, J. Appl. Phys., 71 (1992) 685)を用いた。図4に、上記サンプル1〜6,8,13,16,17の格子間シリコン濃度と、これらサンプルに対して窒素雰囲気下、350℃にて32時間の熱処理をした後のサーマルドナー生成量との関係を示す。
10B シリコンウェーハ
10C シリコンウェーハ
10D シリコンウェーハ
20 熱酸化膜
TD サーマルドナー
SiI 格子間シリコン
Claims (3)
- 酸化性雰囲気下での急速熱酸化処理により、シリコンウェーハの表面に熱酸化膜を形成しつつ、前記シリコンウェーハを熱処理する第1工程と、
前記第1工程に引き続き、前記酸化性雰囲気下にて前記熱酸化膜が形成された前記シリコンウェーハを冷却する第2工程と、
前記第1工程及び前記第2工程を経て形成された前記熱酸化膜を除去する第3工程と、を含み、
前記第1工程における前記熱酸化膜の成長速度X(nm/s)及び前記第2工程における冷却速度Y(℃/s)と、サーマルドナー発生量と、の関係に基づいて、前記第1工程において前記熱酸化膜の成長速度X(nm/s)を制御し、且つ、前記第2工程において前記冷却速度Y(℃/s)を制御し、
制御された前記第1工程における前記熱酸化膜の成長速度X(nm/s) と、制御された前記第2工程における冷却速度Y(℃/s) との関係が下記式[1]:
Y>7.5×X −1 . 3 8 ・・・[1]
を満足することを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。 - 前記第1工程における前記熱処理での昇温後の保持温度を1150℃以上かつシリコン融点以下とし、
前記第2工程における前記冷却速度Yを20℃/s以上とする、請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。 - 前記第1工程前の前記シリコンウェーハの酸素濃度が1.0×1017〜15.0×1017a toms/cm3(ASTM F−121,1979)である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハの製造方法。
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