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JP6988659B2 - 単結晶育成装置 - Google Patents

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JP6988659B2
JP6988659B2 JP2018076333A JP2018076333A JP6988659B2 JP 6988659 B2 JP6988659 B2 JP 6988659B2 JP 2018076333 A JP2018076333 A JP 2018076333A JP 2018076333 A JP2018076333 A JP 2018076333A JP 6988659 B2 JP6988659 B2 JP 6988659B2
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Description

本発明は、原料融液の表面に接触させた種結晶を引き上げながら単結晶を育成する結晶育成方法に用いられる、単結晶育成装置に関する。
単結晶の育成方法としては、原料を充填したルツボを加熱溶融した後に、原料融液表面に種結晶を接触させ、種結晶を引き上げながら単結晶の育成を行うチョクラルスキー法が広く普及している。
単結晶の育成では、炉内の温度分布や温度勾配が重要である。単結晶の育成過程においては、熱平衡状態から僅かに過冷却の状態を作り、原料融液(液体)から結晶(固体)に変化した際に発生する潜熱を逃がしながら単結晶を成長させる。そのため、単結晶成長中の炉内の温度分布や温度勾配を制御することが、工業的に利用可能な単結晶体を製造するために重要になる。
例えば、夫々の等温線同士の間隔が狭くなっている炉内温度分布を有し、炉内温度勾配が急峻である場合、温度制御が容易で、結晶化に伴う潜熱を十分に逃がすことが出来るため、単結晶の形状制御が容易となる。
しかし、育成する単結晶内部の温度差が大きくなり、結晶の熱膨張に起因した熱ひずみにより、結晶欠陥が導入され、多結晶化が発生し易くなる。また、多結晶化しなくても熱ひずみによる結晶の割れや、結晶内部に導入された結晶欠陥により結晶品質が低下する問題が発生する。
一方、夫々の等温線同士の間隔が広くなっている炉内温度分布を有し、炉内温度勾配が緩やかな場合、育成する単結晶内部の温度差が小さくなり、結晶の熱膨張に起因した熱ひずみは低減され、熱ひずみに起因した多結晶化や割れは、発生し難くなる。
しかし、結晶成長は、原料融液の等温線分布に沿って行われるため、炉内温度勾配が緩やかで、夫々の等温線同士の間隔が広くなっている状態では、単結晶の成長制御が非常に難しくなる。
例えば、抵抗加熱用発熱体や誘導加熱コイル等、単結晶育成時における炉内の加熱手段の出力制御幅が狭くなる。また、結晶成長が、単結晶育成装置周囲の環境変化や装置内構成物の変化に伴う温度変化に敏感となる。そして、わずかな単結晶成長装置内部の温度のゆらぎが発生しても、急激な結晶成長が起こる現象や逆に結晶成長が起こらなくなる現象が発生する。このような不安定な結晶成長では、結晶内部に導入された結晶欠陥に起因した多結晶化や、急激な結晶形状の変化による応力集中部の発生による割れが問題となる。さらに、所望の単結晶形状が得られないことにより、単結晶をウエハ状に加工した際に、ウエハが得られない部分が発生し、ウエハ加工時の歩留まりが低下する。
このように、単結晶の育成においては、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の最適化が必要となる。
ところで、本発明者は、単結晶育成装置における、発熱体の周囲に配置される断熱構造体に関し、発熱体からの輻射熱が断熱材間を通って外部に漏れることを抑制して、断熱構造体の内側領域の温度分布の不均一や熱効率の低下を抑制しうる技術として、次の特許文献1に記載の断熱構造体を導出した。
特開2016−200254号公報
特許文献1に記載の技術は、図5(a)に示すように、発熱体(ヒータ54、55、ルツボ51、原料融液52)の周りに配置する断熱構造体53であって、高さ方向に積層された複数の断熱材53〜53を有し、図5(b)に示すように、高さ方向に隣接する一方の断熱材53と、他方の断熱材53n+1とにおいて、一方の断熱材53における他方の断熱材53n+1と対向する面には凸部53aが形成され、他方の断熱材53n+1における一方の断熱材53と対向する面には凸部53aに対応した凹部53bn+1が形成された構成となっている。なお、図5(a)中、56はチャンバ、57は種結晶、58aは種結晶保持部、58は引き上げ軸、59はルツボ支持台である。
特許文献1に記載の技術によれば、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有することで、凸部の側壁により発熱体からの輻射熱が断熱材間を通って外部に漏れることを抑制できる。
このため、本発明者らは、特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術を用いた単結晶育成装置を構成すれば、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の最適化ができると考えていた。
しかるに、本発明者らは、更なる試行錯誤を繰り返した結果、特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術を用いた単結晶育成装置には、工業的に単結晶の育成を繰り返し行う場合において、コストを抑制しながら、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の最適化を維持し、単結晶の歩留まりを向上させるために、更なる改良すべき課題があることを見出した。
本発明は、上記事情に鑑み、工業的に単結晶の育成を繰り返し行うことによる、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の変化を極力抑制でき、低コストで単結晶の歩留まりが高い単結晶育成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による単結晶育成装置は、原料融液の表面に接触させた種結晶を引き上げながら単結晶を育成する結晶育成方法に用いられ、ルツボ上方を覆う位置に配設された、前記種結晶を引き上げる、引き上げ軸を通すための孔を有する板状の耐火物が、前記引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている、単結晶製造装置において、夫々の前記耐火物の合わせ目部は、一方の前記耐火物の合わせ目部の先端が他方の前記耐火物の合わせ目部の下側に位置し、互いの前記耐火物の前記合わせ目部において上側と下側とで対向する平面を有し、該平面同士が単結晶育成時に密着することを特徴とする。
また、本発明の単結晶育成装置においては、夫々の前記耐火物の合わせ目部は、凹部と凸部を有し、一方の前記耐火物の凹部と他方の前記耐火物の凸部、一方の前記耐火物の凸部と他方の前記耐火物の凹部とを突き合わせるインロー構造に形成され、夫々の前記耐火物の前記凹部及び前記凸部は、夫々、前記耐火物の厚みの略1/2の高さを有しているのが好ましい。
また、本発明の単結晶育成装置においては、夫々の前記耐火物の合わせ目部は、傾斜面からなり、互いの前記耐火物の前記傾斜面同士を突き合わせる構造に形成され、前記耐火物の前記傾斜面は、40°以上70°未満の傾斜角度を有しているのが好ましい。
また、本発明の単結晶育成装置においては、前記耐火物の合わせ目部先端は、C面又はR面に形成された角部を有しているのが好ましい。
本発明によれば、工業的に単結晶の育成を繰り返し行うことによる、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の変化を極力抑制でき、低コストで単結晶の歩留まりが高い単結晶育成装置を提供することができる。
本発明の実施形態に適用され得る単結晶育成装置の一例を概略的に示す説明図である。 本発明の第1実施形態にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す分割される一方の板状の耐火物の合わせ目部を示す斜視図、(c)は(b)に示す板状の耐火物の合わせ目部における凸部の高さ、長さと板状の耐火物の厚みとの関係を示す図、(d)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の一変形例を示す図、(e)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の他の変形例を示す図である。 図2の実施形態の変形例にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)の側面図である。 本発明の第2実施形態にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す分割される一方の板状の耐火物の合わせ目部を示す斜視図、(c)は(b)に示す板状の耐火物の合わせ目部における傾斜面の傾斜角度を示す図、(d)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の一変形例を示す図、(e)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の他の変形例を示す図である。 特許文献1に記載の断熱構造体を概略的に示す説明図で、(a)は断熱構造体を備えた単結晶育成装置の構成例を示す図、(b)は(a)の断熱構造体に含まれる断熱材の構成を示す図である。 従来の単結晶育成装置におけるルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の構成を示す説明図で、(a)は全体構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す分割される一方の板状の耐火物の合わせ目部を示す斜視図、(c)は(b)の側面図である。
以下、図を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図1は本発明の実施形態に適用され得る、単結晶製造方法として最も一般的なチョクラルスキー法に用いられる、単結晶育成装置の一例を概略的に示す説明図である。
チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種結晶と呼ばれる単結晶を上下動可能な引上げ軸の先端部に取り付け、引き上げ軸を介して単結晶の先端を原料融液の表面に接触させ、回転しながら徐々に引上げることによって、種結晶の性質を伝播しながら大口径化して単結晶を製造する方法である。
図1に示すように、本実施形態に適用され得る単結晶育成装置は、ルツボ1と、ルツボ1の周囲に配設された耐火物3と、ルツボ1上方を覆う位置に配設された耐火物4と、回転機構(不図示)を備えた引き上げ軸8と、ルツボ1を加熱する加熱手段5(図1の例では高周波誘導コイル)と、ルツボ1を支持する支持台を構成する耐火物9を備えている。加熱手段5を構成する高周波誘導コイルには、高周波電力を供給するための電源(不図示)が設けられている。なお、加熱手段5は、抵抗発熱体で構成されていてもよい。
単結晶の製造では、単結晶原料を充填したルツボ1を加熱手段5により加熱し、原料融液2を得る。その後、引上げ軸8の先端部に取り付けられた種結晶7を回転させながら原料融液2の表面に接触させ、原料融液2の表面に種結晶が接触した状態を維持したまま引き上げ軸8を徐々に引き上げながら単結晶の製造を行う。
しかるに、上記構成の単結晶育成装置におけるルツボ1の周囲に配設された耐火物3に関し、本発明者が導出した特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術を用いて、高さ方向に複数に積層され、高さ方向に隣接して積層される耐火物同士が凹部と凸部を有する構成とすれば、原料融液2及びルツボ1からの輻射熱が外部に漏れることを抑制できる。
ここで、本発明者らは、原料融液2及びルツボ1からの輻射熱が外部に漏れることを抑制できれば、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配を最適化した状態に維持できると考えていた、そして、ルツボ1の周囲に配設される耐火物3が、高さ方向に複数に積層され、高さ方向に隣接して積層される耐火物3同士が凹部と凸部を有する構成の単結晶育成装置を用いて、工業的に単結晶の育成を繰り返す実験を行った。
しかし、単結晶の育成を繰り返すと、ルツボ1の周囲に配設された耐火物3に、特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術を用いた、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配が徐々にずれることにより、単結晶の歩留まりが低下する問題が発生することが判明した。
この単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配のずれは、単結晶育成過程における熱サイクルにより発生する炉内構成物の経時変化によるものと考えられる。単結晶育成過程では、室温で炉内のルツボに原料を入れ、耐火物を配設した状態から、原料融解及び結晶成長のために、単結晶育成装置内部の温度を上昇させる。このときに上昇させる温度としては、原料を融解するのに十分な温度が必要である。また、結晶成長終了後には、育成した単結晶を取り出すために、再び室温まで冷却をする必要がある。
単結晶育成装置内部に設置された原料を融解するまでの温度は、融液成長の場合には、原料(単結晶体)の融点である。例えば、代表的な半導体材料であるシリコンでは、融点が約1414℃である。酸化物単結晶では、タンタル酸リチウムで、融点が約1650℃、サファイアで融点が約2050℃である。このような室温から1000℃を超える融点まで温度上昇を経て、再び室温まで温度を下げる熱サイクルにより、単結晶育成装置内部の構成物が経時変化する。その経時変化する主要な構成物として、耐火物が考えられる。
耐火物は、使用温度、雰囲気により材質が選択される。耐火物も上述のような熱サイクルを繰り返すことにより、単結晶育成装置内部の雰囲気との反応やごく僅かながらも昇華による劣化を生じる。また、耐火物は、膨張収縮を繰り返す。しかるに、耐火物には、熱を遮蔽するために、通常は熱伝導率の小さいものが用いられる。このため、単結晶の育成における熱サイクルを経る過程において、耐火物の内部で温度差が生じていることになる。その結果、上述のような熱サイクルを繰り返すことで、耐火物の内部の温度分布や温度勾配に起因した熱ひずみが発生し、耐火物に変形が生じる。
ここで、特許文献1に記載したルツボ周囲に配設する断熱構造体(耐火物)は、例えば、煉瓦状の断熱材(耐火物)を高さ方向に複数積み上げた構成であり、ルツボ上部に配設する断熱構造体(耐火物)に比べて厚みが大きい。厚みが大きい高さ方向に隣接して積層される断熱材(耐火物)同士が凹部と凸部を有する構成にすれば、凸部の側壁により発熱体からの輻射熱が断熱材(耐火物)間を通って外部に漏れることを抑制し易いと考えられる。
ところで、ルツボ上部に配設する耐火物は、育成した単結晶を取り出すために、図6(a)に示すように、種結晶を引き上げる、引き上げ軸を通すための孔4Hを有するとともに、引き上げ軸を通すための孔4Hを横断する直線を境界として垂直方向(垂直な面により切断する方向)に略半円状に2分割された板状に形成されることが多い。
その理由は、ルツボ上部に配設する耐火物が、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割された板状に形成されていれば、一方の板状の耐火物を取り外すことで、引き上げ軸を通すための孔の径よりも大きな径に成長した単結晶を取り出すことができるのに対し、ルツボ上部に配設する耐火物が分割されていない構成の場合、引き上げ軸を通すための孔の径よりも大きな径に成長した単結晶を取り出すことができなくなるためである。
しかるに、本発明者は、特許文献1に記載の技術の導出時点では、ルツボ周囲に配設する厚みの大きい断熱構造体(耐火物)における、発熱体からの輻射熱が断熱材間を通って外部に漏れることを抑制することに着目したが、ルツボ上部に配設する耐火物が、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として垂直方向に略半円状に2分割された板状に形成されていることに伴う変形の問題、及び、工業的な単結晶の育成過程における熱サイクルを繰り返し経ることによる変形の問題は着目するには至っていなかった。
そして、原料融液の表面に接触させた種結晶を引き上げながら単結晶を育成する結晶育成方法に用いられる従来の単結晶育成装置では、特許文献1に記載の単結晶育成装置も含めて、ルツボ上部に配設する耐火物は、図6(b)に示すように、引き上げ軸を通すための孔4Hを横断する直線を境界として垂直方向に略半円状に分割し、夫々の板状の耐火物における垂直な面同士を突き合わせる構造となっていた。
このような構造のルツボ上部に配設する耐火物(特に引き上げ軸を通すための孔4H近傍)に変形が生じると、耐火物同士の合わせ目部に隙間が生じ易くなる。この隙間から、雰囲気ガスの漏れが生じた場合には、対流伝熱による熱流出が起こる。また、光が漏れる場合には、輻射による熱流出が起こる。このような熱流出は、耐火物の変形により生じた隙間から、局所的に発生する。その結果、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配が局所的に変化し、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の対称性が崩れ、単結晶の歩留まりが低下する。
ルツボ上部に配設する耐火物は、単結晶の育成時に、引き上げ軸を通すための孔近傍より雰囲気ガスが系外に流出し、対流伝熱による熱輸送量が多く、孔部側面からも加熱されるため、孔近傍の温度が最も高く、周辺に向かうにしたがって温度が低い、引き上げ軸を通すための孔近傍を中心とした同心円状の等温線となるような点対称の温度分布や温度勾配を有している。
しかるに、上述のように、本発明者らが、工業的な単結晶の育成過程での熱サイクルを繰り返したところ、ルツボ上部に配設する耐火物は、特に、引き上げ軸を通すための孔近傍が、耐火物内の温度分布や温度勾配に起因した熱ひずみにより変形し易いことが判明した。ルツボ上部に配設する耐火物の変形により当初設計した合わせ目部に隙間が生じると、隙間から雰囲気ガスによる対流伝熱及び輻射による熱流出が生じる。
ルツボ上部に配設する耐火物の変形は、例えば、図6(a)、図6(b)に示すような、略円板状の耐火物4が、引き上げ軸を通すための孔4Hを横断する直線を境界として垂直方向に耐火物4と耐火物4とに2分割された構成の場合、耐火物4の外形形状である円形の中心部に位置する引き上げ軸を通すための孔4H近傍の合わせ目部が、ルツボ上方部中央に位置しているため高温になり易く変形が大きくなる。この部分の変形は、一般的に下方からの熱により円形の中心部に位置する引き上げ軸を通すための孔4H近傍が上側へ反る傾向にあるため、円形の中心部に位置する引き上げ軸を通すための孔4H近傍に隙間が生じる。
ルツボ上部に配設する耐火物に変形が生じると、単結晶の歩留まりが低下するため、変形したルツボ上部に配設する耐火物を交換する必要が生じる。しかるに、ルツボ上部に配設する耐火物の変形が生じるまでの、工業的な単結晶の育成過程における熱サイクルを繰り返す回数が少ないと、耐火物の交換コストが高くなってしまう。
しかるに、本発明者が特許文献1に記載の技術を導出した時点では、上述のように、ルツボ上部に配設する耐火物が、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として垂直方向に略半円状に2分割された板状に形成されていることに伴う変形の問題、及び、工業的な単結晶の育成過程における熱サイクルを繰り返し経ることによる変形の問題は着目するに至っていなかった。
本発明者らは、更なる試行錯誤を繰り返した結果、特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術を用いた単結晶育成装置には、工業的に単結晶の育成を繰り返し行う場合において、コストを抑制しながら、単結晶育成装置内部の温度分布や温度勾配の最適化を維持し、単結晶の歩留まりを向上させるために、更なる改良すべき課題が内在していたことを見出した。
そこで、本発明者らは、ルツボ上部に配設する耐火物の変形が円形の中心に位置する引き上げ軸を通すための孔近傍が上側へ反る傾向にあることから、中心に位置する引き上げ軸を通すための孔近傍が上側に反ったとしても隙間が生じないようにするための手段として、夫々の耐火物の合わせ目部を、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている一方の耐火物の合わせ目部の先端が他方の耐火物の合わせ目部の下側に位置し、互いの耐火物の合わせ目部において上側と下側とで対向する平面を有し、平面同士が単結晶育成時に密着する構造となる、本発明の単結晶育成装置の構成を着想するに至った。
第1実施形態
図2は本発明の第1実施形態にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す分割される一方の板状の耐火物の合わせ目部を示す斜視図、(c)は(b)に示す板状の耐火物の合わせ目部における凸部の高さ、長さと板状の耐火物の厚みとの関係を示す図、(d)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の一変形例を示す図、(e)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の他の変形例を示す図である。図3は図2の実施形態の変形例にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)の側面図である。なお、本発明の実施形態に用いる図においては、便宜上、特許文献1に記載の、高さ方向に隣接して積層される断熱材同士が凹部と凸部を有する断熱構造体の技術に対応する、耐火物3と耐火物4とが高さ方向に積層される部分の構成は省略してある。
本実施形態の単結晶育成装置では、図2(a)、図2(b)に示すように、夫々の耐火物4(4)の合わせ目部は、凹部4b(4b)と凸部4a(4a)を有し、一方の耐火物4の凹部4bと他方の耐火物4の凸部4a、一方の耐火物4の凸部4aと他方の耐火物4の凹部4bとを突き合わせるインロー構造に形成されている。
夫々の耐火物4(4)の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)は、夫々、図2(c)に示すように、耐火物4(4)の厚み(tx)の略1/2倍の高さ(hb≒1/2tx、ha≒1/2tx)を有するとともに、耐火物4(4)の厚みの0.4倍〜0.6倍の長さ(Lb=(0.6〜0.4)tx、La=(0.4〜0.6)tx)を有している。
そして、互いの耐火物4(4)は、凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)において上側と下側とで対向する平面を有し、この上側と下側で対向する平面同士が単結晶育成時に密着するように配設されている。
本実施形態の単結晶育成装置によれば、夫々の耐火物4(4)の合わせ目部を、一方の耐火物4の凹部4bと他方の耐火物4の凸部4a、一方の耐火物4の凸部4aと他方の耐火物4の凹部4bとを突き合わせるインロー構造に形成し、凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)において上側と下側で対向する平面同士が単結晶育成時に密着するようにしたので、互いの耐火物の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)が突き合わさることによって、耐火物の中心部に位置する引き上げ軸を通すための孔4H近傍が上側に反る変形が生じても、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における凸部4aの垂直方向の平面が、凸部4aの長さにわたって、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物4における凹部4bの垂直方向の平面と密着した状態に重なるため、ガス対流を遮断し、光(輻射)の漏れを防止することが出来る。
なお、本実施形態の単結晶育成装置における夫々の耐火物4(4)の合わせ目部のインロー構造をなす凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)は、上側と下側とで対向する平面を有し、この上側と下側で対向する平面同士が単結晶育成時に密着するように配設することが重要である。この平面部分に隙間があるとガス対流を遮断し、光(輻射)の漏れを防止することができなくなる。
逆に、凸部4a(4a)の先端(凹部4b(4b)の根元)の垂直方向の合わせ目部同士は、室温において隙間を設けるのが好ましい。垂直方向の合わせ目部同士の隙間は、装置内で結晶育成を行う温度に合わせて設計され得る。室温の状態で垂直方向の合わせ目部同士に隙間が無いと、加熱時の温度上昇により耐火物が熱膨張したときに、垂直方向の合わせ目同士(特に、ルツボに近い側の合わせ目部同士)に応力がかかり過ぎることで、耐火物の位置ずれや破損の虞がある。そのため、耐火物の使用温度の熱ひずみ量を考慮して、室温では図3(a)、図3(b)に示すように垂直方向の合わせ目部同士に隙間がある構造とするのが好ましい。
なお、図3(a)、図3(b)の例では、凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)において上側と下側で対向する平面同士は、室温において隙間を有し、加熱されたときに密着する構成となっている。
また、本実施形態の単結晶育成装置によれば、夫々の耐火物4(4)の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)を、夫々、耐火物4(4)の厚み(tx)の略1/2倍の高さ(hb≒1/2tx、ha≒1/2tx)を有した構成とし、互いの耐火物における上側と下側とで密着する部位の厚みを略均等にしたので、一方の耐火物の合わせ目部のみに変形が激しく起きることや、凸部の割れや破損、あるいは隙間の発生を防止できる。この作用効果は、本発明者らが、互いの耐火物4a(4a)の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)の夫々の高さに関する試行錯誤の結果、知得するに至った。
夫々の耐火物の凹部及び凸部を、夫々、耐火物の厚みの略1/2の高さを有した構成としない場合、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物と、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物とで、上側と下側とで重なる部位の厚みが異なることになる。
しかし、上側と下側とで重なる部位の厚みが異なる場合、一方の耐火物の合わせ目部のみに変形が激しく起き、凸部の割れや破損、あるいは凹部及び凸部における平面部分の隙間の発生が起こり易くなる。
また、本実施形態の単結晶育成装置によれば、夫々の耐火物4(4)の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)を耐火物4(4)の厚み(tx)の0.4倍〜0.6倍の長さ(Lb=(0.6〜0.4)tx、La=(0.4〜0.6)tx)を有した構成としたので、耐火物に変形が生じても、凹部及び凸部における平面部分の隙間の発生や、凸部の割れや破損を防止し易くなる。
夫々の耐火物の凹部及び凸部の長さが、耐火物の厚みの0.4倍未満であると、耐火物の変形時に凹部及び凸部における平面部分に隙間が生じ易くなる。耐火物内の温度差は、耐火物の厚みに比例し、耐火物が厚くなるにしたがって耐火物内の温度差が広がって熱応力が大きくなり耐火物の変形量が多くなる。そのため、夫々の耐火物の凹部及び凸部の長さは、耐火物の厚みの0.4倍以上必要であり、耐火物の厚みが厚くなるほど長い方が好ましい。
但し、夫々の耐火物の凹部及び凸部の長さが、耐火物の厚みの0.6倍を超えると、耐火物の変形時に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物における凸部が、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物における凹部に接触した状態が拘束され過ぎて応力が大きく発生し、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物における凸部が割れる虞がある。
そこで、本実施形態の単結晶育成装置においては、好ましくは、夫々の耐火物4(4)の凹部4b(4b)及び凸部4a(4a)の長さLb、Laは、耐火物の厚みの0.5倍の長さ(Lb=0.5tx、La=0.5tx)とするのが良い。
なお、合わせ目部を構成する凸部の先端は欠け易い。特に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物の凸部における、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物の凹部の根元に近い側の角部は、耐火物の変形時に応力が集中して欠けを生じ易い。
このため、本実施形態の単結晶育成装置においては、好ましくは、耐火物の合わせ目部先端の角部(特に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4の凸部4aにおける、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物4の凹部4bの根元に近い側の角部)は、図2(d)、図2(e)に示すように、C面やR面に形成された構成とするのが望ましい。
第2実施形態
図4は本発明の第2実施形態にかかる単結晶育成装置の要部構成を示す説明図で、(a)はルツボ上方を覆う位置に配設された、引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている板状の耐火物の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)に示す分割される一方の板状の耐火物の合わせ目部を示す斜視図、(c)は(b)に示す板状の耐火物の合わせ目部における傾斜面の傾斜角度を示す図、(d)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の一変形例を示す図、(e)は(c)に示す板状の耐火物における合わせ目部の角部の他の変形例を示す図である。
本実施形態の単結晶育成装置では、図4(a)に示すように、夫々の耐火物4(4)の合わせ目部は、傾斜面からなり、互いの耐火物4(4)の傾斜面同士を突き合わせる構造に形成されている。
耐火物の傾斜面4(4)は、図4(c)に示すように、水平面に対し40°以上70°未満の傾斜角度(30°≦αx<70°)を有している。
本実施形態の単結晶育成装置における夫々の耐火物4(4)の合わせ目部は、耐火物の厚みが小さく、第1実施形態のようなインロー構造が難しい場合に最適な構造である。
この合わせ目部は、側方からみたときに直角三角形を反転させて突き合わせ、斜辺同士を接触させた構造となっている。そのため、耐火物が変形しても、図4(c)に示す直角三角形の底辺の長さLcに相当する部分までであれば、互いの耐火物4(4)の傾斜面同士を密着させた状態で、ガス対流を遮断し、光(輻射)の漏れを防止することが可能となる。
そして、本実施形態の単結晶育成装置によれば、夫々の耐火物4(4)の合わせ目部を構成する傾斜面の傾斜角度を、水平面に対し40°以上70°未満(30°≦αx<70°)としたので、耐火物に変形が生じても、傾斜面同士の隙間の発生や、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における合わせ目部の先端の破損を防止し易くなる。
耐火物の傾斜面の傾斜角度が70°を超えると、耐火物の変形時に合わせ目部に隙間が生じる可能性が高い。
一方、耐火物の傾斜面の傾斜角度が40°未満であると、耐火物の変形時に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における傾斜面が、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物4における傾斜面に接触した状態が拘束され過ぎて応力が大きく発生し、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における合わせ目部の下側の先端が割れる可能性がある。
そこで、本実施形態の単結晶育成装置においては、好ましくは、耐火物の傾斜面の傾斜角度を45°とすると、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における傾斜面と、合わせ目部の先端が上側に位置する一方の耐火物4における傾斜面とにかかる応力のバランスがとれて、傾斜面同士の隙間の発生や、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における合わせ目部の先端の破損を防止し易くなる。
なお、傾斜面で構成された合わせ目部の先端は鋭利となり欠け易い。特に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における合わせ目部の先端の角部は、耐火物の変形時に応力が集中して欠けを生じ易い。
このため、本実施形態の単結晶育成装置においては、好ましくは、耐火物の合わせ目部の先端の角部(特に、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物4における合わせ目部の先端の角部)は、図4(d)、図4(e)に示すように、C面やR面に形成された構成とすることが望ましい。また、夫々の耐火物の合わせ目部の先端の角部がC面やR面に形成されていると、互いの耐火物4(4)における合わせ目部の先端近傍で隙間をもつこともでき、第1実施形態の単結晶育成装置の合わせ目部を構成するインロー構造における凸部の先端(凹部の根元)の垂直方向の合わせ目部同士の隙間と同様、加熱時の温度上昇により耐火物が熱膨張したときの、傾斜角度を有する合わせ目部同士(特に、ルツボに近い側の合わせ目部同士)に応力がかかり過ぎることによる、耐火物の位置ずれや破損を防止することができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。ここでは、一例としてタンタル酸リチウム単結晶育成方法について説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
実施例1の単結晶育成装置は、図2、図3に示した第1実施形態の単結晶育成装置に対応した構成を備えたものとした。
タンタル酸リチウム単結晶の育成手順は次のようにして行った。室温で、イリジウム製のルツボ1に、タンタル酸リチウムの原料2を充填し、ルツボ1を銅製の高周波誘導コイル5によって加熱する。ルツボ1内のタンタル酸リチウム原料を融解し、イリジウム製の引上げ軸8を1〜20rpmで回転させながら、1〜5mm/hの速度で垂直に引き上げることによって、種結晶7から単結晶を育成する。単結晶の育成が完了後、室温まで徐々に温度を下げ、その後に育成した単結晶を取り出す。
実施例1では、このような単結晶の育成を連続的に繰り返した。
実施例1の単結晶育成装置における、ルツボ上方を覆う位置に配設する耐火物はアルミナ製とした。円盤状の耐火物を2分割し、半円状の耐火物を2枚組み合わせて使用した。合わせ目部は、図2に示したのと同様、互いの耐火物4(4)の凹部4b(4b)と凸部4a(4a)とを突き合わせるインロー構造とした。インロー構造の凸部4a(4a)及び凸部4a(4a)の高さ及び長さを夫々15mm、耐火物全体の厚みは30mmとした。この耐火物は、タンタル酸リチウムの単結晶育成中に1400℃に上昇する。使用したアルミナの熱膨張率は8.0×10−6/Kである。そこで、インロー構造の隙間を0.2mmとした。
実施例1の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、100回まで単結晶の歩留まり低下は認められなかった。耐火物の変形は認められたが、合わせ目部からのガス対流や光(輻射)が漏れる隙間は認められなかった。
実施例2
実施例2の単結晶育成装置は、図4に示した第2実施形態の単結晶育成装置に対応した構成を備えたものとした。
詳しくは、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を図4に示した傾斜面からなり、互いの耐火物4(4)の傾斜面同士を突き合わせる構造とした。傾斜面で構成される夫々の耐火物4(4)の合わせ目部における断面の直角三角形の底辺の長さを30mmとするとともに、傾斜面の水平面に対する傾斜角度を45°とした。また、室温における合わせ目部同士の隙間を0.2mmとした。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成し、実施例1と同様に単結晶の育成を連続的に繰り返した。
実施例2の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、100回まで単結晶の歩留まり低下は認められなかった。耐火物の変形は認められたが、合わせ目部からのガス対流や光(輻射)が漏れる隙間は認められなかった。
実施例3
実施例2の単結晶育成装置は、図4に示した第2実施形態の単結晶育成装置に対応した構成を備えたものとした。
詳しくは、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を図4に示した傾斜面からなり、互いの耐火物4(4)の傾斜面同士を突き合わせる構造とした。傾斜面で構成される夫々の耐火物4(4)の合わせ目部における傾斜面の水平面に対する傾斜角度を60°とするとともに、室温における合わせ目部同士の隙間を0.2mmとした。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成し、実施例1と同様に単結晶の育成を連続的に繰り返した。
実施例2の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、100回まで単結晶の歩留まり低下は認められなかった。耐火物の変形は認められたが、合わせ目部からのガス対流や光(輻射)が漏れる隙間は認められなかった。
比較例1
比較例1の単結晶育成装置は、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を図6に示すような、夫々の板状の耐火物4(4)における垂直な面同士を突き合わせる構造とした。合わせ目部からガス対流や光(輻射)が漏れることを防止するため、室温において夫々の板状の耐火物4(4)の合わせ目部同士に隙間が無いように配設した。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成し、実施例1と同様に単結晶の育成を連続的に繰り返した。
比較例1の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、30回以後の単結晶の育成において単結晶の歩留まり低下が認められた。耐火物に変形が認められるとともに、合わせ目部からガス対流や光(輻射)が漏れる隙間が認められた。
比較例2
比較例2の単結晶育成装置は、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を、互いの耐火物の凹部と凸部とを突き合わせるインロー構造とし、インロー構造の凸部の高さを、合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物:5mm、合わせ目部の先端が上側に位置する他方の耐火物:25mmとした。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成し、実施例1と同様に単結晶の育成を連続的に繰り返した。
比較例2の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、5回以後の単結晶の育成において単結晶の歩留まり低下が認められた。合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物におけるインロー構造の凸部に割れが認められるとともに、合わせ目部からガス対流や光(輻射)が漏れる隙間が認められた。
比較例3
比較例3の単結晶育成装置は、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を傾斜面からなり、互いの耐火物の傾斜面同士を突き合わせる構造とし、傾斜面の水平面に対する傾斜角度を10°とした。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成した。そして、単結晶の育成を連続的に繰り返した。
比較例3の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、15回以後の単結晶の育成において単結晶の歩留まり低下が認められた。合わせ目部の先端が下側に位置する一方の耐火物における合わせ目部の先端の一部に割れが認められ、合わせ目部からガス対流や光(輻射)が漏れる隙間が認められた。
比較例4
比較例4の単結晶育成装置は、ルツボ上方を覆う位置に配設するアルミナ耐火物の合わせ目部を傾斜面からなり、互いの耐火物の傾斜面同士を突き合わせる構造とし、傾斜面の水平面に対する傾斜角度を80°とした。
その他の構成は、実施例1の単結晶育成装置と同様に構成し、単結晶の育成を連続的に繰り返した。
比較例4の単結晶育成装置を用いて、単結晶の育成を連続的に繰り返したところ、40回以後の単結晶の育成において単結晶の歩留まり低下が認められた。耐火物に変形が認められるとともに、合わせ目部からガス対流や光(輻射)が漏れる隙間が認められた。
本発明の単結晶製造装置は、原料融液から種結晶を引き上げながら単結晶を育成する結晶育成方法を用いて工業的に単結晶の育成を繰り返し行うことが求められる分野に有用である。
1 ルツボ
2 原料融液
3 ルツボ1の周囲に配設された耐火物
4 ルツボ1上方を覆う位置に配設された耐火物
一方の耐火物
他方の耐火物
4a、4a 凸部
4b、4b 凹部
4H 孔
5 加熱手段(高周波誘導コイル)
6 チャンバ
7 種結晶
8 引き上げ軸
9 ルツボ1を支持する支持台をなす耐火物
51 ルツボ
52 原料融液
53 断熱構造体
53、53、53、53、53 断熱材
54、55 ヒータ
56 チャンバ
57 種結晶
58 引き上げ軸
58a 種結晶保持部

Claims (4)

  1. 原料融液の表面に接触させた種結晶を引き上げながら単結晶を育成する結晶育成方法に用いられ、ルツボ上方を覆う位置に配設された、前記種結晶を引き上げる、引き上げ軸を通すための孔を有する板状の耐火物が、前記引き上げ軸を通すための孔を横断する直線を境界として分割されている、単結晶育成装置において、
    夫々の前記耐火物の合わせ目部は、一方の前記耐火物の合わせ目部の先端が他方の前記耐火物の合わせ目部の先端の下側に位置し、互いの前記耐火物の前記合わせ目部において上側と下側とで対向する平面を有し、該平面同士が単結晶育成時に密着することを特徴とする単結晶育成装置。
  2. 夫々の前記耐火物の合わせ目部は、凹部と凸部を有し、一方の前記耐火物の凹部と他方の前記耐火物の凸部、一方の前記耐火物の凸部と他方の前記耐火物の凹部とを突き合わせるインロー構造に形成され、
    夫々の前記耐火物の前記凹部及び前記凸部は、夫々、前記耐火物の厚みの略1/2の高さを有していることを特徴とする請求項1に記載の単結晶育成装置。
  3. 夫々の前記耐火物の合わせ目部は、傾斜面からなり、互いの前記耐火物の前記傾斜面同士を突き合わせる構造に形成され、
    前記耐火物の前記傾斜面は、40°以上70°未満の傾斜角度を有していることを特徴とする請求項1に記載の単結晶育成装置。
  4. 前記耐火物の合わせ目部先端は、C面又はR面に形成された角部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の単結晶育成装置。
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