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JP6960244B2 - 樹脂フィルム、及びこれを用いたポスター用印刷基材 - Google Patents

樹脂フィルム、及びこれを用いたポスター用印刷基材 Download PDF

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JP6960244B2 JP2017105257A JP2017105257A JP6960244B2 JP 6960244 B2 JP6960244 B2 JP 6960244B2 JP 2017105257 A JP2017105257 A JP 2017105257A JP 2017105257 A JP2017105257 A JP 2017105257A JP 6960244 B2 JP6960244 B2 JP 6960244B2
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Description

本発明は、所定の印刷層を有する樹脂フィルム、及びこれを用いたポスター用印刷基材に関する。
従来、ポリプロピレンの延伸フィルムを基材層とし、この表裏面に無機微細粉末を含有するポリプロピレンの延伸フィルムを紙状層として備える合成紙が提案され、既に各種のものが実用化されている(例えば特許文献1〜3参照)。この種の合成紙は、パルプ紙と比べて非常に強い耐水性を有し、例えば、雨水で紙がふやけたり破れたりし難いという特徴がある。かかる耐水性を活かした合成紙の利用例として、ポスター用紙がある。
また、制作目的によって、高光沢の多色印刷が強く要求される場合がある。例えば、旅行ポスター、映画ポスター、選挙ポスター、及び自動車や清涼飲料等の商品販売促進のためのポスター等においては、明るく、軽快な雰囲気を醸し出すために、高光沢のオフセット多色印刷が好まれる傾向にある。ここで、印刷用インキには様々な種類があり、使用するインキに応じて、各種の高光沢の印刷用紙が提案されている。
例えば、溶剤型や酸化重合型等の油性インキ対応の高光沢の印刷用紙としては、合成紙上に、表面層として無機微細粉末を含有しない熱可塑性樹脂の透明フィルム層を設け、さらにこの透明フィルム層上にプライマー層を設けた樹脂フィルムが知られている(特許文献4参照)。
また、紫外線硬化型インキ(UVインキ)対応の高光沢の印刷用紙としては、プロピレン系ランダム共重合体及び/又はポリエチレン90〜100%と無機微細粉末及び/又は有機フィラー0〜10%とを含み、酸素原子数濃度が調整されてなる印刷層、所定の光沢付与層、及び合成紙(基層)をこの順に設けた樹脂フィルムが提案されている(特許文献5参照)。
特公昭46−040794号公報 特開昭56−141339号公報 特開昭56−118437号公報 特開昭61−003748号公報 特開2007−083714号公報
ところで近年、高品位印刷対応或いは小ロット対応の印刷装置やUVインキ等の印刷用インキが次々と発売されている。これに応じて各印刷会社で設備導入及び設備廃棄が進み、その結果、各印刷会社間における印刷方式の多様化が進展している。例えば、商用オフセット印刷においては、従来から汎用されている溶剤型や酸化重合型等の油性インキのみ対応可能な印刷会社、UVインキのみ対応可能な印刷会社、及び、双方に対応可能な印刷会社が乱立している状況にある。
従来は、それぞれの印刷会社の印刷方式に応じて、油性インキ専用紙やUVインキ専用紙の印刷用紙がそれぞれ供給されてきた。しかしながら、このような専用紙による個別対応は、品質管理、在庫管理や物流の観点から、生産者側及び印刷会社側の双方において不経済となり得る。
さらに付言すると、使用する印刷用インキ及び印刷用紙の種類が異なれば印刷品質が変動することがよく知られている。例えば、商用オフセット印刷において、油性インキ及び油性インキ専用紙を用いた印刷物と、UVインキ及びUVインキ専用紙を用いた印刷物とでは、印刷品質が大きく異なるのが一般的である。このような印刷品質の変動を抑制し、結果として得られる印刷物の印刷品質を一定に保つためには、設備変更の負担が少ない印刷用紙の共通化を図ることが望ましい。しかしながら、現状、上記の耐水性を具備し、油性インキ及びUVインキの双方に対応可能な、高光沢な印刷用紙は存在していない。
例えば、特許文献4に記載の印刷用紙は、油性インキの密着性は良好であるが、UVインキの転移性及び密着性が悪く、特に屋外使用を前提とした条件下において、例えば日光や雨水の影響により、比較的短期間にUVインキの密着性が低下し、印刷面のUVインキが脱落し易くなるという問題があった。また、特許文献5に記載の印刷用紙は、光沢度が比較的に高く、また、インキの転移性及び密着性も良好であるが、油性インキの乾燥性が悪いという問題があった。さらには、高温度環境下でのシートブロッキングや、断裁加工時のカットブロッキングが発生し易いという問題もあり、さらには比較的に高コストなものになり易いという問題もあった。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものである。その目的は、油性インキ及び紫外線硬化型インキの双方に印刷適性のある、高光沢な樹脂フィルム(印刷用紙)を提供することにある。また、本発明の別の目的は、油性インキ及び紫外線硬化型インキの双方に対応可能な、高光沢なポスター用印刷基材を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有する樹脂フィルムにおいて、プロピレン単独重合体と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂とを少なくとも含有する、新規な印刷層を採用することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1]印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有し、前記印刷層が、前記印刷層の固形分総量に対して、83〜97質量%のプロピレン単独重合体(X)と、合計3〜17質量%のオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有することを特徴とする樹脂フィルム。
[2]前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)が、メタロセン触媒系のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーである上記[1]に記載の樹脂フィルム。
[3]前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、メタロセン触媒系の軟質ポリプロピレン系樹脂である上記[1]又は[2]に記載の樹脂フィルム。
[4]前記光沢付与層が、前記光沢付与層の固形分総量に対して、45〜65質量%のオレフィン系(共)重合体と35〜55質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーとを少なくとも含有する上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[5]前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、3〜10g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。[6]前記プロピレン単独重合体(X)が、1〜20g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[7]前記印刷層が、無機微細粉末を実質的に含有しない上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備えることを特徴とする、ポスター用印刷基材。
本発明によれば、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等の各種印刷に好適に用いることができる高光沢な樹脂フィルムであって、油性インキ及びUVインキの双方に印刷適性のある、汎用性の高い樹脂フィルムを実現することができ、その結果、耐候性が極めて良好な印刷物やポスター等を実現することができる。
一実施形態の樹脂フィルム(ポスター用印刷基材)を示す模式断面図である。
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。また、以降においては特に断らない限り、上下左右等の位置関係は、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[樹脂フィルム]
図1は、本発明の一実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)の層構成を示す模式断面図である。樹脂フィルム11は、印刷層21、光沢付与層31、及び基層41が少なくともこの順に積層された積層構造を有する。
(1)印刷層
印刷層21は、プロピレン単独重合体(X)と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有する。図示のとおり、この印刷層21は、樹脂フィルム11の最外層に位置し、その表面に印刷が施されるものである。
プロピレン単独重合体(X)は、プロピレンの単独重合体であり、高結晶性、且つ高剛性であるという特徴を有する。そして、印刷層21がプロピレン単独重合体(X)を主成分として含むことで、従来から汎用されている溶剤型や酸化重合型等の油性インキの印刷適性を担保することできる。ここで、主成分とは、印刷層21の固形分総量を基準として、印刷層21中に50質量%以上含まれる成分を意味する。なお、プロピレン単独重合体(X)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。油性インキ及びUVインキへの両適性を高め、樹脂フィルム21の成形性及び光沢性を高める等の観点から、プロピレン単独重合体(X)は、印刷層21の固形分総量を基準として、印刷層21中に80〜97質量%含まれ、好ましくは83〜96質量%、より好ましくは85〜95質量%含まれる。
プロピレン単独重合体(X)は、各種公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。中でも、成形性、結晶化度及びインキ密着性の観点から、融点が150〜170℃のプロピレン単独重合体が好ましい。また、ここで用いるプロピレン単独重合体(X)は、後述するオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)と同等(同程度)のメルトフローレート値(JIS K7210−1:2014に準拠して測定される)を有するものを用いることが好ましい。そうすることでプロピレン単独重合体(X)と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)との両者を混練する際に、均一に混練し易くなり、印刷適性及び耐候性の双方に優れる印刷層21が得られ易くなる傾向にある。具体的には、併用するオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)によっても相違するが、プロピレン単独重合体(X)のメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)は、1〜20g/10minが好ましく、より好ましくは2〜15g/10minである。なお、プロピレン単独重合体(X)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このとき、メルトフローレート値の小さい(流動性の低い)プロピレン単独重合体(X)と、メルトフローレート値の大きい(流動性の大きい)プロピレン単独重合体(X)とをブレンドすることで、ターゲットとするオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)のメルトフローレート値に合わせることもできる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)は、高温で流動性(可塑性)を有するとともに、常温ではゴム状弾性(エラストマー)を有するものであって、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなるハードセグメント成分と、これとは別のポリオレフィン、1−ブテン,1−ヘキセン,1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン又はエチレン−プロピレンゴム等のソフトセグメント成分とを有する高分子材料を意味する。オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、ブレンド体、動的架橋体、海島分散体等が知られているが、その種類は特に限定されない。なお、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)は、2元系でも3元系以上の多元系でもよい。なお、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)は、組成の異なるものを2種類以上混合して用いることもできる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)は、各種公知のものを用いることができ、特に限定されない。これらの中でも、ランダム共重合体及びブロック共重合体が好ましく、所謂リアクターメイドのランダム共重合体及びブロック共重合体である、オレフィン系熱可塑性エラストマー(R−TPO)がより好ましく、所謂メタロセン触媒を用いて共重合された、メタロセン触媒系のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(R−TPO)が特に好ましい。
軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、プロピレンを主体とし、これとエチレン,1−ブテン,1−ヘキセン,1−ヘプテン,4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた、様々な立体規則性を有するポリプロピレン系共重合体を意味する。この軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、共重合成分中、プロピレンを、50%を超えて含有するものである。このような軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は表面酸化され易く、表面処理に伴い良好なUVインキの密着性が得られ易い。軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、ランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましく、所謂メタロセン触媒を用いて共重合された、メタロセン触媒系のランダム共重合体又はブロック共重合体が特に好ましい。なお、軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、2元系でも3元系以上の多元系でもよい。軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、組成の異なるものを2種類以上混合して用いることもできる。
上述したオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)としてメタロセン触媒系のものを用いると、プロピレン単独重合体(X)との良好な混練性が得られ易く、ブロッキングの原因となるベタツキの悪影響等が低減される傾向にある。その理由は定かではないが、メタロセン触媒系のものは、そうでないものに比して、分子量分布が比較的にシャープであり、低分子量成分の含有割合が相対的に少ないことに起因していると推察される。
印刷層21中の、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)の含有割合は、油性インキ及び紫外線硬化型インキの双方に対応可能とする観点から、印刷層21の固形分総量を基準として、合計3〜20質量%であり、好ましくは合計4〜17質量%であり、より好ましくは合計5〜15質量%である。これらオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、組成やメルトフローレートが異なるものを2種類以上混合して用いることもできる。また、これらは融点が70〜160℃であることが好ましい。融点が70℃以上であれば、樹脂が適度な流動性を有するためフィルム成形がより容易になる傾向にある。また融点が160℃以下であれば、樹脂が適度な結晶化度を示し、表面酸化され易く、良好なインキ密着性が得られ易い傾向にある。
上述したオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)は、3〜10g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有するものが好ましく、より好ましくは4〜7g/10minである。このようなメルトフレート値を有する軟質高分子を用いることにより、均一な膜厚で凹凸の少ないフィルム成形が容易になる傾向にある。そして、先に述べたとおり、これらオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)のメルトフレート値と同程度、例えば3〜10g/10minのメルトフローレート値を有するプロピレン単独重合体(X)と併用することにより、混練性、均一性、ブロッキング性、印刷適性、耐候性等に優れる印刷層21が得られ易くなる傾向にある。このとき、メルトフローレート値の小さいものと大きいものとをブレンドして、プロピレン単独重合体(X)のメルトフローレート値を調整することができる。
なお、印刷層21は、上述したプロピレン単独重合体(X)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)以外に、他の成分を含有していてもよい。この他の成分としては、例えば、上記(X)、(Y1)及び(Y2)以外の高分子成分、例えばエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリフェニレンスルフィド;オレフィン系以外の熱可塑性エラストマー;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
また、印刷層21は、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含んでいてもよい。但し、表面の光沢性や平坦性等に優れる印刷層21を得る観点からは、印刷層21は、無機微細粉末及び/又は有機フィラーを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、本明細書において「実質的に含有しない」とは、印刷層21の固形分総量を基準に、無機微細粉末及び有機フィラーの総量が0.0質量%以上〜10.0質量%未満であることを意味し、より好ましくは0.0質量%以上〜5.0質量%未満、さらに好ましくは0.0質量%以上〜3.0質量%未満、特に好ましくは0.0質量%以上〜1.0質量%未満である。なお、無機微細粉末及び/又は有機フィラーの含有量は、意図して添加されているものを対象とし、所謂コンタミネーションによるものはこの限りでない。印刷層21が無機微細粉末及び/又は有機フィラーを実質的に含有しないことで、表面に凹凸が少なく平坦な印刷層21が得られ易く、乱反射による鏡面反射の阻害が抑制される傾向にある。また、印刷層21が極力平坦であれば、その上に印刷を施した場合に印刷面も平坦になり易く、入射光に対する正反射が得られ易く、グロスな光沢感が得られ易い傾向にある。なお、印刷層21が含んでいてもよい無機微細粉末及び/又は有機フィラーの具体例については、後述する光沢付与層31の無機微細粉末及び/又は有機フィラーと同様であり、ここでの重複した説明は省略する。
さらに、印刷層21は、上記成分以外に、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、分散剤、滑剤、脂肪酸アミド等のスリップ剤、アンチブロッキング剤、練込型の帯電防止剤、染料、顔料、可塑剤、結晶核剤、離型剤、難燃剤等の公知の添加剤を含んでもよい。樹脂フィルム11を例えばポスター用紙のように屋外で用いる場合、耐久性を高める観点から、酸化防止剤や光安定剤等を添加するのが好ましい。熱安定剤としては、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の熱安定剤等を例示することができる。熱安定剤の添加量は、特に限定されないが、上述した熱可塑性樹脂に対する固形分換算で、0.001〜1質量%が好ましい。光安定剤としては、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、イオウ系光安定剤等を例示することができる。光安定剤の添加量は、特に限定されないが、上述した熱可塑性樹脂に対する固形分換算で、0.001〜1質量%が好ましい。分散剤は、例えば、上述した熱可塑性樹脂を含むフィルム層中に無機微細粉末を高分散させる目的で用いられる。分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸又はこれらの塩等を例示することができる。分散剤の添加量は、特に限定されないが、上述した熱可塑性樹脂に対する固形分換算で、0.01〜4質量%が好ましい。
なお、印刷層21は、無延伸の層であっても、延伸された層であっても構わない。より平坦な表面及び界面を得る観点からは、印刷層21は、一軸延伸又は二軸延伸の層であることが好ましい。
(2)光沢付与層
光沢付与層31は、樹脂フィルム11の最外層となる印刷層21の内側に積層されるものであり、樹脂フィルム11の光沢度を向上させるためのものである。本実施形態の樹脂フィルム11では、比較的に平滑で透明な印刷層21を最外層に設けることでグロスな光沢を得ているが、樹脂フィルム11内部に入射した光も印刷層21と光沢付与層31との界面で正反射され、或いは光沢付与層31内で乱反射されることで、光沢度がより一層高められている。
光沢付与層31は、樹脂フィルム11の光沢度を向上させるものである限り、当業界で公知のものを用いることができ、その配合組成は特に限定されない。光沢付与層31の好ましい形態の1つとしては、透明乃至半透明の樹脂フィルム層である。代表的には、光沢付与層31の固形分総量を基準として、45〜65質量%の熱可塑性樹脂と、35〜55質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含有するものが挙げられる。以下、この好ましい形態の光沢付与層31について詳述する。
光沢付与層31の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体や、エチレンと他の共重合成分とを共重合させたエチレン系共重合体等のエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレンブロック共重合体、ポリプロピレンランダム共重合体等のプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、シクロペンタジエン−αオレフィン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂;芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール;塩素化ポリエチレン;塩素化ポリプロピレン;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリフェニレンスルフィド;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの共重合体は、2元系でも3元系以上の多元系でもよい。また、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
これらの中でも、機械的強度、物理的特性、化学的特性、生産性等の観点から、高密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。とりわけ、上述した諸物性のバランスに優れるとの観点から、高密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、プロピレン系樹脂と高密度又は低密度のポリエチレンがより好ましく、プロピレン系樹脂、プロピレン系樹脂と高密度又は低密度のポリエチレンとの混合物がさらに好ましく、融点が150〜170℃であるプロピレン単独重合体、融点が70〜160℃であるプロピレン系共重合体、融点が50〜140℃であるエチレン単独重合体若しくはエチレン系共重合体が特に好ましい。
光沢付与層31中の熱可塑性樹脂の含有量は、光沢付与層31の固形分総量を基準として、より好ましくは47〜63質量%、さらに好ましくは50〜60質量%である。
無機微細粉末としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、珪藻土、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、白土、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバー、中空ガラスビーズ等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、光沢度の向上効果及びコストの観点から、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、アルミノシリケート、けいそう土、焼成クレイ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ等が好ましく、より好ましくは重質炭酸カルシウム、二酸化チタンである。無機微細粉末は、必要に応じて、表面処理を施されたものであってもよい。
有機フィラーとしては、構成母材(マトリックス樹脂、ここでは光沢付与層31の熱可塑性樹脂)とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば構成母材としてポリオレフィン系樹脂を用いる場合、好ましい有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィン単独重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体、ポリエチレンサルファイド、ポリイミド、ポリメタクリレート、ポリエチルエーテルケトン、ポリエチレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、メラミン樹脂粒子であって、構成母材の熱可塑性樹脂の融点よりも高い融点(例えば120〜300℃)又はガラス転移温度(例えば120〜280℃)を有し、且つ、構成母材の熱可塑性樹脂に非相溶のものが例示される。
無機微細粉末の平均粒子径及び有機フィラーの平均分散粒径は、所望性能に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。機械強度及び安定したフィルム成形等の観点から、0.01〜15μmが好ましく、より好ましくは0.02〜8μm、さらに好ましくは0.03〜4μmである。
なお、本明細書において、無機微細粉末の平均粒子径は、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」により測定した値を意味する。また、本明細書において、有機フィラーの平均分散粒径は、樹脂フィルム11の切断面を電子顕微鏡により観察し、無作為に抽出した100個の有機フィラーのそれぞれの分散粒子径を測定し、これに基づいて算出した平均値を意味する。分散粒子径は、粒子の輪郭上の2点間の距離の最大値(最大径)から決定する。
光沢付与層31は、1種の無機微細粉末を単独で又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、光沢付与層31は、1種の有機フィラーを単独で又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。さらに、光沢付与層31は、1種以上の無機微細粉末と1種以上の有機フィラーとを組み合わせて含んでいてもよい。なお、光沢付与層31中の無機微細粉末及び有機フィラーの含有量は、光沢付与層31の固形分総量を基準として、より好ましくは合計で37〜53質量%、さらに好ましくは合計で40〜50質量%である。
さらに、光沢付与層31は、上記成分以外に、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、分散剤、滑剤、脂肪酸アミド等のスリップ剤、アンチブロッキング剤、練込型の帯電防止剤、染料、顔料、可塑剤、結晶核剤、離型剤、難燃剤等の公知の添加剤を含んでもよい。これらについては、上述した印刷層21と同様であるため、ここでの重複した説明は省略する。
なお、光沢付与層31は、無延伸の層であっても、延伸された層であっても構わない。より平坦な表面及び界面を得る観点からは、光沢付与層31は、一軸延伸又は二軸延伸の層であることが好ましい。ここで、光沢付与層31が無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含み、且つ延伸されたものである場合、光沢付与層31内部にこれらを核とした空孔が形成されていてもよい。この場合、光沢付与層31内部に入射した光は、この空孔の樹脂/空気の界面で効率的に反射させることができ、より高い光沢度が得られる傾向にある。例えば、光沢付与層31が一軸延伸層である場合、空孔がラグビーボール状に形成され易く、該層での光反射は入射光に対して方向性の乏しい、いわゆる乱反射となり、外観はマットな印象が強い光沢になり易い傾向にある。一方、光沢付与層31が二軸延伸層である場合、空孔がより扁平な円盤状に形成され易く、該層での光反射における正反射の割合は多くなり、外観はパール状の印象が強い光沢になり易い傾向にある。
(3)基層
基層41は、上述した印刷層21及び光沢付与層31を支持する層であり、光沢付与層31の、印刷層(A)が形成された面とは反対側の面側に積層されている。これにより、本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21/光沢付与層31/基層41の順に積層した積層構造を含む。このような基層41を備えることで、安定した延伸成形が容易となる傾向にある。
基層41は、印刷層21及び光沢付与層31を支持可能なものである限り、当業界で公知のものを用いることができ、その配合組成は特に限定されない。基層41の好ましい形態の1つとしては、熱可塑性樹脂を含む透明乃至不透明の樹脂フィルム層である。代表的には、基層41の固形分総量を基準として、30〜100質量%の熱可塑性樹脂と、0〜70質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含むものが挙げられる。より好ましくは、基層41の固形分総量を基準として、50〜100質量%の熱可塑性樹脂と、0〜50質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーを含むものが挙げられる。これらの成分及び配合組成、さらには任意配合成分の詳細等については、上述した光沢付与層31で説明したものと同様であり、ここでの重複した説明は省略する。
なお、基層41は、無延伸の層であっても、延伸された層であっても構わない。より平坦な表面及び界面を得る観点からは、基層41は、一軸延伸又は二軸延伸の層であることが好ましい。
(4)層構成
本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21、光沢付与層31、及び基層41が少なくともこの順に積層された多層構造を有する。ここで本明細書において「この順に積層された」とは、これらがこの順に配列していることを意味し、印刷層21と光沢付与層31との間に、及び/又は、光沢付与層31と基層41との間に、接着剤層や中間層等の任意の層が介在している態様をも包含する趣旨である。以下、必要に応じて、印刷層21をAと、光沢付与層31をBと、基層41をCとそれぞれ表しながら、種々の具体的態様について説明する。
例えば、本実施形態の樹脂フィルム11は、前述したA〜Cの3層構造以外に、基層41(C)を中心にその両面に印刷層21(A)、光沢付与層31(B)を対称的に設けた構造(例えばA/B/C/B/A)とすることができる。また、基層41(C)の少なくとも片面に他の樹脂フィルム層(D)等を設けた構造(例えばA/B/C/D,A/B/D/C,A/B/D/C/D)とすることもできる。如何なる多層構造を有する場合であっても、樹脂フィルム11の印刷層21(A)が最外層となるように配置されていればよい。このとき、基層41(C)は、これら各態様の樹脂フィルム11の芯材としても機能する。
さらに、本実施形態の樹脂フィルム11は、さらに他の樹脂フィルム、パルプ抄造紙、平織織布、又は不織布等を設けた積層体であってもよい。またさらに、必要に応じて粘着剤層、離型紙を含むもの(例えばA/B/C/粘着剤/離型紙)であってもよい。
また、本実施形態の樹脂フィルム11の印刷面(印刷層21(A))に印刷を施した後、得られた印刷物を金型内ラベル(インモールドラベル)として用いることもできる。そして、金型内に該ラベルを挿入して、インジェクション成形やブロー成形等の方法で樹脂成形品を製造すれば、該ラベルが一体となった樹脂成形品を得ることができる。インモールドラベルは、樹脂フィルムの印刷層21(A)とは反対側の表面に、公知のヒートシール樹脂の層を積層したもの(例えばA/B/C/ヒートシール樹脂層)の形態として好適に用いることができる。
以上例示したとおり、本実施形態の樹脂フィルム11を最外層とし、他の樹脂フィルムや樹脂成形品に樹脂フィルム11が積層された構造を有する成形体は、本実施形態における好ましい態様の一つである。本実施形態の樹脂フィルム11の印刷面(印刷層21(A))に印刷を施して得られる印刷物を、ポスターやラベルとして貼付して用いるのみならず、剛度(剛性)の高い樹脂フィルム等と積層することで、立て看板(サインボード)や電飾看板等として活用することができるためである。
樹脂フィルムの剛度を高めるためには、本実施形態の樹脂フィルム11と他の樹脂フィルムとの積層体とすることが好ましい。ここで、剛度の高めるための他の樹脂フィルムには、本実施形態の樹脂フィルム11の各層で使用する樹脂のみならず、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂も好適に使用できる。これらには炭酸カルシウム、アルミノシリケート、アルミナ、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を含有してもよい。
(5)成形方法
本実施形態の樹脂フィルム11の成形方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は積層のTダイやIダイを利用して、溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、スクリュー型押出機に接続されたOダイを利用して、溶融樹脂を筒状に押し出すインフレーション成形、カレンダー成形、圧延成形、熱可塑性樹脂と有機溶媒やオイルとの混合物をキャスト成形又はカレンダー成形した後に溶媒やオイルを除去する方法等を用いて成形することができる。
(6)積層
本実施形態の樹脂フィルム11の積層方法は、公知の方法を適宜適用することができ、その種類は特に限定されない。例えば、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等を適用することができる。また、多層ダイス方式と押出しラミネーション方式を組み合わせて使用することもできる。その他に接着剤を用いたドライラミネートやウェットラミネート、ホットメルトラミネート等、公知のいかなる積層法も用いることができる。
具体的には、本実施形態の樹脂フィルム11を成形するにあたり、印刷層21/光沢付与層31/基層41をこの順に積層した積層構造を多層ダイス方式にて共押出により一体に押出成形することができる。また、前述したキャスト成形よって基層41を一旦シート状に成形した後、印刷層21及び光沢付与層31をラミネート方式で積層することもできる。このとき、複数のダイスを用いて印刷層21及び光沢付与層31を個別に順に積層してもよいし、多層ダイスを用いて印刷層21と光沢付与層31を共押出して同時に積層してもよい。
(7)延伸
また、本実施形態の樹脂フィルム11は、少なくとも1軸方向以上に延伸されたものであることが好ましい。延伸することによって印刷用紙として各種印刷適性に優れる厚さやコシ(stiffness)が得られ易く、また、樹脂フィルム11の肉厚のバラツキが緩和されて均一厚みが得られ易く、さらには平坦な表面や層間界面が得られ易い傾向にある。
各層の延伸軸数は、特に制限されない。例えば3層構造では、A/B/C=1軸/1軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸等が挙げられる。4層以上の層構造の場合でも、これらと同様に、延伸軸数を任意に組み合わせることが可能である。
延伸方法は特に限定されず、公知の方法の中から適宜選択して使用することができる。例えば、ロール群の周速差を利用する縦延伸、テンターオーブンを使用する横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸等を用いることができる。
延伸の際の温度は、各層の配合組成、例えば熱可塑性樹脂を使用する場合にはその融点等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されない。一般的には、熱可塑性樹脂の融点以下が好ましく、より好ましくは該融点よりも2〜20℃低い温度の温度範囲内である。また、延伸速度も特に限定されないが、20〜350m/分の範囲内で行うことが好ましい。
延伸倍率は、各層の配合組成等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されない。一軸延伸の場合は、通常2〜12倍が好ましく、より好ましくは3〜10倍、さらに好ましくは4〜8倍であり、二軸延伸の場合は、面積倍率で通常4〜80倍が好ましく、より好ましくは10〜65倍、さらに好ましくは20〜50倍である。
(8)肉厚
本実施形態の樹脂フィルム11の肉厚(総厚み)は、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。通常20μm〜1000μmが好ましく、より好ましくは30μm〜500μmであり、さらに好ましくは40μm〜300μmである。樹脂フィルム11の肉厚が20μm〜1000μmであれば、オフセット印刷する場合に不具合が生じ難く、印刷用紙としての利用価値が高くなる傾向にある。
(9)光沢度
本実施形態の樹脂フィルム11は、印刷層21表面側の光沢度(JIS P−8142)が70%〜110%であることが好ましく、より好ましくは80〜108%、さらに好ましくは85〜105%である。該光沢度が70%以上であることにより、樹脂フィルム11の印刷層21に印刷を施した際に、高光沢で明るい印刷物の質感や軽快な雰囲気が得られ易い傾向にある。なお、光沢度は、例えば樹脂フィルム11の各層の材料の選択や製造時の延伸条件(温度、倍率等)等により、調整可能である。
(10)不透明度
本実施形態の樹脂フィルム11の不透明度(JIS P−8138)は、用途や要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。かかる不透明度は、樹脂フィルム11の各層中の無機微細粉末及び/又は有機フィラーの濃度、樹脂フィルムの延伸倍率、樹脂フィルムの延伸温度等により、調整可能である。印刷層21と光沢付与層31に透明乃至半透明のものを採用した場合、該不透明度は、特に基層41の不透明度によって調整するのが容易である。
例えば、不透明度が80〜100%である樹脂フィルムは、不透明であり、光の裏抜けが少ない。そのため、ラベルやシール等の粘着加工用の原紙、ポスターやパンフレット等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙等の裏地が透けて見えないことが要求される各種用途に用いられることが多い。そして、前述の不透明度である樹脂フィルムに印刷を施せば、印刷された図柄が背面に影響されず、その輪郭が鮮明となり、認識性の良好な印刷物が得られ易い傾向にある。一方、不透明度が30%以上80%未満である樹脂フィルムは、半透明であり、ブックカバーや電飾看板用途等に用いられることが多い。ここで、電飾看板とは、片面乃至両面に多色印刷を施し、背面から電球,蛍光灯,LED等の光を照射してお客や通行人にこれらフィルムに描かれた文字,写真,図柄等の意匠、又は注意書き等に、注意を引かせることができるものである。これらはハンバーガーや寿司等のファースト・フード店のメニュー、百貨店,美術館の店内や路上,地下道等での宣伝広告によく用いられている。不透明度が1%以上30%未満である樹脂フィルムは、透明であり、シースルーな粘着ラベル等の用途に用いられることが多い。
(11)表面処理
(11a)酸化処理
本実施形態の樹脂フィルム11は、その表面、特に印刷層21側の表面を酸化処理することが好ましい。このように印刷層21の表面に酸化処理を施すことにより、極性基の存在割合を調整でき、樹脂フィルム11の印刷層21の表面の酸素原子数濃度を調整することができる。そして、樹脂フィルム11の表面が酸化処理され、樹脂フィルム11の印刷層21の表面の酸素原子数濃度が調整されることにより、インキ成分との化学的な結合力が得られ易く、その結果、樹脂フィルム11と紫外線硬化型インキ或いは油性インキとの密着性が向上される傾向にある。
酸化処理方法としては、一般的にフィルムに使用されるコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理等の方法を単独又は組み合わせて使用することができ、その種類は特に限定されない。これらの中でも、好ましくはコロナ放電処理及びフレーム処理であり、設備や操作の容易さからコロナ放電処理がより好ましい。酸化処理量(エネルギー量)や、要求性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えばコロナ放電処理の場合、用いる印加エネルギーは、通常600〜12,000J/m 2(10〜200W・分/m 2)が好ましく、よい好ましくは720〜9,000J/m 2(12〜150W・分/m 2)、さらに好ましくは900〜7,800J/m 2(15〜130W・分/m 2)の範囲である。また、フレーム処理の場合、用いる印加エネルギーは、通常5,000〜200,000J/m 2が好ましく、より好ましくは10,000〜100,000J/m2の範囲である。
(11b)酸素原子数濃度
本明細書において、樹脂フィルム11の(印刷層21)表面の酸素原子数濃度は、上記の酸化処理後1週間以内に、X線光電子分光装置((株)島津製作所製、商品名ESCA−3200型)を用いて、1×10 6Torr以下の真空度下、MgのKd線(1254.0eV)をX線源とし、光電子放出角90°の条件で測定した値とする。ここで測定する酸素原子のピークとしては、O1sピーク(533eV)を用いた。
本実施形態の樹脂フィルム11の(印刷層21)表面の酸素原子数濃度は、3.8〜20%が好ましく、より好ましくは4.0〜10%である。酸素原子数濃度が好ましい範囲内にあることにより、印刷層21表面の粗面化及びこれにともなう光沢度の低下を抑制しつつ、紫外線硬化型インキの密着性が向上される傾向にある。なお、酸素原子数濃度は、上述した酸化処理方法の処理範囲や処理エネルギー量等により調整することが可能である。
(11c)アンカー剤
酸化処理を行うことによる紫外線硬化型インキとの良好な密着性の向上効果は、処理後の経時により減衰する傾向がある。そのため、より安定したインキとの密着性を付与するために、アンカー剤を酸化処理後の印刷層21の表面に塗布することが好ましい。かかるアンカー剤としては、当業界で公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物を単独或いは混合したもの、又はこれらにさらに架橋剤を加えたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリイミン系重合体又はポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物としては、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、又はこれらのアルキル変性体、シクロアルキル変性体、アリール変性体、アリル変性体、アラルキル変性体、アルキラル変性体、ベンジル変性体、シクロペンチル変性体、若しくは脂肪族環状炭化水素変性体、これらの水酸化物、これら前述のものを数種類複合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
(11d)帯電防止剤
前述アンカー剤に、ポリマー型帯電防止剤をさらに加えることにより、静電気による樹脂フィルム11への埃の付着や、重送等印刷時の印刷機上トラブルを軽減することができる。ポリマー型帯電防止剤としては、カチオン型、アニオン型、両性型、ノニオン型等が知られており、いずれも使用可能である。具体的には、カチオン型としては、アンモニウム塩構造やホスホニウム塩構造を有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。アニオン型としては、スルホン酸、リン酸、カルボン酸等のアルカリ金属塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸等のアルカリ金属塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)構造を分子構造中に有するもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。両性型としては、前述のカチオン型とアニオン型の両方の構造を同一分子中に含有するもの、具体的にはベタイン型が挙げられる。ノニオン型としては、アルキレンオキシド構造を有するエチレンオキシド重合体や、エチレンオキシド重合成分を分子鎖中に有する重合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。その他、ホウ素を分子構造中に有するポリマー型帯電防止剤も例として挙げることができる。これらの中でも、カチオン型のポリマー型帯電防止剤が好ましく、より好ましくは窒素含有ポリマー型帯電防止剤である。その例としては、例えば第三級窒素又は第四級窒素(アンモニウム塩構造)含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
(11e)アンカー剤及び帯電防止剤の量比
上述したアンカー剤及び帯電防止剤を併用する場合、これらの量比は要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、個々の成分の性能を十分に発揮させる観点から、固形分比率でアンカー剤100質量部に対し、帯電防止剤0〜400質量部が好ましく、より好ましくは20〜300質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。
(11f)アンカー剤の形態
前述したアンカー剤は、水或いはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させ、溶液状態で用いることが一般的である。中でも、水溶液の形態で用いるのが好ましい。塗布時の取扱性等の観点から、アンカー剤溶液濃度は、0.5〜40%程度が好ましく、より好ましくは1〜20%程度である。
(11g)アンカー剤の塗布量
アンカー剤の樹脂フィルム11への塗布量は、特に限定されないが、生産コストやベタつきの抑制、インキの密着性の改善効果等の観点から、通常は、固形分換算で0.01〜3g/m 2が好ましく、より好ましくは0.01〜1g/m 2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m 2である。
(11h)アンカー剤の塗布装置
なお、アンカー剤の樹脂フィルム11への塗布装置としては、当業界で公知の各種塗布装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、サイズプレスコーター等の塗布装置を使用することができる。
(12)粘着ラベル形態
(12a)粘着剤
本実施形態の樹脂フィルム11は、粘着剤をさらに積層させることで、粘着ラベルとして用いることができる。粘着ラベルに用いる粘着剤としては、一般にゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が知られており、その種類は特に制限されず、任意のものを用いることができる。ゴム系粘着剤の具体例として、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体等の粘着付与剤を配合したもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、アクリル系粘着剤の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等のガラス転移点が−20℃以下のもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、これらの粘着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等があるが、いずれであっても使用可能である。一般的には、溶剤型、エマルジョン型のものが生産性の観点から好ましい。
粘着剤の塗工は、当業界で公知の各種塗工装置を用いることができ、特に限定されない。例えば、ダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター等の塗布装置を用いることができる。塗工後、必要に応じてスムージング処理等を行い、乾燥工程を経て粘着剤層を形成するのが一般的である。
また、粘着剤層の形成にあたり、後述する離型紙へ粘着剤を塗工し、乾燥して形成した粘着剤層を樹脂フィルム11に積層する方法を採ることができる。場合によっては、樹脂フィルム11に直接粘着剤を塗工し、乾燥して形成することもできる。
粘着剤の塗工量は、特に限定されないが、通常は、固形分換算で3〜60g/m 2が好ましく、より好ましくは10〜40g/m 2の範囲である。また、この粘着剤層の層間剥離強度も特に限定されないが、通常は、200〜3,000g/20mmであることが好ましい。なお、樹脂フィルム11と粘着剤との間の接着力が小さい場合は、該粘着剤を塗工する前に樹脂フィルム11の印刷層21側とは反対側の粘着剤を設ける面に、予めアンカーコート剤を塗布することが好ましい。該アンカーコート剤としては、特に限定されず、例えばポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリエステルポリオール・ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等の公知のアンカーコート材を使用することができる。これらは一般に、メタノール、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等の有機溶剤、又は水に溶解して使用される。アンカーコート剤の塗布量は、特に限定されないが、塗布・乾燥後の固形分換算で0.01〜5g/m 2であることが好ましく、0.02〜2g/m 2であることがより好ましい。
(12b)離型紙
また、本実施形態の樹脂フィルム11は、前述の粘着剤を介して、さらに剥離紙を設けることにより、粘着ラベル用原紙として使用することもできる。離型紙としては、当業界で知られているものを特に制限なく使用でき、その種類は特に限定されない。例えば上質紙やクラフト紙をそのまま、或いは上質紙やクラフト紙にカレンダー処理したり、樹脂を塗工したり、フィルムをラミネートしたりしたもの、グラシン紙、コート紙、プラスチックフィルム等、及びこれらにシリコーン処理を施したもの等を使用することができる。粘着剤層との剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシリコーン処理が施されている離型紙が好ましく用いられる。
(13)印刷
(13a)インキの種類
本実施形態の樹脂フィルム11は、従来から汎用されている溶剤型や酸化重合型等の油性インキのみならず、紫外線硬化型インキに対しても優れた印刷適性を有する。紫外線硬化型インキは、紫外線のエネルギーで光化学反応を起こし、液体状から固体状へ秒単位で固化することにより皮膜を形成するインキである。紫外線硬化型インキとしては、各種のものが知られており、その主成分は、光重合性のプレポリマーやモノマーからなるビヒクル、光重合開始剤、着色料及び助剤が一般的であり、原則として有機溶剤を含まないものが多い。このように有機溶剤を含まないものは、100%固形分となる無溶剤型インキであることが特徴の1つである。溶剤型インキに比べて紫外線硬化型インキを用いるメリットは乾燥が速いこと、皮膜強度が高いこと、印刷工程の脱溶剤を実現できること、印刷版上ではインキが乾燥しないので長時間安定した印刷作業に寄与しやすいこと等が挙げられる。そして、紫外線硬化型乾燥システムの開発により、特にプラスチック類へ印刷を適用する際の大きな障害であった、乾燥性の問題が解決され、数多くの紫外線硬化型インキが、既に実用化されている。
本実施形態の樹脂フィルム11には、油性インキ及び紫外線硬化型インキであれば、オフセット印刷用、凸版印刷用、フレキソ印刷用、スクリーン印刷用等の印刷方式にとらわれず、種々のものが利用可能である。すなわち、本明細書における油性インキ及び紫外線硬化型インキは、オフセット印刷用インキ、凸版印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、スクリーン印刷用インキ等、種々のものが包含される。
インキの粘度は、インキの種類及び印刷方式等により様々であり、特に限定されない。例えば紫外線硬化型インキにおいて、オフセット印刷の場合は300〜800dPa・s、フレキソ印刷の場合は1〜2dPa・sと大きく異なる。用途や要求性能に応じて、適宜選定すればよい。
(13b)適用可能な印刷装置
以上詳述したとおり、本実施形態の樹脂フィルム11は、オフセット印刷は勿論のこと、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等、種々の印刷方式に対応可能である。
(13c)用途
本実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)は、前述のような各種印刷を行うことにより、高光沢で耐候性に優れる印刷物を得ることができる。そのため、例えば、ポスター、パンフレット、カタログや看板等の商業印刷物、本や地図、ブックカバー、しおり等の出版物、包装紙等として有用である。また、本実施形態の樹脂フィルム11は、粘着剤層を積層して粘着ラベル形態とすることで、ラベル、ステッカー、ポップ、シール等の用途に利用できる。さらに本実施形態の樹脂フィルム11は、ヒートシール層を積層してインモールドラベル形態とすることもできる。そして、本実施形態の樹脂フィルム11(ポスター用印刷基材100)は、その基本性能の高さから、例えば日光や雨水の影響を受ける屋外使用を前提とした用途(例えば選挙用ポスター、看板用ポスター、各種ステッカー、各種ラベル)や、サウナや大衆浴場、浴室等の水に晒される用途(ポスター、各種ステッカー、各種ラベル)において殊に有用である。しかも、油性インキ及び紫外線硬化型インキの双方に対応可能であり、印刷方式の多様化が進展している日本全国の数多くの印刷会社において、印刷方式が相違しても比較的に均質な印刷物を、各社同時に且つ比較的に短期間に大量に作製可能となるため、そのような用途(キャンペーン用、オリンピック用、ワールドカップ用、選挙用等)において、殊に有用なものとなる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
(実施例1)
(1) プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)85質量部、及び平均粒子径1.25μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1800」)15質量部を混合した樹脂組成物(C)を、270℃に設定した押出機で溶融混練した。その後、これをシート状に押し出し、さらにこれを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃にまで再度加熱させた後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に5倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
(2) また、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)52質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックHD HJ360」)3質量部、平均粒子径1.25μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1800」)44質量部、及び二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名「タイペーク CR60」)1質量部を混合した樹脂組成物(B)と、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)45質量部、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP EA6A」)45質量部、及びポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学(株)製、商品名「タフマー PN0040」)10質量部を混合した樹脂組成物(A)を、270℃に設定した個別の押出機でそれぞれ溶融混練した。次いで、これらを1台の多層ダイに供給してダイ内部で積層した後、得られた積層物をダイからシート状に共押し出しし、これを上述(1)の工程で得られた縦延伸樹脂フィルムの一方の面上に、(A)の層が外側となるように積層し、三層構造の積層シートを得た。
(3) さらに、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)52質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックHD HJ360」)3質量部、平均粒子径1.25μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1800」)44質量部、及び二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名「タイペーク CR60」)1質量部を混合した樹脂組成物(D)と、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3U」)49質量部、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックHD HJ360」)5質量部、平均粒子径1.25μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ソフトン1800」)45質量部、及びマレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製、商品名「ユーメックス 1001」)1質量部を混合した樹脂組成物(E)を、270℃に設定した個別の押出機でそれぞれ溶融混練した。次いで、これらを(2)とは別の多層ダイに供給してダイ内部で積層した後、得られた積層物をダイからシート状に共押し出しし、これを上述(2)の工程で得られた三層構造の積層シートの縦延伸樹脂フィルム側(上記(C)の層側)の面上に、(E)の層が外側となるように積層し、A/B/C/D/Eの五層構造の積層シートを得た。得られた五層構造の積層シートを60℃にまで冷却した後、再び155℃にまで再加熱して、テンターを用いてシート幅方向に8.5倍延伸し、次いで165℃でアニーリング処理した。その後、再び60℃にまで冷却した後、耳部をスリットして、五層構造(一軸延伸/一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸/一軸延伸)の肉厚110μm(A/B/C/D/E=9μm/16μm/66μm/15μm/4μm)の樹脂フィルムを得た。
(4) 高周波電源(春日電気(株)社製、商品名「AGF−B10」)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、得られた樹脂フィルムをライン処理速度15m/分で通過させながら、印加エネルギー密度2,040J/m 2(34W・分/m 2)の条件で、同フィルムの(A)の層側の表面にコロナ放電処理を行った。
(5) 次いで、コロナ放電処理後の樹脂フィルムの(A)層側表面に、後述する合成例1の塗布剤(i)成分100質量部及び後述する合成例2の塗布剤(ii)成分100質量部を含む塗布剤を、ロールコーターを用いて乾燥後の塗膜の固形分が0.05g/m2となるように塗布し、乾燥固化させて、実施例1の樹脂フィルムを得た。
(6) 得られた樹脂フィルムは、印刷層((A)層)側表面は高光沢でありグロスな外観を有し、バックコート層((E)層)側表面はマットな外観を有するものであった。また、JIS P8142に準拠して測定した(A)層側表面の光沢度は89%であり、同法で測定した(E)層側表面の光沢度は17%であった。一方、(A)層側表面からX線光電子分析法にて測定した酸素原子数濃度は5.0%であった。また、後述するUVインキの転移性、UVインキの密着性、油性インキの乾燥性、及びブロッキング性の評価を行ったところ、何れも結果良好であった。
(合成例1)
塗布剤(i)成分としてグリシドール変性ポリエチレンイミンを以下の手順で合成した。これはアンカー剤として用いる。攪拌機、環流冷却器、温度計、及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)社製、商品名「エポミンP−1000(重合度1600)」)の25質量%水溶液100質量部、グリシドール10質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10質量部を入れて窒素気流下で攪拌し、80℃で16時間変性反応を行って、グリシドール変性ポリエチレンイミン水溶液を得た。これを乾燥した後、赤外分光分析、H−核磁気共鳴分光分析(H−NMR)、及び13C−核磁気共鳴分光分析(13C−NMR)により、グリシドールのエポキシ基がポリエチレンイミンの窒素に付加して生成した構造、及びポリエチレンイミンの窒素の23%がグリシドールと反応した生成物であることを確認した。
(合成例2)
塗布剤(ii)成分としてカチオン系メタクリル酸エステル共重合体を以下の手順で合成した。これは帯電防止剤として用いる。環流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート35質量部、エチルメタアクリレート20質量部、シクロヘキシルメタアクリレート20質量部、ステアリルメタアクリレート25質量部、エチルアルコール150質量と、アゾビスイソブチロニトリル1質量部とを添加し、窒素気流下に80℃で6時間重合反応を行った。次いで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドの60質量%エチルアルコール溶液70質量部を加え、さらに80℃で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去して、最終固形分30%の第4級アンモニウム塩型共重合体を得た。この共重合体は、下記式で示される構造を分子鎖内に含むカチオン系のメタクリル酸エステル共重合体である。
Figure 0006960244
(実施例2〜5、7、参考例6、8、比較例1〜4)
上述の実施例1の樹脂組成物(A)に代えて、表1に記載の原料及び表2に記載の配合比で混合した樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様に行って、実施例2〜5、7、参考例6、8及び比較例1〜4の樹脂フィルムを得た。得られた各樹脂フィルムについて、前述記載の方法により、光沢度、酸素原子数濃度、UVインキの転移性、UVインキの密着性、油性インキの乾燥性及びブロッキング性の評価を行った。評価結果を、表2にまとめて示す。
<測定条件及び評価方法>
(a)光沢度
得られた樹脂フィルムの印刷層((A)層)側表面、及びバックコート層((E)層)側表面の光沢度は、JIS P8142:2005に準拠し、変角光沢計(スガ試験機(株)製、商品名「UGV−6P」)を用いて、入射角/受光角がそれぞれ75°の条件で測定した。
(b)印刷層((A)層)の酸素原子濃度
高周波電源(春日電気(株)製、商品名「AGF−B10」)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、得られた樹脂フィルムをライン処理速度15m/分で通過させながら電圧をかけ、印加エネルギー密度2,040J/m 2(34W・分/m 2)の条件で、同フィルムの(A)の層側の表面にコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理直後の樹脂フィルムを、5mm×10mmの長方形に切り取り、XPS(X線光電子分光計)測定用の試験片を作製した。XPS測定装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、商品名「K−ALPHA」)を用い、アパーチャー径400μm、スキャン回数10回の条件で、1試験片に対して炭素原子量、酸素原子量、窒素原子量、ナトリウム原子量及び塩素原子量の測定をそれぞれ3回行った。各元素の測定結果の合計を100%としたときの酸素原子の割合を求め、3回の平均値を酸素原子濃度とした。
(c)印刷物の適性評価
得られた樹脂フィルムの印刷層((A)層)側の表面に、以下の方法で印刷を施して、得られた印刷物を以下の方法、及び判定基準で適性評価した。
(c1)UV印刷
印刷機((株)小久保精密製、商品名「RI−3型印刷適性試験機」)と紫外線硬化型印刷インキ((株)T&K TOKA製、商品名「ベストキュアーUV161(墨)」)とを用いて、UV印刷を行った。なお、印刷後のインキを固化させるための紫外線照射には、紫外線照射機(アイグラフィックス(株)製、商品名「ECS−401GX」)を用いた。
ここでは、まず樹脂フィルムをA4サイズに打ち抜き、これを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間調整した後、樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、前述の印刷機を用いて前述のインキを1.5g/m 2の厚さとなるようにベタ印刷した。印刷後、上述の紫外線照射機を用いて樹脂フィルムの印刷面に100mJ/cm 2の条件にて紫外線照射を行い、紫外線硬化型インキの乾燥を行って、印刷物を得た。
(c2)UVインキ転移性評価
得られた印刷物の印刷面を、ポータブル分光濃度計(エックスライト(株)製、商品名「508」)を用いて1試料あたり9箇所の印刷濃度を測定し、平均値を求めた。本試験では、印刷濃度が1.4以上である場合に転移性良好(○)、1.4未満である場合に転移性不良(×)として可否を判定した。
(c3)UVインキ密着性評価
耐候性促進処理(暴露試験)
ポスター等の用途においては、屋外使用によってUVインキ印刷物のインキの剥がれが発生し問題となる場合がある。しかし耐候性の評価は、実際に屋外で暴露試験を行うと、気候や天候等の種々の変動ファクターによって結果が振れやすい。本明細書では、印刷物に、JIS K−7350−4に準拠して、均一な条件で耐候性の促進処理(暴露試験)を行った後に、UVインキ密着性の評価を行った。より具体的には、以下の条件で促進処理を行った。
超促進耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス(株)製、商品名「メタルウェザー KU−R5N−A」、メタルハライドランプ式)及び295〜450nmの紫外線光を透過するガラスフィルター「KF−2フィルター」(商品名)を使用した。得られた印刷物を90mm×150mmの寸法に切り取って得た試験片を、印刷面側が暴露面となるように、四方をアルミ箔テープ「AL−T」(竹内工業(株)製、商品名)でステンレス板(100mm×200mm)に貼り付けて固定し、これを試験機内に設置した。試験片の面の放射照度を90W/m 2とし、ブラックパネル温度を63℃とした。温度63℃、相対湿度50%での暴露5時間及び温度30℃、相対湿度98%での暴露3時間を1サイクルとして、促進処理はこれを2サイクル実施した。したがって、印刷面への放射露光量は5.18×10 6J/m 2であった。
UVインキ密着性評価
次いで、耐候性促進処理を施した試験片を、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−2の紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法を参酌し、「インターナルボンドテスター」(熊谷理機工業(株)製、商品名)を用いて印刷面上のインキ層を引き剥がす試験を行った。引き剥がしの際に要した負荷(損失エネルギー)をスケールより求めて、これをUVインキの密着性とした。より具体的には、以下の条件で評価を行った。
耐候性促進処理を施した試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間保管した後、同試験片から幅25mm×長さ45mmの大きさの試験片を3枚採取した。次いで試験片を試料ホルダ上に、両面粘着テープを介して同試験片の印刷面が上を向くように、貼り付けた。次いで同試験片の印刷面上にセロハンテープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ LP−18」)を気泡が入らないように丁寧に手で貼り付けた。次に、試料ホルダの台座位置の試験片及びセロテープ上にアルミアングルを乗せ、同セロハンテープの一方の端部を折り返してアルミアングルの内側に両面粘着テープを介して接着固定して、試料ブロックとした。次いで試料ブロックをアルミアングル取付台とホルダ間に固定し、加圧レバーにより荷重を掛け、試験片の印刷面をセロテープに、試験片の非印刷面を試料ホルダに、それぞれ一定の加圧力で接着させた。プレス荷重は1試料ブロックに対して98N(10kgf)、プレス時間は30秒とした。
次いで一組の試料ブロック(アルミアングル及びホルダに接着した試料)を取り出し、振子がアルミアングルの内側を打つような向きにして、測定部の取り付け台に固定した。振子を右(反時計回り)に90度振り上げ、ストッパ装置の留め金にかけて固定した。指針を始点に合せ、留め金を外して振子を振り下ろし、アルミアングルを打撃した。目盛板上の指針の位置から損失エネルギーを読み取り、記録した。一つの印刷物あたり3点の試験片で上記測定を行い、これらの平均値を算出してインキの密着強度とした。本試験では、インキの密着強度が0.5kgf・cm以上である場合に密着性良好(○)、同値が0.5kgf・cm未満である場合に密着性不良(×)として可否を判定した。
(c4)油性印刷
印刷機((株)小久保精密製、商品名「RI−3型印刷適性試験機」)と酸化重合型合成紙用インキ「ベストSP(墨)」((株)T&K TOKA製、商品名)を用いた。樹脂フィルムをA4サイズに打ち抜き、これを23℃、相対湿度50%の雰囲気下で3日間調整した後、樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、前述の印刷機を用いて酸化重合型合成紙用インキを1.5g/m 2の厚さとなるようにベタ印刷して、印刷物を得た。
(c5)油性インキ乾燥性評価
得られた印刷物を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で印刷面を上向きに(大気に触れるように)静置し、印刷直後から6時間経過後までは1時間おきに、6時間経過後は24時間経過後に、下記の要領でインキの乾燥状態を評価した。先ず印刷物のベタ印刷箇所に、人差し指の腹を、人差し指が反るくらいに押し込み、印刷面の触感を量るとともに、人差し指の腹に印刷インキを転写させた。次いで別に用意した未印刷の樹脂フィルムの印刷層(A)表面に、同人差し指の腹を再度押し込み、同表面への印刷インキの転写具合を下記の基準で評価した。本試験では、印刷より24時間経過後の評価結果から可否を判定した。
5(可) :印刷面にタック感はなく、指及び樹脂フィルムにインキが全く転写しない
4(可) :印刷面にタック感があり、指先の形状にインキが薄く転写する
3(不可):印刷面にタック感があり、指の腹の輪郭に沿ってインキが薄く転写する
2(不可):印刷面にタック感があり、指の腹の形状全体にインキが薄く転写する
1(不可):印刷面に流動感があり、指の腹の形状全体にインキが濃く転写する
(d)アンチブロッキング性評価
本明細書では、樹脂フィルムのシートを重ね合せて荷重をかけた際に、樹脂フィルム同士がくっついてしまうことをブロッキングという。樹脂フィルムにブロッキングが生じると、印刷時のハンドリング性が低下するのみならず、枚葉オフセット印刷時に複数枚を同時に搬送して機上で紙詰まりを起こす等の問題を生じやすく好ましくない。そのため、以下の手順で、アンチブロッキング性の評価を行った。
得られた樹脂フィルムを幅20mm×長さ80mmのサイズに断裁して、試験片を得た。試験片は2枚を1組として、互いに長さ方向に10mmずつずらして、一方のA層と一方のE層が接するように重ね合せて、15組の積層物を用意した。同積層物には、1組ごとにPETフィルム「マイラー」(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名)を挟み込み、組同士がくっつかないようにした。
次に、15組の試験片を、2枚の鉄板(厚さ5mm、幅50mm、長さ80mm)の間に挟み、加圧ジャッキ「J−15」((株)マサダ製作所製)を用いて、気温23℃、相対湿度50%の環境下で10.3MPaの圧力で5分間加圧した。加圧後の試験片15組を剥がれないように取り出し、それぞれの組をテンシロン万能試験機((株)オリエンテック製、商品名「RTM−250」)に取り付けた5kg専用チャック(東洋ボールドウィン(株)製)の把持部に、2枚のずらした10mm部をそれぞれ固定して、引張速度50mm/minで2枚をずり方向に引っ張り、2枚の試験片間の剥離接着強さ(gf)を測定した。自動平衡式記録計(東洋ボールドウィン(株)製、商品栄「AR−6000」)を用いて剥離接着強さの平均値を読み取り、さらに15組の測定値の平均値を求め、アンチブロッキング性を下記の基準で評価した。
○:0gf/20mm〜150gf/20mm
ブロッキングは発生しない。
×:150gf/20mm超
ブロッキングが発生しやすい。
Figure 0006960244
Figure 0006960244
本発明の樹脂フィルムは、ラベル、ステッカー等の粘着加工紙用の原紙、金型内ラベルの原紙、ポスター、パンフレット、カタログ、看板等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙、地図、ブックカバー、しおり等の出版用原紙等の素材として有用である。
11 樹脂フィルム
21 印刷層
31 光沢付与層
41 基層
100 ポスター用印刷基材

Claims (8)

  1. 印刷層、光沢付与層、及び基層が少なくともこの順に積層された積層構造を有し、
    前記印刷層が、前記印刷層の固形分総量に対して、83〜97質量%のプロピレン単独重合体(X)と、合計3〜17質量%のオレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)とを少なくとも含有する
    ことを特徴とする樹脂フィルム。
  2. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)が、メタロセン触媒系のポリプロピレン系熱可塑性エラストマーである
    請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、メタロセン触媒系の軟質ポリプロピレン系樹脂である
    請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記光沢付与層が、前記光沢付与層の固形分総量に対して、45〜65質量%のオレフィン系(共)重合体と35〜55質量%の無機微細粉末及び/又は有機フィラーとを少なくとも含有する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  5. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(Y1)及び/又は前記軟質ポリプロピレン系樹脂(Y2)が、3〜10g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記プロピレン単独重合体(X)が、1〜20g/10minのメルトフローレート(JIS K7210−1:2014)を有する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  7. 前記印刷層が、無機微細粉末を実質的に含有しない
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備える
    ことを特徴とする、ポスター用印刷基材。
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