(電子部品装着機の構成)
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、フィーダ21を備えた電子部品装着機100を示し、電子部品装着機100は、回路基板Bを搬送する基板搬送部10、電子部品を供給する部品供給部20、電子部品を回路基板Bに装着する部品装着部40、リール保持部50およびそれらを制御する制御装置200を有する。なお、以下の説明においては、回路基板Bの搬送方向をX軸方向とし、X軸方向に直角な水平方向をY軸方向とする。
図1に示すように、部品供給部20は、複数のスロット20aと、各スロット20aに着脱可能に装着される複数のフィーダ21とから構成される。スロット20aは、部品供給部20に、X軸方向に複数並列に設けられる。リール保持部50には、キャリアテープ90(図2参照)が巻回された第1リール810および第2リール820が交換可能に保持される。第1リール810と第2リール820は、Y方向に並列して1つずつ配設されるとともに、各フィーダ21に対応してX方向に複数配設される。
各フィーダ21には、第1リール810および第2リール820に巻回されたキャリアテープ90が、挿入可能となっている。そして、一方のリール810(820)に巻回されたキャリアテープ90がフィーダ21によってフィーダ21の先端部に設けられた部品取出位置21aに順次搬送される。これにより、当該キャリアテープ90に保持された電子部品が部品取出位置21aに位置決めされる。この際、他方のリール820(810)に巻回されたキャリアテープ90は、フィーダ21によって搬送されずに待機する。
なお、以下においては、説明の便宜上、搬送中(使用中)のキャリアテープ90と、待機中のキャリアテープ90とを区別するために、前者を第1キャリアテープ90A、後者を第2キャリアテープ90Bと称することがある。この場合、第1キャリアテープに収納された電子部品がすべて使用された後は、第2キャリアテープが第1キャリアテープとなることから、第1キャリアテープ、第2キャリアテープは、特定のキャリアテープを指すものではない。
図2および図3に示すように、キャリアテープ90には、複数の電子部品Pが間隔を有して収納される。実施の形態においては、キャリアテープ90は、エンボス型キャリアテープで例示してある。エンボス型キャリアテープ90は、ベーステープ91と、カバーテープ92とから構成されている。
ベーステープ91には、下方に突出する凸状の部品収納部(エンボス部)91aが間隔を有して形成され、これら部品収納部91aに電子部品Pが収納される。また、ベーステープ91の幅方向の両側には、部品収納部91aの両側からそれぞれ外方に延びる鍔部91bが形成されている。ベーステープ91は、樹脂等の柔軟な材料で構成される。ベーステープ91の一方の鍔部91bには、長手方向に一定間隔をおいて、係合穴(スプロケット穴)91cが貫通形成されている。
カバーテープ92の幅方向の両端部は、ベーステープ91の上面に接着され、部品収納部91aを閉塞する。カバーテープ92によって、部品収納部91aに収納された電子部品Pの飛び出しが防止される。カバーテープ92は、透明な高分子フィルムによって構成される。
図1に示すように、基板搬送部10には、部品装着部40の基台41上に、それぞれ一対のガイドレール13a、13bが設けられる。また、基板搬送部10には、これらガイドレール13a、13bによりそれぞれ案内される回路基板Bを支持して搬送する図略のコンベアベルトと、所定位置に搬送された回路基板Bを持ち上げてクランプする図略のクランプ装置が設けられる。電子部品Pが装着される回路基板Bは、基板搬送部10のガイドレール13a、13bにより案内されつつコンベアベルトにより、X軸方向に部品装着位置まで搬送される。部品装着位置に搬送された回路基板Bは、クランプ装置によって位置決めクランプされる。
部品装着部40は、ガイドレール42、Y軸スライド43、X軸スライド45、図略の吸着ノズルを保持した部品装着ヘッド48を有している。Y軸スライド43およびX軸スライド45は、図略のY軸サーボモータおよびX軸サーボモータにより、Y軸方向およびX軸方向への移動が制御される。ガイドレール42およびY軸スライド43によって、Y軸ロボットが構成される。ガイドレール42は、基台41上にY軸方向に装架されて基板搬送部10の上方に配設される。Y軸スライド43は、ガイドレール42に沿ってY軸方向に移動可能に設けられる。Y軸スライド43は、図略のY軸サーボモータにより、ボールねじ機構を介してY軸方向に移動される。
X軸スライド45により、X軸ロボットが構成される。X軸スライド45は、Y軸スライド43に、X軸方向に移動可能に設けられる。Y軸スライド43には、図略のX軸サーボモータが設けられる。このX軸サーボモータにより、ボールねじ機構を介してX軸スライド45がX軸方向に移動される。X軸スライド45には、部品装着ヘッド48が設けられる。部品装着ヘッド48は、複数の吸着ノズル(図示せず)を着脱可能に保持している。吸着ノズルは、部品取出位置21aに搬送された電子部品Pを吸着して、基板搬送部10によって部品装着位置に位置決めされた回路基板B上に装着する。
X軸スライド45上には、基板カメラ46が取付けられる。基板カメラ46は、基板装着位置に位置決めされた回路基板Bに設けられた基準マーク、あるいは部品取出位置21aに搬送された電子部品Pを上方より撮像し、基板位置基準情報および部品位置情報を取得する。また、基台41上には、吸着ノズルによって吸着された電子部品Pを下方より撮像可能な部品カメラ47が設けられる。
制御装置200は、フィーダ21を制御するものであり、後述するフィーダ21の第1サーボモータ22および第2サーボモータ23の回転を制御する。制御装置200は、マイクロプロセッサや、サーボモータ22、23に駆動電流を供給するドライバを有している。フィーダ21が、部品供給部20のスロット20aに装着されると、図略の通信コネクタを介して電子部品装着機100の本体側からフィーダ21側に電力が供給されるとともに、フィーダID等の必要な情報がフィーダ21側から電子部品装着機100の制御装置200に送信される。これにより、フィーダ21のシリアルIDに基づいて、フィーダ21に装填されたキャリアテープ90によって送られる電子部品Pの情報が取得され、制御装置200に記憶される。
(フィーダの構成)
次に、フィーダ21の構成を、図4、図5を用いて説明する。図4に示すように、フィーダ21は、主に、フィーダ本体21b、テープ搬送路38、前部側スプロケットとしての第1スプロケット61および第2スプロケット62、後部側スプロケットとしての第3スプロケット63および第4スプロケット64、テープ剥離装置70等から構成される。なお、図4および図5は、フィーダ本体21bの側壁を除去して、フィーダ21の内部構造が視認できるようにしている。
図4に示すように、フィーダ本体21bは、扁平な箱形である。フィーダ本体21bには、キャリアテープ90を挿入するためのテープ挿入部21dが後部に形成され、キャリアテープ90を排出するためのテープ排出部21eが前部に形成される。テープ挿入部21dは、テープ搬送路38の幅と同一の幅を有し、テープ搬送路38の入口として形成される。テープ排出部21eは、テープ搬送路38の幅と同一の幅を有し、テープ搬送路38の出口として形成される。テープ搬送路38は、キャリアテープ90をフィーダ本体21bの後方から前方に向かって搬送する。
入口押さえ部材32は、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ90をテープ搬送路38に向けて押さえるもので、テープ挿入部21dに近接してテープ搬送路38の後部上面に沿って配置され、テープ搬送路38に対し離接可能に設けられる。入口押さえ部材32は、下流側押さえ部材33の後部から下方に、一対のシャフト34−2を介して、上下方向移動可能に取付けられる。一対のシャフト34−2には、入口押さえ部材32を下方に付勢するスプリング35−2が取付けられる。
下流側押さえ部材33は、入口押さえ部材32の下流側においてキャリアテープ90を押さえるもので、テープ搬送路38に対し離接可能に設けられる。下流側押さえ部材33は、フィーダ本体21bに取付けられた第1支持部材30−1および第2支持部材30−2に、シャフト34−1を介して、上下方向移動可能に取付けられる。シャフト34−1には、下流側押さえ部材33を下方に付勢するスプリング35−1が取付けられる。
第1スプロケット61および第2スプロケット62は、テープ搬送路38の前部38aの下方のフィーダ本体21bに、すなわち、フィーダ本体21bの部品取出位置21aに隣接する位置に、前方から後方(搬送方向下流側から上流側)に向かってそれぞれ回転可能に設けられる。第3スプロケット63および第4スプロケット64は、テープ搬送路38の後部の下方のフィーダ本体21bに、前方から後方に向かってそれぞれ回転可能に設けられる。
第1スプロケット61、第2スプロケット62、および第3スプロケット63のそれぞれの外周には、一定角度をおいて、係合突起61a、62a、63aがそれぞれ全周に亘って形成される。第4スプロケット64の外周の一部には、180度の間隔をおいて係合突起64aが設けられる。すなわち、第4スプロケット64の係合突起64aの各間には、係合突起が形成されていない部分が存在している。それぞれの係合突起61a〜64aは、キャリアテープ90の係合穴(スプロケット穴)91bと係合可能である。
第1スプロケット61〜第4スプロケット64の外周部よりも内側には、それぞれ、第1スプロケットギヤ61b、第2スプロケットギヤ62b、第3スプロケットギヤ63b、第4スプロケットギヤ64bが形成される。なお、テープ搬送路38の各スプロケット61〜64の上方には、図略の窓穴が設けられ、この窓穴から各係合突起61a〜64aがテープ搬送路38内に突入している。
第1サーボモータ22は、第1スプロケット61および第2スプロケット62を回転させるモータである。第1サーボモータ22の回転軸22aには、第1ドライブギヤ22bが設けられる。第1ギヤ24は、第1スプロケット61および第2スプロケット62の下方のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第1ギヤ24に外周には、第1ドライブギヤ22bと噛合する第1外側ギヤ24aが形成される。第1ギヤ24の外周よりも内側には、第1内側ギヤ24bが形成される。
第2ギヤ25は、第1スプロケット61および第2スプロケット62と第1ギヤ24の間のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第2ギヤ25は、第1スプロケットギヤ61b、第2スプロケットギヤ62b、および第1内側ギヤ24bと噛合している。このような構成によって、第1サーボモータ22の回転が減速されて第1スプロケット61および第2スプロケット62に伝達され、第1スプロケット61および第2スプロケット62が同期して回転する。
第2サーボモータ23は、第3スプロケット63および第4スプロケット64を回転させるモータである。第2サーボモータ23の回転軸23aには、第2ドライブギヤ23bが設けられる。第3ギヤ26は、第3スプロケット63および第4スプロケット64の下方のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第3ギヤ26に外周には、第2ドライブギヤ23bと噛合する第3外側ギヤ26aが形成される。第3ギヤ26の外周よりも内側には、第3内側ギヤ26bが形成される。
第4ギヤ27は、第3スプロケット63および第4スプロケット64と第3ギヤ26の間のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第4ギヤ27は、第3スプロケットギヤ63b、第4スプロケットギヤ64b、および第3内側ギヤ26bと噛合している。このような構成によって、第2サーボモータ23の回転が減速されて第3スプロケット63および第4スプロケット64に伝達され、第3スプロケット63および第4スプロケット64が同期して回転する。
上記した第1サーボモータ22、第2サーボモータ23、およびこれらサーボモータ22、23によって回転される第1スプロケット61〜第4スプロケット64等によって、エンボス型キャリアテープ90を部品取出位置21aに送る送り装置60を構成している。
図5に示すように、操作レバー51は、フィーダ本体21bの後部のテープ挿入部21dより上方で後方に突出するように設けられ、ピボット52を中心にして回動可能に支持される。レバー操作用把持部57(図4も参照)は、操作レバー51より上方でフィーダ本体21bの後部から後方に突出するように形成される。操作レバー51は、作業者がレバー操作用把持部57を掌で握って操作ノブ51bを指で操作し易いように、ピボット52側がレバー操作用把持部57に収容され、操作ノブ51b側がレバー操作用把持部57から突出するように設けられる。
操作レバー51には、後述するように、入口押さえ部材32が作動的に連結される。入口押さえ部材32には、一対のシャフト34−2の間に、係合部材54が設けられる。操作レバー51の中央部には、入口押さえ部材32の係合部材54の下面に係合する作動係合部51aが形成される。操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって図5の反時計回りに回動され、通常は、作動係合部51aを下降した位置に保持し、入口押さえ部材32をスプリング35−2の付勢力によって、テープ搬送路38に当接させる。これによって、通常は、入口押さえ部材32により、テープ挿入部21dよりキャリアテープ90を挿入できないようにしている。
これに対して、操作レバー51の後端に設けられた操作ノブ51bが作業者によって持ち上げられ、操作レバー51がスプリング55の付勢力に抗して回動されると、入口押さえ部材32が作動係合部51aを介してスプリング35−2の付勢力に抗して上昇される。これにより、入口押さえ部材32がテープ搬送路38上より離間され、テープ挿入部21dよりキャリアテープ90の挿入が可能となる。
入口押さえ部材32の後部には、テープ挿入部21dを閉塞する邪魔板56が枢支されている。邪魔板56によって、キャリアテープ90をテープ搬送路38と入口押さえ部材32との間に挿入できないようにしている。なお、入口押さえ部材32の上昇時には、邪魔板56は、図11に示すように、下流側押さえ部材33の後部に係合して回動され、テープ挿入部21dを開放する。
入口押さえ部材32の下流側には、ストッパー部材30が隣接して設けられる。ストッパー部材30は、その中央部分に形成された軸支部31bが下流側押さえ部材33に軸支されて、回動可能となっている。ストッパー部材30の軸支部31bよりも前方の下部には、下方に突出形成された当接部31aが形成される。ストッパー部材30の後端は、停止部31cとなっている。
下流側押さえ部材33とストッパー部材30との間には、当接部31aをテープ搬送路38に当接する方向に付勢する図略のスプリングが設けられる。ストッパー部材30の軸支部31bよりも前方の上部には、上方に向けて突出する突出部31dが形成され、この突出部31dの先端にカムフォロア31eが設けられる。カムフォロア31eには、操作レバー51の前部に形成されたカム部51cが係脱可能に係合される。
操作レバー51がスプリング55の付勢力によって図5の反時計回りに回動され、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に当接する位置に保持されている状態においては、操作レバー51に形成されたカム部51cが、ストッパー部材30のカムフォロア31eより離間される。これによって、ストッパー部材30は図略のスプリングの付勢力により軸支部31bを中心にして、図5の時計回りに回動され、当接部31aをテープ搬送路38に当接させるとともに、停止部31cをテープ搬送路38より離間した位置に保持している。
一方、操作レバー51がスプリング55の付勢力に抗して回動されると、操作レバー51に形成されたカム部51cが、ストッパー部材30のカムフォロア31eに係合して、ストッパー部材30を図略のスプリングの付勢力に抗して図5の反時計回りに回動させ、停止部31cをテープ搬送路38に当接する。これにより、操作レバー51をスプリング55の付勢力に抗して回動させた状態で、第1キャリアテープ90Aがテープ挿入部21dより挿入されると、第1キャリアテープ90Aの先端はストッパー部材30の停止部31cに当接し、所定位置に停止される。
なお、第1キャリアテープ90Aが、ストッパー部材30の当接部31aとテープ搬送路38との間を通過すると、第1キャリアテープ90Aによって当接部31aが持ち上げられ、ストッパー部材30の停止部31cがテープ搬送路38に当接される。従って、その状態で、作業者によって、第2キャリアテープ90Bが、テープ挿入部21dより第1キャリアテープ90A上に挿入されると、第2キャリアテープ90Bの先端がストッパー部材30の停止部31cに当接し、停止される。これにより、第2キャリアテープ90Bの下流への搬送が阻止され、その位置で第2キャリアテープ90Bは待機する。
フィーダ本体21bには、テープ挿入部21dより第1キャリアテープ90Aが挿入されると、第1キャリアテープ90Aの挿入を検出する第1センサ81が取付けられる。第1センサ81は、テープ搬送路38の上面より突出する第1ドッグ82が第1キャリアテープ90Aの挿入によって下降されることによって第1センサ81をオンする。第1ドッグ82は、通常図略のスプリングの付勢力によって、テープ搬送路38の上面より突出する位置に保持されており、第1キャリアテープ90が挿入されると、下方に押圧される。
また、フィーダ本体21bには、操作レバー51が回動されたことを検出する第2センサ83と、第2キャリアテープ90Bが第4スプロケット64上のテープ搬送路38まで搬送されたとき作動される第3センサ85が取付けられる。第2センサ83は、操作レバー51に取付けられた第2ドッグ84によってオンされる。第3センサ85は、第3ドッグ86の回動によってオンされる。
第3ドッグ86は、その中央部分に形成された軸支部86aが下流側押さえ部材33に軸支されて、回動可能となっている。第3ドッグ86は、通常図略のスプリングによって、図5の反時計回りに付勢される。これにより、第3ドッグ86は、テープ搬送路38にキャリアテープ90が存在していないときは、先端がテープ搬送路38の上面に当接されるが、テープ搬送路38に第1キャリアテープ90Aが存在しているときは、先端が第1キャリアテープ90A上の上面に当接される。
図4に示すように、第3スプロケット63の下流側(フィーダ21の後端部側)のフィーダ本体21bには、キャリアテープ90の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第4センサ65が設けられる。第4センサ65は、第1キャリアテープ90Aと第2キャリアテープ90Bとの境界部分を検知するセンサである。第2スプロケット62の上流側(フィーダ21の前端部側)のフィーダ本体21bには、キャリアテープ90の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第5センサ66が設けられる。
浮上防止部材28は、第3スプロケット63と第2スプロケット62の間のテープ搬送路38上に沿って設けられる。浮上防止部材28の前端には、軸支部28aが形成され、この軸支部28aが、フィーダ本体21bに設けられた軸部21cに軸支されて、浮上防止部材28が揺動可能にフィーダ本体21bに取付けられる。浮上防止部材28の後端には、上方に曲げられた案内部28bが形成される。トーションスプリング29は、浮上防止部材28の上方のフィーダ本体21bに取付けられ、浮上防止部材28を下方に付勢している。このトーションスプリング29によって、浮上防止部材28の下面は、テープ搬送路38の上面に密接される。
第1および第2スプロケット61、62が位置するテープ搬送路38の前部38aのフィーダ本体21bの上部には、テープ搬送路38の上方を閉塞するようにテープガイド77が取付けられる。テープガイド77とフィーダ本体21bとの間で、テープ搬送路38がキャリアテープ90の送り方向に沿って形成される。テープガイド77は、スプロケット61等に係合するキャリアテープ90の上方移動および幅方向移動を規制して、キャリアテープ90とスプロケット61、62等との係合を確保する。
テープガイド77は、図6に示すように、下方が開放する断面U字形に形成され、テープガイド77の両側壁77aの前後が、図略のスプリングの付勢力によってフィーダ本体21bの下方に向けて押圧保持される。テープガイド77の上壁77bには、部品取出位置21aを含む所定位置に、切欠き部77cが形成され、キャリアテープ90の部品収納部91aより電子部品Pを取り出せるようにしている。
テープガイド77の上壁77b上には、部品取出位置21aに送られるキャリアテープ90のカバーテープ92を剥離するためのテープ剥離装置70が取付けられる。テープ剥離装置70は、図6および図7に示すように、キャリアテープ90のカバーテープ92の一方の接着部(係合穴91cと反対側の接着部)を剥離する先端が鋭利なカッター71aを有する板状の剥離部材71を備えている。そして、剥離部材71のカッター71aが、部品取出位置21aの手前において切欠き部77cよりテープガイド77内に臨んで、キャリアテープ90の上面に当接するようになっている。剥離部材71のカッター71aは、キャリアテープ90の搬送によって、ベーステープ91の上面とカバーテープ92との間に侵入され、カバーテープ92の一側端部を剥離する(捲る)。ただし、カバーテープ92の他側端部(係合穴91c側)は、常時接着状態を維持される。
また、テープ剥離装置70には、板状の折り返し部材75が剥離部材71上に設けられている。折り返し部材75は、テープ剥離装置70により剥離されたカバーテープ92の一端側を立ち上げて他端側に折り返す。これにより、ベーステープ91の部品収納部91aが開放される。
このように、テープ剥離装置70は、キャリアテープ90が送り移動されることによって、カバーテープ92を剥離しつつ折り返し、部品取出位置21aにおいて電子部品Pを露出させる。キャリアテープ90のうち部品取出位置21aを通過した部位は、フィーダ本体21bの前部に形成されたテープ排出部21eよりフィーダ21の外部に排出される。
テープ搬送路38とテープガイド77の両側壁77aおよび上壁77bとの間には、キャリアテープ90の両側の鍔部91bを搬送可能にガイドするガイド部68(図8参照)が形成される。図7および図8に示すように、テープ搬送路38には、エンボス型キャリアテープ90の部品収納部(エンボス部)91aを挿通可能な凹溝38bが形成されている。凹溝38b内には、キャリアテープ90の両側の鍔部91bをテープガイド77の上壁77bに当接するように上方向に押圧する押圧部材78が配置されている。押圧部材78は、搬送方向に間隔を有して配置されたスプリングからなる複数の付勢部材79の付勢力により、テープガイド77の上壁77bに向けて上方向に押圧される。上記した押圧部材78と付勢部材79とによって押圧装置80を構成している。
押圧部材78は、図8に示すように、テープ搬送路38の凹溝38b内にあって、部品収納部91aの幅方向の両側に位置する一対の脚部78a、および一対の脚部78aを連結する連結部78bを備えるU字状の板材からなっている。一対の脚部78aは、キャリアテープ90の鍔部91bの下面に当接可能で、かつ部品収納部91aを押圧せずに鍔部91bを押圧できる高さを有している。
押圧部材78のフィーダ後方側の一端には、図9に示すように、扁平な板部78cが形成され、この扁平板部78cは、図略の止め具によってフィーダ本体21bに支持されている。押圧部材78は、付勢部材79の付勢力によって扁平板部78cが弾性変形することで一対の脚部78aが鍔部91bに当接される。なお、押圧部材78は、カバーテープ92を剥離する際に発生する静電気を除去できるように、銅製にて構成されている。
(フィーダの動作)
次に、上記した実施の形態に係るフィーダ21の動作について図4、図5、図10および図11を参照して説明する。ここで、第1キャリアテープ90Aは、前方側のリール810に巻回され、第2キャリアテープ90Bは、後方側のリール820に巻回されている。通常は、操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって、図5に示す状態に保持され、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に当接されているとともに、邪魔板56が自重により回動されてテープ挿入部21dを閉塞している。
しかる状態で、図10に示すように、操作レバー51の操作ノブ51bが作業者によって持ち上げ操作される。操作レバー51が持ち上げ操作されると、第2ドッグ84によって第2センサ83が動作され、操作レバー51の作動が検出される。操作レバー51の回動により、作動係合部51aを介して入口押さえ部材32が上昇される。
これにより、入口押さえ部材32がテープ搬送路38から離間されるとともに、邪魔板56が下流側押さえ部材33によって回動される。その結果、テープ挿入部21dが開放されて、キャリアテープ90の挿入が可能となる。同時に、操作レバー51の回動により、ストッパー部材30がカム部51cによって回動され、停止部31cがテープ搬送路38に当接される。
その状態で、作業者により、第1キャリアテープ90Aの先端が、テープ挿入部21dよりテープ搬送路38上に挿入される。そして、第1キャリアテープ90Aは、その先端がストッパー部材30の停止部31cに当接する所定位置まで挿入される。これにより、第1キャリアテープ90Aによって、第1ドッグ82および第3ドッグ86が作動されるので、第1センサ81および第3センサ85が動作され、第1キャリアテープ90Aが所定位置に挿入されたことが検出される。
第1キャリアテープ90Aが停止部31cに当接する位置まで挿入されると、操作レバー51の操作が解除され、操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって、図10の二点鎖線で示す原位置に回動復帰する。操作レバー51の回動復帰により、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に向けて下降され、挿入された第1キャリアテープ90Aをテープ搬送路38に向けて押さえる。
第1キャリアテープ90Aの挿入が検出され、操作レバー51が原位置に回動復帰されたことが検出(第2センサ83がオフ)されると、第2サーボモータ23が駆動され、第3および第4スプロケット63、64が回転される。これにより、第4スプロケット64の係合突起64aが第1キャリアテープ90Aの係合穴91cに係合され、第1キャリアテープ90Aは、第4スプロケット64によって第3スプロケット63側に搬送される。
第4スプロケット64による第1キャリアテープ90Aの搬送により、第1キャリアテープ90Aによって下流側押さえ部材33がスプリング35−1の付勢力に抗して持ち上げられ、第1キャリアテープ90Aは、下流側押さえ部材33とテープ搬送路38との間を搬送される。
この際、第4スプロケット64の係合突起64aは、第4スプロケット64の外周の一部にしか形成されていないので、第1キャリアテープ90Aの係合穴91cに係合突起64aが係合すると、第1キャリアテープ90Aは間欠的に第3スプロケット63側に移動される。その結果、第1キャリアテープ90Aが急激に、第3スプロケット63側に引き込まれることがない。なお、第1キャリアテープ90Aによって下流側押さえ部材33が持ち上げられると、ストッパー部材30および第3ドック86の軸支部31b、86aが、一体的に上昇される。
第4スプロケット64によって搬送される第1キャリアテープ90Aに形成された係合穴91cが第3スプロケット63の係合突起63aと係合すると、第3スプロケット63によって第1キャリアテープ90Aが第2スプロケット62側に搬送される。第3スプロケット63の外周には、全周に亘って係合突起63aが形成されているので、短時間で第1キャリアテープ90Aが第2スプロケット62側に搬送される。
さらに、第1キャリアテープ90Aの先端は、案内部28bとテープ搬送路38の間から、浮上防止部材28の下方に侵入する。第1キャリアテープ90Aの先端は、浮上防止部材28によってテープ搬送路38からの浮き上がりが抑制され、第2スプロケット62に向けて搬送される。第5センサ66が、第3スプロケット63によって搬送された第1キャリアテープ90Aの先端を検出すると、第1サーボモータ22および第2サーボモータ23は、スプロケット61〜64を電子部品Pのピッチ間隔で間欠的に回転させる。
第1キャリアテープ90Aに形成された係合穴91cが第2スプロケット62の係合突起62aに係合すると、第2スプロケット62によって第1キャリアテープ90Aがテープ剥離装置70に送られ、テープ剥離装置70によって第1キャリアテープ90Aからカバーテープ92が剥離される。
この際、第1キャリアテープ90Aは、付勢部材79によって付勢された押圧部材78により、テープガイド77の上壁77bに向けて押圧され、剥離部材71のカッター71aに当接されるので、剥離部材71のカッター71aは、ベーステープ91の上面とカバーテープ92との間に確実に侵入され、第1キャリアテープ90Aからカバーテープ92が的確に剥離される。
そして、第1キャリアテープ90Aに形成された係合穴91cが第1スプロケット61の係合突起61aに係合すると、第1スプロケット61によって第1キャリアテープ90Aの部品収納部91aに収納された電子部品Pが順次部品取出位置21aに位置決めされる。このとき、ベーステープ91から片側が引き剥がされたカバーテープ92は、折り返し部材75によって部品収納部91aとは逆側に反り返った状態にされる。これにより、部品収納部91aは、引き剥がされたカバーテープ92に覆われずに露出するので、電子部品Pは、容易にかつ確実に取り出される。
第1キャリアテープ90Aが、フィーダ21によって搬送されている場合には、図11に示すように、第1キャリアテープ90Aがストッパー部材30の当接部31aを押圧して、ストッパー部材30がスプリング36の付勢力に抗して回動される。これにより、ストッパー部材30の停止部31cが第1キャリアテープ90Aの上面と接触する。
その状態で、前述したように、操作レバー51を回動操作(第2センサ83がオン)して、第2キャリアテープ90Bの先端を、テープ挿入部21dを通して第1キャリアテープ90Aと入口押さえ部材32との間に挿入する。すると、第2キャリアテープ90Bの先端がストッパー部材30の停止部31cに当接し、第2キャリアテープ90Bはその位置で停止される。
これにより、第2キャリアテープ90Bの下流への搬送が阻止され、その位置で第2キャリアテープ90Bは待機する。第2キャリアテープ90Bがストッパー部材30の停止部31cに当接する位置まで挿入されると、第2キャリアテープ90Bによって第3ドッグ86が作動されるため、第2キャリアテープ90Bの挿入が第3センサ85によって検出される。
第2キャリアテープ90Bを挿入した後、操作レバー51の操作を解除すると、操作レバー51は原位置に復帰するが、第1キャリアテープ90Aがストッパー部材30の当接部31aを押圧しているので、ストッパー部材30の停止部31cによって第2キャリアテープ90Bの停止状態が持続される。なお、操作レバー51を回動操作することなく、第2キャリアテープ90Bをテープ挿入部21dより挿入しようとしても、第1キャリアテープ90Aの上面に当接する邪魔板56によって、第2キャリアテープ90Bの挿入が阻止される(図11参照)。
第1キャリアテープ90Aの後端が第2キャリアテープ90Bの先端よりも下流側に搬送されると、第2キャリアテープ90Bに形成された係合穴91cが第4スプロケット64の係合突起64aと係合する。その後、第2キャリアテープ90Bは、第1キャリアテープ90Aによって作られているテープ搬送路38とストッパー部材30との隙間に進入し、第2スプロケット62に向けて搬送される。なお、第2キャリアテープ90Bの先端が当接部31aを押し上げると、前述したように、ストッパー部材30がスプリング36の付勢力に抗して再び回動され、ストッパー部材30によって新たなキャリアテープ90の侵入が阻止される。
図12は、エンボス型キャリアテープ90を押圧する押圧部材78の変形例を示すもので、先の実施の形態と異なる点は、先の実施の形態においては、一対の脚部78aが連結部78bによって連結され、押圧部材78が1つの部材によって構成されているのに対して、変形例においては、図12に示すように、別部材からなるL字形の2つの脚部78a1、78a2によって、押圧部材78が構成されていることである。なお、押圧部材78を押圧する付勢部材79(図8参照)は、2つの脚部78a1、78a2に跨って設けてもよいし、あるいは、2つの脚部78a1、78a2を別々の付勢部材で押圧するようにしてもよい。
上記した実施の形態によれば、フィーダ21は、フィーダ本体21bと、フィーダ本体21bに設けられ、エンボス型キャリアテープ90を部品取出位置21aに送る送り装置60と、フィーダ本体21bに設けられ、部品収納部91aを覆うカバーテープ92を剥離するテープ剥離装置70を備えたテープガイド77と、フィーダ本体21bとテープガイド77との間にエンボス型キャリアテープ90の送り方向に沿って形成され、エンボス型キャリアテープ90の部品収納部91aを挿通可能な凹溝38bを有するテープ搬送路38と、テープ搬送路38の凹溝38b内に配置され、エンボス型キャリアテープ90をテープガイド77に当接する方向に押圧する押圧装置80とを備え、押圧装置80は、凹溝38b内にあって部品収納部91aの幅方向の両側に位置し、部品収納部91aを押圧せずに鍔部91bを押圧するように構成されている。
これにより、押圧装置80によってエンボス型キャリアテープ90の部品収納部91aを押し潰すことなく、エンボス型キャリアテープ90をテープ剥離装置70に的確に当接させることができ、カバーテープ92の剥離を確実に行うことができる。
また、上記した実施の形態によれば、押圧装置80は、鍔部91bを押圧する押圧部材78と、押圧部材78をテープガイド77に当接する方向に付勢する付勢部材79を備える。これにより、付勢部材79によって付勢された押圧部材78によって、部品収納部91aを押し潰すことなく、エンボス型キャリアテープ90をテープ剥離装置70の剥離部材71に押付けることができる。
また、上記した実施の形態によれば、押圧部材78は、凹溝38b内にあって部品収納部91aの幅方向の両側に位置する一対の脚部78a、および一対の脚部78aを連結する連結部78bを備えるU字状の板材を備える。これにより、押圧部材78の一対の脚部78aによりエンボス型キャリアテープ90の両側の鍔部91bを押圧することで、部品収納部91aを押し潰すことなく、エンボス型キャリアテープ90をテープ剥離装置70の剥離部材71に押付けることができる。
さらに、上記した実施の形態によれば、送り装置60は、キャリアテープ90に形成したスプロケット穴(係合穴)91cに係合するスプロケット61(62)、63(64)を2か所に有し、一方のスプロケット61(62)は、部品取出位置21aの近傍に配設され、他方のスプロケット63(64)は、キャリアテープ90が挿入されるテープ挿入部21dの近傍に配設され、前後する2つのキャリアテープ90(第1および第2キャリアテープ90A、90B)をつなぎ合わせることなく部品取出位置21aに連続して送ることができる。
これにより、第1キャリアテープ90Aの使用が終了すると、第2キャリアテープ90Bが自動的に搬送され、第2キャリアテープ90Bの使用を開始できるオートローディング形式のフィーダに適用することができる。
上記した実施の形態においては、エンボス型キャリアテープ90をテープ搬送路38に沿って搬送するフィーダ21について述べたが、テープ搬送路38には、非エンボス型のキャリアテープ(紙テープあるいはパンチテープ)も同様に搬送できるものであり、非エンボス型キャリアテープの搬送により、カバーテープをテープ剥離装置70によって上記したと同様に剥離することができる。
また、上記した実施の形態においては、第1キャリアテープ90Aに係合して第1キャリアテープ90Aに収納された電子部品Pを部品取出位置21aに送るスプロケット61(62)と、待機する第2キャリアテープ90Bに係合して第2キャリアテープ90Bをスプロケット61に係合する位置に送るスプロケット63(64)とを備えたフィーダ21により、第1キャリアテープ90Aと第2キャリアテープ90Bをつなぎ合わせることなく、部品取出位置21aに連続して送るようにした例について述べた。しかしながら、本発明にとって、フィーダ21の構成は特に限定されるものではなく、スプロケットを設けることなく、第1キャリアテープ90Aと第2キャリアテープ90Bをつなぎ合わせることなく、部品取出位置21aに連続して送ることができるフィーダ21であれば、どのような構成のものであってもよい。
斯様に、本発明は上記した実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得るものである。