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JP6948930B2 - タイヤ - Google Patents

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JP6948930B2
JP6948930B2 JP2017238588A JP2017238588A JP6948930B2 JP 6948930 B2 JP6948930 B2 JP 6948930B2 JP 2017238588 A JP2017238588 A JP 2017238588A JP 2017238588 A JP2017238588 A JP 2017238588A JP 6948930 B2 JP6948930 B2 JP 6948930B2
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Description

本発明は、外面に突起が形成されたタイヤに関する。
従来、タイヤのサイド部に微細な突起を形成して、コントラストを有するパターン領域を形成することが行われている。例えば特許文献1には、パターン領域の全体にわたって形成された複数の突起によって、タイヤのサイド部に大きなコントラストを呈する技術が開示されている。
国際公開第2012/131089号
タイヤのサイド部の装飾部は、突起が形成された一の領域を有する。この一の領域の明度は、突起によって光の反射をコントロールすることにより、光をそのまま反射させる他の領域の明度と比して低くなる。しかしながら、突起が形成されている一の領域が、全体的に同様の明度で低くなっているだけでは、タイヤにおいて突起が形成されている装飾部を表現するための幅が限られてしまう。
本発明の課題は、タイヤにおいて突起が形成されている領域を有する装飾部の表現の幅を広げることである。
請求項1に記載のタイヤは、タイヤの外面に形成された凹部の底部であるベース面と、前記ベース面に設けられ、前記ベース面を基準として前記ベース面の垂直方向の高さが漸増する斜面と、前記ベース面、及び前記斜面に設けられ、前記ベース面を基準として前記ベース面からの垂直方向の高さが0.1〔mm〕以上、1.0〔mm〕以下に設定され、1〔mm〕よりも大きく1.0〔mm〕以下の間隔で形成された複数の突起と、を備えている。
請求項1に記載のタイヤによれば、タイヤの外面に凹部の底部であるベース面が形成されており、ベース面には斜面が形成されている。そして、このベース面、及び斜面には、間隔が0.1〔mm〕よりも大きく1.0〔mm〕以下で、かつ、ベース面からの高さが0.1〔mm〕以上で1.0〔mm〕以下とされた突起が複数形成されている。
これにより、パターン領域に入射した光は、突起の向かい合う側面で反射を繰り返しながら減衰して、外側に反射されるので、パターン領域は、突起が形成されていないタイヤの外面の他の領域(平滑な面)と比して明度が低くなっている。
前述したように、パターン領域に入射した光は、突起の向かい合う側面で反射を繰り返しながら減衰するが、突起の高さが低いと光の減衰が少なくなり、タイヤの外側へ反射される光は多くなるので、明度が高くなる。
傾斜面では傾斜面からの突起の高さが漸減するので、傾斜面でタイヤの外側へ反射される光は、突起の高さの高い部分から低い部分に向けて多くなり、徐々に明るくなって見える。即ち、傾斜面では明度にグラデーションがつけられ、明度が一定の場合に比較して、タイヤにおいて突起が形成されている領域の表現の幅を広げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤにおいて、前記複数の突起は、前記ベース面を基準とした前記高さが一定とされている
請求項2に記載のタイヤでは、ベース面と斜面とにベース面からの高さが一定とされた複数の突起を設けることで、斜面から突起の頂部までの高さを漸減させる構成を実現できる。
また、ベース面から計測する突起の高さを一定とすることで、突起を形成するためのモールドに形成する凹部の加工深さを一定にでき、傾斜面以外のベース面を、一定の黒さに維持することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のタイヤにおいて、前記ベース面には前記斜面が二つ設けられており、一方の前記斜面の尾根と他方の前記斜面の尾根とが互いに接続されている。
請求項3に記載のタイヤでは、ベース面には斜面が二つ設けられており、一方の斜面の尾根と他方の斜面の尾根とが互いに接続されているので、二つの斜面を接続した部分では、一方側から他方側に渡って、その高さが漸増して高さのピークを過ぎてから漸減する。
したがって、二つの斜面を接続した部分で、タイヤの外側へ反射される光は、一方側から他方側に渡って徐々に多くなった後に徐々に少なくなる。言い換えれば、徐々に明るくなった後に徐々に暗くなるように見え、徐々に明るくなって急に黒色に見える場合のみに比較して突起を設けた部分の表現の幅を更に広げることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のタイヤにおいて、前記斜面は、前記ベース面に向けて凸となる曲線で形成されている。
斜面が、ベース面に向けて凸となる曲面で形成されているため、ベース面に対する斜面(曲面)の傾斜角度は、裾野部分から頂部に向けて漸増するので、タイヤの外側へ反射される光の量の変化は裾野部分において比較的小さく、頂部付近では比較的大きくなる。
したがって、斜面がベース部に向けて凹となる曲面、または平面で形成される場合に比較して、外観状、斜面の高さが最大となる部分を明るく明瞭に見せることができる。言い換えれば、斜面の裾野付近では明るさの変化が少なく、頂部付近では明るさの変化が大きくなるので、斜面の高さが最大となる部分が目立つようになる。これにより、突起を設けた部分の表現の幅を更に広げることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤにおいて、前記斜面は前記外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されている。
請求項5に記載のタイヤでは、斜面がタイヤの外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されているため、走行時にタイヤ表面に沿って流れる空気の流れに対して斜面が当たり難くなり、空力効果を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のタイヤにおいて、前記突起は、頂部が前記外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されている。
請求項6に記載のタイヤでは、突起の頂部がタイヤの外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されているため、走行時にタイヤ表面に沿って流れる空気の流れに対して突起が当たり難くなり、空力効果を向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のタイヤにおいて、前記斜面には、前記斜面の表面から前記ベース面からの垂直方向に計測する長さが異なる3種類以上の前記突起が設けられている。
斜面に、斜面の表面からの高さの異なる3種類以上の突起を設けることで、滑らかなグラデーションを得ることができる。
なお、斜面において斜面の表面からの突起の高さを異ならせる場合、2種類の高さの異なる突起を設けるようにすると、単位長さ当たりで斜面の高さの変化が大きくなり過ぎることになり、斜面において、応力の集中し易い大きな段差が生じ、段差部分からクラックを発生する懸念がある。一方、高さの異なる3種類以上の突起を設けるようにすれば、単位長さ当たりの斜面の高さの変化が小さくなり、応力の集中が緩和され、クラックが発生し難くなる。
本発明によれば、タイヤにおいて突起が形成されている装飾部の表現の幅を広げることができる。
(A)は本発明の第1実施形態に係るタイヤの側面図であり、(B)は装飾部の低明度領域に設けられたグラデーション領域の底上げ突起と明度との関係を示す説明図であり、(C)は底上げ突起の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るタイヤの装飾部の低明度領域を示した平面図である。 本発明の第1実施形態に係るタイヤの装飾部の低明度領域に形成された突起を示した拡大平面図である。 (A)は、本発明の第1実施形態係るタイヤの装飾部の低明度領域に形成された第一アスタリスク突起を示した断面図であり、(A)は、低明度領域に形成された第二アスタリスク突起を示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係るタイヤの装飾部に形成された低明度領域を示した平面図である。 (A)は本発明の第2実施形態係るタイヤの装飾部の低明度領域を示した断面図であり、(B)は、低明度領域に形成されたリブ状突起の断面図である。 (A)〜(C)は、他の実施形態に係る底上げ突起の断面図である。 本発明の第3実施形態に係るタイヤの装飾部を示したトレッドの斜視図である。 他の実施形態に係るタイヤの低明度領域の断面図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るタイヤの一例について図1〜図5に従って説明する。なお、図中に示す矢印Cは、タイヤ周方向を示し、矢印Rは、タイヤ径方向を示す。
図1(A)に示されるように、タイヤ10のタイヤサイド部12には、装飾部14が形成されている。本実施形態の装飾部14は、タイヤ10の軸方向から見て、円弧状とされているが、周方向に連続した円環状であってもよい。
さらに、タイヤサイド部12において装飾部14以外の領域で、後述する突起等が形成されていない他の領域20に対して一定の寸法で凹んだ平滑なベース面30(図4参照)が、装飾部14に形成されている。本実施形成では、ベース面30は、タイヤサイド部12の他の領域20に対して0.45〔mm〕凹んでいる(図4参照)。なお、本実施形態のベース面30は、他の領域20と同様の表面粗さとされている。
さらに、装飾部14には、他の領域20に比して明度が低く、黒色に見える低明度領域18が全体的に形成されている。低明度領域18は、パターン領域の一例である。
なお、タイヤ10を成形するためのモールド(金型)において、低明度領域18に対応する部分に凹凸を設けることによって、低明度領域18が形成される。低明度領域18は、タイヤサイド部12に配置されることが、車両にタイヤ10を装着した状態での視認性の観点から好ましい。
(低明度領域18)
図2〜図3に示すように、低明度領域18は、ベース面30から突出した複数の第一アスタリスク突起34と、複数の第二アスタリスク突起36とを有している。そして、第一アスタリスク突起34と、第二アスタリスク突起36とは、タイヤ周方向、及びタイヤ径方向に交互に配置されている。第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36は、突起の一例である。
〔第一アスタリスク突起34〕
図3に示すように、第一アスタリスク突起34は、ベース面30に対して直交する方向(タイヤ10の回転軸方向)から見て、基点としての中心O1から夫々異なる方向へ延出された第一延出部35A−1、35A−2、第二延出部35B−1、35B−2、及び第三延出部35C−1、35C−2で構成されている。以下、これらの6本の延出部を、まとめて「延出部34E」と称する。そして、一の延出部34Eと他の延出部34E(中心O1から互いに逆向きに延出されているもの同士を除く)とで、中心O1において屈曲された線形状が構成されている。
第一延出部35A−1と第一延出部35A−2とは、中心O1から互いに逆方向に延出され、第一延出部35A−1と第一延出部35A−2とで直線状に連続した形状が構成されている。第一延出部35A−1は、中心O1からタイヤ径方向の外側に延び、第一延出部35A−2は、中心O1からタイヤ径方向の内側に延びている。そして、第一延出部35A−1と第一延出部35A−2とは同様の長さとされている。以下、第一延出部35A−1と第一延出部35A−2とを、まとめて「第一延出部35A」と称する。
第二延出部35B−1と第二延出部35B−2とは、中心O1から互いに逆方向に延出され、第二延出部35B−1と第二延出部35B−2とで直線状に連続した形状が構成されている。第二延出部35B−1及び第二延出部35B−2は、タイヤ周方向の一方側(図中左側)の端部が他方側(図中右側)の端部と比して、タイヤ径方向の外側に位置するように、タイヤ周方向に対して傾斜している。
第二延出部35B−1は、中心O1からタイヤ周方向の一方側に延び、第二延出部35B−2は、中心O1からタイヤ周方向の他方側に延びている。そして、第二延出部35B−1は、第二延出部35B−2と比して長くされている。さらに、第二延出部35B−2の先端側の部分は、タイヤ径方向の内側に湾曲している。以下、第二延出部35B−1と第二延出部35B−2とを、まとめて「第二延出部35B」と称する。
第三延出部35C−1と第三延出部35C−2とは、中心O1から互いに逆方向に延出され、第三延出部35C−1と第三延出部35C−2とで直線状に連続した形状が構成されている。第三延出部35C−1及び第三延出部35C−2は、タイヤ周方向の一方側(図中左側)の端部が他方側(図中右側)の端部と比して、タイヤ径方向の内側に位置するように、タイヤ周方向に対して傾斜している。
第三延出部35C−1は、中心O1からタイヤ周方向の他方側に延び、第三延出部35C−2は、中心O1からタイヤ周方向の一方側に延びている。そして、第三延出部35C−1は、第三延出部35C−2と比して短くされている。以下、第三延出部35C−1と第三延出部35C−2とを、まとめて「第三延出部35C」と称する。
6本の延出部34Eは、隣り合う延出部34Eと、夫々60°の角度を成している。第一アスタリスク突起34は、換言すると、中心O1から6本の延出部34Eが放射状に延出された形状となっている。
図4(A)に示されるように、第一アスタリスク突起34の延出部34Eにおいて、延出方向と直交する方向の断面は、平坦な頂面34Cを有する略二等辺三角形状とされている。つまり、第一アスタリスク突起34は、頂面34Cと、一対の側面34Dとを有している。本実施形態では、頂面34Cの幅(図中W1)は、0.02〔mm〕とされ、第一アスタリスク突起34の頂角(図中D1)は、26〔度〕とされている。また、ベース面30から計測する第一アスタリスク突起34の高さ(図中H1)は、0.1〔mm〕以上、1.0〔mm〕以下の予め決められた一の値とされている。突起の高さ(突出高さ)が0.1〔mm〕未満の場合は、突起の成形が困難になり、かつ、入射された光を減衰させて黒色に見える程度まで明度を低くできない虞がある(詳細は後述)。さらに、突起の高さを1.0〔mm〕以下とすることで、突起の部分の剛性と突起の周辺の部分の剛性との差を小さくし、局部的な応力集中を抑制させるようになっている。
なお、本実施形態における突起の高さ及び後述する突起の間隔(ピッチ)等の寸法については、一例として、株式会社キーエンスのワンショット3D形状測定機 VR−3000シリーズを用いて測定することができる。
〔第二アスタリスク突起36〕
図3に示すように、第二アスタリスク突起36は、第一アスタリスク突起34と同様の形状をしている。具体的には、第二アスタリスク突起36は、ベース面30に対して直交する方向から見て、中心O1を中心にして第一アスタリスク突起34を時計回り方向に90〔度〕回転させ、さらに、中心O1を中心に90〔度〕回転させた第一アスタリスク突起34の上下を反転させた形状である。
第二アスタリスク突起36において、第一アスタリスク突起34の第一延出部35A−1、35A−2、第二延出部35B−1、35B−2、第三延出部35C−1、35C−2、及び中心O1に対応する部分を、第一延出部37A−1、37A−2、第二延出部37B−1、37B−2、第三延出部37C−1、37C−2、及び中心O2と称する。以下、前述の6本の延出部を、まとめて「延出部36E」称する。
図4(B)に示すように、第二アスタリスク突起36において、第一アスタリスク突起34の頂面34Cに対応する部分を、頂面36Cと称する。さらに、第二アスタリスク突起36において、第一アスタリスク突起34の側面34Dに対応する部分を、側面36Dと称する。なお、第二アスタリスク突起36の高さH1、頂角D1は、第一アスタリスク突起34と同様の規定である。
〔その他〕
図2、図3に示されるように、第一アスタリスク突起34と、第二アスタリスク突起36とは、タイヤ周方向、及びタイヤ径方向に交互に配置されており、低明度領域18の全体を埋めている。
そして、第一アスタリスク突起34の第一延出部35A−1、35A−2の夫々の先端は、タイヤ径方向で隣り合う第二アスタリスク突起36の第二延出部37B−2と第三延出部37C−1の間、第二延出部37B−1と第三延出部37C−2の間に夫々挿入されている。また、第二アスタリスク突起36の第一延出部37A−1、37A−2の夫々の先端は、タイヤ周方向に隣り合う第一アスタリスク突起34の第二延出部35B−1と第三延出部35C−2の間、第二延出部35B−2と第三延出部35C−1の間に挿入されている。
さらに、第一アスタリスク突起34の第三延出部35C−1の先端と、第一アスタリスク突起34に対してタイヤ径方向の外側に配置された第二アスタリスク突起36の第二延出部37B−1の先端とは連結されている。これにより、連結部34Aが形成されている。さらに、第一アスタリスク突起34の第二延出部35B−1の先端と、第一アスタリスク突起34に対してタイヤ周方向の一方側に配置された第二アスタリスク突起36の第三延出部37C−1の先端とは連結されている。これにより、連結部34Bが形成されている。
この構成において、第一アスタリスク突起34と第二アスタリスク突起36とは、タイヤ径方向の内側から外側に向かって、連結部34A、34Bを介して階段状に連結されている。
また、タイヤ径方向及びタイヤ周方向で隣り合う第一アスタリスク突起34と第二アスタリスク突起36において、中心O1と中心O2との間隔(以下「間隔P1」)は、0.1〔mm〕以上1.0〔mm〕以下の予め決められた一の値とされている。間隔P1が0.1〔mm〕未満の場合は、突起の成形が困難となる。さらに、間隔P1が1.0〔mm〕より大きくなると、入射された光を減衰させて、タイヤサイド部12における装飾部14以外の他の領域20に比較して黒色に見える程度まで明度を低くできない虞がある(詳細は後述)。
図4に示すように、第一アスタリスク突起34の高さH1、及び第二アスタリスク突起36の高さH1は、各々装飾部14の深さ寸法D(タイヤサイド部12の他の領域20の表面からベース面30までの寸法)よりも小さいことが好ましい。言い換えれば、第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36は、タイヤサイド部12の他の領域20の表面よりも突出していないことが好ましい。
〔グラデーション領域48〕
本実施形態の装飾部14では、低明度領域18の明度を全体的に一様に低くしておらず(即ち、明度の値を一定の値にしていない)、装飾部を表現するための幅を広げるために、黒色から徐々に明るく見えるような明度のグラデーションを一部につけている。以後、低明度領域18において、グラデーションをつけている領域をグラデーション領域48と呼ぶ。図1に示すように、本実施形態の装飾部14には、タイヤ周方向に対して傾斜して延びる帯状のグラデーション領域48が4本設けられている。
図1(B)に示すように、本実施形態の低明度領域18には、グラデーション領域48を設けるために、ベース面30にリブ状の底上げ突起50が設けられている。底上げ突起50は、底上げ部の一例である。底上げ突起50の長手方向に直角な断面形状は、中央の最も高い尾根50Aから幅方向両側に向けて高さが漸減している。言い換えれば、底上げ突起50は、両方の幅方向端部(裾野)50Cから尾根50Aに向けて高さが漸増している。この底上げ突起50において、尾根50Aの片側の部分(幅方向の半分の部分)が、漸増領域の一例である。尾根50Aの両側に位置する斜面50Bは、タイヤ外側に曲率中心を有し、ベース面30に向けて凸となる略円弧形状面に形成されている。言い換えれば、ベース面30に対する斜面50Bの傾斜角度は、幅方向端部(裾野)50Cから尾根50Aに向けて徐々に漸増している。
なお、この図1(B)に示す左側の底上げ突起50の長手方向に直角な断面図、及び右側の低明度領域18のグラデーション領域48の明度を示す拡大平面図においては第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36の記載を省略しており、右側の平面図においては明度の変化のみを表している。
底上げ突起50の高さH3は、装飾部14の深さ寸法D(図4(A)参照)よりも小さく、且つ第一アスタリスク突起34の高さH1、及び第二アスタリスク突起36の高さH1(図4参照)よりも小さいことが好ましい。本実施形態の底上げ突起50の高さH3は底上げ突起50の長手方向に一定である。なお、底上げ突起50の幅Wは、特に規定は無いが、図2に示すように、グラデーション領域48の幅方向の1/2の半領域48A(底上げ突起50の幅Wの1/2の幅)の中に、幅方向(高さの変化する方向)に複数の第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36が配置されればよい。半領域48Aは、漸減領域の一例である。
ここで、本実施形態のグラデーション領域48のベース面30において、尾根50Aから幅方向端部(裾野)50Cまでの斜面50Bの設けられている領域、言い換えれば、グラデーション領域48の幅方向の1/2の半領域48Aが、本発明の一例としての漸減領域に相当している。ベース面30に斜面50Bを設けることで、複数の第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36において、底上げ突起50の表面(斜面50Bの表面)から計測する高さ(見かけの高さ)Hfを、尾根50Aから幅方向端部(裾野)50Cまでの斜面50Bにかけて漸減させている。
ここで、本実施形態に記載する黒色に見える低明度領域18とは、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計を用いて測定した明度Lの値が、一例として10未満の領域であるが、装飾部14以外の他の領域20よりも黒く見えればよく、明度Lの値は10未満でなくてもよい。
一方、タイヤサイド部12において装飾部14以外の他の領域20(第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36が形成されていない領域)については、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計を用いて測定した明度Lの値が、一例として20より大きい領域であるが、明度Lは20以下であってもよい。つまり、黒色に見える低明度領域18とは、タイヤ10の外面において、相対的に周囲に比べて明度が低い領域のことである。
(作用、効果)
次に、本実施形態に係るタイヤ10の作用効果について説明する。
タイヤサイド部12の第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36が形成されていない他の領域20では、入射した光は、他の領域20を構成する外面によって外側に反射される。
一方、タイヤサイド部12の装飾部14に設けられた低明度領域18では、低明度領域18に形成された第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36へ入射する光が、図4(A)に示す側面34Dに当たる。そして、入射した光は、向かい合う側面34D間で反射を繰り返しながら減衰してから、外側に反射される。
したがって、低明度領域18において外側に反射される光の量は、第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36が形成されていない他の領域20において外側に反射される光の量と比して少なくなり、低明度領域18は他の領域20と比して相対的に黒色に見えるようになる。
また、図1、及び図4に示すように、低明度領域18には、複数の第一アスタリスク突起34、及び第二アスタリスク突起36の底上げ突起50の表面から計測する高さHfを変化させるグラデーション領域48が設けられている。グラデーション領域48において相対的に高さHfの高い第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36が形成されている部分では外側に反射される光の量が少なく相対的に黒く見え、相対的に高さHfの低い第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36が形成されている部分では外側に反射される光の量が相対的に多く、相対的に明るく見える。
グラデーション領域48では、底上げ突起50の高さが徐々に変化しているので、底上げ突起50の低い部分から高い部分に向けて徐々に明るくなって見える。即ち、グラデーション領域48において明度に滑らかなグラデーションがつけられることになるので、明度を一定にした場合に比較して、装飾部14を表現するための幅を広げることができる(手法を増やすことができる)。なお、低明度領域18においては、底上げ突起50の尾根50A付近が相対的に明るく目立つようになる。
図3に示すように、第一アスタリスク突起34の夫々の延出部34Eは、異なる方向に延出されており、第二アスタリスク突起36の夫々の延出部36Eは、異なる方向に延出されている。これにより、低明度領域18に対して視認する角度を変えて低明度領域18を見た場合でも、見え方が異なるのを抑制することができる。
また、第一アスタリスク突起34と、第二アスタリスク突起36とが、連結部34A、34Bを介して階段状に連結されている。これにより、連結部34A、34Bを介して第一アスタリスク突起34と第二アスタリスク突起36が互いに支え合い、第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36の倒れ込みが抑制され、耐久性を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るタイヤの一例について図5、及び図6に従って説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図5、及び図6に示すように、本実施形態の装飾部14のベース面30には、第1実施形態の第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36に代えて、複数のリブ状突起52を設けたものである。図5に示すように、リブ状突起52は、装飾部14の平面視でジグザグ状に形成されている。リブ状突起52は、突起の一例である。
図6に示すように、リブ状突起52において、延出方向と直交する方向の断面は、平坦な頂面52Cを有する略二等辺三角形状とされている。つまり、リブ状突起52は、頂面52Cと、一対の側面52Dとを有している。本実施形態では、頂面52Cの幅(図中Wa)は、0.02〔mm〕とされ、リブ状突起52の頂角(図中Da)は、26〔度〕とされている。また、ベース面30から計測するリブ状突起52の高さ(図中Ha)は、0.1〔mm〕以上、1.0〔mm〕以下の予め決められた一の値とされている。
また、隣り合うリブ状突起52において、一方のリブ状突起52の中心と他方のリブ状突起52の中心との間隔(以下「間隔Pa」)は、0.1〔mm〕以上1.0〔mm〕以下の予め決められた一の値とされている。
本実施形態の装飾部14の低明度領域18に設けたリブ状突起52は、第1実施形態の第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36とは形状が異なるが、第1実施形態と同様の原理で、リブ状突起52に入射した光は、向かい合う側面52D間で反射を繰り返しながら減衰してから、外側に反射される。これにより、本実施形態の低明度領域18においても外側に反射される光の量は、リブ状突起52が形成されていない他の領域20において外側に反射される光の量と比して少なくなり、低明度領域18は他の領域20と比して相対的に黒色に見えるようになる。
本実施形態の低明度領域18においても、リブ状突起52の底上げ突起50の表面から計測する高さを漸減させるグラデーション領域48が設けられているので、グラデーション領域48において相対的に高さの高いリブ状突起52が形成されている部分では外側に反射される光の量が少なく相対的に黒く見え、相対的に高さの低いリブ状突起52が形成されている部分では外側に反射される光の量が相対的に多く、相対的に明るく見える。
したがって、第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36とは異なる形状のリブ状突起52を設けた本実施形態の低明度領域18においても、グラデーション領域48において明度に滑らかなグラデーションがつけることができ、明度を一定にした場合に比較して、装飾部14を表現するための幅を広げることができる(手法を増やすことができる)。
<その他の実施形態>
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
例えば、上記実施形態では、底上げ突起50の斜面50Bの傾斜角度が、両端部から尾根50Aに向けて漸増していたが、図7(A)に示すように、斜面50Bは傾斜角度が一定の平面状であってもよく、図7(B)に示すように、斜面50Bは傾斜角度が両端部から尾根50Aに向けて漸減しており、ベース面30に向けて凹状の曲面状とされていてもよい。なお、図1(C)に示すように、斜面50Bの形状を、タイヤ外側に曲率中心を有し、ベース面30に向けて凸となる略円弧形状面に形成することで、図7(A)、及び図7(B)に示す形状とした場合に比較して、外観上、底上げ突起50の最大高さとなる尾根50Aを明瞭に見せることができる。
また、前述した実施形態の底上げ突起50は、尾根50Aの両側に斜面50Bが設けられていたが、図7(C)に示すように、底上げ突起50は、一方の片側のみが斜面50Bであって、他方の片側がベース面30に対して垂直な垂直面であってもよい。
上記実施形態では、底上げ突起50の高さH3が、底上げ突起50の長手方向に一定であったが、高さH3が長手方向に変化していてもよい。これにより、グラデーション領域48において底上げ突起50の長手方向にグラデーションをつけることができ、装飾部14を表現するための幅を更に広げることができる。
上記実施形態では、底上げ突起50の幅Wが、底上げ突起50の長手方向に一定であったが、幅Wが長手方向に変化していてもよい。これにより、グラデーション領域48において底上げ突起50の長手方向にグラデーションをつけることができ、装飾部14を表現するための幅を更に広げることができる。
上記実施形態では、底上げ突起50がリブ状に連続していたが、断続的に形成されていてもよい。
上記実施形態では、底上げ突起50が一方向に延びるリブ状に形成されていたが、本発明はこれに限らず、例えば、円錐状に形成されていてもよい。これにより、グラデーション領域48を平面視で円状に見せることができ、また、円の中心部の明度が最も高く、中心部から径方向外側に向けて徐々に明度が低くなるように見せることができる。
グラデーション領域48を平面視した際の形状は、円弧状に限らず、直線状等の他の形状であってもよく、文字、ブランドロゴ、マーク等であってもよい。
上記実施形態では、装飾部14全体を低明度領域18としたが、装飾部14の一部分のみを低明度領域18としてもよい(残りはベース面30のみ)。低明度領域18を平面視した際の形状は、円弧状に限らず、直線状等の他の形状であってもよく、文字、ブランドロゴ、マーク等であってもよい。
前述した実施形態では、タイヤ10のタイヤサイド部12に低明度領域18を備えた装飾部14を設けたが、図示は省略するがビード部に装飾部14を設けてもよく、例えば、図8に示すように、トレッド54に形成された溝56の溝底にグラデーション領域48を備えた低明度領域18を設け、溝底を装飾部としてもよい。また、図示は省略するが、溝56の溝側面に低明度領域18を設け、溝側面を装飾部としてもよい。即ち、タイヤ10の外面であれば、装飾部14を設ける部位は限定されない。
例えば、第1施形態の低明度領域18では、その一部をグラデーション領域48とするために、底上げ突起50を設けて突起間の谷深さを変更することで、第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36の底上げ突起50からの高さHfを変更していたが、図9に示すように、第一アスタリスク突起34及び第二アスタリスク突起36のベース面30からの高さを徐々に変更した領域をグラデーション領域48とし、明度に滑らかなグラデーションをつけて装飾部14を表現するための幅を広げることができる(手法を増やすことができる)。
10…タイヤ、12…タイヤ側部、14…装飾部、18…低明度領域(パターン領域の一例)、30…ベース面、34…第一アスタリスク突起(突起の一例)、36…第二アスタリスク突起(突起の一例)、48…グラデーション領域、48A…半領域(漸減領域)、50…底上げ突起(底上げ部、漸増部)

Claims (7)

  1. タイヤの外面に形成された凹部の底部であるベース面と、
    前記ベース面に設けられ、前記ベース面を基準として前記ベース面の垂直方向の高さが漸増する斜面と、
    前記ベース面、及び前記斜面に設けられ、前記ベース面を基準として前記ベース面からの垂直方向の高さが0.1〔mm〕以上、1.0〔mm〕以下に設定され、0.1〔mm〕よりも大きく1.0〔mm〕以下の間隔で形成された複数の突起と、
    備えたタイヤ。
  2. 前記複数の突起は、前記ベース面を基準とした前記高さが一定とされている、
    請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ベース面には前記斜面が二つ設けられており、一方の前記斜面の尾根と他方の前記斜面の尾根とが互いに接続されている、請求項1または請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記斜面は、前記ベース面に向けて凸となる曲線で形成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記斜面は、前記外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記突起は、頂部が前記外面からタイヤ外側へ突出しないように形成されている、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記斜面には、前記斜面の表面から前記ベース面からの垂直方向に計測する長さが異なる3種類以上の前記突起が設けられている、
    請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のタイヤ。
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