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JP6948120B2 - 積層体の製造方法、積層体、バックライト装置、および表示装置 - Google Patents

積層体の製造方法、積層体、バックライト装置、および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、積層体の製造方法、積層体、バックライト装置、および表示装置に関する。
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネル等の透過型画像表示パネルの背面側に配置され、透過型画像表示パネルを照明するバックライト装置を備えている。バックライト装置としては、直下型やエッジライト型のバックライト装置が知られている。
現在、色再現性を高めるために、量子ドットをバックライト装置に組み込むことが検討されている(特許文献1参照)。量子ドットは、一次光を吸収して一次光とは異なる波長の二次光を放出することができる。量子ドットが放出する二次光の波長は、主として量子ドットの粒径に依存する。したがって、量子ドットが組み込まれたバックライト装置では、単一の波長域の光を投射する光源を用いながら、種々の色を再現することができる。例えば、青色光を発する光源を用いる場合、積層体が青色光を吸収して緑色光および赤色光を放出することもできる。このようなバックライト装置は色純度に優れることから、このバックライト装置を用いた表示装置は優れた色再現性を有することになる。
特開2013−218953号公報
量子ドットをバックライト装置に組み込む方式としては、光源中に量子ドットを組み込むオンチップ方式、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するオンエッジ方式、および導光板の出光側や光源上に量子ドットを含有するシート(以下、このシートを「光波長変換シート」を称する)を配置するオンサーフェス方式が知られている。
しかしながら、オンチップ方式においては、光源中に量子ドットを組み込むので、量子ドットが高温に晒されてしまい、量子ドットの変換効率が劣る。また、オンエッジ方式においては、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するので、サイズが大きくなってしまう。特に、モバイル機器においては、小型化が要求されるので、オンエッジ方式では対応することが難しい。
一方、オンサーフェス方式においては、上記の問題がなく、また従来から用いられてきたバックライト装置を利用することも可能である。このようなことから、現在、オンサーフェス方式で量子ドットをバックライト装置に組み込むことが検討されている。
しかしながら、オンサーフェス方式においては、量子ドットを含む光波長変換シートを配置するので、バックライト装置の厚みが厚くなるおそれがある。一方で、近年、画像表示装置の薄型化が求められている。このため、画像表示装置に組み込まれるバックライト装置にも薄型化が求められている。また、オンサーフェス方式のバックライト装置においては製造工程の工程数削減や光の利用効率の更なる向上が求められている。
さらに、オンサーフェス方式のバックライト装置(特にエッジライト型のバックライト装置)においては、発光時に、バックライト装置の発光面の周縁部において、光源から発せられた光の色味が発光面の中央部よりも強く現れてしまうという問題がある。この現象は、量子ドットのようにサイズが小さい(nmサイズ)発光物質を用いた場合により顕著に表れる。例えば、光源として青色光を発する光源を用いた場合には、バックライト装置の発光面の周縁部は発光面の中央部よりも青味が強く現れてしまう(ブルーイング)。
本発明は、バックライト装置の薄型化を図ることができ、バックライト装置の製造工程数を減らすことができ、光利用効率を向上させることができ、発光時において積層体の周縁部の色味が積層体の中央部の色味に比べて際立つことを抑制できる積層体の製造方法、このような積層体、バックライト装置および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、第1の光透過性基材の第1の面側に、複数の単位レンズを有するレンズ層を形成し、かつ前記第1の光透過性基材と前記レンズ層とを一体化する工程と、前記第1の光透過性基材の前記第1の面側に前記レンズ層を形成する前または形成した後に、前記第1の光透過性基材の前記第1の面とは反対側の第2の面側に、硬化性ホストマトリクス前駆体および量子ドットを含む光波長変換層用組成物の塗膜を配置する工程と、前記光波長変換層用組成物の塗膜を硬化させて、光波長変換層を形成するとともに、前記第1の光透過性基材および前記光波長変換層を一体化する工程とを備える、積層体の製造方法が提供される。
上記積層体の製造方法において、前記光波長変換層用組成物の塗膜を配置する工程が、前記第1の光透過性基材の前記第2の面と、第2の光透過性基材の第1の面との間に前記光波長変換層用組成物の塗膜を配置する工程であってもよい。
上記積層体の製造方法において、前記レンズ層を形成する前に前記第1の光透過性基材の前記第1の面にバリア層を形成し、または前記第1の光透過性基材の前記第2の面と前記第2の光透過性基材の前記第1の面との間に前記光波長変換層用組成物を配置する前に前記第1の光透過性基材の前記第2の面にバリア層を形成する工程と、前記第1の光透過性基材の前記第2の面と前記第2の光透過性基材の前記第1の面との間に前記光波長変換層用組成物の塗膜を配置する前に前記第2の光透過性基材の前記第1の面にバリア層を形成し、または前記第2の光透過性基材における前記第1の面とは反対側の第2の面にバリア層を形成する工程とをさらに備えていてもよい。
上記積層体の製造方法において、前記第2の光透過性基材における前記第1の面とは反対側の第2の面側に、凹凸面を有する光拡散層を形成する工程をさらに備えていてもよい。
本発明の他の態様によれば、第1の光透過性基材および前記第1の光透過性基材の第1の面側に設けられ、かつ複数の単位レンズを有するレンズ層を備えるレンズシートと、前記第1の光透過性基材における前記第1の面とは反対側の第2の面側に設けられ、かつホストマトリクスおよび量子ドットを含む光波長変換層とを備え、前記レンズシートと前記光波長変換層が一体化されている、積層体が提供される。
上記積層体において、前記光波長変換層におけるレンズシート側とは反対側に設けられ、かつ前記レンズシートおよび前記光波長変換層と一体化された光透過性シートをさらに備え、前記レンズシートが、前記第1の光透過性基材の前記第1の面または前記第2の面に設けられたバリア層をさらに備え、かつ前記光透過性シートが、第2の光透過性基材と、前記第2の光透過性基材における光波長変換層側の第1の面または前記第2の光透過性基材における前記第1の面とは反対側の第2の面に設けられたバリア層をさらに備えていてもよい。
上記積層体において、前記積層体の表面が前記レンズシートのレンズ面であり、かつ前記積層体が前記表面とは反対側の面である裏面に凹凸面を有していてもよい。
上記積層体において、前記光波長変換層が光散乱性粒子をさらに含み、前記光散乱性粒子と前記ホストマトリクスとの屈折率差が0.10以上であり、前記光散乱性粒子の平均粒子径が前記光波長変換層の膜厚を100%としたときに8%以下であり、前記量子ドットが、1種以上の材料からなり、および/または少なくとも一つの粒子径分布帯を有していてもよい。
本発明の他の態様によれば、量子ドットを含む光透過性基材と、前記光透過性基材の一方の面側に設けられ、かつ複数の単位レンズを有するレンズ層とを備え、前記光透過性基材と前記レンズ層が一体化されている、積層体が提供される。
上記積層体において、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m・24h)以上および23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm/(m・24h・atm)以上の少なくともいずれかを満たしていてもよい。
上記積層体において、前記光波変換層の少なくとも一方の面または前記量子ドットを含む光透過性基材の少なくとも一方の面を覆う、樹脂からなるオーバーコート層をさらに備えていてもよい。
上記積層体において、前記光波長変換層または前記量子ドットを含む光透過性基材が光波長変換粒子をさらに含み、前記光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子と、前記樹脂粒子中に内包された前記量子ドットとを含んでいてもよい。
上記積層体において、前記光波長変換層または前記量子ドットを含む光透過性基材が光波長変換粒子をさらに含み、前記光波長変換粒子が、水蒸気および酸素の透過を抑制するバリア材と、前記バリア材中に内包された前記量子ドットとを含んでいてもよい。
本発明の他の態様によれば、光源と、前記光源からの光を受ける上記の積層体とを備える、バックライト装置が提供される。
上記バックライト装置において、前記光源からの光を受ける入光面、および前記光源からの光を出射させる出光面を有し、前記出光面が積層体側に位置し、かつ前記光源からの光を前記積層体に導く、または前記光源からの光を拡散させる光学板をさらに備えていてもよい。
本発明の他の態様によれば、光源と、上記の積層体と、前記光源からの光を受ける入光面、および前記光源からの光を出射させ、かつ前記積層体の前記凹凸面の一部と光学的に密着し、前記凹凸面の他の部分との間に空気層を形成する出光面を有し、かつ前記光源からの光を前記積層体に導く、または前記光源からの光を拡散させる光学板と、を備える、バックライト装置が提供される。
上記バックライト装置において、前記積層体の周囲および前記光学板の周囲を囲う枠体と、前記枠体に対して前記光源、前記光学板および前記積層体を固定する固定部材とをさらに備え、前記光源が前記光学板と前記枠体との間に配置されており、かつ前記光学板が前記光源からの光を前記積層体に導く導光板であってもよい。
上記バックライト装置において、前記光源が青色光を発し、かつ前記量子ドットが前記青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、前記青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含んでいてもよい。
本発明の他の態様によれば、上記のバックライト装置と、前記バックライト装置の出光側に配置された表示パネルとを備える、表示装置が提供される。
本発明の一の態様の積層体の製造方法によれば、バックライト装置の薄型化を図ることができ、バックライト装置の製造工程数を減らすことができ、光利用効率を向上させることができ、発光時において積層体の周縁部の色味が積層体の中央部の色味に比べて際立つことを抑制できる積層体を提供することができる。また、そのような積層体、およびそのような積層体を備えるバックライト装置および画像表示装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る積層体の斜視図である。 図1の積層体のI−I線に沿った断面図である。 図1に示されるレンズシートの光学的な作用を示す模式図である。 入射光が光散乱性粒子に対しミー散乱する様子を示した模式図である。 光波長変換層に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフの一例である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の積層体の概略構成図である。 第1の実施形態に係る積層体の模式的な製造工程図である。 第1の実施形態に係る積層体の模式的な製造工程図である。 第1の本実施形態に係るバックライト装置を含む表示装置の概略構成図である。 図15に示される上側のレンズシートの斜視図である。 第1の実施形態に係る積層体の固定構造の模式的な平面図である。 図17に示される固定構造の固定部材付近の断面図である。 第1の実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図である。 第2の実施形態に係る積層体の斜視図である。 図20の積層体のII−II線に沿った断面図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る積層体、その製造方法、バックライト装置および表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「シート」、「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」は、シートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられ、また「シート」はフィルムとも呼ばれ得るような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る積層体の斜視図であり、図2は図1の積層体のI−I線に沿った断面図であり、図3は図1に示されるレンズシートの光学的な作用を示す模式図であり、図4は入射光が光散乱性粒子に対しミー散乱する様子を示した模式図であり、図5は光波長変換層に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフの一例である。図6〜図12は本実施形態に係る他の積層体の概略構成図であり、図13および図14は本実施形態に係る積層体の模式的な製造工程図である。
<<<積層体>>>
図1および図2に示されるように、積層体10は、レンズシート20と、光波長変換層30と、光透過性シート40とをこの順で備えている。レンズシート20は、第1の光透過性基材21と、第1の光透過性基材21の第1の面21A側に設けられたレンズ層22と、第1の光透過性基材21の第1の面21Aとは反対側の第2の面21Bに設けられたバリア層23とを備えている。光波長変換層30は、第1の光透過性基材21の第2の面21B側に設けられている。光透過性シート40は、光波長変換層30側の第1の面41Aおよび第1の面41Aとは反対側の第2の面41Bを有する第2の光透過性基材41と、第2の光透過性基材41の第1の面41Aに設けられたバリア層42と、第2の光透過性基材41の第2の面41Bに設けられた光拡散層43とを備えている。積層体10は、レンズシート20および光波長変換層30を備えていればよく、光透過性シート40を備えていなくともよい。レンズシート20や光透過性シート40は、バリア層23、42や光拡散層43を備えていなくともよい。レンズシート20においては、バリア層23は第1の光透過性基材21の第2の面21Bに設けられているが、第1の光透過性基材21の第1の面21Aに設けられていてもよい。この場合、バリア層23は第1の光透過性基材21とレンズ層22との間に配置されている。同様に、光透過性シート40においては、バリア層42は第2の光透過性基材41の第1の面41Aに設けられているが、第2の光透過性基材41の第2の面41Bに設けられていてもよい。また、光拡散層43の代わりに、貼り付き防止層を設けてもよい。なお、以下、説明の簡略化のために、第1の光透過性基材21を光透過性基材21と称し、第2の光透過性基材41を光透過性基材41と称することもある。
積層体10においては、レンズシート20と光波長変換層30が一体化されている。本明細書において、「レンズシートと光波長変換層が一体化されている」とは、レンズシートと光波長変換層との間に空気界面が存在しないようにレンズシートと光波長変換層が直接接触した状態で一体化されている場合に限られず、レンズシートと光波長変換層との間に空気界面が存在しないように任意の層および/または任意の光透過性基材を介してレンズシートと光波長変換層が直接接触していない状態で一体化されている場合を含む。また、本実施形態においては、レンズシート20、光波長変換層30、光透過性シート40が、一体化されている。
図1および図2に示される積層体10の表面10Aはレンズシート20のレンズ面20Aとなっている。本明細書において、「レンズ面」とは、レンズ層においてレンズ作用(屈折作用)を奏する面のことをいう。また、図1および図2に示される積層体10の裏面は凹凸面10Bとなっている。本実施形態においては、積層体10の裏面側においては光拡散層43が最外側層であるので、凹凸面10Bは光拡散層43における光透過性基材41側の面とは反対側に位置する凹凸面43Aとなっているが、凹凸面は他の層で構成されていてもよい。
積層体10の凹凸面10Bの算術平均粗さ(Ra)は、積層体10と後述する光学板82との貼り付きを防止する観点から、0.01μm以上であることが好ましい。「Ra」の定義は、JIS B0601−1994に従うものとする。
<<レンズシート>>
レンズシート20は、入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させる機能を有する。本実施形態においては、図3に示されるように、入射した光L3の進行方向を変化させて出光側から出射させて、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)とともに、入射した光L4を反射させて、光波長変換層30側に戻す機能(再帰反射機能)を有している。レンズシート20は、上記したように、光透過性基材21と、光透過性基材21の第1の面21Aに設けられ、かつ複数の単位レンズ24を有するレンズ層22と、光透過性基材21の第2の面21Bに設けられたバリア層23とを備えている。
<第1の光透過性基材>
光透過性基材21としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、量子ドット32は水分や酸素等で劣化し、発光効率が低下するおそれがあるため、光透過性基材21は水分や酸素の透過を抑制して、量子ドット32を水分や酸素から保護する機能を有するものであることが好ましい。
光透過性基材21の厚みは、特に限定されないが、10μm以上150μm以下であることが好ましい。光透過性基材の厚みが、10μm未満であると、積層体のアッセンブリ、取扱い時における皺や折れが発生するおそれがあり、また150μmを超えると、ディスプレイの軽量化および薄膜化に適さないおそれがある。上記光透過性基材の厚みのより好ましい下限は50μm以上、より好ましい上限は125μm以下である。
光透過性基材21の平均厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)で撮影した断面の画像を用いて算出できる。
光透過性基材21の構成原料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。基材フィルムの構成材料としては、好ましくは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
光透過性基材21は、単一の基材から構成されていてもよいが、複数の基材から構成される積層基材であってもよい。このような積層基材は、用途に応じて、同種の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよい。
<レンズ層>
レンズ層22は、複数の単位レンズ24を備えているが、その他、シート状の本体部25を備えている。複数の単位レンズ24は、本体部25の出光側に並べて配置されている。
本体部25は、単位レンズ24を支持するシート状部材として機能する。図3に示されるように、本体部25の出光側面25A上には、単位レンズ24が隙間をあけることなく並べられている。したがって、レンズシート20の出光面は、レンズ面20Aによって形成されている。その一方で、図3に示すように、本実施の形態において、本体部25は、出光側面25Aに対向する入光側面25Bとして、レンズ層22の入光側面をなす平滑な面を有している。
単位レンズ24は、本体部25の出光側面25A上に並べて配列されている。図1に示されるように単位レンズ24は、単位レンズ24の配列方向ADと交差する方向に線状、とりわけ本実施の形態においては直線状に、延びている。また本実施の形態において、一つのレンズシート20に含まれる多数の単位レンズ24は、互いに平行に延びている。また、レンズシート20の単位レンズ24の長手方向LDは、レンズシート20における単位レンズ24の配列方向ADと直交している。
単位レンズは、三角柱状であってもよいし、波状や例えば半球状のような椀状であってもよい。本実施形態では、単位レンズとして、出光側に向けて幅が狭くなる三角柱状のものについて説明する。本体部25のシート面の法線方向NDおよび単位レンズ24の配列方向ADの両方に平行な断面(レンズシートの主切断面とも呼ぶ)の形状は、出光側に突出する三角形形状となっている。とりわけ、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、主切断面における単位レンズ24の断面形状は二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が本体部25の出光側面25Aから出光側に突出するように、各単位レンズ24が構成されている。
単位レンズ24は、光の利用効率を向上させる観点から、80°以上100°以下の頂角θを有することが好ましく、約90°の頂角θを有することがより好ましい。ただし、積層体の巻き取りの際における単位レンズの先端の破損を考慮すると、単位レンズ24の先端は曲面であってもよい。
レンズシート20の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位レンズ24の具体例として、単位レンズ24の配列ピッチ(図示された例では、単位レンズ24の幅に相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位レンズ24の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位レンズ24の配列ピッチを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。また、レンズシート20のシート面への法線方向NDに沿った本体部25からの単位レンズ24の突出高さを5μm以上100μm以下とすることができる。さらに、単位レンズ24の頂角θを60°以上120°以下とすることができる。
<バリア層>
バリア層23は、水分や酸素の透過を抑制して、量子ドット32を水分や酸素から保護するための層である。また、バリア層23は、光波長変換層30との密着性を向上させる機能を有することが好ましい。
バリア層23の形成材料としては、バリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、無機酸化物、金属、ゾルゲル材料等が挙げられる。具体的には、上記無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiO)等が挙げられ、上記金属としては、例えば、Ti、Al、Mg、Zr等が挙げられ、上記ゾルゲル材料としては、例えば、シロキサン系ゾルゲル材料等が挙げられる。これらの材料は、単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
バリア層23の厚みは、特に限定されないが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。0.01μm未満であると、バリア層のバリア性能が不充分となることがあり、1μmを超えると、バリア層のクラック等によりバリア性能の劣化が起こりやすくなることがある。上記バリア層の厚みのより好ましい下限は0.03μm、より好ましい上限は0.5μmである。
バリア層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、バリア層の断面を撮影し、その断面の画像においてバリア層の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの平均値とする。また、バリア層23は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。バリア層が複数層積層されたものである場合、バリア層を構成する各層は、直接積層形成されていてもよく、貼り合わされていてもよい。
バリア層23の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の蒸着法、又は、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
バリア層23としては、上述したバリア性を有する層であれば特に限定されるものではないが、そのバリア性の高さ等の観点から、蒸着法により形成された蒸着層を用いることが好ましい。
このような蒸着層としては、蒸着法により形成される層であれば、その蒸着法の種類等は特に限定されるものではなく、CVD法によって形成した層であってもよく、またPVD法によって形成した層であってもよい。
上記蒸着層が、例えばプラズマCVD法等のCVD法により形成される場合、緻密でバリア性の高い層を形成することが可能となるが、製造効率やコスト等の面からはPVD法で蒸着層を形成することが好ましい。
PVD法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられるが、そのなかでも、そのバリア性等の面から真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法としては、例えば、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法、又は、高周波誘電加熱方式による真空蒸着法等が挙げられる。
上記蒸着層の材料としては、金属又は無機酸化物が好ましく、具体的には、Ti、Al、Mg、Zr等の金属、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化窒化ケイ素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化イットリウム、B、CaO等の無機酸化物等が挙げられる。そのなかでも、高いバリア性及び透明性を有する点から、酸化ケイ素が好ましい。
上記蒸着層の厚さは、用いられる材料の種類や構成により最適条件が異なり適宜選択されるが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましく、より好ましい上限は500nmである。上記蒸着層の厚さが上記の範囲より薄い場合には、均一な層とすることが困難な場合があり、上記バリア性を得ることができないことがある。また、上記蒸着層の厚さが上記の範囲より厚い場合、蒸着層の成膜後に引っ張り等の外的要因により蒸着層に亀裂が生じること等により、バリア性が著しく損なわれる可能性があり、また、形成に時間を要し、生産性も低下することがある。
バリア層23の下地層として、アンカー層が形成されていてもよい。これにより、バリア性や耐候性を高めることができる。アンカー層の形成材料としては、例えば、接着性樹脂、無機酸化物、有機酸化物、金属等が挙げられる。
上記アンカー層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法、ロールコート法、スピンコート法などが挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。量産性に優れ、アンカー層の密着性を高めることができることから、そのなかでも、成膜時のインラインコートが好ましい。
光透過性基材21上にバリア層23が形成された状態での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)は、23℃、90%Rh(相対湿度)の条件において、1.0×10−1cm/(m・24h・atm)未満であることが好ましく、1.0×10−2cm/(m・24h・atm)以下であることが更に好ましい。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
光透過性基材21上にバリア層23が形成された状態での水蒸気透過率(WVTR:Water Vaper Transmission Rate)は、40℃、90%Rhの条件においては、1.0×10−1g/(m・24h)未満であることが好ましく、1.0×10−2g/(m・24h)以下であることが更に好ましい。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。
<<光波長変換層>>
光波長変換層30は、ホストマトリクス31と、入射した光の波長変換を行うための量子ドット32とを含んでいる。図2に示される量子ドット32は、ホストマトリックス31中に分散されている。また、光波長変換層30は、光散乱性粒子33をさらに含んでいてもよい。積層体において、「光散乱」という用語は、積層体の内部における粒子に起因する光散乱を意味し、「光拡散」という用語は、主に、積層体の表面に起因する光拡散を意味する。
図2に示されるように、光透過性シート40を介して第1の面30Aから光を入射させた場合には、量子ドット32に入射した光(一次光)L1は光L1とは異なる波長の光(二次光)L2に変換されて、第2の面30Bから出射する。一方、光透過性シート40を介して第1の面30Aから光を入射させた場合であっても、量子ドット32間を通過する光L1は波長変換されずに、第2の面30Bから出射する。
光波長変換層30は膜厚がほぼ均一となっている。光波長変換層30の平均膜厚は、10μm以上150μm以下となっていることが好ましい。光波長変換層30の膜厚がこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。
光波長変換層30の平均膜厚は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)でランダムに20ヶ所撮影した断面の画像を用いて算出できる。これらの中でも、光波長変換層30の膜厚がμmオーダーであることを考慮すると、SEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は30kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
<ホストマトリクス>
ホストマトリクス31としては、特に限定されないが、バインダ樹脂等が挙げられる。ホストマトリクスは、硬化性ホストマトリクス前駆体の硬化物(重合物、架橋物)から構成されている。硬化性ホストマトリクス前駆体としては、電離放射線重合性化合物および/または熱重合性化合物等を含む重合性化合物が挙げられる。電離放射線重合性化合物は、電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「電離放射線重合性官能基」とは、電離放射線照射により重合反応し得る官能基である。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、電離放射線重合性化合物を重合する際に照射される電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光波長変換層の外観が悪化するおそれがある。多官能プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱重合性化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、硬化性や耐熱性の観点から、エポキシ樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(主剤)と、酸無水物、アミン化合物、又はアミノ樹脂(硬化剤)と、光カチオン重合開始剤との組み合わせが挙げられる。主剤としてのエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
ウレタン樹脂としては、ポリオール化合物(主剤)と、イソシアネート系化合物(硬化剤)の組み合わせが挙げられる。ウレタン樹脂において、主剤として使用されるポリオール化合物については、特に制限されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン樹脂において、硬化剤として使用されるイソシアネート系化合物については、特に制限されないが、例えば、例えば、ポリイソシアネート、そのアダクト体、そのイソシアヌレート変性体、そのカルボジイミド変性体、そのアロハネート変性体、そのビュレット変性体等が挙げられる。前記ポリイソシアネートとしては、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ジイソシアネート;トラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。前記アダクト体としては、具体的には、前記ポリイソシアネートに、トリメチロールプロパン、グリコール等を付加したものが挙げられる。これらのイソシアネート系化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<量子ドット>
量子ドット32は、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有するナノサイズの半導体粒子である。量子ドット32の粒径は、例えば、1nm以上20nm以下となっている。量子ドット32は、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドット32のエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドット32の粒径又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドット32は、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。
具体的には、量子ドット32は粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットの粒径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドット32が後述するCdSe/ZnSから構成されている場合には、量子ドットの粒径が2.0nm以上4.0nm以下の場合は青色光を発し、量子ドットの粒径が3.0nm以上6.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドットの粒径が4.5nm以上10.0nm以下の場合は赤色光を発する。なお、上記においては、青色光を発する量子ドットの粒子径と緑色光を発する量子ドットの粒子径の範囲が一部において重複しており、また緑色光を発する量子ドットの粒子径と赤色光を発する量子ドットの粒子径の範囲が一部において重複しているが、同じ粒子径を有する量子ドットであっても、量子ドットのシェルの厚みによっても発光色が異なる場合があるので、何ら矛盾するものではない。
本明細書における「青色光」とは、380nm以上480nm未満の波長域を有する光であり、「緑色光」とは、480nm以上590nm未満の波長域を有する光であり、「赤色光」とは、590nm以上750nm以下の波長域を有する光である。
光波長変換層30に含まれる量子ドット32としては、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒径または材料が異なる少なくとも2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。光波長変換層30は、図2に示されるように、量子ドット32として、第1の量子ドット32Aと、第1の量子ドットより粒径が大きい第2の量子ドット32Bとを含んでいる。
上記したように積層体10から出射される光としては量子ドット32に吸収されずに透過する光も存在するので、光源として青色光を発する光源を用い、第1の量子ドット32Aとして青色光を緑色光に変換する量子ドットを用い、第2の量子ドット32Bとして青色光を赤色光に変換する量子ドットを用いた場合には、積層体10から、青色光、緑色光、赤色光が混合した光を出射させることができる。
量子ドット32は、所望の狭い波長域で強い蛍光を発生することができる。このため、積層体10を用いたバックライト装置は、色純度の優れた三原色の光で、表示パネルを照明することができる。この場合、表示パネルは、優れた色再現性を有することになる。
量子ドット32は、主に、約2nm以上10nm以下の半導体化合物からなるコアと、このコアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。シェルはコアを保護する保護層としての機能を有する。
コアとなる材料としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶が挙げられる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。これらの中もで、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性等の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
シェルは、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い半導体化合物を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
量子ドット32は、シェルの外側にリガンドと呼ばれる有機ポリマーを有していてもよい。有機ポリマーは、量子ドットとホストマトリクスとの相溶性を高める機能を有しており、ホストマトリクスの種類によって適宜選択される。
量子ドット32の形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドット16の粒径は、量子ドット32が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドット32の粒径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、量子ドットの結晶構造、粒径については、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒径等に関する情報を得ることもできる。
<光散乱性粒子>
光散乱性粒子33は、光波長変換層30に進入した光を散乱させることによって光の進行方向を変化させる作用を有する粒子である。積層体10において、光散乱性粒子33の平均粒子径が、光波長変換層30の膜厚を100%としたときに8%以下であるであることが好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が8%を超えると、積層体による入射光の光変換効率の向上を充分に図ることができないおそれがあるからである。また、光散乱性粒子33の平均粒子径は、光波長変換層30の膜厚を100%としたときに3%以下であることが好ましい。
光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の膜厚に対して小さくなり過ぎると、光散乱性粒子による入射光の散乱効果が得られにくくなる。このため、光散乱性粒子の平均粒子径は、光波長変換層への入射光が散乱できる範囲を下限とすることが好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径は、積層体の断面顕微鏡観察において観察される光散乱性粒子20個の粒径を測定しその平均値を算出することで求めることができる。
積層体において、上記光散乱性粒子の粒子径を高度に制御することが、入射光の光変換効率の向上させる上で重要となるが、上記光散乱性粒子の屈折率と上記ホストマトリクスとの屈折率差の制御も上記入射光の光変換効率の向上に重要である。具体的には、上記光散乱性粒子の屈折率は、上記ホストマトリクスの屈折率に対して0.10以上の屈折率差を有する。0.10未満の屈折率差であると、優れた光変換効率を得ることができないおそれがある。なお、上記光散乱性粒子の屈折率が高いほど光の散乱効率が高まる傾向にあるため、上記光波長変換層の膜厚に対して平均粒子径のより小さな光散乱性粒子を用いることができる。
光波長変換層に含有させる前の光散乱性粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、ベッケ法、最小偏角法、偏角解析、モード・ライン法、エリプソメトリ法等によって測定することができる。光波長変換層中のホストマトリクス(硬化物)、光散乱性粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、硬化作製した光波長変換層中から光散乱性粒子のかけら、あるいはホストマトリクスのかけらをなんらかの形で取り出したものについてベッケ法を用いることができる。このほか、位相シフトレーザー干渉顕微鏡(エフケー光学研究所製の位相シフトレーザー干渉顕微鏡や溝尻光学工業所製の二光束干渉顕微鏡等)を用いてホストマトリクスと光散乱性粒子との屈折率差を測定することができる。なお、ホストマトリクスが、上述する(メタ)アクリレートとそれ以外の樹脂とを含有する場合、ホストマトリクスの屈折率とは、量子ドットおよび光散乱性粒子を除いた含有する全ての樹脂成分による硬化物の平均屈折率を意味する。
光散乱性粒子33は、光波長変換層30に入射する光に対して主にミー散乱を生じさせる平均粒子径を有することが好ましい。図4は、上記光散乱性粒子が入射光に対しミー散乱をする様子を模式的に示した図であるが、図4に示したように、入射光は、光散乱性粒子33によるミー散乱により、入射光の進行方向に強く散乱される。このような主にミー散乱を生じさせる平均粒子径を光散乱性粒子33が有することで、積層体10による光波長変換効率の向上が極めて優れたものとなる。この理由は、光波長変換層に入射する光が層中の光散乱性粒子により散乱(主にミー散乱)されることで光波長変換層中における光路長が伸び、量子ドットによる波長変換過程が起こる機会が増えるためであると推測される。
積層体10において、光波長変換層30に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフにおいて現れる最大ピークの半値幅の範囲内に、光散乱性粒子33の粒子径分布のうち20%以上が含まれることが好ましい。図5は、光波長変換層に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフの一例である。上記「最大ピーク」とは、図5に示したように、上記グラフは、粒子径の増大により複数のピークが現れるため、そのなかの最大のピーク(通常、図5に示したように粒子径が小さい側で最初に現れるピーク)である。そして、上記最大ピークの半値幅の範囲内に、光散乱性粒子33の粒子径分布のうち20%以上が含まれることで、積層体10は、入射光に対する光波長変換効率の向上を極めて好適に図ることが可能となる。この理由は、粒子径が上記最大ピークの半値幅の範囲内にある光散乱性粒子は、光の散乱効率が高いものであるため、このような光散乱性粒子を多く含有することで光波長変換層に入射する光が層中の光散乱性粒子による散乱がより強くなり、上記光波長変換層中における光路長がさらに伸び、量子ドットによる波長変換過程が起こる機会がより増えるためであると推測される。上記「光散乱性粒子の粒子径分布」とは、その存在比率を縦軸に、粒子径を横軸にした粒子径分布であり、上記粒子径は、上記光波長変換層の断面TEM、STEM又はSEM観察にて測定される。なお、粒子径分布帯の異なる光散乱性粒子を上記光波長変換層が有する場合、各光散乱性粒子の粒子径分布が上記最大ピークの半値幅の範囲内にあることが好ましいが、少なくとも最も含有量の多い光散乱性粒子の粒子径分布が上記最大ピークの半値幅の範囲内にあればよい。
光散乱性粒子33は、無機粒子および/または有機粒子であってよく、具体的には、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)粒子、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、MgO粒子、Al粒子、TiO粒子、BaTiO粒子、Sb粒子、SiO粒子、ZrO粒子、ZnO粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、およびウレタン樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
光散乱性粒子33が無機粒子である場合には、光波長変換層30への入射光を好適に散乱させることが可能となり、該入射光に対する光波長変換効率の向上を好適に図ることが可能となる。特に、光散乱性粒子33はAl粒子、TiO粒子、BaTiO粒子、Sb粒子及びZrO粒子からなる群より選択される少なくとも1種であること好ましい。積層体10による入射光に対する光波長変換効率の向上をより好適に図ることができることから、光散乱性粒子33は、2種以上の材料からなるものであってもよい。この場合、上記2種以上の光散乱性粒子のそれぞれの平均粒子径が、光波長変換層の膜厚に対する上述した要件を満たしていることが好ましい。
光波長変換層に光散乱性粒子を含有させる場合、光波長変換層は、光散乱性粒子100質量部に対して量子ドットを0.01〜10質量部含有することが好ましい。0.01質量部未満であると、入射光に対する光波長変換効率の向上が難しく、10質量部を超えると、輝度の低下を招くことがある。量子ドットの含有量のより好ましい下限は0.1質量部、より好ましい上限は3質量部である。
光波長変換層に光散乱性粒子を含有させる場合、光散乱性粒子は、光波長変換層中、ホストマトリクス100質量部に対して好ましい下限は5質量部、好ましい上限は50質量部である。5質量部未満であると、充分な光波長変換効率の向上が得られないことがあり、50質量部を超えると、上記光散乱性粒子の分散状態の悪化などにより良好な光散乱状態が得られないことがある。
<<光透過性シート>>
光透過性シート40は、上記したように、光透過性基材41と、光透過性基材41の第1の面41Aに設けられたバリア層42と、光透過性基材41の第2の面41Bに設けられた光拡散層43とを備えている。
<第2の光透過性基材>
光透過性基材41は、光透過性基材21と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<バリア層>
バリア層42は、バリア層23と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<光拡散層>
光拡散層43は、積層体10に入射する光を拡散させる機能を有している。光拡散層43を設けることにより、積層体10における光の変換効率を高めることができる。また、積層体はバックライト装置内では後述する光学板と接触するが、積層体と光学板とが貼り付いてしまうと、積層体と光学板との間の界面にウエットアウトと呼ばれる水で濡らしたようなパターンが形成されてしまうので、図1および図2に示されるように、光拡散層43は、積層体10と光学板82との貼り付きを防止するための層に、光拡散層43の光透過性基材41側の面とは反対側の面は、凹凸面43Aとなっていることが好ましい。凹凸面43Aとすることにより、図15に示される光拡散層43と光学板82との接触面積を低下させることができるとともに、光学板82との間に空気層90を形成することができるので、積層体10と光学板82との貼り付きを防止することができる。光拡散層43は、表面凹凸形成粒子44とバインダ樹脂45とを含んでいる。
光拡散層43の表面凹凸形成粒子44とバインダ樹脂45との屈折率差が、0.02以上0.15以下であることが好ましい。0.02未満であると、光学的に表面凹凸形成粒子の持つ屈折率による光拡散性が得られず、積層体の光波長変換効率の向上が不充分となることがあり、0.15を超えると、光拡散層の透過率が低下してしまうことがある。光拡散層43の表面凹凸形成粒子44とバインダ樹脂45との屈折率差のより好ましい下限は0.03以上、より好ましい上限は0.12以上である。なお、表面凹凸形成粒子44の屈折率とバインダ樹脂45の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。ここで、表面凹凸形成粒子44およびバインダ樹脂45の屈折率は、光散乱性粒子33およびホストマトリクス31の屈折率と同様の手法によって測定することができる。
(表面凹凸形成粒子)
表面凹凸形成粒子44の平均粒径としては、例えば、1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。表面凹凸形成粒子の平均粒径が1μm未満であると、積層体の光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光拡散性を出すためには表面凹凸形成粒子の添加量を多くする必要がある。一方、表面凹凸形成粒子の平均粒径が30μmを超えると、光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。なお、表面凹凸形成粒子の平均粒径は、上述した量子ドットと同様の方法で測定することができる。
表面凹凸形成粒子44は、上述した量子ドットの平均粒径の10倍以上2万倍以下であることが好ましく、10〜5000倍であることがより好ましい。10倍未満であると、光拡散層に充分な光拡散性が得られないことがあり、2万倍を超えると、光拡散層の光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。
表面凹凸形成粒子44は、有機材料からなる粒子または無機材料からなる粒子であってもよい。表面凹凸形成粒子44を構成する有機材料としては特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、メラミン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。なかでも、架橋アクリル樹脂が好適に用いられる。また、上記表面凹凸形成粒子を構成する無機材料としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物等が挙げられる。なかでも、シリカ及び/又はアルミナが好適に用いられる。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂45としては、特に限定されないが、光波長変換層30の欄で説明したバインダ樹脂と同様のバインダ樹脂を用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<<他の積層体>>>
図1および図2においては、レンズシート30、光波長変換層30、および光透過性シート40がこの順で積層された積層体10が図示されているが、積層体は、波長変換層30とバリア層23、42との間の密着性をより向上させるために図6に示される構造としてもよく、またこの密着性をより一層向上させるために図7に示される構造としてもよい。
図6に示される積層体50は、レンズシート20、プライマー層51、光波長変換層30、プライマー層52、および光透過性シート40がこの順で積層されたものである。図6において、図2と同じ符号が付されている部材は、図2で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。
<<プライマー層>>
プライマー層51、52はバリア層23、42と光波長変換層30との間の密着性を高める層であり、バリア層23、42と光波長変換層30との間に配置され、かつバリア層41、42と光波長変換層30に密着している。プライマー層51、52の構成材料としては、公知のものを適宜選択して用いて良く、例えば、ホストマトリクスの欄で説明した光重合性化合物と同様の光重合性化合物の重合物や熱硬化性又は熱可塑性のポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂が挙げられる。なお、プライマー層51、52にはそれぞれ異なる構成材料を用いてもよい。また、プライマー層51、52の厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm以上5μm以下とすることが可能である。
図7に示される積層体60は、レンズシート20、接着層61、光透過性基材62、光波長変換層30、光透過性基材63、接着層64、光透過性シート40がこの順で積層されたものである。光透過性基材62、63および接着層61、64は、バリア層23、42と光波長変換層30との間の密着性をさらに向上させるためのものである。図7において、図2と同じ符号が付されている部材は、図2で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。
<<接着層>>
接着層61、64は、バリア層23、42と光透過性基材62、63との間に配置され、かつバリア層23、42と光透過性基材62、63に密着している。接着層61、64の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニルまたはアクリル酸などとの共重合体、エチレンとスチレンおよび/またはブタジエンなどとの共重合体、オレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂および/またはその変性樹脂、光重合性化合物の重合体、およびエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂等の少なくともいずれかを用いることが可能である。接着層61、64の構成材料としてアクリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂を用いることが、耐熱性や接着性の観点から好ましい。なお、接着層61、64にはそれぞれ異なる構成材料を用いてもよい。また、接着層61、64の厚さは、特に限定されないが、例えば、100nm以上30μm以下とすることが可能である。
<<光透過性基材>>
光透過性基材62、63は、接着層61、64と光波長変換層30との間に配置され、かつ接着層61、64と光波長変換層30に密着している。光透過性基材62、63は、光透過性基材21と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<<他の積層体>>>
積層体は、図8に示されるように、レンズシート80と、光波長変換層90と、光透過性シート100とをこの順で備えている積層体70やレンズシート80と、光波長変換層90と、光拡散層43とをこの順で備えている積層体110であってもよい。レンズシート80は、光透過性基材21と、光透過性基材21の第1の面21A側に設けられたレンズ層22とを備えている。また、光透過性シート100は、光透過性基材41と、光透過性基材41の第2の面41Bに設けられた光拡散層43とを備えている。本実施形態のレンズシート80および光透過性シート100は、バリア層を備えていないものである。積層体70においては、レンズシート80、光波長変換層90、および光透過性シート100は一体化されており、積層体110においては、レンズシート80、光波長変換層90、および光拡散層43は一体化されている。なお、積層体70においては、レンズシート80および光透過性シート100は、バリア層を備えていないので、光波長変換層90は光透過性基材21、41と接合されている。また、積層体110においては、レンズシート80は、バリア層を備えていないので、光波長変換層90は光透過性基材21および光拡散層43と接合されている。図8、9において、図2と同じ符号が付されている部材は、図2で示した部材と同じものであるので、後述する内容以外は説明を省略するものとする。
<<光波長変換層>>
光波長変換層90は、ホストマトリクス91と、量子ドット32とを含んでいる。図9に示される量子ドット32は、ホストマトリクス91中に分散されている。レンズシート80および光透過性シート100はバリア層を備えていないので、量子ドットの劣化を抑制する観点から、ホストマトリクス91は、ホストマトリクス31の成分の他、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素(以下、この元素を「特定の元素」と称する。)およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むことが好ましい。量子ドットが劣化しやすいのは、以下のことが原因であると考えられる。まず、上記したように、量子ドットの表面には硫黄系化合物やリン系化合物等からなるリガンドが配位しているが、このリガンドは光や熱で脱離しやすい。リガンドが量子ドットから脱離すると、量子ドットに水分や酸素が付着しやすくなるので、量子ドットは、酸化され、劣化してしまう。これにより、量子ドットが劣化してしまうものと考えられる。これに対し、ホストマトリクス91が上記特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含んでいる場合には、量子ドットの近傍に硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかを存在させることができ、これによりバリア層を設けなくとも量子ドットの劣化を抑制できる。これは、リガンドが量子ドットから脱離した場合であっても、ホストマトリクス91中に存在する硫黄成分、リン成分、窒素成分およびカルボン酸の少なくともいずれかがリガンドの役割を補助するような機能(例えば、リガンドの代わりに量子ドットに結合して、リガンドを代替する機能および酸素を捕捉する機能の少なくともいずれかの機能)を発揮するので、量子ドットの劣化が抑制されるためであると考えられる。特定の元素やカルボン酸は、ホストマトリクス91中に固定されていなくともよいが、特定の元素やカルボン酸の溶出を抑制するためにホストマトリクス91中に固定されていることが好ましい。
ホストマトリクス91を形成するための硬化性ホストマトリクス前駆体は、重合性化合物の他、硫黄含有化合物、リン含有化合物、窒素含有化合物、およびカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物(以下、この化合物を「特定の化合物」と称する。)を含んでいる。硬化性ホストマトリクス前駆体に、特定の化合物を含ませることにより、ホストマトリクス91中に特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含ませることができる。重合性化合物は、上記ホストマトリクスの欄で説明した重合性化合物と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<硫黄含有化合物>
硫黄含有化合物は、硫黄を含む化合物である。硫黄含有化合物としては、特に限定されないが、チオール化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物、チオフェン化合物等が挙げられる。硫黄化合物として、チオール化合物を用いた場合には、光波長変換層中においては、チオール化合物と重合性化合物は、チオール−エン反応により共重合体を形成していることが好ましい。チオール化合物と重合性化合物が共重合することにより、チオール化合物を光波長変換層中に固定することができる。チオール化合物を用いる場合には、電離放射線や熱による硬化性に優れる観点からは、第1級チオール化合物を用いることが好ましいが、塗工時のポットライフや臭気抑制の観点からは、2級チオール化合物または3級チオール化合物を用いるのが好ましい。
1級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に1つの炭化水素基が結合している化合物をいう。2級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に2つの炭化水素基が結合している化合物をいう。3級チオール化合物とは、チオール基が結合している炭素に3つの炭化水素基が結合している化合物をいう。チオール化合物においては、1分子中にチオール基が1以上であればよいが、量子ドットの劣化を抑制する観点から、2以上であることが好ましい。
チオール化合物としては、特に限定されないが、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの劣化抑制の観点から、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 0006948120
式中、Rは水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Rは置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、Rは炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜15のn価の脂肪族基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜30の整数である。
のアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
のアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよい。Rのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。
のアルキル基やRのアルキレン基が置換されている場合、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびフェニル基等から選択される基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が挙げられる。
のアルキル基中またはRのアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基は、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−N=CH−および−CH=CH−からなる群から選択された少なくとも1つの基で置換されていてもよい(式中、Rはそれぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
の脂肪族基に含まれても良い炭素原子以外の原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
これらのうち、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの劣化抑制の観点から、Rが置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基であり、Rが置換されていてもよい炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、Rが炭素原子数1〜10の脂肪族基であり、mが1〜10であり、nが1〜15である1級チオール化合物または2級チオール化合物が好ましい。ここでのRのアルキレン基中の1つのメチレン基または隣接しない2以上のメチレン基も、上記と同様の基によって置換されていてもよい。
1級チオール化合物の具体例としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3−プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
2級チオール化合物の具体例としては、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。3級チオール化合物の具体例としては、tert−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
<リン含有化合物>
リン含有化合物は、リンを含む化合物である。リン含有化合物としては、特に限定されないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、およびホスフィン系化合物が挙げられる。これらの中でも、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの劣化抑制の観点から、下記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
Figure 0006948120
式中、qは0または1の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、水酸基、置換されていてもよい炭素原子数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキニル基、置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいビフェニル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよいフェノキシ基、または置換されていてもよい複素環基、または水酸基を表す。
〜Rのいずれかが置換基を有している場合、置換基としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルキニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、または複素環基等が挙げられる。
複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジル基、ピラジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピロール基、ピラゾリル基、またはテトラゾリル基が挙げられる。
リン化合物としては、具体的には、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ブチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ジメチルビニルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルハイドロゼンホスファイト、ジオレイルハイドロゼンホスファイト等が挙げられる。
<窒素含有化合物>
窒素含有化合物は、窒素を含む化合物である。窒素含有化合物としては、特に限定されないが、光波長変換層の形成の際の硬化性や量子ドットの劣化抑制の観点から、アミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物および3級アミン化合物、ジアミン化合物のいずれであってもよい。
アミン化合物としては、具体的には、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ジステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、オレイルプロピレンジアミン等が挙げられる。
<カルボン酸>
カルボン酸は、カルボキシル基を少なくとも1以上含む化合物である。カルボン酸は、カルボキシル基を2以上含んでいてもよく、また重合性官能基を含んでいてもよい。
上記カルボン酸の重量平均分子量は、揮発性し難く、分散性に優れ、また作業性が容易である観点から、150以上50000以下であることが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。上記カルボン酸の重量平均分子量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸のカルボキシル基当量(重量平均分子量/カルボキシル基数)は、量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、150以上50000以下であることが好ましい。上記カルボン酸のカルボキシル基当量の下限は300以上であることがより好ましく、上限は10000以下であることがより好ましい。
上記カルボン酸の具体例としては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、ペンタエリスリトールとアクリル酸の反応物と無水コハク酸の反応物、3−ブテン酸、10−ウンデセン酸、n−オクタン酸、ステアリン酸、アジピン酸、ドデカニン酸、4,4‘−ジカルボキシジフェニルエーテル、オクタデカンニ酸等が挙げられる。これらの中でも、光波長変換層を構成する樹脂中へのカルボン酸の固定および量子ドットの周囲にカルボン酸を存在させやすくする観点から、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートや2−アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましい。
<<<他の積層体>>>
積層体は、図10に示されるように、レンズシート80と、光波長変換層90と、オーバーコート層121と、光拡散層43とをこの順で備えている積層体120であってもよい。積層体120においては、レンズシート80、光波長変換層90、オーバーコート層121、および光拡散層43は一体化されており、光波長変換層90は光透過性基材21およびオーバーコート層121と接している。本実施形態においては、光波長変換層90の片面にオーバーコート層121が形成されているが、オーバーコート層は光波長変換層の両面に形成されていてもよい。
<<オーバーコート層>>
オーバーコート層121は、光波長変換層90の表面を覆い、かつ塗工によって形成された樹脂からなる層である。オーバーコート層121上に光拡散層等の他の層が形成されていてもよい。
オーバーコート層121は、光波長変換層90が直接大気に暴露されるのを防ぐために設けられているものである。このようなオーバーコート層121を光波長変換層90の少なくとも一方の面に設けることにより、量子ドット32を水分や酸素からより保護することができ、また光透過性基材を光波長変換層90の少なくとも一方の面に設けるよりも、積層体の厚みを薄くできる。
オーバーコート層121は、光波長変換層90が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能以外に、何らかの機能を有していてもよい。具体的には、オーバーコート層121は、例えば、アンチブロッキング性、光拡散性、帯電防止性、および反射防止性等の少なくともいずれかの機能を有する層であってもよい。オーバーコート層121が、光波長変換層90が直接大気に暴露されるのを防ぐ機能およびその他何らかの機能を有する層である場合、オーバーコート層121には、何らかの機能を有するための材料が添加されていてもよい。
オーバーコート層121の膜厚は、光波長変換層90が直接大気に暴露されるのを防ぐとともに、積層体を薄型化する観点から、0.1μm以上100μm以下となっていることが好ましい。オーバーコート層121の膜厚は、光波長変換層30の膜厚と同様の手法によって測定することができる。オーバーコート層121の膜厚の下限は1μm以上であることがより好ましく、上限は50μm以下であることがより好ましい。
オーバーコート層121は、スクラッチ試験において垂直力10μN以上および水平力−5μN以下の少なくともいずれかとなる硬度を有することが好ましい。オーバーコート層51、52がこのような硬度を有している場合には、オーバーコート層121は緻密な膜となるので、光波長変換層90を大気暴露から防ぐ能力が高い。スクラッチ試験における垂直力および水平力は、ナノインデンテーション装置(製品名「TI950 TriboIndenter」、HYSITRON(ハイジトロン)社製)を用いて、オーバーコート層の断面からオーバーコート層の内部方向に圧子(Cube Corner:Ti037_110410(12))を50nm押し込み、その深さを一定として、30秒間この圧子を移動速度4μm/minで水平方向に移動させた際に測定される垂直力(荷重)および水平力の平均値をそれぞれ求め、さらにこのスクラッチ試験を5回繰り返すことによって求めた垂直力の5つの平均値の平均値(5回平均値)および水平力の5つの平均値の平均値(5回平均値)とする。垂直力は数値が大きいほど、水平力は数値が小さいほどオーバーコート層121の硬度が高い。光波長変換層90を大気暴露から防ぐ能力を高める観点から、オーバーコート層121のスクラッチ試験における垂直力は15μN以上であることがより好ましく、また水平力は−8μN以下であることがより好ましい。
オーバーコート層121は、上記硬度を有すれば、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ化合物、イソシアネートおよびポリオールの組み合わせ、金属アルコキシド、ケイ素含有樹脂、水溶性高分子、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成することが可能である。これらの中でも、オーバーコート層121は、光波長変換層90が直接大気に暴露されるのを防ぐ観点から、アクリル酸亜鉛、アルコキシシランの加水分解生成物、ポリビニルアルコール、ポリシラザン、またはこれらの混合物を含むオーバーコート層用組成物を用いて形成されることが好ましい。
<<<他の積層体>>>
積層体は、図11に示されるように、レンズシート80と、光波長変換層140と、光透過性シート100とをこの順で備えている積層体130であってもよい。積層体130においては、レンズシート80、光波長変換層140、および光透過性シート100は一体化されている。なお、レンズシート80および光透過性シート100は、光波長変換層140と接合されている。また、光透過性シート100の代わりにオーバーコート層を形成してもよい。
光波長変換層140は、ホストマトリクス31と、光波長変換粒子141とを含んでいる。光波長変換粒子141は、ホストマトリクス31中に分散されている。光波長変換粒子141は、樹脂粒子142と、樹脂粒子142に内包された量子ドット32とを含む。なお、光波長変換粒子141は、樹脂粒子142の表面を覆うコート層をさらに備えていてもよい。
積層体130においては、レンズシート80および光透過性シート100はバリア層を備えていないので、量子ドット32の劣化を抑制する観点から、樹脂粒子142は、上記特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含むことが好ましい。樹脂粒子142に含まれる特定の元素やカルボン酸は、上記と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
樹脂粒子142が、特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含んでいるか否かは、以下のようにして確認することができる。まず、量子ドットのシェルの表面には、硫黄系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、またはカルボキシル基含有化合物等からなるリガンドが結合しているので、光波長変換粒子から特定の元素やカルボン酸が検出された場合であっても、検出された特定の元素やカルボン酸は、樹脂粒子に含まれる特定の元素やカルボン酸であるとは限らない。一方で、量子ドットのリガンドはシェルの表面に結合しており、またリガンドの配位部位の大きさは通常1nm以内程度であるので、シェルの表面から3nm以上離れた位置には存在しない。したがって、量子ドットのシェルの表面から3nm以上離れた樹脂粒子の表面または内部の任意の位置において、X線光電子分光分析(XPS)やエネルギー分散型X線分析(EDS)によって特定の元素が検出されれば、または顕微赤外分光分析(IR)によってカルボン酸が検出されれば、樹脂粒子が特定の元素やカルボン酸を含んでいると判断できる。
光波長変換粒子がコート層を備える場合、コート層の機能は、特に限定されないが、例えば、コート層は、樹脂粒子の形状保持機能、樹脂粒子中の成分の粒子外への溶出防止機能、樹脂粒子内への分散液や組成物中の成分の浸透防止機能、酸素や水蒸気に対するバリア性付与機能、樹脂粒子に入射する励起光の反射防止機能、および分散液や組成物としたときの樹脂粒子分散性付与機能の少なくともいずれかの機能を有する。
コート層の膜厚は、コート層が発揮する機能にもよるが、製造のしやすさおよび樹脂粒子を適度な大きさとする観点から、10nm以上5000nm以下となっていることが好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましい。特にコート層がバリア性付与機能を発揮する場合には、バリア性を保ちつつ、コート層のクラック等を防止する観点からコート層の膜厚は50nm以上1000nm以下となっていることがより好ましい。また、コート層が反射防止機能を発揮し、かつ屈折率が後述する光波長変換層のバインダ樹脂<コート層<樹脂粒子の関係または光波長変換層のバインダ樹脂>コート層>樹脂粒子の関係を満たす場合には、光波長変換粒子表面での反射を抑制し、励起光を効率よく樹脂粒子内に取り込む観点からコート層の膜厚は50nm以上300nm以下となっていることがより好ましい。コート層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換粒子の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換粒子1の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
コート層の機能にもよるが、コート層が樹脂粒子の形状保持機能を有する場合には、コート層は、例えば、重合性化合物を含むコート層用組成物を用いて形成することが可能である。重合性化合物は、上記ホストマトリクスの欄で説明した重合性化合物と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
光波長変換粒子141においては、蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子141中の特定の元素の含有量は、0.5質量%以上となっていることが好ましい。特定の元素の含有量が0.5質量%以上であると、量子ドットの劣化をより抑制できる。特定の元素の含有量の測定は、蛍光X線分析装置(製品名「EDX−800HS」、島津製作所製)を用いることにより行うことができる。蛍光X線分析(XRF)により測定される光波長変換粒子1中の特定の元素の含有量の下限は、1質量%以上であることがより好ましく、特定の元素の含有量の上限は20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。特定の元素の含有量が20質量%を越えると、光波長変換粒子の形成時に充分な硬化が行われないおそれがある。
光波長変換粒子141の平均粒子径は、量子ドット32の平均粒子径の2倍以上であり、かつ50μm以下であることが好ましい。光波長変換粒子141の平均粒子径が、量子ドット4の平均粒子径の2倍以上であると、量子ドット32からの光波長変換粒子141の表面までの距離を充分に確保できるので、水分や酸素から量子ドット32の劣化をより抑制できる。また、光波長変換粒子141の平均粒子径が、50μm以下であると、分散性が良好で、光波長変換部材の加工時に欠点となりにくい。光波長変換粒子141の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による光波長変換粒子の観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めるものとする。光波長変換粒子141の平均粒子径の下限は、量子ドットの劣化をより抑制する観点から、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、また光波長変換粒子1の平均粒子径の上限は30μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
光波長変換粒子141の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光波長変換粒子1の粒子径は、光波長変換粒子141の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光波長変換粒子141は、1個あたり1個以上の量子ドット4を含んでいることが好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個を下回ると、輝度が低くなるおそれがある。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することにより求めるものとする。
光波長変換粒子141は、1個あたり2個以上の量子ドット32を含んでおり、かつ1個の光波長変換粒子141に含まれる量子ドット32における量子ドット32間の平均距離が1nm以上であることが好ましい。量子ドット間の平均距離が1nm未満であると、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれがある。量子ドット間の平均距離は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から量子ドット間の距離を算出し、算出した量子ドット間の距離の平均値を算出することにより求めるものとする。量子ドット32における量子ドット32間の平均距離の上限は100nm以下であることがより好ましい。
光波長変換粒子141は、例えば、以下の方法によって作製することができる。まず、量子ドット32、重合性化合物、および上記特定の化合物を含む光波長変換組成物を、水等の貧溶媒中で粒状に分散させる。そして、光波長変換組成物を粒状に分散させた状態で、光波長変換組成物を、例えば懸濁重合または乳化重合などによって重合させる。これにより、光波長変換粒子141を得ることができる。「貧溶媒」とは、光波長変換組成物がほぼ溶解しない溶媒を意味し、水等の極性溶媒が挙げられる。光波長変換組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。
また、光波長変換粒子141は、以下の方法によっても作製することもできる。まず、量子ドット32、重合性化合物、および上記特定の化合物を含む光波長変換組成物に電子放射線を照射し、または加熱して光波長変換組成物を硬化させて、光波長変換組成物の硬化物を得る。そして、この硬化物を、例えば、ビーズミルによって、粉砕する。これにより、光波長変換粒子141を得ることができる。光波長変換組成物は、重合開始剤を含んでいることが好ましい。
<<<他の積層体>>>
積層体は、図12に示されるように、レンズシート80と、光波長変換層160と、光透過性シート100とをこの順で備えている積層体150であってもよい。積層体150においては、レンズシート80、光波長変換層160、および光透過性シート100は一体化されている。なお、レンズシート80および光透過性シート100は、光波長変換層160と接合されている。また、光透過性シート100の代わりにオーバーコート層を形成してもよい。
光波長変換層160は、ホストマトリクス31と、光波長変換粒子161とを含んでいる。光波長変換粒子161は、ホストマトリクス中31に分散されている。光波長変換粒子161は、量子ドット32と、量子ドット32を包み、量子ドット32を水分や酸素から保護する光透過性のバリア材162とから構成されている。
バリア材162は、量子ドット32を包み、光透過性を有し、かつ水分および酸素の透過を抑制するバリア性を有するものである。量子ドット32をバリア材162で包むことにより、量子ドット32が水分や酸素に接触することを抑制できるので、量子ドット32が水分や酸素によって劣化することを抑制できる。これにより、バリア層を設けなくとも量子ドット32の発光効率の低下を抑制できる。本明細書において、「光透過性」とは、光を透過させる性質を有することを意味し、「光透過性」には透明も含まれる。量子ドットがバリア材で包まれている場合には、積層体から出射される量子ドットからの発光を確認することができれば、バリア材は光透過性を有すると言える。量子ドットの発光は蛍光光度計を用いて確認することができる。「バリア性」は、積層体において、40℃、相対湿度90%環境下に300時間放置する耐久性試験を行い、耐久性試験前後における積層体の発光ピーク強度の低下率が10%以内であれば、バリア材はバリア性があると判断することができる。ただし、積層体を透過した光源からの光は、積層体の発光により生じた光ではないので、積層体を透過した光源からの光のピーク強度は積層体の発光ピーク強度には含めないものとする。また、積層体から出射される光の発光ピークが複数存在する場合において、「発光ピーク強度の低下率が10%以内である」とはそれぞれの発光ピークにおける強度の低下率が10%以内であることを意味する。耐久性試験前後における積層体の発光ピークの低下率をAとし、耐久試験前の積層体の発光ピーク強度をBとし、耐久試験後の積層体の発光ピーク強度をCとすると、耐久性試験前後における積層体の発光ピークの低下率(A)は、以下の式によって求められる。
A=(B−C)/B×100
バリア材162の形成材料としては、光透過性を有し、かつバリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、無機酸化物が挙げられる。具体的には、上記無機酸化物としては、例えば、シリカ等の酸化ケイ素(SiO)、アルミナ等の酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiO)等が挙げられ、これらの中でも、酸素や水蒸気の透過性が低いという観点からガラス等のシリカまたはアルミナが好ましい。これらの材料は、単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、酸化物半導体を除く無機酸化物を用いることも可能である。
光波長変換粒子161は、1個あたり1個以上50個以下の量子ドット32を含んでいることが好ましく、1個あたり1個以上40個以下または1個以上35個以下の量子ドット32を含んでいることがより好ましい。光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が1個を下回ると、輝度が低くなるおそれがあり、また光波長変換粒子1個に含まれる量子ドットの数が50個を上回ると、量子ドット間のエネルギー移動に起因してクエンチングを起こす濃度消光により、発光効率が低下するおそれがある。1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から1個の光波長変換粒子に含まれる量子ドットの個数を算出し、算出した量子ドットの個数の平均値を算出することで求めることができる。
光波長変換粒子161は、1個あたり2個以上の量子ドット32を含んでおり、かつ1個の光波長変換粒子162に含まれる量子ドット32における量子ドット32間の平均距離が1nm以上であることが好ましい。量子ドット間の平均距離が1nm未満であると、量子ドット間のエネルギー移動が起こり易く、発光効率が低下するおそれがある。量子ドット間の平均距離は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いてランダムに20個の光波長変換粒子の断面を10万倍〜50万倍の倍率で撮影し、得られた断面の画像から量子ドット間の距離を算出し、算出した量子ドット間の距離の平均値を算出することで求めることができる。光波長変換粒子125における量子ドット32間の平均距離の上限は100nm以下であることがより好ましい。
光波長変換粒子161の平均粒子径は、10nm以上500nm以下であることが好ましい。光波長変換粒子の平均粒子径が、10nm未満であると、量子ドットに対し充分にバリア性を付与することができず、量子ドットが酸化劣化等を起こすおそれがあり、また500nmを超えると、理由は定かではないがバリア材のバリア性が不安定になるおそれがある。光波長変換粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による光波長変換粒子の観察において光波長変換粒子20個の粒子径を測定し、その平均値を算出することで求めるものとする。光波長変換粒子161の平均粒子径の下限は、20nm以上であることが好ましく、光波長変換粒子161の平均粒子径の上限は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
量子ドット32がCdを含んでいる場合、量子ドット32に含まれるCdの溶出を防ぐために、バリア材162の厚み(量子ドットの表面からバリア材の外表面までの距離)が2nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましい。バリア材162の平均粒子径が50nm程度である場合には、バリア材162の厚みは10nm以上とすることも可能である。また、光波長変換粒子161の平均粒子径が100nm程度である場合には、バリア材161の厚みは20nm以上とすることも可能である。バリア材の厚みは、透過型電子顕微鏡観察において量子ドットを含まない外側の部分として容易に測定できる。バリア材の周縁の位置によって厚みが異なる場合には、バリア材周縁全体の平均によりバリア材の厚みとする。
光波長変換粒子161は、例えば、ゾルゲル法を用いて作製することができる(特許第5682069号参照)。具体的には、まず、量子ドットを用意し、量子ドットに、適量の例えばテトラエトキシシラン等の金属アルコキシド(1)を添加して、適度に加水分解させることで、量子ドットの表面を金属アルコキシド(1)の加水分解物で置換する。このような液体を有機溶剤Aとする。一方で、水溶液中に例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の金属アルコキシド(2)を分散させ、部分的に加水分解することで水溶液Bを得る。ここで、金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解速度が遅いものを選択する。そして、有機溶液Aと水溶液Bを混合することで、金属アルコキシド(1)が覆われた量子ドットの表面にさらに金属アルコキシド(2)の層が形成される。水に触れた量子ドットは、その表面の金属アルコキシドの加水分解が進むので親水性となり、水相に移動する。このとき、量子ドット同士が集合体を作る。表面付近にある金属アルコキシド(2)は金属アルコキシド(1)よりも加水分解の速度が遅いので、水相に移動したときに量子ドットの表面のアルコキシドが一気に脱水縮合し、大きな塊となることを防ぐ。水相中の集合体にさらにシリカガラス層等の無機酸化物層を堆積させる。これは、通常のストーバー法により、アルカリ性領域でわずかな量の金属アルコキシド(3)を、大量の水とアルコールで加水分解し、核となる量子ドットの集合体に堆積させることで行える。これにより、量子ドット32およびバリア材162を含む光波長変換粒子161を得ることができる。
積層体70、110、120、130、150においては、上記特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかによって量子ドット32の劣化を抑制できるので、積層体全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)が0.1g/(m・24h)以上となっていてもよい。水蒸気透過率はJIS K7129:2008に準拠した手法で得られる数値である。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。積層体10、50、60はバリア層23、42を備えているので、積層体70、110、120、130、150は、積層体10、50、60に比べて水蒸気透過率が高くなっている、すなわち、積層体70、110、120、130、150は、積層体10、50、60に比べて水分が透過しやすい。
積層体70、110、120、130、150においては、上記特定の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかによって量子ドット32の劣化を抑制できるので、積層体全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)が0.1cm/(m・24h・atm)以上となっていてもよい。積層体70、110、120、130、150は、上記水蒸気透過率および上記酸素透過率を同時に満たすものであってもよい。酸素透過率はJIS K7126:2006に準拠した手法で得られる数値である。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。積層体10、50、60はバリア層23、42を備えているので、積層体70、110、120、130、150は、積層体10、50、60に比べて酸素透過率が高くなっている、すなわち、積層体70、110、120、130、150は、積層体10、50、60に比べて水分のみならず酸素が透過しやすい。
積層体70、110、120、130、150における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1g/(m・24h)以上となっていてもよく、また積層体70、110、120、130、150における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1cm/(m・24h・atm)以上となっていてもよい。
<<<積層体の製造方法>>>
積層体10は、例えば、以下のようにして作製することができる。図13および図14は本実施形態に係る積層体の模式的な製造工程図である。まず、図13(A)に示されるように、光透過性基材21の第2の面21Bに蒸着法等によりバリア層23を形成し、バリア層23付き光透過性基材21を形成する。同様に、光透過性基材41の第1の面41Aに蒸着法等によりバリア層42を形成し、バリア層42付き光透過性基材41を形成する。なお、バリア層23は光透過性基材21の第1の面21Aに形成してもよく、また同様にバリア層42は光透過性基材41の第2の面41Bに形成してもよい。
次いで、図13(B)に示されるように、光透過性基材21の第1の面21Aにレンズ層22を形成し、光透過性基材21とレンズ層22が一体化されたレンズシート20を形成する。レンズシート20は、例えば、以下のようにして作製することができる。すなわち、まず、光透過性基材21上に光重合性化合物を含むレンズ層用組成物を均一に塗布して、レンズ層用組成物の塗膜を形成し、レンズシート用積層体を形成する。そして、単位レンズ24の形状に対し逆形状の凹部を有し、かつ回転する成形用型にレンズ層用組成物の塗膜が成形用型側となるようにレンズシート用積層体を送り込み、成形用型によってレンズ層用組成物の塗膜に単位レンズ24の形状を賦形するとともにバリア層23付き光透過性基材21を介してレンズ層用組成物の塗膜に紫外線等の光を照射して、レンズ層用組成物の塗膜を硬化させる。そして、硬化させたレンズ層用組成物の塗膜をバリア層23付き光透過性基材21と共に回転する成形用型から剥離すれば、光透過性基材21の第1の面21Aにレンズ層22が形成されたレンズシート20を得ることができる。レンズ層用組成物に含ませる光重合性化合物としては、特に限定されないが、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な光重合性化合物、例えば、エポキシアクリレートやウレタンアクリレートが挙げられる。なお、バリア層23を光透過性基材21の第1の面21Aに形成する場合には、光透過性基材21の第1の面21Aにレンズ層22を形成する前に、バリア層23を光透過性基材21の第1の面21Aに形成し、バリア層23上にレンズ層22を形成する。
一方で、光透過性基材41の第2の面41Bに、表面凹凸形成粒子44および硬化性バインダ樹脂前駆体を含む光拡散層用組成物をそれぞれ塗布し、乾燥させて、光拡散層用組成物の塗膜を形成する。次いで、光照射等によって、塗膜を硬化させる。これにより、図13(C)に示されるように、光透過性基材41の第2の面41Bに光拡散層43が形成され、光透過性基材41の第1の面41Aにバリア層42を有し、かつ第2の面41Bに光拡散層43を有する光透過性シート40が形成される。
次いで、図14(A)に示されるように、光透過性シート40におけるバリア層42の表面に、量子ドット32および例えば硬化性バインダ樹脂前駆体等の硬化性ホストマトリクス前駆体34を含む光波長変換層用組成物を塗布し、乾燥させて、光波長変換層用組成物の塗膜35を形成する。
そして、図14(B)に示されるように、レンズシート20のバリア層23の表面が光波長変換層用組成物の塗膜35と接するように、光波長変換層用組成物の塗膜35上にレンズシート20を配置する。これにより、光波長変換層用組成物の塗膜35が、光透過性基材21の第2の面21B側に配置される。具体的には、光波長変換層用組成物の塗膜35が、光透過性基材21の第2の面21Bと光透過性基材41の第1の面41Aとの間に配置される。
次いで、図14(C)に示されるように、光透過性シート40を介して光波長変換層用組成物の塗膜35に光を照射して、または熱を加えて、硬化性ホストマトリクス前駆体34を硬化させて、光波長変換層30を形成するとともに、レンズシート20、光波長変換層30、および光透過性シート40を一体化させる。これにより、図1および図2に示される積層体10が得られる。
なお、光透過性基材間に光波長変換層用組成物を挟んで、光波長変換層用組成物を硬化させた後に、すなわち光波長変換層を形成した後に、光透過性基材の一方の面にレンズ層を形成することも可能である。ただし、この場合には、レンズ層用組成物を硬化させる際に、光透過性基材のみならず光波長変換層を介してレンズ層用組成物に紫外線等の光を照射することとなるので、光波長変換層に含まれる量子ドットによって青色光が吸収されてしまい、光変換効率が劣る。
積層体50、60においては、積層体10と同様に、光透過性基材21の第2の面21Bと光透過性基材41の第1の面41Aとの間に、光波長変換層用組成物の塗膜35を配置することによって、レンズシート20と、光波長変換層30と、光透過性シート40とが一体化された積層体50、60を作製することができる。また、積層体70、130、140においては、積層体10と同様に、光透過性基材21の第2の面21Bと光透過性基材41の第1の面41Aとの間に、上記特定の化合物または光波長変換粒子141、161を含む光波長変換層用組成物の塗膜を配置することによって、レンズシート80と、光波長変換層90、140、160と、光透過性シート100とが一体化された積層体70、130、140を作製することができる。また、積層体110、120においては、レンズシート80における光透過性基材21の第2の面21B側に上記特定の化合物を含む光波長変換層用組成物の塗膜を配置することによって、レンズシート80と光波長変換層90とが一体化された積層体110、120を作製することができる。
本実施形態によれば、光透過性基材21の第1の面21Aにレンズ層22を形成し、かつ第2の面21B側に光波長変換層30、90、140、160を形成している。すなわち、レンズシートの光透過性基材と光波長変換シートの光透過性基材を共通化している。したがって、レンズシートおよび光波長変化シートをそれぞれ別個に作製した場合よりも、1枚の光透過性基材を減らすことができる。また、従来のレンズシートと波長変換シートの間には空気層が存在しているが、本実施形態においてはレンズシートと光波長変換層とは一体化されているので、レンズシートと光波長変換層との間に空気層が介在しない。よって、薄型化を図ることができる。
また、通常、レンズシートと光波長変換シートとを別個に作製する場合には、光波長変換層の表面および裏面にはレンズシートおよび光拡散板との貼り付きを防止するための貼り付き防止層を形成する必要がある。本実施形態においては、光透過性基材21の第1の面21Aにレンズ層22を形成し、かつ第2の面21B側に光波長変換層30、90、140、160を形成しているので、レンズ層22と光波長変換層30、90、140、160との間に貼り付き防止層を設ける必要がない。これにより、工程数を削減することができる。
本実施形態によれば、レンズシート20と光波長変換層30、90、140、160が一体化されているので、レンズシートと光波長変換シートとを別個独立に配置する場合に比べて、光利用効率を向上させることができる。すなわち、レンズシートと光波長変換シートとを別個独立に配置する場合には、レンズシートと光波長変換シートの間には空気界面が存在するので、この空気界面によって光が反射されるおそれがある。これに対し、本実施形態においては、レンズシート20と光波長変換層30、90、140、160とを一体化しているので、レンズシート20と光波長変換層30、90、140、160との間には空気界面が存在しない。これにより、光が反射されることを抑制することができるので、光利用効率を向上させることができ、輝度を向上させることができる。
発光時に、バックライト装置の発光面の中央部よりも発光面の周縁部の方が光源からの光(一次光)の色味が強く現れる現象は、光波長変換シートを透過する光源からの光が光波長変換シートの周縁部から漏れてしまうことが原因の一つであると考えられる。すなわち、通常、バックライト装置においては、レンズシートと光波長変換シートとが別個独立に配置されているため、レンズシートと光波長変換シートとの間には空気層が存在している。このため、光波長変換シートを透過し、かつ光波長変換シートの周縁部から出射される光源からの光は、レンズシートと光波長変換シートの間の空気層を介して漏れてしまい、上記現象が生じるものと考えられる。特に、エッジライト型のバックライト装置においては、光源から出射された光が導光板に沿って水平方向に進むため、光波長変換シートを透過する光源からの光は、光波長変換シートの周縁部から出射されやすく、上記現象が生じやすい。これに対し、本実施形態においては、レンズシート20と光波長変換層30、90、140、160とが一体化されているので、光波長変換層30、90、140、160の周縁部から出射される光源からの光は空気層を介さずにレンズシート20に入射する。したがって、光波長変換層30、90、140、160の周縁部から出射される光源からの光の漏れを低減することができるので、積層体10、50、60、70、110、120、130、150の周縁部10C、50A、60A、70A、110A、120A、130A、150Aから出射する光の色味が積層体10、50、60、70、110、120、130、150の中央部10D、50B、60B、70B、110B、120B、130B、150Bから出射する光の色味に比べて際立つことを抑制できる。
本発明者らは、量子ドットと光散乱性粒子とを含む光波長変換層を有する積層体において、光波長変換層に含まれる光散乱性粒子として、その平均粒子径と屈折率とが、光波長変換層の膜厚及び該光波長変換層のホストマトリクスの屈折率に対して特定の関係を満たすように高度に制御することで、上記量子ドットによる上記光波長変換層への入射光の光波長変換効率を好適に向上させることができることを見出した。本実施形態においては、光波長変換層が光散乱性粒子を含み、光散乱性粒子とホストマトリクスとの屈折率差が0.10以上であり、光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の膜厚を100%としたときに8%以下となっているので、量子ドットによる光波長変換効率を好適に向上させることができる。なお、特許第5138145号には、蛍光体、拡散材及びバインダ樹脂からなる蛍光体層を有する蛍光体積層構造が開示されているが、この文献においては、積層する場合の色むらを解消することにより、輝度及び効率の向上を図っており、拡散材等の屈折率を制御することは検討されているが、拡散材の平均粒子径についての検討は何らされていなかった。すなわち、従来の量子ドットと光散乱性粒子とを同一層中に含む構成の積層体においては、光散乱性粒子の屈折率制御のみを単独で行うことや、光散乱性粒子の分散方法等に着目しているものが殆どであり、光散乱性粒子の粒子径を光波長変換層の膜厚との関係で高度に制御するとともに、光散乱性粒子の屈折率を制御することが検討されることはなかった。ここで、光波長変換層における量子ドットの濃度を上げることで、光波長変換層への入射光の光変換効率を高めることはできるが、高価な量子ドットの使用量の増大は製造コストの高騰を招く。これに対し、本実施形態における積層体10、50、60、70、110、120、130、150は、光散乱性粒子33の平均粒子径と屈折率を調節するだけで、光波長変換層30、90、140、160への入射光の光変換効率を高めることができるため、量子ドット32の使用量(濃度)を減らすことができ、低コスト化が可能となる。
本実施形態によれば、光波長変換層30、90、140、160が光散乱性粒子33を含んでいるので、緑色の発光が赤色の発光よりも優先的に増強させることができる。この理由は明確ではないが、光散乱性粒子は、青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットから、青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットへのエネルギー移動を阻害するような役割を果たしていると考えられ、本来上記エネルギー移動により失活していた緑色の発光が失活することなく発光過程に至り、結果として緑色の発光が増加するためであると考えられる。
積層体10、50、60、70、110、120、130、150は、例えば、バックライト装置および表示装置に組み込んで使用することができる。図15は本実施形態に係るバックライト装置を含む表示装置の概略構成図であり、図16は図15に示される上側のレンズシートの斜視図であり、図17は本実施形態に係る積層体の固定構造の模式的な平面図であり、図18は図17に示される固定構造の固定部材付近の断面図であり、図19は本実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図である。
<<<表示装置>>>
図15に示される表示装置170は、バックライト装置180と、バックライト装置180の出光側に配置された表示パネル200とを備えている。表示装置170は、画像を表示する表示面170Aを有している。図15に示される表示装置170においては、表示パネル200の表面が表示面170Aとなっている。
バックライト装置180は、表示パネル200を背面側から面状に照らすものである。表示パネル200は、バックライト装置180からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面170Aに像を表示するように構成されている。
<<表示パネル>>
図15に示される表示パネル200は、液晶表示パネルであり、入光側に配置された偏光板201と、出光側に配置された偏光板202と、偏光板201と偏光板202との間に配置された液晶セル203とを備えている。偏光板201、202は、入射した光を直交する二つの直線偏光成分(S偏光およびP偏光)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P偏光)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収する機能を有している。
液晶セル203には、一つの画素を形成する領域毎に、電圧の印加がなされ得るように構成されている。そして、電圧印加の有無によって液晶セル203中の液晶分子の配向方向が変化するようになる。一例として、入光側に配置された偏光板201を透過した特定方向の直線偏光成分は、電圧印加がなされた液晶セル203を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電圧印加がなされていない液晶セル203を通過する際にその偏光方向を維持する。この場合、液晶セル203への電圧印加の有無によって、偏光板201を透過した特定方向に振動する直線偏光成分を偏光板202に対して透過させ、または偏光板202で吸収して遮断することができる。このようにして、表示パネル200では、バックライト装置180からの光の透過または遮断を画素毎に制御し得るように構成されている。なお、液晶表示パネルの詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
<<バックライト装置>>
図15に示されるバックライト装置180は、エッジライト型のバックライト装置として構成され、光源181と、光源181の側方に配置された導光板として機能する光学板182と、光学板182の出光側に配置された積層体10、積層体10の出光側に配置されたレンズシート183と、レンズシート183の出光側に配置された反射型偏光分離シート84と、光学板182の出光側とは反対側に配置された反射シート185とを備えている。バックライト装置180は、光学板182、レンズシート183、反射型偏光分離シート184、反射シート185を備えているが、これらのシート等は備えられていなくともよい。本明細書において、「出光側」とは、各部材においてバックライト装置から出射する方向に向かう光が出射される側を意味する。
バックライト置180は、面状に光を発光する発光面180Aを有している。図15に示されるバックライト装置180においては、反射型偏光分離シート184の出光面がバックライト装置180の発光面180Aとなっている。
バックライト装置180においては、積層体10は、例えば、光拡散層43が光学板182側となり、かつレンズシート20がレンズシート183側となるように配置されている。この場合、光拡散層43の凹凸面43Aが入光面となっており、レンズシート20におけるレンズ面20Aが出光面となっている。
積層体10は光学板182に固定されていることが好ましい。例えば、図17および図18に示されるように、積層体10の周囲および光学板182の周囲を囲う枠体191と、枠体191に対して光源181、光学板182および積層体10を固定する固定部材192とを用いて積層体10を光学板182に固定してもよい。この場合、積層体10は光学板182上に積層されており、また光源181は光学板182と枠体191との間に配置されている。
固定部材192は図17に示されるように線状に形成されており、枠体191の一辺に沿って配置されている。図18に示されるように、固定部材192は、例えば、線状の両面テープ193と線状の黒色テープ194から構成されている。両面テープ193は、主に、黒色テープ194に光学板182を固定するためのものであり、黒色テープ194と光学板182の一辺の縁部182Dとの間に配置され、黒色テープ194と光学板182の上記縁部に貼り付けられている。なお、積層体10によって光学板182の縁部182Dが覆われないように積層体10の大きさは光学板182の大きさよりも小さくなっている。また、黒色テープ194は、枠体191に対し、光源181、光学板182、および積層体10を固定するためのものであり、枠体191の一辺、光源181の上面、両面テープ193、および積層体10の一辺の縁部10Eに貼り付けられている。
<光源>
光源181は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の発光ダイオード(LED)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。本実施の形態において、光源181は、光学板182の後述する入光面182B側に、面状に並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)によって、構成されている。
バックライト装置180においては積層体10が配置されていることに伴い、光源181は、単一の波長域の光を放出する発光体のみを用いることができる。例えば、光源は、色純度の高い青色光を発する青色発光ダイオードのみを用いることができる。
<光学板>
導光板としての光学板182は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板182は、表示パネル200側の一方の主面によって構成された出光面182Aと、出光面182Aに対向するもう一方の主面からなる裏面182Bと、出光面182Aおよび裏面182Bの間を延びる側面と、を有している。側面のうちの光源181側の側面が、光源からの光を受ける入光面182Cとなっている。入光面182Cから光学板182内に入射した光は、入光面182Cと、入光面182Cと対向する反対面とを結ぶ方向(導光方向)に光学板内を導光され、出光面182Aから出射される。
光学板182を構成する材料としては、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。なお、必要に応じて、光学板182中に光を拡散させる機能を有する光拡散材を添加することもできる。光拡散材としては、例えば、平均粒径が0.5μm以上100μm以下のシリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の透明物質からなる粒子を用いることができる。
<レンズシート>
図16に示されるように、レンズシート183は、ほぼレンズシート20と同様の構成となっているが、バリア層は有していない。すなわち、レンズシート183は、光透過性基材186と、光透過性基材186の一方の面に設けられ、かつ複数の単位レンズ188を有するレンズ層187とを備えており、レンズ層187は単位レンズ188の他、シート状の本体部189を備えている。光透過性基材186、レンズ層187、単位レンズ188、本体部189は、レンズシート20における光透過性基材21、レンズ層22、単位レンズ24、本体部25と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
図15から理解され得るように、レンズシート20の単位レンズ24の配列方向とレンズシート183の単位レンズ188の配列方向とは交差、さらに限定的には直交している。
<反射型偏光分離シート>
反射型偏光分離シート184は、レンズシート183から出射される光のうち、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光分離シート84で反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光分離シート84に入射する。よって、反射型偏光分離シート184は再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。以下、同上の過程を繰り返す事により、当初レンズシート183から出光した光の70〜80%程度が第1の直線偏光成分となった光源光として出光される。したがって、反射型偏光分離シート184の第1の直線偏光成分(透過軸成分)の偏光方向と表示パネル200の偏光板201の透過軸方向とを一致させることにより、バックライト装置180からの出射光は全て表示パネル200で画像形成に利用可能となる。したがって、光源81から投入される光エネルギーが同じであっても、反射型偏光分離シート184を未配置の場合に比べて、より高輝度の画像形成が可能となり、又光源181のエネルギー利用効率も向上する。とりわけ、反射型偏光分離シート184で反射された光は、積層体10の光波長変換層で波長変換が行われ得る。したがって、反射型偏光分離シート184を配置することによって、積層体10の光波長変換効率がさらに上昇させることができる。したがって、更なる光の利用効率の改善を期待することができる。
反射型偏光分離シート184としては、3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」やワイヤーグリッド偏光子等を、反射型偏光分離シート84として用いることができる。
<反射シート>
反射シート185は、光学板182の裏面182Bから漏れ出した光を反射して、再び光学板182内に入射させる機能を有する。反射シート182は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から構成され得る。反射シート182での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート182での反射が拡散反射の場合には、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。
<<他のバックライト装置>>
積層体を組み込むバックライト装置は、図19に示されるような直下型のバックライト装置であってもよい。図19に示されるバックライト装置210は、光源181と、光源181の光を受け、かつ光拡散板として機能する光学板211と、光学板211の出光側に配置された積層体10、積層体10の出光側に配置されたレンズシート183と、レンズシート184の出光側に配置された反射型偏光分離シート184とを備えている。本実施形態においては、光源181は、光学板211の側方ではなく、光学板211の直下に配置されている。図19において、図15と同じ符号が付されている部材は、図15で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。なお、バックライト装置210においては、光学板182は備えられていない。
<光学板>
光拡散板としての光学板211は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板211は、表示パネル200側の一方の主面によって構成された出光面211Aと、出光面211Aに対向するもう一方の主面によって構成され、光源181からの光を受ける入光面211Bを有している。入光面211Bから光学板211内に入射した光は、光学板211内で拡散され、出光面211Aから出射される。
光学板211としては、光源181からの光を拡散させることができれば、特に限定されないが、例えば、透明材料中に表面凹凸形成粒子を分散させた板が挙げられる。透明材料としては、特に限定されないが、例えば透明樹脂、無機ガラス等が挙げられる。前記透明樹脂としては、成形が容易である点で、透明熱可塑性樹脂が好適に用いられる。この透明熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)などが挙げられる。これらのうちの1種を用いても良いし、或いはこれらの2種以上を混合して用いても良い。
光学板211に含ませる表面凹凸形成粒子は、光拡散層43における表面凹凸形成粒子44と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態に係る積層体、バックライト装置および表示装置について、図面を参照しながら説明する。図20は本実施形態に係る積層体の斜視図であり、図21は図20の積層体のII−II線に沿った断面図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で説明した部材と同じ部材については、同じ符号が付してあるとともに、説明を省略するものとする。
<<<積層体>>>
図20および図21に示される積層体220は、光波長変換粒子225を含む光透過性基材221と、光透過性基材221の第1の面221Aに密着したレンズ層222と、光透過性基材221の第1の面221Aとは反対側の第2の面221B側に設けられた光拡散層223とを備えている。積層体220は、量子ドット32を含む光透過性基材221およびレンズ層222を備えていればよく、光拡散層223を備えていなくともよい。また、逆に、光透過性基材221の第1の面221Aにバリア層を備えていてもよい。積層体220においては、レンズ層222、光透過性基材221、および光拡散層223は一体化されている。
<<光透過性基材>>
光透過性基材221は、内部に光波長変換粒子161を含む以外は、光透過性基材21と同様のものであるので、材料等に関しては、説明を省略するものとする。また、光透過性基材221に含まれる光波長変換粒子161も、光波長変換層160に含まれる光波長変換粒子161と同様のものであるので、説明を省略するものとする。
<<レンズ層>>
図20および図21に示されるように、レンズ層222は、レンズ層22と同様の構成となっている。すなわち、レンズ層222は、複数の単位レンズ226と、シート状の本体部227を備えている。単位レンズ226、本体部227は、単位レンズ24、本体部25と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<光拡散層>>
光拡散層223は、光拡散層43と同様に、表面凹凸形成粒子44とバインダ樹脂45とを含んでおり、その他の構成も光拡散層43と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
積層体220においては、光波長変換粒子161の代わりに、光波長変換粒子151を用いてもよく、また、光透過性基材221の第2の面側にオーバーコート層を形成してもよい。
積層体220は、図15および図19に示されるバックライト装置180、210および表示装置170と同様のバックライト装置および表示装置に組み込むことができる。
本実施形態によれば、光透過性基材221に量子ドット32を含ませ、かつ光透過性基材221の第1の面221Aに光透過性基材221と一体化したレンズ層222を形成しているので、レンズシートおよび光波長変化シートをそれぞれ別個に作製した場合よりも、1枚の光透過性基材を減らすことができる。また、本実施形態においては光透過性基材221とレンズ層222とは一体化されているので、光透過性基材221とレンズ層223との間に空気層が介在しない。よって、薄型化を図ることができる。
本実施形態においては、量子ドット32を含む光透過性基材221の第1の面221Aに光透過性基材221と一体化したレンズ層222を形成しているので、光波長変換シートにおけるレンズシート側に設けられていた貼り付き防止層を省略することができる。これにより、工程数を削減することができる。
本実施形態によれば、量子ドット32を含む光透過性基材221の第1の面221Aに光透過性基材221と一体化したレンズ層222を形成しているので、光透過性基材221とレンズ層222との間に空気界面が存在しない。これにより、空気界面によって光が反射されることがないので、光の利用効率を向上させることができる。
本実施形態によれば、量子ドット32を含む光透過性基材221の第1の面221Aに光透過性基材221と一体化したレンズ層222を形成しているので、第1の実施形態で説明した理由と同じ理由から、光を積層体220に入射させた場合に、積層体220の周縁部220Aから出射する光の色味が積層体220の中央部220Bから出射する光の色味に比べて際立つことを抑制できる。
本実施形態によれば、量子ドット32をバリア材162で包んでいるので、量子ドット32を水分や酸素から保護することができる。したがって、別途バリア層を設ける必要がなく、また積層体220の周縁部220Aに存在する量子ドット32の劣化をより抑制できる。
バリア層を、蒸着法で形成した場合、光波長変換シートを折り曲げると、バリア層にクラックが入り、そこから水分や酸素が光波長変換シートに浸入し、量子ドットが劣化してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態においては、バリア層を設けていないので、フォールダブルにも対応することができる。
本実施形態によれば、別途バリア層を設ける必要がないので、厚みに厳しい要件があるモバイル製品(いわゆるスマートフォンと称される機器を含む携帯用コンピュータ端末機器)にも対応することができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<光波長変換粒子の製造>
下記の手順に従って、光波長変換粒子を得た。
(光波長変換粒子1)
攪拌装置を有する重合容器内に、まず、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物1を調整し、そこに貧溶媒として、分散剤であるポリビニルアルコール10質量部をイオン交換水900質量部に溶解させたものを投入した。その後、撹拌装置によって攪拌速度400rpmで10分間攪拌して、光波長変換粒子用組成物1を貧溶媒中に液滴として微分散させた。続いて、攪拌装置による攪拌を攪拌速度400rpmで継続させ、光波長変換粒子用組成物1および貧溶媒を含む反応液の温度を50℃になるまで昇温し、反応液の温度が50℃の状態で3時間かけて懸濁重合を行い、その後、熱ラジカル開始剤を完全に失活させるため、反応液の温度を80℃になるまで昇温し、反応液の温度が80℃の状態で3時間撹拌して、粒子状の重合物を得た。その後、重合容器内の重合物を含む反応液を攪拌装置により攪拌しながら室温まで冷却した。次いで、反応液を吸引ろ過し、ろ過の残渣をイオン交換水で洗浄し、その後脱液して、光波長変換粒子1を得た。光波長変換粒子1においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子1の平均粒子径は3μmであった。光波長変換粒子1の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により20個の光波長変換粒子1の粒子径を測定し、その平均値を算出することによって求めた。なお、以下の光波長変換粒子2〜5の平均粒子径も、光波長変換粒子1と同様の方法と求めた。
(光波長変換粒子2)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(製品名「ライトエステルP−2M」、共栄社化学社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物2を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子2を得た。光波長変換粒子2においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子5の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子3)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ステアリルアミン(製品名「ファーミン80」、花王社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物3を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子3を得た。光波長変換粒子3においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子3の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子4)
光波長変換粒子用組成物1の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(製品名「A−DCP」、新中村化学工業社製)50質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(製品名「M−5300」、東亞合成社製)50質量部、緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm)1.0質量部、赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm)1.0質量部、および熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、東京化成工業社製)1質量部からなる光波長変換粒子用組成物4を用いたこと以外は、光波長変換粒子1と同様の手順によって、光波長変換粒子4を得た。光波長変換粒子4においては緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットが樹脂粒子中に内包され、また光波長変換粒子4の平均粒子径は3μmであった。
(光波長変換粒子5)
まず、1.0質量部の緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒子径3.3nm)および1.0質量部の赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒子径5.2nm)を用意した。緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットを用意した後、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットの表面をドデシルアミンで覆い、これらの量子ドットをトルエン溶液(0.4mL、1.5μM/L)に分散させた。次いで、この溶液にテトラエトキシシラン(TEOS、10μL)を添加し、3時間攪拌して、有機溶液1を作製した。
一方で、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS、1μL)をエタノール(25mL)とアンモニア水(4mL、アンモニア濃度10wt%)に混合して水溶液2を作製した。
そして、有機溶液1と水溶液2を混合し、3時間攪拌したところ、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットは水相に移動し、さらに水相で緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットの集合体が形成された。この集合体を遠心分離によって取り出した。
最後に、上記の集合体が分散した水溶液0.5mLを取り出し、エタノール(8mL)とアンモニア水(0.1mL、25wt%)を加え、さらにTEOS(14μL)を添加した。これにより、緑色発光量子ドットおよび赤色発光量子ドットからなる集合体がバリア材としてのシリカガラスで包まれ、平均粒子径50nmの光波長変換粒子5を得た。
<光波長変換層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換層用組成物を得た。
(光波長変換層用組成物1)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):99質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物2)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・アルミナ粒子(製品名「DAM−03」、電気化学工業社製、平均粒子径4μm):10質量部
(光波長変換層用組成物3)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・アルミナ粒子(製品名「MM−P」、日本軽金属社製、平均粒子径1.5μm):10質量部
(光波長変換層用組成物4)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・ジルコニア粒子(製品名「TZ−3YS−E」、東ソー社製、平均粒子径0.1μm):10質量部
(光波長変換層用組成物5)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・チタニア粒子(製品名「R−38L」、堺化学工業社製、平均粒子径0.4μm):10質量部
(光波長変換層用組成物6)
・光波長変換粒子1:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物7)
・光波長変換粒子2:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物8)
・光波長変換粒子3:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物9)
・光波長変換粒子4:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物10)
・光波長変換粒子5:20質量部
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):80質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物11)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):50質量部
・テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(製品名「EGMP−4」、SC有機化学社製):50質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
(光波長変換層用組成物12)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・アルミナ粒子(製品名「DAM−07」、電気化学工業社製、平均粒子径10μm):10質量部
(光波長変換層用組成物13)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV−5500」、DIC社製):89質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.20質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA−ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.20質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):1質量部
・シリカ粒子(製品名「KE−P250」、日本触媒社製、平均粒子径2.5μm):10質量部
<光拡散層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光拡散層用組成物を得た。
(光拡散層用組成物)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート:99質量部
・表面凹凸形成粒子(架橋ポリスチレン樹脂ビーズ、製品名「SBX−4」、積水化成品工業株式会社製、平均粒子径4μm):158質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比)):170質量部
<オーバーコート層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、オーバーコート層用組成物を得た。
(オーバーコート層用組成物1)
・アクリル酸亜鉛(製品名「ZN−DA」日本触媒社製):30質量部
・メタノール:70質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
<ポリエチレンテレフタレートフィルム用組成物の調整>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、ポリエチレンテレフタレートフィルム用組成物1を得た。
(ポリエチレンテレフタレートフィルム用組成物1)
・ポリエチレンテレフタレート:100質量部
・光波長変換粒子5:8質量部
<実施例1>
まず、2枚のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを次のような方法で作製した。高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にターゲット物質(シリカ)からなる、厚みが50nmであり、かつ屈折率が1.46であるバリア層としてのシリカ蒸着層を形成し、これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリカ蒸着層が形成されたシリカ蒸着書付きポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚形成した。
次いで、一方のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面にプリズム層を形成し、プリズムシートを形成した。具体的には、まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面上にウレタンアクリレートを含むプリズム層用組成物を均一に塗布して、プリズム層用組成物の塗膜を形成し、プリズムシート用積層体を形成した。そして、所望の単位プリズムの形状に対し逆形状の凹部を有し、かつ回転する成形用型にレンズ層用組成物の塗膜が成形用型側となるようにプリズムシート用積層体を走行速度20m/分で供給して成形用型によってプリズム層用組成物の塗膜に単位プリズムの形状を賦形するとともに、シリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを介してプリズム層用組成物の塗膜に紫外線等の光を照射して、プリズム層用組成物の塗膜を硬化させた。最後に、硬化させたプリズム層用組成物の塗膜をシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムと共に成形用型から剥離して、ポリエチレンテレフタレートフィルムのシリカ蒸着層側の面とは反対側の面にプリズム層が形成されたプリズムシートを得た。プリズム層は、シート状の本体部と、この本体部上に並べて配置され、かつ各々が配列方向と交差する方向に延びており、頂角が90°であり、幅が47μmであり、高さが30μmである複数の三角柱状の単位プリズムを有していた。
一方で、他方のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が150mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に光拡散層を有する光透過性シートを形成した。
次いで、光透過性シートのシリカ蒸着層の表面に光波長変換層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、塗膜における光透過性シート側の面とは反対側の面に、シリカ蒸着層が接するようにプリズムシートを積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、プリズムシートならびに光透過性シートに密着した100μmの光波長変換層を形成した。これにより、実施例に係る積層体を得た。なお、光波長変換層の膜厚は、積層体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20箇所ランダムに撮影し、その断面の画像から求めた。
<実施例2>
実施例2においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。光波長変換層中のアルミナの屈折率は1.77であり、バインダ樹脂の屈折率は1.51であった。また、光波長変換層における量子ドットは光学等方な粒子であり、光学波長変換層に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフにおいて現れる最大ピークの半値幅である0.6μmから2.0μmの範囲内に、上記光散乱性粒子の粒子径分布のうち20%が含まれていた。
<実施例3>
実施例3においては、光波長変換層の膜厚を60μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、積層体を作製した。
<実施例4>
実施例4においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。なお、光学波長変換層に入射した光の散乱効率を縦軸とし、光散乱性粒子の粒子径を横軸としたときに示されるグラフにおいて現れる最大ピークの半値幅である0.6μmから2.0μmの範囲内に、上記光散乱性粒子の粒子径分布のうち40%が含まれていた。
<実施例5>
実施例5においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。ジルコニアの屈折率は2.17であった。
<実施例6>
実施例6においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。チタニアの屈折率は2.7であった。
<実施例7>
実施例7においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物6を用い、かつ2枚のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、2枚のシリカ蒸着層が形成されていない大きさ7インチおよび厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。なお、実施例7に係る積層体は、シリカ蒸着層を備えていないプリズムシート、光波長変換層、シリカ蒸着層を備えていないポリエチレンテレフタレートフィルム、および光拡散層が一体化されたものであった。
<実施例8>
実施例8においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物7を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、積層体を作製した。
<実施例9>
実施例9においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物8を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、積層体を作製した。
<実施例10>
実施例10においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物9を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、積層体を作製した。
<実施例11>
実施例11においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物10を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、積層体を作製した。
<実施例12>
実施例12においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物11を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、積層体を作製した。
<実施例13>
まず、シリカ蒸着層が形成されていない大きさ7インチおよび厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の一方の面に実施例1と同様の手法によって実施例1と同様の形状のプリズム層を形成し、シリカ蒸着層を備えていないプリズムシートを形成した。次いで、このプリズムシートのポリエチレンテレフタレートフィルムの他方の面に、光波長変換層用組成物6を塗布して、塗膜を形成した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、100μmの光波長変換層を形成した。そして、光波長変換層におけるプリズムシート側の面とは反対側の面に、オーバーコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させて、膜厚5μmのオーバーコート層を得た。さらに、オーバーコート層における光波長変換層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物1を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が150mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成した。これにより、プリズムシート、光波長変換層、オーバーコート層、および光拡散層が一体化された積層体を作製した。
<実施例14>
実施例14においては、光波長変換層用組成物6の代わりに光波長変換層用組成物11を用いたこと以外は、実施例13と同様にして、積層体を作製した。
<実施例15>
原料である上記ポリエチレンテレフタレートフィルム用組成物1を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、未延伸フィルムの長手方向に延伸倍率3.5倍に延伸した後、フィルムの幅方向に延伸倍率4.2倍にて延伸を行い、光波長変換粒子5を含む厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
次いで、このポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に実施例1と同様の方法で、プリズム層を形成し、積層体を作製した。プリズム層の単位プリズムの形状は実施例1のプリズム層の単位プリズムの形状と同様であった。
<比較例1>
まず、2枚のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを次のような方法で作製した。高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にターゲット物質(シリカ)からなる、厚みが50nmであり、かつ屈折率が1.46であるバリア層としてのシリカ蒸着層を形成し、これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリカ蒸着層が形成されたシリカ蒸着書付きポリエチレンテレフタレートフィルムを2枚形成した。
そして、一方のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が150mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、ポリエチレンテレフタレートフィルムのシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に光拡散層を有する光透過性シートを形成した。
次いで、光透過性シートのシリカ蒸着層の表面に光波長変換層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。そして、塗膜における光透過性シート側の面とは反対側の面に、シリカ蒸着層が接するように他方のシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、光透過性シートおよびシリカ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルムに密着した100μmの光波長変換層を形成した。これにより、比較例に係る光波長変換シートを得た。なお、光波長変換層の膜厚は、光波長変換シートの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20箇所ランダムに撮影し、その断面の画像から求めた。
一方で、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にドラムプリンティングシステム方式(DPS方式)によってプリズム層を形成して、プリズムシートを形成した。具体的には、まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面上にウレタンアクリレートを含むプリズム層用組成物を均一に塗布して、プリズム層用組成物の塗膜を形成し、プリズムシート用積層体を形成した。そして、所望の単位プリズムの形状に対し逆形状の凹部を有し、かつ回転する成形用型にレンズ層用組成物の塗膜が成形用型側となるようにプリズムシート用積層体を走行速度20m/分で供給して成形用型によってプリズム層用組成物の塗膜に単位プリズムの形状を賦形するとともに、ポリエチレンテレフタレートフィルムを介してプリズム層用組成物の塗膜に紫外線等の光を照射して、プリズム層用組成物の塗膜を硬化させた。最後に、硬化させたプリズム層用組成物の塗膜をポリエチレンテレフタレートフィルムと共に成形用型から剥離して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にプリズム層が形成されたプリズムシートを得た。プリズムシートは、シート状の本体部と、この本体部上に並べて配置され、かつ各々が配列方向と交差する方向に延びており、頂角が90°であり、幅が47μmであり、高さが30μmである複数の三角柱状の単位プリズムを有していた。
<比較例2>
比較例2においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物2を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、光波長変換シートおよびプリズムシートを作製した。
<比較例3>
比較例3においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物3を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、光波長変換シートおよびプリズムシートを作製した。
<比較例4>
比較例4においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物4を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、光波長変換シートおよびプリズムシートを作製した。
<比較例5>
比較例5においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物5を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、光波長変換シートおよびプリズムシートを作製した。
<参考例1>
参考例1においては、光波長変換層の膜厚を40μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
<参考例2>
参考例2においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。
<参考例3>
参考例3においては、光波長変換層用組成物1の代わりに光波長変換層用組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。シリカの屈折率は1.47であった。
<発光面の色度測定>
実施例1〜15に係る積層体および比較例1〜5に係る光波長変換シートおよびプリズムシートをそれぞれバックライト装置に組み込み、実施例1〜7および比較例1〜5に係る積層体を組み込んだバックライト装置において、発光時のバックライト装置の発光面の周縁部および中央部の色度を、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いてそれぞれ測定した。
実施例1〜15に係る積層体および比較例1〜5に係る光波長変換シートおよびプリズムシートをバックライト装置に組み込む際に、まず、Kindle Fire(登録商標)HDX7のバックライト装置(発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード、導光板、2枚のプリズムシート)を用意した。2枚のプリズムシートは、シート状の本体部と、この本体部上に並べて配置され、かつ各々が配列方向と交差する方向に延びた三角柱状の複数の単位プリズムとを備え、単位プリズムの頂角が90°となっているものであるが、2枚のプリズムシートのうち1枚のプリズムを使用した。
実施例1〜15においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に実施例1〜15に係る実施例に係る積層体、プリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、観察者側のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が実施例に係る積層体のプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。
比較例1〜5においては、青色発光ダイオード側が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に比較例1〜5に係る光波長変換シート、比較例1〜5に係るプリズムシート、プリズムシートをこの順で配置して、バックライト装置を得た。なお、観察者側のプリズムシートは、単位プリズムの配列方向が比較例に係るプリズムシートの単位プリズムの配列方向と直交するように配置された。このようにして、比較例に係る光波長変換シートおよびプリズムシートが組み込まれたバックライト装置を得た。
<発光面の目視評価>
上記で実施例1〜15に係る積層体ならびに比較例1〜5に係る光波長変換シートおよびプリズムシートを組み込んだバックライト装置を用いて、暗室において、バックライト装置における発光時の発光面の周縁部(端と端から5mm付近の位置との間の部分)および中央部を目視で観察し、発光面の周縁部の色味が中央部の色味に比べて際立っているか観察した。評価基準は以下の通りとした。
○:周縁部の色味が中央部の色味と同等、または周縁部の色味が中央部の色味と若干異なっていたが実用上問題のないレベルであった。
×:周縁部の色味が中央部の色味に比べて際立っていた。
<光利用効率の測定>
上記で実施例1〜15に係る積層体ならびに比較例1〜5に係る光波長変換シートおよびプリズムシートを組み込んだバックライト装置において、バックライト装置の正面方向を0度とし、水平方向の輝度の角度特性を、−50度〜50度まで5度刻みで分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ社製)を用いてそれぞれ測定した。そして、各バックライト装置における各角度での輝度の積算値を算出し、比較例1の輝度の積算値を100%としたときの実施例および比較例の輝度の積算値の相対値を光利用効率とした。
<水蒸気透過率および酸素透過率測定>
上記実施例1〜15に係る積層体において、水蒸気透過率および酸素透過率をそれぞれ測定した。積層体の水蒸気透過率は、JIS K7129:2008に準拠して、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN−W3/31」、MOCON社製)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。また、積層体の酸素透過率は、JIS K7126:2006に準拠して、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX−TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて23℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
<光波長変換効率の測定>
まず、実施例1〜6および参考例1〜3に係る積層体を組み込んだバックライト装置と、実施例に係る積層体を組み込んでいないバックライト装置において、分光放射計(製品名「SR−UL2」、トプコン社製)を用いて分光スペクトルをそれぞれ得た。それぞれで得られた分光スペクトルから青色光スペクトルの積分値、及び、緑色光スペクトル(480nm−590nm)の積分値、赤色光スペクトル(590nm−750nm)の積分値を算出した。実施例1〜6および参考例1〜3に係る積層体を組み込んだバックライト装置を用いて測定した緑色光スペクトルの積分値と赤色光スペクトルの積分値のそれぞれについて実施例に係る積層体を組み込んでいないバックライト装置を用いて測定した青色光スペクトルの積分値で除し光波長変換効率を測定した。
以下、結果を表1および表2に示す。
Figure 0006948120
Figure 0006948120
以下、結果について述べる。比較例1〜5においては、発光面の周縁部の青味が中央部に比べて強く、際立っていた。これに対し、実施例1〜15においては、比較例1〜5に比べて、発光面の周縁部の青味が低減されていた。したがって、実施例1〜15において、プリズムシートと光波長変換シートを一体化した積層体は、プリズムシートと光波長変換シートを、空気層を介して積層した場合よりも、積層体の周縁部から出射する光の色味が積層体の中央部から出射する光の色味に比べて際立つことを抑制できることが確認された。
実施例1、7〜14は比較例1よりも光利用効率が高く、実施例2は比較例2よりも光利用効率が高く、実施例4は比較例3よりも光利用効率が高く、実施例5は比較例4よりも光利用効率が高く、実施例6は比較例5よりも光利用効率が高かった。したがって、プリズムシートと光波長変換シートを一体化した積層体は、プリズムシートと光波長変換シートを、空気層を介して積層した場合よりも、光利用効率が向上することが確認された。
参考例2に係る光波長変換シートは、光波長変換層の膜厚に対する光散乱性粒子の平均粒子径が8%を超えていたため、また、参考例3に係る光波長変換シートは、光散乱性粒子であるシリカ粒子の屈折率と光波長変換層のバインダ樹脂の屈折率との差が0.10未満であったため、いずれも実施例2〜6に係る積層体の光波長変換効率よりも劣っていた。なお、実施例1に係る積層体は、光波長変換層に光散乱性粒子を含まなかったため、実施例2〜5に係る積層体の光波長変換効率よりも劣っていた。また、参考例1の結果からも、光波長変換層に光散乱性粒子を含まないと、光波長変換効率が劣ることが分かる。これに対し、実施例2〜6の結果より、光波長変換層に所定の光散乱性粒子を含むことで、光波長変換効率が高くなることが分かる。
10、50、60、70、110、120、130、150…積層体
20、80…レンズシート
21、41、62、63、221…光透過性基材
22、122…レンズ層
23、42…バリア層
24、226…単位レンズ
30、90、140、160…光波長変換層
30C、50A、60A、70A、110A、120A、130A、150A…周縁部
30D、50B、60B、70B、110B、120B、130B、150B…中央部
31、91…ホストマトリクス
32…量子ドット
34…硬化性ホストマトリクス前駆体
35…塗膜
43…光拡散層
170…表示装置
180、210…バックライト装置
200…表示パネル

Claims (11)

  1. 第1の光透過性基材および前記第1の光透過性基材の第1の面側に設けられ、かつ複数の単位レンズを有するレンズ層を備えるレンズシートと、
    前記第1の光透過性基材における前記第1の面とは反対側の第2の面側に設けられ、かつホストマトリクスおよび量子ドットを含む光波長変換層と、
    前記光波長変換層における前記レンズシート側とは反対側に形成され、かつ凹凸面を有する光拡散層と、を備え、
    前記レンズシートと前記光波長変換層と前記光拡散層が一体化されており、
    前記量子ドットが、第1の半導体化合物からなるコアと、前記第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、前記シェルの外側に位置するリガンドとを含み、
    前記光波長変換層が光波長変換粒子をさらに含み、
    前記光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子と、前記樹脂粒子中に内包された前記量子ドットとを含み、
    40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m ・24h)以上および23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm /(m ・24h・atm)以上の少なくともいずれかを満たす、積層体。
  2. 前記積層体の表面が前記レンズシートのレンズ面であり、かつ前記積層体における前記表面とは反対側の面である裏面が前記光拡散層の前記凹凸面である、請求項に記載の積層体。
  3. 前記光波長変換層が光散乱性粒子をさらに含み、前記光散乱性粒子と前記ホストマトリクスとの屈折率差が0.10以上であり、前記光散乱性粒子の平均粒子径が前記光波長変換層の膜厚を100%としたときに8%以下であり、前記量子ドットが、1種以上の材料からなり、および/または少なくとも一つの粒子径分布帯を有する、請求項に記載の積層体。
  4. 量子ドットを含む光透過性基材と、
    前記光透過性基材の一方の面側に設けられ、かつ複数の単位レンズを有するレンズ層と、
    前記光透過性基材における前記レンズ層側とは反対側に形成され、かつ凹凸面を有する光拡散層と、を備え、
    前記光透過性基材と前記レンズ層と前記光拡散層が一体化されており、
    前記量子ドットが、第1の半導体化合物からなるコアと、前記第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、前記シェルの外側に位置するリガンドとを含み、
    前記光透過性基材が光波長変換粒子を含み、
    前記光波長変換粒子が、硫黄、リン、および窒素からなる群から選択される1以上の元素およびカルボン酸の少なくともいずれかを含む光透過性の樹脂粒子と、前記樹脂粒子中に内包された前記量子ドットとを含み、
    40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m ・24h)以上および23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm /(m ・24h・atm)以上の少なくともいずれかを満たす、積層体。
  5. 前記光波長変換層の少なくとも一方の面または前記量子ドットを含む光透過性基材の少なくとも一方の面を覆う、樹脂からなるオーバーコート層をさらに備える、請求項またはに記載の積層体。
  6. 光源と、
    前記光源からの光を受ける、請求項または請求項に記載の積層体と、
    を備える、バックライト装置。
  7. 前記光源からの光を受ける入光面、および前記光源からの光を出射させる出光面を有し、前記出光面が積層体側に位置し、かつ前記光源からの光を前記積層体に導く、または前記光源からの光を拡散させる光学板をさらに備える、請求項に記載のバックライト装置。
  8. 光源と、
    請求項に記載の積層体と、
    前記光源からの光を受ける入光面、および前記光源からの光を出射させ、かつ前記積層体の前記凹凸面の一部と光学的に密着し、前記凹凸面の他の部分との間に空気層を形成する出光面を有し、かつ前記光源からの光を前記積層体に導く、または前記光源からの光を拡散させる光学板と、
    を備える、バックライト装置。
  9. 前記積層体の周囲および前記光学板の周囲を囲う枠体と、前記枠体に対して前記光源、前記光学板および前記積層体を固定する固定部材とをさらに備え、前記光源が前記光学板と前記枠体との間に配置されており、かつ前記光学板が前記光源からの光を前記積層体に導く導光板である、請求項またはに記載のバックライト装置。
  10. 前記光源が青色光を発し、かつ前記量子ドットが前記青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、前記青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含む、請求項に記載のバックライト装置。
  11. 請求項に記載のバックライト装置と、
    前記バックライト装置の出光側に配置された表示パネルと
    を備える、表示装置。
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