以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このパネル体は、種々の用途に用いられるものであるが、ここでは集合住宅のベランダにおいて、既存の手摺に替えて設置した改修手摺の場合を例に挙げる。なお、以下において左右とは、図3(a)に示すように、このパネル体を建物の外側から正面視した場合の左右を表す。
図3に示すように、このパネル体は、パネル本体1と、パネル本体1を被取付材である外壁10に取り付けるブラケット2a,2bを備える。パネル本体1は、左右の縦材3と、上材11と下材12とを四周組んで形成した枠体の内周側に、複数本の縦桟13を並べて取り付けたものである。より詳しくは、左右の縦材3の上端面に上材11の端部の下面を当接させて固定してあり、左右の縦材3の下端部の側面に下材12の端面を当接させて固定してあり、左右の縦材3の下端部と、上材11の両端部には、キャップ材を取り付けてある。そして、ベランダの外壁10に形成した上側に開口する略コ字形の開口部に、パネル本体1を納め、パネル本体1の左右端部を、それぞれ上下2つのブラケット2a,2bにより、被取付材である外壁10に固定してある。すなわち、パネル本体1の左右の縦材3は、ブラケット2a,2b側に位置するものであって、縦材3の外周側面にブラケット2a,2bを固定してあり、さらにブラケット2a,2bを外壁10に固定してある。ただし、左側のブラケット2aと右側のブラケット2bは、構成が異なっており、開口部の左側において、外壁10は見込方向(内外方向)に延びていて、ブラケット2aは外壁10の右側(パネル本体1側)の見込面に固定してあり、開口部の右側において、外壁10は見付方向(左右方向)に延びていて、ブラケット2bは外壁10の内側(建物側)の見付面に固定してある。また、下材12の左右方向中央には、その下側の躯体見込面との間に支持部材14を取り付けてある。支持部材14は、パネル本体1を下側から支持するものであって、2つのL形金具を左右方向軸周りに回動自在に連結したものであり、躯体見込面の傾斜に対応するものとなっている。
次に、左右の縦材3とブラケット2a,2bの連結部の構成について詳述する。ここでは、図1、図2及び図4に示す、左側の縦材3及びブラケット2aに基づいて説明する。この縦材3とブラケット2aは、ボルト6とナット7により固定されるものである。
左側の縦材3は、断面略矩形の中空形材からなるものであって、その左側面(外壁10側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凹形の溝部4を形成してあり、溝部4の底面の内外方向中央部に、縦材3を左右方向に貫通する円形のボルト孔31を形成してある。このボルト孔31の内径は、挿入されるボルト6のネジ部の外径よりも大きく、ボルト孔31の内径とボルト6のネジ部の外径の差が、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法となる。
左側のブラケット2aは、パネル本体1の縦材3に固定するパネル側部21と、外壁10に固定する外壁側部22を有し、何れも内外方向に延び、外壁10の右側(パネル本体1側)の見込面に対向する垂直向きの板状部であるが、外壁側部22の方が内外方向に長く、パネル側部21の方が右側(パネル本体1側)に位置しており、かつパネル側部21と外壁側部22が内外方向にずれていて(パネル側部21が外側、外壁側部22が内側に位置する)、ブラケット2a全体で略Z字形となっている。パネル側部21は、右側面(パネル本体1側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凸形の挿嵌部5を形成してある。挿嵌部5の突出高さは、縦材3の溝部4の深さと同じである。また、挿嵌部5の内外方向幅は、縦材3の溝部4の内外方向幅よりも小さく、縦材3の溝部4の内外方向幅と挿嵌部5の内外方向幅の差が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法となる。そして、この溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法は、上記のボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法以下の大きさとなっている。また、パネル側部21の左側面(外壁10側面)の挿嵌部5の裏側位置に、上下方向に延びる断面凹形の溝状の係止部23を形成してある。係止部23は、内外方向幅がナット7を丁度挿入可能なものであって、挿入されたナット7が回動不能となる。さらに、係止部23の底面の上下方向中央部に、パネル側部21を左右方向に貫通する円形のボルト挿通孔24を形成してある。このボルト挿通孔24は、挿嵌部5の内外方向中央部に位置し、その内径は、ボルト6のネジ部の外径と略同じである(ボルト6を挿入しやすくするため、多少のクリアランスは設けてある)。また、外壁側部22は、内外方向及び上下方向の中央部に、略四角形の挿通孔25を有しており、右側面に、上下方向に延び内外方向に多数連続する断面略三角波形状の凹凸からなる被係合部26を形成してあり、左側面(外壁10側面)に、上下に延びる断面凹形の排水溝27を形成してある。排水溝27は、内外に2本形成してあり、それぞれ挿通孔25の内側端部と外側端部に位置している。
そして、縦材3の左側面に、ブラケット2aのパネル側部21の右側面を当接させ、挿嵌部5は溝部4にクリアランスを有して嵌めてあり、クリアランスの範囲内で適宜内外方向の位置を調整してある。図1及び図4は、ブラケット2aに対して縦材3が最も外側に位置しており、挿嵌部5の内側面51が溝部4の内側の側壁41に当接している状態を示している(もちろん、調整の結果次第でブラケット2aに対する縦材3の内外方向位置が異なる場合もあり得る)。そして、連通する縦材3のボルト孔31及びブラケット2aのボルト挿通孔24に、縦材3側からボルト6を挿通し、ブラケット2aの係止部23に挿入したナット7に螺合させて縦材3とブラケット2aをボルト止めしてある。ここで、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法C1(=C1a+C1b)が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法C2以上の大きさとなっているので(C1≧C2)、ブラケット2aに対して縦材3をどの位置に取り付けても、ボルト6がボルト孔31に干渉しない。
また、このようにしてパネル本体1の縦材3に固定したブラケット2aの外壁側部22を、外壁10に固定してある。外壁10には、アンカーボルト8を埋め込んであって、先端部が外壁10の右側(パネル本体1側)の見込面から突出している。図1(a)に示すように、外壁10のパネル本体1に対向する位置には、既存の手摺の溶接下地金物Bやアンカーボルトなどの埋設物が埋め込まれており、そのまま新たなボルトを打ち込むことは難しく、また埋設物を撤去するとその部分が脆くなってしまい、そこに新たなボルトを打ち込んでも十分な強度が得られない。そこでアンカーボルト8は、外壁10の、パネル本体1に対向する位置から内側にずれた位置に設けてある。
さらに、ブラケット2aを外壁10に固定する際には、押圧具9を用いる。押圧具9は、内外方向に延びる垂直向きの矩形平板状のものであって、中央にアンカーボルト8の外径と略同じ内径(アンカーボルト8を挿入しやすくするため、多少のクリアランスは設けてある)のボルト挿通孔91を有している。また、左側面(ブラケット2a側面)の全面に、上下方向に延び内外方向に多数連続する断面略三角波形状の凹凸からなる係合部92を形成してある。なお、ブラケット2aの挿通孔25は、押圧具9のボルト挿通孔91より大きく押圧具9より小さいものとなっている。また、ブラケット2aの被係合部26の断面形状は、押圧具9の係合部92の断面形状と同じであって、係合して相互の内外方向の移動を規制するものである。そして、ブラケット2aの被係合部26は、押圧具9の係合部92よりも広く、押圧具9に対してブラケット2aが内外方向及び上下方向にずれても、ボルト挿通孔91が挿通孔25の内周側に略納まる範囲内であれば、押圧具9の係合部92の全体がブラケット2aの被係合部26に当接して係合する。
そして、ブラケット2aの外壁側部22の挿通孔25にアンカーボルト8を通して外壁側部22を外壁10の右側の見込面に当接させてあり、ボルト挿通孔91にアンカーボルト8を通して押圧具9をブラケット2aの外壁側部22に当接させてある。この際、押圧具9の係合部92とブラケット2aの被係合部26が係合している。そして、ナット81をアンカーボルト8に締結することで、押圧具9によりブラケット2aの外壁側部22を外壁10に押さえ付けて固定してある。こうして、内外方向にずれたパネル本体1とアンカーボルト8に対して、それぞれブラケット2aのパネル側部21と外壁側部22がボルト止めされて、ブラケット2aを介してパネル本体1と外壁10が固定される。
なお、図3に示すように、右側の縦材3及びブラケット2bの連結部の構成についても、左側と同様である。ただし、右側においては、ブラケット2bの外壁側部22が左右方向に延び、ブラケット2b全体で略L字形となっていて、外壁側部22を外壁10の内側(建物側)の見付面に固定してある。
このように構成した本発明のパネル体の第一実施形態によれば、縦材3の溝部4に対して、ブラケット2a,2bの挿嵌部5が、クリアランスを有して嵌まるものなので、クリアランスの範囲内でブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整可能である。よって、ブラケット2a,2bを取り付ける外壁10が傾斜しているなどの種々の事情により、上下のブラケット2a,2bの内外方向位置が揃わない場合であっても、上下それぞれにおいてブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整することで、縦材3の傾斜角度を調整して、縦材3(パネル本体1)を垂直に取り付けることができる。そして、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法以上なので、取付位置の調整時にボルト6がボルト孔31に干渉しない。
さらに、このパネル体はベランダの手摺として用いられるものであるから、人がパネル本体1に寄り掛かって、外側向きの荷重が加わることが想定されるものであり、このような外側向きの荷重に対して、ブラケット2a,2bと外壁10の連結部の強度が高い。すなわち、左側のブラケット2aにおいては、ともに内外に連続する凹凸からなるブラケット2aの被係合部26と押圧具9の係合部92が係合することで相互の内外方向の移動が規制されているので、外側向きの力に対してパネル本体1を確実に保持できる。また、右側のブラケット2bにおいては、ブラケット2bが外壁10の内側の見付面に固定されているので、外側向きの力に対してパネル本体1を確実に保持できる。そして、パネル体の左右何れにおいても、ブラケット2a,2bによって、パネル本体1を、外壁10のパネル本体1に対向する位置からずれた位置に固定するので、改修において既存のアンカーボルトなどが妨げになることはない。また、外壁10のパネル本体1に対向する位置からずれた位置でも、元より埋め込まれた鉄筋が存在する場合があるが、押圧具9の係合部92とブラケット2a,2bの被係合部26が、ブラケット2a,2bが挿通孔25の範囲内で押圧具9に対してずれても係合可能で、その範囲内で容易に位置調整ができるので、鉄筋を回避した位置にアンカーボルト8を設けることができ、調整量に応じて複数の部材を用意する必要がなく、施工性が良好で費用も抑えられる。そして、この挿通孔25が略四角形なので、ブラケット2a,2b及び押圧具9の大きさの範囲内で、位置調整可能な範囲を最大限大きくすることができる。また、ブラケット2a,2bの外壁側部22の外壁10に当接する面に形成した排水溝27は、押圧具9の係合部92とブラケット2a,2bの被係合部26が当接する部分の僅かな隙間から浸入して挿通孔25内にたまった雨水を排出するためのものである。
次に、図5に基づき、本発明のパネル体の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、第一実施形態と比較して、ブラケット2a,2bと縦材3の連結部の構成が異なるものであり、その点について説明する。なお、図5はパネル体の左側部分を示すものであるが、右側部分についても同様である。
第二実施形態において、左側の縦材3は、断面略矩形の中空形材からなるものであって、その左側面(外壁10側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凸形の挿嵌部5を形成してあり、挿嵌部5の左側面(外壁10側面)の内外方向中央部に、縦材3を左右方向に貫通する円形のボルト孔31を形成してある。このボルト孔31の内径は、挿入されるボルト6のネジ部の外径よりも大きく、ボルト孔31の内径とボルト6のネジ部の外径の差が、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法となる。
左側のブラケット2aは、第一実施形態と同様に、パネル本体1の縦材3に固定するパネル側部21と、外壁10に固定する外壁側部22を有し、ブラケット2a全体で略Z字形となっていて、外壁側部22の形状は第一実施形態と同じである。パネル側部21は、右側面(パネル本体1側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凹形の溝部4を形成してある。溝部4の深さは、縦材3の挿嵌部5の突出高さと同じである。また、溝部4の内外方向幅は、縦材3の挿嵌部5の内外方向幅よりも大きく、溝部4の内外方向幅と縦材3の挿嵌部5の内外方向幅の差が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法となる。そして、この溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法は、上記のボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法以下の大きさとなっている。また、パネル側部21の左側面(外壁10側面)の溝部4の裏側位置に、上下方向に延びる断面凹形の溝状の係止部23を形成してある。係止部23は、内外方向幅がナット7を丁度挿入可能なものであって、挿入されたナット7が回動不能となる。さらに、係止部23の底面の上下方向中央部に、パネル側部21を左右方向に貫通する円形のボルト挿通孔24を形成してある。このボルト挿通孔24は、溝部4の内外方向中央部に位置し、その内径は、ボルト6のネジ部の外径と略同じである(ボルト6を挿入しやすくするため、多少のクリアランスは設けてある)。
そして、縦材3の左側面に、ブラケット2aのパネル側部21の右側面を当接させ、挿嵌部5は溝部4にクリアランスを有して嵌めてあり、クリアランスの範囲内で適宜内外方向の位置を調整してある。図5は、ブラケット2aに対して縦材3が最も外側に位置しており、挿嵌部5の外側面52が溝部4の外側の側壁42に当接している状態を示している。そして、連通する縦材3のボルト孔31及びブラケット2aのボルト挿通孔24に、縦材3側からボルト6を挿通し、ブラケット2aの係止部23に挿入したナット7に螺合させて縦材3とブラケット2aをボルト止めしてある。ここで、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法C1(=C1a+C1b)が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法C2以上の大きさとなっているので(C1≧C2)、ブラケット2aに対して縦材3をどの位置に取り付けても、ボルト6がボルト孔31に干渉しない。
このように構成した本発明のパネル体の第二実施形態によれば、ブラケット2a,2bの溝部4に対して、縦材3の挿嵌部5が、クリアランスを有して嵌まるものなので、クリアランスの範囲内でブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整可能である。よって、ブラケット2a,2bを取り付ける外壁10が傾斜しているなどの種々の事情により、上下のブラケット2a,2bの内外方向位置が揃わない場合であっても、上下それぞれにおいてブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整することで、縦材3の傾斜角度を調整して、縦材3(パネル本体1)を垂直に取り付けることができる。そして、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法以上なので、取付位置の調整時にボルト6がボルト孔31に干渉しない。
次に、図6に基づき、本発明のパネル体の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、第一実施形態と比較して、ブラケット2a,2bと縦材3の連結部の構成が異なるものであり、その点について説明する。なお、図6はパネル体の左側部分を示すものであるが、右側部分についても同様である。
第三実施形態において、左側の縦材3は、断面略矩形の中空形材からなるものであって、その左側面(外壁10側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凹形の溝部4を形成してある。溝部4の内外方向幅は、第一実施形態のものよりも大きい。そして、溝部4の底面の内外方向中央部に、縦材3を左右方向に貫通する円形のボルト孔31を形成してある。このボルト孔31の内径は、挿入されるボルト6のネジ部の外径よりも大きく、ボルト孔31の内径とボルト6のネジ部の外径の差が、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法となる。
左側のブラケット2aは、第一実施形態と同様に、パネル本体1の縦材3に固定するパネル側部21と、外壁10に固定する外壁側部22を有し、ブラケット2a全体で略Z字形となっていて、外壁側部22の形状は第一実施形態と同じである。パネル側部21は、右側面(パネル本体1側面)がフラットであり、パネル側部21の右側部分の全体が、縦材3の溝部4に嵌まる挿嵌部5となっている。挿嵌部5(パネル側部21)の内外方向幅は、縦材3の溝部4の内外方向幅よりも小さく、縦材3の溝部4の内外方向幅と挿嵌部5の内外方向幅の差が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法となる。そして、この溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法は、上記のボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法以下の大きさとなっている。また、パネル側部21の左側面(外壁10側面)の挿嵌部5の裏側位置に、上下方向に延びる断面凹形の溝状の係止部23を形成してある。係止部23は、内外方向幅がナット7を丁度挿入可能なものであって、挿入されたナット7が回動不能となる。さらに、係止部23の底面の上下方向中央部に、パネル側部21を左右方向に貫通する円形のボルト挿通孔24を形成してある。このボルト挿通孔24は、挿嵌部5の内外方向中央部に位置し、その内径は、ボルト6のネジ部の外径と略同じである(ボルト6を挿入しやすくするため、多少のクリアランスは設けてある)。
そして、縦材3の溝部4に、ブラケット2aの挿嵌部5を、クリアランスを有して嵌めてあり、クリアランスの範囲内で適宜内外方向の位置を調整してある。図6は、ブラケット2aに対して縦材3が最も外側に位置しており、挿嵌部5の内側面51が溝部4の内側の側壁41に当接している状態を示している。そして、連通する縦材3のボルト孔31及びブラケット2aのボルト挿通孔24に、縦材3側からボルト6を挿通し、ブラケット2aの係止部23に挿入したナット7に螺合させて縦材3とブラケット2aをボルト止めしてある。ここで、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法C1(=C1a+C1b)が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法C2以上の大きさとなっているので(C1≧C2)、ブラケット2aに対して縦材3をどの位置に取り付けても、ボルト6がボルト孔31に干渉しない。
このように構成した本発明のパネル体の第三実施形態によれば、縦材3の溝部4に対して、ブラケット2a,2bの挿嵌部5が、クリアランスを有して嵌まるものなので、クリアランスの範囲内でブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整可能である。よって、ブラケット2a,2bを取り付ける外壁10が傾斜しているなどの種々の事情により、上下のブラケット2a,2bの内外方向位置が揃わない場合であっても、上下それぞれにおいてブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整することで、縦材3の傾斜角度を調整して、縦材3(パネル本体1)を垂直に取り付けることができる。そして、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法以上なので、取付位置の調整時にボルト6がボルト孔31に干渉しない。
次に、図7に基づき、本発明のパネル体の第四実施形態について説明する。第四実施形態は、第一実施形態と比較して、ブラケット2a,2bと縦材3の連結部の構成が異なるものであり、その点について説明する。なお、図7はパネル体の左側部分を示すものであるが、右側部分についても同様である。
第四実施形態において、左側の縦材3は、断面略矩形の中空形材からなるものであって、その左側面(外壁10側面)がフラットであり、縦材3の左側部分の全体が、ブラケット2aの溝部4に嵌まる挿嵌部5となっており、挿嵌部5(縦材3)の左側面(外壁10側面)の内外方向中央部に、縦材3を左右方向に貫通する円形のボルト孔31を形成してある。このボルト孔31の内径は、挿入されるボルト6のネジ部の外径よりも大きく、ボルト孔31の内径とボルト6のネジ部の外径の差が、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法となる。
左側のブラケット2aは、第一実施形態と同様に、パネル本体1の縦材3に固定するパネル側部21と、外壁10に固定する外壁側部22を有し、ブラケット2a全体で略Z字形となっていて(ただし、パネル側部21は、パネル側部21と外壁側部22を接続する見付壁面よりも内側に突出している)、外壁側部22の形状は第一実施形態と同じである。パネル側部21は、右側面(パネル本体1側面)の内外方向中央部に、上下方向に延びる断面凹形の溝部4を形成してある。溝部4の内外方向幅は、挿嵌部5(縦材3)の内外方向幅よりも大きく、溝部4の内外方向幅と縦材3の挿嵌部5の内外方向幅の差が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法となる。そして、この溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法は、上記のボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法以下の大きさとなっている。また、パネル側部21の左側面(外壁10側面)の溝部4の裏側位置に、上下方向に延びる断面凹形の溝状の係止部23を形成してある。係止部23は、内外方向幅がナット7を丁度挿入可能なものであって、挿入されたナット7が回動不能となる。さらに、係止部23の底面の上下方向中央部に、パネル側部21を左右方向に貫通する円形のボルト挿通孔24を形成してある。このボルト挿通孔24は、溝部4の内外方向中央部に位置し、その内径は、ボルト6のネジ部の外径と略同じである(ボルト6を挿入しやすくするため、多少のクリアランスは設けてある)。
そして、ブラケット2aの溝部4に、縦材3の挿嵌部5を、クリアランスを有して嵌めてあり、クリアランスの範囲内で適宜内外方向の位置を調整してある。図7は、ブラケット2aに対して縦材3が最も外側に位置しており、挿嵌部5の外側面52が溝部4の外側の側壁42に当接している状態を示している。そして、連通する縦材3のボルト孔31及びブラケット2aのボルト挿通孔24に、縦材3側からボルト6を挿通し、ブラケット2aの係止部23に挿入したナット7に螺合させて縦材3とブラケット2aをボルト止めしてある。ここで、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法C1(=C1a+C1b)が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法C2以上の大きさとなっているので(C1≧C2)、ブラケット2aに対して縦材3をどの位置に取り付けても、ボルト6がボルト孔31に干渉しない。
このように構成した本発明のパネル体の第四実施形態によれば、ブラケット2a,2bの溝部4に対して、縦材3の挿嵌部5が、クリアランスを有して嵌まるものなので、クリアランスの範囲内でブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整可能である。よって、ブラケット2a,2bを取り付ける外壁10が傾斜しているなどの種々の事情により、上下のブラケット2a,2bの内外方向位置が揃わない場合であっても、上下それぞれにおいてブラケット2a,2bに対する縦材3の内外方向の取付位置を調整することで、縦材3の傾斜角度を調整して、縦材3(パネル本体1)を垂直に取り付けることができる。そして、ボルト孔31のボルト6に対するクリアランス寸法が、溝部4の挿嵌部5に対するクリアランス寸法以上なので、取付位置の調整時にボルト6がボルト孔31に干渉しない。
なお、本発明は、上記のとおり、ボルト孔のボルトに対するクリアランス寸法が、溝部の挿嵌部に対するクリアランス寸法以上の大きさとなっていることから、万が一、パネル体にボルトとナットによる摩擦力を越える力が作用して、ブラケットに対して縦材が移動したとしても、縦材のボルト孔の周縁部がボルトに接触するよりも先に、溝部の側壁が挿嵌部に面同士で接触する。ここで仮に、先にボルト孔の周縁部がボルトに接触すると、円形のボルト孔に対して断面円形のボルトが一点で接触し、その点に荷重が集中して、ボルトや縦材が変形・破損するおそれがある。しかしながら、このように溝部の側壁と挿嵌部が面同士で接触するので、荷重が分散され、かつボルトではなくブラケットが荷重を受けることになるので、各部の変形・破損のおそれがなく、強度が高い。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、溝部と挿嵌部の形状は、クリアランスを有して相互に嵌まるものであれば、どのようなものであってもよい。また、1つのパネル体において、上記の各実施形態の縦材とブラケットの連結部の構成を組み合わせて用いてもよい。さらに、左右のブラケットについて、両方とも第一実施形態における左側の略Z字形のものを用いてもよいし、両方とも第一実施形態における右側の略L字形のものを用いてもよい。また、パネル本体の構成は、必要強度や意匠性などを考慮して、適宜変更できる。
さらに、本発明のパネル体は、上記の改修手摺のほか、新設手摺として用いることもできる。また、手摺以外の種々の用途の建材にも適用できるものであり、具体例として、集合住宅のベランダに設置される、隣室との仕切りとなるパーテーションなどが挙げられる。