以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、振動表示システム100を構成する、ホストPC1及びスマートフォン20の概要について説明する。図1(a)は走行中の鉄道車両TにおけるホストPC1及びスマートフォン20を模式的に表した部分的な断面図であり、図1(b)は鉄道車両Tにおけるスマートフォン20の設置エリアを模式的に示した平面図である。
鉄道車両Tは、車両60が複数両連結されて構成される。鉄道車両Tを構成する車両60には、進行方向側の車両60から順に1号車,2号車,3号車,・・・と号車番号が割り当てられる。なお、車両60における線路方向がX軸方向とされ、枕木方向がY軸方向とされ、X軸方向およびY軸方向に直交する方向がZ軸方向とされる。
本実施形態における振動表示システム100は、鉄道車両T内の複数位置に設置されたスマートフォン20と、鉄道車両Tにおける1号車に設置されたホストPC1とで構成される。ホストPC1は、スマートフォン20が検知したY軸方向の加速度、走行速度、日時、位置といった振動情報を受信し、その振動情報を表示するための情報処理装置である。なお、ホストPC1は、必ずしも1号車に設置される必要はなく、鉄道車両T内であれば他の号車に設置されても良い。また、ホストPC1は常に鉄道車両Tに設置されても良いし、振動情報を検知する場合のみ、鉄道車両Tに設置されても良い。
スマートフォン20は振動情報を検知し、その振動情報をホストPC1に送信するための携帯型電子機器である。スマートフォン20は、図1(b)に示す車両60を線路方向に3分割、枕木方向に2分割の合計6分割した「設置エリア」に、1台ずつ設置される。設置エリアは、鉄道車両T内の設置エリアを区別するための設置エリア名(コード)で表され、具体的に設置エリア名は「号車番号−(ハイフン)設置エリア番号」で表される。
設置エリア番号は、同一の車両60における、設置エリアを区別するための番号である。設置エリア番号は、車両60の進行方向における左側の前方の設置エリアから順に1,3,5とされ、進行方向における右側の前方の設置エリアから順に2,4,6とされる。例えば、1号車における設置エリア番号が1の設置エリア名は「設置エリア1−1」と表される。スマートフォン20を設置エリア毎に設置することで、スマートフォン20の設置条件が統一されるので、例えば同一の設置エリアにおける振動情報の時間的推移や、鉄道車両T内における同一の設置エリア番号毎の振動情報の比較等を、容易に行うことができる。
また、スマートフォン20の設置場所は、設置エリア内における水平な台上とされ、シートの背もたれに設置されたテーブル上が例示される。これにより、スマートフォン20の姿勢が安定するので、スマートフォン20が検知する振動情報に、人間がスマートフォン20を把持する場合に生じる手ブレ等といった、車両60の走行によらない余分な振動成分の混入を防ぐことができる。またスマートフォン20は、スマートフォン20の正面視における短手方向とY軸方向とを、一致させて設置される。これにより、スマートフォン20は、Y軸方向の加速度を正確に検知することができる。
次に、図2,図3を参照して、振動表示システム100のホストPC1及びスマートフォン20の電気的構成について説明する。図2はホストPC1及びスマートフォン20の電気的構成を示すブロック図である。
まず、ホストPC1の電気的構成について説明する。ホストPC1は、CPU2と、ハードディスクドライブ(HDD)3と、RAM4とを有し、これらはバスライン5を介して入出力ポート6にそれぞれ接続されている。入出力ポート6には、表示装置7と、入力装置8と、無線通信装置9とがそれぞれ接続されている。CPU2は、バスライン5により接続された各部を制御する演算装置である。
HDD3は、CPU2により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム3aと、送信位置データ3bと、振動情報テーブル3cとが記憶される。CPU2によって制御プログラム3aが実行されると、図4(b)のメイン処理が実行される。
送信位置データ3bは、スマートフォン20が検知した振動情報を送信する、鉄道車両Tの始発点からの位置(単位はkm)、即ち送信位置を記憶するデータテーブルである。図3(a)を参照して、送信位置データ3bについて説明する。図3(a)は送信位置データ3bを模式的に表した図である。送信位置データ3bには、送信位置が、鉄道車両Tの始発点(0km地点)から順に0.1km毎に記憶される。また、送信位置データ3bの終端、即ち図3(a)における「No.5000」の位置には、送信位置データ3bの終端を表す「(END)」が記憶される。送信位置データ3bは後述の無線通信装置9を介してスマートフォン20に送信される。従ってスマートフォン20は、同一の送信位置データ3bにおける送信位置に基づいて、検知した振動情報をホストPC1に送信するので、各スマートフォン20は振動情報を送信するための条件を揃えることができる。なお、図3(a)において、送信位置データ3bのデータ数は5000とされたが、必ずしも5000に限られるものではなく、5000以上でも良いし、5000以下でも良い。
図2に戻る。振動情報テーブル3cは、スマートフォン20から受信した振動情報が記憶されるデータテーブルである。図3(b),(c)を参照して、振動情報テーブル3cについて説明する。
図3(b)は振動情報テーブル3cを模式的に表した図であり、図3(c)は加速度データf1を模式的に表した図である。図3(b)に示す通り、振動情報テーブル3cには、スマートフォン20が振動情報を検知した日時が記憶される日時メモリ3c1と、スマートフォン20で検知されたY軸方向の加速度データf1,f2,・・・が記憶される振動加速度メモリ3c2と、スマートフォン20で検知された鉄道車両Tの走行速度(単位はkm/h)が記憶される速度メモリ3c3と、始発点からの位置(単位はkm)が記憶される位置メモリ3c4と、スマートフォン20の設置エリア名が記憶される設置エリアメモリ3c5とが設けられ、それぞれが対応付けられて記憶される。
振動加速度メモリ3c2に記憶される加速度データf1,f2,・・・は、図3(c)に示す通り、スマートフォン20で検知されたY軸方向の加速度(単位はm/s2)が、No.1から時系列順に累積して記憶されたデータである。本実施形態において、加速度が記憶されるサンプリング周期は20msとされる。以下、加速度データf1,f2,・・・について、区別しない場合は「加速度データfn」と称す。なお、加速度が加速度データfnに記憶されるサンプリング周期は、20ms以上でも良いし、20ms以下でも良い。
図2に戻る。RAM4はCPU2が制御プログラム3a等のプログラム実行時に、各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶する揮発性メモリである。表示装置7は、振動情報テーブル3cに記憶された振動情報が表される表示画面40(図6〜図9)が表示されるディスプレイであり、LCDが例示される。入力装置8は、ユーザによる操作に応じて、日時や始発点からの位置、設置エリア等をCPU2に入力するためのデバイスであり、マウスやキーボードが例示される。
無線通信装置9は、ホストPC1とスマートフォン20との無線通信を行うための装置であり、無線LAN規格であるIEEE802.11b/gに準拠した装置が例示される。無線通信装置9からスマートフォン20に対して、送信位置データ3bの各値と、振動情報の計測開始指示および終了指示とが送信される。また、無線通信装置9によってスマートフォン20から送信された振動情報(即ち後述の振動情報メモリ23cの値)が受信され、その振動情報が振動情報テーブル3cに追加される。
次に、スマートフォン20の電気的構成について説明する。スマートフォン20は、CPU21と、フラッシュROM22と、RAM23とを有し、これらはバスライン24を介して入出力ポート25にそれぞれ接続されている。入出力ポート25には、無線通信装置26と、日付時刻を計時するリアルタイムクロック(RTC)27と、Global Positioning System(GPS)衛星から、スマートフォン20が位置する緯度および経度の値を取得するためのGPS受信装置28と、スマートフォン20のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの加速度(単位はm/s2)を取得する3軸加速度センサ29と、表示装置30と、入力装置31とがそれぞれ接続されている。
CPU21は、バスライン24により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM22は書き換え可能な不揮発性メモリであり、制御プログラム22aと、位置変換データ22bと、ホストPC1から受信した送信位置データの各値(即ち送信位置データ3bの各値)が保存される送信位置データ22cとが記憶される。CPU21によって、制御プログラム22aが実行されると、図4(a)のメイン処理が実行される。
位置変換データ22bは、緯度および経度の値と、始発点からの位置とが対応付けられて記憶されたデータテーブルである。GPS受信装置28から取得した緯度および経度の値を、位置変換データ22bで検索することで、その緯度および経度の値に最も近い、始発点からの位置が取得される。
RAM23はCPU21が制御プログラム22a等のプログラム実行時に、各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶する揮発性メモリであり、ユーザより入力された設置エリア名が記憶される設置エリアメモリ23aと、取得加速度メモリ23bと、振動情報メモリ23cと、送信位置メモリ23dがそれぞれ設けられる。取得加速度メモリ23bは、3軸加速度センサ29から取得されたY軸方向の加速度が、時系列順に累積して記憶されるメモリである。なお、取得加速度メモリ23bのデータ構造およびサンプリング周期は、上述の加速度データfn(図3(c))と同一なので、詳細な説明は省略する。
振動情報メモリ23cは、ホストPC1に送信する振動情報を記憶するためのメモリである。具体的に振動情報メモリ23cには、RTC27から取得した日付時刻と、取得加速度メモリ23bの値と、走行速度と、GPS受信装置28から取得した始発点からの位置と、入力装置31から入力された設置エリアとが記憶される。送信位置メモリ23dは、送信位置データ22cから取得され、後述の現在位置と比較される送信位置が記憶されるメモリである。
無線通信装置26は、スマートフォン20とホストPC1との無線通信を行うための装置であり、無線LAN規格であるIEEE802.11b/gに準拠した装置が例示される。無線通信装置26からホストPC1に対して、振動情報メモリ23cの値が送信される。また、無線通信装置26によってホストPC1から、送信位置データ3bの各値と、振動情報の計測開始指示および計測終了指示とが受信される。
3軸加速度センサ29は、スマートフォン20のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、それぞれの加速度データ(単位はm/s2)を取得するセンサである。各座標軸方向で、加速度の変化が検出された場合は、その時点で加速度が出力される。一方、加速度の変化が検出されない場合は、20ms毎にその時点での加速度が出力される。
表示装置30は、スマートフォン20の情報等や、設置エリア等の設定画面を表示するためのディスプレイであり、LCDが例示される。入力装置31は、ユーザによる指示をスマートフォン20へ入力するための入力装置であり、タッチパネルが例示される。
次に、図4,図5を参照して、ホストPC1のCPU2で実行されるメイン処理およびスマートフォン20のCPU21で実行されるメイン処理について説明する。まず、スマートフォン20のメイン処理を説明する。図4(a)は、スマートフォン20のメイン処理である。スマートフォン20のメイン処理は、入力装置31から制御プログラム22aの実行指示が入力された場合に実行される。
スマートフォン20のメイン処理はまず、入力装置31でユーザによって入力された、スマートフォン20が設置された設置エリア名を取得し、設置エリアメモリ23aに保存する(S1)。S1の処理の後、ホストPC1から送信位置データ3bの各値を受信したかを確認し(S2)、送信位置データ3bの各値を受信した場合は(S2:Yes)、受信した送信位置データ3bの各値を送信位置データ22cに保存する(S3)。一方、送信位置データ3bの各値を受信していない場合は(S2:No)、送信位置データ3bの各値をホストPC1から受信していない状態での振動情報の計測開始を防ぐため、S2の判断処理を繰り返して、ホストPC1から送信位置データ3bの各値を受信するのを待機する。そして、S3の処理の後、送信位置データ22cから先頭の送信位置データ、即ち送信位置データ22cにおける「No.1」の送信位置を取得し、送信位置メモリ23dへ保存する(S4)。
S4の処理の後、ホストPC1から振動情報の計測開始指示を受信したかを確認する(S5)。計測開始指示を受信していない場合は(S5:No)、S5の処理を繰り返して、計測開始指示を受信するのを待つ。図4(b)のS22の処理で後述するが、計測開始指示は、ホストPC1から鉄道車両T内の全てのスマートフォン20に対して送信される。これにより、スマートフォン20が計測開始指示を受信するまで、S6以降の振動情報の取得および送信処理が待機されるので、各スマートフォン20における計測開始タイミングを揃えることができる。
一方、S5の処理においてホストPC1から計測開始指示を受信した場合は(S5:Yes)、3軸加速度センサ29から取得されたサンプリング周期(20ms)毎のY軸方向の加速度を、取得加速度メモリ23bに追加する(S6)。具体的には、20ms毎のタイミングにおいて、3軸加速度センサ29から取得された最新の加速度を、その20ms間における加速度として取得し、取得加速度メモリ23bに追加する。
3軸加速度センサ29からは、加速度が変化した場合にその加速度が出力されるが、一方で、加速度が変化しない場合は、20ms毎にその時点での加速度が出力される。本実施形態においては、取得加速度メモリ23bに加速度が追加されるサンプリング周期は、この20msとされる。そして、直近の20ms間において、3軸加速度センサ29から出力された最新の加速度が、その20ms間における加速度として取得される。これにより、サンプリング周期内に、3軸加速度センサ29から出力される新たな加速度を必ず取得できる。取得加速度メモリ23bには、サンプリング周期毎の加速度が記憶されるので、この取得加速度メモリ23bの値に対してスペクトル解析等の、種々の解析手法を適用して、加速度を解析することができる。
S6の処理の後、GPS受信装置28から、現時点における緯度および経度の値を取得する。そして、その緯度および経度の値を位置変換データ22bで検索して、スマートフォン20と始発点との距離、即ち現在位置を取得する(S7)。
S7の処理の後、現在位置が送信位置メモリ23dの値以上かどうか、即ち送信位置に到達したかを確認する(S8)。
S8の処理において、現在位置が送信位置以上となった場合は(S8:Yes)、それまで検知された振動情報をホストPC1に送信するタイミングであるので、まず、GPS受信装置28の緯度および経度の値から、走行速度を算出する(S9)。具体的には、S7の処理でGPS受信装置28から取得した緯度および経度の値と、前回のS7の処理における緯度および経度の値とから、前回処理からの移動距離を算出する。その移動距離を、前回のS7の処理実行時からの時間差で割ることで走行速度が算出される。
S9の処理の後、RTC27から取得した日時と、取得加速度メモリ23bの値と、S7の処理で取得した現在位置と、S9の処理で算出された走行速度と、設置エリアメモリ23aの値とを、振動情報メモリ23cに保存する(S10)。S10の処理の後、振動情報メモリ23cの値を、無線通信装置26を経由してホストPC1へ送信する(S11)。これにより、前回の送信位置と今回到達した送信位置との間において、スマートフォン20が検知した振動情報がホストPC1に送信される。
S11の処理の後、送信位置に到達し、それまでに取得された取得加速度メモリ23bの値が、振動情報としてホストPC1に送信されたので、次の加速度の取得に備え、取得加速度メモリ23bの値をクリアする(S12)。S12の処理の後、送信位置データ22cから次の送信位置、即ち送信位置データ22cにおける次の「No.」の送信位置を取得し、送信位置メモリ23dへ保存する(S13)。これにより、S8の処理で現在位置と比較される送信位置メモリ23dの値が、次の送信位置へと更新される。S13の処理の後、振動情報の計測終了かを確認する(S14)。スマートフォン20において、振動情報の計測終了と判断されるのは、ホストPC1から計測終了指示が送信された場合、または送信位置メモリ23dの値が、送信位置データ22cの終端を表す「(END)」である場合とされる。かかる場合は(S14:Yes)、メイン処理を終了する。
一方、計測終了タイミングでない場合は(S14:No)、S6の処理以下を繰り返し実行する。また、S8の処理において現在位置が送信位置に到達していない場合も(S8:No)、S6の処理以下を繰り返し実行する。
次に、図4(b)を参照して、ホストPC1のメイン処理を説明する。図4(b)は、ホストPC1のメイン処理である。ホストPC1のメイン処理は、ホストPC1の電源投入後に実行される。
ホストPC1のメイン処理はまず、ユーザによって、入力装置8から計測開始指示が入力されたかを確認する(S20)。計測開始指示が入力された場合は(S20:Yes)、送信位置データ3bの各値を全てのスマートフォン20に送信する(S21)。
S21の処理の後、鉄道車両T内の全てのスマートフォン20に、計測開始指示を送信する(S22)。スマートフォン20はこの計測開始指示を受けて、図4(a)のS5の処理によって振動情報の計測を開始する。S22の処理の後、スマートフォン20が計測中、即ちS22の処理による計測開始指示から、計測終了するまでの間かどうかを確認する(S23)。ホストPC1において振動情報の計測終了と判断されるのは、全スマートフォン20から送信位置データ3bに記憶された「(END)」以外の全ての送信位置の振動情報を受信した場合、またはホストPC1が計測終了指示を送信した場合(後述のS27の処理)とされる。
S23の処理において、計測中である場合は(S23:Yes)、スマートフォン20から振動情報を受信したかを確認する(S24)。振動情報を受信した場合は(S24:Yes)、受信した振動情報を振動情報テーブル3cに追加する(S25)。これにより、図4(a)のS6〜S11の処理においてスマートフォン20で検知され、送信された振動情報が、ホストPC1の振動情報テーブル3cに追加され、後述の表示処理(S28)にて表示装置7へ表示される。一方、振動情報を受信しなかった場合は(S24:No)、S25の処理をスキップする。
S24,S25の処理の後、全スマートフォン20から、送信位置データ3bに保存された、全ての送信位置における振動情報を受信したかを確認する(S26)。全ての送信位置における振動情報を受信した場合は(S26:Yes)、スマートフォン20に計測終了指示を送信する(S27)。一方、全ての送信位置における振動情報を受信していない場合は(S26:No)、S27の処理をスキップする。
S23の処理において計測中ではない場合は(S23:No)、S24〜S27の処理をスキップする。そして、S23,S26,S27の処理の後、表示装置7に振動情報テーブル3cの振動情報を表示する、表示処理を行う(S28)。S28の表示処理の後はS20の処理以下を繰り返し実行する。
図5〜図9を参照して、S28における表示処理について説明する。図5において、表示処理はまず、表示モードを確認する(S50)。表示モードには、設置エリア毎における最新の振動情報を表示する「リアルタイム表示」と、指定された位置に該当する設置エリア毎の振動情報を表示する「位置指定表示」と、指定された時刻に該当する設置エリア毎の振動情報を表示する「時刻指定表示」と、指定された設置エリアにおける振動情報の推移をグラフ表示する「設置エリア指定表示」とが設けられる。
S50の処理において、表示モードにリアルタイム表示が設定されている場合は(S50:リアルタイム)、表示装置7には図6のリアルタイム表示における表示画面40が表示される。ここで図5,図6を参照して、リアルタイム表示における表示画面40と、その際の表示処理とについて説明する。図6(a)はリアルタイム表示における表示画面40(全設置エリア)を示す図であり、図6(b)はリアルタイム表示における表示画面40(設置エリア指定)を示す図である。
リアルタイム表示における表示画面40の上部には、表示モードをリアルタイム表示に設定するリアルタイムボタン41と、表示モードを位置指定表示に設定する位置指定ボタン42と、表示モードを時刻指定表示に設定する時刻指定ボタン43と、表示モードを設置エリア指定表示に設定する設置エリア指定ボタン44とが表示される。リアルタイムボタン41には、設定されている表示モードがリアルタイム表示であることを表す枠線が付される。
ボタン41〜44の下側には、日付設定エリア45と、設置エリア指定46とが表示される。日付設定エリア45は、振動情報における日付を表示または設定するための表示エリアである。表示モードがリアルタイム表示である場合は、表示画面40には、取得された最新の振動情報が表示され、日付の設定をする必要がないので、日付設定エリア45は、取得した振動情報の日付の表示のみ行われる。
設置エリア指定46は、結果表示エリア47に表示する設置エリアを設定するための設定エリアである。入力装置8によって、設置エリア指定46に対して、設置エリアが入力される。
日付設定エリア45,設置エリア指定46の下側には、取得した振動情報が表示される結果表示エリア47と、スクロールボタン48,49(図7参照)とが表示される。設置エリア指定46にて「全表示」と指定された場合は、結果表示エリア47には、鉄道車両Tの全設置エリアにおける、最新の振動情報が表示される(図6(a))。一方、設置エリア指定46にて設置エリアが指定された場合は、結果表示エリア47には、指定された設置エリアにおける、最新の振動情報が結果表示エリア47に表示される(図6(b))。なお、図6(b)の設置エリア指定46における、「*」は鉄道車両Tを構成する車両60の全てを表す記号である。例えば「*−5」は各車両60における設置エリア番号「5」を表す。また、図示はしないが、1又は複数の設置エリア名(1−1,2−5等)が個別に指定された場合は、該当する設置エリアの振動情報が、結果表示エリア47に表示される。
スクロールボタン48,49は、結果表示エリア47において設置エリアの表示範囲を先頭車両側または後方車両側へ移動させるためのボタンである。結果表示エリア47は、全設置エリア分の振動情報が表示できないので、スクロールボタン48,49によって、表示される設置エリアを先頭車両側または後方車両側にスクロールすることで、所望の設置エリアの振動情報を表示することができる。なお、スクロールボタン48,49は、それ以上、設置エリアを先頭車両側または後方車両側にスクロールできない場合は表示されない。
次に、表示モードがリアルタイム表示である場合の表示処理について説明する。図5の表示処理において、表示モードとしてリアルタイム表示が設定された場合(S50:リアルタイム表示)、振動情報テーブル3cから、全設置エリアにおける最新の振動情報を取得し(S51)、設置エリア指定46にて、設置エリアが指定された場合は(S54:Yes)、S51の処理で取得された振動情報のうち、設置エリア指定46で指定された設置エリアの振動情報を取得する(S55)。一方、設置エリア指定46にて、設置エリアが指定されていない場合、即ち設置エリア指定46にて「全表示」が指定された場合は(S54:No)、S55の処理をスキップする。そして、S51,S55の処理で取得した振動情報を結果表示エリア47に表示する(S56)。
具体的には、取得した振動情報の日時メモリ3c1の値のうち、日付の値が日付設定エリア45に表示され、時刻の値が、結果表示エリア47における該当する設置エリアの表示領域の「時刻」に表示される。取得した振動情報の位置メモリ3c4の値が、該当する設置エリアの表示領域の「位置」に表示され、速度メモリ3c3の値が該当する設置エリアの表示領域の「速度」に表示される。そして、取得した振動情報の振動加速度メモリ3c2に記憶された、加速度データfnの末端の加速度、即ち加速度データfnの最新の加速度が、該当する設置エリアの表示領域の「振動」に表示される。
このように、図6(a)に示すリアルタイム表示における表示画面40(全設置エリア)には、同一の車両60における設置エリア毎の最新の振動情報が表示される。また、図6(b)に示すリアルタイム表示における表示画面40(設置エリア指定)には、車両60毎の同一の設置エリア番号における、最新の振動情報が表示される。これにより、設置エリア毎に走行中に検知される加速度(振動状況)を随時モニタリングしながら、設置エリア間の加速度を比較することができる。例えば、ある設置エリアにおいて、一定レベル以上の振動が継続して検知された場合は、車両60の車体や台車の故障や防振対策の不備が生じている可能性がある。リアルタイム表示画面を確認することで、ユーザはこれらを素早く認知することができ、車両60の整備を行う手掛かりとすることができる。
図5に戻る。S50の処理において、表示モードに位置指定表示が設定されている場合は(S50:位置指定)、表示装置7には図7の位置指定表示における表示画面40が表示される。ここで図5,図7を参照して、位置指定表示における表示画面40と、その際の表示処理とについて説明する。図7(a)は位置指定表示における表示画面40(全設置エリア)を示す図であり、図7(b)は位置指定表示における表示画面40(設置エリア指定)を示す図である。
位置指定表示における表示画面40の上部には、リアルタイムボタン41と、位置指定ボタン42と、時刻指定ボタン43と、設置エリア指定ボタン44とが表示される。位置指定ボタン42には、設定されている表示モードが位置指定表示であることを表す枠線が付される。
ボタン41〜44の下側には、日付設定エリア45と、設置エリア指定46と、位置指定エリア50とが表示される。表示モードがリアルタイム表示である場合は、表示画面40には、取得された最新の振動情報が表示され、日付の設定をする必要がないので、日付設定エリア45は、取得した振動情報の日付の表示のみ行われる。位置指定エリア50は、入力装置8を介して、振動情報テーブル3cに記憶される振動情報のうち、結果表示エリア47に表示する振動情報の、始発点からの位置を指定するための設定エリアである。
また、日付設定エリア45,設置エリア指定46,位置指定エリア50の下側には、結果表示エリア47と、スクロールボタン48,49とが表示される。設置エリア指定46にて「全表示」と指定された場合、結果表示エリア47には、鉄道車両Tの全設置エリアにおける、位置指定エリア50で指定した位置の振動情報が結果表示エリア47に表示される(図7(a))。一方、設置エリア指定46にて設置エリアが指定された場合は、結果表示エリア47には、鉄道車両Tの該当する設置エリアにおける、位置指定エリア50で指定した位置の振動情報が、結果表示エリア47に表示される(図7(b))。
次に、表示モードが位置指定表示である場合の表示処理について説明する。図5の表示処理において、表示モードとして位置指定表示が設定された場合は(S50:位置指定表示)、全設置エリアにおいて、位置指定エリア50で指定された始発点からの位置以上で、かつ最も近似する位置メモリ3c4の値の振動情報を取得する(S52)。S52の処理の後、設置エリア指定46にて、設置エリアが指定された場合は(S54:Yes)、S51の処理で取得された設置エリアの振動情報のうち、設置エリア指定46で指定された設置エリアの振動情報を取得する(S55)。一方、設置エリア指定46にて設置エリアが指定されていない場合は(S54:No)、S55の処理をスキップする。そして、S52,S55の処理で取得した振動情報を結果表示エリア47に表示する(S56)。
具体的に、S56の処理では、取得した振動情報の日時メモリ3c1の値のうち、日付の値が日付設定エリア45に表示され、時刻の値が結果表示エリア47における該当する設置エリアの表示領域の「時刻」に表示される。速度メモリ3c3の値が該当する設置エリアの表示領域の「速度」に表示される。
次に、位置指定エリア50で指定された始発点からの位置と、取得した振動情報の位置メモリ3c4の値との差を、速度メモリ3c3の値で割ることで、取得した振動情報が記憶された時刻と、指定された始発点からの位置を通過した時刻との「時間差」を求める。
取得した振動情報が指定された始発点からの位置以下で検知された場合は、取得した振動情報の振動加速度メモリ3c2に記憶された加速度データfnの末尾の要素から、その時間差を加速度データfnのサンプリング周期(20ms)で割った数だけ、遡った要素の加速度を取得される。そして、取得された加速度が、該当する設置エリアの表示領域の「振動」に表示される。
加速度データfnには、サンプリング周期毎に加速度が累積して記憶されるので、その加速度データfnの最後の加速度が記憶された日時である日時メモリ3c1の値との時間差から、所望のタイミングにおける加速度を正確に取得することができる。
このように、図7(a)に示す位置指定表示における表示画面40(全設置エリア)では、全設置エリアのスマートフォン20が、位置指定エリア50で指定された位置を走行する際に検知した振動情報が結果表示エリア47へ表示されるので、その位置を通過する際の加速度を、同一の車両60の設置エリア間で比較表示して把握できる。また、図7(b)に示す位置指定表示における表示画面40(設置エリア指定)では、指定された設置エリアのスマートフォン20が、位置指定エリア50で指定された位置を走行する際に検知した振動情報が結果表示エリア47へ表示されるので、その位置を通過する際の加速度を、指定された設置エリア間で比較表示して把握できる。
また、例えば、鉄道車両Tが走行する軌道が劣化している場合、その位置では顕著な加速度が検知される。そこで、位置指定表示における表示画面40において、位置指定エリア50にいくつか位置を入力して、振動情報を表示することで、顕著な加速度が検知される位置をピックアップすることができ、これによって軌道の点検や保線作業が必要な位置を特定することができる。
この場合、位置指定表示における表示画面40(全設置エリア)を表示し、ある位置において、同一の車両60における設置エリアのうち、一定数以上の設置エリア(例えば80%以上の設置エリア)で顕著な加速度が検知された場合は、軌道が劣化していると判断し、一定数より小さい設置エリアで顕著な加速度が検知された場合は、該当する設置エリアにおける、車両60の防振・防音対策等に不具合が生じていると判断しても良い。これにより、ある位置において検知される顕著な加速度が、軌道が原因で検知されたものなのか、車両60が原因で検知されたものなのかを、迅速かつ容易に判断することができる。
同様に、位置指定表示における表示画面40(設置エリア指定)において、同一の設置エリア番号における設置エリアを表示し、ある位置において、同一の設置エリア番号における設置エリアのうち、一定数以上の設置エリアで顕著な加速度が検知された場合は、軌道が劣化していると判断し、一定数より小さい設置エリアで顕著な加速度が検知された場合は、該当する設置エリアにおける、車両60の防振・防音対策等に不具合が生じていると判断しても良い。
図5に戻る。S50の処理において、表示モードに時刻指定表示が設定されている場合は(S50:時刻指定)、表示装置7には図8の時刻指定表示における表示画面40が表示される。ここで図5,図8を参照して、時刻指定表示における表示画面40と、その際の表示処理とについて説明する。図8(a)は時刻指定表示における表示画面40(全設置エリア)を示す図であり、図8(b)は時刻指定表示における表示画面40(設置エリア指定)を示す図である。
時刻指定表示における表示画面40の上部には、リアルタイムボタン41と、位置指定ボタン42と、時刻指定ボタン43と、設置エリア指定ボタン44とが表示される。時刻指定ボタン43には、設定されている表示モードが位置指定表示であることを表す枠線が付される。
ボタン41〜44の下側には、日付設定エリア45と、設置エリア指定46と、時刻指定エリア51とが表示される。時刻指定エリア51は、入力装置8を介して、振動情報テーブル3cに記憶される振動情報のうち、結果表示エリア47に表示する振動情報の、時刻を指定するための設定エリアである。また、日付設定エリア45、設置エリア指定46、時刻指定エリア51の下側には、結果表示エリア47とスクロールボタン48,49とが表示される。
表示モードが時刻指定表示である場合の、結果表示エリア47に表示される振動情報の取得および表示処理について、図5,図8を参照して説明する。図5の表示処理において、表示モードとして時刻指定表示が設定された場合(S50:時刻指定表示)、全設置エリアにおいて、日付設定エリア45及び時刻指定エリア51で指定された日時以降で、かつ最も近似する日時メモリ3c1の値の振動情報を取得する(S53)。S53の処理の後、設置エリア指定46にて、設置エリアが指定された場合は(S54:Yes)、S53の処理で取得された振動情報のうち、設置エリア指定46で指定された振動情報を取得する(S55)。一方、設置エリア指定46にて、設置エリアが指定されていない場合は(S54:No)、S55の処理をスキップする。そして、S53,S55の処理で取得した振動情報を結果表示エリア47に表示する(S56)。
具体的に、S56の処理では、取得した振動情報の日時メモリ3c1の値のうち、日付の値が日付設定エリア45に表示され、時刻の値が、結果表示エリア47における該当する設置エリアの表示領域の「時刻」に表示される。速度メモリ3c3の値が該当する設置エリアの表示領域の「速度」に表示される。
次に、設定エリア45,51で入力された日時と、設置エリア毎の振動情報の日時メモリ3c1の値との「時間差」を求める。そして、取得した振動情報が設定エリア45,51で入力された日時以前に検知された場合は、日時メモリ3c1の値に、算出された時間差を加算したものが「時刻」に表示され、振動加速度メモリ3c2に記憶された加速度データfnの末尾の要素から、その時間差を加速度データfnのサンプリング周期で割った数だけ、遡った要素の加速度が取得される。そして、取得された加速度が「振動」に表示される。
このように、時刻指定表示における表示画面40には、設置エリア毎のスマートフォン20が、設定エリア45,51で指定された日時に検知した振動情報が結果表示エリア47へ表示されるので、一回の走行時における同一日時の加速度を、設置エリア間で比較表示して把握できる。
このように、図8(a)に示す時刻指定表示における表示画面40(全設置エリア)では、全設置エリアのスマートフォン20が、日付設定エリア45及び時刻指定エリア51で指定された日時に検知した振動情報が結果表示エリア47へ表示されるので、一回の走行時における同一日時の加速度を、同一の車両60の設置エリア間で比較表示して把握できる。また、図8(b)に示す時刻指定表示における表示画面40(設置エリア指定)では、指定された設置エリアのスマートフォン20が、日付設定エリア45及び時刻指定エリア51で指定された日時に検知した振動情報が結果表示エリア47へ表示されるので、一回の走行時における同一日時の加速度を、指定された設置エリア間で比較表示して把握できる。
また、例えば、鉄道車両Tがトンネル等に突入する際、既にトンネルに突入した車両60と、トンネルに突入していない車両60とでは、同一の時刻にもかかわらず、それぞれ検知する振動に差が生じる。そこで、トンネル突入付近の時刻を日付設定エリア45及び時刻指定エリア51で指定し、その時点でトンネルに突入した後の設置エリアと、トンネルに突入していない設置エリアとを、設置エリア指定46で指定して表示することで、これらの振動の差を把握することができ、車両60の乗り心地を改善する手掛かりとなる。
図5に戻る。S50の処理において、表示モードに設置エリア指定表示が設定されている場合は(S50:設置エリア指定)、表示装置7には図9の設置エリア指定表示における表示画面40が表示される。ここで図5,図9を参照して、設置エリア指定表示における表示画面40と、その際の表示処理とについて説明する。図9(a)は設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:位置)を示す図であり、図9(b)は設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:時刻)を示す図である。
設置エリア指定表示における表示画面40の上部には、リアルタイムボタン41と、位置指定ボタン42と、時刻指定ボタン43と、設置エリア指定ボタン44とが表示される。設置エリア指定ボタン44には、設定されている表示モードが設置エリア指定表示であることを表す枠線が付される。
ボタン41〜44の下側には、日付設定エリア45と、設置エリア指定46と、横軸指定エリア52とが表示される。横軸指定エリア52は、結果表示エリア47に表示される振動情報を、位置的推移または時間的推移で表示するかを指定するための設定エリアである。また、日付設定エリア45、設置エリア指定46、横軸指定エリア52の下側には、結果表示エリア47が表示される。
表示モードが設置エリア指定表示である場合の、結果表示エリア47に表示される振動情報の取得および表示処理について説明する。図5の表示処理において、表示モードとして設置エリア指定表示が設定されている場合は(S50:設置エリア指定)、振動情報テーブル3cから、設置エリア指定46に入力された設置エリアに一致する全振動情報を取得し(S57)、取得した設置エリア毎の全振動情報の推移を、結果表示エリア47にグラフ表示する(S58)。
具体的には、S58の処理では、取得した振動情報の日時メモリ3c1の値のうち、日付の値が日付設定エリア45に表示される。結果表示エリア47には、横軸指定エリア52で入力された横軸(位置または時刻)に応じて、取得した振動情報の振動加速度メモリ3c2に記憶される加速度データfnにおける加速度を、時間または始発点からの位置に対応付けられて、グラフとして表示される。設置エリア指定46には複数の設置エリアが設定可能であるので、複数の設置エリアが設定された場合は、結果表示エリア47に表示されるグラフが、それぞれどの設置エリアによるものかを判別するため、線種(例えば、実線、破線等)を設置エリア毎に対応付けしてグラフ表示される。
このように、図9(a)に示す設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:位置)により、指定された設置エリアにおいて検知された、加速度の位置的推移が把握できる。また、複数の設置エリアについて、加速度のグラフ表示をすることで設置エリア間において、同一の位置または時刻で検知される加速度の差の推移を一目で把握できる。
さらに、設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:位置)において、顕著な加速度を検知する付近の位置を特定し、図7の位置指定表示における表示画面40の位置指定エリア50に対して、その付近の位置周辺をいくつか指定することで、顕著な加速度が検知された正確な位置を特定でき、さらにその加速度の値を把握することができる。即ち図9(a)の設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:位置)と、図7の位置指定表示における表示画面40とを組み合わせることで、顕著な加速度等が検知された位置とその加速度の値を迅速かつ、正確に取得することができる。
また、図9(b)は設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:時刻)により、指定された設置エリアにおいて検知された、加速度の時間的推移を把握できる。また、複数の設置エリアについて、加速度のグラフ表示をすることで設置エリア間において、同一の位置または時刻で検知される加速度の差の推移を一目で把握できる。
さらに、設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:時刻)において、ある時刻で顕著な加速度が検知された場合、図8の時刻指定表示における表示画面40において、日付設定エリア45及び時刻指定エリア51に対して、その付近の時刻をいくつかで指定することで、顕著な加速度が検知された正確な時刻を特定でき、さらにその加速度の値を把握することができる。即ち図9(b)の設置エリア指定表示における表示画面40(横軸:時刻)と、図8の時刻指定表示における表示画面40とを組み合わせることで、顕著な加速度等が検知された時刻と、その加速度の値を迅速かつ、正確に取得することができる。
図5に戻る。S56,S58の処理の後、表示処理を終了し、図4(b)のメイン処理に戻る。
以上説明した通り、本実施形態における振動表示システム100によれば、スマートフォン20を設置エリア毎に設置して、その設置エリアにてスマートフォン20が検知した振動情報が、ホストPC1に送信される。そしてホストPC1は表示装置7に対して、受信した振動情報を、表示モードに応じて結果表示エリア47に表示するので、同一の走行時における、車両60の複数の設置エリアによる加速度を表示して把握できる。例えば、同一の車両60における、先頭座席、中央座席、後方座席の加速度を比較表示して把握したり、同列座席の窓側席、通路側席の加速度を比較表示して把握したりすることができる。また鉄道車両Tにおける、1号車,2号車,...の車両60の先頭や中央或いは後方の座席や床面、荷棚などの各加速度をそれぞれ比較表示して把握することができる。
また、スマートフォン20は、3軸加速度センサ29と、GPS受信装置28と、無線通信装置26とを有する携帯型電子機器であるので、スマートフォン20を鉄道車両Tの振動情報を検知する箇所へ固定するだけで、設置が可能となる。よって、かかる設置を容易に行って振動を検知することができる。またスマートフォン20を、振動情報を欲する箇所へ固定するだけなので、鉄道車両Tのいろいろな箇所、例えば座席面、背もたれ面、肘掛け面、座席テーブル上、荷棚、通路上、天井、窓面、側面などにスマートフォン20を固定することにより、それらの振動情報を検知することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
本実施形態において、携帯型電子機器としては、スマートフォン20が例示された。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、3軸加速度センサ29と、GPS受信装置28と、無線通信装置26とを有するものであれば、タブレット型コンピュータやウェアラブル端末等、他の携帯型電子機器にも適用できる。
本実施形態において、車両60が複数両連結された鉄道車両Tに、振動表示システム100のホストPC1及びスマートフォン20が設置される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、鉄道車両Tを単一の車両60で構成されるものとし、その車両60内にホストPC1及びスマートフォン20が設置される構成としても良い。その場合には、ホストPC1の設置場所は車両60の前方に限られるものではなく、車両60の後方でも良いし、通路上や座席上でも良い。また、同一の車両タイプ(例えば、普通車やグリーン車等)が複数両連結された鉄道車両Tのみならず、異なった複数の車両タイプが、複数両連結された鉄道車両Tに、ホストPC1及びスマートフォン20が設置される構成としても良い。さらに、振動表示システム100を鉄道車両T(車両60)のみならず、バス等の乗用車やフェリー等の船舶、旅客機等、種々の輸送機器に適用しても良い。
本実施形態において、送信位置データ3bに保存される振動情報の送信位置は、送信位置は0.1km毎とされた。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、0.1km以上でも、以下でも良いし、送信位置は一定間隔毎でなくても良い。また、スマートフォン20が振動情報を送信するタイミングとして、送信位置ではなく、一定時間毎(例えば1s毎)または、予め指定した時刻としても良い。
本実施形態において、ホストPC1は鉄道車両T内に設置される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、主要駅のホーム等、車両60の外部に設置する構成しても良い。その場合は、まず、ホストPC1の設置場所において、そのホストPC1から送信位置データ3b及びスマートフォン20への計測開始指示を送信し、その後、スマートフォン20がホストPC1の設置場所に到着した場合に、それまでに検知された振動情報をホストPC1に送信すれば良い。
また特許請求の範囲におけるホスト装置は、鉄道車両T内に設置されるホストPC1に限られるものではなく、ネットワーク上のクラウドPC又はサーバであってもよい。これにより、クラウドPC又はサーバとスマートフォン20とが、通信できる区間ではいつでも、振動情報等のデータの送受信が可能となる。またこの場合、クラウドPC及びサーバとスマートフォン20とは、インターネット回線を介して振動情報等のデータを送受信するように構成しても良い。
本実施形態において、設置エリアは車両60を6等分に分割した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、6等分以上に分割しても良いし、6等分以下でも良い。また、必ずしも車両60を等分する必要もなく、例えば、座席周辺(座面、ひじ掛け、背もたれ、座席テーブル、荷棚、通路上、天井、窓面、側面)に設置エリアを隈なく張り巡らせるように、設置エリアを構成しても良い。これにより、鉄道車両Tの走行中に乗客が感知する加速度を正確に検知でき、防振・防音対策が必要な箇所を特定する手掛かりとなる。
本実施形態において、設置エリアは、設置エリア名で表され、その設置エリアにスマートフォン20を設置して振動情報を検知する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、設置エリア名の代わりに、スマートフォン20に対して固有に割り当てられた、製造番号に例示されるIDコードによって、スマートフォン20の設置場所が表される構成としても良い。
この場合、スマートフォン20のIDコードと、鉄道車両T内におけるスマートフォン20の設置場所とを予めホストPC1に記憶しておく。図4(a)のS1の処理においては、スマートフォン20のIDコードを設置エリアメモリ23aに記憶し、図5のS56の処理においては、結果表示エリア47の、スマートフォン20のIDコードに対応する設置場所に対して、検知された振動情報を表示すれば良い。また、表示モードが設置エリア指定表示の場合は、設置エリア指定46に対して入力されたスマートフォン20のIDコードに該当する、加速度の時間的推移または位置的推移を表示すれば良い。設置エリア名の代わりにスマートフォン20のIDコードを用いることで、振動情報の計測の度に、スマートフォン20に対してユーザが設置エリア名を入力する必要がなくなるので、スマートフォン20の操作性が向上する。
本実施形態において、図4(a)のS10の処理において、RTC27から日付時刻を取得し、振動情報メモリ23cに保存する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、GPS衛星からGPS受信装置28によって、緯度および経度の値と同時に受信される日付時刻の値を取得して、振動情報メモリ23cに記憶し、RTC27を省く構成としても良い。
本実施形態において、加速度データfnにはY軸方向の加速度が記憶され、図6〜図9の結果表示エリア47に、Y軸方向の加速度が表示される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、加速度データfnには、X軸方向またはZ軸方向の加速度が記憶されても良いし、X軸、Y軸、Z軸方向の全ての加速度が記憶されても良い。また、その場合結果表示エリア47には、加速度データfnに記憶されている、任意の軸方向の加速度が表示されても良い。
また、加速度データfnに公知のローパスフィルタ又はハイパスフィルタを適用して、結果表示エリア47には、加速度データfnから特定の雑音成分を除去した値を表示しても良い。また、加速度データfnから公知の計算式によって算出された「乗り心地レベル」を、結果表示エリア47に表示しても良い。これにより、位置や時刻、設置エリア毎に乗客が感知する乗り心地を、定量的に表示することができる。