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JP6821487B2 - 2層式毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は水層および油層を含む2層式毛髪化粧料に関する。
毛髪は、紫外線、ブロー、ブラッシング、洗髪、カラーリングなどの影響により損傷を受け、パサつき、ハリやコシ、ツヤの低下、指通りやまとまりの悪化などの症状が生じる。従来、これらの症状を改善することを目的として、洗い流さない毛髪化粧料が上市されている。
洗い流さない毛髪化粧料は、シリコーン類などの油剤により毛髪に油膜を形成することで前記の症状改善を図るものが一般的である。特に、高重合ジメチコンを含有する毛髪化粧料が、均一に伸ばしやすく、指通り、まとまり、ツヤなどの改善効果に優れることが知られている。また、高重合ジメチコンを高配合することでより改善効果が得られることが知られている。
また、洗い流さない毛髪化粧料の剤型としては、水をほとんど配合しないオイルタイプ、油剤に水や界面活性剤を配合した乳化タイプ、油剤を含有する油層と水や界面活性剤を含有する水層との2層を含む2層タイプなどがある。オイルタイプは油剤を高配合できる点で優れる。しかし、使用時にべたつく、伸びが悪い、毛髪全体に広がりにくいなどの問題がある。乳化タイプとしては、使用時のべたつきや伸びを改善するために水中油型エマルションとすることが一般的である。しかし、エマルション内相の油剤を高配合するには大量の界面活性剤を配合する必要があるため、界面活性剤に由来するべたつきが生じるという問題がある。
乳化タイプおよびオイルタイプの問題を解決しうる剤型として2層タイプが提案されている。2層タイプの毛髪化粧料は、使用前に製品をよく振って、油層と水層とを乳化させた後、油層と水層との分離開始前に手に取り出し、手のひらでよく伸ばしてから毛髪に塗布することで使用することが一般的である。そのため、油層と水層との乳化力の調整が重要である。例えば、特許文献1には、高重合ジメチコンを高濃度に含む油層及び水溶性高分子増粘剤を含有する水層の2層を含む洗い流さないタイプの毛髪化粧料が開示されている。
特開2009−161508号公報
特許文献1に記載された毛髪化粧料は、水層に水溶性高分子増粘剤、水、特定の界面活性剤及び有機溶剤を配合することにより、油層と水層との乳化力を調整していると考えられるが、有機溶剤による頭皮及び毛髪へのダメージが懸念される。さらに、カチオン界面活性剤として、ラウリルトリモニウムクロリド及びN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩を配合することは開示されていない。
本発明は、油層を充分に含有するにもかかわらず、使用時の油層と水層との乳化が容易であり、かつ使用後に油層と水層とがすばやく分離する2層式毛髪化粧料であり、使用時にべたつかず、毛髪全体への塗布性に優れる2層式毛髪化粧料を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
(1)下記成分Aを含有する油層、並びに、下記成分B、下記成分C、下記成分D及び下記成分Eを含有する水層の2層からなる2層式毛髪化粧料であり、
水層含有量に対する油層含有量(油層/水層、質量比)が20/80以上であり、
成分Bの水層中の含有量が20〜32質量%である2層式毛髪化粧料
成分A:25℃における動粘度が10万mm/s以上であるジメチコン及び/又はジメチコノール
成分B:炭素数2〜5の低級アルコール
成分C:ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
成分D:水溶性高分子増粘剤
成分E:水
(2)前記成分Cの含有量が0.01〜0.30質量%である前記(1)記載の2層式毛髪化粧料
に関する。
本発明の2層式毛髪化粧料は、油層を充分に含有するにもかかわらず、使用時の油層と水層との乳化が容易であり、かつ使用後に油層と水層とがすばやく分離するため、使いやすく審美性に優れる。さらに、本発明の2層式毛髪化粧料は、使用時にべたつかず、毛髪全体への塗布性に優れる。
本発明の2層式毛髪化粧料は、25℃における動粘度が10万mm/s以上であるジメチコン及び/又はジメチコノールを含有する油層、並びに、炭素数2〜5の低級アルコール、ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、水溶性高分子増粘剤並びに水を含有する水層を含む。
本明細書において、前記ジメチコン及び/又はジメチコノールは「成分A」と称する場合がある。また、前記炭素数2〜5の低級アルコールは「成分B」と称する場合がある。また、前記ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩は「成分C」と称する場合がある。また、前記水溶性高分子増粘剤は「成分D」と称する場合がある。また、前記水は「成分E」と称する場合がある。
本発明の2層式毛髪化粧料は、さらに前記の成分A〜E以外の成分(他の成分)を含んでいてもよい。上記の成分、例えば、成分A〜E及び他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
油層
前記油層は、特定の動粘度を有するジメチコン及び/又はジメチコノール(成分A)を含有する。
前記成分Aは、25℃における動粘度が10万mm/s以上であるジメチコン及び/又はジメチコノールである。成分Aの25℃における動粘度は、本発明の2層式毛髪化粧料を使用した後の仕上がりのよさ(指通りの軽さ、ツヤ、まとまりのよさ、仕上がり時の毛髪の柔らかさ)の観点から10万mm/s以上であり、500万mm/s以上が好ましく、より好ましくは1000万mm/s以上である。また、成分Aの25℃における動粘度の上限は特に限定されないが、3000万以下が好ましい。
成分Aは、市販品を用いることができる。成分Aの市販品としては、例えば、XF49−811(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、DOW CORNING TORAY BY 11−026(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)、PMX−1501 Fluid(商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)などが挙げられる。
成分Aの2層式毛髪化粧料中の含有量は、毛髪に伸ばしやすく、指通り、まとまり、ツヤなどの改善効果の観点、仕上がり時の毛髪の柔らかさの観点から、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは0.8質量%以上であり、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、成分Aの含有量は、仕上がり時の毛髪の軽やかさ、及び毛髪への塗布性の観点から、10.0質量%以下が好ましく、より好ましくは7.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
前記油層は、揮発性油を含有することが好ましい。揮発性油は前記成分Aの溶解剤としての役割に加え、塗布性を良好にし、塗布後に揮発することで残った成分Aの効果をより発揮させることができる。
揮発性油としては、標準大気圧下で揮発性を有する炭化水素油及び標準大気圧下で揮発性を有するシリコーン油等が挙げられる。揮発性油は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。なお、本明細書において標準大気圧下で揮発性を有するとは、標準大気圧における沸点が300℃以下であることをいう。
前記標準大気圧下で揮発性を有する炭化水素油としては、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテンなどが挙げられる。
前記標準大気圧下で揮発性を有するシリコーン油としては、環状シリコーン及び鎖状シリコーン等が挙げられる。環状シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサン)及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。前記鎖状シリコーンとしては、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン及び標準大気圧下で揮発性を有するジメチコン等が挙げられる。
前記揮発性油のなかでも、水添ポリイソブテン、シクロペンタシロキサンが好ましい。特に成分Bを多く含有し、水層の密度(単位体積あたりの質量)が低い場合であっても、油層と水層との分離速度の調整が容易となることから、密度が低い水添ポリイソブテンがより好ましい。
揮発性油を含有する場合、2層式毛髪化粧料中の含有量は、成分Aの溶解性、及び毛髪への塗布性の観点から、8.0質量%以上が好ましく、より好ましくは10.0質量%以上であり、さらに好ましくは13.0質量%以上である。また、揮発性油の含有量は、塗布後の毛髪のかさつきを低減させる観点から、50.0質量%以下が好ましく、より好ましくは45.0質量%以下であり、さらに好ましくは40.0質量%以下である。
前記油層は、前記成分Aおよび前記揮発性油以外の成分(他の成分)を含有することが、使用感の観点から好ましい。他の成分としては、室温で液状の油剤(前記揮発性油以外の油剤であり、以下不揮発性油と称する場合がある)、ワセリン、シア脂などの室温で固形の油剤、トコフェロールなどの抗酸化剤、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤、赤色215号、赤色223号、だいだい色201号、だいだい色205号などの油溶性染料、や各種香料が挙げられる。なお、本明細書において室温とは、1〜30℃の温度範囲を表す。
前記室温で液状の油剤としては、液状の炭化水素油、液状のエステル油、液状のシリコーン油、液状の油脂、液状のロウ、液状の脂肪酸などが挙げられる。
具体的な液状の炭化水素油としては、例えば、αオレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィンなどが挙げられる。
具体的な液状のエステル油としては、例えば、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、トリオクタノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ホホバエステル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリルなどが挙げられる。
具体的な液状のシリコーン油としては、例えば、前記成分Aおよび前記揮発性油以外のメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどの鎖状シリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの変性シリコーンなどが挙げられる。
具体的な液状の油脂、ロウ、脂肪酸としては、例えば、アボカド油、アルガンオイル、アーモンド油、オリーブ油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、イソステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。
他の成分を含有する場合、2層式毛髪化粧料中の含有量は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、0.1〜40.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜10.0である。他の成分の含有量が40.0質量%を超える場合はべたつきやすくなる傾向がある。
水層
前記水層は、炭素数2〜5の低級アルコール(成分B)、ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(成分C)、水溶性高分子増粘剤(成分D)並びに水(成分E)を含有する。
前記成分Bは、炭素数2〜5の低級アルコールである。炭素数2〜5の低級アルコールを含有することで、乳化後の2層への分離速度を調整することができる。さらに、毛髪での伸びが向上する。
炭素数2〜5の低級アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロパノールなどが挙げられ、エタノール及びイソプロパノールが好ましい。
前記成分Bの水層中の含有量は、20質量%以上であり、22質量%以上が好ましく、より好ましくは24質量%以上である。成分Bの水層中の含有量が20質量%未満の場合は、化粧料が泡立ってしまい、使用感及び審美性に劣る傾向がある。また、前記成分Bの水層中の含有量は、32質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは28質量%以下である。成分Bの水層中の含有量が32質量%を越える場合は、水層の密度が低下して油層と分離しにくくなるおそれ、アルコール臭が強く不快に感じるおそれがある。
前記成分Bの2層式毛髪化粧料中の含有量は、乳化後の2層への分離速度、毛髪上での伸びの観点から、6.0質量%以上が好ましく、より好ましくは8.0質量%以上である。また、前記成分Bの2層式毛髪化粧料中の含有量は、アルコール臭の抑制、使用感の観点から、25.6質量%以下が好ましく、より好ましくは22.5質量%以下である。
前記成分Cは、ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩である。成分Cは、油層と水層との乳化しやすさ及び2層への分離速度の調整を目的として含有する。
ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩は、市販品を用いることができる。ラウリルトリモニウムクロリドの市販品としては、例えば、コータミン24P(商品名、花王(株)製)、NIKKOL CA−2150(商品名、日光ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。また、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩としては、CAE(商品名、味の素(株)製)が挙げられる。
成分Cの2層式毛髪化粧料中の含有量は、油層と水層との乳化しやすさ、2層への分離速度の観点、防腐効果の観点から、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。また、成分Cの含有量は、安全性の観点から、0.30以下が好ましく、より好ましくは0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.22質量%以下であり、最も好ましくは0.18質量%以下である。
前記成分Dは、水溶性高分子増粘剤である。水溶性高分子は、乳化状態の化粧料に対する適度な粘性を付与による使用感の向上、乳化後の2層への分離速度の調整を目的として含有する。水溶性高分子増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナンなどの天然高分子、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム、などの半合成高分子、カルボキシビニルポリマーなどの合成高分子が挙げられる。なかでも、使用感に優れるという理由から、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
成分Dの2層式毛髪化粧料中の含有量は、乳化後の2層へ分離するかどうかの観点、適度な粘性を付与して使用感を良好にするという観点から、0.02質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.10質量%以上である。成分Dの含有量が前記下限未満の場合は、振って油層と水層とを乳化させることはできるが、化粧料の粘性が不足するため乳化粒子が細かくなり過ぎ、合一が起こりにくく、分離しにくくなる傾向がある。また、成分Dの含有量は、使用時のべたつき、2層への分離速度の観点から、0.8質量%以下が好ましく、より好ましくは0.6質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下である。成分Dの含有量が前記上限を超える場合は、化粧料の粘性が高くなり過ぎ、乳化粒子の動きが鈍くなり、合一が起こりにくく、分離しにくくなる傾向がある。
前記成分Eの水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定されないが、通常、精製水が用いられる。成分Eの2層式毛髪化粧料中の含有量は、水層へ配合している成分の溶解性の観点から、25.0〜70.0質量%が好ましく、より好ましくは27.0〜68.0質量%であり、さらに好ましくは29.0〜66.0質量%である。
前記水層は、前記成分B〜E以外の成分(他の成分)を含有することができる。他の成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、清涼剤、動植物由来抽出エキス、保湿剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐・殺菌剤、着色剤、などを適宜目的に応じて配合することができる。
ノニオン界面活性剤としては、アルキルグリセリルエ−テル、ポリオキシアルキレンアルキルエ−テル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、グリコ−ル脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリルエ−テル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、シリコ−ン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
前記多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類などが挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどが挙げられる。グリセリン類としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンが挙げられる。なかでも、塗布後の毛髪に適度な潤いを付与する観点から、グリセリン、ジグリセリンおよびポリグリセリンの群から選ばれる1種を含む多価アルコールを用いることが好ましい。なお、本明細書において「グリセリン」とは、「グリセリン」及び「濃グリセリン」の双方を意味する。
前記水層は、炭素数2〜5の低級アルコール及び多価アルコールを除く有機溶剤を含有しないことが好ましい。炭素数2〜5の低級アルコール及び多価アルコールを除く有機溶剤により水層と油層との乳化力を調整することができるが、頭皮及び毛髪へのダメージが懸念されることから実質的に含有しないことが好ましい。なお、本明細書における「実質的に含有しない」とは、「別途、含有させることはしない」という意味であり、前記他の成分などに含有される少量の有機溶媒までを除外するものではない。
2層式毛髪化粧料
前記2層式毛髪化粧料中の水層含有量に対する油層含有量(油層/水層、質量比)は、2層に分離するかどうかの観点から、20.0/80.0以上であり、好ましくは25.0/75.0以上であり、より好ましくは30.0/70.0以上である。また、水層含有量に対する油層含有量(油層/水層)は、2層に分離するかどうかの観点から、70.0/30.0以下が好ましく、より好ましくは65.0/35.0以下であり、さらに好ましくは60.0/40.0以下である。
前記油層および前記水層は、乳化状態を目視にて確認できる点、審美性の点から、少なくとも1層に顔料や染料を配合するなどにより着色することが好ましい。さらに、透明又は半透明の容器に充填した製品とすることが好ましい。
本発明の2層式毛髪化粧料の製造方法は、特に限定されないが、油層及び水層を個別調製した後に一方を加える方法などとすることができる。
本発明の2層式毛髪化粧料は、使用時に油層と水層とを容易に乳化させることができ、べたつかず、毛髪全体に均一に塗布することができることから、洗い流さないアウトバストリートメントなどとすることが好ましい。
本発明の2層式毛髪化粧料の使用方法としては、使用前に製品をよく振って、油層と水層とを乳化させた後、油層と水層との分離開始前に手のひらに適量取り出し、手のひらでよく伸ばしてから毛髪に塗布した後、自然乾燥やブロー乾燥により乾燥させる使用方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り「質量%」を表し、配合成分は純分に換算した。
実施例及び比較例で用いた主な成分を示す。
成分A
高重合ジメチコン:25℃の動粘度1800万mm/s
その他成分(油層)
不揮発性シリコーン油1:KF 96−350CS(信越化学工業(株)製)
不揮発性シリコーン油2:DOW CORNING TORAY SH200 C FLUID 60,000 CS(東レ・ダウコーニング(株)製)
流動パラフィン:Carnation(Sonneborn Inc社製)
水添ポリイソブテン:マルカゾールR(丸善石油化学(株)製)
成分B
エタノール:95°一般発酵アルコール
成分C
ラウリルトリモニウムクロリド:コータミン24P(花王(株)製、純分27%、イソプロパノール20%、水53%含有)
CAE:N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩(味の素(株)製)
成分D
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトローズ60SH−4000(信越化学工業(株)製)
その他成分(水層)
ステアリルトリモニウムクロリド:コータミン86W(花王(株)製、純分28%、水72%)
塩化ナトリウム:ナクルM(ナイカイ塩業(株)製)
グリセリン:化粧用濃グリセリン(阪本薬品工業(株))
PPG−2−デセス−7:EMALEX DAPE−0207(日本エマルジョン(株)製)
試料の調製
表1〜3に記した各組成に従って調製した2層式毛髪化粧料を透明の真円状PET容器に充填することで、実施例1〜10および比較例1〜9の評価試験用試料を調製した。得られた各試料を下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表1〜3に併記する。
使用感の評価試験
実施例および比較例の各試料をよく振った後、手のひらに適量取り出し、手のひらでよく伸ばしてから、人口毛の毛束(30cm)に塗布してなじませ、べたつき及び塗布性を、以下の基準に従って評価した。
<べたつきの評価基準>
◎(非常に良好):10名中9名以上が、べたつきがないと回答
○(良好):10名中7〜8名が、べたつきがないと回答
△(やや不良):10名中4〜6名が、べたつきがないと回答
×(不良):10名中3名以下が、べたつきがないと回答
<塗布性の評価基準>
◎(非常に良好):10名中9名以上が、掌からの垂れ落ちが無く毛髪への伸び馴染みがよく、良好な塗布性であると回答
○(良好):10名中7〜8名が、掌からの垂れ落ちが無く毛髪への伸び馴染みがよく、良好な塗布性であると回答
△(やや不良):10名中4〜6名が、掌からの垂れ落ちが無く毛髪への伸び馴染みがよく、良好な塗布性であると回答
×(不良):10名中3名以下が、掌からの垂れ落ちが無く毛髪への伸び馴染みがよく、良好な塗布性であると回答
乳化しやすさの評価
実施例および比較例の各試料を油層及び水層が乳化して均一になるまで振盪し、乳化しやすさを以下の基準に従って評価した。
<乳化しやすさの評価基準>
◎(非常に良好):10名中9名以上が、容易に乳化できると回答
○(良好):10名中7〜8名が、容易に乳化できると回答
△(やや不良):10名中4〜6名が、容易に乳化できると回答
×(不良):10名中3名以下が、容易に乳化できると回答
乳化及び分離の評価
実施例および比較例の各試料を油層及び水層が乳化して均一になるまで振盪した後、恒温環境下で静置し、5分後の乳化状態、並びに1時間後、3時間後及び5時間後の分離状態を目視にて確認し、以下の基準に従って評価した。
<乳化状態の評価基準>
◎(非常に良好):均一に白濁し、乳化状態が確認でき、分離は認められない。
○(良好):白濁し、乳化状態が確認できるが、上層に分離した油層が僅かに認められる。
△(やや不良):白濁し、乳化状態が確認できるが、上層に分離した油層が認められ、下層にも分離した水層が認められる。
×(不良):乳化状態が確認できず、油層と水層に分離している。
<分離状態の評価基準>
○(良好):乳化状態が確認できず、界面が明瞭な状態で2層に分離している。
△(やや不良):分離不良により界面付近に全体積の1/3以下の乳化層が認められる。
×(不良):分離不良により界面付近に全体積の1/3以上の乳化層が認められる。
Figure 0006821487
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表1〜3の結果から、本発明の2層式毛髪化粧料が、油層を充分に含有するにもかかわらず、使用時の油層と水層との乳化が容易であり、かつ使用後に油層と水層とがすばやく分離するため、使いやすく審美性に優れ、さらに、使用時にべたつかず、毛髪全体への塗布性に優れることがわかる。
以下に、本発明の2層式毛髪化粧料の処方例を示す。
処方例1
高重合ジメチコン 3.0質量%
水添ポリイソブテン 25.0質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0質量%
イソノナン酸イソノニル 5.0質量%
オクタン酸セチル 4.0質量%
t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.02質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.5質量%
エタノール 17.0質量%
ジグリセリン 6.0質量%
ヒドロキシプロピルグアガム 0.3質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・
DL−ピロリドンカルボン酸塩 0.2質量%
塩化ナトリウム 0.2質量%
クエン酸 0.01質量%
クエン酸ナトリウム 0.05質量%
エデト酸二ナトリウム 0.05質量%
精製水 33.67質量%
合計 100.00質量%
処方例2
高重合ジメチコン 3.5質量%
水添ポリイソブテン 30.0質量%
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 7.0質量%
αオレフィンオリゴマー 3.0質量%
t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.02質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.5質量%
香料 0.8質量%
エタノール 15.0質量%
ポリグリセリン 4.0質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.25質量%
ラウリルトリモニウムクロリド 0.11質量%
イソプロパノール 0.08質量%
PPG−2−デセス−7 0.2質量%
クエン酸 0.01質量%
クエン酸ナトリウム 0.05質量%
エデト酸二ナトリウム 0.05質量%
精製水 35.43質量%
合計 100.00質量%

Claims (2)

  1. 下記成分Aを含有する油層、並びに、下記成分B、下記成分C、下記成分D及び下記成分Eを含有する水層の2層からなる2層式毛髪化粧料であり、
    水層含有量に対する油層含有量(油層/水層、質量比)が20.0/80.0以上であり、
    成分Bの水層中の含有量が20〜32質量%である2層式毛髪化粧料。
    成分A:25℃の動粘度が10万mm/s以上であるジメチコン及び/又はジメチコノール
    成分B:炭素数2〜5の低級アルコール
    成分C:ラウリルトリモニウムクロリド及び/又はN−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
    成分D:水溶性高分子増粘剤
    成分E:水
  2. 前記成分Cの2層式毛髪化粧料中の含有量が0.01〜0.30質量%である請求項1記載の2層式毛髪化粧料。
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