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JP6898719B2 - 電力変換装置、及びその制御方法 - Google Patents

電力変換装置、及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力変換装置、及びその制御方法に関する。
従来、太陽電池等の分散型電源を系統電源に連系させる電力変換装置が知られている。系統電源の停電時において、電力変換装置が系統電源から解列されないで単独運転を続けると、保安や電力供給の信頼度の確保等の観点から問題を生じる可能性がある。このために、従来の電力変換装置は、単独運転を検出する機能を備え、単独運転を検出すると自身を系統電源から解列させる。たとえば、PV(photovoltaic)システム用PCS(power conditioning system)の新連系規定を定めた非特許文献1は、能動的に単独運転検出を行うステップ注入付き周波数フィードバック方式を提示している。
上述の周波数フィードバック方式の単独運転検出では、系統電源における外乱の発生によっても周波数フィードバックが動作する。この際、系統電源及び電力変換装置間の通電路の線路インピーダンスが大きいと、無効電力の注入が原因となって系統電圧にフリッカ(周期的な電圧の変動)が発生してしまう。フリッカが発生すると、系統電源に接続された他の機器(たとえば蛍光灯)にちらつき等の悪影響が生じるために問題となる。
そのため、本願の出願人による特許文献1では、フリッカが発生した場合に周波数フィードバックのゲインを一時的に低下させるとともに電力変換装置で電力変換される電力に高調波電流歪を注入する。そして、単独運転が発生した場合に発生する高調波電圧歪の急速な増大を検知すると、周波数フィードバックのゲインを回復させて、周波数フィードバック方式の単独運転検出により電力変換装置を停止させている。
特願2016−047805号
日本電機工業会規格JEM1498(2012.8.27制定)
出願人がさらに検討を進めた結果、高調波電圧歪は系統電源及び電力変換装置間の線路インピーダンスの増加に応じて大きくなるが、単独運転が発生した場合の高調波電圧歪の増加量及び増加速度は線路インピーダンスの増加に応じて小さくなることが見出された。そのため、一定の電圧閾値を用いた単独運転検出では、単独運転が発生しても線路インピーダンスの大きさによっては、高調波電圧歪の増加量が電圧閾値を越えないことがある。この場合、単独運転時の高調波電圧歪の急増を検知できないので、周波数フィードバックのゲインを回復して単独運転を検出できず、電力変換装置を停止させることもできなくなる。また、線路インピーダンスが大きくなると、単独運転の発生時点から高調波電圧歪が急速に増大する時点までの間に時間差が生じることがあることも見出された。現行の規則では、単独運転の発生から0.2[sec]以内に電力変換装置を停止させることが定められているが、上述のような時間差が生じた場合、単独運転が発生しても、電力変換装置を直ちに停止できず、現行の規則を順守できない。さらに、常に大きな高調波電流歪が注入されていると、その影響が系統電源の電圧に与えられる。そのため、できるだけ小さな高調波電流歪が適切に注入されることが求められる。
本発明は、上記の状況を鑑みて、周波数フィードバック機能を利用した単独運転の検出をより確実に行うことができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の一の態様による電力変換装置は、分散型電源を系統電源に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置であって、電力変換装置の出力に現れる高調波電圧を検出する高調波電圧検出部と、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行った場合に、高調波電圧、及び、系統電源及び電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を電力変換装置にて変換される電力に注入する電流制御処理部と、高調波電流が注入された状態で検出された高調波電圧に基づいて、ゲイン低下処理を終了するか否かを判定する第1判定部と、を備える構成(第1の構成)とされる。
上記第1の構成の電力変換装置は、電圧フリッカ発生の可能性があるか否かを判定する第2判定部をさらに備え、電流制御処理部は、電圧フリッカ発生の可能性があると第2判定部にて判定された場合に、ゲイン低下処理を行う構成(第2の構成)とされる。
上記第1又は第2の構成の電力変換装置は、電流制御処理部は、所定期間に検出された複数の高調波電圧の平均値に応じた量の高調波電流を注入する構成(第3の構成)とされる。
上記第1〜第3のいずれかの構成の電力変換装置は、電流制御処理部は、電力変換装置の出力にさらに応じた量の高調波電流を注入する構成(第4の構成)とされる。
上記第1〜第4のいずれかの構成の電力変換装置は、高調波電圧検出部は、電圧フリッカが発生する前の高調波電圧を予め検出する構成(第5の構成)とされる。
上記第5の構成の電力変換装置は、高調波電圧検出部は、電力変換装置の運転開始時に高調波電圧を検出する構成(第6の構成)とされる。
上記第1〜第6のいずれかの構成の電力変換装置は、第1判定部は、ゲイン低下処理中に急増する高調波電圧の増加量が閾値以上になると、ゲイン低下処理を終了させる構成(第7の構成)とされる。
上記第7の構成の電力変換装置は、閾値は、電流制御処理部が注入した高調波電流の量に応じて設定される構成(第8の構成)とされる。
上記第8の構成の電力変換装置は、電流制御処理部が注入した高調波電流を記憶する記憶部をさらに備え、ゲイン低下処理が行われると、閾値の初期値が、最近に注入された高調波電流、又は、記憶部に記憶された高調波電流のうちの最大値に応じて設定される構成(第9の構成)とされる。
上記第1〜第9のいずれかの構成の電力変換装置は、高調波電圧検出部は、一定期間毎に高調波電圧を検出する構成(第10の構成)とされる。
上記目的を達成するために本発明の一の態様による電力変換装置の制御方法は、分散型電源を系統電源に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置の制御方法であって、電力変換装置の出力に現れる高調波電圧を検出するステップと、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行った場合に、高調波電圧、及び、系統電源及び電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を電力変換装置にて変換される電力に注入するステップと、高調波電流が注入された状態で検出された高調波電圧に基づいて、ゲイン低下処理を終了するか否かを判定するステップと、を備える構成(第11の構成)とされる。
本発明によると、周波数フィードバック機能を利用した単独運転の検出をより確実に行うことができる技術を提供することができる。
第1実施形態に係るPCSの構成例を示すブロック図である。 電圧フリッカが発生した可能性があると判定された場合でのPCSの動作例を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の第1変形例に係るPCSの構成例を示すブロック図である。 第1実施形態の第2変形例に係るPCSの周波数偏差−注入無効電力特性を示す模式図である。 第2実施形態における高調波電流歪の取得処理を説明するためのフローチャートである。 電圧フリッカが発生した可能性があると判定された場合でのPCSの他の動作例を説明するためのフローチャートである。 第3実施形態における高調波電流歪の取得処理を説明するためのフローチャートである。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るPCS(Power Control System)1の構成例を示すブロック図である。PCS1は、分散型電源2を系統電源3に連系運転させることができる電力変換装置であり、分散型電源2と系統電源3との間に配置される。分散型電源2は、特に限定されないが、たとえば太陽電池等の自然エネルギー発電設備、燃料電池、蓄電池などを挙げることができる。系統電源3は、たとえば電力会社などが提供する電力網である。なお、PCS1と系統電源3との間には、図1での図示は省略しているが、柱上トランス及び低圧配電線に接続された負荷などが存在する。柱上トランスは、高圧配電線から送られてきた高圧電力を低圧電力に降圧して低圧配電線に供給する。
PCS1は、ステップ注入付き周波数フィードバック方式の単独運転検出機能を備えている。PCS1の出力電力Woと負荷で消費される電力とが平衡していない場合、系統電源3が停電すると、系統周波数が変化する。この際、PCS1は、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す後述の周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する。たとえば、PCS1は、無効電力を注入して系統周波数の変化に正帰還をかける。この結果、系統周波数の周波数変化が大きくなる。PCS1は、予め設定された単独運転検出条件になると、単独運転を検出する。一方、出力電力Woと負荷で消費される電力とが平衡している場合、系統電源3が停電すると、たとえば柱上トランスにおける励磁電流の影響によって、インバータ部10の出力に高調波電圧歪が発生する。この際、PCS1は、高調波電圧歪の変化を検出して、周波数を低下させるべく、無効電力を注入して系統周波数を変化させることにより、単独運転を検出する。
また、PCS1は、周波数フィードバック方式による単独運転検出機能が原因となって生じる電圧フリッカを抑制するフリッカ抑制機能を備えている。たとえば、PCS1は、系統に外乱が発生した場合であっても、周波数フィードバック機能のゲインを一時的に低下することによって電圧フリッカの発生を抑制することができる。また、周波数フィードバック機能のゲインを低下させた場合においても、PCS1は、単独運転の可能性を判定する判定部を備えて適切なタイミグで周波数フィードバック機能のゲインを通常状態に戻すため、単独運転を適切に検出することができる。
PCS1は、図1に示すように、インバータ部10と、記憶部11と、系統周波数計測部12と、周波数フィードバック部13と、無効電力ステップ注入部14と、単独運転検出部15と、電流制御処理部16と、ゲイン低下判定部17と、ゲイン回復判定部18と、を備える。
インバータ部10は、分散型電源2から供給される直流電力を交流電力Woに電力変換し、系統電源3との間の通電路Pに出力する。
記憶部11は、非一過性の記憶媒体であり、PCS1の各部で用いられる情報及びプログラムなどを格納する。また、記憶部11には、電流歪情報、ログ情報なども格納されている。電流歪情報はたとえば、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪と、PCS1のインバータ部10で電力変換される電力に注入される高調波電流歪とが対応付けられたデータテーブルである。また、ログ情報には、過去に注入された高調波電流歪の量が時系列に記録されている。
系統周波数計測部12は、系統周波数を計測し、たとえば、系統周波数の移動平均処理などにより周波数偏差を算出する。
周波数フィードバック部13は、系統周波数の偏差に応じて系統周波数の周波数変化を促す周波数フィードバック機能を有する。周波数フィードバック部13は、系統周波数のシフトを促すべく、インバータ部10で電力変換される電力に注入する無効電力を演算する。周波数フィードバック部13は、この演算結果(すなわち系統周波数のシフトを促すための無効電力)に、無効電力ステップ注入部14によって算出される無効電力の後述するステップ注入量を足し合わせて、電流制御処理部16に送信する。
無効電力ステップ注入部14は、所定の条件下において、系統周波数の偏差を強制的に生じさせるように無効電力をステップ注入するための処理を行う。無効電力ステップ注入部14は、たとえば、単独運転の発生時においても周波数偏差が微小となる条件下において周波数シフトを促すべく、無効電力をステップ注入する処理を行う。なお、単独運転時にPCS1の出力電力Woと負荷の消費電力とが平衡している場合、周波数偏差は微小になる。無効電力ステップ注入部14は、周波数偏差が所定の微小範囲内(例えば±0.01[Hz]以内)であり、且つ、基本波電圧または高調波電圧歪の変化量が所定の条件を満たした場合に、ステップ注入が必要であると判断する。基本波電圧は、インバータ部10からの出力電圧に含まれる基本波成分である。高調波電圧歪は、インバータ部10からの出力電圧に含まれる高調波成分(二次〜七次以上)に基づいて算出される。基本波電圧及び高調波電圧歪は、無効電力ステップ注入部14に含まれる計測回路(不図示)によって計測できる。
単独運転検出部15は、系統周波数をモニタして単独運転を検出する。単独運転検出部15は、系統周波数の変化によって単独運転発生の有無を判定する。単独運転検出部15は、詳細には、能動的方式の単独運転判定部(不図示)と受動的方式の単独運転判定部(不図示)とを有する。
電流制御処理部16は、インバータ部10の電流制御を行い、周波数フィードバック部13からの情報に基づいて無効電力の注入を行う。電流制御処理部16は、系統周波数計測部12の出力に基づいて同期処理を行いつつ、インバータ部10の電流制御により適切な無効電力を注入させる。また、電流制御処理部16は、後述するゲイン回復判定部18から出力される信号に基づいて、インバータ部10で電力変換される電力に高調波電流歪を注入する。たとえば、電流制御処理部16は、周波数フィードバック機能の後述するゲイン低下処理が行われた場合に高調波電圧歪に応じた量の高調波電流歪をインバータ部10で電力変換される電力に注入する。
なお、電力変換装置1の出力に現れる高調波電圧は、PCS1及び系統電源3間の通電路Pの線路インピーダンスに応じて大きくなる。従って、該線路インピーダンス自体が既知である場合、電流制御処理部16は、既知の線路インピーダンスの値に応じた高調波電流歪をインバータ部10で電力変換される電力に注入してもよい。たとえば、線路インピーダンスの値は、通電路Pの線路インピーダンス自体を検出する手段、又は、線路インピーダンスの操作入力を受け付ける手段などにより取得してもよい。この場合、電流歪情報では、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪が線路インピーダンスの値に対応付けられていればよい。
ゲイン低下判定部17は、たとえばインバータ部10の出力(出力電力Wo)に電圧フリッカが発生する可能性があるか否かを判定する。ゲイン低下判定部17は、図1に示すように、電流・電圧検出部171と、無効電力算出部172と、フリッカ判定部173と、を備える。
電流・電圧検出部171は、インバータ部10の出力側と系統電源3との間に設けられる。電流・電圧検出部171は、詳細には電流検出回路と電圧検出回路とを備え、インバータ部10の出力に現れる電流及び電圧を検出可能になっている。
無効電力算出部172は、電流・電圧検出部171で検出された電流及び電圧を取得して無効電力を算出する。無効電力算出部172は、予め定められた所定間隔で常に無効電力を算出する。また、無効電力算出部172は、現在から過去の一定期間に遡って無効電力の平均値を算出する。無効電力算出部172は、取得した無効電力値及び無効電力の平均値をフリッカ判定部173に出力する。
フリッカ判定部173は、インバータ部10の出力に現れる無効電力の変化に基づいて電圧フリッカ発生の可能性を判定する。詳細には、フリッカ判定部173は、次に示す第1条件又は第2条件を満たした場合に、電圧フリッカが発生した可能性があると判定する。第1条件は無効電力が正である場合を想定した条件であり、第2条件は無効電力が負である場合を想定した条件である。第1条件は、現在の無効電力値が当該時点における無効電力の平均値に対して予め設定された第1の閾値を超えて大きくなり、その後、現在の無効電力値が小さくなる方向に転じた場合である。第2条件は、現在の無効電力値が当該時点における無効電力の平均値に対して予め設定された第2の閾値を超えて小さくなり、その後、現在の無効電力値が大きくなる方向に転じた場合である。第1の閾値と第2の閾値は同じ値であっても、異なる値であってもよい。
第1条件は、現在の無効電力値が当該時点における無効電力の平均値に予め設定された第1の閾値を加算した加算値より大きくなり、その後、現在の無効電力値が先の加算値以下になった場合としてもよい。第2条件は、現在の無効電力値が当該時点における無効電力の平均値から予め設定された第2の閾値を減算した減算値より小さくなり、その後、現在の無効電力値が先の減算値以上になった場合としてもよい。
なお、第1条件及び第2条件には、無効電力の平均値が使用されない構成としてもよい。この場合、第1条件は、現在の無効電力値が予め設定された第1の閾値を超えて大きくなり、その後、現在の無効電力値が小さくなる方向に転じた場合としてよい。また、第2条件は、現在の無効電力値が予め設定された第2の閾値を超えて小さくなり、その後、現在の無効電力値が大きくなる方向に転じた場合としてよい。ただし、この方法の場合には、定常状態時の無効電力の大きさが電力変換装置1の出力によって異なる場合があることを考慮して、出力に応じて閾値を変更できるように閾値テーブルを準備するのが好ましい。
電圧フリッカが発生した可能性があると判定されると、当該情報が電流制御処理部16に伝達され、周波数フィードバック部13の周波数フィードバック機能のゲインが一時的に低下されるゲイン低下処理が行われる。フリッカ判定部173によって電圧フリッカが発生した可能性があると判定されなかった場合には、周波数フィードバック部13の周波数フィードバック機能のゲインは維持される。すなわち、電圧フリッカ発生の可能性の判定は、周波数フィードバック機能のゲインを一時的に低下させるか否かを判定することを意味する。なお、周波数フィードバック機能のゲインの低下には、周波数フィードバック機能の停止(ゲインがゼロ)も含む。
電圧フリッカが発生した可能性があることを伝達された電流制御処理部16は、例えば周波数フィードバック機能のゲインの低下と同時に、高調波電流歪を所定の期間(例えば1周期等)重畳させるように電流制御を行う。この高調波電流歪は、例えば或る単一の次数の高調波でもよいし、複数の次数の高調波を足し合わせたものであってもよい。また、場合によっては、重畳させる高調波は次数間高調波であってもよい。注入する高調波電流歪の大きさについては、後に説明する。
ゲイン回復判定部18は、周波数フィードバック機能のゲインが低下された場合に、当該ゲイン低下処理を終了するか否かを判定する。ゲイン回復判定部18は、図1に示すように、高調波電圧検出部181と、高調波歪算出部182と、単独運転可能性判定部183とを備える。
高調波電圧検出部181は、インバータ部10の出力側と系統電源3との間に接続され、インバータ部10の出力(つまりPCS1の出力電力Wo)に現れる高調波電圧歪を検出する。
高調波歪算出部182は、高調波電圧歪の変化量を算出する。高調波電圧歪の演算には、総合高調波歪(THD:total harmonic distortion)が用いられる。たとえば、直近の総合高調波歪から3サイクル前から5サイクル前までの3つの総合高調波歪の平均値を差し引いた値が、総合高調波歪(すなわち高調波電圧歪)の変化量とされる。
また、高調波歪算出部182は、記憶部11に格納された電流歪情報に基づいて、高調波電圧検出部181で検出された高調波電圧歪に対応する高調波電流歪を取得し、取得した高調波電流歪を示す信号を電流制御処理部16に出力する。
なお、高調波電圧検出部181及び高調波歪算出部182は、場合によっては、無効電力ステップ注入部14に備えられるものを共用してもよい。また、高調波歪算出部182は、総合高調波歪に代えて、例えば、各次数の高調波歪、又は、次数間の高調波歪、或いは、複数の次数のうちのいくつかの高調波歪の合計値を算出して、その変化量を算出する構成であってもよい。
単独運転可能性判定部183は、電流制御処理部16によって高調波電流歪が注入された後にインバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪(より詳細には高調波電圧歪の変化量或いは変化率)に基づいて単独運転の可能性を判定する。なお、当該判定の期間と、電流制御処理部16における高調波電流歪の注入期間とは同一の期間とするのが好ましい。
単独運転の可能性が有る場合に周波数フィードバック機能のゲインが低下されると、単独運転の検出が遅れてしまう。このため、単独運転の可能性が有ると判定された場合には、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を終了して、通常の周波数フィードバック機能に戻して単独運転の検出を行う。一方、単独運転の可能性が無い場合には、所定の期間、周波数フィードバック機能のゲインが低下される。すなわち、単独運転の可能性の判定は、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を終了するか否かを判定することを意味する。
次に、図2は、電圧フリッカが発生した可能性があると判定された場合でのPCS1の動作例を説明するためのフローチャートである。なお、電圧フリッカの発生可能性は、上述のように、ゲイン低下判定部17が系統電源3側に現れる無効電力の変化を監視することによって判定される。
電圧フリッカが発生した可能性があると判定されると、フリッカ可能性フラグがオンされる(ステップS1)。フリッカ可能性フラグがオンされると、電流制御処理部16は、フィードバック処理に関するゲインを低下させ、周波数フィードバック部13から入力される情報の処理を行う。すなわち、周波数フィードバック部13による周波数フィードバック機能のゲインが低下される(ステップS2)。この際、ゲインをゼロとして周波数フィードバック機能が停止されてもよい。
電流制御処理部16は、フィードバック処理に関するゲインの低下と同時に、所定量の高調波電流歪の注入を開始する(ステップS3)。なお、この際の高調波電流歪の量(つまり初期値)は比較的に大きい値とすることが好ましく、たとえば、総合高調波歪の5%以下且つ各時数の高調波歪の3%以下の値に設定される。これにより、高調波電圧歪は、高調波電流歪の注入量に応じて大きく現れるので、後述するS6の処理での精度を向上させることができる。
次に、ゲイン回復判定部18は、該高調波電流歪が注入された場合の高調波電圧歪に基づいて、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を終了するか否かを判定する。まず、ゲイン回復判定部18(より詳細には単独運転可能性判定部183)は、高調波電圧歪(つまり総合高調波歪THD)の変化量が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
高調波電圧歪の変化量が閾値以上であれば(ステップS4でYES)、ゲイン低下処理中に単独運転が発生した可能性が高い。具体的には、PCS1及び系統電源3間の通電路Pの線路インピーダンスが高いことに起因して単独運転発生時に現れる高調波電圧歪の増加量が大きくなり難い状態であっても、高調波電流歪の注入量に応じて高調波電圧歪が大きく現れるようになる。そのため、ゲイン低下処理中の単独運転発生時には高調波電圧歪の変化量が所定の閾値以上になる。そして、処理は後述するS9に進む。
一方、高調波電圧歪の変化量が閾値以上でなければ(ステップS4でNO)、単独運転の可能性はないと判断される。ここで、線路インピーダンスに対応する高調波電流歪が取得済みである場合(ステップS5でYES)、処理は後述するS8に進む。一方、線路インピーダンスに対応する高調波電流歪が取得されていない場合(ステップS5でNO)、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪が検出されて、該高調波電圧歪に対応付けられた高調波電流歪が取得される(ステップS6)。電流制御処理部16は、S6で取得された量の高調波電流歪の注入を開始する(ステップS7)。これにより、高調波電圧歪は高調波電流歪の注入量に応じて大きく現れ、単独運転発生時には高調波電圧歪の変化量も大きくなる。そして、処理は次のS8に進む。
S8にて、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理の開始から所定の時間が経過していない場合(ステップS8でNO)、処理がステップS4に戻り、再度、単独運転の可能性が判定される。一方、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理の開始から所定の時間が経過している場合(ステップS8でYES)には、処理はS9に進む。なお、ステップS8における「所定の時間」は、特に限定される趣旨ではないが、例えば1秒程度とされる。このぐらいの時間経過すれば、電圧フリッカが既に収まっている可能性が高い。また、比較的短い時間で周波数フィードバック機能を通常状態に戻すことができ、単独運転を適切に検出できる。
次に、ステップS9にて、ゲイン回復判定部18によって単独運転の可能性があると判定され、フリッカ可能性フラグがオフされる。フリッカ可能性フラグのオフによって、電流制御処理部16は、ゲイン低下処理を終了してゲインを回復させ(ステップS10)、周波数フィードバック部13から入力される情報に従って無効電力の注入を行うようになる。すなわち、周波数フィードバック部13による周波数フィードバック機能が通常状態に戻され、単独運転の検出を正確に検出できるようになる。また、周波数フィードバック機能が通常状態に戻されると同時に、高調波電流歪の注入が停止される(ステップS11)。そして、図2の処理は終了する。
なお、図2のS4における単独運転発生の可能性を判定するために高調波電圧歪の変化量と比較される閾値は、予め定められた一定値であってもよいが、S7で取得された高調波電流歪に応じた値に再設定されてもよい。たとえば、S4における閾値は、初回の判定では所定の初期値が設定されてもよい。そして、S4における閾値は、2回目以降の判定では、単独運転発生の可能性がある場合に高調波電圧歪の急増を検出できる程度において、S7で取得された高調波電流歪が大きいほど小さい値に設定され、S7で取得された高調波電流歪が小さいほど大きい値に設定されてもよい。こうすれば、単独運転が発生した可能性がある際、より確実にゲイン低下処理を終了させて周波数フィードバック機能御のゲインを回復することができる。
また、S4において初回の判定に用いられる閾値(つまり初期値)は、最近に取得した高調波電流歪(たとえばPCS1の前回の運転時にて最後に取得した高調波電流歪)に応じて設定されてもよい。或いは、線路インピーダンスは、通常、減少することはないので、記憶部11に記憶されたログ情報に基づいて、過去に電流制御処理部16が注入した高調波電流歪のうちの最大値に応じて設定されてもよい。こうすれば、現在の線路インピーダンスに対応する高調波電流歪に応じた閾値を初期値として設定できる。
また、図2のS5では、線路インピーダンスに対応する高調波電流歪が複数回取得済みであるか否かが判定されてもよい。及び/又は、S6では所定期間に検出された複数の高調波電圧歪の平均値に応じた量の高調波電流歪が注入されてもよい。こうすれば、現在の線路インピーダンスに応じた高調波電流歪を精度良く取得して注入できる。
また、図2のS6において、PCS1及び系統電源3間の通電路Pの線路インピーダンスが既知である場合、該線路インピーダンスの値に対応付けられた高調波電流歪が取得されてもよい。
また、図2のS7において高調波電流歪は、高調波電流歪が注入されていない状態で検出された高調波電圧歪を用いて取得されてもよいが、図2のように高調波電流歪が注入された状態で検出された高調波電圧歪を用いて取得されることが高調波電流歪の精度を高める上で好ましい。これは、単独運転が発生していない場合にインバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪は、高調波電流歪が注入されていない場合には比較的に小さいが、高調波電流歪が注入された場合にはよりも大きく現れるからである。また、高調波電流歪をより精度良く取得できるので、電圧フリッカが発生する可能性があると判定された場合に注入する高調波電流歪を必要最小限の量により近づけることができる。よって、高調波電流歪の注入が系統電源に及ぼす影響もより小さくできる。
また、図2のS8は省略されてもよい。すなわち、S1にてフリッカが検出されると、S4にて高調波電圧歪(つまり総合高調波歪THD)の変化量が所定の閾値以上になるまで、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理が継続してもよい。図2においてS8が省略される場合、S5でYESとなった後の処理、及び、S7の後の処理はS4に戻る。
また、高調波電流歪の取得処理は図2の例示に限定されない。高調波電流歪は、インバータ部10が通電路Pに出力する電力Wo(すなわちPCS1の出力電力Wo)をも考慮し、この出力電力Wo、ゲインを低下した場合の高調波電圧歪、及び、電流歪情報に基づいて検出されてもよい。たとえば、同じ線路インピーダンスに対応して現れる高調波電圧歪の大きさは出力電力Woに応じて異なる。従って、電流歪情報にはたとえば、高調波電圧歪と、出力電力Woと、出力電力Wo毎の高調波電圧歪に対応する高調波電流歪とが対応付けられていてもよい。この場合、たとえばデータテーブルが示す値、又は該値を用いた補間法(内挿法、外挿法)により、出力電力Woに応じた高調波電圧歪の大きさに対応する高調波電流歪が取得されて、周波数フィードバック機能のゲインを低下させる際に注入される。こうすれば、出力電力Woを加味して、高調波電流歪をより精度良く取得して注入できる。
<第1実施形態の第1変形例>
本実施形態では、電圧フリッカ発生の可能性を検出すると、電流制御処理部16において、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理が行われる構成とした。しかし、これは、例示にすぎない。図3に示すように、PCS1において、ゲイン低下判定部17は、電圧フリッカが発生した可能性があると判定すると、その情報を周波数フィードバック部13に伝達する構成としてもよい。これにより、周波数フィードバック部13は、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行う。
<第1実施形態の第2変形例>
また、本実施形態では、無効電力の変化を監視して電圧フリッカの発生の可能性を検出する構成とした。しかし、これは例示にすぎない。図4は、第1実施形態の第2変形例に係るPCS1の周波数偏差−注入無効電力特性を示す模式図である。周波数フィードバック部13は、図4に示すように、周波数偏差が±f[Hz](例えばf=0.01Hz)を境にして無効電力演算のゲイン(第1ゲイン及び第2ゲイン)を変えてもよい。電圧フリッカが発生する場合、第2ゲインとなる無効電力を注入した後に第1ゲインに戻る(或いは、逆方向の第2ゲインとなる)といった現象が発生する。この現象(ゲインの切り替え)を利用して、電圧フリッカ発生の可能性を判定できる。たとえば、一旦挙げたゲインが下がった場合に、電圧フリッカが発生した可能性があると判定する。
その他、電圧フリッカの可能性の検出は、上述した無効電力を用いる方法に代えて、電圧周波数を用いる構成としてもよい。また、無効電力や電圧周波数の周期的な変動を検出した場合に電圧フリッカの可能性があると判定するようにしてもよい。
以上、本実施形態によれば、電力変換装置1は、分散型電源2を系統電源3に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置1であって、電力変換装置1の出力に現れる高調波電圧を検出する高調波電圧検出部181と、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行った場合に、高調波電圧、及び、系統電源及び電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を電力変換装置1にて変換される電力に注入する電流制御処理部16と、高調波電流が注入された状態で検出された高調波電圧に基づいてゲイン低下処理を終了するか否かを判定する第1判定部18と、を備える構成とされる。
また、電力変換装置1の制御方法は、分散型電源2を系統電源3に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置1の制御方法であって、電力変換装置1の出力に現れる高調波電圧(THD)を検出するステップと、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行った場合に、高調波電圧、及び、系統電源及び電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を電力変換装置1にて変換される電力に注入するステップと、高調波電流が注入された状態で検出された高調波電圧に基づいて、ゲイン低下処理を終了するか否かを判定するステップと、を備える構成とされる。
これらの構成によれば、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行った場合に注入する高調波電流を電力変換装置1及び系統電源3間の線路インピーダンスに応じて大きくできる。これは、電力変換装置1の出力に現れる高調波電圧は線路インピーダンスに応じて大きくなるからである。或いは、線路インピーダンス自体が既知である場合には、既知の線路インピーダンスに応じて上記の高調波電流を大きくできる。従って、高調波電流の注入により高調波電圧を大きくすることにより、線路インピーダンスの大小にあまり影響を受けることなく、単独運転が発生した場合に、より確実にゲイン低下処理を終了して、周波数フィードバック機能により単独運転を検出することができる。従って、周波数フィードバック機能を利用した単独運転の検出をより確実に行うことができる。
上記構成の電力変換装置1は、電圧フリッカ発生の可能性があるか否かを判定する第2判定部17をさらに備え、電流制御処理部16は、電圧フリッカ発生の可能性があると第2判定部17にて判定された場合に、前記ゲイン低下処理を行う構成とされる。
この構成によれば、電圧フリッカ発生の可能性がある際にゲイン低下処理を行うことができるので、周波数フィードバック機能に起因する電圧フリッカの発生を抑制できる。
上記構成の電力変換装置1は、電流制御処理部16は、所定期間に検出された複数の高調波電圧の平均値に応じた量の高調波電流を注入する構成とされる。
この構成によれば、現在の線路インピーダンスに応じた高調波電流歪を精度良く取得して注入できる。
上記構成の電力変換装置1は、電流制御処理部16は、電力変換装置1の出力Woにさらに応じた量の高調波電流を注入する構成とされる。
この構成によれば、電力変換装置1の出力Woを加味して、高調波電流歪を精度良く取得して注入できる。
上記構成の電力変換装置1は、第1判定部18は、ゲイン低下処理中に急増する高調波電圧の増加量が閾値以上になると、ゲイン低下処理を終了させる構成とされる。
この構成によれば、高調波電圧の増加量が閾値以上になることにより、単独運転になった可能性があることを検知できる。従って、ゲイン低下処理を終了することにより、周波数フィードバック機能の利用による単独運転の検出を行うことができる。
上記構成の電力変換装置1は、閾値は、電流制御処理部16が注入した高調波電流の量に応じて設定される構成とされる。たとえば、閾値は、高調波電流の量が大きいほど小さく、高調波電流の量が小さいほど大きく設定される。
この構成によれば、単独運転が発生した可能性がある際、より確実にゲイン低下処理を終了させて周波数フィードバック機能御のゲインを回復することができる。
上記構成の電力変換装置1は、電流制御処理部16が注入した高調波電流を記憶する記憶部11をさらに備え、ゲイン低下処理が行われると、閾値の初期値が、最近に注入された高調波電流、又は、記憶部11に記憶された高調波電流のうちの最大値に応じて設定される構成とされる。
この構成によれば、現在の線路インピーダンスに対応する高調波電流に応じた閾値を初期値として設定できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、電圧フリッカ発生の可能性があると判定される前に、高調波電圧歪が予め検出され、ゲイン低下処理時に注入する高調波電流歪も予め取得される。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図5は、第2実施形態における高調波電流歪の取得処理を説明するためのフローチャートである。PCS1の運転が開始されると(ステップ21)、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪が検出される(ステップS22)。そして、記憶部11に格納された電流歪情報に基づいて、検出された高調波電圧歪に対応する高調波電流歪が取得される(ステップS23)。
図5の処理によれば、電圧フリッカ発生の可能性があると判定される前に、予め高調波電圧歪の検出及び高調波電流歪の取得を行う。従って、たとえばゲイン低下処理の開始直後に単独運転が発生しても、予め取得した量の高調波電流歪が直ちに注入されるので、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧歪の急増を検出し易くできる。よって、単独運転が発生した可能性がある場合に、ゲイン低下処理をより確実に終了できる。
なお、図5の例示に限定されず、S22における高調波電圧歪の取得は周波数フィードバック機能のゲイン低下処理が行われてから実施されてもよい。すなわち、S21で運転開始されると、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理が行われてもよい。この後にS22で高調波電圧歪が取得され、S23で高調波電流歪が取得された後に、ゲイン低下処理が終了されてゲインが回復される。なお、この場合、電流歪情報は、ゲイン低下処理が実施されない際に現れる高調波電圧歪に対応する高調波電流歪を格納していればよい。
また、図5の例示に限定されず、高調波電流歪の取得は、所定量の高調波電流歪が予め注入された場合の高調波電圧歪を用いて行われてもよい。こうすれば、高調波電流歪を精度良く取得して注入できる。従って、電圧フリッカが発生する可能性があると判定された場合に注入する高調波電流歪を必要最小限の量により近づけることができ、高調波電流歪の注入が系統電源に及ぼす影響もより小さくできる。
また、図5のように、電圧フリッカ発生の可能性があると判定される前(PCS1の運転開始時など)に高調波電流歪を予め取得することにより、電圧フリッカ発生の可能性があると判定された後のゲイン低下処理において注入される高調波電流歪の初期値を予め設定しておくことができる。
また、高調波電流歪を予め取得するタイミングは、図5の例示に限定されない。すなわち、当該取得タイミングは、PCS1の運転開始直後でなくてもよく、電圧フリッカ発生の可能性があると判定される前であればよい。そして、電圧フリッカが発生する可能性があると判定されると、図6のように、電圧フリッカの発生を抑制しつつ、周波数フィードバック機能を用いた単独運転の検出処理が実施される。こうすれば、電圧フリッカが発生する可能性があると判定された場合に、高調波電流歪の取得をしなくてもよい。そのため、たとえば周波数フィードバック機能のゲインを低下させた直後に単独運転が発生しても、予め取得した量の高調波電流歪を直ちに注入できる。
以上、本実施形態によれば、高調波電圧検出部181は、電圧フリッカが発生する前の高調波電圧を予め検出する構成とされる。
この構成によれば、たとえば周波数フィードバック機能のゲイン低下処理の開始直後に単独運転が発生しても、電力変換装置1は、予め検出した高調波電圧に対応する高調波電流を直ちに注入できる。従って、インバータ部10の出力に現れる高調波電圧の急増を検出し易くできる。よって、電力変換装置1は、単独運転が発生した可能性がある場合に、周波数フィードバック機能のゲイン低下処理をより確実に終了できる。
さらに、上記構成の電力変換装置1は、高調波電圧検出部181は、電力変換装置1の運転開始時に高調波電圧を検出する構成とされる。
この構成によれば、運転開始時に高調波電圧を予め検出しておくことにより、ゲイン低下処理が行われる際に注入される高調波電流の初期値を予め設定しておくことができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、一定期間毎に高調波電圧歪が検出されて高調波電流歪が取得される。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図7は、第3実施形態における高調波電流歪の取得処理を説明するためのフローチャートである。なお、図7の取得タイミングは、たとえば日単位、週単位、月単位、又は年単位の一定期間毎の時点が設定されている。また、図7の処理は、たとえば、PCS1の運転開始とともに始められ、PCS1の運転停止とともに終了する。また、図7のS22及びS23の処理は第2実施形態の図5と同様であるため、これらの説明は省略する。
まず、PCS1は、現時点が高調波電流歪を取得するタイミングであるか否かを判定する(ステップS31)。該タイミングでなければ(ステップS31でNO)、処理はS31に戻る。該タイミングであれば(ステップS31でYES)、S22及びS23の処理によって高調波電流歪の取得が行われた後に、処理はS31に戻る。
以上、本実施形態によれば、電力変換装置1は、高調波電圧検出部181は、一定期間毎に高調波電圧を検出する構成とされる。
この構成によれば、たとえば日単位、週単位、月単位、又は年単位で設定される一定期間毎に高調波電圧が検出され、当該高調波電圧に対応する高調波電流歪も取得される。従って、経年劣化などに起因して線路インピーダンスが変化しても、電力変換装置1は、より適した条件(たとえば必要最小限により近い高調波電流の注入)で、電圧フリッカの発生を抑制しつつ、単独運転を検出できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。以上に示した実施形態や変形例の構成は、本発明の例示にすぎない。実施形態や変形例の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、複数の実施形態及び変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
1 PCS
10 インバータ部
11 記憶部
12 系統周波数計測部
13 周波数フィードバック部
14 無効電力ステップ注入部
15 単独運転検出部
16 電流制御処理部
17 ゲイン低下判定部
171 電流・電圧検出部
172 無効電力算出部
173 フリッカ判定部
18 ゲイン回復判定部
181 高調波電圧検出部
182 高調波歪算出部
183 単独運転可能性判定部
2 分散型電源
3 系統電源
P 通電路

Claims (10)

  1. 分散型電源を系統電源に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置であって、
    第1判定部と、高調波電圧検出部と、流制御処理部と、第2判定部と、を備え
    前記第1判定部は、電圧フリッカ発生の可能性があるか否かを判定し、
    前記電流制御処理部は、電圧フリッカ発生の可能性があると前記第1判定部にて判定された場合に、前記周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行い、
    前記高調波電圧検出部は、前記電力変換装置の出力に現れる高調波電圧を検出し、
    前記電流制御処理部は、前記ゲイン低下処理を行った場合に、前記高調波電圧、及び、前記系統電源及び前記電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を前記電力変換装置にて変換される電力に注入し、
    前記第2判定部は、前記高調波電流が注入された状態で検出された前記高調波電圧に基づいて、前記ゲイン低下処理を終了するか否かを判定する電力変換装置。
  2. 前記電流制御処理部は、所定期間に検出された複数の前記高調波電圧の平均値に応じた量の前記高調波電流を注入する請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記電流制御処理部は、前記電力変換装置の前記出力にさらに応じた量の前記高調波電流を注入する請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記高調波電圧検出部は、電圧フリッカが発生する前の前記高調波電圧を予め検出する請求項1〜請求項のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. 前記高調波電圧検出部は、前記電力変換装置の運転開始時に前記高調波電圧を検出する請求項に記載の電力変換装置。
  6. 前記第判定部は、前記ゲイン低下処理中に急増する前記高調波電圧の増加量が閾値以上になると、前記ゲイン低下処理を終了させる請求項1〜請求項のいずれかに記載の電力変換装置。
  7. 前記閾値は、前記電流制御処理部が注入した前記高調波電流の量に応じて設定される請求項に記載の電力変換装置。
  8. 前記電流制御処理部が注入した前記高調波電流を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記ゲイン低下処理が行われると、前記閾値の初期値が、最近に注入された前記高調波電流、又は、前記記憶部に記憶された前記高調波電流のうちの最大値に応じて設定される請求項に記載の電力変換装置。
  9. 前記高調波電圧検出部は、一定期間毎に前記高調波電圧を検出する請求項1〜請求項のいずれかに記載の電力変換装置。
  10. 分散型電源を系統電源に連系させ、系統周波数の偏差に応じて周波数変化を促す周波数フィードバック機能を利用して単独運転を検出する電力変換装置の制御方法であって、
    電圧フリッカ発生の可能性があるか否かを判定するステップと、
    電圧フリッカ発生の可能性があると判定された場合に、前記周波数フィードバック機能のゲイン低下処理を行うステップと、
    前記電力変換装置の出力に現れる高調波電圧を検出するステップと、
    前記ゲイン低下処理を行った場合に、前記高調波電圧、及び、前記系統電源及び前記電力変換装置間の線路インピーダンスのうちの一方に応じた量の高調波電流を前記電力変換装置にて変換される電力に注入するステップと、
    前記高調波電流が注入された状態で検出された前記高調波電圧に基づいて、前記ゲイン低下処理を終了するか否かを判定するステップと、
    を備える電力変換装置の制御方法。
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