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JP6881673B2 - 異常検出装置及び異常検出方法 - Google Patents

異常検出装置及び異常検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、異常検出装置及び異常検出方法に関するものである。
従来においては、サーボモータの回転速度が基準速度より高く且つ外乱トルクが基準トルクより低いときに異常が発生したと判断する異常負荷検出装置が開示されている。
特開2007−219991号公報
しかしながら、異常を検出する対象の機器の中には可動部(例えばモータ又は減速機)を含むものがあり、可動部に用いる潤滑油の種類を考慮して機器の異常を検出する技術は開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、機器の可動部に用いる潤滑油の種類に応じた判断基準により機器の異常を検出できる異常検出装置及び異常検出方法を提供することである。
本発明の一態様に係わる異常検出装置は、可動部を有する機器における部位の状態に関するデータと閾値とを比較することにより、機器の異常を判断する。そして、可動部に用いられる潤滑油の種類に応じて閾値を変化させる。
本発明によれば、機器の可動部に用いる潤滑油の種類に応じた判断基準により機器の異常を検出できる。
図1は、第1実施例の異常検出装置を含むシステムの構成を示す図である。 図2は、作業ロボット2におけるセンサ23の配置例を示す図である。 図3は、第1実施例の記憶部18が記憶する情報を示す図である。 図4は、第1実施例における演算処理部13の概略構成を示すブロック図である。 図5は、第1実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、第2実施例の記憶部18が記憶する情報を示す図である。 図7は、第2実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。 図8は、第3実施例の異常検出装置を含むシステムの構成を示す図である。 図9は、第3実施例の記憶部18が記憶する情報を示す図である。 図10は、学習モデルP1の一例を示す図である。 図11は、第3実施例における演算処理部13の概略構成を示すブロック図である。 図12は、第3実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。 図13は、計測結果150の表示例を示す図である。
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
以下の実施形態では、例えば自動車を組み立てる多軸機械である作業ロボット(溶接ロボットなど)の機器の異常を検出する技術について説明する。
多軸機械の回転軸には可動部としてモータと減速機(共に回転機構)が配置されることがあり、モータは不要な駆動力の成分(外乱トルク)を発生し、減速機は少なからず振動を発生する。そのため、外乱トルク又は振動に伴う加速度の大きさにより多軸機械の異常を判定することができる。
一方、可動部にはグリスが充填されることがある。グリスは粘度によっては潤滑油と称される。実施形態では、グリスと潤滑油は同義であるとする。なお、説明上はグリスという。
グリスの種類(例えばグリスのメーカ又は型番)によっては、外乱トルク又は加速度の大きさが異なる。例えば、グリスの種類によっては、外乱トルク又は加速度が比較的大きくなるものがあり、これはグリスの種類によって外乱トルク又は加速度が大きくなっているのであって、多軸機械は異常ではない。したがって、グリスの種類によらず、単に外乱トルク又は加速度のデータを一定の閾値と比較して異常を判定すると、誤って多軸機械が異常であると判定してしまう場合がある。
また、異常によりアラームを発生させる場合においては、機器が異常でないのにアラームが発生する、すなわちアラームの誤報が発生してしまう。
また、別の種類のグリスを使用すると、外乱トルク又は加速度が比較的小さくなることがあるが、グリスの種類によらず、単に外乱トルク又は加速度のデータを一定の閾値と比較して異常を判定すると、異常を見逃してしまうことがある。
そこで、実施形態では、このような異常の誤判定によるアラームの誤報と異常の見逃しを防ぐ技術について説明する。
(第1実施例)
図1は、第1実施例の異常検出装置を含むシステムの構成を示す図である。
異常検出装置1は、機器の異常を検出するもので、例えば自動車を組み立てる多軸機械である作業ロボット2を異常検出の対象機器として、その異常を検出する。異常検出装置1と作業ロボット2は生産現場3内に設けられ、異常検出装置1は通信回線4を介してコンピュータ5に接続される。
作業ロボット2は、可動部として用いられるモータ21と、モータ21のトルクを高いトルクに変換して作業ロボット2のアーム等で荷重の大きなものを動かすための可動部である減速機22を備える機器である。モータ21はすなわち作業ロボット2の駆動機構である。減速機22は工場用の作業ロボットでは一般的に使用されるものである。
減速機22の近傍の部位には、この部位の振動の大きさとして加速度を検出するセンサ23が配置される。センサ23は、センサ23が配置された部位の加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度信号をリアルタイムに出力する。加速度信号は、機器(2)の部位の1つである減速機22の状態を示すものと言うことができる。なお、センサ23としては、加速度を検出するセンサに限らず、機器の所定の部位の状態を検出できるセンサを使用してもよい。例えば、その部位の速度又は変位を検知することによって、その部位の状態として例えば振動の大きさを検出するセンサを使用できる。例えば、圧電センサ、角速度センサ、ジャイロセンサなど、姿勢の変化を時系列で取得可能な種々のセンサを用いることができる。
図2は、作業ロボット2におけるセンサ23の配置例を示す図である。
作業ロボット2は、例えば、3つの回転軸(可動軸)201を備え、それぞれにモータ21と減速機22が設けられている。モータ及び減速機は、このように複数の可動軸を有する作業ロボットの各可動軸に装着されることが多い。センサ23は、例えば、その中の1つの回転軸201に設けられた減速機22の近傍に配置される。減速機22は、モータ21に比べ、交換が面倒であり、減速機22の異常を早期に検出できるように、センサ23が減速機22の近傍に配置される。なお、センサ23の配置は減速機22の近傍に限定するものでなく、作業ロボット2(機器)で振動を検出したい任意の場所に配置してもよい。
図1に戻り、説明を続ける。
異常検出装置1は、モータ制御部11、センサ制御部12、演算処理部13、グリス情報取得部14、表示部15、音声出力部16、通信部17及び記憶部18を備える。
異常検出装置1は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータ(制御部ともいう)を含む。マイクロコンピュータには、異常検出装置として機能させるためのコンピュータプログラム(異常検出プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、異常検出装置が備える複数の情報処理回路(11〜14、17)として機能する。なお、ここでは、ソフトウェアによって異常検出装置が備える複数の情報処理回路(11〜14、17)を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(11〜14、17)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(11〜14、17)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
モータ制御部11は、作業ロボット2が所定の動作をするように動作中のモータ21に流れる電流の大きさ及び時間、タイミングなどを記憶・出力し、モータ21を制御するものである。モータ制御部11は、また、回転速度とトルクの指令値に従ってモータ21を回転(可動)させる。モータ21の可動に伴い、減速機22も可動する。すなわち、モータ21と減速機22が可動し、作業ロボット2が、例えば同ロボットのアーム先端に取り付けられた溶接機を所定の位置に移動させて溶接作業などを行う。
そして、モータ制御部11は、モータ21に流れる電流により、モータ21における外乱による駆動力、すなわちトルクの指令値に対する変動成分(外乱トルクともいう)の大きさ(以下、駆動力という)を示す駆動力信号を生成し、演算処理部13に出力する。駆動力信号は、機器(2)の部位の1つであるモータ21の状態を示すものと言うことができる。
センサ制御部12は、減速機22を制御し、減速機22の動作中において、センサ23に減速機22の振動に伴う加速度を検出させる。そして、センサ制御部12は、減速機22の加速度を示す加速度信号をセンサ23から受信し、演算処理部13に転送する。
演算処理部13は、上記のように可動部(モータ21と減速機22)を有する機器(2)において検出された機器の部位の状態に関するデータを算出し、状態に関するデータに基づいて、機器の異常を検出する制御部である。演算処理部13は、ここでは加速度信号と駆動力信号の少なくとも一方により状態に関するデータを算出し、このデータに基づいて、作業ロボット2の異常を検出する。すなわち、加速度信号のみにより異常を検出する、又は、駆動力信号のみにより異常を検出する、又は加速度信号と駆動力信号の両方により異常を検出する。以下の説明では、加速度信号のみに基づいて、作業ロボット2の異常を検出することとする。その際、加速度信号をセンサ信号と表現する。センサ信号は観測データともいう。
演算処理部13は、具体的には、作業ロボット2(機器)における所定部位の状態に関するデータと所定の閾値を比較することにより機器の異常を判断する。つまり、状態に関するデータが閾値より大きい場合は、作業ロボット2が異常であると判定する。演算処理部13は、例えばセンサ信号の値を一定期間検出し、その平均値を算出する。そして、この平均値が所定の閾値(以下、単に閾値という)より大きい場合は、作業ロボット2が異常であると判定する。
このような平均値は閾値の比較対象値であり、以下、比較対象値Sという。比較対象値Sは、平均値に限らず、最大値又は最小値でもよく、また、センサ信号の標準偏差、周波数特性を用いて算出してもよい。すなわち、比較対象値Sはセンサ信号の特徴を示す物理量であればよい。
なお、加速度信号に代えて駆動力信号で作業ロボット2の異常を検出してもよい。また、加速度信号と駆動力信号を組み合わせて作業ロボット2の異常を検出してもよい。また、センサ信号は、機器における所定の部位の状態を示すものであり、機器の部位に設けられたセンサから出力されるものであればよく、加速度信号と駆動力信号に限らない。例えば、モータ21又は減速機22の近傍の温度(状態)をセンサで検出し、温度をセンサ信号としてもよい。また、モータ21に流れる電流値(状態)を検出し、電流値をセンサ信号としてもよい。
グリス情報取得部14は、作業ロボット2の、例えば減速機22に使用されるグリスに関する情報(以下、グリス情報という)を取得するものである。グリス情報取得部14は、例えばグリスの交換時に作業ロボット2又は保全記録にグリスの名称、型番、使用量、交換日時などを入力する装置からグリス情報を取得する。または、保全記録又は作業ロボット2からグリス情報を取得する。第1実施例では、グリス情報にグリスの種類が含まれることとする。また、グリスの種類は種類A、種類B及び種類A、B以外の種類(便宜的に種類Cという)の3種類とする。グリスの種類は、グリスの名称又は型番で表現される。なお、グリスは3種類に限らず、作業ロボット2に使用可能な全てのグリスの種類に分類することもできる。
表示部15は、作業ロボット2が異常か否かの判定結果とグリスの種類(以下、これらを総称して計測結果150という)をリアルタイムに表示するもので、例えば、液晶モニタである。
音声出力部16は、作業ロボット2が異常と判定された場合にアラーム音又は振動(可聴域以外を含む)により作業員に異常を報知するもので、例えばスピーカである。
通信部17は、計測結果150を遠隔地(外部)のコンピュータ5に送信するためのもので、例えば有線LANのルータ又は無線(WiFiなど)のルータである。
記憶部18は、グリスの種類ごとに閾値を記憶する。すなわち、記憶部18は、対応する種類のグリスを使用したときの異常検出に適した閾値を記憶する。例えば、閾値は、グリスのメーカ(グリスの種類)によって変わる。
図3は、第1実施例における記憶部18が記憶する情報を示す図である。
第1実施例の記憶部18は、グリスの種類Aに対応づけて閾値TH1を記憶し、グリスの種類Bに対応づけて閾値TH2を記憶し、グリスの種類Cに対応づけて閾値TH3を記憶している。各閾値はグリスの種類に応じたものなので互いに異なる値となっている。
種類Aのグリスを使用した場合の比較対象値Sよりも種類Bのグリスを使用した場合の比較対象値Sが大きい場合は、閾値TH1よりも閾値TH2が大きくなっている。また、種類Bのグリスを使用した場合の比較対象値Sよりも種類Cのグリスを使用した場合の比較対象値Sが大きい場合は、閾値TH2よりも閾値TH3が大きくなっている。すなわち、比較対象値Sが大きくなるようなグリスの種類に対応する閾値は大きく、比較対象値Sが小さくなるようなグリスの種類に対応する閾値は小さくなっている。
なお、記憶部18は、図示しないが、作業ロボット2が異常になった要因と異常のときの駆動力信号と加速度信号のデータを記憶し、必要時には演算処理部13に出力する。
図1に戻り、説明を続ける。
コンピュータ5は、作業ロボット2を遠隔地で監視する監視員又は保全員に使用されるもので、計測結果150を受信して表示し、監視員に対して、異常検出の結果を画像、音、音声又は振動で提示する。
図4は、第1実施例における演算処理部13の概略構成を示すブロック図である。
演算処理部13は、信号処理部131、閾値取得部132、異常判定部133及び計測結果出力部134を備える。
信号処理部131は、モータ制御部11及びセンサ制御部12からセンサ信号を受信し、センサ信号から比較対象値Sを算出する。閾値取得部132は、グリス情報取得部14からグリス情報を取得し、グリス情報内のグリスの種類に対応する閾値を記憶部18から取得する。
異常判定部133は、比較対象値Sと閾値を比較することにより、作業ロボット2の異常を判断する。すなわち、異常判定部133は、比較対象値Sと閾値を比較することにより、作業ロボット2が異常か否かを判定する。
計測結果出力部134は、作業ロボット2が異常か否かの判定結果を含む計測結果150を表示部15に表示させる。また、作業ロボット2が異常の場合にアラーム音又は振動を音声出力部16から発生させる。また、計測結果150を通信部17に出力する。
図5は、第1実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、演算処理部13の閾値取得部132は、グリス情報取得部14からグリス情報を取得する。グリス情報はグリスの種類を含み、すなわち、閾値取得部132はグリスの種類を取得する(S1)。
次に、閾値取得部132は、取得したグリスの種類が種類Aか否かを判定する(S3)。取得したグリスの種類が種類Aである場合(S3:YES)、記憶部18から種類Aに対応する閾値を取得する(S5)。
閾値取得部132は、取得したグリスの種類が種類Aでない場合(S3:NO)、取得したグリスの種類が種類Bか否かを判定する(S7)。取得したグリスの種類が種類Bである場合(S7:YES)、記憶部18から種類Bに対応する閾値を取得する(S9)。閾値取得部132は、取得したグリスの種類が種類Bでない場合(S7:NO)、記憶部18から種類Cに対応する閾値を取得する(S11)。
閾値取得部132は、直前の異常判定に用いた閾値を記憶しており、これをステップS5、S9又はS11で取得した閾値(以下、閾値THという)に切り替える(S13)。
一方、信号処理部131は、モータ制御部11及びセンサ制御部12からセンサ信号を受信し(S15)、センサ信号から比較対象値Sを算出する(S17)。
次に、異常判定部133が、比較対象値Sが閾値TH以下か否かを判定する(S19)。異常判定部133は、比較対象値Sが閾値TH以下の場合は(S19:YES)、作業ロボット2(詳しくはモータ21又は減速機22)は異常ではないと判断する。
一方、比較対象値Sが閾値THより大きい場合は(S19:NO)、作業ロボット2(詳しくはモータ21又は減速機22)が異常であると判断する。そして、これを作業員に報知すべく、計測結果出力部134がアラーム音又は振動を音声出力部16から発生させる(S21)。
ステップS21の実行後、又は、比較対象値Sが閾値TH以下の場合は(S19:YES)、ステップS23に進む。
計測結果出力部134は、ステップS23では、ステップS19の判定結果(異常検出の結果)を含む計測結果150を表示部15に表示させる(S23)。また、計測結果150を通信部17に出力する。
すなわち、表示部15は、比較対象値Sが閾値THより大きい場合は(S19:NO)、可動部が異常であることを表示する(S23)。一方、比較対象値Sが閾値TH以下の場合は(S19:YES)、可動部が正常であることを表示する(S23)。
通信部17は、計測結果150をコンピュータ5に送信する(S23)。コンピュータ5は、計測結果150を表示する。また、作業ロボット2が異常である場合は、音、音声又は振動を発生する。監視員と保全員は、計測結果150と音、音声又は振動により、作業ロボット2に異常があるか否かを知ることができる。
次に、異常検出装置1に対して、生産現場3の作業員が処理終了の操作を行ったか否かを判定し(S25)、操作が行われてない場合は、ステップS1に戻り、操作が行われた場合は処理を終了する。
以上のように、第1実施例では、異常検出装置1は、可動部(21、22)を有する機器(2)における所定の部位において検出された部位の状態に関するデータ(S)に基づいて、機器の異常を検出する制御部(13)、を備える。制御部は、検出された状態に関するデータ(S)と所定の閾値とを比較することにより(S19)、機器の異常を判断する。また、制御部(13)は、機器の可動部に使用されるグリス(潤滑油)の種類を取得し(S1)、取得した潤滑油の種類に応じて閾値を変化させる(S13)。つまり、潤滑油の種類に応じて閾値を設定する。よって、機器の可動部に用いる潤滑油の種類に応じた判断基準により機器の異常を検出できる。また、異常検出装置1が行う上記の異常検出方法によっても同様の効果を得ることができる。
仮に閾値を一定にすると、グリスの種類に起因してデータ(S)が大きくなる場合において、機器が異常でないのに異常であると誤判断する可能性があるが、閾値を大きくするので、そのような誤判断を防止できる。その結果、ステップS21のようなアラーム、すなわち機器が異常の際に発するアラームが、機器が異常でないのに発生すること、すなわちアラームの誤報を防止できる。
また、仮に閾値を一定にすると、グリスの種類に起因してデータ(S)が小さくなる場合において、機器が異常なのに異常でないと誤判断する可能性があるが、閾値を小さくするので、そのような誤判断を防止できる。すなわち、異常の見逃しを防止できる。
また、駆動力信号により示されるトルクとトルク以外の値(例えば、加速度信号により示される振動の値)を組み合わせて異常を判断することにより、トルクだけで異常を判断する場合に比べ、より高精度に機器の異常を検出できる。
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明する。ここでは、第1実施例との違いを主に説明し、同一又は類似の内容については重複となるので説明を省略する。
第2実施例では、グリスの種類に加え、グリスの粘性に関する値を用い、例えば、グリスの種類とグリスの粘度の組み合わせに応じた閾値を使用する。すなわち、特定の種類と粘度のグリスを使用したときはこのグリスに適した閾値を使用する。例えば、同じ型番のグリスすなわち同じ種類のグリスでも、成分又は含有率の違いにより粘度を選択できる場合があり、第2実施例はこのような状況を想定する。よって、第2実施例では、グリス情報にグリスの種類と粘度が含まれることとする。なお、粘度は粘度そのもので表現される値に限らず、粘度と同義の用語を含めて粘度という。
第2実施例では、グリスの種類によらず大小2つの粘度の境界値が設定され、粘度の範囲が3分割されることとする。つまり、低い方の境界値(境界値αという)以下の粘度の範囲を粘度範囲Lといい、低い方の境界値αより高く且つ高い方の境界値(境界値βという)以下の粘度の範囲を粘度範囲Mといい、高い方の境界値β(>α)より高い粘度の範囲を粘度範囲Nという。つまり、粘度の高さは、L<M<Nと表現される。なお、このように、グリスの種類によらず境界値を共通にするのでなく、グリスの種類ごとに境界値を変えてもよい。また、粘度の範囲を2分割してもよく、また、より細かく4分割以上に粘度を区分してもよい。
図6は、第2実施例の記憶部18が記憶する情報を示す図である。
第2実施例の記憶部18は、グリスの種類Aと粘度範囲Lの組み合わせに対応づけて閾値TH11を記憶する。また、グリスの種類Aと粘度範囲Mの組み合わせに対応づけて閾値TH12を記憶する。また、グリスの種類Aと粘度範囲Nの組み合わせに対応づけて閾値TH13を記憶する。
また、記憶部18は、グリスの種類Bと粘度範囲Lの組み合わせに対応づけて閾値TH21を記憶する。また、グリスの種類Bと粘度範囲Mの組み合わせに対応づけて閾値TH22を記憶する。また、グリスの種類Bと粘度範囲Nの組み合わせに対応づけて閾値TH23を記憶する。
また、記憶部18は、グリスの種類Cと粘度範囲Lの組み合わせに対応づけて閾値TH31を記憶する。また、グリスの種類Cと粘度範囲Mの組み合わせに対応づけて閾値TH32を記憶する。また、グリスの種類Cと粘度範囲Nの組み合わせに対応づけて閾値TH33を記憶する。
第2実施例の記憶部18では、比較対象値Sが大きくなるようなグリスの種類と粘度範囲の組み合わせに対応する閾値は大きく、比較対象値Sが小さくなるようなグリスの種類と粘度範囲の組み合わせに対応する閾値は小さくなっている。
図7は、第2実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、演算処理部13の閾値取得部132は、グリス情報取得部14からグリス情報を取得する。グリス情報はグリスの種類とグリスの粘度を含む。すなわち、閾値取得部132はグリスの種類とグリスの粘度を取得する(S2)。
例えば、粘度は、グリスの性能を示す値(いわゆるカタログ値)として、保全記録又は作業ロボット2が記憶するグリス情報に含まれ、グリス情報取得部14が、粘度を含むグリス情報を取得する。なお、粘度は、モータ21又は減速機22の近傍に取り付けられた粘度センサ等により測定されたものでもよい。グリス情報取得部14は、作業ロボット2が実際に動作しているときに粘度センサ等により測定された実際の粘度をグリス情報として取得する。
つまり、粘度は、カタログ値でもよく、作業ロボット2が実際に動作しているときの実際の粘度でもよい。
さて、閾値取得部132は、粘度を取得すると、取得した粘度(以下、粘度xという)が境界値α以下か否かを判定する(S31)。粘度xが境界値α以下である場合(S31:YES)、粘度xは粘度範囲Lに属すると判定する(S33)。
閾値取得部132は、粘度xが境界値αより大きい場合(S31:NO)、粘度xが境界値β以下か否かを判定する(S35)。粘度xが境界値β以下ある場合(S35:YES)、粘度xは粘度範囲Mに属すると判定する(S37)。閾値取得部132は、粘度xが境界値βより大きい場合(S35:NO)、粘度xは粘度範囲Nに属すると判定する(S39)。
閾値取得部132は、ステップS33、S37及びS39の後、取得したグリスの種類と判定した粘度範囲との組み合わせに対応する閾値を記憶部18から取得する(S4)。例えば、グリスの種類が種類Aで粘度xが粘度範囲Nに属する場合、種類Aと粘度範囲Nの組み合わせに対応する閾値TH13を記憶部18から取得する(S4)。
以降は、第1実施例のステップS13以降の処理と同様であり、説明を省略する。ただし、ステップS25で操作が行われてないと判定した場合は、ステップS2に戻る。
なお、粘度の範囲を上記のように分類するのは、例えば粘度が実際の動作中の粘度であり、値が決まっていないからである。または、いわゆるカタログ値としての粘度であってもその数が多いからである。
しかし、例えば粘度がカタログ値であり、その数が少ない、例えば粘度x1、x2及びx3以外のグリスは使用しない場合は、グリスの種類と使用する粘度(x1、x2及びx3のいずれか)の組み合わせに対応づけて閾値を記憶部18に記憶すればよい。
以上のように、第2実施例では、制御部(13)は、潤滑油の種類に加え、潤滑油の粘度を更に取得し(S2)、潤滑油の種類及び潤滑油の粘度に応じて閾値を変化させる(S4)。つまり、潤滑油の種類及び潤滑油の粘度に応じて閾値を設定する。よって、機器の可動部に用いる潤滑油の種類及び潤滑油の粘度に応じた判断基準により機器の異常を検出できる。
つまり、潤滑油の種類が同じであっても、潤滑油の粘度に起因してデータ(S)が大きくなる場合においては閾値を大きくするので、誤った異常判断、アラームの誤報を抑制できる。
また、潤滑油の種類が同じであっても、潤滑油の粘度に起因してデータ(S)が小さくなる場合においては閾値を小さくするので、誤った異常判断、異常の見逃しを抑制できる。
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明する。ここでは、第1実施例との違いを主に説明し、同一又は類似の内容については重複となるので説明を省略する。
図8は、第3実施例の異常検出装置を含むシステムの構成を示す図である。
第3実施例の異常検出装置1は、モータ制御部11、センサ制御部12、演算処理部13、グリス情報取得部14、表示部15、音声出力部16、通信部17及び記憶部18に加え、学習モデル用情報取得部19を備える。
学習モデル用情報取得部19は、学習モデル(詳しくは後述する)を生成するための情報、すなわち作業ロボット2が過去に作業を行った際に取得された情報を取得するもので、例えば、モータ21と減速機22の可動部の近傍に配置されたIOT(Internet of Things)センサである。IOTセンサは、対象の機器に複数取り付けられ、無線LANなどで外部の機器にデータを送信するセンサの名称である。学習モデル用情報取得部19は、作業ロボット2の内部に保存された可動部の制御情報を取得する装置又は、作業ロボット2以外の機器に保存された保全データから可動部の制御情報を取得する装置であってもよい。
学習モデル用情報取得部19は、ここでは、以下の(1)〜(3)に示す値t、e、wを取得し、演算処理部13に出力する。(1)値tは、作業ロボット2の累積の稼働時間、累積の停止時間、連続して稼働した連続稼働時間、周囲の他の機器の稼働情報などに関する値である。(2)値wは、作業ロボット2にかかる作業の負荷を示す作業負荷レベル、作業ロボット2が行う作業の速度、要求される作業の精度などに関する値である。(3)値eは、作業ロボット2の周囲の環境の気温又はその変動又は変動の傾向、湿度又はその変動又は変動の傾向、周囲環境の振動の大きさなどに関する値である。
なお、これらの値t、w、eは、後述する学習モデルを生成するための情報であるが、学習モデルを生成するための情報は値t、w、eに限らず、機器の機能、使用環境などに応じた情報を使用すればよい。例えば、日照の時間や強度などがある。
図9は、第3実施例の記憶部18が記憶する情報を示す図である。
第3実施例の記憶部18は、グリスの種類ごとに学習モデルを対応づけて記憶する。記憶部18は、グリスの種類Aに対応づけて学習モデルP1を記憶し、グリスの種類Bに対応づけて学習モデルP2を記憶し、グリスの種類Cに対応づけて学習モデルP3を記憶している。各学習モデルはグリスの種類に応じたものなので互いに異なる学習モデルとなっている。また、記憶部18においては、異常検出に用いる学習モデルを学習モデルP1〜P3の中で切り替え可能となっている。
図10は、学習モデルの一例を示す図である。
例えば、学習モデルP1は、種類Aのグリスを使用して作業ロボット2が過去に異常を示さなかったときのパラメータと、種類Aのグリスを使用して作業ロボット2に過去に異常を示したときのパラメータを含む。
異常を示さなかったとき(正常のとき)のパラメータは、作業ロボット2が異常を示さなかったときに取得された値t、値w及び値eを時系列に配列したものであり、値t、値w及び値eの組のそれぞれに対応する日付が付与される。異常を示したときのデータは、作業ロボット2が異常を示したときに取得された値t、値w及び値eを時系列に配列したものであり、値t、値w及び値eの組のそれぞれに対応する日付が付与される。
異常を示さなかったとき(正常のとき)のパラメータは、例えば、作業ロボット2が種類Aのグリスを使用し、且つ、演算処理部13が後述のフローチャートにおけるステップS19でYES(機器が正常)と判定したときのパラメータである。異常を示したときのパラメータは、例えば、作業ロボット2が種類Aのグリスを使用し、且つ、演算処理部13が後述のフローチャートにおけるステップS19でとNO(機器が異常)と判定したときのパラメータである。学習モデルは履歴ということもできる。
なお、学習モデルは、演算処理部13が判定した結果に基づくものに限らず、作業員などが過去に機器の異常がなかったことを確認したときのパラメータと、異常があったことを確認したときのパラメータを記録しておき、これらのパラメータから学習モデルを生成してもよい。
図示しないが、学習モデルP2は、種類Bのグリスが使用されたときの学習モデルであり、学習モデルP3は、種類Cのグリスが使用されたときの学習モデルであり、学習モデルP1と同様の構成を有する。なお、学習モデルは、このような表形式のものに限らず、値t、値w及び値eの3軸からなる3次元空間に、正常のときの値t、値w及び値eの位置に点を配置し、また、異常のときの値t、値w及び値eの位置に点を配置し、正常と異常の境界面を設定してもよい。
図11は、第3実施例における演算処理部13の概略構成を示すブロック図である。
演算処理部13は、信号処理部131、異常判定部133及び計測結果出力部134に加え、学習モデル生成部135を備え、図4の閾値取得部132に代えて閾値算出部137を備える。
学習モデル生成部135は、学習モデル用情報取得部19から値t、値w及び値e及び日付を取得し、図10のような学習モデルを記憶部18に生成する。
閾値算出部137は、グリス情報取得部14から取得した種類の潤滑油を使用した場合の学習モデルを選択し、選択した学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求める。詳しくは後述する。
図12は、第3実施例における演算処理部13の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、演算処理部13の閾値算出部137は、グリス情報取得部14からグリス情報(グリスの種類)を取得する(S1)。
次に、閾値算出部137は、取得したグリスの種類が種類Aか否かを判定する(S3)。取得したグリスの種類が種類Aである場合(S3:YES)、記憶部18において異常検出に用いる学習モデルを、種類Aに対応する学習モデルP1に切り替える(S6)。
閾値算出部137は、取得したグリスの種類が種類Aでない場合(S3:NO)、取得したグリスの種類が種類Bか否かを判定する(S7)。取得したグリスの種類が種類Bである場合(S7:YES)、異常検出に用いる学習モデルを、種類Bに対応する学習モデルP2に切り替える(S8)。閾値算出部137は、取得したグリスの種類が種類Bでない場合(S7:NO)、異常検出に用いる学習モデルを、種類Cに対応する学習モデルP3に切り替える(S10)。
閾値算出部137は、ステップS6、S8又はS10で学習モデルを切り替え後、切り替え後の学習モデルを用いて閾値(以下、閾値THという)を算出する(S14)。
ステップS14では、まず、作業ロボット2が正常な場合の値tと、作業ロボット2が異常な場合の値tとから、作業ロボット2が正常なときと異常なときの境界の値t(以下、値Tという)を算出する。例えば、作業ロボット2が正常なときの値tの平均値ta1を算出し、作業ロボット2が異常なときの値tの平均値ta2を算出し、平均値ta1と平均値ta2の平均値を値Tとする。または、平均値ta1と平均値ta2の中間値を値Tとしてもよい。
また、値tから値Tを算出した方法と同様に、作業ロボット2が正常なときと異常なときの境界の値w(以下、値Wという)を算出する。また同様に、作業ロボット2が正常なときと異常なときの境界の値e(以下、値Eという)を算出する。値T、W及びEは、作業ロボット2が正常か異常かを判定するための閾値と言うこともできる。
次に、閾値算出部137は、値T、W及びEを所定の学習モデル式(計算式)に代入し、閾値THを算出する。例えば、閾値算出部137は、(式1)のような学習モデル式に値T、W及びEを代入して閾値THを算出する。
TH=T×X+W×Y+E×Z+c (式1)
ただし、X、Y、Z、cは定数である。
または、閾値算出部137は、(式2)のような学習モデル式に値T、W及びEを代入して閾値THを算出する。
TH=(T×X)+W×Y+E×Z+c (式2)
ただし、X、Y、Z、cは定数である。
これらの式は、作業ロボット2が異常のときは比較対象値Sが閾値THより大きくなるような閾値THを算出するために予め閾値算出部137に設定されたものである。よって、比較対象値Sが閾値THより大きい場合は作業ロボット2が異常であり、比較対象値Sが閾値TH以下の場合は作業ロボット2が正常と判断できる。
このように、切り替え後の学習モデルを用いて値T、W及びEを算出し、算出した値T、W及びEを上記のような式に代入することにより閾値を求めることを、学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用する、という。すなわち、第3実施例では、取得した種類の潤滑油を使用して機器が過去に異常を示さなかったときの機器に関するパラメータと、取得した種類の潤滑油を使用して機器が過去に異常を示したときの機器に関するパラメータを含む学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求める。
なお、学習モデル式は、式1のような線形式又は式2のような2次式に限らず、3次以上の高次式でもよい。また、指数関数又は対数を用いた式でもよい。すなわち、学習モデル式としては、数学的に記述可能な式を利用することができる。

なお、上述の例においては、ステップS6、S8又はS10おいて切り替えた学習モデルを基に、ステップS14においてそれぞれ閾値を算出することとしたが、これに限られない。
例えば、グリスの種類A、種類B及び種類Cの各々の学習モデルに含まれるデータを、機械学習又はディープラーニング技術を用いて分析し、グリスの種類A、種類B及び種類Cの正常判定モデル又は異常判定モデルをそれぞれ生成してもよい。
この場合、例えば、ステップS3においてグリスの種類がAと判定された後のステップにおいて、グリスの種類Aの学習モデルに対して機械学習又はディープラーニング技術により分析された結果生成された、グリス種類A用の正常判定モデル又は異常判定モデルが選択される。
その後、ステップS15においてセンサの信号を取得し、ステップS19においてセンサ信号の値とグリス種類A用の正常判定モデル又は異常判定モデルを比較する(詳しくは後述する)ことによって、異常の有無を判定する。グリスの種類B及び種類Cについても同様の処理となる。
なお、正常判定モデル又は異常判定モデルは所定のパラメータにおける少なくとも1つの閾値を含み、当該閾値とセンサ信号の値との比較を行う。
また、正常判定モデル又は異常判定モデル、すなわち判定モデルは記憶部18に記憶される。
このように、潤滑油の種類ごとに異常を判定するための判定モデルが記憶される記憶部18を備え、制御部は、取得された、機器の可動部に使用される潤滑油の種類に応じて判定モデルを切り替えることにより、閾値を変化させる。よって、判定モデルを用いることにより、より高精度に機器の異常を検出でき、アラームの誤報と異常の見逃しをより確実に抑制できる。
また、判定モデルは、機器の部位の状態に関するデータを機械学習技術による分析を行い生成される。よって、機械学習技術による分析を行うことにより、より高精度に機器の異常を検出でき、アラームの誤報と異常の見逃しをより確実に抑制できる。
以降は、第1実施例のステップS15以降の処理と同様であり、説明を省略する。
以上のように、第3実施例では、制御部(13)は、取得した種類の潤滑油を使用して機器が過去に異常を示さなかったときの機器に関するパラメータと、取得した種類の潤滑油を使用して機器が過去に異常を示したときの機器に関するパラメータを含む学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求める。つまり、学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより求めた閾値を設定する。
よって、潤滑油の種類と粘度以外のパラメータ、例えば、上記のような、機器の稼働時間などに関する値、機器が行う作業の負荷などに関する値、機器の周囲の環境などに関する値も用いて、機器の異常を検出できる。その結果、より高精度に機器の異常を検出でき、アラームの誤報と異常の見逃しをより確実に抑制できる。
すなわち、第3実施例でも、機器の所定部位の状態に関するデータ(S)が大きくなる場合においては閾値が大きくなるので、誤った異常判断、アラームの誤報を抑制できる。
また、機器の所定部位の状態に関するデータ(S)が小さくなる場合においては閾値が小さくなるので、誤った異常判断、異常の見逃しを抑制できる。
(第3実施例の変形例)
なお、第3実施例では、グリスの種類ごとにその種類のグリスに対応する学習モデルを記憶部18に記憶しておき、使用するグリスの種類に対応する学習モデルを選択し、選択した学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求めたが、第3実施例を発展させて以下のようにしてもよい。
すなわち、第3実施例の変形例では、グリスの種類と粘度の組み合わせごとにその種類と粘度のグリスに対応する学習モデルを記憶部18に記憶しておき、使用するグリスの種類と粘度の組み合わせに対応する学習モデルを選択し、選択した学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求める。
記憶部18に記憶する学習モデルはすなわち、この学習モデルに対応する種類と粘度のグリスを使用して機器が過去に異常を示さなかったときの機器に関するパラメータと、この学習モデルに対応する種類と粘度のグリスを使用して機器が過去に異常を示したときの機器に関するパラメータを含む学習モデルである。
使用するグリスの種類と粘度の組み合わせを取得する際には、第2実施例のステップS2、S31、S33、S35、S37及びS39を実行すればよい。
第3実施例の変形例によれば、使用するグリスの種類と粘度の組み合わせに対応する学習モデルを選択し、選択した学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより閾値を求めるので、潤滑油の種類と粘度の組み合わせに応じた判断基準により機器の異常を検出できる。
図13は、計測結果150の表示例を示す図である。表示部15とコンピュータ5は、例えば、計測結果150を図13に示すように画像で表示する。ここでは、第3実施例での表示例を示す。
表示部15とコンピュータ5の表示領域に、計測結果150として、例えば、ステップS19で作業ロボット2が正常であると判定された場合には、作業ロボット2が正常であることを示す表示情報151が表示される。作業ロボット2が異常と判定された場合は、異常であることを示す情報が表示される。
また、計測結果150として、ステップS19の判定に使用した閾値THと比較対象値S(観測値)が表示される。また、標準的に使用される種類のグリスを使用した場合の閾値を示す表示情報152が表示される。この閾値を補正前の閾値とすると、閾値THは補正後の閾値ということができる。補正前の閾値と補正後の閾値を表示することで、補正前の閾値が補正後の閾値に変更されたことを知ることができる、
また、計測結果150として、作業ロボット2に使用されているグリスの種類、グリスの粘度、添加剤の有無を示す表示情報153が表示される。これにより、グリスの種類、グリスの粘度、添加剤の有無を知ることができる。
また、計測結果150として、閾値THを算出するのに使用した計算式(学習モデル式)を示す表示情報154が表示される。また、式に代入した値T、W及びEが表示される。これにより、学習モデル式、及び学習モデル式に代入した値を知ることができる。
また、異常判定の対象としたモータ21と減速機22の配置箇所を示す表示情報155が表示される。これにより、モータ21と減速機22の配置箇所を知ることができる。
なお、図13は、第3実施例での表示例であり、第1実施例と第2実施例では、表示情報154と値T、W及びEは表示されない。
このように、演算処理部13は、取得したグリスの種類とともに、機器が異常か否かの判定結果を含む計測結果150を表示部15とコンピュータ5の表示領域に表示させるように制御するので、生産現場の作業員と機器を監視する監視員と保全員は、グリスの種類とともに機器が異常又は機器が正常であることを知ることができ、異常の場合には機器の保全を行うことができる。
また、潤滑油の種類、粘度、添加剤の影響、及び学習モデルの切り替えにより、閾値がどのように変更されたかが把握できる。
また、可動部の配置箇所、比較対象値S、学習モデル式、学習モデル式に代入する値、異常判定の結果を表示するので、作業員、保全員又は監視員によりわかりやすく異常検出の状況を伝えることができる。また、システムへの信頼度が増すとともに、機器が異常となった場合の対応を講じやすくできる。
以上、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
なお、異常を検出する対象の機器は作業ロボット2に限定されるものでない。例えば、モータの代わりに自動車のエンジン、減速機の代わりにトランスミッションを用いてもよい。また、移動体の可動部、遊園地の遊具などの移動体、3次元プリンターなどの工作機械、すなわち可動部を有する全ての機器も対象にすることができる。また、その他の種類の機器を対象としてもよい。
また、異常検出装置1は、コンピュータ5と同様に遠隔地に配置し、必要な信号とデータを、通信回線を介して送受信して、機器の異常を検出してもよい。また、モータ制御部11、センサ制御部12、演算処理部13、グリス情報取得部14、通信部17及び学習モデル用情報取得部19の機能ブロックを、コンピュータを用いて構成することも可能である。
また、異常検出装置1による異常の検出は、故障の予知、予測にも使用できる。例えば、異常の発生から故障までの時間が既知である場合は、異常の検出は故障の予知、予測と言うことができる。
上述の各実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理装置は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
1 異常検出装置
2 作業ロボット(機器)
11 モータ制御部
12 センサ制御部
13 演算処理部(制御部)
14 グリス情報取得部
15 表示部
16 音声出力部
17 通信部
18 記憶部
19 学習モデル用情報取得部
21 モータ(可動部)
22 減速機(可動部)
23 センサ(振動センサ)
131 信号処理部
132 閾値取得部
133 異常判定部
134 計測結果出力部
135 学習モデル生成部
137 閾値算出部
150 計測結果
201 回転軸
A、B、C グリスの種類
x、x1、x2、x3 グリスの粘度
L、M、N 粘度範囲
TH、TH1、TH2、TH3、TH11、TH12、TH13、TH21、TH22、TH23、TH31、TH32、TH33 閾値
S 比較対象値
P1、P2、P3 学習モデル
t、w、e 値(パラメータ)
T、W、E 値
X、Y、Z、c 定数
ta1、ta2 平均値
α、β 境界値

Claims (7)

  1. 可動部を有する機器の所定の部位において検出された、振動の大きさを示す振動信号及び駆動量を示す駆動力信号の少なくとも一方により算出される、前記部位の状態に関するデータに基づいて前記機器の異常を検出する制御部を備える異常検出装置であって、
    前記制御部は、
    検出された前記部位の状態に関するデータと所定の閾値とを比較することにより、前記機器の異常を判断し、
    前記機器の前記可動部に使用される潤滑油の種類を取得し、取得した前記潤滑油の種類に応じて前記閾値を変化させることを特徴とする異常検出装置。
  2. 前記制御部は、前記潤滑油の粘度を更に取得し、前記潤滑油の種類及び前記潤滑油の粘度に応じて前記閾値を変化させることを特徴とする請求項1記載の異常検出装置。
  3. 前記制御部は、
    取得した前記種類の潤滑油を使用して前記機器が過去に異常を示さなかったときの前記機器に関するパラメータと、取得した前記種類の潤滑油を使用して前記機器が過去に異常を示したときの前記機器に関するパラメータとを含む学習モデルに対して学習アルゴリズムを適用することにより前記閾値を求めることを特徴とする請求項1記載の異常検出装置。
  4. 前記制御部は、取得した前記潤滑油の種類とともに前記機器が異常か否か示す画像を表示させるよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の異常検出装置。
  5. 前記潤滑油の種類ごとに異常を判定するための判定モデルが記憶される記憶部を更に有し、
    前記制御部は、取得された前記機器の前記可動部に使用される潤滑油の種類に応じて前記判定モデルを切り替えることにより、前記閾値を変化させることを特徴とする請求項1記載の異常検出装置。
  6. 前記判定モデルは、前記部位の状態に関するデータを機械学習技術による分析を行い生成されることを特徴とする請求項5記載の異常検出装置。
  7. 可動部を有する機器の所定の部位において検出された、振動の大きさを示す振動信号及び駆動力を示す駆動力信号の少なくとも一方により算出される、前記部位の状態に関するデータに基づいて前記機器の異常を検出する異常検出方法であって、
    検出された前記部位の状態に関するデータと所定の閾値とを比較することにより、前記機器の異常を判断し、
    前記機器の前記可動部に使用される潤滑油の種類を取得し、取得した前記潤滑油の種類に応じて前記閾値を変化させることを特徴とする異常検出方法。
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