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JP6875232B2 - 多電極ガスシールドアーク片面溶接方法 - Google Patents

多電極ガスシールドアーク片面溶接方法 Download PDF

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JP6875232B2 JP2017174140A JP2017174140A JP6875232B2 JP 6875232 B2 JP6875232 B2 JP 6875232B2 JP 2017174140 A JP2017174140 A JP 2017174140A JP 2017174140 A JP2017174140 A JP 2017174140A JP 6875232 B2 JP6875232 B2 JP 6875232B2
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Description

本実施形態は多電極ガスシールドアーク片面溶接方法に関する。
片面溶接とは、被溶接材である突合せ継手の開先裏面側に耐火性裏当て材を押し当て、開先表側から溶接を行って開先裏面側にも裏ビードを出す溶接方法である。これにより、突合せ継手を反転させることなく片側のみからの溶接で完全溶込みを得ることができる。
片面溶接は溶接電流の高電流化や開先断面積の減少(狭開先化)を行うことで、その能率を向上することができる。一方で、高電流化や狭開先化に伴い、ビードには高温割れが発生しやすくなる。そこで単一電極ではなく、第1電極と第2電極を含む多電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接が提案されている。
多電極ガスシールドアーク片面溶接では、第1電極による溶接金属に生じた高温割れを第2電極で再溶融することで前記高温割れをなくすことを図っている。
例えば特許文献1では、第1電極と第2電極にそれぞれ特定の電極を用い、第1電極の極性を逆極性、第2電極の極性を正極性とし、溶接速度、溶接電流、電極間距離、及び第1電極の溶融池長さの値を特定の範囲内に規定している。これにより、高温割れのない健全な初層ビードを得て、耐高温割れ性に優れた片面溶接を高い溶接能率で行うことを図っている。
特許第4319713号公報
しかしながら、多電極ガスシールドアーク片面溶接では良好な裏ビードの形成状態を得られる範囲は狭く、また、衝撃性能が低いことから、さらなる改善が望まれていた。
そこで本発明は、裏ビードの形成状態が非常に良好であり、衝撃性能にも優れた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、先行極を所定の条件にするとともに、後行極のフラックス入りワイヤの成分を特定のものに限定する又は非消耗式電極を採用することで衝撃性能が向上し、かつ、先行極及び後行極による溶接条件を特定のものに限定することで、裏ビードの形成状態が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、溶接線方向に一列に配した複数の電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法であって、前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、前記先行極の極性は逆極性であり、前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、前記後行極の極性は正極性であり、前記後行極ではフラックス入りワイヤを用い、かつ前記後行極の前記フラックス入りワイヤは金属Al:1.5〜3.5質量%及びMg:0.2〜1.0質量%を含み、前記金属Alと前記Mgの含有量が、2.0質量%≦(金属Al+Mg)≦4.0質量%、及び、2.0≦(金属Al/Mg)≦10.0の関係を満たすことを特徴とする。
ここでMgの含有量とは、金属Mgと酸化物MgをMg換算した値である。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、前記後行極はワイヤ突出し長さ(ET):15〜35mm、溶接電流(IT):160〜400A及びワイヤ送給量(WT):1.0〜10.0m/分であることを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、前記後行極の前記ET(mm)、前記IT(A)及び前記WT(m/分)が、5≦(IT×WT/ET)≦150の関係を満たすことを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、溶接速度:200〜400mm/分及び前記先行極と前記後行極の極間距離:20〜50mmであることを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、前記先行極ウィービング幅:0〜5mm及び前記後行極のウィービング幅:0〜5mmであることを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、溶接線方向に一列に配した複数の電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法であって、前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、前記先行極の極性は逆極性であり、前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、前記後行極の極性は正極性であり、かつ前記後行極では非消耗式電極を用いることを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、前記後行極で非消耗式電極を用いる場合において、溶接速度:200〜400mm/分、前記先行極と前記後行極の極間距離:20〜50mm及び前記後行極の溶接電流(IT):160〜300Aであることを特徴とする。
本発明に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法の一態様は、被溶接材が板厚:12〜50mm及び開先角度:30〜60°のV形突合せであることを特徴とする。
本発明によれば、多電極ガスシールドアーク片面溶接において、非常に良好な裏ビードの形成状態が得られ、さらには良好な衝撃性能にも優れた溶接材を得ることができる。
図1は、多電極ガスシールドアーク片面溶接に用いられる被溶接材の一例となるV形突合せの構造を示すための模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また本明細書において、数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本実施形態に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法(以下、単に「溶接方法」と称することがある。)は、溶接線方向に一列に配した複数の電極を用い、前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、前記先行極の極性は逆極性であり、前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、前記後行極の極性は正極性であり、前記後行極ではフラックス入りワイヤを用い、かつ前記後行極の前記フラックス入りワイヤは金属Al:1.5〜3.5質量%及びMg:0.2〜1.0質量%を含み、前記金属Alと前記Mgの含有量が、2.0質量%≦(金属Al+Mg)≦4.0質量%、及び、2.0≦(金属Al/Mg)≦10.0の関係を満たす。
ここでMgの含有量とは、金属Mgと酸化物MgをMg換算した値である。
また、本実施形態に係る多電極ガスシールドアーク片面溶接方法は、溶接線方向に一列に配した複数の電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法であって、前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、前記先行極の極性は逆極性であり、前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、前記後行極の極性は正極性であり、かつ前記後行極では非消耗式電極を用いる。
<先行極>
本実施形態における先行極の極性は逆極性(DCEP)の消耗性電極であり、フラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤ(以下、単に「ワイヤ」と称することがある。)を用いる。先行極は、ワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分を満たし、(IL×WL/EL)で表される値を130以上450以下とすることにより、裏ビードの形成状態を良好なものとすることができる。
すなわち、ワイヤ突出し長さ(EL)を15mm以上とすることにより、裏ビードの安定性が良好となり、溶け落ちも防ぐことができる。ワイヤ突出し長さは17mm以上が好ましく、19mm以上がより好ましい。また、ワイヤ突出し長さを35mm以下とすることにより裏ビードの形成が容易となる。ワイヤ突出し長さは33mm以下が好ましく、31mm以下がより好ましい。
溶接電流(IL)を350A以上とすることで裏ビードの形成が容易となる。溶接電流は370A以上が好ましく、400A以上がより好ましい。また、溶接電流を550A以下とすることで裏ビードの安定性が良好となり、溶け落ちも防ぐことができる。溶接電流は530A以下が好ましく、500A以下がより好ましい。
ワイヤ送給量(WL)を5.0m/分以上とすることで裏ビードの形成が容易となる。ワイヤ送給量は5.5m/分以上が好ましく、6.0m/分以上がより好ましい。また、ワイヤ送給量を14.0m/分以下とすることで裏ビードの安定性が良好となり、溶け落ちも防ぐことができる。ワイヤ送給量は13.0m/分以下が好ましく、12.0m/分以下がより好ましい。
ワイヤ突出し長さ(EL)(mm)、溶接電流(IL)(A)及びワイヤ送給量(WL)(m/分)は(IL×WL/EL)(単位:A・m/分・mm)で表される値を130以上とすることにより、溶接時に被溶接材の裏面側に裏ビードを出すことができるようになる。(IL×WL/EL)で表される値は200以上が好ましく、250以上がより好ましく、280以上が特に好ましい。また、(IL×WL/EL)で表される値を450以下とすることで裏ビードの出過ぎを防ぐことができる。(IL×WL/EL)で表される値は400以下が好ましく、350以下がより好ましく、320以下が特に好ましい。
先行極の溶接電圧(VL)は特に制限されないが、35V以上がアーク安定性の点から好ましく、38V以上がより好ましい。また、溶接電圧は45V以下がアーク安定性の点から好ましく、43V以下がより好ましい。
先行極のウィービング幅は特に制限されないが、0〜5mmとすることが裏ビードの形成状態が向上することから好ましく、2mm以上がより好ましく、4mm以下がより好ましい。
先行極のフラックス入りワイヤには鉄系のフラックス入りワイヤ又は、ソリッドワイヤを用いることが好ましい。フラックス入りワイヤとは、鋼製外皮内にフラックスが充填されたワイヤであるが、ワイヤの組成は、被溶接材の種類や溶接条件によって異なり、特に限定されない。
先行極のフラックス入りワイヤとしては、例えばFeの含有量がワイヤ全体に対して80〜95質量%であるものを使用することができる。Fe以外にワイヤに含有可能な元素としては、例えば、C、Mn、Ti、P、S、Ni、Si、Cr、Cu、Mo、Mg、B、F、Na、K、Nb、V、Zr、Al等が挙げられる。これらは積極添加する場合と、不可避的不純物として含まれる場合がある。
また、ソリッドワイヤについても制限されるものではないが、一例としては、C:0.01〜0.18質量%、Si:0〜1.00質量、Mn:0.50〜2.80質量%、P:0.030質量%以下、S:0.030質量%以下、及びCu:0.50質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である組成が挙げられる。その他、Ti、Ni、Cr、Al、Zr、Mgなどを含んでも良い。
先行極のフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤのワイヤ径は特に制限されないが、溶接作業性の点から1.0mm以上が好ましい。また、溶接作業性の点から2.0mm以下が好ましい。
先行極による溶接時に用いるシールドガスは特に制限されないが、例えばArガス、炭酸ガス、Arガスと炭酸ガスの混合ガス、Arガスと酸素ガスの混合ガスを用いることができる。ガスの流量も特に制限されないが、例えば15〜30L/分とすることができる。
<後行極:フラックス入りワイヤ>
本実施形態における後行極は、先行極に続く電極であり、極性は正極性(DCEN)の消耗性電極である。後行極に用いられるフラックス入りワイヤは、金属Alを1.5〜3.5質量%含み、Mgを0.2〜1.0質量%含み、さらには(金属Al/Mg)で表される値が2.0〜10.0である。ここでMgとは、金属Mgと酸化物MgとをMg換算した値であり、以下「Mg成分」と称することもある。
フラックス入りワイヤ中に含まれる金属Alはその含有量がワイヤ全質量に対して1.5質量%以上であることで、脱酸効果により衝撃性能が向上する。金属Alの含有量は1.8質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。また、金属Alの含有量は3.5質量%以下であることで、脱酸元素過多になることなく、衝撃性能が向上する。金属Alの含有量は3.2質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。
ワイヤ中に含まれるMg成分はその含有量がワイヤ全質量に対して0.2質量%以上であることで、脱酸効果により衝撃性能が向上する。Mg成分の含有量は0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましい。また、Mg成分の含有量は1.0質量%以下であることで、脱酸元素過多になることなく、強度過多による衝撃性能の劣化を防ぐことができる。Mg成分の含有量は0.9質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
ワイヤ中に含まれる金属AlとMg成分との比(金属Al/Mg)は2.0以上であることにより、Mgによる脱酸効果を効果的に発揮することができ、衝撃性能が向上する。(金属Al/Mg)は3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、5.0以上が特に好ましい。
また、(金属Al/Mg)は10.0以下であることにより、脱酸元素過多となることなく、強度過多による衝撃性能の劣化を防ぐことができる。(金属Al/Mg)は9.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、7.0以下が特に好ましい。
金属Al及びMg成分以外のワイヤの組成は、被溶接材の種類や溶接条件によって異なるものの、例えば、さらに下記元素から選ばれる元素を少なくとも1つ、下記範囲で含んでいてもよい。
C:0.01〜0.1質量%、Zr:0.01〜0.15質量%、Mn:0.5〜2.5質量%、及びSi:0.1〜1.0質量%
[C:0.01〜0.1質量%]
Cは溶接金属の強度および靱性を向上させる効果を有し、かつ、溶接中に発生するスパッタに影響する。スパッタに関してはCの含有量が少量であっても問題ないため下限は特にないが、0.01質量%以上であることが実際的である。また、溶接金属の強度および靱性を確保する点からは、0.03質量%以上が好ましい。
一方、C量が増加すると溶滴移行が安定せず、スパッタ発生量が増加する。そのため、Cの含有量は0.1質量%以下が好ましく、0.08質量%以下がより好ましい。
[Zr:0.01〜0.15質量%]
Zrはアーク安定性を向上させる効果を発揮させる元素である。Zrを含有させる場合には、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
一方、Zrが多量に含まれると焼鈍工程後のスケール層が厚くなると共にスケールの密着性も増加することがある。そのため、その含有量は0.15質量%以下が好ましく、0.10質量%以下がより好ましい。
[Mn:0.5〜2.5質量%]
Mnは脱酸材としての効果を発揮し、溶接金属の強度や靱性を確保するために有効な元素であり、0.5質量%以上含有することが好ましく、1.0質量%以上がより好ましい。
一方、Mnが多量に含まれると溶接中にスラグが大量発生したり、強度が増加しすぎて溶接金属の靱性を著しく低下させたりすることがあることから、その含有量は2.5質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましい。
[Si:0.1〜1.0質量%]
Siは脱酸元素であり、溶接金属の強度や靱性を確保する効果があり、0.1質量%以上含有することが好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。
一方、Siが多量に含まれると溶接中にスラグが大量発生したり、強度が増加しすぎて溶接金属の靱性が低下したりするおそれがあることから、その含有量は1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
ワイヤの残部の主成分はFeであるが、ワイヤの残部には、ガスシールドアーク溶接に通常用いられるワイヤに含有可能なものを含有することができる。例えば、上記成分の他、残部には、金属添加剤、F化合物、アーク安定剤、及びスラグ形成剤等が添加されていてもよい。
金属添加剤は、金属の単体または合金からなるものであり、具体的な元素としては、例えば、Ni、Cr、Cu、Mo、Ti、Ca、Li、Nb、Bなどが挙げられる。F化合物は溶接金属の拡散性水素量を低減する元素であり、CaF、BaF、NaF、KSiF、SrF、AlF、MgF、LiF等が挙げられる。アーク安定剤としては、NaやKの化合物が挙げられる。スラグ形成剤としては、Al、MgO、TiOなどが挙げられる。PやSは不可避的不純物として含まれることが多いが、目的に応じて積極添加してもよい。
例えば、Fe(Fe酸化物とFeの合計):85〜95%、Ni≦2.0%、Cr≦0.2%、Mo≦0.5%、F化合物≦0.3%、(Na+K)≦0.2%、Nb≦0.1%、V≦0.1%、Al≦0.5%、Ti≦0.5%、TiO≦8.0%、MgO≦5.0%、B≦0.02%、P≦0.03%、S≦0.03%の範囲で含有することができる。
残部は、不可避的不純物を含む。不可避的不純物としては、例えばO、N、Sb、As等が挙げられる。なお、O、Nは、積極添加されることもある。
後行極のフラックス入りワイヤは、筒状を呈する鋼製外皮の内側にフラックスが充填されているが、鋼製外皮の合わせ目を溶接した継ぎ目のないワイヤ(シームレスタイプ)と、前記合わせ目を溶接せずに隙間のまま残したワイヤ(シームタイプ)のいずれも構造も採用することができる。また、外皮の外側に銅メッキが施されていてもよい。
後行極のフラックス入りワイヤのワイヤ径は特に制限されないが、溶接作業性の点から1.0mm以上が好ましい。また、溶接作業性の点から2.0mm以下が好ましい。
後行極は、ワイヤ突出し長さ(ET):15〜35mm、溶接電流(IT):160〜400A及びワイヤ送給量(WT):1.0〜10.0m/分を満たすことが、溶接後のゴーストラインを完全に消失できる点から好ましい。また、(IT×WT/ET)で表される値を5以上150以下とすることも、ゴーストラインを完全に消失できる点から好ましい。
すなわち、ワイヤ突出し長さ(ET)を15mm以上とすることにより、アーク力が十分となり、ゴーストラインを完全に消失することができることから好ましい。ワイヤ突出し長さは17mm以上がより好ましく、19mm以上がさらに好ましい。また、ワイヤ突出し長さを35mm以下とすることにより、アーク力が十分となってゴーストラインを完全に消失することができるのに加え、アークが安定し、スパッタの発生量も少なくできることから好ましい。ワイヤ突出し長さは33mm以下がより好ましく、31mm以下がさらに好ましい。
溶接電流(IT)を160A以上とすることでアーク力が十分となり、ゴーストラインを完全に消失することができることから好ましい。溶接電流は180A以上がより好ましく、200A以上がさらに好ましい。また、溶接電流を400A以下とすることで、アーク力が十分となってゴーストラインを完全に消失することができるのに加え、アークが安定し、スパッタの発生量も少なくできることから好ましい。溶接電流は380A以下がより好ましく、350A以下がさらに好ましい。
ワイヤ送給量(WT)を1.0m/分以上とすることでアーク力が十分となり、ゴーストラインを完全に消失することができることから好ましい。ワイヤ送給量は1.2m/分以上がより好ましく、1.4m/分以上がさらに好ましい。また、ワイヤ送給量を10.0m/分以下とすることで、アーク力が十分となってゴーストラインを完全に消失することができるのに加え、アークが安定し、スパッタの発生量も少なくできることから好ましい。ワイヤ送給量は9.8m/分以下がより好ましく、9.6m/分以下がさらに好ましい。
ワイヤ突出し長さ(ET)(mm)、溶接電流(IT)(A)及びワイヤ送給量(WT)(m/分)は(IT×WT/ET)(単位:A・m/分・mm)で表される値を5以上とすることにより、ゴーストラインを完全に消失できることから好ましい。(IT×WT/ET)で表される値は25以上がより好ましく、45以上がさらに好ましく、55以上が特に好ましい。また、(IT×WT/ET)で表される値を150以下とすることで、後行極によるゴーストラインが生成することを防ぐことができることから好ましい。(IT×WT/ET)で表される値は130以下がより好ましく、110以下がさらに好ましく、100以下が特に好ましい。
後行極の溶接電圧(VT)は特に制限されないが、15V以上がアーク安定性の点から好ましく、20V以上がより好ましい。また、溶接電圧は40V以下がアーク安定性の点から好ましく、35V以下がより好ましい。
後行極のウィービング幅は特に制限されないが、0〜5mmとすることが裏ビードの形成状態が向上することから好ましく、2mm以上がより好ましく、4mm以下がより好ましい。
後行極による溶接時に用いるシールドガスは特に制限されないが、例えばArガス、炭酸ガス、Arガスと炭酸ガスの混合ガス、Arガスと酸素ガスの混合ガスを用いることができる。ガスの流量も特に制限されないが、例えば15〜30L/分とすることができる。
<後行極:非消耗式電極>
本実施形態における後行極は、先行極に続く電極であり、極性は正極性(DCEN)の非消耗性電極である。後行極では、非消耗式電極としてタングステン電極を用い、TIGアーク溶接又はプラズマアーク溶接が行われる。なおTIGアーク溶接においては、溶加棒は用いられないことが好ましい。
TIGアーク溶接又はプラズマアーク溶接において、後行極(タングステン電極)からの入熱量で、溶融金属表面付近の温度が溶融金属内部の温度よりも高くなり、最終凝固部がビード表面付近の位置となる(凝固形態変化)。この最終凝固の方向が変化することで、凝固の成長が一方向とはならずに衝撃性能を向上することができる。凝固形態変化が生じる溶着量は、先述した先行極のワイヤ送給量(WL)が5.0〜14.0m/分の場合に特に適切な量とすることができ、非常に優れた衝撃性能が得られるようになる。
タングステン電極の電極材料としては、JIS Z 3233(2001年)で規定されているような、純タングステン、酸化トリウム入りタングステン、酸化ランタン入りタングステン及び酸化セリウム入りタングステン、並びに酸化イットリウム入りタングステン及び酸化ジルコニウム入りタングステンなどを用いることができる。
溶接トーチは、一般的にTIGアーク溶接で用いられる溶接トーチと同様にガスノズルを備えていてもよい。ガスノズルの内部には非消耗電極が配置される。ガスノズル内にはアルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスが供給され、TIG溶接の際にはその不活性ガスがガスノズルの開口部からシールドガスとして噴出される。また、プラズマアーク溶接においても同様であり、ガスノズルの開口部からプラズマ化した不活性ガスが噴出される。
後行極は、溶接電流(IT):160〜300Aを満たすことが、優れた衝撃性能の確保および溶接後のゴーストラインを完全に消失できる点から好ましい。
後行極の溶接電圧(VT)は特に制限されないが、10V以上がアーク安定性の点から好ましい。また、溶接電圧は20V以下がアーク安定性の点から好ましい。
後行極による溶接時に用いるシールドガスは、TIGアーク溶接の場合にはArガス、Heガス等が用いられ、プラズマアーク溶接の場合にはプラズマ化されたArガス、Heガス等が用いられる。ガスの流量は特に制限されないが、例えば10〜15L/分とすることができる。
<溶接条件>
先行極と後行極との極間距離は20〜50mmが好ましい。極間距離を20mm以上とすることにより、先行極と後行極とそれぞれで溶接金属が生成され、溶接金属が一体となることを防ぐことができる。その結果良好な耐高温割れ性が得られることから好ましい。極間距離は25mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましい。
極間距離を50mm以下とすることで、先行極による溶融池が凝固する前に、前記溶融池を後行極で再加熱することができ、溶融池が完全な2プールとなるのを防ぐことができる。その結果良好な耐高温割れ性が得られることから好ましい。極間距離は45mm以下がより好ましく、40mm以下がさらに好ましい。
溶接速度は200〜400mm/分とするのが好ましい。溶接速度を200mm/分以上とすることで、溶接金属が先行することなく、良好な裏ビードを得ることができる。溶接速度は230mm/分以上がより好ましく、250mm/分以上がさらに好ましい。
溶接速度を400mm/分以下とすることで、溶接金属の冷却速度が速くなり過ぎず、ゴーストラインが生成されるのを防ぐことができることから好ましい。溶接速度は380mm/分以下がより好ましく、350mm/分以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る溶接方法は、供試鋼板1の開先形状がV形、U形、I形、X形、H形等、様々な形状のものに対して使用することができる。供試鋼板1がV形突合せである場合の簡易的な模式図を図1に示す。供試鋼板1のV形突合せは、例えば板厚tが12〜50mm、V形開先10の(V形)開先角度θが30〜60°であることが裏ビードの形成状態が良好となることから好ましい。V型開先10のルートギャップ3は0〜5mmが好ましい。
本実施形態に係る溶接方法により得られた溶接物は、JIS Z 3313:2009に準じた0℃におけるシャルピー衝撃試験により求められる吸収エネルギーは47J以上が好ましく、60J以上がより好ましく、80J以上がさらに好ましく、100J以上が特に好ましい。
裏ビードの形成状態は全長にわたってアンダーカットやオーバーラップなどの溶接欠陥なく形成されているものが好ましく、裏ビード全長の余盛高さの標準偏差が0.5以下のものがより好ましく、0.4以下のものが更に好ましく、0.3以下のものが特に好ましい。
耐高温割れ性はJIS Z 3155:1993に規定される「C形ジグ拘束突合せ溶接割れ試験方法」に基づいて評価できる。母材としてJIS G 3106 SM490Aを用いた際の割れ率は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましく、4%以下がよりさらに好ましく、0%が特に好ましい。
溶接時のアーク安定性としては、アークのふらつきやアーク切れが少ないほど好ましい。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<実施例1〜40及び比較例1〜18>
表1又は表2に記載の条件で、多電極ガスシールドアーク片面溶接を行った。表中、「DCEP」又は「DCEN」とは、電極の極性をそれぞれ逆極性又は正極性としたことを示す。先行極および後行極の溶接電圧は表1中に示す値とした。ワイヤ径は先行極が1.6mm、後行極が1.4mmとした。シールドガスは先行極による溶接には炭酸ガスを用いて流量を25L/分とし、後行極による溶接には炭酸ガスを用いて流量を25L/分とした。
先行極におけるフラックス入りワイヤは、JIS Z 3313:2009に準じたメタル系フラックス入りワイヤを用いた。先行極におけるソリッドワイヤは、例えばFe:90質量%、Mn:2.5質量%、Si:0.5質量%を含有する、JIS Z 3312:2009に準じたソリッドワイヤを用いた。後行極には、表3に記載の組成を有する塩基性のフラックス入りワイヤを用いた。表3の残部はFe、F化合物及び不可避的不純物である。また、被溶接材にはV形突合せを用いた。V形突合せの板厚及び開先角度は表1又は表2に記載のとおりである。
なお、表1及び表2中、ELとは先行極のワイヤ突出し長さ(mm)、ILとは先行極の溶接電流(A)、WLとは先行極のワイヤ送給量(m/分)、ETとは後行極のワイヤ突出し長さ(mm)、ITとは後行極の溶接電流(A)、WTとは後行極のワイヤ送給量(m/分)をそれぞれ意味し、溶接電圧の単位はV、溶接速度の単位はmm/分、極間距離とは先行極と後行極との距離を示し、単位はmm、板厚の単位はmm、開先角度の単位は°(度)である。
<実施例41〜45>
表5に記載の条件で、多電極ガスシールドアーク片面溶接を行った。表中、「DCEP」又は「DCEN」とは、電極の極性をそれぞれ逆極性又は正極性としたことを示す。先行極および後行極の溶接電圧は表5中に示す値とした。先行極のワイヤ径は1.6mmであり、シールドガスは炭酸ガスを用いて流量を25L/分とした。後行極による溶接にはArガスを用い、TIGアーク溶接時は流量を15L/分とし、プラズマガスアーク溶接時は流量を10L/分とした。
先行極におけるフラックス入りワイヤは、JIS Z 3313:2009に準じたメタル系フラックス入りワイヤを用いた。先行極におけるソリッドワイヤは、例えばFe:90質量%、Mn:2.5質量%、Si:0.5質量%を含有する、JIS Z 3312:2009に準じたソリッドワイヤを用いた。後行極には、4.0mm径のタングステン電極を用いた。
被溶接材にはV形突合せを用いた。V形突合せの板厚及び開先角度は表5に記載のとおりである。
なお、表5中、ELとは先行極のワイヤ突出し長さ(mm)、ILとは先行極の溶接電流(A)、WLとは先行極のワイヤ送給量(m/分)、ITとは後行極の溶接電流(A)をそれぞれ意味し、溶接電圧の単位はV、溶接速度の単位はmm/分、極間距離とは先行極と後行極との距離を示し、単位はmm、板厚の単位はmm、開先角度の単位は°(度)である。
<評価>
溶接時及び溶接後の溶接物に対し、衝撃性能、裏ビードの形成状態、耐高温割れ性、及びアーク安定性の評価を行った。各評価の詳細は以下のとおりであり、結果を表4及び表6に示す。
(衝撃性能:シャルピー衝撃試験@0℃)
溶接物に対して、JIS Z 3313:2009に準じたシャルピー衝撃試験により0℃における吸収エネルギー(J)を求めることで、衝撃性能について評価した。
0℃における各試験による吸収エネルギーは47J以上であれば良好であり、60J以上がより良好であり、80J以上がさらに良好であり、100J以上が特に良好である。
(裏ビードの形成状態)
溶接物に対して、裏ビードの形成状態を目視および裏ビードの余盛高さの標準偏差により評価した。裏ビードの余盛高さの標準偏差は、レーザ変位計を用いて測定した。
表4及び表6中の「◎+」とは目視の結果アンダーカットおよびオーバーラップなどの溶接欠陥がなく、裏ビードの余盛高さの標準偏差が0.3以下であったことを意味し、「◎」とは溶接欠陥がなく、標準偏差が0.3超0.4以下であったことを意味し、「○+」とは溶接欠陥がなく、標準偏差が0.4超0.5以下であったことを意味し、「○」とは全長にわたって溶接欠陥なく形成されており、標準偏差が0.5超であったことを意味し、「×」とは裏ビードが形成されていないものであったことを意味する。
<耐高温割れ性>
溶接金属の耐高温割れ性をJIS Z 3155:1993に規定される「C形ジグ拘束突合せ溶接割れ試験方法」に基づいて評価した。なお、使用した母材はJIS G 3106 SM490Aである。
表4及び表6中の「◎+」とは割れ率が0%であったことを意味し、「◎」とは割れ率が0%超4%以下であったことを意味し、「○+」とは割れ率が4%超8%以下であったことを意味し、「○」とは割れ率が8%超10%以下であったことを意味し、「△」とは割れ率が10%超20%以下であったことを意味する。
<アーク安定性>
溶接時のアーク安定性は、溶接中のアークふらつきやアーク切れに対して、総合的に官能評価した。
表4及び表6中の「○」とはアークふらつきやアーク切れが無く、良好であったことを意味し、「×」とはアークのふらつきが大きい、又はアーク切れが見られたこと意味する。
Figure 0006875232
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表4及び表6の結果から、本実施形態に係る溶接方法において、先行極を所定の条件にするとともに、後行極に金属Al及びMg成分が所定の範囲内であるフラックス入りワイヤ、又は、非消耗式電極を用いることによって、衝撃性能が向上することが分かった。
また、先行極の極性やワイヤ突出し長さ等の条件を所定の範囲内にすることにより、裏ビードの形成状態が非常に良好になることが分かった。
上記に加え、後行極としてフラックス入りワイヤを用いる際には、ワイヤ突出し長さ等の条件を所定の範囲内にすることにより、優れた耐高温割れ性も両立可能であることが分かった。
1 供試鋼板
2 裏当て材
3 ルートギャップ
10 V形開先

Claims (8)

  1. 溶接線方向に一列に配した複数の電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法であって、
    前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、
    前記先行極の極性は逆極性であり、
    前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、
    前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、
    前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、
    前記後行極の極性は正極性であり、
    前記後行極ではフラックス入りワイヤを用い、かつ
    前記後行極の前記フラックス入りワイヤは金属Al:1.5〜3.5質量%及びMg:0.2〜1.0質量%を含み、前記金属Alと前記Mgの含有量が、2.0質量%≦(金属Al+Mg)≦4.0質量%、及び、2.0≦(金属Al/Mg)≦10.0の関係を満たす、多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  2. 前記後行極はワイヤ突出し長さ(ET):15〜35mm、溶接電流(IT):160〜400A及びワイヤ送給量(WT):1.0〜10.0m/分である請求項1に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  3. 前記後行極のワイヤ突出し長さ(ET)(mm)、溶接電流(IT)(A)及びワイヤ送給量(WT)(m/分)が、5≦(IT×WT/ET)≦150の関係を満たす請求項1又は2に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  4. 溶接速度:200〜400mm/分及び前記先行極と前記後行極の極間距離:20〜50mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  5. 前記先行極のウィービング幅:0〜5mm及び前記後行極のウィービング幅:0〜5mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  6. 溶接線方向に一列に配した複数の電極を用いた多電極ガスシールドアーク片面溶接方法であって、
    前記複数の電極は、先行極と前記先行極に続く後行極とを含み、
    前記先行極の極性は逆極性であり、
    前記先行極ではフラックス入りワイヤ又はソリッドワイヤを用い、
    前記先行極はワイヤ突出し長さ(EL):15〜35mm、溶接電流(IL):350〜550A及びワイヤ送給量(WL):5.0〜14.0m/分であり、
    前記先行極の前記EL(mm)、前記IL(A)及び前記WL(m/分)が、130≦(IL×WL/EL)≦450の関係を満たし、
    前記後行極の極性は正極性であり、かつ
    前記後行極では非消耗式電極を用いる、多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  7. 溶接速度:200〜400mm/分、前記先行極と前記後行極の極間距離:20〜50mm及び前記後行極の溶接電流(IT):160〜300Aである請求項6に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
  8. 被溶接材が板厚:12〜50mm及び開先角度:30〜60°のV形突合せである請求項1〜7のいずれか1項に記載の多電極ガスシールドアーク片面溶接方法。
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