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JP2014065066A - 横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Download PDF

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JP2014065066A
JP2014065066A JP2012213242A JP2012213242A JP2014065066A JP 2014065066 A JP2014065066 A JP 2014065066A JP 2012213242 A JP2012213242 A JP 2012213242A JP 2012213242 A JP2012213242 A JP 2012213242A JP 2014065066 A JP2014065066 A JP 2014065066A
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Ryutaro Chiba
竜太朗 千葉
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd
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Abstract

【課題】 軟鋼および490〜590MPa級高張力鋼の横向溶接において、開先内で良好な耐メタル垂れ性が得られ、スラグ剥離性も優れるなど溶接作業性が良好な横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 鋼製外皮中のCが鋼製外皮全質量に対する質量%で0.02%以下含有し、ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、C:0.03〜0.10%、Si:0.3〜0.9%、Mn:1.0〜3.5%含有し、さらに、フラックスに、ZrO換算値:1.0〜2.0%、SiO換算値:0.5〜2.0%、Al換算値:0.01〜0.10%、FeO換算値:0.1〜0.5%、NaO換算値とKO換算値の合計:0.05〜0.15%、F換算値:0.01〜0.10%を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、COガスを用いた軟鋼および490〜590MPa級高張力鋼の特に横向姿勢溶接に適した横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
鉄骨・橋梁の分野で使用される溶接材料は、スラグ発生量の少ないソリッドワイヤを用いて、溶接後にスラグの除去をせずに多層盛溶接するのが主流である。
しかし、ソリッドワイヤを用いた溶接においては、各姿勢溶接の中でも上向姿勢、横向姿勢および水平すみ肉などの姿勢溶接で、重力により溶接ビードが垂れる。また、母材側へのオーバーラップや融合不良、ビード同士のなじみ性不良などにより不均一(不揃い)なビード形状やビード外観となるという問題があった。
一方、近年では、鉄骨・橋梁の分野で、溶接作業性が良好でスパッタ発生量の少ないフラックス入りワイヤを水平すみ肉溶接部の多層盛溶接に使用する割合が増加している。しかし、横向姿勢溶接においては、スラグ形成剤を添加しているフラックス入りワイヤを用いてもソリッドワイヤを用いた場合と同様なビード形状となり、特に横向姿勢溶接の開先内でメタル垂れのない良好なビード形状が得られるフラックス入りワイヤが求められている。
横向姿勢溶接用フラックス入りワイヤとして例えば、特許文献1には溶接作業性および機械性能を良好にするため、Ar−COガスを用い、脱酸剤を調整することで溶接作業性や低温靭性を確保できるフラックス入りワイヤが開示されている。しかし、Ar−COガスはコスト高となるので、鉄骨・橋梁の分野ではCOガスが用いられることが多い。また、スラグ生成量が多いことから耐メタル垂れ性の改善はされていないという問題がある。
また、特許文献2には、横向姿勢溶接性に優れたフラックス入りワイヤの提案がある。しかし、スラグ形成剤の少ないTiO−SiO−ZrO系のフラックス入りワイヤに対し、MgOを添加しているのでスラグ被包性が悪くビード形状が不良でスラグ剥離性も悪いという問題があった。
特開平9−201697号公報 特開平10−314985号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、鉄骨・橋梁分野で使用される軟鋼および490〜590MPa級高張力鋼の横向姿勢溶接において、開先内で良好な耐メタル垂れ性が得られ、スラグ剥離性も優れるなど溶接作業性が良好な横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために種々のフラックス入りワイヤを試作して、詳細を検討した。その結果、TiO−SiO−ZrO系のスラグ成分において、TiOの成分が多いと横向姿勢溶接した場合、スラグの凝固速度が遅く、ビードが垂れやすくなるため、TiOを極力少なくすることでスラグの凝固速度を早め、ビードを垂れにくくさせ、横向姿勢溶接において平滑なビード形状が得られることを見出した。
また、C量の多い鋼製外皮を用いて、ZrO系のフラックス入りワイヤで溶接するとアーク状態が不安定となり、溶融プールも安定せず、スパッタ発生量が多くなるため、C量の少ない鋼製外皮を用いることでアーク状態および溶融プールを安定させた。
Alは、Alとは別に金属として添加し、一部は溶融中にAl酸化物としてスラグの被包性に関与する。しかし、Alの添加量分を、Al酸化物として添加した場合、スラグが均一に被包せずにスラグ剥離性も不良となるので、Al酸化物とは別に金属Alを添加することが望ましいことも見出し、本発明を完成した。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 鋼製外皮にフラックスを充填してなる横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
鋼製外皮中のCが鋼製外皮全質量に対する質量%で0.02%以下含有し、
ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
C:0.03〜0.10%、
Si:0.3〜0.9%、
Mn:1.0〜3.5%含有し、
さらに、フラックスに、
Zr酸化物のZrO換算値:1.0〜2.0%、
Si酸化物のSiO換算値:0.5〜2.0%、
Al酸化物のAl換算値:0.01〜0.10%、
Fe酸化物のFeO換算値:0.1〜0.5%、
Na化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計:0.05〜0.15%、
弗素化合物のF換算値:0.01〜0.10%を含有し、
残部はFeおよび不可避不純物であることを特徴とする横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(2) ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスにTiおよびTi酸化物のTiO換算値:0.1%以下を更に含有することを特徴とする上記(1)項に記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(3) ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、Al:0.03〜0.2%を更に含有することを特徴とする上記(1)または(2)項に記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(4) ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、Mg:0.03〜0.2%を更に含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)項のいずれかに記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(5) ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値:0.005〜0.030%を更に含有することを特徴とする上記(1)乃至(4)項のいずれかに記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
本発明の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、鉄骨・橋梁分野で使用される軟鋼および490〜590MPa級高張力鋼の横向姿勢溶接において、開先内で良好な耐メタル垂れ性が得られ、スラグ剥離性も優れるなど溶接作業性が良好で、溶接金属の機械的性能も良好であるので、溶接の高能率化および溶接部の品質向上を図ることができる。
本発明の実施例に用いた横向姿勢の片面継手溶接試験体を示す図である。 本発明の実施例での積層状況を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの成分組成および含有量の限定理由について説明する。ここで記載の「%」は「質量%」を意味する。
[鋼製外皮全質量に対する鋼製外皮のC:0.02%以下]
鋼製外皮のCを0.02%以下にすることでCOガスシールドアーク溶接において、溶滴移行時の破裂現象が抑制され、溶融プールおよびアーク状態が安定し、スパッタ発生量が減少する。また、横向姿勢溶接において、メタル垂れが発生しにくく良好なビード形状、ビード外観となる。したがって、鋼製外皮全質量に対する鋼製外皮のCは0.02%以下とする。
以下、各成分の含有量は、フラックス入りワイヤのワイヤ全質量に対する質量%で示す。
[鋼製外皮とフラックスの合計でC:0.03〜0.10%]
Cは、鋼製外皮と鉄合金(Si、Mnを添加する際に用いるFe−Si、Fe−Mn、Fe−Si−Mnなど)が微量含有するCから添加され、溶接構造物に要求される溶接金属の強度および靭性を得るために添加する。鋼製外皮とフラックスの合計で、Cが0.03未満では、溶接金属の靭性が低下する。一方、Cが0.10%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低下する。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.03〜0.10%とする。
[鋼製外皮とフラックスの合計でSi:0.3〜0.9%]
Siは、鋼製外皮、金属Si、Fe-Si、Fe-Si-Mnなどから添加され、脱酸剤として作用して溶接金属の強度および靭性を確保するために添加する。鋼製外皮とフラックスの合計で、Siが0.3%未満では、溶接金属の靭性が低下する。一方、Siが0.9%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低下する。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.3〜0.9%とする。
[鋼製外皮とフラックスの合計でMn:1.0〜3.5%]
Mnは、鋼製外皮、金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mnなどから添加され、脱酸剤として作用するとともに溶接金属の強度および靭性を確保するために添加する。鋼製外皮とフラックスの合計で、Mnが1.0%未満では、溶接金属の強度が低く靭性も低下する。一方、Mnが3.5%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低下する。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは1.0〜3.5%とする。
[フラックスに含有するZr酸化物のZrO換算値:1.0〜2.0%]
ZrOは、ジルコンサンドおよび酸化ジルコニウムから添加され、溶融スラグの凝固温度を高くし、さらにスラグ被包は薄いスラグで均一に被包して凝固速度を早める。フラックスに含有するZr酸化物のZrO換算値が1.0%未満では、横向姿勢溶接において、スラグ被包状態にムラができてビード形状およびビード外観が不良となる。一方、Zr酸化物のZrO換算値が2.0%を超えると、アーク状態が荒くなり大粒のスパッタが発生する。また、ヒューム発生量も増加する。したがって、フラックスに含有するZr酸化物のZrO換算値は1.0〜2.0%とする。
[フラックスに含有するSi酸化物のSiO換算値:0.5〜2.0%]
SiOは、珪砂やジルコンサンド、珪酸ソーダから添加され、スラグ形成およびスラグ剥離性を改善する作用を有する。フラックスに含有するSi酸化物のSiO換算値が0.5%未満では、横向姿勢溶接において、スラグ被包状態が悪くスラグ剥離が不良になり、ビード形状およびビード外観も不良になる。一方、Si酸化物のSiO換算値が2.0%を超えると、スパッタ発生量が多くなる。また、スラグが厚くなり垂れたビード形状になる。したがって、フラックスに含有するSi酸化物のSiO換算値は0.5〜2.0%とする。
[フラックスに含有するAl酸化物のAl換算値:0.01〜0.10%]
Al酸化物は主にアルミナ粉(Al)から添加され、溶融スラグ成分として作用して、開先内のビード止端部のなじみ性を良好にする。フラックスに含有するAl酸化物のAl換算値が0.01%未満では、横向姿勢溶接において、開先内のビード重なり部のなじみ性が悪く、ビード形状およびビード外観が不良となる。一方、Al酸化物のAl換算が0.10%を超えると、スラグ被包むらが起こりスラグ剥離性、ビード形状およびビード外観が不良になる。したがって、フラックスに含有するAl酸化物のAl換算値は0.01〜0.10%とする。
[フラックスに含有するFe酸化物のFeO換算値:0.1〜0.5%]
FeO、Fe等のFe酸化物は、スラグ被包性、開先内のビード重なり部のなじみ性を良好にする。フラックスに含有するFe酸化物のFeO換算値が0.2%未満では、横向姿勢溶接において、開先内のビード重なり部のなじみ性が悪く、ビード形状が凸状になり、スラグ剥離性も不良となる。一方、Fe酸化物のFeO換算値が0.5%を超えると、スラグ被包状態が悪く、メタル垂れも発生することからビード形状およびビード外観も不良となる。さらに、ヒューム発生量も多くなる。したがって、フラックスに含有するFe酸化物のFeO換算値は0.1〜0.5%とする。
[フラックスに含有するNa化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計:0.05〜0.15%]
NaおよびKは、カリ長石、弗化ソーダ、珪弗化カリなどの弗素化合物より添加され、アーク安定剤およびスラグ形成剤として作用し、平滑なビード形状にする。フラックスに含有するNa化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計が0.05%未満では、横向姿勢溶接において、スパッタ発生量が多く、ビードが不均一となりビード形状およびビード外観が不良になる。一方、Na化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計が0.15%を超えると、スラグ剥離性、ビード形状およびビード外観が不良となり、スパッタやヒューム発生量も多くなる。したがって、フラックスに含有するNa化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計は0.05〜0.15%とする。
[フラックスに含有する弗素化合物のF換算値:0.01〜0.10%]
Fは、弗化ソーダや珪弗化カリから添加され、アークの指向性を高めてアーク状態を安定にする作用を有する。フラックスに含有する弗素化合物のF換算値が0.01%未満では、横向姿勢溶接において、スパッタ発生量が多くなる。また、メタル垂れが発生する。一方、弗素化合物のF換算値が0.10%を超えると、強いアーク状態となりスパッタおよびヒューム発生量が増加する。また、メタル垂れが発生しビード形状およびビード外観が不良となる。したがって、フラックスに含有する弗素化合物のF換算値は0.01〜0.10%とする。
[フラックスに含有するTiおよびTi酸化物のTiO換算値:0.1%以下]
フラックスに含有するTiおよびTi酸化物をTiO換算値で0.1%超添加すると、スラグの凝固温度が低くなり、さらにスラグの厚さが厚くなるので横向姿勢溶接においてメタルが垂れる原因となり、平滑なビード形状が得られない。したがって、フラックスに含有するTiおよびTi酸化物のTiO換算値は0.1%以下とする。
[鋼製外皮とフラックスの合計でAl:0.03〜0.2%]
Alは、鋼製外皮、金属Al、Fe−AlおよびAl−Mg合金から添加され、一部は溶融中にAl酸化物となってスラグ被包性を保持する作用を有する。鋼製外皮とフラックスの合計でAlが0.03%未満では、横向姿勢溶接において、その効果が得られず、0.5%を超えると、ビード形状に滑らかさがなくなり止端部が膨らんだ形状となる。また、溶融スラグの凝固むらが生じてスラグ剥離性が不良となる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でAlは0.03〜0.2%とする。
[フラックスに含有するMg:0.03〜0.2%]
Mgは、金属Mg、Al-Mg合金から添加され、強脱酸剤として作用する。フラックスに含有するMgが0.03%未満であると、脱酸剤としての効果がなく靭性が低下する。一方、Mgが0.2%を超えると、横向姿勢溶接において、アーク状態が荒くなりスパッタ発生量が多くなる。したがって、フラックスに含有するMgは0.03〜0.2%とする。
[フラックスに含有するBiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.005〜0.030%]
Biは、金属Biや酸化Bi等により添加され、スラグ剥離性を向上させ、ビード表面に光沢を出しビード外観を良好にする作用を有する。フラックスに含有するBiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計が0.005%未満では、その効果が得られず、0.030%を超えると、ビード上部のスラグが流れて、ビード全面をスラグで被包することができなくなり、ビード外観が不良となる。したがって、フラックス中のBiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計は0.005〜0.030%とする。
以上、本発明の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの構成要件の限定理由を述べたが、その他の残部のワイヤ成分は、鋼製外皮のFe分、Fe−SiやFe−MnやFe−Si−Mn等の合金鉄(フェロアロイ)中のFe分、鉄粉等からのFeおよび不可避不純物である。
また、本発明の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、フラックス充填後の伸線加工性が良好な軟鋼および低合金鋼の外皮内に、前記限定した成分のフラックスをワイヤ全質量に対して10〜20%程度充填後、孔ダイス伸線やローラダイスにより所定のワイヤ径(0.9〜1.6mm)に縮径して製造する。なお、鋼製外皮に貫通した隙間がないシームレス又は隙間があるシームタイプのいずれのワイヤも適用できる。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
表1に示す成分の軟鋼外皮にフラックスを充填後、縮径して(外皮の軟化および脱水素のため中間焼鈍を1回実施)、表2に示すフラックス充填率16.0%、ワイヤ径1.2mmの鋼製外皮に貫通した隙間がないシームレスタイプのフラックス入りワイヤを各種試作した。
Figure 2014065066
Figure 2014065066
表2に示す試作ワイヤを用いて、図1に示す片面継手溶接試験体1(鋼種:SM490B鋼、板厚t:20mm、幅400mm、長さ400mm、開先角度θ:レ型50°、ルート間隔G:4mm、裏面の拘束:3箇所)に、セラミック裏当材2(SiO−Al−MgO系)を当てて、表3に示す溶接条件で、図2に示すように横向姿勢で溶接ビード3を順次積層して、アーク状態、耐メタル垂れ性、ビード形状、ビード外観、スラグ被包性、スラグ剥離性、スパッタ発生量、ヒューム発生量および溶接金属の強度と衝撃値を評価した。なお、図1および図2中の1は鋼板、3は溶接ビードを示す。
溶接金属の強度は、試験体の表面から7mmを中心にJIS Z2201 10号試験片を採取して溶接金属の引張試験を実施した。衝撃値は、試験体の裏面から7mmを中心に衝撃試験片(JIS Z2242 Vノッチ試験片)を採取して溶接金属の衝撃試験を実施した。なお、引張試験は引張強さ500〜680MPaを良好とした。衝撃試験は0℃における吸収エネルギーが3本の平均値で60J以上を良好とした。それらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 2014065066
Figure 2014065066
表2および表4中ワイヤNo.1〜10が本発明例、ワイヤNo.11〜24は比較例である。
本発明例であるワイヤNo.1〜10は、鋼製外皮のC、鋼製外皮とフラックスの合計のC、Si、Mn、フラックス中のZrO換算値、SiO換算値、Al換算値、FeO換算値、NaO換算値とKO換算値の合計、F換算値およびTiO換算値がいずれも適正であるので、横向姿勢の片面継手溶接において、アーク状態、ビード形状、ビード外観およびスラグ剥離性が良好でメタル垂れがなく、スパッタ発生量およびヒューム発生量が少なく、溶接金属の引張強さおよび吸収エネルギーが良好であるなど、極めて満足な結果であった。なお、鋼製外皮とフラックスの合計でAlを適量含むワイヤNo.1、2、4、5およびワイヤNo.6は、スラグ被包性が特に良好であり、フラックス中にMgを適量含むワイヤNo.2、3、4、5およびワイヤNo.8は、溶接金属の吸収エネルギーが70J以上得られて非常に良好であった。さらに、Biを適量含むワイヤNo.1、3、5、6およびワイヤNo.9はスラグ剥離性が非常に良好であった。
比較例中ワイヤNo.11は、鋼製外皮(記号S3)のCが多いので、アークが強くプールが不安定になったため母材への掘り込みが過剰となり、メタルが垂れ、ビード形状およびビード外観が不良であった。また、スパッタ発生量も多かった。
ワイヤNo.12は、鋼製外皮とフラックスの合計のCが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、フラックス中のAl換算値が多いので、ビードをスラグで全面被包することができず、スラグ剥離性、ビード形状およびビード外観が不良であった。
ワイヤNo.13は、鋼製外皮とフラックスの合計のCが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。また、Bi換算値が多いので、ビードをスラグで全面被包することができずビード外観が不良であった。
ワイヤNo.14は、鋼製外皮とフラックスの合計のSiが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、フラックス中のSiO換算値が多いので、スラグが厚くなりメタル垂れが発生しビード形状が不良で、スパッタ発生量も多かった。
ワイヤNo.15は、鋼製外皮とフラックスの合計のSiが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。また、フラックス中のFeO換算値が少ないので、開先内のビード重なり部のなじみ性が悪く、ビード形状が凸となりスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤNo.16は、鋼製外皮とフラックスの合計のMnが少ないので、溶接金属の引張強さが低く吸収エネルギーも低値であった。また、フラックス中のZrO換算値が少ないので、スラグが均一に被包できずビード形状およびビード外観が不良であった。
ワイヤNo.17は、鋼製外皮とフラックスの合計のMnが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。また、フラックス中のF換算値が多いので、アークの指向性が増しアークが強いため、メタル垂れが発生してビード形状およびビード外観が不良で、スパッタ発生量ならびにヒューム発生量が多かった。
ワイヤNo.18は、フラックス中のZrO換算値が多いので、アーク状態が強く粗くなり大粒のスパッタが発生し、ヒューム発生量も多かった。また、フラックス中のSiO換算値が少ないので、スラグ被包がまばらとなりスラグ剥離、ビード形状およびビード外観が不良であった。
ワイヤNo.19は、フラックス中のAl換算値が少ないので、開先内のビードの重なり部および母材とのなじみ性が悪く、ビード形状およびビード外観が不良であった。また、Bi換算値が少ないので、スラグ剥離性向上の効果は得られなかった。
ワイヤNo.20は、フラックス中のFeO換算値が多いので、特に最終パスにおいてメタル垂れが発生し、スラグは全面被包されておらず、ビード形状およびビード外観が不良でヒューム発生量も多かった。また、鋼製外皮とフラックスの合計でAlが少ないので、スラグの被包性改善の効果は見られなかった。
ワイヤNo.21は、フラックス中のNaO換算値とKO換算値の合計が多いので、ビード形状およびビード外観が不良で、スラグ剥離性も悪く、スパッタ発生量ならびにヒューム発生量も多かった。
ワイヤNo.22は、フラックス中のNaO換算値とKO換算値の合計が少ないので、アークの集中性に欠けスパッタ発生量が多く、ビードが不均一となり、ビード形状およびビード外観が不良であった。また、フラックス中のMgが少ないので吸収エネルギーは70J以上得られなかった。
ワイヤNo.23は、フラックス中のF換算値が少ないので、メタルが垂れて、スパッタ発生量も多かった。また、鋼製外皮とフラックスの合計のAlが多いので、ビード止端部が膨らんだ形状となり、溶融スラグの凝固斑も生じてスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤNo.24は、フラックス中のTiO換算値が多いので、スラグの厚さが厚くなり、メタルが垂れて平滑なビード形状が得られずビード外観も不良であった。また、フラックス中のMgが多いので、アーク状態があらくスパッタ発生量も多かった。
1 鋼板
2 裏当材
3 溶接ビード
G ルート間隔
θ 開先角度

Claims (5)

  1. 鋼製外皮にフラックスを充填してなる横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
    鋼製外皮中のCが鋼製外皮全質量に対する質量%で0.02%以下含有し、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
    C:0.03〜0.10%、
    Si:0.3〜0.9%、
    Mn:1.0〜3.5%含有し、
    さらに、フラックスに、
    Zr酸化物のZrO換算値:1.0〜2.0%、
    Si酸化物のSiO換算値:0.5〜2.0%、
    Al酸化物のAl換算値:0.01〜0.10%、
    Fe酸化物のFeO換算値:0.1〜0.5%、
    Na化合物およびK化合物のNaO換算値とKO換算値の合計:0.05〜0.15%、
    弗素化合物のF換算値:0.01〜0.10%を含有し、
    残部はFeおよび不可避不純物であることを特徴とする横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスにTiおよびTi酸化物のTiO換算値:0.1%以下を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、Al:0.03〜0.2%を更に含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、Mg:0.03〜0.2%を更に含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  5. ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、BiおよびBi酸化物の一方または両方のBi換算値:0.005〜0.030%を更に含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の横向ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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