近年、クリーンで効率的なエネルギー源として燃料電池が期待されている。固体高分子型の燃料電池は、固体高分子からなる電解質膜の両主面に電極が配置されて発電反応を起こす電解質膜−電極接合体をセパレータで挟んだものを、一つの単セルモジュールとして必要な個数のモジュールを積み上げ構成されている。
電解質膜は、通常、樹脂製の枠に固定されている。この枠により、セパレータで挟み組み立てる際のハンドリング性向上や、非発電部の電解質材料の使用量を削減することができる。
燃料電池を動作させるためには、電解質膜の両面に形成した電極の一方に燃料ガス(水素ガス)を供給し、他方に酸化剤ガス(酸素を含んだ空気)を供給しなければならず、一方のガスが他方に流入すると、正常な電気化学反応が行われず、充分な発電特性を得ることができない。そのため、電解質膜の枠との固定部において、ガスシール性を有していなければならない。
従来の電解質膜の枠への固定方法としては、超音波を用いて樹脂製の枠に電解質膜を溶着しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、特許文献1に開示された従来の燃料電池の電解質膜−電極接合体について、説明する。
図5は、特許文献1に開示された従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体をセパレータで挟み込んだ、単セルモジュールの断面図である。図6は、同従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体の平面図である。
図5に示すように、従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体11は、両主面の略中央部に矩形の触媒層3が配置された矩形の電解質膜2の周縁部を、第1の枠51と第2の枠52とで挟み込んだものである。
第1の枠51は、内径が触媒層3の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極−枠接合体11の外径よりも大きい額縁形状の樹脂製であり、第2の枠52は、内径が触媒層3の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極−枠接合体11の外径よりも大きく且つ第1の枠51の外径よりも小さい額縁形状の樹脂製である。
また、第1の枠51における第2の枠52とで電解質膜2を挟む面は、第1の枠51における第2の枠52よりも外周側に位置する部分よりも厚みが、第2の枠52の厚みと電解質膜2の厚みとの合計の厚みだけ薄くなっている。
そして、電解質膜2を介して、第1の枠51と第2の枠52とを、第2の枠52側からの超音波溶着法による溶着部8で接合した後に、第1の枠51と第2の枠52との境界部及び溶着部8を、第2の枠52の外側から、第3の枠53で覆っている。
なお、電解質膜2を介して、第1の枠51と第2の枠52とを、第2の枠52側からの超音波溶着法による溶着部8で接合した時に、第1の枠51における第3の枠53で覆われる面と、第2の枠52における第3の枠53で覆われる面とが、略同一面上に位置するように、第1の枠51と第2の枠52とを構成している。
電解質膜−電極−枠接合体11の両面には、燃料ガス及び酸化剤ガスを触媒層3に均一に行き渡らせるための第1の枠51と第2の枠52の開口部(の内径)よりも大きい矩形のガス拡散層4が、第1の枠51と第2の枠52の開口部から露出する触媒層3を外側から覆い隠すように配置されている。
そして、電解質膜−電極−枠接合体11と対向する面に、燃料ガスまたは酸化剤ガスが流れガス拡散層4と対向する溝状のガス流路61と、ガス拡散層4を囲み第1の枠51または第2の枠52と当接する環状のシール部材7とを有する一対のセパレータ6で、電解質膜−電極−枠接合体11を挟み込むことで、単セルモジュール1を構成している。
ガス拡散層4の周縁部は、第1の枠51及び第2の枠52の開口部に乗り上げ、セパレータ6と電解質膜−電極−枠接合体11との空間を埋めている。
第1の枠51及び第2の枠52とセパレータ6との間に空間(隙間)がある場合には、燃料ガス及び酸化剤ガスが、ガス流路61を通過せずに、第1の枠51及び第2の枠52とセパレータ6との間の空間を通過してしまい、触媒層3を有して発電に寄与する発電領域12に燃料ガス及び酸化剤ガスが行き渡らず、充分な発電性能を得ることができない。
第1の枠51及び第2の枠52とセパレータ6との間に、隙間ができないようにガス拡散層4を充填することで、燃料ガス及び酸化剤ガスが、ガス流路61を通過することになり、所定の発電性能を得ることができる。
また、ガス拡散層4における、第1の枠51及び第2の枠52とセパレータ6との間に位置する領域の厚みを、第1の枠51及び第2の枠52とセパレータ6の間隔より厚くしておくことで、電解質膜−電極−枠接合体11をセパレータ6で挟持する際に、ガス拡散層4が圧縮されて、第1の枠51及び第2の枠52を電解質膜2に密着させることができる。
また、第1の枠51及び第2の枠52を電解質膜2に密着させることで、電解質膜2と第1の枠51及び電解質膜2と第2の枠52の間に、燃料ガス及び酸化剤ガスが侵入する可能性を低減でき、ガスバリア性を向上できると共に、電解質膜2が燃料ガス及び酸化剤ガスにより劣化することが抑制でき、燃料電池の性能を長期に確保することができる。
触媒層3は、電解質膜2の両主面に周縁部を除き均一に形成されている。触媒層3の周縁部には、第1の枠51及び第2の枠52の開口部の縁が覆い被さっている。こうすることで、電解質膜2の触媒層3が形成されていない領域に、酸化剤ガスが暴露することを低減することができ、酸化剤ガスによる電解質膜2の劣化を抑制することが可能となる。
単セルモジュール1を形成した際に、セパレータ6に設けられたシール部材7は、電解質膜−電極−枠接合体11に形成された溶着部8よりも発電領域側(内周側)に配置され且つ触媒層3の領域よりも外周側に配置されている。
単セルモジュール1とした際に、セパレータ6に設けられたシール部材7は、第1の枠51及び第2の枠52と当接し、圧縮される。圧縮によりシール部材7の反力が発生し、
シール部材7と第1の枠51及び第2の枠52、第1の枠51及び第2の枠52と電解質膜2の間の密着度が向上し、ガスバリア性を確保することができる。
触媒層3は、燃料ガス及び酸化剤ガスが拡散し、発電反応を起こすために、多孔質構造となっている。そのため、第1の枠51及び第2の枠52におけるシール部材7と当接する部分であるシール部材当接触部71と、触媒層3とが重なった場合に、シール部材7の反力だけでは触媒層3の多孔質部を遮蔽することができず、ガスリークの原因となる。
第1の枠51と当接するシール部材7及び第2の枠52と当接するシール部材7は、電解質膜−電極−枠接合体11を挟んで、向かい合う位置に配置し、両極に設けられたシール部材7は共に、触媒層3と重ならない配置になっているが、少なくとも一方のシール部材7が触媒層3にかかっていなければ、触媒層3にかからないシール部材7側で充分なガスバリア性を確保できる。
両側のシール部材7を互いに向かい合う位置に配置した場合は、電解質膜−電極−枠接合体11にかかるシール部材7の反力が対向し、電解質膜−電極−枠接合体11に応力を与えることがなく、両極においてシール部材7が触媒層3にかからなければ、よりガスバリア性を確保できてよい。
溶着部8よりも発電領域12側(電解質膜−電極−枠接合体11の内周側)にシール部材7と当接するシール部材当接触部71を配置することで、溶着部8を形成する際の、超音波溶着時の熱及び振動による電解質膜2の変形部が燃料ガス、酸化剤ガスや水分に晒されることを抑制することができ、ガスリーク低減することができ、燃料電池の発電性能を維持することができる。
また、水分を吸収することによる膨潤収縮を低減することができ、機械的応力の集中を防ぎ、電解質膜構造が壊れることを抑止することができ、燃料電池性能を長期に維持することができる。
図6に示すように、電解質膜−電極−枠接合体11は、矩形の電解質膜2の四辺を囲うように、第1の枠51、第2の枠52、第3の枠53を備えており、電解質膜2の電解質膜端部21の近傍に、所定の溶着部間隔82で溶着部8が設けられている。
第1の枠51には、中心部に発電領域12となる開口が設けられている。第1の枠51と第2の枠52に設けた開口は同じ大きさであるので、発電領域12に用いることのできる領域が大きくなり、電解質膜2の利用率がよい。
電解質膜2は、発電領域12よりも大きく、且つ第1の枠51と第2の枠52で挟持した際に、第1の枠51及び第2の枠52の外周側にはみ出さない大きさである。
第1の枠51ないし第3の枠53は、燃料電池の発電反応に必要な燃料ガスもしくは酸化剤ガスを供給する貫通孔であるマニホールド9を具備している。
シール部材当接触部71が、発電領域12の全領域及びマニホールド9を囲うように、セパレータ6における電解質膜−電極−枠接合体11と対向する面にシール部材7を配置している。
電解質膜−電極−枠接合体11は、電解質膜2を介しての第1の枠51と第2の枠52の溶着部8の形成を超音波溶着により行っている。第2の枠52にも、中心部に発電領域12となる開口が設けられている。
超音波溶着を用いた電解質膜2を介しての第1の枠51と第2の枠52の溶着部8の形成において、第1の枠51の材料と第2の枠52の材料と電解質膜2の材料とが混在する溶着部8を形成することができる。
第1の枠51の材料と第2の枠52の材料と電解質膜2の材料とが混在する溶着部8を形成することで、第1の枠51および第2の枠52と電解質膜2の固定性をより向上することができ、乾湿寸法変化による電解質膜2への応力の集中を避けることができ、電解質膜2の長期耐久性を向上することができる。
第3の枠53は、第1の枠51と第2の枠52の境界及び溶着部8の加工痕を覆っている。
図7は、従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体11の組立工程を示す説明図である。
まず、第1の枠51と第2の枠52を射出成形により作製し、触媒層3を両主面の略中央部に塗布により形成した電解質膜2を、第1の枠51の開口部の上に載置した後に、第2の枠52を電解質膜2の周縁部の上に配置する。
次に、第2の枠52の外側から超音波ホーン81を所定の位置に当接させ、溶着部8を形成する。次に、第1の枠51及び第2の枠52と一体化した電解質膜2を、射出成型機の金型に配置し、第3の枠53を射出成型により形成する。
溶着部8は、超音波接合を用いてスポット状に形成される。スポット状の溶着部8とした場合は、電解質膜−電極−枠接合体11の組立時間が短くなり、生産性を向上することができる。
第2の枠52に当接させる超音波加工工具は、先端がφ0.5mmのものを用いた。第1の枠51及び第2の枠52を超音波接合する際の、接合加工条件としては、精電舎工業社製の超音波接合機(ΣG620S)で、28.5kHzの振動数で、振幅は40μm、加圧力30Nで、0.25秒の加工時間である。
溶着部8とシール部材7の間隔は約2mmとした。溶着部8とシール部材7の間隔をより狭小にすることで、発電に寄与しない領域の電解質膜量を削減できるが、超音波接合時の熱や振動により、加工部の周囲の電解質膜2を変形させるため、電解質膜2の変形した領域がシール部材7より発電面に対して内側に来ないように配置する。
第3の枠53は、第1の枠51と第2の枠52の境界面を覆うと共に溶着部8の加工痕を覆うように形成している。このように形成した場合は、電解質膜−電極−枠接合体11の剛性がより向上し、ハンドリング性などが良くなる。
図8は、従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体11の組立工程での電解質膜2の加熱乾燥による収縮の影響を説明するための説明図である。
図8の(a)は、従来の燃料電池の電解質膜−電極−枠接合体11の加熱乾燥前の平面図であり、図8の(b)は、電解質膜2の両主面に触媒層3を塗布形成した電解質膜−電極接合体13の中央部を、第1の枠51および第2の枠52の開口部の内径よりも小さい外径を有する吸着治具10に、吸着により固定させて、電解質膜−電極接合体13の周縁部を第1の枠51および第2の枠52とで挟む狭持工程が済んだ状態の(a)のA−A線
断面と(a)のB−B線断面を示す概略断面図である。
図8の(c)は、狭持工程の後で、電解質膜2を介して、第1の枠51と第2の枠52とを、第2の枠52側からの超音波溶着法による溶着部8で接合して、固定部分が電解質膜−電極接合体13の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体13の外周部(周縁部)を第1の枠51と第2の枠52とに固定する固定工程が済んだ状態の(a)のA−A線断面を示す概略断面図である。
図8の(d)は、固定工程で仮固定した電解質膜−電極−枠接合体11を、吸着治具10から分離した状態の(a)のA−A線断面を示す概略断面図である。
図8の(e)は、溶着工程で仮固定した電解質膜−電極−枠接合体11を、加熱乾燥させる加熱工程が済んだ状態の(a)のA−A線断面を示す概略断面図である。また、図8の(f)は、固定工程で仮固定した電解質膜−電極−枠接合体11を、加熱乾燥させる加熱工程が済んだ状態の(a)のB−B線断面を示す概略断面図である。
第1の発明は、電解質膜と電解質膜を挟んで両主面に配置される電極とを有する電解質膜−電極接合体の外周部を、電解質膜−電極接合体の電極が露出するように、内径が電解質膜−電極接合体の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体の外径よりも大きい額縁形状の第1の枠と第2の枠とで挟持した燃料電池用の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法であって、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とで挟む狭持工程と、狭持工程後に、第1の枠の開口部に露出する電解質膜−電極接合体の電極を電極に略平行な押圧面で第1の枠側から第2の枠側に押す押圧工程と、押圧工程後に、固定部分が電解質膜−電極接合体の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定する固定工程と、固定工程後に、第1の枠と第2の枠と電解質膜−電極接合体の少なくともいずれか一つに熱を加える加熱工程と、を有し、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位しないように、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らないように、押圧工程では、電極と接触した押圧面を電解質膜−電極接合体の厚み方向の第2の枠側に所定距離だけ移動させる、ことを特徴とする、電解質膜−電極−枠接合体の製造方法である。
上記製造方法は、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とで挟む狭持工程の後で、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定する固定工程の前に、第1の枠の開口部に露出する電解質膜−電極接合体の電極を電極に略平行な押圧面で第1の枠側から第2の枠側に押す押圧工程を有し、押圧工程において、電極と接触した押圧面を電解質膜−電極接合体の厚み方向の第2の枠側に所定距離だけ移動させるのであるが、この所定距離は、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位しないように、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らないように設定された距離である。
つまり、電解質膜−電極接合体において、加熱工程によって後に収縮する寸法分だけ予め弛ませた状態で、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定するため、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位せず、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らない電解質膜−電極−枠接合体を得ることができる。
そして、加熱乾燥により収縮する電解質膜−電極接合体によって第1の枠と第2の枠とが開口部の内周側に引っ張られることを抑制できるため、電解質膜−電極−枠接合体が変形するのを抑制でき、金型内で電解質膜−電極−枠接合体がずれ、金型で電解質膜−電極−枠接合体をつぶしてしまうことがなくなり、電解質膜−電極接合体の寿命が低下しない電解質膜−電極−枠接合体の作製が可能となる。
第2の発明は、電解質膜と電解質膜を挟んで両主面に配置される電極とを有する電解質膜−電極接合体の外周部を、電解質膜−電極接合体の電極が露出するように、内径が電解質膜−電極接合体の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体の外径よりも大きい額縁形状の第1の枠と第2の枠とで挟持した燃料電池用の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法であって、電解質膜−電極接合体の電極を平坦な吸着面で吸着する吸着治具が第1の枠の開口部内に収まり第1の枠の上面が吸着面よりも低い位置で吸着面と略平行になるように第1の枠を吸着治具の周囲に配置する配置工程と、配置工程後に、吸着治具の吸着面と第1の枠の上面の上に電解質膜−電極接合体を載置する載置工程と、吸着治具の吸着面で電解質膜−電極接合体の電極を吸着する吸着工程と、吸着工程中に、電解質膜−電極接合体の外周部が第1の枠と第2の枠とで挟まれるように電解質膜−電極接合体の外周部に第2の枠を積層する積層工程と、積層工程後に、固定部分が電解質膜−電極接合体の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定する固定工程と、固定工程後に、第1の枠と第2の枠と電解質膜−電極接合体の少なくともいずれか一つに熱を加える加熱工程と、を有し、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位しないように、且つ、加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らないように、吸着面の高さを、配置工程で配置後の第1の枠の上面よりも所定高さだけ高くなるようにした、ことを特徴とする、電解質膜−電極−枠接合体の製造方法である。
上記製造方法は、吸着治具が第1の枠の開口部内に収まり第1の枠の上面が吸着面よりも低い位置で吸着治具の吸着面と略平行になるように第1の枠を吸着治具の周囲に配置してから、吸着治具の吸着面と第1の枠の上面の上に電解質膜−電極接合体を載置し、電解質膜−電極接合体の外周部が第1の枠と第2の枠とで挟まれるように電解質膜−電極接合体の外周部に第2の枠を積層して、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定するのであるが、第1の枠の上面を基準とする吸着面の高さは、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位しないように、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らないように設定された高さである。
つまり、電解質膜−電極接合体において、加熱工程によって後に収縮する寸法分だけ予め弛ませた状態で、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定するため、加熱工程で、第1の枠と第2の枠とで挟まれ第1の枠と第2の枠とに固定されていない部分が、電解質膜−電極接合体の中央側に変位せず、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体に弛みが残らない電解質膜−電極−枠接合体を得ることができる。
そして、加熱乾燥により収縮する電解質膜−電極接合体によって第1の枠と第2の枠とが開口部の内周側に引っ張られることを抑制できるため、電解質膜−電極−枠接合体が変形するのを抑制でき、金型内で電解質膜−電極−枠接合体がずれ、金型で電解質膜−電極−枠接合体をつぶしてしまうことがなくなり、電解質膜−電極接合体の寿命が低下しない電解質膜−電極−枠接合体の作製が可能となる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、第1の枠と第2の枠の材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とするものであり、第1の枠と第2の枠の溶着、例えば、超音波溶着により、電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定すること
ができる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、固定工程では、第1の枠または第2の枠の外側から超音波ホーンを押し当てて電解質膜−電極接合体の外周部を第1の枠と第2の枠とに固定することを特徴とするものであり、超音波ホーンによる溶融接合界面のみが加熱され溶融溶着ができ、周囲への熱影響を最小限に抑えることができ、電解質膜−電極−枠接合体の信頼性(耐久性)を向上させることができる。
以下、本発明の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法の実施の形態1を、従来例と異なる部分について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態において、従来例と同一構成については同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態1の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法で電解質膜−電極−枠接合体の変形を抑制できることを説明するための説明図である。
本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法で製造される電解質膜−電極−枠接合体14は、矩形の電解質膜−電極接合体13の周縁部を、額縁形状に成形された熱可塑性樹脂製の第1の枠54と第2の枠55とで挟んで、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てる超音波溶着法による溶着部8で電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定したものである。
電解質膜−電極接合体13は、矩形の固体高分子からなる電解質膜2の両主面の略中央部に電解質膜2より小さい矩形の触媒層3が配置されたものである。
第1の枠54と第2の枠55は、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の大部分が露出するように、開口部の内径が電解質膜−電極接合体13の触媒層3の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも大きい額縁形状である。
図1の(a)は、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の平面図である。図1の(b)は、電解質膜−電極接合体13の触媒層3を平坦な吸着面(押圧面)で吸着する吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まり第1の枠54の上面が吸着面(押圧面)と略同一平面上に位置するように第1の枠54を吸着治具10の周囲に配置して、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置しようとしている状態の(a)のC−C線断面と(a)のD−D線断面を示す概略断面図である。
図1の(c)は、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13が載置され、吸着治具10の吸着面(押圧面)が電解質膜−電極接合体13を吸着している状態の(a)のC−C線断面と(a)のD−D線断面を示す概略断面図である。
図1の(d)は、電解質膜−電極接合体13の周縁部が熱可塑性樹脂製の第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を載置(積層)した状態の(a)のC−C線断面と(a)のD−D線断面を示す概略断面図である。
図1の(e)は、第1の枠54の開口部に露出する電解質膜−電極接合体13の触媒層3を、触媒層3に略平行な吸着治具10の吸着面(押圧面)で、第1の枠54側から第2の枠55側に押して、電解質膜−電極接合体13の触媒層3と接触した吸着治具10の吸着面(押圧面)を、電解質膜−電極接合体13の厚み方向の第2の枠55側に所定距離だけ移動させた状態の(a)のC−C線断面と(a)のD−D線断面を示す概略断面図である。
図1の(f)は、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てる超音波溶着法による溶着部8で電解質膜−電極接合体13の外周部の複数箇所を第1の枠54と第2の枠55とに固定して電解質膜−電極−枠接合体14とした後に、吸着治具10を下降させている状態の(a)のC−C線断面を示す概略断面図である。
図1の(g)は、吸着治具10の吸着面(押圧面)が電解質膜−電極接合体13の触媒層3から離れたことにより、電解質膜−電極接合体13における第1の枠54と第2の枠55とで挟まれていない部分(第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出した部分)が弛んだ状態の(a)のC−C線断面を示す概略断面図である。
図1の(h)は、加熱乾燥により電解質膜−電極接合体13が収縮した状態の(a)のC−C線断面を示す概略断面図である。図1の(i)は、加熱乾燥により電解質膜−電極接合体13が収縮した状態の(a)のD−D線断面を示す概略断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法を示すフローチャートである。
以下、図1と図2を参照しながら、実施の形態1の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法を詳細に説明する。
STEP1では、図1の(b)に示すように、第1の枠54を、吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まる(第1の枠54が吸着治具10の周囲を囲む)ように、且つ、第1の枠54の上面が、吸着治具10の上面を構成する吸着面(押圧面)と略同一平面上に位置するように、配置(セット)する。
また、電解質膜2は、電解質膜2の両主面に触媒層3が塗布により形成されて、所定の大きさ、寸法の矩形に切断されて、電解質膜−電極接合体13となって、吸着治具10の上方に搬送される。
STEP2では、図1の(c)に示すように、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置する。
このとき、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の周縁が第1の枠54の開口部の縁よりも内周側に入らないように位置合わせすると共に、吸着治具10の吸着面(押圧面)と電解質膜−電極接合体13との間に空気溜まりができないように、また、電解質膜−電極接合体13に皺ができないようにする。
なお、このとき、吸着治具10の吸着面(押圧面)と電解質膜−電極接合体13との間に空気溜まりができないように、吸着治具10は、電解質膜−電極接合体13が吸着面に接触する前に、吸着面に開口した多数の孔から吸着面側の空気を吸引する吸引動作を開始しても構わない。
STEP3で、吸着面に開口した多数の孔から吸着面側の空気を吸引する吸引動作を行
って、吸着治具10の吸着面(押圧面)で電解質膜−電極接合体13の電極部(第1の枠54の開口部に露出する触媒層3)を吸着により固定してから、STEP4で、図1の(d)に示すように、電解質膜−電極接合体13の周縁部が第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を正しい位置に載置(積層)する。
正しい位置に第2の枠55が載置(積層)されたときは、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の周縁が第2の枠55の開口部の縁よりも内周側に入らない。
また、電解質膜−電極接合体13を吸着治具10に吸着固定した状態で、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を載置(積層)するので、第2の枠55を載置(積層)する作業で、電解質膜−電極接合体13の位置がずれたり、電解質膜−電極接合体13がめくれたりする現象の発生を抑制することができる。
そして、第2の枠55を正しい位置に載置(積層)した後で、電解質膜−電極接合体13の周縁部が、所定の力で、第1の枠54と第2の枠55とによって挟持されるように、第1の枠54と第2の枠55とをクランプする。
次に、STEP5で、図1の(e)に示すように、第1の枠54の開口部に露出する電解質膜−電極接合体13の電極(第1の枠54の開口部に露出する触媒層3)を電極(触媒層3)に略平行な吸着治具10の吸着面(押圧面)で第1の枠54側から第2の枠55側に押す(吸着治具10を第1の枠54側から第2の枠55側に向かう方向に所定距離だけ移動させる)。
このとき、吸着治具10の移動(吸着治具10の吸着面(押圧面)の電解質膜−電極接合体13に対する押圧)により、電解質膜−電極接合体13の周縁は黒矢印に示す距離だけ第1の枠54の開口部の内周側に移動する。
次に、STEP6で、第2の枠55の外側から超音波ホーン81を所定の位置に当接させ、電解質膜2を介して、第1の枠54と第2の枠55とを、第2の枠55側からの超音波溶着法による溶着部8で接合して、固定部分が電解質膜−電極接合体13の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体13の外周部(周縁部)を第1の枠54と第2の枠55とに固定する。
次に、STEP7で、図1の(f)に示すように、吸着治具10の吸着面(押圧面)での電解質膜−電極接合体13の電極部(第1の枠54の開口部に露出する触媒層3)の吸着を解除し、吸着治具10を元の位置に戻す。
次に、STEP8で、クランプを解除し、次のSTEP9で、電解質膜−電極−枠接合体14を吸着治具10から取り出す。
このときの電解質膜−電極−枠接合体14は、図1の(g)に示すように、第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出する部分の電解質膜−電極接合体13に弛みがあるが、加熱、乾燥による収縮で、図1の(h)及び(i)に示すように、第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出する部分の電解質膜−電極接合体13の弛みは無くなる。
また、加熱、乾燥後においても、図1の(i)に示すように、電解質膜−電極接合体13の外周部における第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分が電解質膜−電極接合体13の中央側に変位していない。
なお、STEP5で、吸着治具10を第1の枠54側から第2の枠55側に向かう方向に所定距離だけ移動させるときの所定距離は、加熱乾燥工程で第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ加熱乾燥工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように設定してある。
この所定距離は、試行錯誤を重ねて導き出すことができるが、電解質膜−電極接合体13(の電解質膜2)の膨潤率と寸法などを基に算出しても構わない。
本実施の形態では、電解質膜−電極接合体13(の電解質膜2)を、第1の枠54と第2の枠55とに固定する溶着部8の形成を超音波溶着により行っている。
第1の枠54と第2の枠55と電解質膜2のそれぞれの材料が混在する溶着部8を形成することで、第1の枠54および第2の枠55と電解質膜2の固定性をより向上することができ、乾湿寸法変化による電解質膜2への応力の集中を避けることができ、電解質膜2の長期耐久性を向上することができる。
第1の枠54と第2の枠55とは、従来例の第1の枠51と第2の枠52と同様の形状にして、第1の枠54と第2の枠55との境界部及び溶着部8を、第2の枠55の外側から、従来例の第3の枠53と同様の形状の第3の枠で覆っても構わない。
この場合は、第3の枠を、第1の枠54及び第2の枠55と同一の樹脂材料で形成し、第1の枠54及び第2の枠55に、直接、第3の枠を射出成形すると、接合力が高まり、電解質膜−電極−枠接合体14の一体性が向上し、ハンドリング性がよくなる。
溶着部8の形成においては、レーザを用いた溶融接合法を用いてもよい。レーザを用いた場合は、非接触で溶着部8を形成することが可能となり、第1の枠54と第2の枠55と電解質膜2のそれぞれの材料が混在する溶着部8に、電解質膜2の劣化の原因となるコンタミが混入することを防止でき、長期に性能を保証することが可能となる。
この場合のレーザ光は、少なくとも電解質膜2に吸収される波長のものを選択することが望ましく、第1の枠54または第2の枠55を透過し、電解質膜2に吸収される波長のレーザ光を用いることがより望ましい。これにより、第1の枠54または第2の枠55を透過したレーザ光が電解質膜2で吸収され、レーザ光照射部が高温となり、その熱によりレーザ光が照射された電解質膜2部を挟持する第1の枠54及び第2の枠55枠を溶融させ、溶融接合が可能となる。
本実施の形態では、縦方向と横方向で等方的な特性を持つ電解質膜2を用いたため、発電領域全周において溶着部8の間隔を等間隔として、電解質膜2の乾燥収縮もしくは湿潤膨張の寸法変化による溶着部8への応力の集中を均等にしたが、縦方向と横方向で異方性を持つ電解質膜2を用いる場合は、縦方向と横方向のそれぞれの電解質膜2の特性に合せた間隔に調整すれば良い。
本実施の形態では、シール部材7と電解質膜2の端部をできる限り近づけることで、発電に寄与しない電解質膜2の量を削減している。シール部材7と電解質膜2の端部の間隔は、乾燥により収縮した電解質膜2がシール部材7より内側に到達しなければ良い。
溶着部8の間隔が広い場合は、溶融接合されていない箇所の電解質膜2の変位は大きくなるため、シール部材7と電解質膜2の端部の間隔を大きくすれば良い。シール部材7と電解質膜2の端部の間隔を大きくした場合は、電解質膜2の端部を迂回して、一方のガス
が他方の電極にリークする際のリーク経路長を長くすることがでるため、ガスリークを低減できてよい。
本実施の形態では、電解質膜2の両主面に触媒層3が塗布により形成された電解質膜−電極接合体13の外周部を、第1の枠54と第2の枠55とで挟持したものを電解質膜−電極−枠接合体14としたが、触媒層3の外側にガス拡散層を積層したものを電解質膜−電極接合体として、その電解質膜−電極接合体の外周部を、第1の枠と第2の枠とで挟持したものを電解質膜−電極−枠接合体としても構わない。
また、本実施の形態では、触媒層3の寸法を、第1の枠54及び第2の枠55の開口部の内径寸法より大きくしたが、触媒層3の全面が第1の枠54及び第2の枠55の開口部に露出するように、触媒層3の寸法を、第1の枠54及び第2の枠55の開口部の内径寸法より小さくしても構わない。
以上、説明したように本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、電解質膜2と電解質膜2を挟んで両主面に配置される電極(触媒層3)とを有する電解質膜−電極接合体13の外周部を、電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)が露出するように、内径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも大きい額縁形状の第1の枠54と第2の枠55とで挟持した燃料電池用の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法である。
そして、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とで挟む狭持工程(図1の(d)、図2のSTEP4)と、狭持工程後に、第1の枠54の開口部に露出する電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)を電極(触媒層3)に略平行な押圧面(吸着治具10の吸着面)で第1の枠54側から第2の枠55側に押す押圧工程(図1の(e)、図2のSTEP5)と、押圧工程後に、固定部分が電解質膜−電極接合体13の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定する固定工程(図1の(f)、図2のSTEP6)と、固定工程後に、第1の枠54と第2の枠55と電解質膜−電極接合体13の少なくともいずれか一つに熱を加える加熱工程(第1の枠54及び第2の枠55に、直接、第3の枠を射出成形する工程または電解質膜−電極接合体13を加熱により乾燥させる工程など)と、を有している。
そして、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ、加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように、押圧工程では、電極(触媒層3)と接触した押圧面(吸着治具10の吸着面)を電解質膜−電極接合体13の厚み方向の第2の枠55側に所定距離だけ移動させることを特徴とする電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法である。
本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とで挟む狭持工程の後で、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定する固定工程の前に、第1の枠54の開口部に露出する電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)を電極(触媒層3)に略平行な押圧面(吸着治具10の吸着面)で第1の枠54側から第2の枠55側に押す押圧工程を有し、押圧工程において、電極(触媒層3)と接触した押圧面(吸着治具10の吸着面)を電解質膜−電極接合体13の厚み方向の第2の枠55側に所定距離だけ移動させるのであるが、この所定距離は、加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の
外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように設定された距離である。
つまり、電解質膜−電極接合体13において、加熱工程によって後に収縮する寸法分だけ予め弛ませた状態で、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定するために、加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位せず、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らない電解質膜−電極−枠接合体14を得ることができる。
そして、加熱乾燥により収縮する電解質膜−電極接合体13によって第1の枠54と第2の枠55とが開口部の内周側に引っ張られることを抑制できるため、電解質膜−電極−枠接合体14が変形するのを抑制でき、金型内で電解質膜−電極−枠接合体14がずれ、金型で電解質膜−電極−枠接合体14をつぶしてしまうことがなくなり、電解質膜−電極接合体13の寿命が低下しない電解質膜−電極−枠接合体14の作製が可能となる。
本実施の形態では、第1の枠54と第2の枠55の材料に熱可塑性樹脂を用いたので、第1の枠54と第2の枠55の溶着、例えば、超音波溶着により、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定することができる。
本実施の形態の固定工程では、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てて電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定するのであるが、超音波ホーンによる溶融接合界面のみが加熱され溶融溶着ができ、周囲への熱影響を最小限に抑えることができ、電解質膜−電極−枠接合体14の信頼性(耐久性)を向上させることができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法の実施の形態2を、従来例と異なる部分について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態において、従来例または実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、従来例と重複する説明は省略する。
図3は、本発明の実施の形態2の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法で電解質膜−電極−枠接合体の変形を抑制できることを説明するための説明図である。
本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法で製造される電解質膜−電極−枠接合体14は、矩形の電解質膜−電極接合体13の周縁部を、額縁形状に成形された熱可塑性樹脂製の第1の枠54と第2の枠55とで挟んで、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てる超音波溶着法による溶着部8で電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定したものである。
電解質膜−電極接合体13は、矩形の固体高分子からなる電解質膜2の両主面の略中央部に電解質膜2より小さい矩形の触媒層3が配置されたものである。
第1の枠54と第2の枠55は、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の大部分が露出するように、開口部の内径が電解質膜−電極接合体13の触媒層3の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも大きい額縁形状である。
図3の(a)は、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の平面図である。図3の(b)は、電解質膜−電極接合体13の触媒層3を平坦な吸着面(押圧面)で吸着する吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まり第1の枠54の上面が吸着面(押圧面)
よりも低い位置で吸着面(押圧面)と略平行になるように第1の枠54を吸着治具10の周囲に配置して、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置しようとしている状態の(a)のE−E線断面と(a)のF−F線断面を示す概略断面図である。
図3の(c)は、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13が載置され、吸着治具10の吸着面(押圧面)が電解質膜−電極接合体13を吸着している状態の(a)のE−E線断面と(a)のF−F線断面を示す概略断面図である。
図3の(d)は、電解質膜−電極接合体13の周縁部が熱可塑性樹脂製の第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を載置(積層)した状態の(a)のE−E線断面と(a)のF−F線断面を示す概略断面図である。
図3の(e)は、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てる超音波溶着法による溶着部8で電解質膜−電極接合体13の外周部の複数箇所を第1の枠54と第2の枠55とに固定して電解質膜−電極−枠接合体14とした後に、電解質膜−電極−枠接合体14を吸着治具10から分離させている状態の(a)のC−C線断面を示す概略断面図である。
図3の(f)は、吸着治具10の吸着面(押圧面)が電解質膜−電極接合体13の触媒層3から離れたことにより、電解質膜−電極接合体13における第1の枠54と第2の枠55とで挟まれていない部分(第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出した部分)が弛んだ状態の(a)のE−E線断面を示す概略断面図である。
図3の(g)は、加熱乾燥により電解質膜−電極接合体13が収縮した状態の(a)のE−E線断面を示す概略断面図である。図3の(h)は、加熱乾燥により電解質膜−電極接合体13が収縮した状態の(a)のF−F線断面を示す概略断面図である。
図4は、本発明の実施の形態2の電解質膜−電極−枠接合体の製造方法を示すフローチャートである。
以下、図3と図4を参照しながら、実施の形態2の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法を詳細に説明する。
STEP1では、図3の(b)に示すように、第1の枠54を、吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まる(第1の枠54が吸着治具10の周囲を囲む)ように、且つ、第1の枠54の上面が、吸着治具10の上面を構成する吸着面(押圧面)よりも低い位置で吸着面(押圧面)と略平行になるように、配置(セット)する。
また、電解質膜2は、電解質膜2の両主面に触媒層3が塗布により形成されて、所定の大きさ、寸法の矩形に切断されて、電解質膜−電極接合体13となって、吸着治具10の上方に搬送される。
STEP2では、図3の(c)に示すように、吸着治具10の吸着面(押圧面)と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置する。
このとき、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の周縁が第1の枠54の開口部の縁よりも内周側に入らないように位置合わせすると共に、吸着治具10の吸着面(押圧面)と
電解質膜−電極接合体13との間に空気溜まりができないように、また、できるだけ電解質膜−電極接合体13に皺ができないようにする。
なお、このとき、吸着治具10の吸着面(押圧面)と電解質膜−電極接合体13との間に空気溜まりができないように、吸着治具10は、電解質膜−電極接合体13が吸着面に接触する前に、吸着面に開口した多数の孔から吸着面側の空気を吸引する吸引動作を開始しても構わない。
STEP3で、吸着面に開口した多数の孔から吸着面側の空気を吸引する吸引動作を行って、吸着治具10の吸着面(押圧面)で電解質膜−電極接合体13の電極部(第1の枠54の開口部に露出する触媒層3)を吸着により固定してから、STEP4で、図3の(d)に示すように、電解質膜−電極接合体13の周縁部が第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を正しい位置に載置(積層)する。
正しい位置に第2の枠55が載置(積層)されたときは、電解質膜−電極接合体13の触媒層3の周縁が第2の枠55の開口部の縁よりも内周側に入らない。
また、電解質膜−電極接合体13を吸着治具10に吸着固定した状態で、電解質膜−電極接合体13の周縁部の上に第2の枠55を載置(積層)するので、第2の枠55を載置(積層)する作業で、電解質膜−電極接合体13の位置がずれたり、電解質膜−電極接合体13がめくれたりする現象の発生を抑制することができる。
そして、第2の枠55を正しい位置に載置(積層)した後で、電解質膜−電極接合体13の周縁部が、所定の力で、第1の枠54と第2の枠55とによって挟持されるように、第1の枠54と第2の枠55とをクランプする。
次に、STEP6で、第2の枠55の外側から超音波ホーン81を所定の位置に当接させ、電解質膜2を介して、第1の枠54と第2の枠55とを、第2の枠55側からの超音波溶着法による溶着部8で接合して、固定部分が電解質膜−電極接合体13の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体13の外周部(周縁部)を第1の枠54と第2の枠55とに固定する。
次に、STEP7で、図3の(e)に示すように、吸着治具10の吸着面(押圧面)での電解質膜−電極接合体13の電極部(第1の枠54の開口部に露出する触媒層3)の吸着を解除し、STEP8で、クランプを解除し、次のSTEP9で、電解質膜−電極−枠接合体14を吸着治具10から取り出す。
このときの電解質膜−電極−枠接合体14は、図3の(f)に示すように、第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出する部分の電解質膜−電極接合体13に弛みがあるが、加熱、乾燥による収縮で、図3の(g)及び(h)に示すように、第1の枠54と第2の枠55の開口部に露出する部分の電解質膜−電極接合体13の弛みは無くなる。
また、加熱、乾燥後においても、図3の(h)に示すように、電解質膜−電極接合体13の外周部における第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分が電解質膜−電極接合体13の中央側に変位していない。
なお、STEP1で、第1の枠54を、吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まる(第1の枠54が吸着治具10の周囲を囲む)ように、且つ、第1の枠54の上面が、吸着治具10の上面を構成する吸着面(押圧面)よりも低い位置で吸着面(押圧面)と略
平行になるように、配置(セット)するときの第1の枠54の上面と吸着治具10の吸着面(押圧面)との高低差は、加熱乾燥工程で第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ加熱乾燥工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように設定してある。
この高低差(第1の枠54の上面を基準とした、吸着治具10の吸着面(押圧面)の高さ)は、試行錯誤を重ねて導き出すことができるが、電解質膜−電極接合体13(の電解質膜2)の膨潤率と寸法などを基に算出しても構わない。
本実施の形態では、電解質膜−電極接合体13(の電解質膜2)を、第1の枠54と第2の枠55とに固定する溶着部8の形成を超音波溶着により行っている。
第1の枠54と第2の枠55と電解質膜2のそれぞれの材料が混在する溶着部8を形成することで、第1の枠54および第2の枠55と電解質膜2の固定性をより向上することができ、乾湿寸法変化による電解質膜2への応力の集中を避けることができ、電解質膜2の長期耐久性を向上することができる。
第1の枠54と第2の枠55とは、従来例の第1の枠51と第2の枠52と同様の形状にして、第1の枠54と第2の枠55との境界部及び溶着部8を、第2の枠55の外側から、従来例の第3の枠53と同様の形状の第3の枠で覆っても構わない。
この場合は、第3の枠を、第1の枠54及び第2の枠55と同一の樹脂材料で形成し、第1の枠54及び第2の枠55に、直接、第3の枠を射出成形すると、接合力が高まり、電解質膜−電極−枠接合体14の一体性が向上し、ハンドリング性がよくなる。
溶着部8の形成においては、レーザを用いた溶融接合法を用いてもよい。レーザを用いた場合は、非接触で溶着部8を形成することが可能となり、第1の枠54と第2の枠55と電解質膜2のそれぞれの材料が混在する溶着部8に、電解質膜2の劣化の原因となるコンタミが混入することを防止でき、長期に性能を保証することが可能となる。
この場合のレーザ光は、少なくとも電解質膜2に吸収される波長のものを選択することが望ましく、第1の枠54または第2の枠55を透過し、電解質膜2に吸収される波長のレーザ光を用いることがより望ましい。これにより、第1の枠54または第2の枠55を透過したレーザ光が電解質膜2で吸収され、レーザ光照射部が高温となり、その熱によりレーザ光が照射された電解質膜2部を挟持する第1の枠54及び第2の枠55枠を溶融させ、溶融接合が可能となる。
本実施の形態では、縦方向と横方向で等方的な特性を持つ電解質膜2を用いたため、発電領域全周において溶着部8の間隔を等間隔として、電解質膜2の乾燥収縮もしくは湿潤膨張の寸法変化による溶着部8への応力の集中を均等にしたが、縦方向と横方向で異方性を持つ電解質膜2を用いる場合は、縦方向と横方向のそれぞれの電解質膜2の特性に合せた間隔に調整すれば良い。
本実施の形態では、シール部材7と電解質膜2の端部をできる限り近づけることで、発電に寄与しない電解質膜2の量を削減している。シール部材7と電解質膜2の端部の間隔は、乾燥により収縮した電解質膜2がシール部材7より内側に到達しなければ良い。
溶着部8の間隔が広い場合は、溶融接合されていない箇所の電解質膜2の変位は大きくなるため、シール部材7と電解質膜2の端部の間隔を大きくすれば良い。シール部材7と
電解質膜2の端部の間隔を大きくした場合は、電解質膜2の端部を迂回して、一方のガスが他方の電極にリークする際のリーク経路長を長くすることがでるため、ガスリークを低減できてよい。
本実施の形態では、電解質膜2の両主面に触媒層3が塗布により形成された電解質膜−電極接合体13の外周部を、第1の枠54と第2の枠55とで挟持したものを電解質膜−電極−枠接合体14としたが、触媒層3の外側にガス拡散層を積層したものを電解質膜−電極接合体として、その電解質膜−電極接合体の外周部を、第1の枠と第2の枠とで挟持したものを電解質膜−電極−枠接合体としても構わない。
また、本実施の形態では、触媒層3の寸法を、第1の枠54及び第2の枠55の開口部の内径寸法より大きくしたが、触媒層3の全面が第1の枠54及び第2の枠55の開口部に露出するように、触媒層3の寸法を、第1の枠54及び第2の枠55の開口部の内径寸法より小さくしても構わない。
以上、説明したように本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、電解質膜2と電解質膜2を挟んで両主面に配置される電極(触媒層3)とを有する電解質膜−電極接合体13の外周部を、電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)が露出するように、内径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも小さくて外径が電解質膜−電極接合体13の外径よりも大きい額縁形状の第1の枠54と第2の枠55とで挟持した燃料電池用の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法である。
そして、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)を平坦な吸着面で吸着する吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まり第1の枠54の上面が吸着面よりも低い位置で吸着面と略平行になるように第1の枠54を吸着治具10の周囲に配置する配置工程(図3の(b)、図4のSTEP1)と、配置工程後に、吸着治具10の吸着面と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置する載置工程(図3の(c)、図4のSTEP2)と、吸着治具10の吸着面で電解質膜−電極接合体13の電極(触媒層3)を吸着する吸着工程(図3の(c)、図4のSTEP3)と、吸着工程中に、電解質膜−電極接合体13の外周部が第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように電解質膜−電極接合体13の外周部に第2の枠55を積層する積層工程(図3の(d)、図4のSTEP4)と、積層工程後に、固定部分が電解質膜−電極接合体13の周方向に点在するように電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定する固定工程(図3の(e)、図4のSTEP6)と、固定工程後に、第1の枠54と第2の枠55と電解質膜−電極接合体13の少なくともいずれか一つに熱を加える加熱工程(第1の枠54及び第2の枠55に、直接、第3の枠を射出成形する工程または電解質膜−電極接合体13を加熱により乾燥させる工程など)と、を有している。
そして、本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ、加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように、吸着治具10の吸着面の高さを、配置工程で配置後の第1の枠54の上面よりも所定高さだけ高くなるようにしたことを特徴とする電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法である。
本実施の形態の電解質膜−電極−枠接合体14の製造方法は、吸着治具10が第1の枠54の開口部内に収まり第1の枠54の上面が吸着治具10の吸着面よりも低い位置で吸着治具10の吸着面と略平行になるように第1の枠54を吸着治具10の周囲に配置して
から、吸着治具10の吸着面と第1の枠54の上面の上に電解質膜−電極接合体13を載置し、電解質膜−電極接合体13の外周部が第1の枠54と第2の枠55とで挟まれるように電解質膜−電極接合体13の外周部に第2の枠55を積層して、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定するのであるが、第1の枠54の上面を基準とする吸着治具10の吸着面の高さは、後の加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位しないように、且つ、加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らないように設定された高さである。
つまり、電解質膜−電極接合体13において、加熱工程によって後に収縮する寸法分だけ予め弛ませた状態で、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定するため、加熱工程で、第1の枠54と第2の枠55とで挟まれ第1の枠54と第2の枠55とに固定されていない部分(電解質膜−電極接合体13の外周部の一部)が、電解質膜−電極接合体13の中央側に変位せず、且つ加熱工程後に電解質膜−電極接合体13に弛みが残らない電解質膜−電極−枠接合体14を得ることができる。
そして、加熱乾燥により収縮する電解質膜−電極接合体13によって第1の枠54と第2の枠55とが開口部の内周側に引っ張られることを抑制できるため、電解質膜−電極−枠接合体14が変形するのを抑制でき、金型内で電解質膜−電極−枠接合体14がずれ、金型で電解質膜−電極−枠接合体14をつぶしてしまうことがなくなり、電解質膜−電極接合体13の寿命が低下しない電解質膜−電極−枠接合体14の作製が可能となる。
本実施の形態では、第1の枠54と第2の枠55の材料に熱可塑性樹脂を用いたので、第1の枠54と第2の枠55の溶着、例えば、超音波溶着により、電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定することができる。
本実施の形態の固定工程では、第2の枠55の外側から超音波ホーンを押し当てて電解質膜−電極接合体13の外周部を第1の枠54と第2の枠55とに固定するのであるが、超音波ホーンによる溶融接合界面のみが加熱され溶融溶着ができ、周囲への熱影響を最小限に抑えることができ、電解質膜−電極−枠接合体14の信頼性(耐久性)を向上させることができる。