以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本実施の形態に従う二次電池システムの構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、二次電池システム100は、1個または複数個の電池ブロック101と、メインヒューズMFSと、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)110とを含む。電池ブロック101は、並列接続された複数の電池ユニットCUと、各電池ユニットCUに対応して直列に接続されたセルヒューズFSとを有する。各電池ユニットCUは、1個または複数個の単電池セルによって構成される。以下では、二次電池システム100に含まれる電池ユニットCUの集合体を、二次電池102と称する。また、並列接続された電池ユニットCUの個数をN(N:2以上の整数)とする。
セルヒューズFSおよびメインヒューズMFSは、「第1の電流遮断機構」および「第2の電流遮断機構」の一実施例に対応する。公知のように、ヒューズは、大電流通過時にジュール熱によって溶断されることによって電流経路を遮断することができる。本実施の形態では、ECU110等からの制御信号によることなく、過電流等の異常に応じて電流経路を自己遮断する素子であれば、ヒューズに代えて任意の素子を「第1および/または第2の電流遮断機構」として適用することができる。たとえば、第1の電流遮断機構として、電池ユニットCUの内部圧力上昇に応じて電流経路を遮断するように構成されたCID(Circuit Interrupt Device)を用いることができる。
図1の例では、2個の電池ブロック101が直列に接続される構成が例示されるが、電池ブロック101の個数は任意である。ただし、少なくとも1個の電池ブロック101が具備されることによって、二次電池システム100は、並列接続された複数の電池ユニットCUを有する二次電池102、および、複数の電池ユニットCUのそれぞれに対応して配置された第1の電流遮断機構(セルヒューズFS)を有する構成となっている。
電池ブロック101に対応して、電圧センサ105が設けられる。電圧センサ105によって、当該電池ブロック101において並列接続された電池ユニットCUの電池電圧VBを検出することができる。
電池ブロック101は、高電圧側の電力線120および低電圧側の電力線130によって負荷11と接続される。負荷11との間での電力の授受により、二次電池102は充電または放電される。電力線120または130には、二次電池102全体での電池電流IBを検出するための電流センサ106が配置される。以下では、電池電流IBの極性について、二次電池102の放電時にIB>0、充電時にはIB<0であるものとする。
さらに、メインヒューズMFSは、電力線120または130において、負荷11に対して二次電池102と直列に接続される。したがって、二次電池102の外部で短絡が発生すると、過電流によりメインヒューズMFSが遮断状態となることによって、二次電池102の保護を図ることができる。すなわち、各セルヒューズFSの溶断電流がメインヒューズMFSの溶断電流のN倍よりも小さくなるように、メインヒューズMFSおよび各セルヒューズFSは設計される。
電流センサ106によって検出された電池電流IBおよび電圧センサ105によって検出された電池電圧VBは、ECU110へ入力される。電池ブロック101には、1個または複数個の温度センサ(図示せず)が配置されてもよい。温度センサによって検出された電池温度は、ECU110へ入力することができる。
一般に、二次電池の残存容量は、満充電容量に対する現在の充電量の比率を百分率で示したSOC(State of Charge)によって管理される。ECU110は、電池電流IBおよび電池電圧VBを用いて、二次電池102のSOCを算出する。一般的に、二次電池のSOCは開放電圧(OCV)に依存して変化することが知られている。したがって、二次電池システム100の起動時に電池電圧VBから求めたOCVによってSOCの初期値を算出するとともに、二次電池102の充放電時には、電池電流IBに基づくクーロンカウントによってSOCの変化量を算出することができる。この結果、SOCの初期値と、変化量の積算値とによって、現在のSOCを逐次算出することができる。
なお、SOCは、電池ブロック101毎に算出することが可能である。各電池ブロック101での電池電圧は、各電圧センサ105によって検出することができる。また、電池電流IBによる各電池ブロック101でのクーロンカウントによるSOC変化量の算出は、セルヒューズFSの遮断個数を反映して算出される。
すなわち、N個の電池ユニットCUおよびセルヒューズFSが並列接続された電池ブロック101において、n本(0≦n<Nの整数)のセルヒューズFSが遮断状態であれば、電池電流IBが(N−n)個の電池ユニットCUに分流されるため、電池電流IBに対する各電池ユニットCUの充放電電流は、IB/Nに対してIB/(N−n)に増加する。すなわち、n本(n>1)のセルヒューズFSが遮断状態であると、n=0の場合と比較して、充放電電流は、N/(N−n)倍となるので、同一の電池電流IBに対するSOC変化量もN/(N−n)倍に算出される。すなわち、対応のセルヒューズFSが遮断状態となって切り離された電池ユニットCUの満充電容量については、SOC算出の際の分母(満充電容量)から差し引かれる。
ECU110は、セルヒューズFSについて、遮断状態の本数を管理することができる。管理されたセルヒューズFSの遮断状態の本数は、ECU110によって不揮的に記憶される。
たとえば、電流センサ106および各電圧センサ105の検出値から算出される、並列接続された電池ユニットCUの電気抵抗に基づいて、セルヒューズFSの断線(遮断状態への遷移)を検知することができる。たとえば、Nf本(2≦Nf≦N)のセルヒューズFSが導通状態であるところからセルヒューズFSが1本断線した後では、並列接続された電池ユニットCUの電気抵抗値は、n=0(すなわち、N本のセルヒューズFSとも導通状態)のときに対して、N/(Nf−1)倍となる。このような電気抵抗の変化を捉えることにより、セルヒューズFSの断線(遮断状態への遷移)を検知することができる。また、このような現象の発生回数をカウントすることで、セルヒューズFSの遮断状態の本数(断線本数)を管理することができる。
また、上述のように、並列接続された電池ユニットCUによる満充電容量についてもセルヒューズFSの遮断状態の本数に依存して変化する。具体的には、導通状態のセルヒューズFSがNf本である状態からセルヒューズFSが1本断線した後では、満充電容量は、n=0のときに対して、(Nf−1)/N倍となる。したがって、満充電容量の変化を捉えることによって、セルヒューズFSの断線の発生、および、遮断状態の本数の管理が可能である。
ECU110は、さらに、二次電池102のSOCに応じて、過充電および過放電を回避するように、負荷11および二次電池102の間の充放電を制御する。
図2は、図1に示された負荷11の一例を説明するブロック図である。図2には、ハイブリッド車両に本実施の形態に従う二次電池システムが搭載された場合の負荷の構成例が示される。
図2を参照して、二次電池システム100が搭載されたハイブリッド車両10は、エンジン2と、動力分割装置4と、モータジェネレータ6,7と、伝達ギヤ8と、駆動軸12と、車輪14とを備える。さらに、ハイブリッド車両10は、電力変換器18,20と、ECU25と、ブレーキペダルセンサ28と、アクセルペダルセンサ29とをさらに備える。
エンジン2は、燃料の燃焼による熱エネルギをピストンやロータなどの運動子の運動エネルギに変換することによって動力を出力する内燃機関である。モータジェネレータ6,7は、交流回転電機であり、たとえば、3相交流同期電動機によって構成される。
動力分割装置4は、たとえば、サンギヤ、キャリア、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を含む。動力分割装置4は、エンジン2の駆動力をモータジェネレータ6の回転軸に伝達される動力と、伝達ギヤ8に伝達される動力とに分割する。伝達ギヤ8は、車輪14を駆動するための駆動軸12に連結される。また、伝達ギヤ8は、モータジェネレータ7の回転軸にも連結される。
モータジェネレータ7は、主として電動機として動作して、ハイブリッド車両10の駆動軸12を駆動するように用いられる。一方で、ハイブリッド車両10の減速時には、モータジェネレータ7は、発電機として動作して回生発電を行う。
さらに、ハイブリッド車両10には、摩擦制動装置15が配置される。摩擦制動装置15は、円板形状のブレーキディスク16と、ブレーキキャリパ17とを含む。ブレーキディスク16は、駆動軸12に回転軸が一致するように固定される。ブレーキキャリパ17は、図示しないホイールシリンダとブレーキパッドとを含む。図示しないブレーキ液圧回路からの液圧の供給に応じて、ホイールシリンダがブレーキパッドをブレーキディスク16に押し付けることによって、ブレーキディスク16の回転が制限される。ホイールシリンダに供給される液圧はECU25によって制御される。このように、ハイブリッド車両10では、回生発電を伴う回生制動力と、摩擦制動装置15による摩擦制動力との和によって、車両制動力を確保することができる。
モータジェネレータ6は、動力分割装置4を経由して伝達されたエンジン2の出力を用いて二次電池システム100(二次電池102)の充電電力を生成する発電機としての動作モードを有する。さらに、モータジェネレータ6は、エンジン2を始動するための電動機としても用いることができる。
なお、ハイブリッド車両10では、図示しない充電器をさらに搭載することによって、車両外部の電源(たとえば、商用系統電源)からの電力によって、二次電池システム100(二次電池102)を外部充電することも可能である。なお、上述した満充電容量の変化に基づき、外部充電時における満充電状態までの充電量(エネルギ)に基づいて、セルヒューズFSの断線本数を管理することができる。
二次電池システム100は、図1に示したように、電力線120,130の間に接続された二次電池102を有する。ECU25は、二次電池システム100のECU110から二次電池102についての情報(代表的には、SOC)を取得することができる。
電力変換器18は、ECU25から受ける制御信号に基づいて、モータジェネレータ6および二次電池102の間で双方向の直流/交流電力変換を実行する。同様に、電力変換器20は、ECU25から受ける制御信号に基づいて、モータジェネレータ7および二次電池102の間で双方向の直流/交流電力変換を実行する。これにより、モータジェネレータ6,7は、二次電池102との間での電力の授受を伴って、電動機として動作するための正トルクまたは発電機として動作するための負トルクを出力することができる。なお、二次電池102と電力変換器18,20との間に、直流電圧変換のための昇圧コンバータを配置することも可能である。
このように、ハイブリッド車両10では、モータジェネレータ6,7および電力変換器18,20によって、二次電池システム100の負荷11が構成される。すなわち、モータジェネレータ7の負トルク出力による回生発電時、および、エンジン2の出力によるモータジェネレータ6の発電時において、二次電池システム100(二次電池102)は、負荷11からの電力により充電される。一方で、モータジェネレータ7による車両駆動力(正トルク)の発生時において、二次電池システム100(二次電池102)は、負荷11の電力消費により放電される。
ECU25は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、入出力バッファ等を含み(いずれも図示せず)、ハイブリッド車両10における各機器の制御を行なう。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。なお、ECU110についても、ECU25と同様に構成することができる。なお、以下では、ECU25およびECU110のいずれによっても実行可能な制御処理を説明する場合等において、ECU25およびECU110を包括的に表現する場合には、単にECUとも表記する。
ECU25は、ブレーキペダルセンサ28によって検出されたブレーキ操作量Brkおよびアクセルペダルセンサ29によって検出されたアクセル操作量Accに応じて、車両駆動力または車両制動力を発生するように、エンジン2およびモータジェネレータ6,7の出力を調整することによって走行制御を実行する。たとえば、走行制御により、停車時や低速走行時のように走行負荷が小さくエンジン2の効率が低下するときは、ECU25は、エンジン2を停止させてモータジェネレータ7のみで走行(EV走行)するように電力変換器20を制御する。走行負荷が上昇しエンジン2を効率よく運転できるときは、ECU25は、エンジン2を始動してエンジン2およびモータジェネレータ7を用いて走行(HV走行)するようにエンジン2および電力変換器18,20を制御する。
ECU25は、二次電池102のSOCが目標値よりも低下すると、エンジン2の出力を用いたモータジェネレータ6による発電によって二次電池102を充電するように、エンジン2および電力変換器18を制御することができる。すなわち、二次電池システム100では、負荷11からの電力によって、二次電池102を充電することができる。このように、ハイブリッド車両10の走行中においても、HV走行でのエンジン2の出力調整によって、二次電池102のSOCを制御することができる。
ここで、図3を用いて、ハイブリッド車両の走行制御による車両駆動力の配分を説明する。以下では、ハイブリッド車両10を加速する方向のパワーを正値で示し、減速する方向のパワーを負値で示すこととする。
図3を参照して、車両駆動パワーPdvは、ハイブリッド車両10の走行に必要な走行駆動力(要求トルク)と、駆動軸12の回転数との積に基づいて算出することができる。たとえば、必要な走行駆動力(要求トルク)は、運転者によるアクセル操作量Accと、車速とに基づいて設定される。
エンジン要求パワーPegは、ハイブリッド車両10の走行に必要な車両駆動パワーPdvと、二次電池102の充放電要求パワーPchgとの和で示される。エンジン要求パワーPegが所定の閾値よりも低い場合には、エンジン2が停止されてモータジェネレータ7の出力のみによるEV走行が選択される。一方で、エンジン要求パワーPegが所定の閾値よりも高い場合には、エンジン2の運転を伴うHV走行が選択される。
充放電要求パワーPchgは、SOC制御のための二次電池102の充放電電力を示す。以下では、充放電要求パワーPchgは、二次電池102の放電を促す場合にはPchg>0に設定され、二次電池102の充電を促す場合にはPchg<0に設定されるものとする。したがって、Peg=Pdv−Pchgで示される。たとえば、充放電要求パワーPchgは、現在のSOCが、SOC目標値(または、目標範囲)よりも高SOC領域内であるときはPchg>0(放電要求)に設定される一方で、SOC目標値(または、目標範囲)よりも低SOC領域内であるときはPchg<0(充電要求)に設定される。
したがって、Pchg<0に設定されて、エンジン2の出力による二次電池102の充電が要求されると(エンジン充電要求時)、エンジン2は、車両走行のための車両駆動パワーPdvと、二次電池102の充電電力との和を出力するように制御される(Peg>Pdv)。
一方で、Pchg>0に設定されて二次電池102の放電が要求されると(放電要求時)、二次電池102の放電電力(Pchg)と、エンジン要求パワーPegとの和によって、車両走行のための車両駆動パワーPdvが確保されるように、エンジン2の出力は制御される(Peg<Pdv)。
走行制御によって、エンジン2の動作点は、エンジン回転数およびエンジントルクをx軸およびy軸とするx−y平面上に予め設定された最適動作線上において、エンジン出力パワー(回転数×トルク)が上述のエンジン要求パワーPegとなるように設定される。この結果、エンジン2を高効率で動作させることができる。
さらに、当該最適動作線上に設定されたエンジン動作点に従うエンジントルクによる車両駆動力と、上述の必要な走行駆動力(要求トルク)との間での過不足は、モータジェネレータ7の出力トルクによって補償される。たとえば、エンジントルクの不足時には、モータジェネレータ7が二次電池102からの電力によって正トルクを出力することで、所望の走行駆動力(トルク)が確保される。
図4には、ハイブリッド車両の走行制御による車両制動力の配分を説明する概念図が示される。
図4を参照して、車両制動パワーPbrkは、ドライバ操作に基づく要求制動力(要求制動トルク)と、駆動軸12の回転数との積に基づいて算出することができる。たとえば、要求制動トルクは、運転者によるブレーキ操作量Brkと、車速とに基づいて設定される。
二次電池102に充電電力の受け入れ余地がある場合(回生許可時)には、車両制動パワーPbrkは、モータジェネレータ7の回生発電による回生制動パワーPrgと、摩擦制動装置15による摩擦制動パワーPfbとの和によって確保される。回生制動パワーPrgは、二次電池102の充電電力上限値を超えない範囲内で設定される。すなわち、二次電池102の充電許容範囲内であれば、回生制動パワーPrgのみによって車両制動パワーPbrkを確保することも可能である。
一方で、二次電池102の充電禁止時には、Prg=0であり、摩擦制動パワーPfbのみによって車両制動パワーPbrkが確保される(Pbrk=Pfb)。
図5は、二次電池102のSOCに応じた充放電制限を説明する概念図である。図5には、SOCに対する充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Winの設定が示される。
図5を参照して、放電電力上限値Woutは0または正値に設定される(Wout≧0)。Wout=0では、二次電池102の放電が禁止されている。たとえば、制御下限値Slよりも低SOC範囲では、これ以上の放電を禁止するために、Wout=0に設定される。また、SOC>Slの領域では、Wout>0に設定されて、二次電池102の放電が許容されるが、制御下限値Slに近いSOC領域では、それよりも高SOCの領域と比較して、Woutを小さく設定することで放電を制限することができる。
図3で説明した車両駆動パワーの配分において、モータジェネレータ7によるトルクアシスト(正トルク)は、放電電力上限値Woutによって制限される。たとえば、Wout=0のときに、当該最適動作線上に設定されたエンジン動作点に従うエンジントルクによる車両駆動力が、必要な走行駆動力(要求トルク)よりも小さい場合には、エンジン動作点を等パワー線上でエンジントルク増加側へシフトさせることによって、所望の車両駆動力(要求トルク)が確保される。また、Wout=0のときには、EV走行が禁止されるので、エンジン要求パワーPegが所定の閾値より低い場合にも、エンジン2の出力を用いた走行が行われる。
一方で、充電電力上限値Winは0または負値に設定される(Win≦0)。Win=0では、二次電池102の充電が禁止されている。たとえば、制御上限値Suよりも高SOC範囲では、これ以上の充電を禁止するためにWin=0に設定される。また、SOC<Suの領域では、Win<0に設定されて、二次電池102の充電が許容されるが、制御上限値Suに近いSOC領域では、それよりも低SOCの領域と比較して、|Win|を小さく設定することで充電を制限することができる。
図4で説明した回生制動パワーPrg(Prg≦0)は、充電電力上限値Win(Win≦0)を超えないように設定される(Win≦Prg)。すなわち、Win=0のときには、Prg=0とされて回生発電が禁止される(Pbrk=Pfb)。一方で、Win>0のとき(回生許可時)には、Winの範囲内でPrgを設定することで、エネルギ回収を図ることができる。
このように、図2に示された負荷11の構成例に対して、二次電池102のSOCに応じて、充電電力上限値Win、放電電力上限値Wout、および、充放電要求パワーPchgを設定することで、負荷11および二次電池102の間の充放電を制御することができる。なお、充電電力上限値Win、放電電力上限値Wout、および、充放電要求パワーPchgの各々は、ECU110およびECU25のいずれにもよっても設定することができる。
なお、図4および図5の横軸に示されたSOCは、代表的には、二次電池102全体でのSOCとすることができる。あるいは、電池ブロック101毎にSOCを管理する場合には、電池ブロック毎のSOCのうちの最大値(Win設定時)または最小値(Wout設定時)を用いて、二次電池102の充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを設定することができる。
本実施の形態に従う二次電池システム100では、図1に示されたように、複数(N個)の電池ユニットCUおよびセルヒューズFSが並列接続されている。したがって、一部(n本:0≦n<N)のセルヒューズFSが遮断されている状態で、二次電池システム100の外部で短絡が発生すると、導通状態である残りの(N−n)本のセルヒューズFSによって短絡電流が分流されるので、メインヒューズMFSよりも先にいずれかのセルヒューズFSが溶断する可能性がある。
このとき、断線したセルヒューズFSの接点間には、対応の電池ユニットCUの出力電圧が印可される。このため、当該出力電圧が高いときには、アークの発生等により二次電池102の保護が不十分となることが懸念される。
したがって、本実施の形態に従う二次電池システムでは、図6に説明するようなSOC制御を実行する。図6に示されたフローチャートによる制御処理は、二次電池システム100の作動中に、ECU(すなわち、ECU110および/またはECU25)によって周期的に実行することができる。
ECUは、ステップS100において、N本のセルヒューズFSのうちの断線本数、すなわち、並列接続されたN個の電池ユニットCUにそれぞれ対応して配置されたN個の第1の電流遮断機構のうちの遮断状態の個数(以下、遮断個数nとも称する)を取得する。すなわち、遮断個数nは、N個の電池ユニットCUのうちの充放電から切り離された電池ユニットの個数に相当する。
ステップS100では、上述した、並列接続された電池ユニットCUの電気抵抗および/または満充電容量に基づいて管理された、セルヒューズFSの断線本数の記憶データを読出すことによって、遮断個数を取得することができる。
なお、図1のように、複数の電池ブロック101が直列接続されている構成では、各電池ブロック101での遮断個数nのうちの最大値が、ステップS100で取得される遮断個数nとされる。
ECUは、さらに、ステップS110により、ステップS100で取得された遮断個数nが、予め定められた判定値Ntよりも大きいかどうかを判定する。判定値Ntは、遮断個数nの増加に応じて、導通状態である残りのセルヒューズFSの各々の通過電流が増加することを考慮して、たとえば、メインヒューズMFSの溶断電流の1/(N−n)倍が、セルヒューズFSの溶断電流よりも高くなるときにステップS110がYES判定となるように定めることができる。
ECUは、遮断個数がNt以下であるとき(S110のNO判定時)には、ステップS120により、通常のSOC制御を行なう。通常のSOC制御では、図5に示したように、制御下限値Sl〜制御上限値Suの範囲内で二次電池102の充放電が許可されるように、二次電池102の充放電が制御される。さらに、低SOC時には、Pchg<0に設定することによって、エンジン充電を許容するように、二次電池102の充放電が制御される。
これに対して、ECUは、遮断個数がNtよりも多いとき(S110のYES判定時)には、ステップS130により、現在のSOCが基準値S1よりも高いかどうかを判定する。基準値S1は、図5に示した制御上限値Suよりも低く設定される。
ECUは、SOC>S1のとき(S130のYES判定時)には、ステップS140により、二次電池102の充電を禁止する。これにより、図2に示したハイブリッド車両10では、回生発電が禁止される。たとえば、遮断個数がNtよりも多いときには、図5中に点線で示されるように充電電力上限値Winを設定することで、SOC>S1の領域でWin=0に設定することができる。さらに、図3に示したPchg>0に設定して、二次電池102の放電を要求することにより、SOCをS1よりも低くすることができる。
ECUは、SOC≦S1のとき(S130のNO判定時)には、ステップS150により、エンジン充電を禁止する。ステップS150では、Win<0に設定されるので、回生発電は許可されるが、Pchg=0(または、Pchg>0)に設定されて、エンジン2の出力を用いた二次電池102の充電電力の発生は禁止される。
この結果、ステップS140,S150によるSOC制御では、二次電池102のSOCは基準値S1を上限とするように制限される。一方で、ステップS120による通常のSOC制御での制御上限値Suは基準値S1よりも高い。この結果、遮断個数nが判定値Ntよりも多いときには、遮断個数nが判定値Ntよりも少ないときと比較して、二次電池102のSOCを低下する制御を実現することができる。
このように本実施の形態に従う二次電池システムによれば、複数(N個)の電池ユニットCUが並列接続される構成において、判定値Ntよりも多い個数の電池ユニットCUの経路が遮断されている場合には、SOCを低下させることができる。この結果、二次電池システム100の外部での短絡発生時に、メインヒューズMFSよりも先にセルヒューズFSが溶断しても、電池ユニットCUの蓄積エネルギ(SOC)が抑制されていることから、アークの発生等を抑制することができるので、二次電池の保護を図ることができる。
なお本実施の形態では、二次電池システムがハイブリッド車両に搭載される例を説明したが、二次電池システムの適用例はハイブリッド自動車のみなく、電気自動車等に搭載してもよい。この場合にも、ステップS140では、二次電池の充電を禁止することにより、回生ブレーキの使用を禁止することができる。あるいは、本実施の形態に従う二次電池システムは、ハイブリッド車両や電気自動車等の車両以外を負荷11としても適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。