以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一又は同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
[実施の形態]
本発明の実施の形態に係る蓄電素子100の構成を説明する。なお、以下の実施の形態では、蓄電素子100は、巻回された極板によって構成される巻回型の電極体を有するとして、説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電素子100の外観を模式的に示す斜視図である。図1に示されるように、蓄電素子100は、扁平な直方体状の外形を有している。蓄電素子100は、電気の充電と放電とを可能な二次電池である。例えば、蓄電素子100は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。しかしながら、蓄電素子100は、非水電解質二次電池に限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよく、キャパシタであってもよい。蓄電素子100は、扁平な直方体状の容器10と、容器10の中に含まれる図2に示す電極体20、正極集電体50及び負極集電体60と、正極端子30と、負極端子40とを備えている。なお、図2は、図1の蓄電素子100から容器10の容器本体11を除いた斜視図である。
容器10は、有底角筒状の容器本体11と、容器本体11の開口部11aを閉鎖可能である細長の矩形板状の蓋体12とを有している。容器本体11は、扁平な直方体状の外形を有している。開口部11aの形状は、細長の矩形形状となっている。蓋体12の外面12a上に、正極端子30及び負極端子40が配置されている。
容器本体11と蓋体12とは、溶接等の接合方法によって、互いの接合部を気密な状態にして接合されることができる。これにより、容器10は、内部に密閉された空間を形成する。容器本体11及び蓋体12は、容器10の内圧の上昇時に、変形すること及び接合部の気密性が損なわれることがないような材料から作製されることができる。限定するものではないが、容器本体11及び蓋体12は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等の溶接可能な金属から作製されることができる。
また、容器10の内部には電解液(本実施の形態では、非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。容器10に封入される電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
図2を参照すると、正極端子30及び負極端子40はそれぞれ、蓋体12の外面12aと反対側において、正極集電体50及び負極集電体60と電気的に接続されている。正極集電体50及び負極集電体60はさらに、電極体20と接続されている。よって、電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60を介して、蓋体12から吊り下げられるように設けられている。そして、電極体20は、正極集電体50及び負極集電体60と共に、容器本体11内に収容される。なお、電極体20と容器本体11との間を電気的に絶縁するために、電極体20が絶縁フィルムなどで覆われる場合もある。電極体20と容器本体11との間に、スペーサ等の緩衝材が設けられる場合もある。
電極体20は、電気を蓄えることができる発電要素である。そして、電極体20は、図3に示す正極21及び負極22がセパレータ23を介して巻回軸Aを中心に渦巻き状に多重に巻回されることによって、形成されたものであり、扁平な外形を有している。巻回軸Aは、図2において一点鎖線で示される仮想の軸であり、電極体20は、巻回軸Aに関して略対称な構成を有している。巻回軸Aは、正極21及び負極22の積層方向と交差する方向に延在し、蓋体12の長手方向に沿って延在している。電極体20は、巻回方向に沿って延在する外周部分を蓋体12に対向させる向きで配置されている。上述のような配置構成を有する電極体20は、縦巻き型の電極体と呼ばれる。
ここで、以下の説明及び図面中において、蓄電素子100の電極体20の巻回軸A方向を、X軸方向と呼ぶ。よって、図1及び図2に示されるように、正極集電体50及び負極集電体60は、X軸方向に沿って並び、正極端子30及び負極端子40は、X軸方向に沿って並んでいる。そして、容器本体11の対向する細長の長方形状の短側面が、X軸方向に沿って並んでいる。
さらに、容器本体11から蓋体12に向かう方向に沿い且つX軸に垂直である蓄電素子100の上下方向を、Z軸方向と呼ぶ。よって、正極集電体50及び負極集電体60は、蓋体12からZ軸方向に突出すると共に、Z軸方向に沿って延在する。そして、容器本体11の細長の短側面の長手が、Z軸方向に沿って延在する。なお、使用態様によっては、蓄電素子100は、Z軸方向を上下方向として配置されない場合もあるため、Z軸方向は必ずしも上下方向には限定されない。
また、X軸方向及びZ軸方向と垂直である方向を、Y軸方向と呼ぶ。よって、容器本体11の対向する幅広の長側面が、Y軸方向に沿って並び、容器本体11の短側面の短手が、Y軸方向に沿って延在している。さらに、Y軸方向は、容器10の厚さ方向として定義できる。
次に、図3を参照して、電極体20の詳細な構成を説明する。図3は、図2の電極体20の一部を展開して示す斜視図である。電極体20は、長尺帯状のシートの形状をした正極21と、長尺帯状のシートの形状をした負極22と、長尺帯状のシートの形状をしたセパレータ23とを、層状に重ねて含んでいる。そして、電極体20は、層状に重ねられた正極21、負極22及びセパレータ23を一緒に、巻回軸Aを中心として巻回方向Bに渦巻き状に巻回されて形成される。なお、本実施の形態では、正極21、負極22及びセパレータ23を巻回し始めたものを巻回軸Aを中心として、図3において時計回りの方向である巻回方向Bに回転させることによって、未巻回の帯状の正極21、負極22及びセパレータ23が巻き付けられるものとする。つまり、巻回方向Bは、巻回時の電極体20の回転方向である。ここで、正極21及び負極22は、極板の一例である。
正極21は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなる長尺帯状の金属箔である正極基材層上に、正極活物質層を塗工等の方法で積層することによって、形成されている。負極22は、銅、銅合金等の金属からなる長尺帯状の金属箔である負極基材層上に、負極活物質層を塗工等の方法で積層することによって、形成されている。セパレータ23は、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料からなる微多孔性のシートである。正極活物質層に用いられる正極活物質又は負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
負極22の長手方向に沿った2つの縁22b及び22cのうちの一方の縁22cには、複数の負極集電タブ22aが、長手方向に間隔をあけて一体成形されている。負極集電タブ22aは、巻回軸Aを中心とする負極22の一巻回あたりに2つ存在するように配置されている。負極集電タブ22aは、負極22の長手方向と直交する巻回軸A方向に縁22cから突出する。負極集電タブ22aは、露出した負極基材層で構成されており、負極活物質層を含まない。負極22における負極集電タブ22a以外の領域には、負極活物質層が積層されている。
セパレータ23は、負極集電タブ22aを除く負極22全体を覆うように負極22よりも巻回軸A方向に幅広に形成されている。2つのセパレータ23が、1つの負極22の両側の平坦な主面上に設けられ、負極22を包むように延在する。このとき、負極集電タブ22aが、2つのセパレータ23間を通ってセパレータ23から突出する。
さらに、1つの正極21が、巻回時に負極22の内側で負極22に隣り合うセパレータ23のさらに内側に位置するように、上記セパレータ23上に重ねて設けられる。正極21の長手方向に沿った2つの縁21b及び21cのうちの負極集電タブ22aと反対側の縁21bには、複数の正極集電タブ21aが、長手方向に間隔をあけて一体成形されている。正極集電タブ21aは、巻回軸Aを中心とする正極21の一巻回あたりに2つ存在するように配置されている。正極集電タブ21aは、巻回軸A方向に縁21bから突出する。正極集電タブ21aは、露出した正極基材層で構成されており、正極活物質層を含まない。正極21における正極集電タブ21a以外の領域には、正極活物質層が積層されている。
正極21は、正極集電タブ21aを除く正極21全体が負極22によって覆われるように、負極22よりも巻回軸A方向に幅狭に形成されている。セパレータ23上に重ねられた正極21は、正極集電タブ21aを除く全体を負極22に対面させている。そして、正極集電タブ21aは、セパレータ23から突出している。このとき、正極21の正極集電タブ21aのそれぞれは、負極22の負極集電タブ22aのそれぞれと、巻回軸A方向に並んで位置している。
上述のように積層された1つの正極21と1つの負極22と2つのセパレータ23とが一緒に、巻回軸Aを中心に、巻回方向Bで渦巻き状に巻回され、それにより、電極体20が形成される。本実施の形態では、電極体20は、YZ平面方向で扁平な長円形状の断面形状を有するように形成されている。しかしながら、電極体20の断面形状は、長円形以外であってもよく、円形、楕円形、矩形、その他の多角形であってもよい。
さらに、図3に加え、図4及び図5を合わせて参照する。図4は、図2の蓄電素子100の電極体20及び負極集電体60を負極集電体60側からみた側面図である。図5は、図2の蓄電素子100の電極体20及び正極集電体50を正極集電体50側からみた側面図である。電極体20では、積層された正極21、負極22及びセパレータ23が、図4において時計回りの方向である巻回方向Bに沿って延在する壁状体を形成している。具体的には、壁状体は、幅広で平坦である2つの平坦壁状部24a及び24bと、半円状に湾曲した2つの湾曲壁状部24c及び24dとから構成されている。
平坦壁状部24a及び24bは、巻き始め部25を介して互いに対向して位置する。湾曲壁状部24c及び24dは、巻き始め部25を介して互いに対向して位置し、平坦壁状部24a及び24bを互いに連結する。巻き始め部25は、積層された正極21、負極22及びセパレータ23の一巻き目の内側の部分である。巻き始め部25は、上記一巻き目の対向する部分の間に空隙がある場合は、平坦壁状部24a及び24bに沿った扁平な空隙であり、上記一巻き目の対向する部分が密着している場合は、平坦壁状部24a及び24bに沿った面である。巻き始め部25は、巻回軸Aの位置に位置し、湾曲壁状部24cから湾曲壁状部24dに向かう方向及び巻回軸A方向に沿って延在している。ここで、平坦壁状部24a及び24bは、電極体20における対向する部位及び平坦部の一例であり、湾曲壁状部24c及び24dは、電極体20の湾曲部の一例である。
図3及び図4を合わせて参照すると、正極21、負極22及びセパレータ23が巻回された電極体20において、積層した負極22の縁22c及び正極21の縁21cによって形成される電極体20の端部20cでは、複数の負極集電タブ22aは、2つの離れた位置に集合している。つまり、複数の負極集電タブ22aは、離れて位置する2つの負極集電タブ群27を形成する。なお、端部20cは、平坦壁状部24a及び24b並びに湾曲壁状部24c及び24dの巻回軸A方向の端部、つまり正極21及び負極22の積層方向と交差する方向での端部を構成し、負極集電体60側からみたときに、長円形の形状を形成している。各負極集電タブ群27では、負極集電タブ22aは、Y軸方向に重なり合って互いに整合して位置し且つ一緒に束ねられている、つまり集束されている。さらに、端部20cでは、平坦壁状部24a及び24bのそれぞれにおいて、正極21及び負極22が、Y軸方向に集束されている。ここで、負極集電タブ群27は、電極体20の接続部及び電極体20のタブの一例である。
負極集電タブ群27はそれぞれ、電極体20の平坦壁状部24a及び24bに位置している。これ故、2つの負極集電タブ群27はY軸方向に間隔をあけて位置する。さらに、2つの負極集電タブ群27は、Z軸方向にも間隔をあけて位置する。そして、2つの負極集電タブ群27は、電極体20上で巻回方向Bに沿って、つまり、端部20c上で巻回方向Bに沿って略均等に分布するように配置されている。具体的には、端部20c上において、一方の負極集電タブ群27から他方の負極集電タブ群27までの距離に関して、巻回方向Bに沿った距離C2は、巻回方向Bと反対方向に沿った距離D2と同等である。つまり、一方の負極集電タブ群27と他方の負極集電タブ群27との位置関係は、巻回軸Aに関して、略対称となっている。具体的には、図4に示すような電極体20を負極集電体60側からみた電極体20の側面視において、2つの負極集電タブ群27は、電極体20の中心点を構成する巻回軸A上の点に関して、互いに略点対称な位置に配置されている。これにより、負極集電タブ群27のそれぞれが電極体20において集電及び給電し得る領域、つまり集電及び給電を担う領域は、略均等なものとなる。そして、負極22の各一巻回に関しても、一巻回に存在する2つの負極集電タブ22aが担う集電及び給電領域は、略均等なものとなる。なお、略均等であるとは、正確に均等である場合と、僅かな差異があるが実質的に均等であるとみなせる場合とを含む。
図3及び図5を合わせて参照すると、積層した正極21の縁21b及び負極22の縁22bによって形成される電極体20の端部20bでも、複数の正極集電タブ21aは、2つの離れた位置で集合して、2つの正極集電タブ群26を形成する。なお、端部20bは、平坦壁状部24a及び24b並びに湾曲壁状部24c及び24dの巻回軸A方向の端部、つまり正極21及び負極22の積層方向と交差する方向での端部を構成し、正極集電体50側からみたときに、長円形の形状を形成している。各正極集電タブ群26では、正極集電タブ21aは、Y軸方向に重なり合って互いに整合して位置し且つ一緒に束ねられている、つまり集束されている。さらに、端部20bでは、平坦壁状部24a及び24bのそれぞれにおいて、正極21及び負極22が、Y軸方向に集束されている。ここで、正極集電タブ群26は、電極体20の接続部及び電極体20のタブの一例である。
正極集電タブ群26はそれぞれ、電極体20の平坦壁状部24a及び24bに位置し、Y軸方向に互いに間隔をあけて位置している。さらに、2つの正極集電タブ群26は、Z軸方向にも間隔をあけて位置している。そして、2つの正極集電タブ群26は、電極体20上で巻回方向Bに沿って、つまり、端部20b上で巻回方向Bに沿って略均等に分布するように配置されている。端部20b上において、一方の正極集電タブ群26から他方の正極集電タブ群26までの距離に関して、巻回方向Bに沿った距離C1は、巻回方向Bと反対方向に沿った距離D1と同等である。つまり、一方の正極集電タブ群26と他方の正極集電タブ群26との位置関係は、巻回軸Aに関して、略対称となっている。具体的には、図5に示すような電極体20を正極集電体50側からみた電極体20の側面視において、2つの正極集電タブ群26は、電極体20の中心点を構成する巻回軸A上の点に関して、互いに略点対称な位置に配置されている。よって、正極集電タブ群26のそれぞれが電極体20において集電及び給電し得る領域、つまり集電及び給電を担う領域は、略均等なものとなる。そして、正極21の各一巻回に関しても、一巻回に存在する2つの正極集電タブ21aが担う集電及び給電領域は、略均等なものとなる。
さらに、2つの正極集電タブ群26と、2つの負極集電タブ群27とは、YZ平面に関して略対称な位置に配置されている。
次いで、図2及び図4〜図9を合わせて参照して、正極端子30、負極端子40、正極集電体50及び負極集電体60の詳細な構成を説明する。図6は、図2の蓄電素子100を、電極体20の平坦壁状部24aから平坦壁状部24bに向かって見た正面図である。図7は、図2の蓄電素子100の要素を分解して示す分解斜視図である。図8は、図2の蓄電素子100を負極集電体60側からみた側面図である。図9は、図2の蓄電素子100を正極集電体50側からみた側面図である。
図6及び図7を合わせて参照すると、正極端子30は、端子本体31と、上部絶縁部材32と、下部絶縁部材33とを有している。負極端子40は、端子本体41と、上部絶縁部材42と、下部絶縁部材43とを有している。端子本体31及び41は、金属等の導電性を有する材料から作製されている。平板状の端子本体31及び41にはそれぞれ、円筒状のリベット部31a及び41aが、突出して形成されている。上部絶縁部材32及び42、並びに、下部絶縁部材33及び43は、樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料から作製されている。上部絶縁部材32及び42、並びに、下部絶縁部材33及び43は、周縁に突出する縁部を有する板の形状をしたパッキンである。
上部絶縁部材32及び42にはそれぞれ、リベット部31a及び41aがそれぞれ通ることができる貫通孔32a及び42aが形成されている。下部絶縁部材33及び43にはそれぞれ、リベット部31a及び41aがそれぞれ通ることができる貫通孔33a及び43aが形成されている。蓋体12には、リベット部31a及び41aがそれぞれ通ることができる貫通孔12b及び12cが形成されている。
正極集電体50は、正極端子30の端子本体31と、電極体20の2つの正極集電タブ群26とに接続されるように構成されている。正極集電体50は、導電性と剛性とを備えた部材である。正極集電体50は、電極体20の正極基材層と同様に、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から作製されている。正極集電体50は、蓋体12に取り付けられる板状の固定部51と、固定部51と一体に成形され且つ固定部51から延びる細長の板状の脚部52とを含む。固定部51には、リベット部31aが通ることができる貫通孔51aが、形成されている。
端子本体31のリベット部31aは、上部絶縁部材32の貫通孔32aと、蓋体12の貫通孔12bと、下部絶縁部材33の貫通孔33aと、正極集電体50の固定部51の貫通孔51aとに順次通された後に、固定部51側でかしめられる。これにより、正極端子30の端子本体31と正極集電体50の固定部51とが、上部絶縁部材32及び下部絶縁部材33と共に、蓋体12に取り付け及び固定される。このとき、端子本体31が、正極集電体50と物理的に且つ電気的に接続される。上部絶縁部材32が、端子本体31と蓋体12との間に介在し、端子本体31と蓋体12とを電気的に絶縁する。下部絶縁部材33は、蓋体12と固定部51との間に介在し、蓋体12と正極集電体50とを電気的に絶縁する。
なお、端子本体31、上部絶縁部材32、蓋体12、下部絶縁部材33及び正極集電体50の固定部51の連結構造は、リベット留めに限定されるものでなく、上部絶縁部材32、蓋体12及び下部絶縁部材33を間に挟んで端子本体31と固定部51とを連結する構造であればよい。例えば、リベット部31aの代わりにボルト及びナットが用いられてもよく、リベット部31aが固定部51に溶接されてもよい。
負極集電体60は、負極端子40の端子本体41と、電極体20の2つの負極集電タブ群27とに接続されるように構成されている。負極集電体60は、導電性と剛性とを備えた部材である。負極集電体60は、電極体20の負極基材層と同様に、銅、銅合金等の金属から作製されている。負極集電体60は、蓋体12に取り付けられる板状の固定部61と、固定部61と一体に成形され且つ固定部61から延びる細長の板状の脚部62とを含む。固定部61には、負極端子40の端子本体41のリベット部41aが通ることができる貫通孔61aが、形成されている。
端子本体41のリベット部41aは、上部絶縁部材42の貫通孔42aと、蓋体12の貫通孔12cと、下部絶縁部材43の貫通孔43aと、負極集電体60の固定部61の貫通孔61aとに順次通された後に、固定部61側でかしめられる。これにより、負極端子40の端子本体41と負極集電体60の固定部61とが、上部絶縁部材42及び下部絶縁部材43と共に、蓋体12に取り付け及び固定される。このとき、端子本体41が、負極集電体60と物理的に且つ電気的に接続される。上部絶縁部材42が、端子本体41と蓋体12との間に介在し、端子本体41と蓋体12とを電気的に絶縁する。下部絶縁部材43は、蓋体12と固定部61との間に介在し、蓋体12と負極集電体60とを電気的に絶縁する。
なお、端子本体41、上部絶縁部材42、蓋体12、下部絶縁部材43及び負極集電体60の固定部61の連結構造は、リベット留めに限定されるものでなく、上部絶縁部材42、蓋体12及び下部絶縁部材43を間に挟んで端子本体41と固定部61とを連結する構造であればよい。例えば、リベット部41aの代わりにボルト及びナットが用いられてもよく、リベット部41aが固定部61に溶接されてもよい。
さらに、図4及び図8を参照して、負極集電体60の脚部62の構成と、脚部62と電極体20の負極集電タブ群27との接続態様を説明する。蓋体12に取り付けられた負極集電体60の脚部62は、Y軸方向への屈曲を伴って、固定部61からZ軸方向に沿って延在する。具体的には、脚部62は、電極体20の平坦壁状部24bに隣り合って位置する細長の板状の第一直線脚部分62aを含む。第一直線脚部分62aは、電極体20の湾曲壁状部24cから湾曲壁状部24dに向かって、平坦壁状部24bの延在方向に略平行に直線状に延在する。第一直線脚部分62aは、固定部61から湾曲壁状部24cと湾曲壁状部24dとの間の中間位置付近にまで延在している。さらに、第一直線脚部分62aにおける幅広の方の対向する表面である2つの平坦な長側面の一方が、平坦壁状部24bの負極集電タブ群27に巻き始め部25側で隣接している。
さらに、脚部62は、電極体20の平坦壁状部24aに隣り合って位置する細長の板状の第二直線脚部分62bを含む。第二直線脚部分62bは、湾曲壁状部24cから湾曲壁状部24dに向かって、平坦壁状部24aの延在方向及び第一直線脚部分62aに略平行に直線状に延在する。第二直線脚部分62bは、湾曲壁状部24cと湾曲壁状部24dとの間の中間位置付近から湾曲壁状部24dに向かって延在し、さらに、平坦壁状部24aの負極集電タブ群27を越えて延在している。第二直線脚部分62bにおける幅広の方の対向する表面である2つの平坦な長側面の一方が、平坦壁状部24aの負極集電タブ群27に巻き始め部25側で隣接している。
さらにまた、脚部62は、湾曲壁状部24cと湾曲壁状部24dとの間の中間位置付近で第一直線脚部分62aと第二直線脚部分62bとを連結する細長の板状の連結脚部分62cを含む。連結脚部分62cは、巻き始め部25を横切るように直線的に延在する。
よって、脚部62は、第一直線脚部分62aと第二直線脚部分62bとを、平坦壁状部24bから平坦壁状部24aに向かう方向にオフセットさせるように連結脚部分62cで屈曲する形状を有している。そして、第一直線脚部分62aは、その長側面において、超音波溶接、抵抗溶接などの溶接等によって、平坦壁状部24bの負極集電タブ群27に接合される。第二直線脚部分62bは、その長側面において、同様の溶接等によって、平坦壁状部24aの負極集電タブ群27に接合される。脚部62が上述のような形状を有するため、2つの負極集電タブ群27は、引っ張られる等の無理な力がかけられることなく接合されている。
上述のような脚部62の屈曲形状は、負極集電体60の成形時に脚部62を屈曲させるだけで形成することができる。或いは、負極集電体60を鋳造する場合、鋳造時に脚部62の屈曲形状を形成することができる。
図5及び図9に示すように、正極集電体50の脚部52も、負極集電体60の脚部62と同様の構成を有している。脚部52は、直線的な細長の板状の第一直線脚部分52aと、直線的な細長の板状の第二直線脚部分52bと、第一直線脚部分52a及び第二直線脚部分52bを連結する直線的な細長の板状の連結脚部分52cとを含む。脚部52は、互いに略平行に延在する第一直線脚部分52aと第二直線脚部分52bとを、平坦壁状部24bから平坦壁状部24aに向かう方向にオフセットさせるように連結脚部分52cで屈曲する形状を有している。第一直線脚部分52aは、固定部51から電極体20の湾曲壁状部24cと湾曲壁状部24dとの間の中間位置付近にまで延在する。第一直線脚部分52aにおける幅広の方の対向する表面である2つの平坦な長側面の一方が、電極体20の平坦壁状部24bの正極集電タブ群26に巻き始め部25側で隣接する。そして、第一直線脚部分52aは、その長側面において、上記正極集電タブ群26に接合される。
第二直線脚部分52bは、湾曲壁状部24cと湾曲壁状部24dとの間の中間位置付近から湾曲壁状部24dに向かって延在し、さらに、電極体20の平坦壁状部24aの正極集電タブ群26を越えて延在する。第二直線脚部分52bにおける幅広の方の対向する表面である2つの平坦な長側面の一方が、平坦壁状部24aの正極集電タブ群26に巻き始め部25側で隣接する。そして、第二直線脚部分52bは、その長側面において、上記正極集電タブ群26に接合される。
また、図4及び図5に示す構成では、正極集電体50の脚部52が、2つの正極集電タブ群26の内側つまり巻き始め部25側に位置し、負極集電体60の脚部62が、2つの負極集電タブ群27の内側つまり巻き始め部25側に位置していたが、これに限定されない。
図10に示す負極集電体60のように、脚部62の第一直線脚部分62aと第二直線脚部分62bとがそれぞれ、負極集電タブ群27に対して、巻き始め部25と反対側で隣接して位置してもよい。なお、図10は、図4の電極体20の負極集電タブ群27と負極集電体60との接続態様の別の例を示す側面図である。図10に示す負極集電体60の脚部62も、図4に示す負極集電体60の脚部62と同様の構成を有している。そして、第一直線脚部分62aが、電極体20の平坦壁状部24bの負極集電タブ群27に接合され、第二直線脚部分62bが、平坦壁状部24aの負極集電タブ群27に接合される。なお、電極体20の正極集電タブ群26と正極集電体50との接続態様も、上述の態様と同様にすることができる。
上述したように、本実施の形態に係る蓄電素子100は、積層された正極21及び負極22を有する電極体20と、正極21及び負極22の積層方向と交差する方向での電極体20の端部20b及び20cに接続される正極集電体50及び負極集電体60とを備える。蓄電素子100では、正極集電体50の1つの脚部52が、電極体20の端部20bにおける対向する部位である平坦壁状部24a及び24bの部位それぞれの正極集電タブ群26に接続される。また、負極集電体60の1つの脚部62が、電極体20の端部20cにおける対向する部位である平坦壁状部24a及び24bの部位それぞれの負極集電タブ群27に接続される。
上述の構成において、正極集電体50の1つの脚部52が、電極体20の端部20bの複数の正極集電タブ群26に接続されるため、各正極集電タブ群26における集束される正極21の層数が、低減する。これにより、正極集電タブ群26での正極21の集束が容易になり、さらに、低減した層数の正極21の正極集電タブ群26と正極集電体50の1つの脚部52との接続は容易である。よって、正極集電体50と電極体20との接続構造の簡易化が可能になる。さらに、集束及び正極集電体50との接続が容易である電極体20の正極集電タブ群26は、その大きさを低減することができ、具体的には、巻回軸A方向での正極集電タブ群26の幅を低減することができる。
同様に、負極集電体60についても、その1つの脚部62が、電極体20の端部20cの複数の負極集電タブ群27に接続されるため、負極集電体60と電極体20との接続構造の簡易化が可能になる。さらに、電極体20の負極集電タブ群27は、その大きさ、具体的には、巻回軸A方向での負極集電タブ群27の幅を低減することができる。
そして、蓄電素子100の寸法が規定されている場合などでは、正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27の大きさに起因して正極21及び負極22それぞれが受ける正極活物質層及び負極活物質層の面積の制限が、緩和される。つまり、正極活物質層が塗工される正極21及び負極活物質層が塗工される負極22における巻回軸A方向の幅を大きくとることができる。よって、電極体20のエネルギー密度を高くすることが可能になる。
さらにまた、1つの脚部52に接続される複数の正極集電タブ群26が、電極体20の端部20bにおける対向する平坦壁状部24a及び24bの部位の両方にわたって存在するため、正極集電タブ群26における電流の偏りが低減する。よって、正極集電体50と電極体20との接続部分での電気的な負荷が低減する。同様に、1つの脚部62に接続される複数の負極集電タブ群27が、電極体20の端部20cにおける対向する平坦壁状部24a及び24bの部位の両方にわたって存在するため、負極集電タブ群27における電流の偏りが低減する。よって、負極集電体60と電極体20との接続部分での電気的な負荷が低減する。
さらに、例えば、複数の正極集電タブ群26を形成する正極集電タブ21aに関して、正極21の一巻あたりに複数の正極集電タブ21aを設けた場合、各正極集電タブ21aにおける集電領域の終端までの距離を短くすることができる。同様に、複数の負極集電タブ群27を形成する負極集電タブ22aに関して、負極22の一巻あたりに複数の負極集電タブ22aを設けた場合、各負極集電タブ22aにおける集電領域の終端までの距離を短くすることができる。よって、正極集電タブ21a及び負極集電タブ22aにおける電流負荷の集中が低減する。
本実施の形態に係る蓄電素子100において、複数の正極集電タブ群26及び複数の負極集電タブ群27はそれぞれ、正極集電体50の脚部52及び負極集電体60の脚部62の延在方向にずれて位置する。上述の構成において、脚部52における脚部52と正極集電タブ群26との接続位置を離すことが可能になる。同様に、脚部62における脚部62と負極集電タブ群27との接続位置を離すことが可能になる。よって、脚部52及び62それぞれと、正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27との接続が容易になる。さらに、脚部52及び62における電流負荷の集中が、抑えられもする。
本実施の形態に係る蓄電素子100において、電極体20は、正極21及び負極22が巻回されて形成され、複数の正極集電タブ群26及び複数の負極集電タブ群27はそれぞれ、電極体20の巻回方向Bに沿って略均等に配置される。上述の構成において、各正極集電タブ群26及び各負極集電タブ群27における電流負荷の均等化が可能になる。
本実施の形態に係る蓄電素子100において、正極21及び負極22の積層方向と交差する方向に突出する電極体20の正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27がそれぞれ、正極集電体50の脚部52との接続部及び負極集電体60の脚部62との接続部を構成する。上述の構成において、突出する正極集電タブ群26に正極集電体50の脚部52が接続されればよい。同様に、突出する負極集電タブ群27に負極集電体60の脚部62が接続されればよい。よって、正極集電体50及び負極集電体60と電極体20との接続構造の簡易化が可能になる。さらに、正極集電体50及び負極集電体60の形状の自由度が増し、正極集電体50及び負極集電体60の構造の簡略化も可能になる。また、正極21及び負極22では、正極集電タブ群26の正極集電タブ21a及び負極集電タブ群27の負極集電タブ22aのみを活物質層を積層しない未塗工部とすればよいため、不要な未塗工部の低減が可能になる。よって、電極体20のエネルギー密度を高くすることが可能になる。
本実施の形態に係る蓄電素子100において、電極体20は、互いに対向する平坦壁状部24a及び24bと、平坦壁状部24a及び24b同士をつなぐ湾曲壁状部24c及び24dとを含み、正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27は、互いに対向する平坦壁状部24a及び24bに位置する。上述の構成において、電極体20並びに正極集電体50及び負極集電体60を扁平な形状とすることができる。そして、電極体20における平坦な部分にある正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27と、正極集電体50の脚部52及び負極集電体60の脚部62との接続は、容易である。
本実施の形態に係る蓄電素子100において、電極体20は、正極21及び負極22の積層方向と交差する方向での電極体20の一方の端部20bに、正極集電タブ群26を含み、正極21及び負極22の積層方向と交差する方向での電極体20の一方の端部20bと反対側の端部20cに、負極集電タブ群27を含む。上述の構成において、正極集電体50と負極集電体60とが、電極体20における異なる端部に接続されるため、正極集電体50及び負極集電体60と電極体20との接続が容易になる。さらに、正極集電体50及び負極集電体60の形状の自由度を増すことができ、正極集電体50及び負極集電体60の構造の簡易化も可能になる。
[その他の変形例]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
実施の形態に係る蓄電素子100は、1つの電極体20を備えていた。しかしながら、蓄電素子は、2つ以上の電極体を備えるものであってもよい。上述の構成においても、1つの電極体の正極及び負極のそれぞれに、集電体の1つ脚部が接続されるように構成することができる。
実施の形態に係る蓄電素子100では、電極体20に2つの正極集電タブ群26と2つの負極集電タブ群27とが形成されていたが、これに限定されるものでない。正極集電タブ群及び負極集電タブ群の少なくとも一方が2つ以上であってよい。正極集電タブ群の数量及び負極集電タブ群の数量は、同じであっても異なっていてもよい。正極集電タブ群及び負極集電タブ群の一方又は両方が3つ以上である場合も、正極集電タブ群及び負極集電タブ群は、電極体の巻回方向に沿って略均等に分布して配置されてよい。上述の構成においても、電極体の全ての正極集電タブ群に正極集電体の1つの脚部が接続され、全ての負極集電タブ群に負極集電体の1つの脚部が接続されるように構成することができる。
実施の形態に係る蓄電素子100では、電極体20の正極集電タブ群26を形成する正極集電タブ21aは、巻回毎に存在するように正極21に形成されていたが、複数の巻回毎に形成されてもよい。同様に、負極集電タブ群27を形成する負極集電タブ22aも、巻回毎に存在するように負極22に形成されていたが、複数の巻回毎に形成されてもよい。
また、実施の形態に係る蓄電素子100の電極体20では、2つの正極集電タブ群26を形成するために、正極21の一巻回につき、2つの正極集電タブ21aが形成されていたが、正極21の一巻回あたりの正極集電タブ21aは1つであってもよい。同様に、2つの負極集電タブ群27を形成するための負極集電タブ22aが、負極22の一巻回につき1つであってもよい。正極集電タブ群26又は負極集電タブ群27が3つ以上ある場合でも、正極21又は負極22の一巻回につき、2つ以下の正極集電タブ21a又は負極集電タブ22aが、形成されてもよい。
また、実施の形態に係る蓄電素子100の電極体20では、セパレータ23に対して巻回方向Bに沿った縁への処理が施されていなかったが、これに限定されるものでない。図11に示すように、巻回方向Bつまりその延在方向に沿ったセパレータ23の両側の縁部分23b及び23cを加工処理してもよい。なお、図11は、図3の電極体20の巻回軸Aを通り且つ電極体20の扁平方向に略垂直な拡大断面を方向XIからみた図である。図11では、電極体20の端部20b及び20c付近の拡大断面図が示されている。
図11を参照すると、正極21は、正極基材層211の両側の表面上に正極活物質層212が積層された構成を有し、負極22は、負極基材層221の両側の表面上に負極活物質層222が積層された構成を有している。端部20b及び20cではそれぞれ、正極21、負極22及びセパレータ23の積層方向で、正極21に両側で隣り合う2つのセパレータ23における正極21の縁21b及び21cそれぞれよりも突出する縁部分同士が、接合されている。つまり、2つのセパレータ23の縁部分同士が、正極21の縁21b及び21cを覆うように接合されている。
具体的には、端部20bでは、セパレータ23の延在方向である長手方向に沿う縁部分23bが、正極21の縁21bよりも端部20cから端部20bに向かう方向に突出している。正極21に両側で隣り合う2つのセパレータ23の縁部分23b同士が、超音波溶着、熱溶着等の接合方法で、縁部分23bの延在方向に沿って互いに接合されている。接合部は、縁部分23bの延在方向に沿って連続する接合部によって形成されてもよく、縁部分23bの延在方向に沿って間隙をあけて並ぶ複数の接合部によって形成されてもよく、縁部分23bの延在方向に沿って間隙をあけて並ぶ多数のスポット状の接合部によって形成されてもよい。なお、正極集電タブ21aがセパレータ23の縁部分23b同士の間に介在する部分では、縁部分23bは接合されなくてもよい。或いは、縁部分23bが、上述と同様の接合方法で正極集電タブ21aに接合されてもよい。上述のようなセパレータ23は、正極21の縁21bを覆う。
端部20cでも、端部20bと同様に、セパレータ23の長手方向に沿う縁部分23cが、正極21の縁21cよりも端部20bから端部20cに向かう方向に突出している。正極21に両側で隣り合う2つのセパレータ23の縁部分23c同士が、上述と同様の接合方法で、縁部分23cの延在方向に沿って互いに接合されている。これにより、正極21の縁21cがセパレータ23によって覆われる。
セパレータ23が正極21の縁21b及び21cを覆うことによって、正極集電タブ群26と正極集電体50との溶接時、及び、負極集電タブ群27と負極集電体60との溶接時に発生し得る正極集電タブ21a及び負極集電タブ22aからの金属粉、金属粒子等の異物が、正極21に付着するのが抑制される。特に、負極集電タブ22aからの金属粉、金属粒子等は、電位が貴である正極21に付着すると陽イオン化し、陽イオンは、セパレータ23を通過して負極22に到着すると金属として析出し得る。析出した金属は、堆積すると、セパレータ23を破って正極21に至り、正極21と負極22とを短絡させる可能性がある。上述のように縁部分23b及び23cが接合されたセパレータ23は、上記短絡の発生を抑制することができる。
なお、上述の構成では、セパレータ23の縁部分23b及び23cはそれぞれ、正極21の縁21b及び21cを覆うように構成されていたが、これに限定されない。セパレータ23の縁部分23b及び23cはそれぞれ、負極22の縁22b及び22cを覆うように構成されてもよい。又は、セパレータ23の縁部分23b及び23cはそれぞれ、正極21の縁21b及び負極22の縁22cを覆う、若しくは、負極22の縁22b及び正極21の縁21cを覆うように構成されてもよい。又は、セパレータ23の縁部分23b及び23cの一方のみが、正極21若しくは負極22の縁を覆うように構成されてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100では、電極体20の正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27はそれぞれ、正極集電体50の脚部52及び負極集電体60の脚部62の延在方向に沿って離れて位置していたが、これに限定されるものでない。正極集電タブ群26及び負極集電タブ群27の一方又は両方が、互いに向き合うように対向して位置していてもよい。上述の構成においても、例えば、脚部をコの字状又はU字状の曲げ形状とすることによって、正極集電体の脚部と負極集電体の脚部とがそれぞれ、電極体の全ての正極集電タブ群と全ての負極集電タブ群と接続されるように構成することができる。
実施の形態に係る蓄電素子100では、正極集電体50の脚部52と負極集電体60の脚部62とがそれぞれ、角度を伴った屈曲形状を有していたが、これに限定されるものでない。正極集電体の脚部及び負極集電体の脚部の一方又は両方において、脚部の屈曲部又は脚部の全体を、例えばS字状などの湾曲形状としてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100では、正極集電体50の固定部51と脚部52とが一体に成形され、負極集電体60の固定部61と脚部62とが一体に成形されていたが、これに限定されるものでない。正極集電体及び負極集電体の一方又は両方において、固定部と脚部とを分離可能な別部品としてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100は、縦巻き型の電極体を有する蓄電素子であったが、端部20b又は20cを容器10の蓋体12に対向させる向きで電極体20が配置される横巻き型の電極体を有する蓄電素子であってもよい。さらに、正極集電体50と負極集電体60とは、電極体20の1つの端部に接続されてもよく、対向する2つの端部にそれぞれ接続されてもよい。
実施の形態に係る蓄電素子100では、電極体20は、1つの正極と1つの負極とが共に巻回されて形成される巻回型の電極体であったが、これに限定されるものでない。電極体は、多数の正極と多数の負極とが積層されて形成される積層型(スタック型とも呼ばれる)の電極体であってもよく、積層された正極と負極とが共に折り畳まれて多数層の正極及び負極が形成されるZ字型の電極体であってもよい。例えば、電極体の正極において、積層型の電極体の場合及びZ字型の電極体の場合のいずれであっても、正極及び負極の積層方向に、多数層の正極を複数の集合体に区分けすることができる。さらに、複数層の正極を含む各集合体において、積層方向と略垂直な方向での端部に位置する正極の正極集電タブ群をその積層方向に集束し、集束した正極集電タブ群を正極集電体の脚部と接続することができる。さらにまた、複数の正極集電タブ群と正極集電体の脚部との間の複数の接続部は、脚部の延在方向にずらして配置することができ、脚部の延在方向に交差する方向、例えば直交する方向に離して配置することもできる。
また、実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。また、本発明は、上述のような蓄電素子として実現することができるだけでなく、1つ以上の蓄電素子を備える蓄電装置においても実現することができる。