JP6724322B2 - 真空断熱材用外装材、およびそれを用いた真空断熱材、ならびに真空断熱材付き機器 - Google Patents
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Description
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築、貯蔵庫等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
なお、本明細書内において、ガスに対するバリア性能を「ガスバリア性能」、蒸気に対するバリア性能を「蒸気バリア性能」、ガスバリア性能および蒸気バリア性能を総じて「バリア性能」と称する場合がある。
すなわち、外装材の初期のバリア性能が高いにも関わらず、多層バリア層を含む複数のバリア層の積層順によっては、上記外装材を真空断熱材に用いた際に、上記外装材により奏されるバリア性能が経時低下してしまうのである。
そして、有機無機複合バリア膜の熱溶着層側に位置する層が、真空断熱材表面側に位置する層よりも高い水蒸気透過度を示すと、真空断熱材の芯材側へ水蒸気が優先して拡散するため、真空断熱材の内部へ水蒸気が浸入してしまう。その結果、真空断熱材は、内部真空度の低下により、断熱性能を維持できなくなることが推量される。
加えて、真空断熱材の使用環境下では、外装材が高温下に曝されるため、外装材内の水蒸気の拡散速度が上昇し、真空断熱材の内部真空度の低下が短時間で生じることが予想される。
本発明の真空断熱材用外装材は、熱溶着層、第1バリア層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、上記第1バリア層は、上記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、上記無機バリア層の上記無機膜上に形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、上記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、上記第2バリア層は、上記第1バリア層の上記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とするものである。
第1バリア層1は、熱溶着層3側から樹脂基材11および無機膜12をこの順で有する無機バリア層20と、無機膜12上に形成された有機無機複合バリア膜21と、を有する。有機無機複合バリア膜21は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜である。また、有機無機複合バリア膜21は、所定の一般式で表わされる少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、水溶性高分子と、を含有し、さらに、ゾルゲル法により重縮合して得られる有機無機複合バリア膜用組成物からなる塗布膜でもある。
本発明では、第2バリア層2は、第1バリア層1の無機バリア層20よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする。
本発明における第1バリア層は、上記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、上記無機バリア層の上記無機膜上に形成された有機無機複合バリア膜と、を有する。
第1バリア層の水蒸気透過度は、40℃、90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を使用して、JIS K7129に従い測定することができる。以下、本明細書において説明する水蒸気透過度は、上述の方法と同様の方法を用いて測定することができる。
有機無機複合バリア膜は、上記無機バリア層の上記無機膜上に形成され、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜である。
下記式(I)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、金属アルコキシドとしてアルコキシシランを含み、水溶性高分子としてポリビニルアルコールを含む有機無機複合バリア膜用組成物を用いて形成された例である。下記式(I)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、ポリビニルアルコール骨格を有する有機ポリマー成分と、アルコキシシランがSi−O−Si結合を形成したポリマー骨格を有する金属酸化物成分と、を含み、上記有機ポリマー成分と上記金属酸化物成分との間に架橋結合を有している。
また、下記式(II)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、金属アルコキシドとしてアルコキシシランを含み、水溶性高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む有機無機複合バリア膜用組成物を用いて形成された例である。下記式(II)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、エチレン−ビニルアルコール共重合体骨格を有する有機ポリマー成分と、アルコキシシランがSi−O−Si結合を形成したポリマー骨格を有する金属酸化物成分と、を含み、上記有機ポリマー成分と上記金属酸化物成分との間に架橋結合を有している。
下記式(III)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、金属アルコキシドとしてアルコキシシランを含み、水溶性高分子としてポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体を含む有機無機複合バリア膜用組成物を用いて形成された例である。下記式(III)で示す構造式を有する有機無機複合バリア膜は、ポリビニルアルコール骨格を有する有機ポリマー成分と、エチレン−ビニルアルコール共重合体骨格を有する有機ポリマー成分と、アルコキシシランがSi−O−Si結合を形成したポリマー骨格を有する金属酸化物成分と、を含み、上記2種類の有機ポリマー成分と上記金属酸化物成分との間にそれぞれ架橋結合を有している。
有機無機複合バリア膜に含まれる金属酸化物成分は、一般式R1 nM(OR2)mで(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドのモノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物を含むものである。金属アルコキシドのオリゴマーおよびポリマーは、金属アルコキシドの金属元素間に酸素原子を介在して結合したM−O−M結合を有する。
上記有機無機複合バリア膜は、使用する上記有機無機複合バリア膜用組成物の組成に応じて、例えば、金属アルコキシドのポリマーを主成分とする金属酸化物成分、金属アルコキシドのモノマーを主成分とする金属酸化物成分等を含む。
以下、金属アルコキシドについて説明する。
金属酸化物成分は、含有する金属アルコキシド中の金属原子に応じて、同一の金属原子を含んでいてもよく、2種以上の異なる金属原子を含んでいてもよい。
また、R2で表される有機基は、炭素数が1〜8の範囲内であればよく、分岐を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等のアルキル基を挙げることができる。
金属アルコキシド中のR1およびR2は同一であっても異なってもよい。金属アルコキシドのオリゴマーまたはポリマーは、R1およびR2の少なくとも一部が脱プロトン化されている。
有機無機複合バリア膜中の有機ポリマー成分は、有機無機複合バリア膜の構造式において、水溶性高分子の、金属アルコキシドと反応可能な水酸基を除く骨格部分を少なくとも有するものである。
以下、水溶性高分子について説明する。
例えば、水溶性高分子としてPVAおよびEVOHを併用する場合、有機無機複合バリア層は、有機ポリマー成分として、PVAの骨格を有する有機ポリマー成分と、EVOHの骨格を有する有機ポリマー成分と、を含むことができる。このとき、PVAおよびEVOHの配合割合は、質量比でPVA:EVOH=10:0.05〜10:6の範囲内あることが好ましい。
有機無機複合バリア膜は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。上記シランカップリング剤は、1種類または2種類以上の混合物であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、特開2010−284854号公報、特開2011−5839号公報等で開示される材料を用いることができる。
上述の任意の材料は、例えば、特開2007−98676号公報に開示される材料を用いることができる。なお、無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいう。
有機無機複合バリア膜の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により有機無機複合バリア膜の切片を観察することにより直接測定することができる。
上記有機無機複合バリア膜は、ゾルゲル法を用いた従来公知の方法により形成することができる。具体的には、金属アルコキシドおよび水溶性高分子を含む有機無機複合バリア膜用組成物をゾルゲル法により調製し、これを無機バリア層の無機膜上に常法により塗布し、加熱乾燥して、ゾルゲル反応による脱水重縮合により硬化させる方法が用いられる。
アルコキシシランや金属アルコキシドは、添加された水によって加水分解される。加水分解の際には、酸が加水分解の触媒として作用する。次いで、ゾル−ゲル法触媒の働きによって、加水分解によって生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
無機バリア層は、上記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する。上記無機バリア層は、第1バリア層内において、上記有機無機複合バリア膜よりも熱溶着層側に位置する。
無機膜は、樹脂基材の一方の面に形成され、無機バリア層のバリア性能に主に寄与するものである。
無機膜は、無機バリア層全体で所望の水蒸気バリア性能を示すことが可能なものであればよく、例えば、金属蒸着膜等の金属薄膜、無機化合物の蒸着膜である無機化合物膜が挙げられる。
上記無機膜は透明性を有していてもよく有さなくてもよい。
より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素等を挙げることができる。
上記無機化合物は、単独で用いてもよいし、上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
一方、無機膜が無機化合物膜であれば、例えば、PVD法やCVD法等の乾式製膜法を用いて、樹脂基材上に無機化合物膜を形成することができる。PVD法およびCVD法による具体的な無機膜の製膜方法については、例えば、特開2011−5835号公報に開示される方法を用いることができる。
樹脂基材は、無機膜を担持可能なものであれば特に限定されないが、本発明の真空断熱材用外装材が所望のフレキシブル性を示すことが好ましい観点から、樹脂フィルムや樹脂シートが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
上記樹脂基材は透明性を有していてもよく有さなくてもよい。
無機バリア層は、酸素透過度が低いことが好ましく、例えば、1.0cc/m2/day以下の範囲内が好ましく、中でも0.5cc/m2/day以下の範囲内が好まく、特に0.2cc/m2/day以下の範囲内が好ましい。無機バリア層の酸素透過度を上記範囲内とすることで、第1バリア層が高い水蒸気バリア性能を発揮するだけでなく、高いガスバリア性能を発揮することが可能となるからである。
無機バリア層の酸素透過度は、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(米国MOCON社製、OXTRAN)を使用し、JIS K7126に従い測定することができる。以下、本細書内において説明する酸素透過度は、上述の方法と同様の方法を用いて測定することができる。
第1バリア層は、酸素透過度が低いことが好ましく、例えば、1.0cc/m2/day以下の範囲内が好ましく、中でも0.5cc/m2/day以下の範囲内が好ましく、特に0.2cc/m2/day以下の範囲内が好ましい。第1バリア層の酸素透過度を上記範囲内とすることで、第1バリア層が高い水蒸気バリア性能を発揮するだけでなく、高いガスバリア性能を発揮することが可能となるからである。
本発明における第2バリア層は、第1バリア層の熱溶着層側と反対側に設けられる層であり、上記第1バリア層の上記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高い層である。
第2バリア層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよい。
樹脂層は、水蒸気透過度と厚みとが反比例の関係にあることから、樹脂層の厚みを調整することにより、上記樹脂層の水蒸気透過度を調整することが可能である。
中でも、無機バリア層は、無機膜が珪素酸化物膜であり、樹脂基材がPETであることが好ましい。珪素酸化物膜は水蒸気バリア性能および耐屈曲性能が高く、またPETは機械特性が高く、突刺し等による外部衝撃に強いからである。
第2バリア層が有する有機無機複合バリア膜は、上述の「1.第1バリア層 (1)有機無機複合バリア膜」の項で説明したものと同様とすることができる。
また、第2バリア層が、無機バリア層および有機無機複合バリア膜を有する場合、上記第2バリア層は、上記有機無機複合バリア膜を第1バリア層側として配置してもよく、上記無機バリア層を第1バリア層側として配置してもよい。
さらに、第2バリア層が無機バリア層であれば、無機膜および樹脂基材のそれぞれの厚みは、例えば、上述の「1.第1バリア層 (2)無機バリア層」の項で説明した無機膜および樹脂基材のそれぞれの厚みの範囲と同様とすることができる。
第2バリア層の厚みが所望の範囲を下回ると、製膜が不十分となり所望の水蒸気バリア性能を示すことができない場合がある。一方、第2バリア層の厚みが所望の範囲を超えると、クラックが発生しやすくなり可撓性が低下するおそれや、第2バリア層が金属層である場合に、本発明の真空断熱材用外装材を用いて形成された真空断熱材において、ヒートブリッジが生じるおそれがある。
本発明における熱溶着層は、第1バリア層の第2バリア層側と反対側の面に形成され、本発明の真空断熱材用外装材の積層方向において一方の最表層を担う。
上記熱溶着層は、本発明の真空断熱材用外装材を用いて真空断熱材を製造する際に、芯材と接する層であり、上記真空断熱材用外装材で芯材を覆い減圧密封する際に、芯材を介して対向する真空断熱材用外装材の周縁同士を接着する機能を有する。
本発明の真空断熱材用外装材は、上述の熱溶着層、第1バリア層および第2バリア層の他に、上記第1バリア層に対し、上記第2バリア層の積層側に保護層を有することが好ましい。真空断熱材用外装材において、保護層よりも熱溶着層側に位置する層を外部衝撃から保護し、第1バリア層や第2バリア層にクラックやピンホール等が発生することによるバリア性能の低下を防ぐことができるからである。
また、保護層の酸素透過度は、第1バリア層および第2バリア層よりも高ければよく、適宜設定することができる。
保護層の水蒸気透過度は、保護層の厚みを調整することで調整が可能である。
本発明の真空断熱材用外装材において、保護層を上記真空断熱材用外装材の積層方向において他方の最表層とする場合、本発明の真空断熱材用外装材を用いて真空断熱材を形成する際に、真空断熱材の表面を担う層となる。
また、本発明の真空断熱材用外装材においては、複数の保護層を有していてもよい。
なお、後述する図2に例示する真空断熱材において、真空断熱材用外装材10は、最表層に保護層4を有する。
本発明においては、第2バリア層を複数有していてもよい。第2バリア層を複数有する場合は、第1バリア層側から順に水蒸気透過度が高くなるように積層されることが好ましい。複数の第2バリア層は、同一の組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、上記外装材は、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材であることを特徴とする。
本発明における外装材は、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材である。上記外装材は、芯材を覆うように対向して配置され、周縁が封止されることで、上記芯材を内包するものである。
外装材の詳細については、上述の「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における芯材は、対向する外装材により覆われるものであり、外装材により密閉される。
芯材としては、例えば、粉体、発泡体、繊維体等の多孔質材が挙げられる。多孔質材は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
であってもよい。
本発明の真空断熱材は、外装材が透明である場合には、内部に検知剤を含んでいてもよい。検知剤の変化から内部の真空状態を確認できるからである。検知剤については、例えば特開2015−117801号公報に開示される酸素検知剤や水分検知剤等の気体検知剤、温度検知剤等を用いることができる。上記検知剤は真空断熱材の内部に分散されていてもよく、所望の位置に固定配置されていてもよい。
本発明の真空断熱材付き機器は、本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、上記真空断熱材が、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する上記外装材の周縁が封止されており、上記外包材は、上述した「A.真空断熱材用外装材」の項で説明した真空断熱材用外装材であることを特徴とするものである。
このような機器としては、例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(登録商標「エコキュート」)、冷蔵庫、自動販売機、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、システムバス、OA機器等の電化機器、クーラーボックス、コンテナ、燃料タンク、温水タンク、保温庫、等の貯蔵機器、自動車、飛行機、船舶、列車等の輸送機器、住宅壁等の建材設備機器等が挙げられる。
1.水蒸気透過度および水蒸気バリア比率
実施例および比較例で得た真空断熱材用外装材、ならびに、真空断熱材用外装材を構成する各層の水蒸気透過度は、40℃、90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を使用して、JIS K7129に従い測定した。
また、実施例および比較例で得た真空断熱材用外装材の、第1バリア層の無機バリア層の水蒸気透過度(WVTR1)に対する第2バリア層の水蒸気透過度(WVTR2)の比率(WVTR2)/(WVTR1)を算出した。
なお、比較例1および2において、WVTR2は、無機バリア層の水蒸気透過度であり、また、比較例3おいて、WVTR1は、「第1バリア層の無機バリア層の水蒸気透過度」にかえて「アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム」の水蒸気透過度とした。
実施例および比較例で得た真空断熱材の初期熱伝導率(0時間)、および70℃下50時間後の熱伝導率を測定した。熱伝導率は、JIS A1412−3に従い熱伝導率測定装置オートラムダ(英弘精機製 HC−074)を用いた熱流計法により測定した。
1.有機無機複合バリア膜用組成物の調製
表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明の有機無機複合バリア膜用組成物を得た。
無機バリア層(三菱樹脂製 テックバリアLX(樹脂基材:PET 無機膜:シリカ蒸着膜) 水蒸気透過度0.4g/m2/day)のシリカ蒸着膜上に、上記有機無機複合バリア膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで、120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理して、厚み0.3μm(乾燥状態)の有機無機複合バリア膜を形成し、バリア層を得た。バリア層全体での水蒸気透過度は、0.01g/m2/dayであった。
ポリエステルを主成分とする主剤と脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:14となるように混合し、2液硬化型の層間接着剤を調製した。
上記バリア層を第1バリア層として用い、上記第1バリア層の上記有機無機複合バリア膜上に、上記層間接着剤を塗布量3.5g/m2となるようにグラビアコート法で塗布し乾燥して層間接着層を形成した。上記層間接着層上に、第2バリア層として厚み12μmの2軸延伸PETフィルム(ユニチカ製 エンブレットPTMB 水蒸気透過度53g/m2/day)を貼り合せた。上記第2バリア層上に、先に述べた方法で層間接着層を形成し、その上に保護層として厚み25μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ製 エンブレットONBC 水蒸気透過度324g/m2/day)を貼り合せた。
次に、上記第1バリア層の上記PET上に、先に述べた方法で層間接着層を形成し、その上に、熱溶着層として厚み50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ製 TUX−HCE)を貼り合せて、真空断熱材用外装材を得た。
得られた真空断熱材用外装材を2枚重ねて、矩形の3方向をヒートシールして1方向のみが開口した袋体を作成した。芯材として300×300×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理(145℃で1時間)を行った後、上記袋体に上記芯材を収納して、上記袋体内部を真空排気した。その後、上記袋体の開口部分をヒートシールにより密封して、真空断熱材を得た。封止圧力は0.05Torrとした。その後、プレス加圧装置を用いて、圧力70ton(約150kgf/cm2)で、真空断熱材を加圧圧縮した。
第2バリア層として、厚み12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レフィルム加工製 VM−PET1510(樹脂基材:PET 無機膜:アルミ蒸着膜) 水蒸気透過度0.7g/m2/day)を用い、上記第2バリア層のアルミ蒸着膜を上記第1バリア層の上記有機無機複合バリア膜上の層間接着層と貼り合せたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
また、得られた真空断熱材用外装材を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
上述の実施例1の「2.バリア層の作製」の項で作製したバリア層を第2バリア層として用い、上記第2バリア層の有機無機複合バリア膜を上記第1バリア層の有機無機複合バリア膜と貼り合せたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
また、得られた真空断熱材用外装材を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
保護層にかえて、上述の実施例1の「2.バリア層の作製」の項で作製したバリア層を用い、上記バリア層の樹脂基材を、第2バリア層との貼合面として貼り合せたこと以外は、比較例1と同様にして真空断熱材用外装材を得た。
また、得られた真空断熱材用外装材を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
第1バリア層として、厚み12μmのアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(クラレ製 エバールVMXL(樹脂基材:EVOH 無機膜:アルミ蒸着膜) 水蒸気透過度0.5g/m2/day)を用い、上記第1バリア層のアルミ箔上に、実施例1と同様の方法で層間接着層を形成し、その上に、第2バリア層として、上述の「2.バリア層の作製」の項で作製したバリア層を、樹脂基材側が上記第1バリア層との貼合面となるようにして貼り合せた。続いて、上記第2バリア層の上記有機無機複合バリア膜上に、実施例1と同様の方法で層間接着層を形成し、その上に実施例1で用いた保護層を貼り合せた。
次に、第1バリア層のPET上に、実施例1と同様の方法で層間接着層を形成し、その上に熱溶着層を貼り合せて、真空断熱材用外装材を得た。
また、得られた真空断熱材用外装材を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を得た。
2 … 第2バリア層
3 … 熱溶着層
10 … 真空断熱材用外装材
11 … 樹脂基材
12 … 無機膜
20 … 無機バリア層
21 … 有機無機複合バリア膜
31 … 芯材
32 … 外装材
30 … 真空断熱材
Claims (7)
- 熱溶着層、第1バリア層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材用外装材。 - 前記第1バリア層に対し、前記第2バリア層の積層側に保護層を有することを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材用外装材。
- 熱溶着層、第1バリア層、保護層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記保護層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記第2バリア層は、前記保護層に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材用外装材。 - 芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、第1バリア層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材。 - 芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、
前記外装材は、前記芯材側から熱溶着層、第1バリア層、保護層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記保護層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記第2バリア層は、前記保護層に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材。 - 本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、
前記真空断熱材が、芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止されており、
前記外包材は、前記芯材側から熱溶着層、第1バリア層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材付き機器。 - 本体又は内部に熱源部もしくは被保温部を有する機器、および真空断熱材を少なくとも備える真空断熱材付き機器であって、
前記真空断熱材が、芯材および前記芯材を覆うように対向して配置される外装材を有し、対向する前記外装材の周縁が封止されており、
前記外包材は、前記芯材側から熱溶着層、第1バリア層、保護層および第2バリア層が少なくともこの順で積層されており、
前記第1バリア層は、前記熱溶着層側から樹脂基材および無機膜をこの順で有する無機バリア層と、前記無機バリア層の前記無機膜上に直接形成された有機無機複合バリア膜と、を有し、
前記保護層は、前記第1バリア層の前記有機無機複合バリア膜に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記第2バリア層は、前記保護層に直接あるいは層間接着層を介して直接積層されており、
前記有機無機複合バリア膜は、有機ポリマー成分と金属酸化物成分とを含む混合膜であり、
前記第2バリア層は、金属層あるいは無機バリア層であり、前記無機バリア層は樹脂基材および無機膜をこの順で有し、
前記第2バリア層は、前記第1バリア層の前記無機バリア層よりも水蒸気透過度が高いことを特徴とする真空断熱材付き機器。
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