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JP6721417B2 - 硫黄含有重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

硫黄含有重合体組成物およびその製造方法 Download PDF

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JP6721417B2 JP2016109527A JP2016109527A JP6721417B2 JP 6721417 B2 JP6721417 B2 JP 6721417B2 JP 2016109527 A JP2016109527 A JP 2016109527A JP 2016109527 A JP2016109527 A JP 2016109527A JP 6721417 B2 JP6721417 B2 JP 6721417B2
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Description

本発明は、硫黄含有重合体組成物およびその製造方法に関する。より詳しくは、洗剤の原料として好適に用いることができる硫黄含有重合体組成物およびその製造方法に関する。
メタクリル酸及びそのエステルを原料として得られる重合体は、様々な用途に幅広く用いられている樹脂の一種であり、例えば、従来よりセメントの流動性等を向上させるためのセメント分散剤として用いられている(特許文献1参照)。
このようなメタクリル酸系重合体の用途の1つに、洗剤分野がある。従来、衣料類や食器等の洗浄に用いられる洗剤には、洗浄効果を向上させることを目的として、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの洗剤ビルダー(洗剤助剤)を配合することが行われているが、近年では、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとの共重合体等のポリカルボン酸塩等を洗剤ビルダーとして洗剤組成物に配合したものが開示されている(例えば、特許文献2)。
特開平9−86990号公報 特表2010−525128号公報
メタクリル酸系重合体を洗剤用途に用いる場合、洗剤組成物に安定的に配合できることが求められる。上記特許文献2に記載のメタクリル酸系重合体は、配合安定性の点で充分とはいえず、改善する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、洗剤組成物への配合安定性に優れたメタクリル酸系重合体を提供することを目的とする。
本発明者は、メタクリル酸系重合体の洗剤組成物への配合安定性を向上させる方法について種々検討したところ、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位とを含み、重合体の構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体と、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物とを含む硫黄含有重合体組成物の形態とし、かつ、硫黄含有重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合、及び、硫黄含有重合体組成物中における硫黄含有化合物の含有割合を所定の割合とすると、洗剤組成物への配合安定性の高い組成物となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体と、上記硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物とを含む硫黄含有重合体組成物であって、上記硫黄含有重合体は、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位とを含み、重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合が400ppm以上であり、上記硫黄含有重合体組成物中における硫黄含有化合物の含有割合が、硫酸ナトリウム換算で20000ppm以下であることを特徴とする硫黄含有重合体組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位とを含み、重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合が400ppm以上である硫黄含有重合体を含み、更に、硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物の含有割合が硫酸ナトリウム換算で20000ppm以下であることを特徴とする。このような割合を満たすことで、洗剤組成物に含まれる界面活性剤との相溶性が高く、洗剤組成物に対する配合安定性の高い組成物となる。
本発明の該硫黄含有重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合は、400ppm以上であり、好ましくは、500ppm以上であり、更に好ましくは、600ppm以上である。また、該硫黄含有重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合は、1200ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、1000ppm以下であり、更に好ましくは、900ppm以下である。
硫黄含有重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物の含有割合が硫酸ナトリウム換算で20000ppm以下であるが、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物の含有割合は、硫酸ナトリウム換算で15000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、13000ppm以下であり、更に好ましくは、12000ppm以下である。
本発明の硫黄含有重合体組成物中の硫黄含有化合物の含有割合は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明における硫黄含有重合体は、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位とを含むメタクリル酸系重合体である。
該メタクリル酸系重合体におけるメタクリル酸由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100質量%に対して、20〜80質量%であることが好ましい。このような割合で含むことで、硫黄含有重合体が洗剤ビルダーとしてより好適なものとなる。メタクリル酸由来の構造単位の含有割合は、より好ましくは、25〜70質量%であり、更に好ましくは、30〜60質量%である。
また、該メタクリル酸系重合体におけるメタクリル酸エステル由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100質量%に対して、20〜80質量%であることが好ましい。このような割合で含むことで、硫黄含有重合体が洗剤ビルダーとしてより好適なものとなる。メタクリル酸エステル由来の構造単位の含有割合は、より好ましくは、30〜75質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
なお、本発明において、メタクリル酸由来の構造単位は、メタクリル酸塩由来の構造単位であってもよい。その場合の塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の一価金属塩;カルシウム、マグネシウム等の二価金属塩;アンモニウム塩;およびエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリエチルアミン等の有機アミン塩が挙げられる。
上記メタクリル酸系重合体におけるメタクリル酸由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100モル%に対して、50〜99モル%であることが好ましい。このような割合で含むことで、硫黄含有重合体が洗剤ビルダーとしてより好適なものとなる。メタクリル酸由来の構造単位の含有割合は、より好ましくは、60〜98モル%であり、更に好ましくは、70〜97モル%である。
また、該メタクリル酸系重合体におけるメタクリル酸エステル由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100モル%に対して、1〜50モル%であることが好ましい。このような割合で含むことで、硫黄含有重合体が洗剤ビルダーとしてより好適なものとなる。メタクリル酸エステル由来の構造単位の含有割合は、より好ましくは、2〜40モル%であり、更に好ましくは、3〜30モル%である。
上記メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルメタクリレートや、下記式(1)で表される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールメタクリレート等が挙げられる。なお、「(アルコキシ)ポリアルキレングリコールメタクリレート」とは、ポリアルキレングリコールメタクリレート及び/又はアルコキシポリアルキレングリコールメタクリレートを意味する。
上記置換基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、アミン基等が挙げられる。
Figure 0006721417
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは、1〜70の数を表す。)
上記式(1)におけるRとしては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、更に好ましくは、炭素数2〜3のアルキレン基、最も好ましくは、炭素数2のアルキレン基、すなわち、エチレン基である。
上記式(1)におけるRの炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、炭素数1〜2のアルキル基である。
上記式(1)におけるnは、1〜50であることが好ましい。より好ましくは、3〜40であり、更に好ましくは、5〜30である。
上記式(1)で表される(アルコキシ)ポリアルキレングリコールメタクリレートの具体例としては、(メトキシ)ポリエチレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリブチレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリエチレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリプロピレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリブチレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリエチレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート、(エトキシ)ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート、および(エトキシ)ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
本発明における硫黄含有重合体は、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位のみからなるものであってもよく、その他の単量体由来の構造単位を含んでいてもよい。
その他の単量体としては、アクリル酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の炭素数3〜10の不飽和カルボン酸又はその塩;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミドなどの炭素数2〜10の不飽和アミド;スチレン等の炭素数8〜15の芳香族ビニル;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸等の炭素数2〜20の不飽和スルホン酸又はその塩;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体にエチレンオキサイドを6〜200モル付加させた化合物(3−アリルオキシ−1,2−ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン等)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
不飽和カルボン酸や不飽和スルホン酸の塩としては、上述したメタクリル酸塩と同様の塩が挙げられる。
上記その他の単量体由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下である。
また上記その他の単量体由来の構造単位の含有割合は、メタクリル酸系重合体の全構造単位100モル%に対して、30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、20モル%以下であり、更に好ましくは、10モル%以下である。
本発明における硫黄含有重合体は、重量平均分子量が5000〜200000であることが好ましい。このような分子量であると、洗剤用途により好適なものとなる。硫黄含有重合体の重量平均分子量は、より好ましくは、10000〜100000であり、更に好ましくは、20000〜80000であり、特に好ましくは、30000〜60000である。
硫黄含有重合体の重量平均分子量は、GPCにより、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、上記硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物(以下においては、単に硫黄含有化合物とも記載する)を含む。該硫黄含有化合物は、構造中に硫黄原子を含む化合物である限り、その構造は特に制限されないが、硫黄含有化合物が硫黄含有重合体を製造する際に使用される連鎖移動剤由来の化合物であることは、本発明の硫黄含有重合体組成物の好適な形態の1つである。後述するように、連鎖移動剤として使用できる化合物の中には、亜硫酸水素ナトリウムをはじめとして構造中に硫黄原子を含むものがあり、それらを連鎖移動剤として使用した場合には、得られる硫黄含有重合体組成物がそれらの化合物由来の硫黄含有化合物を含むことになる。中でも、後述するように本発明の硫黄含有重合体組成物は、単量体成分とともに亜硫酸水素ナトリウムを使用して重合反応を行うことで製造されることが好ましい。この場合、得られる硫黄含有重合体組成物は、硫黄含有化合物として硫酸ナトリウムを含むものとなる。したがって、該硫黄含有化合物が硫酸ナトリウムであることは本発明の硫黄含有重合体組成物の好適な形態の1つある。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物、及び、溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、未反応の単量体、重合促進剤等が挙げられる。
本発明の硫黄含有重合体組成物におけるその他の成分の含有割合は、硫黄含有重合体組成物全体100質量%に対して、3質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、2質量%以下であり、更に好ましくは、1質量%以下である。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、固形分濃度が20〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは、25〜65質量%であり、更に好ましくは、30〜60質量%である。固形分濃度がこのような範囲であると、生産性を損なわず、また反応溶液の粘度上昇を抑えることで取扱い性が向上する。
硫黄含有重合体組成物の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の硫黄含有重合体組成物が含む溶媒としては、後述する硫黄含有重合体組成物の製造時に使用されるが挙げられる。
上述したように、本発明の硫黄含有重合体組成物は、洗剤組成物に対する配合安定性が高い組成物であることから、洗剤用途に好適に用いることができる。このように、本発明の硫黄含有重合体組成物が、洗剤用途に用いられることは本発明の好適な実施形態の1つである。更に、本発明の硫黄含有重合体組成物を含む洗剤組成物もまた、本発明の1つである。
洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において一般的に知られているものを用いることができる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
本発明の硫黄含有重合体組成物を製造する方法は特に制限されないが、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分に対して、亜硫酸水素ナトリウムを0.1〜6g/molの割合で使用して重合反応を行う工程を含む方法が好ましい。このようにすると、本発明の重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合及び硫黄含有化合物の含有量を満たす硫黄含有重合体組成物を簡便に製造することができる。
このような硫黄含有重合体組成物の製造方法、すなわち、構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体と、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物とを含む硫黄含有重合体組成物を製造する方法であって、該製造方法は、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分を原料とし、該単量体成分に含まれる単量体に対して、亜硫酸水素ナトリウムを0.1〜6g/molの割合で使用して重合反応を行う工程を含むことを特徴とする硫黄含有重合体組成物の製造方法もまた、本発明の1つである。
本発明の硫黄含有重合体組成物の製造方法は、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分に含まれる全単量体に対して、亜硫酸水素ナトリウムを0.1〜6g/molの割合で使用して重合反応を行う工程を含む。亜硫酸水素ナトリウムは、連鎖移動剤としてはたらくものであり、亜硫酸水素ナトリウムを使用して重合反応を行うことで、重合体の主鎖末端に硫黄原子を含む構造部位を有する重合体を得ることができる。また、反応後の重合体には、亜硫酸水素ナトリウム由来の硫酸ナトリウムが含まれることになる。
本発明の硫黄含有重合体組成物の製造方法の重合工程に使用される亜硫酸水素ナトリウムの割合は、単量体成分に含まれる全単量体に対して1〜5g/molであることが好ましい。より好ましくは、1.5〜4.5g/molであり、更に好ましくは、2〜4g/molである。
なお、本発明でいう「単量体成分に含まれる単量体に対して」とは、単量体成分に含まれる全ての単量体の合計を意味する。
上記重合工程は、亜硫酸水素ナトリウムに加え、それ以外の連鎖移動剤を用いて行ってもよい。それ以外の連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びそのナトリウム塩やカリウム塩;亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びそのナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。
亜硫酸水素ナトリウム以外の連鎖移動剤を用いる場合、亜硫酸水素ナトリウムとそれ以外の連鎖移動剤の使用量の合計が単量体成分に含まれる単量体に対して1〜20g/molとなることが好ましい。より好ましくは、2〜15g/molとなることである。
上記重合工程では、亜硫酸水素ナトリウムに加え、それ以外の連鎖移動剤を用いて行ってもよいが、亜リン酸、次亜リン酸及びそのナトリウム塩やカリウム塩等のリン原子含有化合物の使用量が単量体成分に含まれる単量体に対して0.5g/mol以下であることが好ましい。リン原子含有化合物の使用量が0.5g/mol以下であることで、得られる硫黄含有重合体組成物に含まれるリン成分の含有量が充分に低くなり、環境への負荷が低く、洗剤用途により好適な組成物となる。リン原子含有化合物の使用量はより好ましくは、0〜0.3g/molである。最も好ましくは、0g/mol、すなわち、リン原子含有化合物を使用しないことである。
上記メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分に含まれるメタクリル酸の割合は、単量体成分に含まれる全単量体100質量%に対して、20〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは、25〜70質量%であり、更に好ましくは、30〜60質量%である。
また、単量体成分に含まれるメタクリル酸エステルの割合は、単量体成分に含まれる全単量体100質量%に対して、20〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは、30〜75質量%であり、更に好ましくは、40〜70質量%である。
またメタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分は、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む限り、その他の単量体を含んでもよい。その他の単量体の割合は、単量体成分に含まれる全単量体100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下であり、更に好ましくは、10質量%以下である。
上記メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分に含まれるメタクリル酸の割合は、単量体成分に含まれる全単量体100モル%に対して、50〜99モル%であることが好ましい。より好ましくは、60〜98モル%であり、更に好ましくは、70〜97モル%である。
また、単量体成分に含まれるメタクリル酸エステルの割合は、単量体成分に含まれる全単量体100モル%に対して、1〜50モル%であることが好ましい。より好ましくは、2〜40モル%であり、更に好ましくは、3〜30モル%である。
またメタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分は、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む限り、その他の単量体を含んでもよい。その他の単量体の割合は、単量体成分に含まれる全単量体100モル%に対して、30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、20モル%以下であり、更に好ましくは、10モル%以下である。
上記単量体成分に含まれるメタクリル酸エステルやその他の単量体の具体例や好ましい化合物は、上述した本発明における硫黄含有重合体のメタクリル酸エステル由来の構造単位を形成するメタクリル酸エステルやその他の単量体由来の構造単位を形成するその他の単量体の具体例や好ましい化合物と同様である。
上記重合工程は、重合開始剤を用いて行ってもよい。重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物等の1種又は2種以上を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体成分に含まれる単量体に対して1〜12g/molであることが好ましい。より好ましくは、2〜8g/molである。
上記製造方法においては、重合開始剤等の使用量を低減する等の目的で反応促進剤(重合促進剤)を加えてもよい。反応促進剤としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の重金属イオンが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。反応促進剤を用いる場合、溶液中で溶解してこれらの重金属イオンを生成する金属化合物を用いることが取り扱い性の点から好ましく、上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることができる。中でも、モール塩を用いることは、本発明の硫黄含有重合体組成物の製造方法の好適な形態の1つである。
また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらはいずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れたものとなる。
反応促進剤の使用量は、反応液全量に対して1〜100ppmとなる量であることが好ましく、より好ましくは10〜70ppmとなる量である。
上記重合工程は、溶媒を用いて行ってもよい。その場合の溶媒としては、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類等の水性の溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。中でも、水が好ましい。
溶媒の使用量は、単量体成分に含まれる単量体100質量%に対して、40〜300質量%であることが好ましい。より好ましくは、45〜250質量%である。溶媒の使用量が全単量体の総量100質量%に対して40質量%未満の場合には、得られる重合体の分子量が高くなりすぎるおそれがあり、300質量%を超える場合には、重合工程後に場合によっては溶媒除去が必要となるおそれがある。
上記単量体成分、重合開始剤、連鎖移動剤、反応促進剤は、いずれも反応容器に一括添加してもよく、逐次添加してもよいが、得られる重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができることから、逐次添加することが好ましい。
上記重合工程における重合反応の温度は、25〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜150℃である。
また、重合工程における重合反応の時間は、30〜420分であることが好ましい。より好ましくは、60〜360分である。
重合工程は、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれの条件で行ってもよく、反応系内の雰囲気は、空気雰囲気のままで行ってもよいし、不活性ガス雰囲気としてもよい。
本発明の硫黄含有重合体組成物の製造方法は、上記重合工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、熟成工程、中和工程等が挙げられる。
熟成工程を行う場合、熟成時間は、好ましくは1〜120分間、より好ましくは5〜90分間、更に好ましくは30〜60分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成が不十分なために単量体成分が残存することがあり、残存モノマーに起因する不純物によって性能低下等を招くおそれがある。熟成時間が120分間を超える場合には、重合体溶液の着色のおそれがある。
中和工程を行う場合に用いられるアルカリ成分としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン類;などが挙げられる。このようなアルカリ成分は、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。また重合体の中和度は、好ましくは1モル%〜100モル%であり、より好ましくは30モル%〜99モル%であり、最も好ましくは50モル%〜95モル%である。
本発明の硫黄含有重合体組成物は、上述の構成よりなり、界面活性剤との相溶性が高く、洗剤組成物に対する配合安定性が高いことから、洗剤ビルダーとして好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量の測定条件>
下記条件にてGPC分析を行うことで測定した。
装置:東ソー社製HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー社製α−2500、α−m
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min.
検量線:ジーエルサイエンス(クラボウ社製)POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<重合体組成物の固形分測定方法>
130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水1.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出した。
<SO 2−イオン濃度およびSO 2−イオン濃度測定条件>
下記条件にてイオンクロマト分析を行うことで測定した。
装置:東ソー社製 IONCHROMATOGRAPH IC−2010
検出器:CM検出器
検出方法:電気伝導度検出器、4極電極法
イオン分析方式:サプレッサー法
カラム:Shodex IC SI−90 4E
ガードカラム:Shodex SI−90 G
カラム温度:25℃
溶離液:1mM NaCO+4mM NaHCO+5%アセトン
流速:1.2mL/min.
<硫黄含有化合物の含有割合の算出方法>
硫黄含有化合物の含有割合は以下の計算より算出される。
Figure 0006721417
<ICPによる重合体組成物中の硫黄量分析>
重合体組成物中の硫黄量を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって定量した。
装置:SHIMADZU ICPE−9000
測定波長:182.625nm
<重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合算出方法>
重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合は以下の計算より算出される。
Figure 0006721417
<界面活性剤との相溶性の評価>
以下に示す条件(1)および条件(2)の界面活性剤水溶液3gに重合体組成物0.3g(固形分)を混合した後に1時間静置し、目視で確認して以下の基準により評価した。
濁りがない場合を◎、
やや濁っている場合を○、
濁っている場合を×とした。
濁りがないことは、重合体組成物を添加した洗剤が長期間に渡って均一に保たれうること
を示す。
条件(1):ネオペレックスG−65(花王社製)を30.8g秤量し、純水で希釈して、100gの水溶液に調整したものを界面活性剤水溶液として使用した。
条件(2):ネオペレックスG−15(花王社製)を15g、NC2320(日本乳化剤社製)を15g秤量し、純水で希釈して、100gの水溶液に調整したものを界面活性剤水溶液として使用した。
<実施例1>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水110.9g、モール塩0.008gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、70%メタクリル酸(以下、70%MAAと略す。)123.0g、100%メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(EO鎖の平均付加モル数9モル、以下100%PGM−9EOと略す)86.1g、48%水酸化ナトリウム(以下48%NaOHと略す)25.0g、10%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、10%NaPSと略す。)30.5g、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと略す。)11.7g、純水10.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、70%MAAが180分間、100%PGM−9EOが180分間、48%NaOHが180分間、10%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(1)を得た。
<実施例2>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水126.2g、モール塩0.009gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、70%MAA73.8g、80%メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(EO鎖の平均付加モル数23モル、以下80%PGM−23EOと略す)150.7g、48%NaOH15.0g、8%NaPS23.2g、35%SBS7.5g、純水10.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、70%MAAが180分間、80%PGM−23EOが180分間、48%NaOHが180分間、8%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。8%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を8%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(2)を得た。
<実施例3>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水90.0g、モール塩0.008gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、80%MAA107.6g、80%PGM−23EO107.6g、48%NaOH16.7g、10%NaPS28.1g、35%SBS10.8g、純水10.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、80%MAAが180分間、80%PGM−23EOが180分間、48%NaOHが180分間、8%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(3)を得た。
<実施例4>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水93.9g、モール塩0.007gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、70%MAA123.0g、80%PGM−23EO46.1g、48%NaOH25.0g、10%NaPS26.9g、35%SBS10.3g、純水15.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、70%AAが180分間、80%PGM−23EOが180分間、48%NaOHが180分間、8%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(4)を得た。
<実施例5>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水102.6g、モール塩0.009gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、70%MAA104.5g、52%メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(EO鎖の平均付加モル数45モル、以下PGM−45EOと略す)142.1g、48%NaOH21.3g、10%NaPS23.3g、35%SBS9.5g、純水10.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、70%AAが180分間、52%PGM−45EOが180分間、48%NaOHが180分間、8%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(5)を得た。
<実施例6>
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水160.5g、モール塩0.008gを仕込み、攪拌下80℃に昇温した後、60%MAA50.2g、100%PGM−9EO113.4g、48%NaOH8.8g、7%NaPS21.5g、35%SBS5.8g、純水15.0gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、60%MAAが180分間、100%PGM−9EOが180分間、48%NaOHが180分間、7%NaPSが210分間、35%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。7%NaPS滴下終了までの間、温度は80℃を維持した。さらに同温度を7%NaPS滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い、共重合体水溶液(6)を得た。
<比較例1>
特許5595263号の実施例4に準じて、重合体を得た。
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水135.2g、亜リン酸2.2gを仕込み、攪拌下100℃に昇温した後、100%MAA10.8g、100%アクリル酸(以下、100%AAと略す。)27.2g、100%PGM−23EO36.9g、10%NaPS40.4g、40%SBS10.2g、純水97.3gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、100%MAAが180分間、100%AAが180分間、100%PGM−23EOが180分間、10%NaPSが210分間、40%SBSが180分間、そして純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は100℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後100分間にわたって維持して熟成を行い、重合を完結した。重合の完結後、反応溶液を放冷してから、50%NaOH42.0gを加えて中和した。このようにして、比較共重合体水溶液(1)を得た。
<比較例2>
特許3179022号の実施例2に準じて、重合体を得た。
還流冷却管、攪拌機を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに純水121.0gを仕込み、攪拌下50℃に昇温した後、100%MAA15.0g、100%メタクリル酸ナトリウム(以下、100%SMAAと略す。)2.1g、100%PGM−9EO62.9g、10%過硫酸アンモニウム水溶液(以下、10%APSと略す)39.8g、5%SBS39.8g、純水119.4gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、100%MAAが240分間、100%SMAAが240分間、100%PGM−9EOが240分間、10%NaPSが300分間、40%SBSが3000分間、そして純水が240分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。10%NaPS滴下終了までの間、温度は50℃を維持した。さらに同温度を10%NaPS滴下終了後60分間にわたって維持して熟成を行い、比較共重合体水溶液(2)を得た。
実施例1〜6で得られた共重合体水溶液(1)〜(6)及び比較例1、2で得られた比較共重合体水溶液(1)、(2)について、上述した各種測定を行った結果を、共重合体の製造条件等とともに表1に示す。
表1の結果から、構造中の硫黄原子の含有割合が400ppm以上であるメタクリル酸系重合体を含み、硫黄含有化合物の含有量が硫酸ナトリウム換算で20000ppm以下である組成物は、条件(1)、(2)のいずれにおいても界面活性剤との良好な相溶性を示すことが確認された。
Figure 0006721417

Claims (2)

  1. 構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体と、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物とを含む硫黄含有重合体組成物であって、
    該硫黄含有重合体は、メタクリル酸由来の構造単位とメタクリル酸エステル由来の構造単位とを含み、下記の方法により得られる、重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合が400ppm以上、1200ppm以下であり、
    下記の方法により得られる、該硫黄含有重合体組成物中における硫黄含有化合物の含有割合が、硫酸ナトリウム換算で20000ppm以下であり、
    該硫黄含有重合体組成物は、洗剤用途に用いられることを特徴とする硫黄含有重合体組成物。
    <硫黄含有重合体組成物中における硫黄含有化合物の含有割合>
    下記重合体組成物の固形分測定方法により得られた重合体の固形分、及び、下記SO 2− イオン濃度およびSO 2− イオン濃度測定条件での測定により得られたSO 2− イオン濃度およびSO 2− イオン濃度を用いて、以下の計算より算出する。
    Figure 0006721417
    <重合体組成物の固形分測定方法>
    130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水1.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出する。
    <SO 2− イオン濃度およびSO 2− イオン濃度測定条件>
    下記条件にてイオンクロマト分析を行うことで測定する。
    装置:東ソー社製 IONCHROMATOGRAPH IC−2010
    検出器:CM検出器
    検出方法:電気伝導度検出器、4極電極法
    イオン分析方式:サプレッサー法
    カラム:Shodex IC SI−90 4E
    ガードカラム:Shodex SI−90 G
    カラム温度:25℃
    溶離液:1mM Na CO +4mM NaHCO +5%アセトン
    流速:1.2mL/min.
    <重合体の構造中に含まれる硫黄原子の割合算出方法>
    下記ICPによる重合体組成物中の硫黄量分析により得られた重合体組成物中の硫黄量、上記硫黄含有重合体組成物中における硫黄含有化合物の含有割合、及び、上記重合体組成物の固形分測定方法により得られた重合体の固形分を用いて、以下の計算より算出する。
    Figure 0006721417
    <ICPによる重合体組成物中の硫黄量分析>
    重合体組成物中の硫黄量を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma,ICP)発光分光分析法によって定量する。
    装置:SHIMADZU ICPE−9000
    測定波長:182.625nm
  2. 構造中に硫黄原子を含む硫黄含有重合体と、該硫黄含有重合体とは異なる硫黄含有化合物とを含む洗剤用途に用いられる硫黄含有重合体組成物を製造する方法であって、
    該製造方法は、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとを含む単量体成分を原料とし、該単量体成分に含まれる単量体に対して、亜硫酸水素ナトリウムを0.1〜6g/molの割合で使用して重合反応を行う工程を含むことを特徴とする洗剤用途に用いられる硫黄含有重合体組成物の製造方法。
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