JP6720685B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Description
実施の形態の概要を述べる。本発明の実施の形態は、駆動力としてディーゼルエンジンとモータジェネレータとを備えるハイブリッド車両(Hybrid Electric Vehicle;以下、「HEV」と記載する。)であって、特にオートクルーズモードを搭載するHEVに関する。
ここで、「オートクルーズモード」とは、運転者がアクセルやシフトレバーを操作しなくても、運転者によって設定されたHEVの車速を維持するように、ディーゼルエンジン、モータジェネレータ、及びトランスミッション等が自動で制御されるモードをいう。オートクルーズモードは、HEVが高速道路を走行する際に使用されることが主に想定されている。
まず、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係るHEV100の構成を示す図である。図1に示すHEV100は、例えばバスやトラックなどの大型車両である。HEV100は、ディーゼルエンジン10とモータジェネレータ33とを有するハイブリッドシステムを備える。ディーゼルエンジン10とモータジェネレータ33とは、HEV100の運転状態に応じて、制御装置80によって複合的に制御される。
ここでシフトレバー81は、HEV100の運転手がトランスミッション20のギアを手動で選択するか、あるいは制御装置80にトランスミッション20のギアの選択を自動制御させるかを切り替えるためのレバーである。シフトレバー81は、HEV100の運転手がトランスミッション20を手動でギアシフトする際にも用いられる。
続いてトランスミッション20について説明する。
図2は、実施の形態に係るトランスミッション20の内部構成を模式的に示す図である。ディーゼルエンジン10の回転駆動は、クラッチ15を介してインプットシャフト29aに伝えられる。カウンターシャフト29bはインプットシャフト29aと並行に配置され、第1副変速機構22aを介してインプットシャフト29aから回転駆動が伝達される。カウンターシャフト29bの回転駆動は、主変速機構21に伝達される。すなわち、第1副変速機構22aは、クラッチ15を介して伝達されたディーゼルエンジン10の回転駆動を主変速機構21に伝える駆動伝達経路上に設けられている。
特にHEV100がオートクルーズモードで走行しているときは、ディーゼルエンジン10を停止又はアイドリング状態とし、モータジェネレータ33を力行させる状態もしばしば発生する。この様な場合、ディーゼルエンジン10によるフリクションロスを低減するためにクラッチ15を切断状態とするのが一般的である。これをスプリッタのニュートラル状態で代替することにより、モータジェネレータ33の力行時におけるクラッチ15の摩耗を低減できる。
図3(i)−図3(p)はそれぞれ第2副変速機構22bが高速段である以外は図3(a)−(h)と同じである。例えば、トランスミッション20が1速の状態で第2副変速機構22bを高速段に切り替えると、トランスミッション20は9速となる。このようにトランスミッション20を多段に構成することにより、ディーゼルエンジン10におけるエンジン効率のよい回転域を維持できるため、HEV100の燃費向上に資する。
なお、説明の便宜のため、図2及び図3では後退用のギアの図示を省略している。
HEV100が取り得る走行モードMについて説明する。
図4は、実施の形態に係るHEV100が取り得る走行モードMの分類を示す図である。図4に示すように、HEV100が取り得る走行モードMは通常モードNMとオートクルーズモードAMとに大別される。
通常モードNMは、HEV100の運転手がアクセルペダル及びブレーキペダルを操作することにより、HEV100の速度を変えながら運転するモードである。通常モードNMは主に、HEV100が例えば市街地等のように発進及び停車を頻繁に繰り返しながら走行する際に用いられる。
図5は、実施の形態に係るHEV100の機能構成を模式的に示す図である。実施の形態に係るHEV100は、ディーゼルエンジン10、クラッチ15、トランスミッション20、アクチュエータ201、制御装置80、シフトレバー81、オートクルーズ作動スイッチ811、車輪速センサ84、回転数センサ86、アクセル開度センサ92、ブレーキペダル開度センサ93、クラッチセンサ94、及びコンビネーションスイッチ95を備える。なお、図4は実施の形態に係るHEV100を機能面から説明するための構成を示しており、その他の構成は省略している。
具体的には、制御装置80は、回転数センサ86で検出されたエンジン回転数Neやアクセル開度センサ92で検出したアクセルペダルの踏み込み量に基づいて、ディーゼルエンジン10の気筒12への燃料の噴射量や噴射タイミングを調節する。また、制御装置80は、バッテリ35のSOC等に応じてインバータ34の周波数やバッテリ35及びモータジェネレータ33の間の電流値を調節する。制御装置80は、HEV100の発進時や加速時にモータジェネレータ33を制御して駆動力の少なくとも一部をアシストさせる。一方で、制御装置80は、HEV100が慣性走行中や制動時においては、モータジェネレータ33に回生発電させ、余剰の運動エネルギーを電力に変換してバッテリ35に充電する。
上述したように、HEV100の走行モードMは通常モードNMとオートクルーズモードAMとの2つのモードに分かれる。また、HEV100がオートクルーズモードAMの場合、制御装置80はエンジン走行モードEDM、アシスト走行モードADM、モータ走行モードMDM、及び惰性走行モードIDMを適宜選択する。以下では、HEV100の走行モードMの遷移について説明する。
制御装置80は、運転手によるシフトレバー81及びオートクルーズ作動スイッチ811の操作を検知する。HEV100の走行モードMが通常モードNMの場合において運転手がオートクルーズ作動スイッチ811を投入すると、HEV100はオートクルーズモードAMに遷移する。この際、HEV100の車速が目標速度範囲に到達していない場合は、HEV100はディーゼルエンジン10の駆動力とモータジェネレータ33の駆動力との両方で駆動するアシスト走行モードADMに遷移する。
HEV100がアシスト走行モードADMの時、制御装置80は、ディーゼルエンジン10の気筒12への燃料の噴射量、トランスミッション20のギアを切り替えるためのアクチュエータ201の動作、クラッチ15の動作、及びモータジェネレータ33の力行を制御して、HEV100の車速を目標速度範囲に到達させる。このとき、HEV100の車速が所定の速度(例えば時速60キロメートル)以上であれば、トランスミッション20は最高段となっている。図2に示す例では、HEV100が惰性走行モードIDMに遷移したとき、トランスミッション20のギアは16速となっている。
さらに、モータジェネレータ33はディーゼルエンジン10と比べるとフィルタ処理等のなましが少ないため、制御装置80の駆動要求に対して短時間で応答できる。結果として、HEV100の車速補正を短時間で実現できる。
ここで、モータジェネレータ33はバッテリ35の電力で駆動する。このため、バッテリ35のSOCが少ない場合は、バッテリ35が過放電となることを防ぐために、モータジェネレータ33を力行させないことが好ましい。
そこで制御装置80は、バッテリ35のSOCが所定の閾値(例えば、20%)未満のときは、HEV100の車速が設定した目標速度範囲を下回ったときであっても、(1)クラッチ15を接続又はスプリッタのニュートラル状態を解除し、(2)HEV100の目標速度範囲内となるようにディーゼルエンジン10に供給する燃料噴射量を制御し、かつ(3)モータジェネレータ33を回生させる制御を実行する。これにより、HEV100はモータ走行モードMDMからエンジン走行モードEDMに遷移する。
そこで制御装置80は、バッテリ35のSOCが所定の閾値(例えば90%)以上のときは、HEV100の車速が目標速度範囲を上回ったときであっても、クラッチ15を接続又はスプリッタのニュートラル状態を解除する制御を実行する。制御装置80はさらに、減速機構30をニュートラルとしてもよい。これにより、モータジェネレータ33の回生による発電量が減少し、バッテリ35が過充電となることを抑制できる。結果として、バッテリ35の寿命を伸ばすことができる。
HEV100がモータ走行モードMDMの時は、運転手が意図的にクラッチ15を切断する場合を除くと、クラッチ切断相当の状態となる。すなわち、クラッチ15は接続状態を維持し、スプリッタがニュートラル状態となっている。この場合に、例えばHEV100が下り坂にさしかかると、制御装置80は、モータジェネレータ33に回生させ、回生ブレーキによってHEV100を減速させる。
なお、HEV100がエンジン走行モードEDM、アシスト走行モードADM、又はモータ走行モードMDMの場合において、バッテリ35のSOCが所定の範囲(例えば30%以上80%以下)かつ、HEV100の車速が目標速度範囲内に一定時間とどまると、HEV100の走行モードMは惰性走行モードIDMに遷移する。これにより燃料消費量及びバッテリ35の使用量を削減できる。
続いて、HEV100がオートクルーズモードAMから通常モードNMへの遷移について説明する。
HEV100がオートクルーズモードAMのひとつであるモータ走行モードMDM中に、HEV100が例えば緩やかな下り坂を走行しているときを考える。このときHEV100は、(1)クラッチ15が接続状態、(2)スプリッタがニュートラル状態、かつ(3)モータジェネレータ33が回生状態の場合である。このとき、運転手は排気ブレーキを使うほどではないが、ディーゼルエンジン10のエンジンブレーキを使用することを望む場合もあると考えられる。
HEV100がマニュアルシフトモードMSMで加速していないときは、(1)クラッチ15は接続状態、(2)第1副変速機構22aは非ニュートラル状態、かつ(3)モータジェネレータ33は回生状態となっている。この様な場合に運転者がシフトレバー81をドライブレンジ(不図示)に設定すると、制御装置80はトランスミッション20のギアの選択を自動制御するオートシフトモードASMに遷移する。HEV100がオートシフトモードASMの場合は、運転手が手動でトランスミッション20のギアを選択することはない。
15・・・クラッチ
20・・・トランスミッション
21・・・主変速機構
22・・・副変速機構
25・・・プロペラシャフト
28・・・リターダ
30・・・減速機構
33・・・モータジェネレータ
35・・・バッテリ
80・・・制御装置
81・・・シフトレバー
95・・・コンビネーションスイッチ
100・・・ハイブリッド車両
201・・・アクチュエータ
214・・・第2スリーブ
215・・・第3スリーブ
221・・・ローギア
222・・・ハイギア
223・・・第1スリーブ
811・・・オートクルーズ作動スイッチ
Claims (3)
- ハイブリッド車両であって、
エンジンと、
前記エンジンの動力伝達を制御するクラッチと、
前記クラッチを介して前記エンジンと接続されたトランスミッションであって、主変速機構と、前記エンジンの回転駆動を前記主変速機構に伝える駆動伝達経路上に設けられ当該駆動伝達経路を遮断するニュートラル状態に遷移可能な副変速機構とを含むトランスミッションと、
前記トランスミッションを介して前記エンジンの動力を駆動輪に伝達するプロペラシャフトと、
前記プロペラシャフトと減速機構を介して接続されたモータジェネレータと、
前記ハイブリッド車両が前記エンジンからの駆動力と前記モータジェネレータからの駆動力との両方を用いるオートクルーズで走行している場合において車両速度が設定値を下回ったとき、(1)前記トランスミッションが備える副変速機構をニュートラル状態に遷移させ、(2)前記エンジンに供給する燃料噴射量を所定値以下とし、かつ(3)前記モータジェネレータを力行させる制御を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とするハイブリッド車両。 - 前記モータジェネレータの駆動電力源であり、かつ前記モータジェネレータが発電した電力を蓄電するバッテリをさらに備え、
前記制御装置は、前記バッテリのSOC(State Of Charge)が所定の閾値未満のときは、前記ハイブリッド車両がオートクルーズで走行している場合において車両速度が設定値を下回ったときであっても、(1)前記副変速機構のニュートラル状態を解除し、(2)前記ハイブリッド車両の車速が設定値となるように前記エンジンに供給する燃料噴射量を制御し、かつ(3)前記モータジェネレータを回生させる制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。 - 前記制御装置は、前記ハイブリッド車両に排気ブレーキの要求がなされた場合は、前記ハイブリッド車両がオートクルーズで走行している場合において車両速度が設定値を下回っていても、前記副変速機構のニュートラル状態を解除することを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッド車両。
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