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JP6719243B2 - カーボンナノチューブ線材の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ線材の製造方法に関し、特に、異種元素がドープされたカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ線材の製造方法に関する。
従来、自動車や産業機器などの様々な分野における電力線や信号線として、一又は複数の線材からなる芯線と、該芯線を被覆する絶縁被覆とからなる電線が用いられている。芯線を構成する線材の材料としては、通常、電気特性の観点から銅又は銅合金が使用されるが、近年、軽量化の観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が提案されている。例えば、アルミニウムの比重は銅の比重の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の導電率の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、アルミニウム線材に、銅線材と同じ電流を流すためには、アルミニウム線材の断面積を、銅の線材の断面積の約1.5倍と大きくする必要があるが、そのように断面積を大きくしたアルミニウム線材を用いたとしても、アルミニウム線材の質量は、純銅の線材の質量の半分程度であることから、アルミニウム線材を使用することは、軽量化の観点から有利である。
上記のような背景のもと、昨今では、自動車、産業機器等の高性能化・高機能化が進められており、これに伴い、各種電気機器、制御機器などの配設数が増加するとともに、これら機器に使用される電気配線体の配線数も増加する傾向にある。また、その一方で、環境対応のために自動車等の移動体の燃費を向上させるため、線材の軽量化が強く望まれている。
こうした更なる軽量化を達成するための新たな手段の一つとして、カーボンナノチューブを線材として活用する技術が新たに提案されている。カーボンナノチューブは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、あるいは略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、電流容量、弾性、機械的強度等の特性に優れるため、電力線や信号線に使用されている金属に代替する材料として注目されている。
カーボンナノチューブの比重は、銅の比重の約1/5(アルミニウムの約1/2)であり、また、カーボンナノチューブ単体は、銅(抵抗率1.68×10−6Ω・cm)よりも高導電性を示す。したがって理論的には、複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてカーボンナノチューブ集合体を形成すれば、更なる軽量化、高導電率の実現が可能となる。しかしながら、nm単位のカーボンナノチューブを撚り合わせて、μm〜mm単位のカーボンナノチューブ集合体を作製した場合、カーボンナノチューブ間の接触抵抗や内部欠陥形成が要因となり、線材全体の抵抗値が増大してしまうという問題があることから、カーボンナノチューブをそのまま線材として使用することが困難であった。
そこで、カーボンナノチューブ集合体の導電性を向上させる方法の一つとして、構成単位であるカーボンナノチューブにドーピング処理を施す方法が提案されている。例えば、カーボンナノチューブを酸化ホウ素(B2 3)と共にアルゴン気流中で1000℃、4時間で加熱し、気化または表面拡散によりカーボンナノチューブに到達したホウ素酸化物(B2 3 ,B2 2 等)が化学反応を起こし、カーボンナノチューブ中にホウ素が一部固溶することにより、ホウ素を含んだカーボンナノチューブを生成する方法が開示されている(特許文献1)。
特開2000−281323号公報
しかしながら、上記特許文献では、黒鉛るつぼにカーボンナノチューブ単体と酸化ホウ素を重ねて入れ、同黒鉛るつぼ内でカーボンナノチューブ単体と酸化ホウ素を加熱するため、カーボンナノチューブのドープ位置を制御することができず、ドープ位置あるいはドープ量の偏りが生じ易く、生成された複数のカーボンナノチューブを束ねてカーボンナノチューブ束を形成すると、カーボンナノチューブ束、ひいてはカーボンナノチューブ線材の導電性にばらつきが生じるという問題がある。また、上記製造方法では不活性ガス中でカーボンナノチューブを加熱するため、欠陥を有するカーボンナノチューブが酸素と反応できずに残留し、良好な導電性を有するカーボンナノチューブ線材を製造することができない。また、カーボンナノチューブ単体をドーピングした後に、黒鉛るつぼからカーボンナノチューブを取り出し、これらを撚り合わせてカーボンナノチューブ線材を形成する製造方法では、線材の生産性が低く、量産に優れているとは言えない。
本発明の目的は、良好な導電性を有すると共に、ばらつきを抑え、生産性が高く量産に優れたカーボンナノチューブ線材の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るカーボンナノチューブ線材の製造方法は、複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材の製造方法であって、1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてカーボンナノチューブ線材を形成するカーボンナノチューブ形成工程と、前記カーボンナノチューブ線材を精製する精製工程と、精製後の前記カーボンナノチューブ線材に異種元素をドープするドーピング工程とを有することを特徴とする。
前記精製工程は、前記カーボンナノチューブ線材を酸化して、当該カーボンナノチューブ線材から欠陥を有するカーボンナノチューブやアモルファスカーボンなどの不純物を除去する。
前記精製工程は、前記カーボンナノチューブ線材を300℃〜700℃で加熱するのが好ましい。
前記ドーピング工程は、前記カーボンナノチューブ線材を、前記異種元素を含有する液体に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程後の前記カーボンナノチューブ線材を加熱する加熱工程とを有するのが好ましい。
前記浸漬工程は、前記カーボンナノチューブ線材を、窒素、ホウ素及びケイ素からなる群から選択された少なくとも1つの異種元素を含有する液体に浸漬するのが好ましい。
前記液体は、水溶液、有機溶媒、イオン液体及び超臨界流体のうちのいずれかを含むのが好ましい。
前記加熱工程は、前記カーボンナノチューブ線材を1300℃〜1800℃で焼成するのが好ましい。
また、前記加熱工程は、前記カーボンナノチューブの構成単位である六角形格子の頂点に位置する炭素原子の少なくとも1つを、前記異種元素で置換するのが好ましい。
前記カーボンナノチューブは、2層又は3層の層構造を有するのが好ましい。
本発明によれば、1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせたカーボンナノチューブ線材を精製し、その後、上記カーボンナノチューブ線材に異種元素をドープする。すなわち、ドーピング処理前に行う精製処理により、カーボンナノチューブ線材から欠陥を有するカーボンナノチューブを除去する。カーボンナノチューブが欠陥を有していると、ドーピング処理の際に異種元素が欠陥と優先的に結合するため、カーボンナノチューブを構成する六角形格子の炭素原子と置換され難い一方、本発明では、欠陥を有するカーボンナノチューブをドーピング処理前に除去するため、その後のドーピング処理で、異種元素と欠陥との優先的な結合が生じず、カーボンナノチューブを構成する六角形格子の炭素原子を異種元素で確実に置換することが可能となる。よって、良好な導電性と共に、導電性のばらつきを抑えたカーボンナノチューブ線材を製造することができる。
また、カーボンナノチューブ線材の形成、精製及びドーピングを一連のフローで行うことができるので、例えば炭素原料からカーボンナノチューブ線材を生成し得る生成方法を併用することで、炭素原料から異種元素を含有するカーボンナノチューブ線材を連続的に製造することが可能となり、線材の生産性を高めることができ、量産に優れた製造方法を提供することができる。
更に、ドーピング処理において、欠陥を有するカーボンナノチューブを除去したカーボンナノチューブ線材を、異種元素を含有する液体に浸漬し、浸漬処理後のカーボンナノチューブ線材を加熱するので、上記液体がカーボンナノチューブ線材内に均一に浸透することとで、より均一な導電性を実現することができる。
本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の製造方法で製造されるカーボンナノチューブ内のカーボンナノチューブ束の構成を概略的に示す拡大斜視図である。 図1におけるカーボンナノチューブにドープされた異種元素の配置の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。 単層構造を有するカーボンナノチューブにドープされた異種元素の配置の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。 本実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の製造方法を示すフローチャートである。 図4の製造方法におけるドーピング工程の詳細を示すフローチャートである。 浮遊触媒気相成長法によりカーボンナノチューブを製造する製造装置の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<カーボンナノチューブ線材の構成>
本実施形態に係る製造方法で製造されるカーボンナノチューブ線材(以下、CNT線材という)は、1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブの束11A,11A,・・・(以下、CNT束、あるいはCNT複合体という)で構成されており、これらCNT束11Aの複数が撚り合わされてなる。CNT線材1の外径は、0.01〜1mmである。
CNT束11Aは、図1の拡大斜視図で示すように、複数のカーボンナノチューブ11a,11a,・・・(以下、CNTという)が纏められた束状体となっており、これら複数のCNTの軸方向がほぼ揃って配されている。また、複数のCNT11a,11a,・・の最外層間に、CNT束11Aの長手方向に沿って複数の空隙部11Bが形成されている。
また、CNT束11Aを構成するCNT11aは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれSWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。図1では便宜上、2層構造を有するCNTのみを記載しているが、実際には、3層構造を有するCNTが存在する。単層構造又は4層以上の層構造を有するCNTはCNTの束11に含まれてもよいが、2層又は3層構造を有するCNTに比べて少量である。
CNT11aは、2層構造を有する場合、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体T1,T2が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。また、複数のCNT11a,11a,・・・には、後述するドーピング処理により所定の異種元素が直接ドープされている。
CNT11aの性質は、上記のような筒状体のカイラリティ(chirality)に依存する。カイラリティは、アームチェア型、ジグザグ型、及びそれ以外のカイラル型に大別され、アームチェア型は金属性、カイラル型は半導体性、ジグザグ型はその中間の挙動を示す。よってCNTの導電性はいずれのカイラリティを有するかによって大きく異なり、CNT集合体の導電性を向上させるには、金属性の挙動を示すアームチェア型のCNTの割合を増大させることが重要とされてきた。一方、半導体性を有するカイラル型のCNTに電子供与性もしくは電子受容性を持つ物質(異種元素)をドープすることにより、金属的挙動を示すことが分かっている。また、一般的な金属では、異種元素をドープすることによって金属内部での伝導電子の散乱が起こって導電性が低下するが、これと同様に、金属性CNTに異種元素をドープした場合には、導電性の低下を引き起こす。
このように、金属性CNT及び半導体性CNTへのドーピング効果は、導電性の観点からはトレードオフの関係にあると言えることから、理論的には金属性CNTと半導体性CNTとを別個に作製し、半導体性CNTにのみドーピング処理を施した後、これらを組み合わせることが望ましい。しかし、現状の製法技術では金属性CNTと半導体性CNTとを選択的に作り分けることは困難であり、金属性CNTと半導体性CNTが混在した状態で作製される。このため、金属性CNTと半導体性CNTの混合物からなるCNT線材の導電性を向上させるには、異種元素・分子によるドーピング処理が効果的となるCNT構造を選択することが好ましい。
複数のCNT11a,11a,・・・を束ねて構成されるCNT束11Aにおいて、複数のCNT11a、11a,・・・の個数に対する、2層構造又は3層構造を有するCNTの個数の和の比率が50%以上であるのが好ましく、75%以上であるのがより好ましい。すなわち、一のCNT集合体を構成する全CNTの総数をNTOTAL、上記全CNTのうち2層構造を有するCNT(2)の数の和をNCNT(2)、上記全CNTのうち3層構造を有するCNT(3)の数の和をNCNT(3)としたとき、下記式(1)で表すことができる。
(NCNT(2)+NCNT(3))/NTOTAL×100(%)≧50(%) ・・・(1)
2層構造又は3層構造のような層数が少ないCNTは、それより層数の多いCNTよりも比較的導電性が高い。また、ドーパントは、CNTの最内層の内部、もしくは複数のCNTで形成されるCNT間の隙間に導入される。CNTの層間距離はグラファイトの層間距離である0.335nmと同等であり、多層CNTの場合その層間にドーパントが入り込むことはサイズ的に困難である。このことからドーピング効果はCNTの内部および外部にドーパントが導入されることで発現するが、多層CNTの場合は最外層および最内層に接していない内部に位置するチューブのドープ効果が発現しにくくなる。以上のような理由により、複層構造のCNTにそれぞれドーピング処理を施した際には、2層構造又は3層構造を有するCNTでのドーピング効果が最も高い。また、ドーパントは、強い求電子性もしくは求核性を示す、反応性の高い試薬であることが多い。単層構造のCNTは多層よりも剛性が弱く、耐薬品性に劣るためにドーピング処理を施すと、CNT自体の構造が破壊されることがある。よって本発明ではCNT集合体に含まれる2層構造又は3層構造を有するCNTの個数に着目する。また、2層又は3層構造のCNTの個数の和の比率が50%未満であると、単層構造或いは4層以上の複層構造を有するCNTの比率が高くなり、CNT集合体全体としてドーピング効果が小さくなり、高導電率が得にくくなる。よって、2層又は3層構造のCNTの個数の和の比率を上記範囲内の値とする。
また、CNT束11を構成するCNTの最外層の外径が5.0nm以下であるのが好ましい。CNT集合体11を構成するCNTの最外層の外径が5.0nmを超えると、CNT間および最内層の隙間に起因する空孔率が大きくなり、導電性が低下してしまうため、好ましくない。
本実施形態では、CNT束11Aを構成するCNTには、層構造中に欠陥が無いのが好ましい。ここでいう欠陥とは、例えば六員環からなる規則格子配列中に形成されている五員環や七員環などの格子欠陥や、上記規則配列中における炭素原子同士の共有結合が切れた部分を言う。CNT11aが欠陥を有していると、CNT線材に異種元素をドープする際に、異種元素が欠陥と優先的に結合するため、カーボンナノチューブを構成する六角形格子の炭素原子と置換され難い。よって本実施形態では、CNT束11Aを構成するCNTに欠陥が無いのが好ましい。また、CNTに欠陥が存在してもよいが、ドーピング処理における六角形格子の炭素原子との置換反応に影響を及ぼさない程度の極少数の欠陥であるのが望ましい。
(CNTにおける異種元素の配置)
図2は、図1におけるCNT11aにドープされた異種元素の配置を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、CNT11aは、筒状体T1,T2で構成される複層構造を有するCNT本体11a−1と、筒状体T2を構成する最外層の構成単位である六角形格子の頂点に位置する異種元素11a−2とを備える。この異種元素11a−2は、CNTの炭素骨格に組み込まれており、炭素置換型のドーピング処理により、六角形格子の頂点に位置する6つの炭素原子13aのうちのいずれかと置換されたものである。このように、CNT11aの炭素骨格に異種元素11a−2が位置することで、CNT自体に多くのキャリアを生成することができる。
図2では、異種元素11a−2は、六角形格子の頂点に位置する6つの炭素原子13aのうちのいずれかと置換されているが、これに限らず、複数の異種元素11a−2が、6つの炭素原子13aのうちの複数と置換されてもよい。また、異種元素11a−2は2層構造を有するCNT11aの最外層(筒状体T2)に組み込まれているが、これに限らず、内層(筒状体T1)に組み込まれてもよい。また、異種元素が3層構造の複層構造を有するCNTの最外層に組み込まれてもよいし、当該複層構造のうちの少なくとも1つの内層に組み込まれてもよい。
異種元素11a−2は、窒素、ホウ素及びケイ素からなる群から選択された少なくとも1つの異種元素であるのが好ましい。周期律表において炭素近傍の原子を異種元素として用いると、炭素と電子配置が近いことから、ドーピング処理の際に炭素原子との置換反応を容易に行うことができる。
また、CNT束11aにおける異種元素11a−2の含有量は、原子組成百分率で0.1原子%〜50原子%であるのが好ましく、10原子%以下であるのがより好ましい。
また、図2では2層構造を有するCNT11aに異種元素11a−2がドープされているが、図3(a)及び(b)に示すように、単層構造を有するCNTに異種元素がドープされてもよい。具体的には、CNT21aが、単層構造を有するCNT本体21a−1と、CNT本体21a−1の構成単位である六角形格子の頂点の一部を構成する異種元素21a−2とを備えていてもよい。このように、単層構造を有するCNT21aの炭素骨格に異種元素21a−2が位置することで、上記の複層構造と同様、CNT自体に多くのキャリアを生成することができる。
<カーボンナノチューブ線材の製造方法>
図4は、本実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の製造方法を示すフローチャートであり、図5は、図4の製造方法におけるドーピング処理の詳細を示すフローチャートである。
図4に示すように、先ず、浮遊触媒気相成長(CCVD)法により、炭素源に触媒及び反応促進剤を含む混合物を供給して、複数のCNTを撚り合わせたCNT線材を生成する(ステップS11)。このとき、炭素源には六員環を有する飽和炭化水素、触媒には鉄などの金属触媒、反応促進剤には硫黄化合物をそれぞれ用いることができる。例えば、図6に示すようなCNT製造装置を用い、電気炉31によって1300℃程度に加熱されたアルミナ管32内部に、炭素源であるデカヒドロナフタレン、触媒であるフェロセン、及び反応促進剤であるチオフェンを含む原料溶液Lを、スプレー噴霧により供給する。また、キャリアガスGとしてアルミナ管32内部に水素を供給する。得られたCNTを回収機33にてシート状に回収し、これを巻いて撚りをかけることによりCNT線材を生成する。
このとき、炭素源には六員環を有する飽和炭化水素、触媒には鉄などの金属触媒、反応促進剤には硫黄化合物をそれぞれ用いることができる。また本実施形態では、キャリアガス流量の増加に伴ってSWNTの割合が減少する点を考慮し、原料組成及び噴霧条件を調整して2層又は3層構造を有するCNTの比率を高める。また、CNTの最外層の外径が5.0nm以下となるように触媒である鉄の大きさを調整するため、原料は噴霧によりミスト粒径が20μm前後となるよう反応炉に供給を行う。
そして、ステップS11で得られた1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせて、カーボンナノチューブ線材を形成する(ステップS12)。
その後、ステップS12で得られたCNT線材を精製する(ステップS13)。先ず、CNT線材に酸処理を施すことで、残留した鉄触媒を除去する。CCVDによって得られるCNT線材中には、触媒やアモルファスカーボンなどが多量に含まれており、これらを除去する高純度化プロセスによってCNT線材の本来の特性を得ることができる。本実施形態では、上記工程にて得られたCNT線材を大気下、所定温度で加熱し、加熱後のCNT線材を強酸にて高純度化する。
次いで、高純度化されたCNT線材に加熱酸化処理を施して、CNT線材から欠陥を有するCNTを除去する。加熱酸化処理は、例えばCNT線材を大気下、300〜700℃で加熱し、欠陥を有するCNTの炭素を酸化反応させることにより、CNT線材から当該欠陥を有するCNTやアモルファスカーボンなどの不純物を除去する。これにより、欠陥の無いCNTのみで構成されるCNT線材、或いは欠陥の在るCNTが極めて少ないCNT線材が得られる。
その後、精製後のCNT線材に異種元素をドープする(ステップS14)。具体的には、精製処理後のCNT線材を、異種元素を含有する液体に所定時間浸漬する(図4、ステップS21)。液体は、水溶液、有機溶媒、イオン液体及び超臨界流体のうちのいずれかを含むのが好ましい。液体における異種元素の含有量は1wt%〜50wt%であるのが好ましい。CNT線材におけるCNT束の複数の空隙部は、その断面においてほぼ均等に分散配置され、また、CNT束の長手方向に沿って一様に並んで設けられている。よってCNT線材をそのまま上記液体に所定時間浸漬することにより、異種元素を含有する液体がCNT−CNT間の空隙部或いは界面を介してCNT線材内に均一に浸透し、CNT線材内で異種元素をほぼ均等に分散配置させることができる。
そして、上記浸漬処理後のCNT線材を、大気下、好ましくは不活性ガス下で、1300℃〜1800℃に加熱する(ステップS22)。上記範囲内の温度で加熱することにより、異種元素が炭素骨格に入り込み、六角形格子を構成する炭素原子のいずれかと置換される。このとき、上記浸漬処理によって異種元素がCNT線材内で均一に分散配置されており、異種元素はCNTの外周側から注入されるため、異種元素と炭素原子との置換反応がCNT線材内で行われる。
このとき、CNTが複層(MWNT)である場合には、より外周側に位置する層が優先的にドープされ、内部の層はドープされ難い。2層又は3層構造を有するCNTの個数比率を50%以上とすることにより、CNT集合体全体のドーピング量を増大させることができ、優れたドーピング効果が得られる。
上述したように、本実施形態によれば、1層以上の層構造を有する複数のCNT11aを撚り合わせたCNT線材を精製し(ステップS13)、その後、上記CNT線材に異種元素11a−2をドープする(ステップS14)。すなわちドーピング処理前に行う精製処理により、CNT線材から欠陥を有するCNTを除去するので、その後のドーピング処理で、異種元素11a−2と欠陥との優先的な結合が生じず、CNT11aを構成する六角形格子の炭素原子を異種元素で確実に置換することが可能となる。よって、良好な導電性を有するCNT線材1を製造することができる。
また、CNT線材の形成、精製及びドーピングを一連のフローで行うことができるので、例えば炭素原料からカーボンナノチューブ線材を生成し得る生成方法を併用することで、炭素原料から異種元素11a−2を含有するCNT線材1を連続的に製造することが可能となり、線材の生産性を高めることができ、量産に優れた製造方法を提供することができる。
更に、ドーピング処理において、欠陥を有するCNTを除去したCNT線材を、異種元素11a−2を含有する液体に浸漬し(ステップS21)、浸漬処理後のCNT線材を加熱する(ステップS22)。上記液体がCNT線材内に均一に浸透することとで、より均一な導電性を実現することができる。
以上、本発明の実施形態に係るCNT線材の製造方法について述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、上記実施形態のCNT束が撚り合わされてなるカーボンナノチューブ線材と、該カーボンナノチューブ線材の外周を被覆する被覆層とを備えるCNT被覆電線を構成してもよい。特に、本実施形態のCNT線材は、電力や信号を伝送するための電線用線材の材料として好適であり、四輪自動車などの移動体に搭載される電線用線材の材料としてより好適である。金属電線よりも軽量になり燃費の向上が期待されるためである。
また、上記カーボンナノチューブ被覆電線を少なくとも1つを有するワイヤハーネスを構成してもよい。
1 CNT線材
11A CNT束
11a CNT
11a−1 CNT本体
11a−2 異種元素
13a 炭素原子
21a CNT
21a−1 CNT本体
21a−2 異種元素
31 電気炉
32 アルミナ管
33 回収機
T1 筒状体
T2 筒状体

Claims (7)

  1. 複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材の製造方法であって、
    1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてカーボンナノチューブ線材を形成するカーボンナノチューブ形成工程と、
    前記カーボンナノチューブ線材を精製する精製工程と、
    精製後の前記カーボンナノチューブ線材に異種元素をドープするドーピング工程と、
    を有し、
    前記ドーピング工程は、
    前記カーボンナノチューブ線材を、前記異種元素を含有する液体に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程後の前記カーボンナノチューブ線材を加熱する加熱工程と、を有し、
    前記カーボンナノチューブが、2層又は3層の層構造を有し、かつ、
    複数のカーボンナノチューブを束ねて構成されるカーボンナノチューブ束において、複数のカーボンナノチューブの個数に対する、2層構造又は3層構造を有するカーボンナノチューブの個数の和の比率が50%以上であることを特徴とする、カーボンナノチューブ線材の製造方法。
  2. 前記精製工程は、前記カーボンナノチューブ線材を酸化して、当該カーボンナノチューブ線材から欠陥を有するカーボンナノチューブを除去することを特徴とする、請求項1記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
  3. 前記精製工程は、前記カーボンナノチューブ線材を300℃〜700℃で加熱することを特徴とする、請求項2記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
  4. 前記浸漬工程は、前記カーボンナノチューブ線材を、窒素、ホウ素及びケイ素からなる群から選択された少なくとも1つの異種元素を含有する液体に浸漬することを特徴とする、請求項記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
  5. 前記液体は、水溶液、有機溶媒、イオン液体及び超臨界流体のうちのいずれかを含むことを特徴とする、請求項1又は4記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
  6. 前記加熱工程は、前記カーボンナノチューブ線材を1300℃〜1800℃で焼成することを特徴とする、請求項記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
  7. 前記加熱工程は、前記カーボンナノチューブの構成単位である六角形格子の頂点に位置する炭素原子の少なくとも1つを、前記異種元素で置換することを特徴とする、請求項記載のカーボンナノチューブ線材の製造方法。
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