以下、本発明の各実施形態に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。以下の実施形態の説明においては、血液浄化装置として、持続緩徐式血液浄化療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)に用いられる血液浄化装置について説明する。ただし、血液浄化装置は、持続的血液濾過透析法(continuous hemodiafiltration:CHDF)、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration:CHF)、および、持続的血液透析法(continuous hemodialysis:CHD)のいずれかに用いられる血液浄化装置であってもよい。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100は、血液浄化器120と、補液管路131と、透析液管路141と、排液管路151と、第1供給源130と、第1分岐路142と、第1貯液部140と、第2分岐路152と、第2貯液部150と、第1ポンプ160と、第2ポンプ161と、第3ポンプ162と、第1バルブ131vと、第2バルブ142vと、第3バルブ151vと、第4バルブ152vと、秤139とを備える。
血液浄化器120は、たとえば中空糸膜からなる半透膜を内部に含んでいる。血液浄化器120は、血液入口121および血液出口122を有している。血液入口121には、上流側血液管路110が接続されている。血液出口122には、下流側血液管路116が接続されている。
上流側血液管路110には、血液を送り出す血液ポンプ111が設けられている。上流側血液管路110の途中には、動脈側ドリップチャンバ112が設けられている。動脈側ドリップチャンバ112には、血液の圧力を測定する上流側圧力測定装置113が設けられている。患者の動脈から採取された血液は、上流側血液管路110を流れる途中で動脈側ドリップチャンバ112を通過する際に圧力を測定された後、血液入口121から血液浄化器120内に流入する。
下流側血液管路116の途中には、静脈側ドリップチャンバ114が設けられている。静脈側ドリップチャンバ114には、血液の圧力を測定する下流側圧力測定装置115が設けられている。血液浄化器120によって浄化された血液は、下流側血液管路116を流れる途中で静脈側ドリップチャンバ114を通過する際に圧力を測定された後、患者の静脈に返される。このように、血液浄化器120は、血液回路に組み込まれている。血液回路の上流側から下流側に向けて血液が流れる。静脈側ドリップチャンバ114は、補液管路131と接続されている。なお、補液管路131が、静脈側ドリップチャンバ114の代わりに動脈側ドリップチャンバ112に接続されていてもよい。
血液浄化器120は、透析液入口124および排液出口123をさらに有している。透析液入口124には、透析液管路141が接続されている。排液出口123には、排液管路151が接続されている。
補液管路131の上流端は、補液および透析液である、第1液10を供給する第1供給源130と接続されている。補液管路131には、補液を設定流量Qsで送り出す第2ポンプ161が接続されている。第2ポンプ161は、ベリスタルティック式ポンプであるが、ローラ式ポンプであってもよい。補液管路131には、第1液10が流れる第1分岐路142が接続されている。補液管路131において第1分岐路142との接続位置より上流側に、補液管路131を開閉する第1バルブ131vが設けられている。補液管路131において第2ポンプ161より下流側に、補液を加熱する第2ヒータ171が設けられている。なお、第2ヒータ171は設けられていなくてもよい。
補液管路131を流れた補液は、静脈側ドリップチャンバ114内に供給される。すなわち、補液管路131は、血液浄化器120より血液回路の下流側に補液を供給する。補液管路131が動脈側ドリップチャンバ112に接続されている場合には、補液管路131は、血液浄化器120より血液回路の上流側に補液を供給する。
透析液管路141の上流端は、第1分岐路142に接続されている。透析液管路141には、透析液を設定流量Qdで送り出す第1ポンプ160が接続されている。第1ポンプ160は、ベリスタルティック式ポンプであるが、ローラ式ポンプであってもよい。透析液管路141を流れた透析液は、血液浄化器120内に供給される。透析液管路141において第1ポンプ160より下流側に、透析液を加熱する第1ヒータ170が設けられている。なお、第1ヒータ170は設けられていなくてもよい。
第1分岐路142は、第1液10を一時的に貯液し、貯液した第1液10を送出可能な第1貯液部140と接続されている。第1分岐路142において、補液管路131との接続位置と、透析液管路141との接続位置との間に、第1分岐路142を開閉する第2バルブ142vが設けられている。
排液管路151の下流端から、血液浄化器120から排出された排液が排出される。排液管路151には、排液管路151を流れる排液を設定流量Quで送り出す第3ポンプ162が接続されている。第3ポンプ162は、ベリスタルティック式ポンプであるが、ローラ式ポンプであってもよい。
排液管路151には、排液が流れる第2分岐路152が接続されている。排液管路151において、第2分岐路152との接続位置より下流側に、排液管路151を開閉する第3バルブ151vが設けられている。
第2分岐路152は、排液を一時的に貯液し、貯液した排液を送出可能な第2貯液部150と接続されている。第2分岐路152には、第2分岐路152を開閉する第4バルブ152vが設けられている。
第1貯液部140および第2貯液部150は、収容部180に収容されている。収容部180は、秤139の測定部に接続されている。本実施形態においては、秤139はロードセルである。ただし、秤139は、ロードセルに限られず、ばねばかりなどであってもよい。秤139は、第1貯液部140および第2貯液部150の全体の重量変化を測定する。
第1貯液部140および第2貯液部150の各々は、袋状であってもよいし、硬質容器であってもよい。第1貯液部140および第2貯液部150の各々が硬質容器である場合、硬質容器には通気孔が設けられている。また、第1貯液部140および第2貯液部150の各々が、変形可能なベローズ状の軟質容器であってもよい。
以下、本実施形態に係る血液浄化装置100において、除水速度を測定するための動作について説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、第4バルブを閉じて、第1バルブ、第2バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図3は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、第2バルブおよび第4バルブを閉じて、第1バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図4は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、第1バルブおよび第4バルブを閉じて、第2バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図5は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、第1バルブおよび第3バルブを閉じて、第2バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。図6は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、第1バルブを閉じて、第2バルブ、第3バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。図7は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置において、除水速度を測定するための工程を示すフローチャートである。
まず、図7に示すように、透析液供給速度、補液供給速度、血液浄化器120における濾過速度および除水速度を設定する(S1)。次に、設定された、透析液供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の各々を満たすように、第1ポンプ160の流量Qd、第2ポンプ161の流量Qsおよび第3ポンプ162の流量Quの各々を設定する。
次に、図2に示すように、第4バルブ152vを閉じた状態にし、第1バルブ131v、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態で、血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を稼働させる。これにより、第1供給源130から供給された第1液10が、補液管路131から静脈側ドリップチャンバ114内に流量Qsで補液として供給されるとともに、第1分岐路142にも第1液10が流入する。補液は、第2ヒータ171によって所定の温度に加熱された状態になっている。
第1分岐路142に流入した第1液10の一部は、第1供給源130と第1貯液部140との配置の高低差による圧力によって、第1貯液部140内に流入して貯液される。第1分岐路142に流入した第1液10の残部は、透析液管路141に流入する。透析液管路141に流入した第1液10は、透析液管路141から血液浄化器120内に流量Qdで透析液として供給される。透析液は、第1ヒータ170によって所定の温度に加熱された状態になっている。血液浄化器120から排出された排液は、排液管路151を流量Quで流れて外部に排出される。
たとえば、第1貯液部140内の約80%が第1液10で満たされる予測時間になるまで、第1貯液部140内に第1液10を流入させる。よって、第1貯液部140は、容量が正確であるように精密に作製されている必要はない。
次に、図3に示すように、第2バルブ142vおよび第4バルブ152vを閉じて、第1バルブ131vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、補液管路131から第1分岐路142への第1液10の流入が停止し、第1貯液部140に貯液されていた第1液10が、第1分岐路142に送り出され、さらに透析液管路141に流量Qdで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qdを実測することができる。この工程により、図7に示すように、透析液供給速度が測定される(S2)。この工程の後、第2バルブ142vを開いて、第1貯液部140の第1液10の貯液量を回復しておいてもよい。
次に、図4に示すように、第1バルブ131vおよび第4バルブ152vを閉じて、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第1供給源130から補液管路131への第1液10の流入が停止し、第1貯液部140に貯液されていた第1液10が、第1分岐路142に送り出される。第1分岐路142に送り出された第1液10は、補液管路131に流量Qsで流入するとともに、透析液管路141に流量Qdで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、(Qd+Qs)を実測することができる。先の工程で得られたQdの実測値を(Qd+Qs)の実測値から減算することにより、実際の流量Qsを算出することができる。この工程により、図7に示すように、補液供給速度が測定される(S3)。この工程の後、第1バルブ131vおよび第2バルブ142vを開いて、第1貯液部140の第1液10の貯液量を回復しておいてもよい。
次に、図5に示すように、第1バルブ131vおよび第3バルブ151vを閉じて、第2バルブ142vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、排液管路151の下流端からの排液の排出が停止し、第2分岐路152に排液20が流入する。第2分岐路152に流入した排液20は、流量Quで第2貯液部150内に流入して貯液される。
このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qu−(Qd+Qs)を実測することができる。Qu−(Qd+Qs)は、除水速度である。先の工程において、実際の流量Qdおよび実際の流量Qsが算出されているため、Qu−(Qd+Qs)の実測値に、Qdの実測値とQsの実測値とを加算することにより、流量Quを算出することができる。Quは、濾過速度である。この工程により、図7に示すように、濾過速度および除水速度が測定される(S4)。
たとえば、第2貯液部150内の約80%が排液20で満たされる予測時間になるまで、第2貯液部150内に排液20を流入させる。よって、第2貯液部150は、容量が正確であるように精密に作製されている必要はない。血液浄化装置100の稼働時間と実際の除水速度との積から除水量を正確に測定できる。
次に、図6に示すように、第1バルブ131vを閉じて、第2バルブ142v、第3バルブ151vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第2貯液部150に貯液されていた排液20を第2分岐路152に送り出される。第2分岐路152に送り出された排液20は、排液管路151に流入し、排液管路151の下流端から外部に排出される。
第2貯液部150から排液20を送り出す方法としては、重力によって排液20を自由落下させる、第2貯液部150の内部をエアポンプなどにより加圧する、または、加圧装置などにより第2貯液部150の外部から第2貯液部150に圧力をかけて第2貯液部150を押し潰すなどの方法を採用できる。
第2貯液部150内の排液20が全て排出された後、第4バルブ152vを閉じて、第1バルブ131v、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。これにより、図2に示す状態に戻る。
図7に示すように、上記の工程S2〜S4によって得られた、透析供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の測定結果に基づいて、各々の速度を再設定する(S5)。
上記の工程S2により測定された実際の透析液供給速度と、工程S1により設定された透析液供給速度との間に差がある場合には、第1ポンプ160の出力を調整する。具体的には、実際の流量Qdが設定流量Qdより大きい場合には、第1ポンプ160の出力を低くする。実際の流量Qdが設定流量Qdより小さい場合には、第1ポンプ160の出力を高くする。
上記の工程S3により測定された実際の補液供給速度と、工程S1により設定された補液供給速度との間に差がある場合には、第2ポンプ161の出力を調整する。具体的には、実際の流量Qsが設定流量Qsより大きい場合には、第2ポンプ161の出力を低くする。実際の流量Qsが設定流量Qsより小さい場合には、第2ポンプ161の出力を高くする。
上記の工程S4により測定された実際の濾過速度と、工程S1により設定された濾過速度との間に差がある場合には、第3ポンプ162の出力を調整する。具体的には、実際の流量Quが設定流量Quより大きい場合には、第3ポンプ162の出力を低くする。実際の流量Quが設定流量Quより小さい場合には、第3ポンプ162の出力を高くする。
上記のように、流量Qd、流量Qsおよび流量Quの各々の実測値を設定値に近づけるように調整することにより、除水速度であるQu−(Qd+Qs)の実測値を設定値に近づけることができる。上記の一連の動作を一定間隔毎に繰り返し行なうことにより、除水量を正確に維持することができる。上記のようなフィードバック制御を行なう制御部を、血液浄化装置100が備えていることが好ましい。
本実施形態に係る血液浄化装置100は、収容部180の重量変化を秤139で測定するのみで除水量を正確に測定できるため、構成が簡易である。また、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を継続して稼働させた状態で、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162の各々の送出流量を測定することができる。
本実施形態においては、第1供給源130が補液管路131に接続されていたが、第1供給源130が透析液管路141に接続されていてもよい。以下、第1供給源130が透析液管路141に接続されている、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置について説明する。なお、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100と同様である構成については説明を繰り返さない。
図8は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図8に示すように、本実施形態の変形例に係る血液浄化装置100aにおいては、透析液管路141の上流端は、補液および透析液である、第1液10を供給する第1供給源130と接続されている。透析液管路141には、第1液10が流れる第1分岐路142が接続されている。透析液管路141において第1分岐路142との接続位置より上流側に、透析液管路141を開閉する第1バルブ131vが設けられている。補液管路131の上流端は、第1分岐路142に接続されている。
以下、本実施形態の変形例に係る血液浄化装置100aにおいて、除水速度を測定するための動作について説明する。
図9は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置において、第4バルブを閉じて、第1バルブ、第2バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図10は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置において、第2バルブおよび第4バルブを閉じて、第1バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図11は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置において、第1バルブおよび第4バルブを閉じて、第2バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図12は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置において、第1バルブおよび第3バルブを閉じて、第2バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。図13は、本発明の実施形態1の変形例に係る血液浄化装置において、第1バルブを閉じて、第2バルブ、第3バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。
まず、透析液供給速度、補液供給速度、血液浄化器120における濾過速度および除水速度を設定する。次に、設定された、透析液供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の各々を満たすように、第1ポンプ160の流量Qd、第2ポンプ161の流量Qsおよび第3ポンプ162の流量Quの各々を設定する。
次に、図9に示すように、第4バルブ152vを閉じた状態にし、第1バルブ131v、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態で、血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を稼働させる。これにより、第1供給源130から供給された第1液10が、透析液管路141から血液浄化器120内に流量Qdで透析液として供給されるとともに、第1分岐路142にも第1液10が流入する。透析液は、第1ヒータ170によって所定の温度に加熱された状態になっている。血液浄化器120から排出された排液は、排液管路151を流量Quで流れて外部に排出される。
第1分岐路142に流入した第1液10の一部は、第1供給源130と第1貯液部140との配置の高低差による圧力によって、第1貯液部140内に流入して貯液される。第1分岐路142に流入した第1液10の残部は、補液管路131に流入する。補液管路131に流入した第1液10は、補液管路131から静脈側ドリップチャンバ114内に流量Qsで補液として供給される。補液は、第2ヒータ171によって所定の温度に加熱された状態になっている。
次に、図10に示すように、第2バルブ142vおよび第4バルブ152vを閉じて、第1バルブ131vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、透析液管路141から第1分岐路142への第1液10の流入が停止し、第1貯液部140に貯液されていた第1液10が、第1分岐路142に送り出され、さらに補液管路131に流量Qsで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qsを実測することができる。この工程により、補液供給速度が測定される。この工程の後、第2バルブ142vを開いて、第1貯液部140の第1液10の貯液量を回復しておいてもよい。
次に、図11に示すように、第1バルブ131vおよび第4バルブ152vを閉じて、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第1供給源130から透析液管路141への第1液10の流入が停止し、第1貯液部140に貯液されていた第1液10が、第1分岐路142に送り出される。第1分岐路142に送り出された第1液10は、補液管路131に流量Qsで流入するとともに、透析液管路141に流量Qdで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、(Qd+Qs)を実測することができる。先の工程で得られたQsの実測値を(Qd+Qs)の実測値から減算することにより、実際の流量Qdを算出することができる。この工程により、透析液供給速度が測定される。この工程の後、第1バルブ131vおよび第2バルブ142vを開いて、第1貯液部140の第1液10の貯液量を回復しておいてもよい。
次に、図12に示すように、第1バルブ131vおよび第3バルブ151vを閉じて、第2バルブ142vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、排液管路151の下流端からの排液の排出が停止し、第2分岐路152に排液20が流入する。第2分岐路152に流入した排液20は、流量Quで第2貯液部150内に流入して貯液される。
このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qu−(Qd+Qs)を実測することができる。Qu−(Qd+Qs)は、除水速度である。先の工程において、実際の流量Qdおよび実際の流量Qsが算出されているため、Qu−(Qd+Qs)の実測値に、Qdの実測値とQsの実測値とを加算することにより、流量Quを算出することができる。Quは、濾過速度である。この工程により、濾過速度および除水速度が測定される。
次に、図13に示すように、第1バルブ131vを閉じて、第2バルブ142v、第3バルブ151vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第2貯液部150に貯液されていた排液20を第2分岐路152に送り出される。第2分岐路152に送り出された排液20は、排液管路151に流入し、排液管路151の下流端から外部に排出される。
第2貯液部150内の排液20が全て排出された後、第4バルブ152vを閉じて、第1バルブ131v、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。これにより、図9に示す状態に戻る。
上記の工程によって得られた、透析供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の測定結果に基づいて、各々の速度を再設定する。
本実施形態の変形例に係る血液浄化装置100aにおいても、収容部180の重量変化を秤139で測定するのみで除水量を正確に測定できるため、構成が簡易である。また、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を継続して稼働させた状態で、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162の各々の送出流量を測定することができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。なお、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置は、透析液となる第2液を補液となる第1液とは別途用いる点が主に、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置100と同様の構成については説明を繰り返さない。
図14は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の構成を示す回路図である。図14に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置200は、血液浄化器120と、補液管路131と、透析液管路141と、排液管路151と、第1供給源130と、第2供給源230と、第1分岐路142と、第1貯液部140と、第2分岐路152と、第2貯液部150と、第3分岐路242と、第3貯液部240と、第1ポンプ160と、第2ポンプ161と、第3ポンプ162と、第1バルブ131vと、第2バルブ142vと、第3バルブ151vと、第4バルブ152vと、第5バルブ141vと、秤139とを備える。
なお、血液浄化装置200がCHDに用いられる場合、血液浄化装置200は、補液管路131、第1供給源130、第2ポンプ161、第1分岐路142、第1貯液部140および第1バルブ131vを含まない。血液浄化装置200がCHFに用いられる場合、血液浄化装置200は、透析液管路141、第2供給源230、第1ポンプ160、第3分岐路242、第3貯液部240および第5バルブ141vを含まない。
本実施形態においては、第1液10は、補液である。透析液管路141の上流端は、透析液である第2液30を供給する第2供給源230と接続されている。透析液管路141には、第2液30が流れる第3分岐路242が接続されている。透析液管路141において第3分岐路242との接続位置より上流側に、透析液管路141を開閉する第5バルブ141vが設けられている。
第3分岐路242は、第2液30を一時的に貯液し、貯液した第2液30を送出可能な第3貯液部240と接続されている。第1貯液部140、第2貯液部150および第3貯液部240は、収容部180に収容されている。秤139は、第1貯液部140、第2貯液部150および第3貯液部240の全体の重量変化を測定する。
第3貯液部240は、袋状であってもよいし、硬質容器であってもよい。第3貯液部240が硬質容器である場合、硬質容器には通気孔が設けられている。また、第3貯液部240が、変形可能なベローズ状の軟質容器であってもよい。
以下、本実施形態に係る血液浄化装置200において、除水速度を測定するための動作について説明する。
図15は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置において、第4バルブを閉じて、第1バルブ、第2バルブ、第3バルブおよび第5バルブを開いた状態を示す回路図である。図16は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置において、第2バルブ、第4バルブおよび第5バルブを閉じて、第1バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図17は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置において、第1バルブ、第4バルブおよび第5バルブを閉じて、第2バルブおよび第3バルブを開いた状態を示す回路図である。図18は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置において、第1バルブ、第3バルブおよび第5バルブを閉じて、第2バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。図19は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置において、第1バルブおよび第5バルブを閉じて、第2バルブ、第3バルブおよび第4バルブを開いた状態を示す回路図である。
まず、図7に示すように、透析液供給速度、補液供給速度、血液浄化器120における濾過速度および除水速度を設定する(S1)。次に、設定された、透析液供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の各々を満たすように、第1ポンプ160の流量Qd、第2ポンプ161の流量Qsおよび第3ポンプ162の流量Quの各々を設定する。
次に、図15に示すように、第4バルブ152vを閉じた状態にし、第1バルブ131v、第2バルブ142v、第3バルブ151vおよび第5バルブ141vを開いた状態で、血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を稼働させる。これにより、第1供給源130から供給された第1液10が、補液管路131から静脈側ドリップチャンバ114内に流量Qsで補液として供給されるとともに、第1分岐路142にも第1液10が流入する。補液は、第2ヒータ171によって所定の温度に加熱された状態になっている。第1分岐路142に流入した第1液10は、第1供給源130と第1貯液部140との配置の高低差による圧力によって、第1貯液部140内に流入して貯液される。
第2供給源230から供給された第2液30は、透析液管路141から血液浄化器120内に流量Qdで透析液として供給されるとともに、第3分岐路242にも第2液30が流入する。透析液は、第1ヒータ170によって所定の温度に加熱された状態になっている。第3分岐路242に流入した第2液30は、第2供給源230と第3貯液部240との配置の高低差による圧力によって、第3貯液部240内に流入して貯液される。血液浄化器120から排出された排液は、排液管路151を流量Quで流れて外部に排出される。
たとえば、第1貯液部140内の約80%が第1液10で満たされる予測時間になるまで、第1貯液部140内に第1液10を流入させる。よって、第1貯液部140は、容量が正確であるように精密に作製されている必要はない。同様に、第3貯液部240内の約80%が第2液30で満たされる予測時間になるまで、第3貯液部240内に第2液30を流入させる。よって、第3貯液部240は、容量が正確であるように精密に作製されている必要はない。
次に、図16に示すように、第2バルブ142v、第4バルブ152vおよび第5バルブ141vを閉じて、第1バルブ131vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第2供給源230から透析液管路141への第2液30の流入が停止し、第3貯液部240に貯液されていた第2液30が、第3分岐路242に送り出され、さらに透析液管路141に流量Qdで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qdを実測することができる。この工程により、図7に示すように、透析液供給速度が測定される(S2)。この工程の後、第5バルブ141vを開いて、第3貯液部240の第2液30の貯液量を回復しておいてもよい。
次に、図17に示すように、第1バルブ131v、第4バルブ152vおよび第5バルブ141vを閉じて、第2バルブ142vおよび第3バルブ151vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第1供給源130から補液管路131への第1液10の流入が停止し、第1貯液部140に貯液されていた第1液10が、第1分岐路142に送り出される。第1分岐路142に送り出された第1液10は、補液管路131に流量Qsで流入する。このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、(Qd+Qs)を実測することができる。先の工程で得られたQdの実測値を(Qd+Qs)の実測値から減算することにより、実際の流量Qsを算出することができる。この工程により、図7に示すように、補液供給速度が測定される(S3)。この工程の後、第1バルブ131vおよび第5バルブ141vの少なくとも一方を開いて、第1貯液部140の第1液10の貯液量、および、第3貯液部240の第2液30の貯液量の少なくとも一方を回復しておいてもよい。
次に、図18に示すように、第1バルブ131v、第3バルブ151vおよび第5バルブ141vを閉じて、第2バルブ142vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、排液管路151の下流端からの排液の排出が停止し、第2分岐路152に排液20が流入する。第2分岐路152に流入した排液20は、流量Quで第2貯液部150内に流入して貯液される。
このときの収容部180の重量変化を秤139によって測定することにより、Qu−(Qd+Qs)を実測することができる。Qu−(Qd+Qs)は、除水速度である。先の工程において、実際の流量Qdおよび実際の流量Qsが算出されているため、Qu−(Qd+Qs)の実測値に、Qdの実測値とQsの実測値とを加算することにより、流量Quを算出することができる。Quは、濾過速度である。この工程により、図7に示すように、濾過速度および除水速度が測定される(S4)。
たとえば、第2貯液部150内の約80%が排液20で満たされる予測時間になるまで、第2貯液部150内に排液20を流入させる。よって、第2貯液部150は、容量が正確であるように精密に作製されている必要はない。血液浄化装置200の稼働時間と実際の除水速度との積から除水量を正確に測定できる。
次に、図19に示すように、第1バルブ131vおよび第5バルブ141vを閉じて、第2バルブ142v、第3バルブ151vおよび第4バルブ152vを開いた状態にする。血液ポンプ111、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162が引き続き稼働することにより、第2貯液部150に貯液されていた排液20を第2分岐路152に送り出される。第2分岐路152に送り出された排液20は、排液管路151に流入し、排液管路151の下流端から外部に排出される。
第2貯液部150内の排液20が全て排出された後、第4バルブ152vを閉じて、第1バルブ131v、第2バルブ142v、第3バルブ151vおよび第5バルブ141vを開いた状態にする。これにより、図15に示す状態に戻る。
図7に示すように、上記の工程S2〜S4によって得られた、透析供給速度、補液供給速度、濾過速度および除水速度の測定結果に基づいて、各々の速度を再設定する(S5)。
上記の工程S2により測定された実際の透析液供給速度と、工程S1により設定された透析液供給速度との間に差がある場合には、第1ポンプ160の出力を調整する。具体的には、実際の流量Qdが設定流量Qdより大きい場合には、第1ポンプ160の出力を低くする。実際の流量Qdが設定流量Qdより小さい場合には、第1ポンプ160の出力を高くする。
上記の工程S3により測定された実際の補液供給速度と、工程S1により設定された補液供給速度との間に差がある場合には、第2ポンプ161の出力を調整する。具体的には、実際の流量Qsが設定流量Qsより大きい場合には、第2ポンプ161の出力を低くする。実際の流量Qsが設定流量Qsより小さい場合には、第2ポンプ161の出力を高くする。
上記の工程S4により測定された実際の濾過速度と、工程S1により設定された濾過速度との間に差がある場合には、第3ポンプ162の出力を調整する。具体的には、実際の流量Quが設定流量Quより大きい場合には、第3ポンプ162の出力を低くする。実際の流量Quが設定流量Quより小さい場合には、第3ポンプ162の出力を高くする。
上記のように、流量Qd、流量Qsおよび流量Quの各々の実測値を設定値に近づけるように調整することにより、除水速度であるQu−(Qd+Qs)の実測値を設定値に近づけることができる。上記の一連の動作を一定間隔毎に繰り返し行なうことにより、除水量を正確に維持することができる。上記のようなフィードバック制御を行なう制御部を、血液浄化装置200が備えていることが好ましい。
本実施形態に係る血液浄化装置200は、収容部180の重量変化を秤139で測定するのみで除水量を正確に測定できるため、構成が簡易である。また、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162を継続して稼働させた状態で、第1ポンプ160、第2ポンプ161および第3ポンプ162の各々の送出流量を測定することができる。本実施形態に係る血液浄化装置200は、補液と透析液とを成分の異なる液とすることができる。
ここで、血液浄化装置の運転サイクルの一例について説明する。図20は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置の運転サイクルを示すフローチャートである。図20に示すように、血液浄化装置200において、除水速度を測定する(S11)。次に、測定された除水速度が許容範囲内であるか判定する(S12)。除水速度が許容範囲内でない場合、除水速度をフィードバック制御する(S13)。その後、工程S11に戻る。
除水速度が許容範囲内である場合、一定時間隔毎に、または、測定開始信号を受信した際に、透析液供給速度を測定する(S23)。次に、補液供給速度を測定する(S24)。次に、濾過速度を測定する(S25)。次に、透析液供給速度、補液供給速度および濾過速度の測定結果に基づいて各々の速度をフィードバック制御する(S26)。その後、工程S11に戻る。
上記の一連の運転サイクルで血液浄化装置200を動作させることにより、除水速度を安定して維持することができる。なお、上記の運転サイクルを実施形態1の血液浄化装置100に適用してもよい。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。