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JP6793185B2 - ポリオールエステルで表面処理された無機顔料 - Google Patents

ポリオールエステルで表面処理された無機顔料 Download PDF

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Description

無機顔料は、コーティング(例えば、インクおよびペンキ)、プラスチック、紙の用途を含む様々な用途において、乳白剤および着色剤として使用されている。このような用途における無機顔料の有効性は、それぞれのベース組成物(例えば、ポリマー組成物)中で顔料がどれくらい均一に分散できるかにある程度依存する。
ベース組成物への無機顔料の均一な分布を促進するために、顔料は、典型的には、微細粉末に形成される。例えば、顔料の粒子径は、顔料の製造プロセスの仕上げ工程中に、顔料を粉砕または微粉化することによって減少させることができる。
残念ながら、顔料粉末は、埃っぽく、流動特性が不十分な傾向がある。これらの問題は、顔料粉末を袋に詰めて輸送することを困難にし、最終使用製品の形成、混合および製造において、問題を引き起こすことがある。顔料粒子の流動特性が不十分なことにより、粒子をベース組成物に十分に分散させるのに必要な時間およびエネルギーの量がきわめて多くなり得る。ポリマー組成物への顔料粉末の分散は、特に問題があり得る。
ベース組成物に分散される無機顔料の能力を向上させると、顔料は、最終使用の用途により適したものとなる。
本開示は、この詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。本明細書に記載する実施例の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細を説明する。しかしながら、当業者には、本明細書に記載する実施例が、これらの具体的な詳細がなくとも実施することができることが理解されよう。他の例において、方法、手順および組成は、記載する関連の示差的特徴を曖昧にすることを避けるために、詳細に記載しない。また、この説明は、実施例の範囲を限定するものとはみなすべきではない。
本開示によれば、処理された微粒子状無機顔料および処理された微粒子状無機顔料を形成する方法を提供する。別の態様において、本開示は、処理された微粒子状無機顔料を含むポリマー組成物を包含する。
本明細書に開示する処理された微粒子状無機顔料は、複数の顔料粒子、および顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステルを含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、顔料粒子の表面上に「堆積した」とは、特に言及しない限り、顔料粒子の表面上に直接または間接的に堆積していることを意味する。
例えば、本明細書に開示する処理された微粒子状無機酸化物顔料の顔料粒子は、二酸化チタン、塩基性炭酸鉛(鉛白)、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫化亜鉛、硫化亜鉛および硫酸バリウムの複合顔料、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化クロム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チャイナクレイ、カオリンクレイ、マイカ、珪藻土、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、チタン酸ニッケルならびにこれらの混合物からなる群から選択される顔料から形成されてもよい。例えば、顔料粒子は、二酸化チタンから形成されてもよい。例えば、二酸化チタンは、ルチル結晶構造またはアナターゼ結晶構造およびルチル結晶構造の組み合わせを有することができる。例えば、二酸化チタンは、ルチル結晶構造を有することができる。例えば、二酸化チタンは、硫酸法または塩素法によって形成されてもよい。例えば、二酸化チタンは、塩素法によって形成されてもよい。
二酸化チタンを製造するための硫酸法において、例えば、チタンスラグ鉱石を硫酸に溶解して、硫酸チタニルを形成する。次いで、硫酸チタニルを加水分解して、含水二酸化チタンを形成する。水和二酸化チタンをか焼炉で加熱して、顔料の大きさまで二酸化チタン結晶を成長させる。
二酸化チタンを製造するための塩素法において、例えば、乾燥二酸化チタン鉱石を、コークスおよび塩素と一緒に塩素化装置に供給して、ガス状ハロゲン化チタン(四塩化チタンなど)を生成させる。生成したハロゲン化チタンを、精製し、特別に設計された反応器中、高温で酸化して、所望の粒子径を有する二酸化チタン粒子を生成させる。典型的には塩化アルミニウムまたは何らかの他の共酸化剤が、ルチル形成を促進し、粒子径を制御するために、酸化反応器においてハロゲン化チタンに添加される。次いで、二酸化チタンおよびガス状反応生成物を冷却し、二酸化チタン粒子を回収する。
本明細書に開示する処理された無機酸化物の顔料粒子は、本分野において公知の様々な成分で処理することができる。例えば、少なくとも1つの無機コーティングを、顔料粒子の表面上に堆積させることができる。例えば、金属酸化物コーティング、金属水酸化物コーティングおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機コーティングを、顔料粒子の表面上に堆積させることができる。例えば、シリカコーティング、アルミナコーティングおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機コーティングを、顔料粒子の表面上に堆積させることができる。無機コーティングは、顔料粒子を特定の最終使用により適切にするために、顔料粒子に1つまたは複数の特性および/または特徴を与えるために使用することができる。例えば、シリカおよび/またはアルミナコーティングは、顔料粒子の湿潤特性および分散特性の改善を助けるために使用することができる。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「ポリオールエステル」とは、2つ以上のヒドロキシル基を含む多価アルコールを用いて形成されるエステルを意味する。例えば、顔料粒子の表面上に堆積されるポリオールエステルは、少なくとも1種の脂肪酸を多価アルコールと反応させることによって形成され得る。脂肪酸(複数可)は、多価アルコールを部分的または完全にエステル化して、ポリオールエステルを形成する。
例えば、ポリオールエステルを形成するために使用される脂肪酸は、一塩基性または二塩基性の、直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和の脂肪酸であり得る。例えば、脂肪酸は、飽和の直鎖脂肪酸であり得る。例えば、脂肪酸は、飽和の分枝鎖脂肪酸であり得る。例えば、脂肪酸は、ダイマー酸であり得る。例えば、脂肪酸は、6〜24個の炭素原子を有することができる。例えば、脂肪酸は、8〜20個の炭素原子を有することができる。さらなる例として、脂肪酸は、8〜16個の炭素原子を有することができる。
例えば、ポリオールエステルを形成するために使用される脂肪酸は、トリメチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
別の例として、ポリオールエステルを形成するために使用される脂肪酸は、シリコーン化合物と反応してシリコーン変性脂肪酸または脂肪酸変性シリコーンを形成した脂肪酸であり得る。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「シリコーン変性脂肪酸」および「脂肪酸変性シリコーン」は、同じものを意味し、互換可能に使用され得る。例えば、本明細書における使用に適した脂肪酸変性シリコーンは、以下の式:
Figure 0006793185
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素部分、メチル(CH3)基および高級アルキル基から選択され、R1、R2、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよい]を有することができる。
2種以上の脂肪酸を使用して、多価アルコールを部分的または完全にエステル化する場合、上記パラメーター内のそれぞれの脂肪酸の種類および特徴は様々であってよい。
例えば、ポリオールエステルを形成するために使用される多価アルコールは、少なくとも2つのヒドロキシル基が結合した、飽和または不飽和の、直鎖または分枝状のアルキル鎖を有することができる。例えば、多価アルコールは、2つ以上のヒドロキシル基が結合した、飽和または不飽和の、分枝状のアルキル鎖を有することができる。例えば、多価アルコールは、エチレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、多価アルコールは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトールおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、多価アルコールは、トリメチロールプロパンであり得る。
例えば、1つの実施形態において、ポリオールエステルは、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸変性シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸を、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される多価アルコールと反応させることによって形成されるものである。例えば、別の実施形態において、ポリオールエステルは、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸変性シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸を、トリメチロールプロパンと反応させることによって形成される、トリメチロールプロパン系ポリエステルである。
例えば、本開示による無機顔料を処理するために適したポリオールエステルは、ネオペンチルグリコールエステル(「NPGエステル」)(2個のヒドロキシル基を含む多価アルコールを用いて形成されるもの)、トリメチロールプロパンエステル(「TMPエステル」)(3個のヒドロキシル基を含む多価アルコールを用いて形成されるもの)、ペンタエリスリトールエステル(「PEエステル」)(4個のヒドロキシル基を含む多価アルコールを用いて形成されるもの)またはジペンタエリスリトールエステル(「DiPEエステル」)(6個のヒドロキシル基を含む多価アルコールを用いて形成されるもの)であり得る。例えば、本開示による無機顔料を処理するために適したポリオールエステルは、ポリオールトリエステルであり得る。
例えば、本明細書における使用に適したポリオールエステルは、式RCOOR1[式中、R はアルキル基であり、R1は、10個未満の炭素原子を有する短鎖ポリオールである]を有することができる。例えば、R1は、7個未満の炭素原子を有する短鎖ポリオールであり得る。例えば、R1は、6または7個の炭素原子を有する短鎖ポリオールであり得る。例えば、本明細書における使用に適したポリオールエステルは、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメチロールプロパントリココエート、トリメチロールプロパントリステアレートおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
使用することができる具体的なポリオールエステルの例を以下に示す。
Figure 0006793185
シリコーン官能基を含み(シリコーンマルチエステルともいう)、本明細書に開示するポリオールエステルとしての使用に適した、適切なポリオールエステルの例は、Silube(登録商標)TMP D2(C8/C10脂肪基を有する分枝状シリコーン)、Silube(登録商標)TMP D219(C18脂肪基を有する分枝状シリコーン)およびSilube(登録商標)TMP D218(分枝状C18脂肪基を有する分枝状シリコーン)の商品名に関連して、Siltech Corporationから販売されている。これらの化合物は、トリメチロールプロパンに基づく。
脂肪酸変性シリコーン(FAS)をトリメチロールプロパン(TMP)と反応させることによって作られるポリオールエステルの例を以下に示す。
Figure 0006793185
上記式における脂肪酸変性シリコーン(FAS)であり得る脂肪酸変性シリコーンの例としては、以下が挙げられる。
Figure 0006793185
[式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素部分、メチル(CH3)基および高級アルキル基から選択され得、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同一であっても異なっていてもよい]
例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.2重量%〜約2.0重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積していてもよい。例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.4重量%〜約1.0重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積していてもよい。例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.5重量%〜約0.8重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積していてもよい。顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステルの正確な量は、典型的には、用途に応じて変わるであろう。
所望により、上記に記載の2種以上のポリオールエステルが、顔料粒子の表面上に堆積していてもよい。
本開示による処理された微粒子状無機顔料を形成する方法は、複数の顔料粒子を用意するステップ;ポリオールエステルを用意するステップ;および顔料粒子の表面上にポリオールエステルを堆積させるステップを含む。本方法において使用される顔料粒子は、上記に記載の顔料粒子である。本方法において使用されるポリオールエステルは、上記に記載のポリオールエステルである。例えば、顔料粒子は、二酸化チタン粒子であり得る。例えば、ポリオールエステルは、少なくとも1種の脂肪酸を、エチレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される多価アルコールと反応させることによって形成されてもよい。例えば、多価アルコールは、トリメチロールプロパンであり得る。
例えば、ポリオールエステルが顔料粒子の表面上に堆積したとき、顔料粒子は、約0.05ミクロン〜約1.0ミクロンの範囲、典型的には、約0.2ミクロン〜約0.6ミクロンの範囲の一次粒子径を有することができる。所望により、上記に記載の2種以上のポリオールエステルを、顔料粒子の表面上に堆積させてもよい。
ポリオールエステルは、本分野において公知に任意の方法によって、顔料粒子の表面上に直接、または、顔料粒子の表面上に堆積している1つまたは複数の成分(例えば、アルミナおよび/またはシリカコーティング)の上のいずれかで、無機顔料上に堆積させることができる。例えば、ポリオールエステルは、流体エネルギーミル中でポリオールエステルおよび顔料粒子を一緒に粉砕することによって、顔料粒子の表面にポリオールエステルを噴霧することによって、ポリオールエステルを乾燥形態の顔料粒子と混合することによって、またはポリオールエステルおよび顔料粒子を(場合により、分散剤と共に)水性スラリー中で一緒に混合することによって、顔料粒子の表面上に堆積させることができる。例えば、ポリオールエステルは、水性スラリー中でポリオールエステルを顔料粒子と混合すること、続いて、スラリーを乾燥することによって、顔料粒子の表面上に堆積させることができる。例えば、水性スラリーは、顔料粒子の表面上において、少なくとも1つの無機コーティングでコーティングするために使用された水性スラリーと同じであってもよい。例えば、ポリオールエステルを顔料粒子の表面上に堆積させたら、処理された微粒子状無機顔料を乾燥および粉砕(例えば、スチーム粉砕)することができる。
例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.2重量%〜約2.0重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積させてもよい。例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.4重量%〜約1.0重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積させてもよい。例えば、ポリオールエステルは、顔料粒子の総重量に基づいて約0.5重量%〜約0.8重量%の範囲の量で、顔料粒子の表面上に堆積させてもよい。顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステルの正確な量は、典型的には、用途に応じて変わるであろう。
例えば、本明細書に開示する方法の1つの実施形態において、凝集した未処理の二酸化チタンスラリーは、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを使用して、形成される。スラリーは、サンドミルされて、二酸化チタンの粒子径を、約0.1ミクロン〜約1.0ミクロン(例えば、約90%の粒子が、0.63ミクロン未満である等)の範囲に減少させる。次に、粉砕されたスラリーを約75℃に加熱し、濃酸で処理し、温浸させ、続いて腐食剤で処理して、顔料粒子の表面上にヒドロキシル部位を形成させる。次いで、顔料を洗浄して、塩を除去する。次いで、洗浄された顔料を、顔料の総重量に基づいて0.2重量%〜2.0重量%のポリオールエステルで処理する。次いで、ポリオールエステルで処理された顔料を、乾燥し、続いてスチーム粉砕する(微粉化する)。
本明細書に開示するポリマー組成物は、少なくとも1つのポリマー、および上記に記載の処理された微粒子状無機顔料を含む。
処理された微粒子状無機顔料が添加されてポリマー組成物を形成することができるポリマーの例としては、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン)およびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーなどのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。例えば、ポリマーは、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
処理された微粒子状無機顔料は、本分野において公知の任意の方法によってポリマーと混合して、ポリマー組成物を形成することができる。例えば、処理された微粒子状無機顔料は、ポリマーを含有するスラリーに添加して、そこに混合することができる。
ポリマー組成物中に含まれる処理された微粒子状無機顔料の量は、ポリマー組成物の種類に応じて様々であってよい。例えば、処理された微粒子状無機顔料は、ポリマー組成物の総重量に基づいて約30重量%〜約80重量%の範囲の量で、ポリマー組成物中に含まれ得る。例えば、処理された微粒子状無機顔料は、ポリマー組成物の総重量に基づいて約45重量%〜約65重量%の範囲の量で、ポリマー組成物中に含まれ得る。
例えば、処理された微粒子状二酸化チタン顔料を、対象のポリマーと一緒に分散剤と混合して、75重量%の二酸化チタン含有ポリマーマスターバッチ濃縮物を調製することができる。混合プロセスは、例えば、C.W.Brabender Instruments,Inc.によって販売されているPlasticorder(商標)Model PL-2000のミキシングボウル中、100℃および100rpmの混合速度で、混合物の素練りによって行うことができる。
本明細書に開示するポリオールエステルによる無機顔料の処理は、顔料のかさ密度を顕著に改善し、これは特にポリマー組成物中において、顔料の流動特性、プロセス性および分散性を改善する。本明細書において使用されるポリオールエステルは、非常に安定で、低揮発性ならびに良好な生分解性および生態毒性特性を有する。
処理された顔料が疎水性であることにより、処理された顔料は、ポリマー組成物中における使用に非常に適したものとなる。例えば、本明細書に開示するポリマー組成物は、グリット含量が低い。ポリオールエステルに起因して、処理された微粒子状無機顔料は、これまでに使用されてきた微粒子状無機顔料よりも少ない時間およびエネルギーで、ポリマー組成物を含むベース組成物中に分散することができる。
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
複数の顔料粒子、および
前記顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステル
を含む、処理された微粒子状無機顔料。
[2]
前記顔料粒子が、二酸化チタン、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫化亜鉛、硫化亜鉛および硫酸バリウムの複合顔料、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化クロム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チャイナクレイ、カオリンクレイ、マイカ、珪藻土、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、チタン酸ニッケルならびにこれらの混合物からなる群から選択される顔料から形成されるものである、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[3]
前記顔料粒子が、二酸化チタンから形成されるものである、[2]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[4]
金属酸化物コーティング、金属水酸化物コーティングおよび混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機コーティングをさらに含み、前記コーティングが、前記顔料粒子の表面上に堆積している、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[5]
前記ポリオールエステルが、少なくとも1種の脂肪酸を多価アルコールと反応させることによって形成されるものである、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[6]
前記脂肪酸が、6〜24個の炭素原子を有する、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[7]
前記脂肪酸が、トリメチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[8]
前記脂肪酸が、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、[7]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[9]
前記脂肪酸が、シリコーン化合物と反応して脂肪酸変性シリコーンを形成した脂肪酸である、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[10]
前記脂肪酸変性シリコーンが、式:
Figure 0006793185

[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素部分、メチル(CH 3 )基および高級アルキル基から選択され、R1、R2、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよい]を有する、[9]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[11]
前記多価アルコールが、少なくとも2つのヒドロキシル基が結合した、飽和または不飽和の、直鎖または分枝状のアルキル鎖を有する、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[12]
前記多価アルコールが、エチレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される、[11]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[13]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される、[12]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[14]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである、[13]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[15]
前記ポリオールエステルが、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸変性シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸を、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される多価アルコールと反応させることによって形成されるものである、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[16]
前記ポリオールエステルが、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、脂肪酸変性シリコーンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸を、トリメチロールプロパンと反応させることによって形成されるものである、トリメチロールプロパン系ポリエステルである、[5]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[17]
前記ポリオールエステルが、ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンエステル、ペンタエリスリトールエステルおよびジペンタエリスリトールエステルからなる群から選択される、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[18]
前記ポリオールエステルが、ポリオールトリエステルである、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[19]
前記ポリオールエステルが、式RCOOR 1 [式中、R 1 は、10個未満の炭素原子を有する短鎖ポリオールである]を有する、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[20]
前記ポリオールエステルが、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメチロールプロパントリココエート、トリメチロールプロパントリステアレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[21]
前記ポリオールエステルが、前記顔料粒子の総重量に基づいて約0.2重量%〜約2.0重量%の範囲の量で、前記顔料粒子の表面上に堆積している、[1]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[22]
複数の二酸化チタン顔料粒子、および
前記顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステル
を含む、処理された微粒子状無機顔料であって、
前記ポリオールエステルが、少なくとも1種の脂肪酸を、エチレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される多価アルコールと反応させることによって形成されるものである、処理された微粒子状無機顔料。
[23]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される、[22]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[24]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである、[23]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[25]
前記脂肪酸が、6〜24個の炭素原子を有する、[22]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[26]
前記脂肪酸が、トリメチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、[22]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[27]
前記脂肪酸が、シリコーン化合物と反応して脂肪酸変性シリコーンを形成した脂肪酸である、[22]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[28]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである、[27]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[29]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである、[25]に記載の処理された微粒子状無機顔料。
[30]
処理された微粒子状無機顔料を形成する方法であって、
複数の顔料粒子を用意するステップ、
ポリオールエステルを用意するステップ、および
前記顔料粒子の表面上に前記ポリオールエステルを堆積させるステップ
を含む、方法。
[31]
前記顔料粒子が、二酸化チタン粒子である、[30]に記載の方法。
[32]
前記ポリオールエステルが、少なくとも1種の脂肪酸を、エチレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトールおよびこれらの混合物からなる群から選択される多価アルコールと反応させることによって形成されるものである、[30]に記載の方法。
[33]
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである、[32]に記載の方法。
[34]
前記ポリオールエステルが、水性スラリー中で前記ポリオールエステルを前記顔料粒子と混合すること、および前記スラリーを乾燥することによって、前記顔料粒子の表面上に堆積される、[30]に記載の方法。
[35]
少なくとも1つのポリマー、および
処理された微粒子状無機顔料
を含むポリマー組成物であって、
前記顔料が、
複数の顔料粒子、および
前記顔料粒子の表面上に堆積したポリオールエステル
を含む、ポリマー組成物。
[36]
前記ポリマーが、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される、[35]に記載のポリマー組成物。
[37]
前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂およびこれらの混合物からなる群から選択される、[36]に記載のポリマー組成物。
[38]
前記処理された微粒子状無機顔料が、ポリマー組成物の総重量に基づいて約30重量%〜約80重量%の範囲の量で、前記ポリマー組成物中に存在する、[35]に記載のポリマー組成物。
以下の実施例は、本開示と合致する具体的な実施形態を説明するが、本開示または添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。濃度および百分率は、他に指示がない限り、重量による。
実施例1
塩素法により形成され、0.8%のアルミナを結晶格子中に含有する微粒子状二酸化チタン顔料を、顔料の重量に基づいて0.1重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム(分散剤)、および水溶液のpHを最低値9.5に調節するのに十分な量の水酸化ナトリウムの存在下、水に分散させた。35重量%の固体含量を有する水性スラリーを形成するのに十分な量の二酸化チタンを利用した。次いで、二酸化チタンスラリーを、Microtrac(商標)X100粒子径分析器を利用して決定して顔料粒子の90%が0.63ミクロンより小さくなるまで、サンドミル(4:1のジルコンサンドと顔料の重量比を使用)に付した。
次いで、スラリーを75℃に加熱し、濃硫酸を使用してpH2.0に酸性化し、75℃で30分間、温浸させた。次に、20重量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用して、スラリーのpHを6.5に調節し、スラリーをさらに75℃で30分間、温浸させた。必要により、スラリーのpHを最終的に6.5に再調節し、分散液を熱いうちにろ過した。得られたろ液を、60℃に予め加熱した、回収された顔料の重量と等量の水で洗浄した。
次に、ポリオールエステル、具体的には、12個の炭素原子を有するトリメチロールプロパンエステル(「TMP-C12」)を、洗浄したろ過ケーキに、二酸化チタンの重量に基づいて0.6重量%の量で添加した。得られた顔料を110℃で終夜オーブン乾燥し、乾燥した顔料を破砕して、乾燥顔料粉末を得た。
次いで、乾燥顔料を、スチームと顔料の重量比が1:4で、146psiに設定したスチームの注入圧力で、118psiに設定したマイクロナイザーリング圧力を利用して、スチーム微粉化した。得られた処理された顔料試料を、以下の手順に従って、二酸化チタン/ポリエチレン濃縮物について評価した。
最初に、109.5グラムの顔料を、36.5グラムの、Dow Chemical Co.によって製造された低密度ポリエチレン(Dow(商標)4012)、ならびにポリエチレンの重量に基づいて0.05重量%の、トリス(2,4-ジ-tertブチルフェニル)ホスファイトおよびオクタデシル-3-(3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートの80/20混合物と混合して、C.W.Brabender Instruments,Inc.によって販売されているPlasticorder(商標)Model PL-2000のミキシングボウル中、100℃および100rpmの混合速度で、混合物の素練りによって、75重量%の二酸化チタン含有ポリエチレン濃縮物を調製した。
次いで、平衡混合条件に達することを確実にするために、瞬時トルクおよび温度の値を9分間記録した。平衡トルク値を、平衡混合条件に達した後に2分間に測定された瞬時トルク値を平均することによって決定した。
得られたポリマー濃縮物を、冷却し、ペレットに粉砕した。メルトフローインデックス値を、ASTM法D1238、手順Bを使用して、得られたペレット濃縮物に対して、決定した。押出機の最大処理圧力を、押出機ダイで機器の圧力値を記録しながら、前述のBrabender(商標)Plasticorderに取り付けられた、0.75インチのバレル、25/1の長さの直径の押出機を使用して、およそ190℃の平均処理温度および75rpmで、500メッシュのスクリーンフィルターを通して、100グラムの70%濃縮物を押し出すことによって決定した。
顔料に基づいて100万分の1での顔料のグリット含量として報告される、500メッシュのスクリーンフィルターに残った無機残渣の量を、マッフル炉内で押出後のスクリーンを700℃で20分間加熱し、スクリーンを室温に冷却し、次いで、その後にスクリーンを秤量し、使用前のその重量と比較することによる重量測定法で決定した。
インフレーションフィルム試験を行い、二酸化チタンが低密度ポリエチレン(Dow(商標)640)処方中にどの程度良好に分散しているかを決定した。最初に、顔料を、上記に記載のような75の二酸化チタン負荷を有するマスターバッチへ処理した。次いで、マスターバッチを、低密度ポリエチレン中で5.5%に低下させ、Killion(商標)インフレーションフィルム押出機を使用して、フィルムにインフレーションした。押出機は、ゾーン1が160℃で維持され、ゾーン2が171℃で維持され、かつゾーン3が177℃で維持された3つのゾーン、ならびに17.1のフィルムの塔速度を伴う100rpmで、ダイ1が182℃で維持され、かつダイ2が193℃で維持された2つのダイを有していた。3フィートの試料を回収し、1フィート×1フィートの3つのフィルムに分けた。フィルム上のニブを計数し、1平方フィート当たりのニブを報告した。
上記で説明した手順に従って製造した二酸化チタンを使用して、同じ手順を繰り返し、TMP-C12を使用する代わりに、脂肪酸エステル(「TMP」)なしのトリメチロールプロパンを使用して、比較例1aを形成し、ポリメチルヒドロシロキサン(「PHMS」)を使用して、比較例1bを形成し、2-エチルヘキシルラウレート(「2-EHL」)を使用して、比較例1cを形成した。試験の結果を、以下の表1aおよび1bに示す。
Figure 0006793185
Figure 0006793185
結果によって示されるように、ポリオールエステル(TMP-C12トリエステル)で処理された二酸化チタンを包含する二酸化チタン/ポリエチレンポリマー濃縮物は、より高いメルトフローインデックス、より低い平衡トルク値、より低い最大押出機圧力、より低いグリット含量およびインフレーションフィルム中のより少ないニブによって示されるように、比較試料と比較して、改善された特性を呈する。
実施例2
二酸化チタンろ過ケーキを、実施例1に記載の方法で調製した。次に、18個の炭素原子を有するトリメチロールプロパンエステル(「TMP-C18」)を、洗浄したろ過ケーキに、ろ過ケーキ中の二酸化チタンの重量に基づいて0.6重量%の量で添加した。得られた顔料を110℃で終夜オーブン乾燥し、乾燥した顔料を破砕して、乾燥顔料粉末を得た。
乾燥顔料を、スチームと顔料の重量比が1:4で、146psiに設定したスチームの注入圧力で、118psiに設定したマイクロナイザーリング圧力を利用して、スチーム微粉化した。
次に、上記に概要を述べた手順に従って製造した二酸化チタンを使用して、同じ全部の手順を繰り返し、TMP-C18を使用する代わりに、ポリメチルヒドロシロキサン(PHMS)を使用して、比較例2aを形成した。
得られた処理された顔料試料を、実施例1において上記に記載した同じ手順に従って、二酸化チタン/ポリエチレン濃縮物について評価した。試験の結果を以下に示す。
Figure 0006793185
Figure 0006793185
結果は、様々なポリオールエステル鎖長のポリオールエステル処理顔料によって、改善された結果を得ることができることを示す。TMP-C18を含む有機表面処理コーティングを有する顔料を含む、記載の二酸化チタン/ポリエチレンポリマー組成物も、より高いかさ密度、より低い平衡トルク値、より低い最大押出機圧力、およびインフレーションフィルム中のより少ないニブによって示されるように、比較試料に対して、改善された特性を呈する。
実施例3
二酸化チタンろ過ケーキを、上記実施例1に記載の同じ方法で調製した。次に、ペンタエリスリトールテトラステアレート(「PETSエステル」)を、洗浄したろ過ケーキに、ろ過ケーキ中の二酸化チタンの重量に基づいて0.6重量%の量で添加した。得られた顔料を110℃で終夜オーブン乾燥し、乾燥した顔料を破砕して、乾燥顔料粉末を得た。
乾燥顔料を、スチームと顔料の重量比が1:4で、146psiに設定したスチームの注入圧力で、118psiに設定したマイクロナイザーリング圧力を利用して、スチーム微粉化した。得られた処理された顔料試料を、上記の実施例1に記載の手順に従って、二酸化チタン/ポリエチレン濃縮物について評価した。次いで、上記の実施例1に記載の手順に従って製造した二酸化チタンを使用して、同じ手順を繰り返し、PETSエステルを使用する代わりに、ポリメチルヒドロシロキサン(PHMS)を使用して、比較例3aを形成した。結果を、以下の表3aおよび3bによって示す。
Figure 0006793185
Figure 0006793185
PETSエステルを含む有機表面処理コーティングを有する顔料を含む、二酸化チタン/ポリエチレンポリマー濃縮物も、より高いかさ密度、より低い平衡トルク値、およびインフレーションフィルム中のより少ないニブを示すことによって、比較試料に対して、改善を示した。
実施例4
二酸化チタンろ過ケーキを、実施例1に記載の方法で調製した。次に、シリコーン官能基を含むポリオールエステル(「Silube(登録商標)D2」、Siltech Corporationにより販売)を、洗浄したろ過ケーキに、ろ過ケーキ中の二酸化チタンの重量に基づいて0.6重量%の量で添加した。得られた顔料を110℃で終夜オーブン乾燥し、乾燥した顔料を破砕して、乾燥顔料粉末を得た。次いで、乾燥顔料を、スチームと顔料の重量比が1:4で、146psiに設定したスチームの注入圧力で、118psiに設定したマイクロナイザーリング圧力を利用して、スチーム微粉化した。
次に、次いで、上記の実施例1に記載の手順に従って製造した二酸化チタンを使用して、同じ全部の手順を繰り返し、「Silube(登録商標)D2」を使用する代わりに、ポリメチルヒドロシロキサン(PHMS)を使用して、比較例4aを形成した。
得られた処理された顔料試料を、実施例1において上記に記載した同じ手順に従って、二酸化チタン/ポリエチレン濃縮物について評価した。結果を、以下の表4aおよび4bによって示す。
Figure 0006793185
Figure 0006793185
結果は、シリコーン官能基を有する(例えば、脂肪酸変性シリコーンを用いて形成された)ポリオールエステルで処理された顔料を使用することによっても、改善された結果を得ることができることを示す。C8/C10脂肪基を有する分枝状シリコーン(「Silube(登録商標) D2」)を有するポリオールエステルを含む有機表面処理コーティングを有する顔料を含む二酸化チタン/ポリエチレンポリマー濃縮物も、より高いかさ密度、より低い最大押出機圧力、より低いグリット含量およびインフレーションフィルム中のより少ないニブを示すことによって、比較試料に対して、改善を示した。
したがって、顔料、組成物および方法は、言及した目的および利点ならびにそこに内在する目的および利点を達成するのに十分に適合する。本発明の顔料、組成物および方法は、本明細書において教示する利益を有する当業者には明らかである、相違するが均等な方法で改変され実施され得るものであり、したがって上記に開示の具体的な実施例は一例に過ぎない。したがって、上記に開示の具体的に説明する実施例は、変更または改変されてもよく、そのような全ての変形は、本発明の顔料、組成物および方法の範囲および精神内であるとみなされることは明らかである。顔料、組成物および方法は、様々な成分または工程を「含む(comprising)」、「含有する」、「有する」または「含む(including)」という用語で記載されるが、いくつかの例において、顔料、組成物および方法は、様々な成分および工程「から実質的になる」または「からなる」こともできる。下限および上限を伴う数値範囲を開示するときはいつでも、範囲内にある任意の数および任意の含まれる範囲を具体的に開示する。特に、(「約aから約b」または同等の「およそaからb」または同等の「およそa〜b」からの)本明細書に開示する値の全ての範囲は、より広い範囲の値内に包含される全ての数および範囲を説明するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によって明確および明らかに定義されていない限り、それらの明白な通常の意味を有する。

Claims (7)

  1. 処理された微粒子状無機顔料を形成する方法であって、前記処理された微粒子状無機顔料は、
    複数の二酸化チタン顔料粒子、および
    前記顔料粒子の表面上に堆積したトリメチロールプロパンエステル
    を含み、
    前記顔料粒子の表面上に、前記トリメチロールプロパンエステル以外に有機ポリマーは堆積されておらず、
    前記トリメチロールプロパンエステルは、少なくとも1つの脂肪酸をトリメチロールプロパンと反応させることにより形成されるものであり、前記脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸および飽和分枝鎖脂肪酸から選択され、前記トリメチロールプロパンを完全にエステル官能化して前記トリメチロールプロパンエステルを形成しており
    前記方法は、
    複数の二酸化チタン顔料粒子を用意するステップ、
    トリメチロールプロパンエステルを用意するステップ、および
    前記顔料粒子の表面上に前記トリメチロールプロパンエステルを堆積させるステップ
    を含み、前記顔料粒子の表面上に、前記トリメチロールプロパンエステル以外に有機ポリマーは堆積させず、
    前記複数の二酸化チタン顔料粒子を用意するステップは、二酸化チタン顔料粒子を濃酸で処理し、続いて水酸化ナトリウム水溶液で処理して、顔料粒子の表面上にヒドロキシル部位を形成させ、次いで、顔料粒子を水で洗浄することを含み、前記トリメチロールプロパンエステルは、乾燥されていない前記洗浄された顔料粒子の表面上に堆積させる、
    方法。
  2. 前記処理された微粒子状無機顔料が、金属酸化物コーティング、金属水酸化物コーティングおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機コーティングをさらに含み、前記コーティングが、前記顔料粒子の表面上に堆積している、請求項1に記載の方法
  3. 前記脂肪酸が、6〜24個の炭素原子を有する、請求項1または2に記載の方法
  4. 前記脂肪酸が、トリメチルヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法
  5. 前記脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法
  6. 前記トリメチロールプロパンエステルが、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメチロールプロパントリココエート、トリメチロールプロパントリステアレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法
  7. 前記トリメチロールプロパンエステルが、前記顔料粒子の総重量に基づいて0.2重量%〜2.0重量%の範囲の量で、前記顔料粒子の表面上に堆積される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法
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