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JP6784014B2 - コイル装置 - Google Patents

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JP6784014B2 JP2015226638A JP2015226638A JP6784014B2 JP 6784014 B2 JP6784014 B2 JP 6784014B2 JP 2015226638 A JP2015226638 A JP 2015226638A JP 2015226638 A JP2015226638 A JP 2015226638A JP 6784014 B2 JP6784014 B2 JP 6784014B2
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Description

本発明は、インダクタ素子等として用いられるコイル装置に関する。
各種の電子・電気機器には、インダクタ素子等として多くのコイル装置が搭載されている。例えば、そのようなコイル装置の一例として、熱硬化性樹脂を含有する結合材と、磁性粉末とを混ぜ合わせた圧粉体でコイル部を被覆したものが知られている(特許文献1参照)。
特開2002−203731号公報
しかしながら、従来のコイル装置では、落下時の衝撃や熱衝撃時に、磁性材を含む磁性材含有部にクラックが生じる問題があり、特に、コイル部の外周側のような磁性材含有部の厚みが薄い部分に、衝撃によるクラックが生じる問題がある。
また、従来のコイル装置では、コイル部を構成するワイヤの表面に形成された絶縁被覆が、成型時に加えられる圧力により、磁性材含有部に含まれる磁性材等によって傷つけられ、ワイヤ表面の絶縁性が保たれないという問題が生じている。このような問題を回避する手法として、成型時の圧力を低く制限することが考えられるが、そのような制限を行った場合、磁性材含有部の密度を十分に高めることができず、磁性材含有部の透磁率を高めることが難しいという問題が発生する。
また、従来のコイル装置では、コイル装置の磁気飽和特性が、コイル装置の外形状及びコイル部の内径等によって決定されてしまうため、同様のコイル部を用いた場合、同じ外形状を有していながら異なる直流重畳特性を有するコイル装置を製造することが難しいという問題があった。すなわち、従来のコイル装置では、同じ外形状で異なる直流重畳特性を有するコイル装置を設計する場合、個別にコイル部を設計・製造する必要があり、開発・製造コストが高くなるという問題を有している。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、衝撃によるクラックの発生を防止でき、かつ、直流重畳特性を容易に制御できるコイル装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、絶縁被覆ワイヤを中空筒状に巻回して成るコイル部と、
磁性材と当該磁性材を繋ぐ結合材とを含有しており、前記コイル部を覆う磁性材含有部と、
前記コイル部と前記磁性材含有部との間に挟まれる第1部分と、前記絶縁被覆ワイヤに流れる電流に応じて前記磁性材含有部に生じる磁束の流れ方向に関して前記磁性材含有部に両側を挟まれる第2部分とを有しており、前記磁性材含有部より樹脂含有率が高い樹脂層と、を有する。
樹脂層のうち、特に第2部分は、コイル装置に衝撃が加えられた場合に緩衝部として作用し、衝撃によるクラックが磁性材含有部に生じる問題を防止できる。また、本発明に係るコイル装置は、樹脂層における特に第2部分の厚みを変更することにより、外形状やコイル部の内径等を変更しなくても、コイル装置の磁気飽和特性及び直流重畳特性を容易に制御することができる。さらに、成型時においてコイル部に圧力が加えられた際には、第1部分が変形することにより、磁性材含有部からコイル部へ加えられる圧力を吸収し、ワイヤの絶縁被覆が損傷する問題を防止できる。そのため、成型時の圧力を従来のコイル装置より上昇させ、磁性材含有部の透磁率を向上させることが可能となる。なお、第1部分にも、コイル装置に加えられる衝撃を緩和し、クラックの発生を防止する効果がある。
また、例えば、前記第1部分と前記第2部分とは、互いに連続しており1つの前記樹脂層を形成していてもよい。
第1部分と第2部分が連続していることにより、磁性材含有部に加えられる衝撃を、樹脂層全体によって効果的に吸収することが可能であり、磁性材含有部におけるクラックの発生を効果的に防止できる。
また、例えば、前記コイル部の表面は、内周側面、外周側面、上面及び底面を含んでいてもよく、
前記第1部分は、前記上面及び前記底面のうちいずれか一方と、前記磁性材含有部との間に配置されていてもよい。
第1部分をコイル部の上面又は底面に配置することにより、成型時に加えられる圧力によってワイヤの絶縁被膜が損傷する問題を防止することができる。また、第1部分を上面と底面のいずれか一方に配置することにより、このような第1部分を含む樹脂層は、コイル部のみを衝撃から保護するのではなく、磁性材含有部にクラックが生じる問題を効果的に防止できる。
また、例えば前記樹脂層は、前記磁性材含有部の外表面まで連続していてもよい。
このような樹脂層を有するコイル装置は、磁性材含有部の外表面近傍のような比較的クラックが発生しやすい場所まで樹脂層を連続させることにより、衝撃により磁性材含有部にクラックが発生する問題を効果的に防止できる。また、樹脂層を外表面まで連続させることにより、樹脂層を磁気ギャップとして好適に作用させることができる。
また、例えば、前記磁性材含有部には前記結合材としての樹脂が含まれており、前記結合材としての樹脂は、前記樹脂層に含まれる樹脂と同じ樹脂であってもよい。
結合材として磁性材含有部に含まれる樹脂や、樹脂層に含まれる樹脂は、特に限定されないが、磁性材含有部と樹脂層との材質を近似させて結合性を高める観点や、熱膨張・収縮特性を磁性材含有部と近似させて耐熱衝撃性を高める観点から、結合材としての樹脂は、樹脂層に含まれる樹脂と同じ樹脂であることが好ましい。
図1は本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。 図2は図1に示すコイル装置の断面斜視図である。 図3は図1に示すコイル装置の一部透明斜視図である。 図4は図1に示すコイル装置の製造工程を表す概念図である。 図5は本発明の第2実施形態に係るコイル装置の断面図である。 図6は本発明の第3実施形態に係るコイル装置の断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係るコイル装置10は、コイル部20(図3参照)を覆う磁性材含有部30と、コイル部20及び磁性材含有部30に挟まれる樹脂層40とを有している。コイル装置10は、例えばパソコンや携帯型電子機器などに搭載される回路素子(インダクタ素子)として使用されるが、コイル装置10の用途やコイル装置10を搭載する機器については、特に限定されない。
図1の一部透視図である図3に示すように、磁性材含有部30の内部には、コイル部20が収容されている。コイル部20は、絶縁被覆ワイヤ20aを中空筒状に巻回して成る。絶縁被覆ワイヤ20aは、電流を流すための導線と、導線を被覆する絶縁被覆とを有する。コイル部20で採用する絶縁被覆ワイヤ20aは、電流方向に対する導線の直交断面形状が矩形である平角線であり、円形の断面を有する導線に比べてコイル部の線密度を高めて直流抵抗を低減できる利点がある。ただし、コイル部20が採用する絶縁被覆ワイヤ20aとしてはこれに限定されず、円形の断面を有するものであってもよい。
絶縁被覆ワイヤ20aの両方の端部20aaは、磁性材含有部30の外表面31に露出しており、外表面31には、端部20aaに接続する端子部(不図示)が形成される。図1に示すように、絶縁被覆ワイヤ20aの端部20aaでは、導線が絶縁被覆から露出しており、外表面31に形成される端子部との電気的な接続が確保される。端子部は、磁性材含有部30の外表面31に、メッキ等により金属被膜を形成したり、金属板材を接合したりすることにより形成されるが、端子部の種類又は形成方法については、特に限定されない。絶縁被覆ワイヤ20aと端子部の接合方法も、溶接や導電性接着剤を用いた接着などが挙げられるが、特に限定されない。
図3に示すように、中空円筒状のコイル部20の表面21は、コイル部20の中心軸を向く内周側面21aと、コイル部20の外周方向を向く外周側面21bと、内周側面21a及び外周側面21bとは垂直であって互いに対向する上面21c及び底面21dとを有する。なお、実施形態の説明では、コイル装置10を基板等に実装する際の実装面に近い側を底面21d、底面21dに対向する面を上面21cとする。
絶縁被覆ワイヤ20aの導線は、たとえばCu、Al、Fe、Ag、Au、リン青銅などで構成してある。絶縁被覆層は、たとえばポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエステル−イミド、ポリエステル−ナイロンなどで構成してある。
コイル装置10の断面を表す図2に示すように、磁性材含有部30は、コイル装置10の概略外形状を規定しており、略矩形の外形状を有する。磁性材含有部30は、磁性材と、その磁性材を繋ぐ結合材とを含有しており、後述するように、磁性材の粉体及び結合材を含む顆粒を圧縮成型又は射出成型等して形成される。磁性材含有部30に含まれる磁性材としては、特に限定されないが、Mn−Zn、Ni−Cu−Znなどのフェライト、センダスト(Fe−Si−Al;鉄−シリコン−アルミニウム)、Fe−Si−Cr(鉄−シリコン−クロム)、パーマロイ(Fe−Ni)、パーマロイ(PB系、PC系)、カルボニル鉄系、カルボニルNi系、アモルファス粉、ナノクリスタル粉などが例示される。結合材としては、特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコン樹脂などの樹脂、及びこれらを組み合わせたものなどが例示される。
磁性材含有部30は、コイル装置10においてコアとして機能する。磁性材含有部30は、軸部32と、上部33と、底部34と、外周部35とを有している。軸部32は、コイル部20の内部に配置される部分であり、コイル部20の内周側面21aに囲まれる。上部33は、コイル部20の上方に位置し、コイル部20の上面21cに接触する。底部34は、コイル部20の下方に位置し、後述する樹脂層40を、コイル部20の底面21dとの間に挟む状態に配置される。外周部35は、コイル部20の外周に配置され、コイル部20の外周側面21bと接触する。磁性材含有部30における軸部32、上部33、底部34及び外周部35には、絶縁被覆ワイヤ20aに流れる電流に応じて、図2において矢印Aで示す方向又はその逆方向の磁束の流れが生じる。
図2に示すようにコイル装置10は、磁性材含有部30より樹脂含有率が高い樹脂層40を有する。樹脂層40は、コイル部20の底面21dと磁性材含有部30の底部34との間に挟まれる第1部分41と、磁性材含有部30に流れる磁束の流れ方向に関して磁性材含有部30に両側を挟まれる第2部分42とを有している。
図2及び図3に示すように、第1部分41と第2部分42とは同一の平面に沿って互いに連続しており、1つの樹脂層40を形成している。したがって、コイル装置10における樹脂層40は、磁性材含有部30における軸部32を挿通する貫通孔が形成された矩形シート状の形状を有している。樹脂層40の外周縁は、磁性材含有部30の外周縁に一致しており、樹脂層40は磁性材含有部30の外表面31まで連続している。
磁性材含有部30のうち、外周部35と底部34は樹脂層40を介して接続されているのに対して、軸部32と上部33、軸部32と底部34及び上部33と外周部35は、樹脂層40を介さず直接接続されている。
樹脂層40の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1〜3μmとすることが好ましく、0.1〜1μmとすることがさらに好ましい。樹脂層40の樹脂含有率は、磁性材含有部30より高ければ特に限定されないが、重量率で20%以上であることが好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
樹脂層40に含まれる樹脂は、特に限定されないが、結合材として磁性材含有部30に含まれる樹脂と同じ樹脂であることが好ましい。樹脂層40に含まれる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、シリコン樹脂、耐熱性ゴムなどの樹脂、及びこれらを組み合わせたものなどが例示される。また、樹脂層40は、結合材として磁性材含有部30に含まれる樹脂と同様の樹脂のみで構成されていてもよい。
本実施形態のコイル装置10のサイズは、特に限定されないが、たとえば幅が10〜20mm、奥行が10〜20mm、高さ1〜10mmである。
図1〜図3に示すコイル装置10の製造方法の一例を、図4を用いて説明する。
コイル装置10の製造では、まず、コイル装置10の磁性材含有部30の底部34の材料である底部材料134(図4(a)参照)を準備する。底部材料134は、磁性材の粉体及び結合材を含む顆粒を圧縮成型して形成される。
次に、図4(a)に示すように、底部材料134の一方の面に樹脂層40の材料である樹脂層材料140を形成する。樹脂層材料140は、樹脂層40を構成する樹脂を含む樹脂溶液を、底部材料134の一方の面にスプレーコートすることにより形成される。この際、底部材料134の一方の面のうち、樹脂層材料140が形成されない中央部分は、スプレーコートの前にマスクで覆っておく。
次に、図4(b)に示すように、底部材料134の表面に形成された樹脂層材料140の上に、空芯コイルの状態に準備されたコイル部20を設置する。さらに、図4(b)のように準備された底部材料134、樹脂層材料140及びコイル部20を金型内に設置し、その上から、磁性材の粉体及び結合材を含む顆粒を金型内に投入して加圧する。これにより、図4(b)に示す底部材料134、樹脂層材料140及びコイル部20の上に、磁性材含有部30における軸部32、上部33及び外周部35の材料となる軸部材料132、上部材料133、外周部材料135が成型され、図4(c)に示すようなコイル装置材料100を得る。
図4(c)に示すコイル装置材料100は、樹脂層材料140に含まれる揮発成分の除去及び磁性材含有部30に含まれる結合材としての樹脂の硬化のために加熱処理される。さらに、加熱処理されたコイル装置材料100の表面に、端部20aa(図1参照)に導通する端子部をバレルめっき等により形成し、コイル装置10を得る。なお、端子部を形成する前に、図1に示す磁性材含有部30の外表面31の一部に、スパッタリングメッキまたは導電ペースト等により、端部20aaと端子部とを電気的に接続する下地層が形成されてもよい。
図3等に示すコイル装置10では、樹脂層40が、コイル装置10に対して衝突による衝撃や熱衝撃が加えられた場合に緩衝部として作用し、衝撃によるクラックが磁性材含有部30に生じる問題を防止できる。特に、磁性材含有部30に両側を挟まれる第2部分42は、磁性材含有部30に加えられた衝撃を緩衝する緩衝部として好適に作用する。また、第1部分41と第2部分42とが連続していることにより、樹脂層40全体によって効果的に衝撃を吸収することが可能となり、衝撃により磁性材含有部30が損傷する問題を防止できる。
また、樹脂層40の第2部分42が磁性材含有部30の外表面31まで連続していることにより、磁性材含有部30のうち、コイル部20の外周側に位置する外周部35のように、厚みが薄くクラックが比較的生じやすい部分についても、衝撃によるクラックの発生を効果的に防止できる。
また、樹脂層40の第1部分41は、成型時において圧力が加えられた際に変形することにより、コイル部20へ加えられる圧力を吸収するクッションの役割を果たし、コイル部20を構成する絶縁被覆ワイヤ20aの絶縁被覆が損傷する問題を防止できる。そのため、このようなコイル装置10の製造では、成型時の圧力を従来のコイル装置より上昇させることが可能となり、従来より高い圧力で成型されたコイル装置10では、磁性材含有部30の透磁率が上昇し、高いL値を有するコイル装置10を実現できる。
また、コイル装置10は、樹脂層40における特に第2部分42の厚みを変更することにより、外形状やコイル部20の内径等を変更しなくても、コイル装置10の磁気飽和特性及び直流重畳特性を容易に制御することができる。
図1〜図3に示すコイル装置10の形状や、図4に示すコイル装置10の製造は、本発明に係るコイル装置の一実施形態にすぎず、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
図5は、第2実施形態に係るコイル装置200の断面図である。コイル装置200は、樹脂層240に貫通孔が形成されていないことと、磁性材含有部230におけるギャップの形成状態が異なることを除き、第1実施形態に係るコイル装置10と同様である。
コイル装置200の樹脂層240は、矩形シート状の形状を有しており、軸部332を挿通させるための貫通孔が形成されていない。樹脂層240は、コイル部20の底面21dと磁性材含有部230の底部234との間に挟まれる第1部分241と、磁性材含有部230の外周部235と底部234との間に挟まれる第2部分242と、磁性材含有部230の軸部232と底部234との間に挟まれる第2部分243とを有している。樹脂層240における第2部分242、243は、磁性材含有部230に形成される磁束の流れ方向に関して磁性材含有部230に両側を挟まれており、コアとしての磁性材含有部230に設けられた磁気ギャップとして機能する。
コイル装置200の製造方法は、樹脂層材料が底部材料134の一方の面全体に形成されることを除き、図4に示すコイル装置10の製造方法と同様である。なお、樹脂層材料の形成方法は、スプレーコートを採用してもよく、スピンコートを採用してもよい。
コイル装置200は、第1実施形態に係るコイル装置10と同様の効果を奏する。また、コイル装置200は、磁性材含有部230の軸部232と底部234との間に挟まれる第2部分243を有しているため、軸部232などコイル装置200の中央部分で、衝撃によるクラックが発生する問題を、より効果的に防止できる。
また、コイル装置10及びコイル装置200に示すように、コイル装置10、100の磁気飽和特性及び直流重畳特性は、樹脂層40、240の厚みを変更するだけでなく、第2部分243の有無や広さによっても制御することができる。
図6は、第3実施形態に係るコイル装置300の断面図である。コイル装置300は、樹脂層340がコイル装置300の中央部からコイル部20に向かって下方に傾斜する第2部分343を有しており、磁性材含有部330が、樹脂層340によって凹状部330aと凸状部330bとに隔てられている点を除き、第2実施形態に係るコイル装置200と同様である。
樹脂層340は、コイル部20の底面21dと磁性材含有部330の底部334との間に挟まれる第1部分341と、磁性材含有部330の外周部335と底部334との間に挟まれる第2部分342と、磁性材含有部330の軸部332において凹状部330aと凸状部330bとの間に挟まれる第2部分343、344と、を有している。凹状部330aと凸状部330bとの間に挟まれる第2部分343、344のうち、コイル装置300の中央部に位置する第2部分344は外表面331に対して平行又は垂直であるが、第2部分344を取り囲む第2部分343は、第2部分344の外周縁からコイル部20の底面21dの内周縁に向かって下方に傾斜している。
コイル装置300の製造方法では、磁性材の粉体及び結合材としての樹脂を含む顆粒を金型に投入し、凸状部330bの形状に成型された凸状部材料を加圧成型する。また、この、凸状部材料を成型する際、金型における凸状の突起と接触する面に、樹脂製の離型フィルムを装着しておく。これにより、成型された凸状部材料において離型フィルムに接触していた面には、顆粒の中に結合材として含まれている樹脂が集中し、樹脂層340となる樹脂層材料が形成される。
次に、樹脂層材料が形成された凸状部材料の上に、コイル部20を装着する。さらに、磁性材と結合材とを含む顆粒を凹状部330aの形状に成型することにより別途準備した凹状部材料を、コイル部20を挟むようにして凸状部材料と組み合わせる。この後、コイル装置10と同様に加熱処理を施された後、端子部を形成し、コイル装置300を得る。
コイル装置300は、第2実施形態に係るコイル装置200と同様の効果を奏する。また、コイル装置300は、磁性材含有部330の外表面331に対して平行又は垂直な第2部分342、344だけでなく、外表面331に対して傾斜している第2部分343を有している。このような第2部分342、343、344を有するコイル装置200は、磁性材含有部330の内部に生じる応力をより効果的に低減し、衝撃によって磁性材含有部330にクラックが発生する問題を防止できる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(試料作製)
図4に示すように、磁性体と結合材を含む顆粒によって底部材料134を成型したのち、その表面にスプレーコートにより樹脂層材料140を形成し(図4(a))、樹脂材料140の上にコイル部20を設置して金型内に投入する(図4(b))。さらに磁性体と結合材を含む顆粒を金型内に投入して加圧成型してコイル装置材料100を得、その後コイル装置材料を加熱処理することにより、コイル装置10を得た。なお、比較例である試料1及び試料2の作成時は、樹脂層材料140を形成する工程を省略した。試料の条件は以下のとおりである。
・顆粒:磁性材としてFe−Si−Cr合金(平均粒径0.5〜10μm)100gに、水に溶解したシランカップリング剤を加え、110℃で30分加熱し、磁性材表面に絶縁被膜を形成した。上記磁性材にアセトンに希釈したエポキシ樹脂を磁性粉重量に対して3重量%加え攪拌した後、250ミクロンの目開きのメッシュをパスさせ、室温で24時間乾燥させ、顆粒を得た。
・コイル部:絶縁被覆ワイヤ(線材:AIW(断面0.06×0.3mm)、絶縁被膜:ポリアミドイミド)を用いて作成した空芯コイル(10T、内径1.3mm)を用いた。
・樹脂層材料:アセトンに希釈したエポキシ樹脂を用いた。
・成型圧力:2t〜6t(表1参照)
・加熱条件:170℃ 1.5時間
・コイル装置寸法:2.0×1.6×0.7mm(2016サイズ)
樹脂層厚さ:0μm、0.1μm、1.0μm、3.0μm
(試験)
上述のようにして得られたNo.1〜No.6の試料について、衝撃試験と、実効μiの測定と、被膜損傷試験と、直流重畳特性の測定を実施した。結果を表1に示す。なお、各試験の条件は以下の通りである。
衝撃試験:低温(−55℃)から高温(+125℃)の温度変化を、1000サイクル行い、試験前後の各試料の特性値(インダクタンス値)の変化が許容範囲内であるかを確認。インダクタンス値の変化が10%以内である水準を良品と判断。
直流重畳特性:周波数1.000kHz、印加電圧0.5V、温度23℃、直流電流0〜5A(1kHzのインダクタンス)
実効μi:直流重畳(上述)した際の実効初透磁率を測定。
被膜損傷試験:絶縁被膜の損傷によってコイル部にショートが発生していないことを、各試料の特性値(インダクタンス値)の測定により確認。1000kHzのインダクタンス値の変化が10%以内、かつ周波数を変化させてインダクタンス値を測定した時、所定の共振ピークが見られる水準を良品と判断。
Figure 0006784014
(評価)
樹脂層を有する試料No.3〜No.6は、衝撃試験で向上が見られ、樹脂層を有しない試料No.1より耐衝撃性が向上していることが確認できた。樹脂層が無い場合、成型圧力4t/cm(試料No.2)でコイル部の被膜損傷が発生し、これ以上成型圧力を上げることが困難であることが判明したが、樹脂層を有する場合(試料No.2〜試料No.6)、成型圧力6t/cmでも被膜損傷は発生せず、樹脂層が無い場合に比べて成型圧力を上げられることが確認できた。また、樹脂層を有する試料No.3、試料No.4から、成型圧力を上げることにより実効μiを向上させられることが確認できた。さらに、樹脂層の厚みを0.1〜3.0μmの間で変化させた試料No.4〜試料No.6の比較から、樹脂層の厚みによってコイル装置の直流重畳特性を変更できることが確認できた。
10、200、300…コイル装置
20…コイル部
20a…絶縁被覆ワイヤ
20aa…端部
21d…底面
30、230、330…磁性材含有部
31、331…外表面
33…上部
34、234、334…底部
35、235、335…外周部
330a…凹状部
330b…凸状部
40、240、340…樹脂層
41、241、341…第1部分
42、242、243、342、343、344…第2部分

Claims (3)

  1. 絶縁被覆ワイヤを中空筒状に巻回して成るコイル部と、
    磁性材と当該磁性材を繋ぐ結合材とを含有しており、前記コイル部を覆う磁性材含有部と、
    前記コイル部と前記磁性材含有部との間に挟まれる第1部分と、前記絶縁被覆ワイヤに流れる電流に応じて前記磁性材含有部に生じる磁束の流れ方向に関して、少なくとも前記コイル部の外周側で前記磁性材含有部に両側を挟まれる第2部分とを有しており、前記磁性材含有部より樹脂含有率が高い樹脂層と、を有し、
    前記磁性材含有部は、前記磁性材と前記結合材としての樹脂とを含有し前記樹脂層の一方側に配置される第1磁性材含有部と、前記磁性材と前記結合材としての樹脂とを含有し前記樹脂層の他方側に配置される第2磁性材含有部とを組み合わせてなり、
    前記第1部分と前記第2部分とは、互いに連続しており1つの前記樹脂層を形成しており、
    前記樹脂層は薄層状からなり、前記樹脂層の厚みは0.1〜3μmであり、前記樹脂層は、前記第1磁性材含有部の樹脂が前記第1磁性材含有部の表層部分に集中して形成されるコイル装置。
  2. 前記コイル部の表面は、内周側面、外周側面、上面及び底面を含み、
    前記第1部分は、前記上面及び前記底面のうちいずれか一方と、前記磁性材含有部との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
  3. 前記樹脂層は、前記磁性材含有部の外表面まで連続しており、前記外表面まで連続する前記樹脂層は、前記コイル部の表面に含まれる外周側面と前記外表面との間に挟まれる前記磁性材含有部の最薄部分に、接していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコイル装置。
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