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JP6781080B2 - ハニカムフィルタ - Google Patents

ハニカムフィルタ Download PDF

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JP6781080B2 JP2017041793A JP2017041793A JP6781080B2 JP 6781080 B2 JP6781080 B2 JP 6781080B2 JP 2017041793 A JP2017041793 A JP 2017041793A JP 2017041793 A JP2017041793 A JP 2017041793A JP 6781080 B2 JP6781080 B2 JP 6781080B2
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Description

本発明は、ハニカムフィルタに関する。
特許文献1には、微粒子の捕集に用いられるハニカムフィルタとして、炭化ケイ素からなるハニカムフィルタが開示されている。
特許文献2には、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子を含むモノリス基材に貴金属が担持された排ガス浄化触媒が開示されている。また、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子で基材を構成することで熱容量を小さくし、モノリス基材の温度を上げやすくして、触媒の暖機性能を向上させることが記載されている。
国際公開第2006/041174号 特開2015−85241号公報
ところで、特許文献2の排ガス浄化触媒に、特許文献1のハニカムフィルタのハニカム構造を採用して、微粒子の捕集機能を付与することが考えられる。しかしながら、この場合、基材を構成するセリア−ジルコニア複合酸化物の熱膨張係数が大きいために、セリア−ジルコニア複合酸化物の熱膨張を許容する耐熱衝撃性を確保する必要がある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハニカムフィルタの耐熱衝撃性を向上させることにある。
上記の目的を達成するための本発明のハニカムフィルタは、内部を複数のセルに区画する区画壁を備え、複数の上記セルが周方向に並設されてなるセル列を有するとともに、上記セル列が径方向に複数、配列されたハニカムフィルタであって、上記区画壁は、セリア−ジルコニア複合酸化物と無機バインダを構成成分とする基材を有し、上記セルは、一端側の端部が開放され、他端側の端部が封止された第1セルと、一端側の端部が封止され、他端側の端部が開放された第2セルを有し、上記区画壁は、隣接する上記セル列の間に位置する複数の周方向区画壁と、上記セル列を構成する上記セルの間に位置する複数の径方向区画壁とを備え、軸方向に直交する断面において、上記周方向区画壁には、径方向内側に位置する上記径方向区画壁との第1交点と、径方向外側に位置する上記径方向区画壁との第2交点とが設けられ、同じ周方向区画壁に位置する上記第1交点と上記第2交点とが一致しない。
上記構成によれば、セリア−ジルコニア複合酸化物の熱膨張による応力が径方向にかかる際に、その応力が径方向区画壁だけでなく、隣接するセル列の間に位置する周方向区画壁にも分散されやすくなる。これにより、ハニカムフィルタの最外周で発生する熱応力を小さくすることができ、ハニカムフィルタの耐熱衝撃性が向上する。特に、ハニカムフィルタに捕集されたススを燃焼除去する際に発生する熱応力に対して、ハニカムフィルタの破損を抑制することができる。なお、区画壁の交点とは、各区画壁の厚さ方向の中心を通る中心線同士が交わる点のことをいう。また、上記構成によれば、セルに流入するガスが、上記交点部分及びその周囲にも流れやすくなる。これにより、上記基材に触媒を担持させた場合に、上記交点部分及びその周囲に担持された触媒も有効に活用されるようになり、ハニカムフィルタの触媒作用が向上する。基材がセリア−ジルコニア複合酸化物と無機バインダで構成されており、熱容量が小さいため、高い暖機性能が得られる。ここで、「暖機性能」とは、ハニカムフィルタの十分な浄化性能が得られる温度までの上がりやすさを意味するものとする。
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記第1交点の50%以上が上記第2交点と一致しないことが好ましい。
上記構成によれば、耐熱衝撃性の向上効果をより確実に得ることができる。
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記周方向区画壁のうちの少なくとも一つは、当該周方向区画壁に設けられる上記第1交点と上記第2交点とがすべて一致しないことが好ましい。
上記構成によれば、熱膨張による応力が径方向にかかる際に、第1交点と第2交点とがすべて一致しない周方向区画壁において、応力が直線的に伝わることを全周にわたって抑制することができる。これにより、耐熱衝撃性の向上効果をより高めることができる。
本発明のハニカムフィルタにおいて、最内周及び最外周に位置する上記セル列を構成する上記セルを除いて、断面が最も小さい上記セルの断面積(A1)と断面が最も大きい上記セルの断面積(A2)との比率(A2/A1)が1.25以下であることが好ましい。
上記構成によれば、セルの断面積をほぼ均一化することにより、ハニカムフィルタの暖機性能を高めることができる。すなわち、セルの断面積が過度に不均一であると、断面積が小さいセルに処理対象となるガスが流れ難くなって、その部分が暖まり難くなる。また、それに応じて、排ガス中のススの堆積が不均一になりやすい。上記構成によれば、こうした問題が生じることを抑制できる。例えば、ハニカムフィルタの中心部分と外周部分のセルの断面積を均一にすることで、ガスが外周部分に流れやすくなることを防ぎ、中心部分の温度上昇を早くすることができる。また、上記基材に触媒を担持させた場合には、中心部分の温度上昇を早くすることで、ガスの流入初期からの触媒作用を高めることができる。
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記基材に触媒が担持されていることが好ましい。この構成によれば、微粒子を捕集する機能と、処理対象となるガスの浄化作用等の触媒に基づく機能とを有するフィルタになる。そして、壁部自体が暖機性能に優れているため、触媒に適した温度まで速やかに昇温することができる。
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記触媒は、貴金属であることが好ましい。
セリア−ジルコニア複合酸化物は、貴金属からなる触媒の触媒作用を促進させる助触媒としての機能を有する。そのため、貴金属からなる触媒を用いることにより、高い触媒作用を発揮することができる。
本発明のハニカムフィルタにおいて、上記セルとして、一端側の端部及び他端側の端部の両方が開放された第3セルをさらに備え、上記セル列は、時計回り又は反時計回りに、上記第1セル、上記第2セル、上記第3セルの順で上記第1〜第3セルが繰り返し配置されていることが好ましい。
上記構成によれば、一端側の端部と他端側の端部の両方が開放された第3セルを備えることにより、ハニカムフィルタの圧力損失を低減させることができる。
本発明によれば、ハニカムフィルタの耐熱衝撃性を向上させることができる。
ハニカムフィルタの斜視図。 ハニカムフィルタの軸方向に沿った断面の簡略図。 (a)はハニカムフィルタの径方向に沿った部分断面図、(b)はハニカムフィルタの径方向に沿った断面の簡略図。 比較例1のハニカムフィルタの斜視図。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態のハニカムフィルタ10は、円筒状の周壁11と、周壁11の内部を周壁11の軸方向の一端側から他端側に延びる複数のセルSに区画する断面ハニカム形状の区画壁12とを備えている。周壁11と区画壁12とによって壁部13が構成されている。ハニカムフィルタ10の具体的な形状は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のように設定することができる。
ハニカムフィルタ10の直径は、例えば、130mm以下であり、120mm以下であることが好ましい。また、ハニカムフィルタ10の直径は、例えば、85mm以上である。ハニカムフィルタ10の軸方向の長さは、例えば、65〜120mmであり、70〜115mmであることが好ましい。なお、上記「65〜120mm」は、「65mm以上120mm以下」を意味するものとし、「A〜B」は「A以上B以下」を意味するものとする。ハニカムフィルタ10の直径に対する長さの比(長さ/直径)は、例えば、1.0以下であり、0.5〜0.9であることが好ましい。区画壁12の壁厚は、例えば、0.1〜0.7mmであり、セル密度は、例えば、1cmあたり6.2〜124セルである。
壁部13は、セリア−ジルコニア複合酸化物(以下、「CZ複合酸化物」ともいう。)と無機バインダとアルミナを構成成分とする多孔質の基材によって形成されている。すなわち壁部13を構成する基材には、CZ複合酸化物と無機バインダとアルミナが含まれている。そして、基材を構成する粒子の表面には触媒が担持されている。
本発明のCZ複合酸化物は、セリアを10質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましい。また、セリアを70質量%以下含むことが好ましく、60質量%以下含むことがより好ましい。セリアを10質量%以上含むことで、排ガス中の酸素の吸蔵放出能が高くなり、70質量%以下とすることで熱耐久性が高くなる。
CZ複合酸化物は、セリウム以外の希土類元素から選択される元素をさらに含んでいてもよい。希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などが挙げられる。
基材におけるCZ複合酸化物の含有率は15〜60質量%であることが好ましい。
上記無機バインダとしては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、ベーマイトを用いることができる。基材における無機バインダの含有量は特に限定されないが、基材に対して、10〜30質量%含有していることが好ましい。
上記アルミナとして、アルミナ粒子が含まれていることが好ましい。アルミナ粒子が含まれていると、触媒として用いる貴金属が分散担持されやすく、また、区画壁12の機械的強度を向上させることができる。アルミナ粒子の種類としては、特に限定されないが、θ相のアルミナ(以下、「θ−アルミナ」ともいう。)や、γ相のアルミナ(以下、「γ−アルミナ」ともいう)を用いることが好ましい。θ−アルミナは、1000℃程度の高温に曝されても相転移が抑制されるため、θ−アルミナを基材の構成成分に用いることにより、触媒機能の低下を抑制することができる。γ−アルミナは比表面積が大きいため、触媒として用いる貴金属を高分散させることができる。基材におけるアルミナ粒子の含有量は特に限定されないが、基材に対して、15〜60質量%含有していることが好ましい。
基材には、CZ複合酸化物、無機バインダ、アルミナ以外のその他成分が含まれていてもよい。その他成分としては、例えば、CZ複合酸化物やアルミナよりも熱膨張係数が小さい粒子(以下、「低熱膨張係数粒子」ともいう。)等のその他の無機粒子が挙げられる。
その他の成分として、低熱膨張係数粒子を含有させた場合には、基材の熱膨張係数を小さくすることができるため、ハニカムフィルタ10の耐熱衝撃性がさらに向上する。低熱膨張係数粒子としては、例えば、コージェライト、チタン酸アルミニウム、リチウムアルミノケイ酸塩系材料の粒子が挙げられる。リチウムアルミノケイ酸塩系材料としては、例えば、βスポジュメンやβユークリプタイトが挙げられる。低熱膨張係数粒子の含有量は特に限定されるものではないが、基材に対して、5〜30質量%含有していることが好ましい。
基材に担持される触媒としては、貴金属、アルカリ金属(元素周期表1族)、アルカリ土類金属(元素周期表2族)、希土類元素(元素周期表3族)、遷移金属元素が挙げられるが、貴金属であることが好ましい。貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属が挙げられる。貴金属の担持量は特に限定されないが、ハニカムフィルタ10の見掛けの体積(L)に対して、0.1〜20g/Lであることが好ましく、0.5〜15g/Lであることがより好ましい。
図2に示すように、複数のセルSのうち所定のセルSは、端部が封止部14により封止されている。すなわち、ハニカムフィルタ10は、セルSとして、一端側の端部が開放され、他端側の端部が封止された第1セルS1と、第1セルS1に隣接して一端側の端部が封止され、他端側の端部が開放された第2セルS2とを備えている。第1セルS1と第2セルS2は互いに異なる側の端部が封止されているため、矢印で示すように、第1セルS1に一端側から流入したガスは、第1セルS1と第2セルS2の間の区画壁12の内部を通過して、第2セルS2の他端側から流出する。この際、区画壁12における第1セルS1側の表面に微粒子が捕集される。
また、ハニカムフィルタ10は、セルSとして、第1セルS1及び第2セルS2の少なくとも一方に隣接して、一端側の端部と他端側の端部の両方が開放された第3セルS3を更に備えてもよい。第3セルS3の一端側の端部から流入したガスは、区画壁12の表面を通過して同じ第3セルS3の他端側の端部から流出することができる。第3セルS3が第1セルS1に隣接している場合、第1セルS1に一端側から流入したガスは、第1セルS1と第3セルS3の間の区画壁12の内部を通過して、第3セルS3の他端側から流出することもできる。また、すべてのセルSに占める第3セルS3の割合は特に限定されるものではないが、1/3以下であることが好ましい。
図2に示すように、封止部14の長さTは特に限定されるものではないが、区画壁12の壁厚よりも厚いことが好ましい。また、区画壁12の壁厚が0.1〜0.7mmである場合、封止部14の長さTは、1〜10mmであることが好ましい。
次に、ハニカムフィルタ10に設けられているセルSの配置、及びセルSを区画する区画壁12の構造について説明する。
図3(a)に示すように、ハニカムフィルタ10は、複数のセルSが周方向に並設されてなるセル列を有するとともに、そのセル列が径方向に複数、配列されたセル構造を有している。したがって、セルSを区画する区画壁12は、隣接するセル列の間に位置して、周方向に延びる周方向区画壁12aと、同じセル列を構成するセルSの間に位置して、径方向に延びる径方向区画壁12bとから構成される。換言すると、区画壁12は、同一中心に配置された複数の環状の周方向区画壁12aと、隣接する周方向区画壁12aの間を接続する複数の径方向区画壁12bとから構成される。
図3(b)は、ハニカムフィルタの径方向に沿った断面の簡略図である。図3(b)に示すように、軸方向に直交する断面において、各周方向区画壁12aには、その径方向内側に位置する径方向区画壁12bとの第1交点P1と、その径方向外側に位置する径方向区画壁12bとの第2交点P2とが設けられる。本実施形態においては、同じ径方向区画壁12bに設けられている第1交点P1と第2交点P2とがすべて一致しないように径方向区画壁12bが配置されている。なお、周方向区画壁12aと径方向区画壁12bとの交点(第1交点P1及び第2交点P2)は、各区画壁の厚さ方向の中心を通る中心線同士が交わる点のことをいう。
また、周方向区画壁12a及び径方向区画壁12bは、それらの間に区画される各セルSの大きさが均一となるように配置されている。例えば、周方向区画壁12a及び径方向区画壁12bは、最内周及び最外周に位置するセル列を構成するセルSを除いて、断面が最も小さいセルSの断面積(A1)と断面が最も大きいセルSの断面積(A2)との比率(A2/A1)が1.25以下となるように配置されている。
また、各セル列において、第1〜第3セルS1〜S3は、時計回りに第1セルS1、第2セルS2、第3セルS3の順で繰り返し配置されている。そして、第1セルS1の径方向内側及び外側には、第2セルS2及び第3セルS3が配置され、第2セルS2の径方向内側及び外側には、第1セルS1及び第3セルS3が配置され、第3セルS3の径方向内側及び外側には、第1セルS1及び第2セルS2が配置されている。
本実施形態のハニカムフィルタ10は、処理対象となるガス(例えば、車両や建設機械等の内燃機関)に含まれる微粒子を捕集する機能、及び処理対象となるガスの浄化作用等の触媒に基づく機能を目的とする用途に用いることができる。用途の具体例としては、ガソリン微粒子捕集フィルタ、ディーゼル微粒子捕集フィルタが挙げられる。
次に、本実施形態のハニカムフィルタ10の製造方法について説明する。ハニカムフィルタ10は、以下に記載する混合工程、成形工程、封止工程、焼成工程、担持工程を順に経ることにより製造される。
(混合工程)
混合工程は、CZ複合酸化物粒子と無機バインダとアルミナ粒子を有する原料組成物を混合して混合物を作製する工程である。CZ複合酸化物粒子としては、セリアとジルコニアの固溶体を用いることが好ましい。セリアとジルコニアの固溶体は、例えば、硝酸セリウムなどのセリウム塩と、オキシ硝酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩を溶解させた水溶液に、アンモニア水を加えて共沈殿を生成させ、得られた沈殿物を乾燥させた後に400〜500℃で5時間程度焼成することにより調製することができる。
原料組成物として用いるCZ複合酸化物粒子の平均粒子径は特に限定されるものではないが、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定することができる。
無機バインダとしては、上記の無機バインダを用いることができる。混合物中の無機バインダの割合は特に限定されないが、固形分として10〜30質量%であることが好ましい。
アルミナ粒子としては、上記θ−アルミナ粒子やγ−アルミナ粒子を用いることができる。混合物中のアルミナ粒子の割合は特に限定されないが、固形分として10〜50質量%であることが好ましい。アルミナ粒子の平均粒子径は特に限定されないが、二次粒子として1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
上記原料組成物には、必要に応じて、上記低熱膨張係数粒子、無機繊維、有機繊維、有機バインダ、造孔剤、成形助剤、分散媒を加える。
低熱膨張係数粒子の平均粒子径は特に限定されるものではないが、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
無機繊維を構成する材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ガラスが挙げられる。
有機繊維を構成する材料としては、例えば、アクリル繊維、ポリエステル繊維などが挙げられる。
有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
造孔剤としては、アクリル樹脂、コークス、デンプンが挙げられる。
成形助剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール、界面活性剤が挙げられる。
分散媒としては、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコールが挙げられる。
上記原料組成物は、公知のミキサーやアトライタなどを用いて混合してもよく、さらにニーダーなどで混練してもよい。
(成形工程)
成形工程は、混合工程により得られた混合物を成形してハニカム成形体を作製する工程である。ハニカム成形体は、後の焼成工程における焼成収縮を経てハニカムフィルタ10と同一形状となるよう、例えば、混合物を押出金型を用いて押出成形し、所定の長さに切断することにより作製する。すなわち、ハニカムフィルタ10の周壁11と区画壁12とを構成する壁部13を一度に押出成形することにより作製する。この場合、押出金型の形状を調整することによって、同じ径方向区画壁12bに設けられている第1交点P1と第2交点P2とが一致しない断面形状の区画壁12を設けることができる。
(封止工程)
封止工程は、成形工程により得られたハニカム成形体のセルSの端部に封止材ペーストを充填して、封止部14を形成する工程である。封止材ペーストとしては、上記混合物と同様のものを用いることができる。封止工程によって封止部14を形成したハニカム成形体は、必要に応じて乾燥を行う。封止材ペーストを充填するセルSを適宜選択することにより、上記第1セルS1、第2セルS2、第3セルS3を形成することができる。
(焼成工程)
焼成工程は、ハニカム成形体を焼成してハニカムフィルタ10を作製する工程である。焼成によって、CZ複合酸化物等の粒子間が無機バインダで結合されることにより、ハニカムフィルタ10の機械的強度が向上する。焼成工程は、公知の単独炉、いわゆるバッチ炉や、連続炉を用いて行うことができる。焼成温度は特に限定されないが、800〜1300℃が好ましく、900〜1200℃であることがより好ましい。焼成時間は特に限定されないが、上記の焼成温度において1〜20時間保持することが好ましく、1〜15時間保持することがより好ましい。焼成雰囲気は特に限定されないが、酸素濃度が1〜20%であることが好ましい。
なお、ハニカム成形体が有機繊維や有機バインダなどの有機成分を含む場合には、焼成工程の前に脱脂工程を行う。脱脂工程は、公知の単独炉、いわゆるバッチ炉や、連続炉を用いて行うことができる。脱脂温度は特に限定されないが、300〜800℃が好ましく、400〜750℃であることがより好ましい。脱脂時間は特に限定されないが、上記の脱脂温度において1〜10時間保持することが好ましく、2〜5時間保持することがより好ましい。脱脂雰囲気は特に限定されないが、酸素濃度が0.1〜20%であることが好ましい。脱脂工程は、焼成工程とは別の炉を用いて別途行ってもよいし、焼成工程と同じ炉を用いて連続的に行ってもよい。上記の混合工程、成形工程、封止工程、焼成工程を経ることにより、ハニカムフィルタ10を製造することができる。
(担持工程)
担持工程は、焼成工程により得られたハニカムフィルタ10にさらに触媒を担持する工程である。触媒を担持する方法としては、例えば、触媒の粒子や錯体を含む溶液にハニカムフィルタ10を浸漬した後、ハニカムフィルタ10を引き上げて、加熱する方法が挙げられる。触媒を担持することによって、ハニカムフィルタ10の壁部13は、CZ複合酸化物を構成成分とする基材と、この基材に担持された触媒とを備えるものとなる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
同じ周方向区画壁12aにおいて、その径方向内側に位置する径方向区画壁12bとの第1交点P1と、その径方向外側に位置する径方向区画壁12bとの第2交点P2とが一致しないように、周方向区画壁12a及び径方向区画壁12bが配置されている。これにより、区画壁12の基材の熱膨張による応力が、径方向にかかる際に、径方向区画壁12bだけでなく、周方向区画壁12aにも分散されやすくなる。これにより、ハニカムフィルタの最外周で発生する熱応力を小さくすることができ、ハニカムフィルタの耐熱衝撃性が向上する。特に、ハニカムフィルタに捕集されたススを燃焼除去する際に発生する熱応力に対して、ハニカムフィルタの破損を抑制することができる。
また、図3(b)に示すように、上記構成によれば、処理対象となるガスが、径方向に隣接する一方のセル列の第1セルS1から他方のセル列の第2セルS2又は第3セルS3に流れる際に、これらのセルを区画する周方向区画壁12aにおける、径方向区画壁12bとの交点(第1交点P1及び第2交点P2)及びその周囲にもガスが流れやすくなる。これにより、周方向区画壁12aにおける上記交点及びその周囲に担持された触媒も有効に活用されるようになり、ハニカムフィルタの触媒作用が向上する。
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)ハニカムフィルタは、内部を複数のセルに区画する区画壁を備え、複数のセルが周方向に並設されてなるセル列を有するとともに、そのセル列が径方向に複数、配列されている。区画壁は、セリア−ジルコニア複合酸化物と無機バインダを構成成分とする基材を有する。セルは、一端側の端部が開放され、他端側の端部が封止された第1セルと、一端側の端部が封止され、他端側の端部が開放された第2セルを有する。区画壁は、隣接するセル列の間に位置する複数の周方向区画壁と、セル列を構成するセルの間に位置する複数の径方向区画壁とを備えている。軸方向に直交する断面において、周方向区画壁には、径方向内側に位置する径方向区画壁との第1交点と、径方向外側に位置する径方向区画壁との第2交点とが設けられ、同じ周方向区画壁に位置する第1交点と第2交点とが一致しないように構成されている。
上記構成によれば、上記作用の欄に記載したように、耐熱衝撃性を向上させることができる。
(2)壁部を構成する基材がセリア−ジルコニア複合酸化物と無機バインダで構成されており、熱容量が小さいため、高い暖機性能が得られる。上記構成によれば、炭化ケイ素等の基材からなる壁部にCZ複合酸化物が被覆された構成に比べて、同じCZ複合酸化物の担持量であれば、壁部の熱容量を小さくすることができる。これにより、処理対象となるガスの熱によってハニカムフィルタの温度が上がりやすくなる、すなわち、暖機性能が向上する。
(3)最内周及び最外周に位置するセル列を構成するセルを除いて、断面が最も小さいセルの断面積(A1)と断面が最も大きいセルの断面積(A2)との比率(A2/A1)が1.25以下である。
上記構成によれば、セルの断面積をほぼ均一化することにより、ハニカムフィルタの暖機性能を高めることができる。すなわち、セルの断面積が過度に不均一であると、断面積が小さいセルに処理対象となるガスが流れ難くなって、その部分が暖まり難くなる。上記構成によれば、こうした問題が生じることを抑制できる。例えば、ハニカムフィルタの中心部分と外周部分のセルの断面積を均一にすることで、ガスが外周部分に流れやすくなることを防ぎ、中心部分の温度上昇を早くして、ガスの流入初期からの触媒作用を高めることができる。
(4)基材に触媒が担持されている。
上記構成によれば、上記作用の欄に記載したように、区画壁の交点(第1交点及び第2交点)及びその周囲にもガスが流れやすくなることによって、上記交点及びその周囲に担持された触媒も有効に活用されるようになり、ハニカムフィルタの触媒作用が向上する。
(5)触媒は、貴金属である。
セリア−ジルコニア複合酸化物は、貴金属からなる触媒の触媒作用を促進させる助触媒としての機能を有する。したがって、本発明のハニカムフィルタは、貴金属からなる触媒と組み合わせることにより、高い触媒作用を発揮することができる。
(6)セルとして、一端側の端部及び他端側の端部の両方が開放された第3セルをさらに備えている。セル列は、時計回りに、第1セル、第2セル、第3セルの順で第1〜第3セルが繰り返し配置されている。
上記構成によれば、一端側の端部と他端側の端部の両方が開放された第3セルを備えることにより、ハニカムフィルタの圧力損失を低減させることができる。
(7)ハニカムフィルタの直径に対する長さの比(長さ/直径)は、1.0以下である。
上記構成によれば、ハニカムフィルタ内の温度分布のばらつきが小さくなる。これにより、温度が十分に上がらずに触媒作用が得られ難い部分を少なくすることができる。
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・上記実施形態では、すべての第1交点と第2交点とが一致しないように径方向区画壁を配置していたが、第1交点と第2交点とが一致する部分が設けられていてもよい。この場合、第1交点の50%以上が第2交点と一致しないことが好ましく、第1交点の70%以上が第2交点と一致しないことがより好ましい。このように構成することで、耐熱衝撃性の向上効果及び触媒作用の向上効果をより確実に得ることができる。
第1交点と第2交点とが一致する部分を設ける場合には、第1交点と第2交点とが一致する部分と一致しない部分とを偏在させることによって、ハニカムフィルタの部位毎の耐触媒作用を制御することができる。例えば、ハニカムフィルタの断面方向における中心側に上記一致しない部分を偏在させるとともに、ハニカムフィルタの外周側に上記一致する部分を偏在させる構成とすることにより、ハニカムフィルタの中心部分における触媒作用を相対的に高めることができる。
また、第1交点と第2交点とが一致する部分を設ける場合には、周方向区画壁のうちの少なくとも一つは、当該周方向区画壁に設けられる第1交点と第2交点とがすべて一致しないことが好ましい。このように構成することで、熱膨張による応力が径方向に伝わる際に、第1交点と第2交点とがすべて一致しない周方向区画壁において、熱膨張による応力が直線的に伝わることを全周にわたって抑制することができる。これにより、耐熱衝撃性の向上効果をより高めることができる。
・上記実施形態では、最内周及び最外周に位置するセル列を構成するセルを除いて、断面が最も小さいセルの断面積(A1)と断面が最も大きいセルの断面積(A2)との比率(A2/A1)が1.25以下となるように構成していたが、上記比率が1.25を超えるように構成してもよい。
・セル列における第1〜第3セルの配置を変更してもよい。例えば、反時計回りに、第1セル、第2セル、第3セルの順で第1〜第3セルを繰り返し配置してもよい。
・第3セルを省略してもよい。すなわち、すべてのセルが一端側と他端側のどちらかの端部が封止された構成であってもよい。この構成により、ハニカムフィルタの捕集効率を向上させることができる。
・区画壁を構成する基材は、アルミナを構成成分に含まないものであってもよい。また、原料組成物は、アルミナ粒子を含まないものであってもよい。
・上記実施形態では、円筒状の周壁を有する円筒状のハニカムフィルタとしていたが、ハニカムフィルタの形状は、断面円形状に限定されるものではない。例えば、断面楕円形状楕や断面多角形状のハニカムフィルタであってもよい。
・周壁の外周に外周コート層が設けられていてもよい。また、周壁を省略して、区画壁の外周に外周コート層が設けられていてもよい。
(実施例1)
下記原料組成物を混合して混合物を調製した。
平均粒子径2μmのCZ複合酸化物粒子:24.0質量%
平均粒子径2μmのθ−アルミナ粒子:12.0質量%
平均繊維径3μm、平均繊維長60μmのαアルミナ繊維(無機繊維):5.0質量%
平均繊維径30μm、平均繊維長1mmのアクリル繊維(有機繊維):13.0質量%
ベーマイト(無機バインダ):10.0質量%
メチルセルロース(有機バインダ):7.0質量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(成形助剤):4.0質量%
イオン交換水(分散媒):25.0質量%
この混合物を用いて、押出成形機によって円柱状の成形体を成形した。次に、この成形体を所定の長さに切断してハニカム成形体を作製した後、図2に示すように所定のセルの端部を封止剤にて封止して封止部を形成した。封止剤の組成は、有機繊維を含まないこと以外は上記混合物と同じ組成である。また、封止部の長さは約3mmとした。次に、ハニカム成形体を乾燥させた後、700℃で3時間脱脂し、1100℃で10時間焼成することにより、ハニカム焼成体を作製し、これを実施例1のハニカムフィルタとした。得られた実施例1のハニカムフィルタは、直径が117mm、長さが80mmの円柱状であり、セルの密度が46.5個/cm(300cpsi)、壁部の厚さが0.254mm(10mil)であった。また、セル構造は、図3のような放射状のセル構造とした。
(比較例1)
セル構造を図4のような格子状のセル構造とした点を除いて、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを作製し、これを比較例1のハニカムフィルタとした。
(耐熱衝撃性測定)
上記工程により製造された実施例1、比較例1のハニカムフィルタを、アルミナ製マットを介して金属ケース内に封入した。そして、ガスバーナーで熱せられた空気と室温の空気とを交互に通気させて、ハニカムフィルタの中心の温度が200℃及び950℃に交互になるように冷却と加熱を100サイクル繰り返すヒートサイクル試験を行った。その結果、実施例1のハニカムフィルタではクラックが発生しなかったが、比較例1のハニカムフィルタではクラックが発生した。
(触媒担持)
次に、ジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液([Pd(NH(NO]HNO、パラジウム濃度100g/L)溶液と硝酸ロジウム溶液([Rd(NO]、ロジウム濃度50g/L)を3:1の溶液の体積割合で混合調製した。この混合溶液中に、上記工程により製造された実施例1、比較例1のハニカムフィルタを浸漬し、15分間保持した。その後、110℃で2時間乾燥し、窒素雰囲気中500℃で1時間焼成することによって、パラジウムとロジウム触媒を担持させたハニカム構造体を得た。触媒の担持量は、パラジウムとロジウムの合計でハニカムフィルタの見掛けの体積当たり0.14g/Lとした。
(暖機性能測定)
V型6気筒3.5Lエンジンの排気管に、実施例1の貴金属を担持させたハニカムフィルタ又は比較例1の貴金属を担持させたハニカムフィルタが気密状態で配置された金属管を接続し、ストイキエンジン始動からHC濃度((HCの流入量−HCの流出量)/(HCの流入量)×100)が50%以下となる時間を測定し、暖気性能を評価した。その結果、HC濃度が50%以下となる時間は、実施例1のハニカムフィルタを用いた場合には10秒であるのに対して、比較例1のハニカムフィルタを用いた場合には14秒であった。
P1…第1交点、P2…第2交点、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル、S3…第3セル、10…ハニカムフィルタ、11…周壁、12…区画壁、12a…周方向区画壁、12b…径方向区画壁、13…壁部、14…封止部。

Claims (7)

  1. 内部を複数のセルに区画する区画壁を備え、複数の前記セルが周方向に並設されてなるセル列を有するとともに、前記セル列が径方向に複数、配列されたハニカムフィルタであって、
    前記区画壁は、セリア−ジルコニア複合酸化物と無機バインダを構成成分とする基材を有し、
    前記セルは、一端側の端部が開放され、他端側の端部が封止された第1セルと、一端側の端部が封止され、他端側の端部が開放された第2セルを有し、
    前記区画壁は、隣接する前記セル列の間に位置する複数の周方向区画壁と、前記セル列を構成する前記セルの間に位置する複数の径方向区画壁とを備え、
    軸方向に直交する断面において、前記周方向区画壁には、径方向内側に位置する前記径方向区画壁との第1交点と、径方向外側に位置する前記径方向区画壁との第2交点とが設けられ、同じ周方向区画壁に位置する前記第1交点と前記第2交点とが一致しないことを特徴とするハニカムフィルタ。
  2. 前記第1交点の50%以上が前記第2交点と一致しないことを特徴とする請求項1に記載のハニカムフィルタ。
  3. 前記周方向区画壁のうちの少なくとも一つは、当該周方向区画壁に設けられる前記第1交点と前記第2交点とがすべて一致しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハニカムフィルタ。
  4. 最内周及び最外周に位置する前記セル列を構成する前記セルを除いて、断面が最も小さい前記セルの断面積(A1)と断面が最も大きい前記セルの断面積(A2)との比率(A2/A1)が1.25以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
  5. 前記基材に触媒が担持されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
  6. 前記触媒は、貴金属であることを特徴とする請求項5に記載のハニカムフィルタ。
  7. 前記セルとして、
    一端側の端部及び他端側の端部の両方が開放された第3セルをさらに備え、
    前記セル列は、時計回り又は反時計回りに、前記第1セル、前記第2セル、前記第3セルの順で前記第1〜第3セルが繰り返し配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカムフィルタ。
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