JP6770476B2 - 垂直式荷受台昇降装置 - Google Patents
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Description
図1は本発明の一実施形態に係る垂直式荷受台昇降装置を備えた車両の後部の左側面図である。本願明細書では、車両の運転席側(図1中の右側)を前方、荷台側(図1中の左側)を後方とする。図1に示した車両は、シャシフレーム(車枠)101の前部に設けた運転室(不図示)、シャシフレーム101上に設けた荷台103、及び荷台103の後部に架装した垂直式荷受台昇降装置(以下、荷受台昇降装置)100を備えている。
左右のポスト10L,10Rは、車両の荷台103の後端部の左右両端に位置し上下に延在している。ポスト10L,10Rには中空の例えば角パイプが用いられている。ポスト10L,10Rの内部の前側の空間を前室12、後側の空間を後室13と称する。前室12と後室13は上部を除いて隔壁11(図4)で隔てられている。後室13の後壁には、上下に延びるスリット14(図3)が設けられている。
左右のサブポスト20L,20R(右側のサブポスト20Rのみ図2及び図5に図示)は、ポスト10L,10Rの後室13内に上下方向に移動可能に挿入されている。サブポスト20L,20Rの後壁にはポスト10L,10Rのスリット14と対応するようにスリット(不図示)が上下方向に形成されている。これらサブポスト20L,20Rには後室13の後側内壁を転動するローラ22(図2)が設けられており、このローラ22が後室13の後側内壁に転動することで後室13の内部を円滑に上下動するように構成されている。ポスト10L,10Rの前室12の下部には後縁が後室13に臨むガイドローラ23(図2)が設けられていて、サブポスト20L,20Rの上下方向へのスライド動作は、そのガイドローラ23によっても案内される。
左右のスライダ30L,30R(右側のスライダ30Rのみ図2及び図5に図示)は上下に延在し、それぞれサブポスト20L,20Rに挿入されていて、サブポスト20L,20Rの内部で上下に移動する。これらスライダ30L,30Rには、それぞれ上下2カ所にローラ31(図2)が設けられている。これらローラ31はスライダ30L,30Rの昇降の際にサブポスト20L,20Rの内壁に転動する。スライダ30L,30Rの水平断面は前後に延びる板状の形状をしていて、サブポスト20L,20Rのスリット(不図示)及びポスト10L,10Rのスリット14を介して後部がポスト10L,10Rの後方に突出している。これら突出した部分の下部にはブラケット32(図2)が設けられている。また、スライダ30L,30Rには、ワイヤ90L,90Rの端部を固定するワイヤ固定部33(図2)が、例えば上下のローラ31の間に位置するように設けられている。
荷受台40は、左右に延びるピン41(図2)を介してスライダ30L,30Rのブラケット32に回動自在に連結されていて、スライダ30L,30Rに伴って昇降する。この荷受台40は、不使用時には垂直に起立させることで荷台103の後壁(テールゲート)を構成する(図1)。一方、水平に倒伏させると荷受台40は荷受面を構成し、荷役作業時には荷物や作業者等を載せて荷台103の床面の高さと地面の高さの間を昇降する(図2及び図5)。
クロスメンバ50は、左右に延在してポスト10L,10Rの上下方向の中間部分を連結している。クロスメンバ50は中空に形成されていて、その内部空間はポスト10L,10Rの少なくとも前室12に連通している。荷受台昇降装置100を車両に架装した状態において、このクロスメンバ50は車両のシャシフレーム101より上部に位置し、上面が荷台103の上面(床面)に水平に連なるようにしてある。図示していないが、クロスメンバ50の後面は取り外し可能なカバーになっている。また、クロスメンバ50には、それぞれワイヤ90L,90Rの端部を固定するワイヤ固定部51,52(図9)が設けられている。クロスメンバ50は前後に延びる鉛直面で切断した断面で見て台形状をしており、上側壁面が下側壁面よりも後側に幅広に構成されている(図6及び図7)。そのため、クロスメンバ50の後面(不図示のカバー)は下方に向かって前方に傾斜している。
油圧シリンダ60はクロスメンバ50内に収容され、本実施形態ではロッドを左に延ばした姿勢で支持部材を介してクロスメンバ50の内壁にチューブを固定して設置してある。本実施形態ではクロスメンバ50内における右側のスペースに油圧シリンダ60のチューブを配置した構成を例示している。油圧シリンダ60のロッドの先端部は、油圧シリンダ60の伸縮に伴ってクロスメンバ50の左右方向の中央の領域で往復移動する(図3及び図4)。
動力装置(パワーユニット)70は、油圧シリンダ60を駆動するのに必要な機器を一体にしたユニットであり、タンク71、油圧ポンプ72(図3)、モータ73、バルブユニット74等を備えている。動力装置70のこれらの要素は車幅方向に並べてレイアウトされており、動力装置70はクロスメンバ50内の左側のスペースに油圧シリンダ60と左右に並べて配置されている。
滑車80La−80Ldはワイヤ90Lを、滑車80Ra−80Rcはワイヤ90Rをそれぞれ案内する(後述)。これら滑車80La−80Ld及び滑車80Ra−80Rcは、他の構造物に干渉しない範囲で径の大きなものを用いることが好ましい。ワイヤ90L,90Rの転向部の曲率が抑えられ、ワイヤ90L,90Rの長寿命化が期待できるからである。
図9はワイヤの経路を表した模式図である。この図において説明済みの部材には既出図面と同符号を付して説明を省略する。ワイヤ90L(同図中の破線)は移動滑車80La及び固定滑車80Lb−80Ldに掛け回され、一端が静止構造物であるクロスメンバ50と固定関係にあり、他端が左のスライダ30Lのワイヤ固定部33に係止されている。具体的には、ワイヤ90Lの一端は上記ワイヤ固定部51を介してクロスメンバ50に固定されている。このワイヤ固定部51を始点として、ワイヤ90Lはまず左向きに延在し、移動滑車80Laの後列のワイヤ溝を介して右向きに、固定滑車80Lbの後列のワイヤ溝を経由して左向きに折り返す。更に、ワイヤ90Lは移動滑車80Laの前列のワイヤ溝を介して再度右向きに、固定滑車80Lbの前列のワイヤ溝を介して更に左向きに折り返す。ワイヤ90Lはその後、固定滑車80Lcを介して上方に転向し、更には固定滑車80Ldに掛かって下向きに折り返し、最終的にスライダ30Rのワイヤ固定部33に他端が係止される。
荷受台昇降装置100を使用する際、まず図1のように起立した姿勢の荷受台40のロック(不図示)を解き、図2に示したように荷受台40を水平に倒伏させて展開する。例えば荷台103の荷物を下す場合、荷受台40が荷台103の床面高さにある状態で荷台103の荷物を荷受台40に移す。そして、操作装置(不図示)を適宜操作して油圧シリンダ60を縮ませる。具体的には、モータ73及び油圧ポンプ72の駆動が停止した状態で、操作に応じてソレノイドバルブが切り換わることにより、荷受台40等の自重の作用によって油圧シリンダ60から作動油がタンク71に戻る。これにより油圧シリンダ60が収縮すると、移動滑車80La,80Raが固定滑車80Lb,80Rbに向かって移動してワイヤ90L,90Rが緩む。同時にサブポスト20L,20R、スライダ30L,30R及び荷受台40がポスト10L,10Rに沿って下降し、サブポスト20L,20Rが下端に達した後はサブポスト20L,20Rに沿ってスライダ30L,30Rと共に荷受台40が下降する。
(1)本実施形態によれば、クロスメンバ50の後面のカバー(不図示)を取り外し、動力装置70を回動させてソレノイド87や給油口86をクロスメンバ50の後方に引き出すことができる。そのためソレノイドのメンテナンスや給油作業、或いは動力装置70やその周囲の機器のメンテナンスをする際に動力装置70を取り外す必要がなく、メンテナンスを効率的に行うことができる。加えて動力装置70の回動範囲はストッパ83で制限されているので、必要以上に動力装置70を引き出して油圧ホースや電気配線等に過度な張力が掛かることを物理的に抑制することができる。また、最大に引き出しても動力装置70の過半部分がクロスメンバ50の内部に残るようにしたので、動力装置をクロスメンバから引き出してメンテナンスする際、動力装置70の落下を懸念する作業者に慎重な作業を強いる心理的負担を軽減することができる。これにより動力装置70等のメンテナンス作業の効率向上が期待できる。
上記効果(2)を得るために他の構成要素よりもモータ73を回転軸82の近くに配置した動力装置70としたが、本質的効果(1)を得る限りにおいてはモータ73等の動力装置70の構成要素のレイアウトは上記実施形態で説明した例に限定されない。また、上記効果(3)を得るために動力装置70の回動範囲と脚部88との関係を規定したが、本質的効果(1)を得る限りにおいては動力装置70の回動範囲に脚部88を関連付ける必要はない。同様に、上記効果(4)を得るためにワイヤ90L,90Rの経路を規定したが、本質的効果(1)を得る限りにおいてワイヤ90L,90Rの経路は上記実施形態で説明した例に限定されない。また、上記効果(5)を得るために固定滑車80Lbのレイアウトを規定したが、本質的効果(1)を得る限りにおいて固定滑車80Lbのレイアウトは上記実施形態で説明した例に限定されない。上記効果(6)を得るために油圧シリンダ60と動力装置70の位置関係を規定したが、本質的効果(1)を得る限りにおいて油圧シリンダ60と動力装置70の位置関係は上記実施形態で説明した例に限定されない。
Claims (5)
- 車両に架装される垂直式荷受台昇降装置であって、
左右のポストと、
前記左右のポストに内挿した左右のスライダと、
前記左右のスライダに連結した荷受台と、
前記左右のポストを連結するクロスメンバと、
前記スライダを昇降させる油圧シリンダと、
前記クロスメンバ内に設けられ、前記油圧シリンダを駆動するための動力装置を備え、
前記動力装置は、前記油圧シリンダを駆動する作動油を貯留するタンク、前記タンクの作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプ、前記油圧ポンプを駆動するモータ、作動油の流れを制御するバルブユニットを有すると共に、前記クロスメンバに対して回転軸を介して連結され、前記回転軸を中心に回動し前記クロスメンバから後方に引き出し可能に構成されており、
前記動力装置の引き出し方向の回動範囲が、前記動力装置を最大に引き出した状態で前記動力装置の過半部分が前記クロスメンバの内部に止まるようにストッパで制限されており、
前記動力装置を最大に引き出した状態で前記タンクの給油口及び前記バルブユニットのソレノイドの少なくとも一方が前記クロスメンバの後方に引き出されるように構成されていることを特徴とする垂直式荷受台昇降装置。 - 請求項1の垂直式荷受台昇降装置において、前記動力装置は、前記タンク、前記油圧ポンプ及び前記バルブユニットよりも前記モータを前記回転軸の近くに配置した構成であることを特徴とする垂直式荷受台昇降装置。
- 請求項1の垂直式荷受台昇降装置において、前記動力装置を前記クロスメンバの下側壁面に接地させる脚部を有しており、
前記動力装置の引き出し方向の回動範囲が、前記動力装置を最大に引き出した状態で前記脚部が前記クロスメンバの下側壁面から外れないように前記ストッパで制限されていることを特徴とする垂直式荷受台昇降装置。 - 請求項1の垂直式荷受台昇降装置において、前記動力装置が、前記油圧シリンダと左右に並べて前記クロスメンバ内に収容してあることを特徴とする垂直式荷受台昇降装置。
- 請求項1の垂直式荷受台昇降装置において、前記クロスメンバは、上側壁面が下側壁面よりも幅広で、後面が下方に向かって前方に傾斜していることを特徴とする垂直式荷受台昇降装置。
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