JP6766605B2 - 機器用コネクタ - Google Patents

Description

本明細書によって開示される技術は、機器用コネクタに関する。

従来、機器に取り付けられるコネクタとして、特開２０１３−２２９１３９号公報（下記特許文献１）に記載の機器直付用シールドコネクタが知られている。このシールドコネクタは、雄シールドコネクタと雌シールドコネクタからなり、雄シールドコネクタは円筒状の雄シールドシェルを備え、雌シールドコネクタは振動対応型シールドシェルを備えている。雌雄両シールドコネクタを嵌合させると、雄シールドシェルと振動対応型シールドシェルとが接続され、振動対応型シールドシェルの接触片からケーシングへシールドが落とされる構造となっている。

特開２０１３−２２９１３９号公報

上記の機器直付用シールドコネクタでは、雌雄両コネクタの嵌合方向とシールド電線の引き出し方向とが一致しているため、雄シールドシェルと振動対応型シールドシェルを直結することができ、シールド電流経路長を短くできるというメリットがある。しかしながら、雌雄両コネクタの嵌合方向とシールド電線の引き出し方向とが直交するタイプのコネクタでは、両シールドシェルの間にＬ字状の導電部材を追加して両シールドシェルを接続する必要があるから、シールド電流経路長が長くなる。このような導電部材を用いると、部品点数が増加するばかりか、導電部材を各シールドシェルに接続する作業が追加になる。

本明細書によって開示される機器用コネクタは、機器のケースに取り付けられる機器用コネクタであって、前記ケースに設けられた取付孔に嵌合可能なハウジングと、前記ハウジングから前記ケースの外面と平行に引き出される電線と、電線側取付部を有し、前記電線を覆うシールド部材と、前記ケースの外面から前記電線の引き出し方向と交差する方向に突出して設けられたケース側取付部と前記電線側取付部とを同軸配置で直接接続する接続部材とを備えた構成とした。

このような構成によると、電線側取付部がケース側取付部に対して同軸配置で直接接続されているから、電線側取付部からケース側取付部までのシールド電流経路長を最短にすることができる。したがって、従来のようにケース側取付部と電線側取付部とをＬ字状の導電部材（例えばＬ字状のシールドシェル）を介して接続する場合よりもシールド電流経路長が短くなり、シールド性能を向上させることができる。

本明細書によって開示される機器用コネクタは、以下の構成としてもよい。
前記接続部材は、直線状に延びる形態をなし両端部を除く中間部分が前記ハウジングの内部に埋設された接続部材本体部と、前記ハウジングの外部に開口する形態をなし前記接続部材本体部の両端部に設けられた一対のボルト孔とを有する構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側取付部を接続部材本体部の一端部にボルト締結し、電線側取付部を接続部材本体部の他端部にボルト締結することにより、接続部材およびハウジングをケースに固定することができる。

前記一対のボルト孔が前記接続部材本体部の延出方向に貫通する単一のボルト孔として構成され、前記接続部材は、前記単一のボルト孔を有するインサートナットとされている構成としてもよい。
このような構成によると、一対のボルト孔が単一のボルト孔として構成されているから、ケース側取付部と電線側取付部を精度よく同軸に配置できる。

前記シールド部材は、前記電線を覆う編組線と、前記編組線が圧着されたシールドシェルと、前記電線の端末部および前記ケース側取付部と同一平面をなす位置に配された前記電線側取付部とを備える構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側取付部と電線側取付部と電線とがいずれも同一平面内に配されるから、機器用コネクタが小型化し、電線からハウジングに伝わる振動をケース側取付部で遮断しやすくなる。

導電性の金属からなるカバーであって、前記接続部材とともに前記ケース側取付部に接続されたシールド接続部と、前記ハウジングに固定されたカバー固定部とを有し、前記電線側取付部に対しては接続されていないカバーを備えた構成としてもよい。
このような構成によると、シールド接続部がケース側取付部に接続されているため、シールド接続部が電線側取付部に接続されているとした場合に比べてシールド電流経路長を短くできる。また、カバー固定部がハウジングに固定されているため、振動の影響がカバーに及ぶことを防止できる。

本明細書によって開示される機器用コネクタによれば、シールド電流経路長を短くしてシールド性能を向上させることができる。

カバーとシールドシェルを取り付ける前の機器用コネクタを示した背面図 カバーを取り付ける前の機器用コネクタを示した背面図 機器のケースに取り付けられた機器用コネクタを示した一部切欠背面図 カバーとシールドシェルを取り付ける前の機器用コネクタを示した側面図 カバーを取り付ける前の機器用コネクタを示した側面図 機器のケースに取り付けられた機器用コネクタを示した側面図 図３におけるＡ−Ａ線断面図 機器のケースの正面図 機器のケースの側面図 機器のケースに取り付けられた機器用コネクタを斜め後方から見た斜視図 機器のケースを斜め後方から見た斜視図

＜実施形態＞
実施形態を図１から図１１の図面を参照しながら説明する。本実施形態の機器用コネクタ１０は、図１０に示すように、インバータやモータ等の機器のケース１に取り付けられた機器用コネクタ１０である。ケース１には、図１１に示すように、取付孔２が貫通した取付筒部６が設けられている。また、ケース１の外面４における取付孔２の周辺部には、平板状をなす一対のケース側取付部３が突出して設けられている。一対のケース側取付部３は、同一平面をなすように平行に並んで配設され、板厚方向に貫通するボルト挿通孔５をそれぞれ有している。また、図９に示すように、ケース側取付部３は、ケース１の外面４に直交する配置とされている。

図６に示すように、機器用コネクタ１０は、取付筒部６の取付孔２に嵌合可能なハウジング２０と、ハウジング２０を後方から覆う導電性のカバー３０と、ハウジング２０からケース１の外面４と平行に引き出される複数の電線４０と、複数の電線４０を一括して覆うシールド部材５０と、ハウジング２０に埋設された一対のインサートナット６０とを備えて構成されている。ハウジング２０を取付筒部６の取付孔２に嵌合する方向（図６における左方）は、電線４０が引き出される方向（図６における下方）と直交する方向とされている。

ハウジング２０は合成樹脂製であって、図１に示すように、後方から見て円形をなすハウジング本体２１と、ハウジング本体２１から左右両側に張り出す一対のフランジ部２２と、ハウジング本体２１から下方に突出する電線収容部２３とを備えて構成されている。フランジ部２２には、インサートナット６０が一体にインサート成形されている。また、電線収容部２３の内部には、電線４０の端末部が収容されている。図示はしないものの、電線４０の端末部には、端子が接続されており、この端子がハウジング本体２１の内部に保持されている。ハウジング本体２１の上部には、ナット２４が圧入もしくはインサート成形によって保持されたナット保持部２５が上方に突出して設けられている。

カバー３０は導電性の金属からなり、図２に示すように、ハウジング本体２１を後方から覆うカバー本体３１と、一対のフランジ部２２を後方から覆う一対の保護壁３２とを備えて構成されている。図６に示すように、カバー本体３１の上縁には、平板状をなすカバー固定部３３が前方に突出して設けられている。一方、一対の保護壁３２の上縁には、平板状をなす一対のシールド接続部３４が前方に突出して設けられている。図２に示すように、カバー固定部３３は、固定ボルト７０をナット２４に締め込むことでハウジング２０に固定されている。

シールド部材５０は、図２に示すように、複数の電線４０を一括して覆う編組線５１と、編組線５１が接続されるシールドシェル５２と、シールドシェル５２に連なって設けられた一対の電線側取付部５３とを備えて構成されている。

シールドシェル５２は導電性の金属からなり、ハウジング２０の電線収容部２３を全周に亘って囲う筒状に形成されている。シールドシェル５２は、図示しないかしめリングによって編組線５１が圧着される下側筒部５２Ｌと、下側筒部５２Ｌよりも大径であって一対の電線側取付部５３が設けられた上側筒部５２Ｕとからなる。

電線側取付部５３は、上側筒部５２Ｕの上端開口部における左右両側に配設されている。電線側取付部５３は、後方から見てＬ字形をなし、上側筒部５２Ｕの上端開口部から垂直方向に突出する垂直部分５３Ｖと、垂直部分５３Ｖの上端部から水平方向に突出する水平部分５３Ｈとからなる。各電線側取付部５３の各水平部分５３Ｈは、互いに反対方向を向いて突出する形態とされている。

インサートナット６０は導電性の金属からなり、図７に示すように、直線状に延びる形態をなし両端部を除く中間部分がフランジ部２２に固定された接続部材本体部６１と、フランジ部２２の上下両側に開口する形態をなし接続部材本体部６１の内部に設けられた単一のボルト孔６２とを有する。ボルト孔６２の内周面には、雌ねじが形成されており、ボルト孔６２の上側には、上側ボルト６３が上方から螺合し、ボルト孔６２の下側には、下側ボルト６４が下方から螺合するようになっている。

接続部材本体部６１の上端部には、カバー３０のシールド接続部３４が配設され、シールド接続部３４の上面には、ケース１のケース側取付部３が配設されている。ケース側取付部３のボルト挿通孔５と、シールド接続部３４のボルト挿通孔３５と、インサートナット６０のボルト孔６２とは、ほぼ同軸に配置されている。したがって、各ボルト挿通孔５、３５に上側ボルト６３を挿通させ、インサートナット６０のボルト孔６２に締結すると、ケース側取付部３とシールド接続部３４が接続部材本体部６１の上端部に固定され、かつ導通可能に接続される。

接続部材本体部６１の下端部には、シールドシェル５２の電線側取付部５３が配設されている。電線側取付部５３のボルト挿通孔５４と、インサートナット６０のボルト孔６２とは、ほぼ同軸に配置されている。したがって、ボルト挿通孔５４に下側ボルト６４を挿通させ、インサートナット６０のボルト孔６２に締結すると、電線側取付部５３が接続部材本体部６１の下端部に固定され、かつ導通可能に接続される。これにより、上側ボルト６３と下側ボルト６４はインサートナット６０を介して同軸に配置され、ケース側取付部３と電線側取付部５３とを同軸配置で直接接続することができる。このようにすると、シールドシェル５２が電線側取付部５３からカバー３０を経由することなくインサートナット６０を介してケース側取付部３に最短距離で接続されるため、編組線５１からケース１までのシールド電流経路長を短くでき、ひいてはシールド性能を向上させることができる。

また、電線側取付部５３は、電線４０の端末部およびケース側取付部３と同一平面をなす位置に配されている。言い換えると、機器用コネクタ１０を側方から見た場合に、ケース側取付部３のボルト締結部と電線側取付部５３のボルト締結部と電線４０とが、ケース１の外面４と平行をなす方向において一直線に並んだ配置とされている。このような配置によると、機器用コネクタ１０の前後方向の寸法が小さくなり、機器用コネクタ１０の剛性が高くなる。その上、締結点（本実施形態ではインサートナット６０全体）を機器用コネクタ１０の重心に近づけることができるため、電線４０からハウジング２０に伝わる振動を一対のケース側取付部３および一対のインサートナット６０で瞬時に遮断することができる。

本実施形態の機器用コネクタ１０によると、耐振動性、耐電磁ノイズ性の両立が困難であったＬ字型コネクタの耐振動性、耐電磁ノイズ性を向上させることができ、電線４０の振動に起因する機器相手側との嵌合不具合や電磁ノイズに起因する機器側誤作動を防ぐことができるという格別な効果を奏することができる。

以上のように本実施形態では、電線側取付部５３がケース側取付部３に対して同軸配置で直接接続されているから、電線側取付部５３からケース側取付部３までのシールド電流経路長を最短にすることができる。したがって、従来のようにケース側取付部と電線側取付部とをＬ字状の導電部材（例えばＬ字状のシールドシェル）を介して接続する場合よりもシールド電流経路長が短くなり、シールド性能を向上させることができる。

接続部材（インサートナット６０）は、直線状に延びる形態をなし両端部を除く中間部分がハウジング２０の内部に埋設された接続部材本体部６１と、ハウジング２０の外部に開口する形態をなし接続部材本体部６１の両端部に設けられた一対のボルト孔とを有する構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側取付部３を接続部材本体部６１の一端部にボルト締結し、電線側取付部５３を接続部材本体部６１の他端部にボルト締結することにより、接続部材およびハウジング２０をケース１に固定することができる。

一対のボルト孔が接続部材本体部６１の延出方向に貫通する単一のボルト孔６２として構成され、接続部材は、単一のボルト孔６２を有するインサートナット６０とされている構成としてもよい。
このような構成によると、一対のボルト孔が単一のボルト孔６２として構成されているから、ケース側取付部３と電線側取付部５３を精度よく同軸に配置できる。

シールド部材５０は、電線４０を覆う編組線５１と、編組線５１が圧着されたシールドシェル５２と、電線４０の端末部およびケース側取付部３と同一平面をなす位置に配された電線側取付部５３とを備える構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側取付部３と電線側取付部５３と電線４０とがいずれも同一平面内に配されるから、機器用コネクタ１０が小型化し、電線４０からハウジング２０に伝わる振動をケース側取付部３で遮断しやすくなる。

導電性の金属からなるカバー３０であって、接続部材とともにケース側取付部３に接続されたシールド接続部３４と、ハウジング２０に固定されたカバー固定部３３とを有し、電線側取付部５３に対しては接続されていないカバー３０を備えた構成としてもよい。
このような構成によると、シールド接続部３４がケース側取付部３に接続されているため、シールド接続部３４が電線側取付部５３に接続されているとした場合に比べてシールド電流経路長を短くできる。また、カバー固定部３３がハウジング２０に固定されているため、振動の影響がカバー３０に及ぶことを防止できる。

＜他の実施形態＞
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
（１）上記実施形態では接続部材としてハウジング２０にインサート成形されたインサートナット６０を例示しているものの、ハウジング２０に圧入することでインサートナット６０を固定してもよい。

（２）上記実施形態では単一のボルト孔６２を有するインサートナット６０を例示しているものの、接続部材本体部６１の両端部にそれぞれ開口して設けられた一対のボルト孔としてもよい。

（３）上記実施形態では複数の電線４０を一括して覆う編組線５１を備えたシールド部材５０を例示しているものの、編組線５１の代わりに複数の電線４０を一括して覆うシールドパイプを用いてもよい。

（４）上記実施形態では電線４０の端末部およびケース側取付部３と同一平面をなす位置に配された電線側取付部５３を例示しているものの、電線４０の端末部が電線側取付部５３よりも後方に位置するものでもよい。

（５）上記実施形態では導電性の金属からなるカバー３０を備えた機器用コネクタ１０を例示しているものの、カバー３０を備えていない機器用コネクタとしてもよいし、樹脂部材の表面に導電性の金属をめっきする等したカバーを用いてもよい。

（６）上記実施形態ではカバー３０がケース側取付部３のみに接続されているものを例示しているものの、ケース側取付部３と電線側取付部５３の双方に接続されたカバーとしてもよい。

１…ケース
２…取付孔
４…外面
１０…機器用コネクタ
２０…ハウジング
３０…カバー
３３…カバー固定部
３４…シールド接続部
４０…電線
５０…シールド部材
５１…編組線
５２…シールドシェル
５３…電線側取付部
６０…インサートナット（接続部材）
６１…接続部材本体部
６２…ボルト孔

Claims (5)

1. 機器のケースに取り付けられる機器用コネクタであって、
   前記ケースに設けられた取付孔に嵌合可能なハウジングと、
   前記ハウジングから前記ケースの外面と平行に引き出される電線と、
   電線側取付部を有し、前記電線を覆うシールド部材と、
   前記ケースの外面から前記電線の引き出し方向と交差する方向に突出して設けられたケース側取付部と前記電線側取付部とを同軸配置で直接接続する接続部材とを備え、
   前記接続部材は、直線状に延びる形態をなし両端部を除く中間部分が前記ハウジングの内部に埋設された接続部材本体部を有する機器用コネクタ。
2. 前記接続部材は、前記ハウジングの外部に開口する形態をなし前記接続部材本体部の両端部に設けられた一対のボルト孔を有する請求項１に記載の機器用コネクタ。
3. 前記一対のボルト孔が前記接続部材本体部の延出方向に貫通する単一のボルト孔として構成され、前記接続部材は、前記単一のボルト孔を有するインサートナットとされている請求項２に記載の機器用コネクタ。
4. 前記シールド部材は、前記電線を覆う編組線と、前記編組線が圧着されたシールドシェルと、前記電線の端末部および前記ケース側取付部と同一平面をなす位置に配された前記電線側取付部とを備える請求項３に記載の機器用コネクタ。
5. 導電性の金属からなるカバーであって、前記接続部材とともに前記ケース側取付部に接続されたシールド接続部と、前記ハウジングに固定されたカバー固定部とを有し、前記電線側取付部に対しては接続されていないカバーを備えた請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の機器用コネクタ。

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