(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図4に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である。軌道1は、車両2の車輪5aを支持し案内してこの車両2を走行させるレール1aなどを備えている。図1及び図3に示す車両2は、軌道1に沿って走行する鉄道車両である。車両2は、例えば、電車、気動車、機関車、客車又は貨車などである。車両2は、車体3と台車4などを備えている。車体3は、旅客又は貨物などの積載物を輸送するための構造物である。
台車4は、車体3を支持して走行する装置である。台車4は、図1〜図4に示す輪軸5と、図3〜図5に示す軸受6と、図1〜図4に示す軸箱7と、図1及び図3に示す台車枠8と、図1及び図3に示す軸ばね9と、防振ゴム10などを備えている。
図1〜図4に示す輪軸5は、車輪5aと車軸5bとを組み立てた部材である。車輪5aは、レール1aと転がり接触する部材である。車軸5bは、車輪5aと一体となって回転する部材である。車軸5bは、図2及び図3に示すように、この車軸5bの両端部側に左右一対の車輪5aが圧入され取り付けられている。車軸5bは、図5に示すように、軸受6の内輪6aの内周面と嵌合してこの軸受6に支持されるジャーナル部5cと、車輪5aのボス穴の内周面と嵌合して車軸5bの所定の位置に車輪5aを固定する車輪座5dなどを備えている。
図2〜図5に示す軸受6は、車軸5bを回転自在に支持する部材である。軸受6は、図3に示すように、車軸5bの両端部を回転自在に支持する転がり軸受である。軸受6は、図4及び図5に示すように、車軸5bと一体となって回転する内輪6aと、軸箱7に固定される外輪6bと、内輪6aと外輪6bとの間で転がる転動体6cと、図5に示すようにこの転動体6cを等間隔に保持する保持器6dと、内輪6aの軸端側の両端部でアキシアル荷重を受けるつば6eなどを備えている。図2〜図5に示す軸受6は、転動体6cとして円筒ころを2列配置した複列円筒ころ軸受であり、図5に示すように車軸5bのジャーナル部5cの外周面に嵌合している。図2〜図5に示す軸受6は、例えば、軸方向のアキシアル荷重をつば6eによって受ける複列つば付き円筒ころ軸受である。ここで、図3及び図5に示すA列は、車軸5bの軸端側の部分であり、B列はこの車軸5bの軸端側とは反対側の反軸端側(車輪5a側)の部分である。
図1〜図4に示す軸箱7は、軸受6を収容する部材である。軸箱7は、図1に示すように、軸箱支持装置によって台車枠8の所定の位置に保持されている。軸箱7は、例えば、図1に示すように、台車4の車軸5bの左右に1個ずつ配置されており、台車1台当たり合計4個(1両当たり合計8個)配置されている。軸箱7は、図1〜図4に示すように、外観が略直方体状であり、図1及び図3〜図5に示すように計測面7aを備えている。計測面7aは、軸箱7の変位を計測するときに基準となる表面である。計測面7aは、レーザ光L1が照射される照射面であり、軸箱7の底部に平坦に形成されている。
図1及び図3に示す台車枠8は、台車4の主要構成部である。台車枠8は、図1及び図3に示すように、左右の側梁とこれらをつなぐ横梁などによって構成されている。台車枠8は、図示しないけん引装置によって車体3に連結されており、車体3との間で前後方向の力が伝達される。図2及び図4に示す軸ばね9は、軸箱7と台車枠8との間の衝撃を緩和する部材である。軸ばね9は、図4に示すように、軸箱7と台車枠8との間で垂直方向の荷重を弾性的に支持する。図1及び図3に示す防振ゴム10は、車両2の軸箱7の振動を抑える部材である。防振ゴム10は、軸箱7と軸ばね9との間に挟み込まれた状態でこれらの間に装着されている。防振ゴム10は、軸箱7の振動を抑え振動の伝達を防止するとともに、これらの間に発生する衝撃を緩和して騒音の発生を防止する。
図1〜図4及び図6に示す変位計測装置M11〜M32は、輪軸5を回転させた状態で軸箱7の変位を非接触で計測する装置である。変位計測装置M11〜M32は、図1、図3及び図4に示すように、軸受6が輪軸5に取り付けられた状態で軌道1上をこの輪軸5が転動するときに、台車4の軸箱7の上下方向の変位を計測する。ここで、上下方向とは、水平方向に延びる車軸5bに対して垂直方向及びこの垂直方向に対して僅かに傾斜する方向も含む。変位計測装置M11〜M32は、これらの変位計測装置M11〜M32の設置区間を通過する軸箱7の変位を非接触で計測可能なように、軸箱7と間隔をあけて軌道1側に設置されている。変位計測装置M11〜M32は、図2及び図3に示すように、車軸5bの一方の軸端側の軸箱7の変位と他方の軸端側の軸箱7の変位とをそれぞれ独立して計測可能なように、一方の軸端側の軸箱7と他方の軸端側の軸箱7と対向して設置されている。変位計測装置M11〜M32は、図2に示すように、軌道1の長さ方向に所定の間隔をあけて3個配置されているとともに、軌道1の幅方向に所定の間隔をあけて2個配置されており、複数列及び複数行(3行×2列)にわたり軸箱1個当たり合計6個配置されている。
変位計測装置M11〜M32は、車両2が軌道1上を走行するときに発生する振動による影響を受けないように軌道1上に固定されており、軌道1上を移動する軸箱7の計測面7aの振動による変位の経時変化を計測する。変位計測装置M11〜M32は、車両2を安全に運行するために車両2と接触しないように軌道1上に確保された空間の境界線である建築限界内に配置されている。変位計測装置M11〜M32は、例えば、車両2の収容、組成、検査又は修繕などの車両2に関する種々の業務を実施する車両基地内に設置されており、この車両基地に進入又はこの車両基地から進出する車両2の軸箱7の変位を計測する。
図2〜図5に示すように、変位計測装置M11〜M31は軸箱7の計測面7aのA列側の変位を計測し、変位計測装置M12〜M32は軸箱7の計測面7aのB列側の変位を計測する。変位計測装置M11〜M32は、これらの変位計測装置M11〜M32と軸箱7の計測面7aとの間の距離を計測することによって、この軸箱7の変位を計測する。変位計測装置M11〜M32は、例えば、図4に示すように、レーザ光L1を計測対象物に照射しこの計測対象物から反射する反射レーザ光L2を受光してこの計測対象物までの距離を計測するレーザ変位計などの非接触式変位計である。変位計測装置M11〜M32は、軸箱7の計測面7aにレーザ光L1を照射する照射部と、この計測面7aで反射する反射レーザ光L2を受光する受光部と、照射部が照射するレーザ光L1と受光部が受光する反射レーザ光L2との位相差に基づいて軸箱7の変位を演算する演算部などを備えている。変位計測装置M11〜M32は、図1、図2及び図4に示すように、軸受6の状態を評価するために必要な回転数だけ軸受6が回転している間に、軸箱7の変位を連続して計測可能なように、この軸箱7の移動方向に間隔をあけて配置されている。変位計測装置M11〜M32は、軸箱7の変位を変位信号(変位情報)として軸受検査装置11に出力する。
図1〜図4に示す軸受検査装置11は、軸受6を軸箱7に収容した状態で、この軸受6の状態を検査する装置である。軸受検査装置11は、図3及び図4に示すように、軸受6を輪軸5に取り付けた状態でこの輪軸5を回転させながら軸受6の損傷Dの有無及び/又は損傷箇所などの軸受6の状態を評価する。ここで、損傷Dとは、軸受6に発生するはく離又は傷などである。軸受検査装置11は、例えば、軸受6の転動体6cが転がり接触する内輪6a及び外輪6b側の接触面である軌道面、又はこの軌道面と接触する転動体6c側の接触面である転動面などに損傷Dが発生しているか否かを判定する。軸受検査装置11は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、軸受検査プログラムに従って所定の処理を実行する。軸受検査装置11は、図6に示すように、変位情報入力部12と、変位情報記憶部13と、変位波形生成部14と、変位波形情報記憶部15と、回転周波数演算部16と、回転周波数情報記憶部17と、欠陥周波数演算部18と、欠陥周波数情報記憶部19と、演算条件設定部20と、演算条件情報記憶部21と、周波数解析部22と、周波数解析情報記憶部23と、軸受状態評価部24A〜24Dと、評価情報記憶部25と、軸受検査プログラム記憶部26と、表示部27と、制御部28などを備えている。
図6に示す変位情報入力部12は、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報を入力する手段である。変位情報入力部12は、変位計測装置M11〜M32が出力する電気信号(アナログ信号)からノイズ成分を除去するフィルタ回路と、このアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器などを備えている。変位情報入力部12は、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報を制御部28に出力する。変位情報入力部12は、例えば、変位計測装置M11〜M32から制御部28に変位情報を入力させるインタフェース(I/F)回路などである。
変位情報記憶部13は、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報を記憶する手段である。変位情報記憶部13は、例えば、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報を軸受6毎に記憶する記憶装置である。
変位波形生成部14は、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸箱7の変位の時間変化を表す変位波形WA,WBを生成する手段である。変位波形生成部14は、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報に基づいて、図7に示すような変位波形WA,WBを生成する。ここで、図7に示す縦軸は、変位(mm)であり、変位計測装置M11〜M32に軸箱7が近づく場合が正であり、変位計測装置M11〜M32から軸箱7が遠ざかる場合が負である。横軸は、時間(s)である。図7(A)(B)に示す変位波形WA,WBは、軸受6が正常であるときの波形であり、図7(A)に示す変位波形WAはA列側の波形であり、図7(B)に示す変位波形WBはB列側の波形である。図7(C)(D)に示す変位波形WA,WBは、軸受6の外輪6bの軌道面のA列側にはく離があるときの波形であり、図7(C)に示す変位波形WAはA列側の波形であり、図7(D)に示す変位波形WBはB列側の波形である。
図6に示す変位波形生成部14は、図2に示す変位計測装置M11〜M31が出力する変位情報に基づいて、図3及び図5に示す軸箱7のA列側の変位の時間変化を表す連続した一つの変位波形WAを生成する。一方、図6に示す変位波形生成部14は、図2に示す変位計測装置M12〜M32が出力する変位情報に基づいて、図3及び図5に示す軸箱7のB列側の変位の時間変化を表す連続した一つの変位波形WBを生成する。変位波形生成部14は、例えば、図7(A)(B)に示すように、軸受6に損傷Dがないときには、車軸5bの振れの影響によって車軸5bの回転周波数と略一致して周期的に変化する変位波形WA,WBを生成する。一方、変位波形生成部14は、例えば、図7(C)(D)に示すように、軸受6に損傷Dがあるときには、車軸5bの回転周波数と略一致して周期的に変化するとともに、図中矢印で示すような周期的にスパイク状のピークPが存在する変位波形WA,WBを生成する。変位波形生成部14は、生成後の変位波形WA,WBを変位波形情報(変位波形信号)として制御部28に出力する。
図6に示す変位波形情報記憶部15は、変位波形生成部14が出力する変位波形情報を記憶する手段である。変位波形情報記憶部15は、例えば、変位波形生成部14が出力する軸受6のA列及びB列の変位波形情報を軸受6毎にそれぞれ記憶する記憶装置である。
回転周波数演算部16は、軸受6の内輪6aの回転数を演算する手段である。回転周波数演算部16は、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸受6の内輪6aの回転周波数fRを演算する。回転周波数演算部16は、図4に示す車両2の速度V及び車輪5aの半径rに基づいて、内輪6aの回転周波数fRを演算する。回転周波数演算部16は、例えば、図2に示す変位計測装置M11,M12が軸箱7を検出して変位の計測を開始してから、次の変位計測装置M21,M22が軸箱7を検出して変位の計測を開始するまでの間に、軸箱7が移動する移動時間tを変位波形情報から演算する。回転周波数演算部16は、図2及び図4に示す変位計測装置M11,M12から変位計測装置M21,M22までの装置間距離Lを移動時間tによって除算して、車両2の速度V=L/tを演算し、内輪6aの回転周波数fR=V/2πrを演算する。回転周波数演算部16は、演算後の内輪6aの回転周波数fRを回転周波数情報(回転周波数信号)として制御部28に出力する。
図6に示す回転周波数情報記憶部17は、回転周波数演算部16が出力する回転周波数情報を記憶する手段である。回転周波数情報記憶部17は、例えば、回転周波数演算部16が出力する回転周波数情報を軸受6毎に記憶する記憶装置である。
欠陥周波数演算部18は、軸受6の欠陥周波数を演算する手段である。欠陥周波数演算部18は、回転周波数演算部16の演算結果に基づいて、軸受6の欠陥周波数を演算する。ここで、欠陥周波数とは、はく離又は傷などの損傷Dによる欠陥が軸受6に発生したときに、この軸受6の振動が大きくなる特定の周波数である。欠陥周波数は、軸受6の大きさ、回転数及び損傷部位によって変化する。欠陥周波数演算部18は、以下の数1〜数4によって、内輪6aの欠陥周波数fi、外輪6bの欠陥周波数fo、転動体6cの欠陥周波数fr及び保持器6dの欠陥周波数fcを演算する。
ここで、数1〜数4に示すZは、転動体6cの数であり、fRは内輪6aの回転周波数であり、Dwは転動体6cの直径であり、Dpwは転動体6cのピッチ円直径であり、αは接触角である。欠陥周波数演算部18は、演算後の欠陥周波数fi,fo,fr,fcを欠陥周波数情報(欠陥周波数信号)として制御部28に出力する。
欠陥周波数情報記憶部19は、欠陥周波数演算部18が出力する欠陥周波数情報を記憶する手段である。欠陥周波数情報記憶部19は、例えば、欠陥周波数演算部18が出力する欠陥周波数情報を軸受6毎に記憶する記憶装置である。
演算条件設定部20は、欠陥周波数fi,fo,fr,fcを演算するために必要な演算条件を設定する手段である。演算条件設定部20は、図4に示す車輪5aの半径r、変位計測装置M11,M12から変位計測装置M21,M22までの装置間距離Lなどのような内輪6aの回転周波数fRの演算に必要な諸元を演算条件情報として設定する。演算条件設定部20は、転動体6cの数Z、内輪6aの回転周波数fR、転動体6cの直径Dw、転動体6cのピッチ円直径Dpw及び接触角αなどのような欠陥周波数fi,fo,fr,fcの演算に必要な諸元を演算条件情報として設定する。演算条件設定部20は、例えば、使用者の手動操作によって演算条件情報を入力する入力装置又は補助入力装置などである。演算条件設定部20は、設定後の演算条件を演算条件情報(演算条件信号)として制御部28に出力する。
図6に示す演算条件情報記憶部21は、演算条件設定部20が設定した演算条件情報を記憶する手段である。演算条件情報記憶部21は、例えば、演算条件設定部20が出力する演算条件情報を軸受6の形式毎に記憶する記憶装置である。
周波数解析部22は、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸箱7の変位の時間変化を表す変位波形WA,WBを周波数解析する手段である。周波数解析部22は、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報に基づいて、図8に示すような解析結果SA,SBを生成する。周波数解析部22は、例えば、変位計測装置M11〜M32が出力する変位情報について高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation(以下、FFTという))解析を実施する。ここで、図8に示す縦軸は、強度であり、横軸は周波数(Hz)である。解析結果SA,SBは、図7に示す変位波形WA,WBの周波数解析結果である。f1は、軸受6の欠陥周波数であり、f2はこの欠陥周波数f1の第2高調波であり、f3はこの欠陥周波数f1の第3高調波であり、f4はこの欠陥周波数f1の第4高調波である。図8(A)(B)に示す解析結果SA,SBは、軸受6が正常であるときの波形であり、図8(A)に示す解析結果SAはA列側の波形であり、図8(B)に示す解析結果SBはB列側の波形である。図8(C)(D)に示す解析結果SA,SBは、軸受6の外輪6bの軌道面のA列側にはく離があるときの波形であり、図8(C)に示す解析結果SAはA列側の波形であり、図8(D)に示す解析結果SBはB列側の波形である。
図6に示す周波数解析部22は、変位計測装置M11〜M31が出力する変位情報に基づいて、軸箱7のA列側の解析結果SAを生成するとともに、変位計測装置M12〜M32が出力する変位情報に基づいて、軸箱7のB列側の解析結果SBを生成する。周波数解析部22は、例えば、図8(A)(B)に示すように、軸受6が正常であるときには、車軸5bの回転周波数f'にピークPが認められる解析結果SA,SBを生成する。一方、周波数解析部22は、例えば、図8(C)(D)に示すように、外輪6bに損傷Dがあるときには、車軸5bの回転周波数f'にピークPが認められるとともに、外輪6bの欠陥周波数foに相当する欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが認められる解析結果SA,SBを生成する。周波数解析部22は、解析後の解析結果SA,SBを周波数解析情報(周波数解析信号)として制御部28に出力する。
図6に示す周波数解析情報記憶部23は、周波数解析部22が出力する周波数解析情報を記憶する手段である。周波数解析情報記憶部23は、例えば、周波数解析部22が出力する周波数解析情報を軸受6毎に記憶する記憶装置である。
軸受状態評価部24A〜24Dは、車軸5bを回転させた状態で軸箱7の変位を非接触で計測する変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸受6の状態を評価する手段である。軸受状態評価部24A〜24Dは、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBと、周波数解析部22が解析する解析結果SA,SBとに基づいて、軸受6の状態を評価する。軸受状態評価部24A〜24Dは、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに基づいて、軸受6の損傷Dの有無及び/又は損傷箇所を評価する。軸受状態評価部24A〜24Dは、図1〜図4に示すように、軸受6が輪軸5に取り付けられた状態で、軌道1上をこの輪軸5が転動するときに、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいてこの軸受6の状態を評価する。軸受状態評価部24A〜24Dは、評価後の軸受6の損傷Dの有無及び/又は損傷箇所を評価情報(評価信号)として制御部28に出力する。
図6に示す軸受状態評価部24Aは、図7(C)(D)に示すように、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPに基づいて、軸受6の損傷Dの有無を評価する。軸受状態評価部24Aは、軸受6に損傷Dがあるときには軸受6の振動が特定周波数で大きくなるため、変位波形WA,WBに特定周波数でピークPが存在するか否かを判断する。軸受状態評価部24Aは、図7(C)(D)に示すように、変位波形WA,WBにピークPが一定間隔で存在するときには、軸受6に損傷Dがあると判定する。一方、軸受状態評価部24Aは、図7(A)(B)に示すように、変位波形WA,WBにピークPが一定間隔で存在しないときには、軸受6に損傷Dがないと判定する。
図6に示す軸受状態評価部24Bは、図7(C)(D)に示すように、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの間隔に基づいて、軸受6の損傷箇所を評価する。軸受状態評価部24Bは、軸受6に損傷Dがあるときには、軸受6の振動が特定周波数で大きくなり、かつ、変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在するため、内輪6aの欠陥周波数fi、外輪6bの欠陥周波数fo、転動体6cの欠陥周波数fr又は保持器6dの欠陥周波数fcとこの特定周波数とが一致するか否かを判断する。軸受状態評価部24Bは、図7(C)(D)に示すように、変位波形WA,WBのピークPの間隔(特定周波数)が欠陥周波数fi,fo,fr,fcと一致するときには、内輪6a、外輪6b、転動体6c又は保持器6dの特定箇所に損傷Dがあると判定する。一方、軸受状態評価部24Bは、図7(C)(D)に示すように、変位波形WA,WBのピークPの間隔(特定周波数)が欠陥周波数fi,fo,fr,fcと一致しないときには、内輪6a、外輪6b、転動体6c又は保持器6dの特定箇所に損傷Dがないと判定する。
図6に示す軸受状態評価部24Cは、図9(B)(C)及び図10(B)(C)に示すように、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの向きに基づいて、軸受6の損傷箇所を評価する。軸受状態評価部24Cは、図9(A)及び図10(A)に示すように、軸受6が複列軸受であるときに、この軸受6のA列及びB列の損傷Dの有無を評価する。軸受状態評価部24Cは、図9(A)及び図10(A)に示すように、軸受6のA列側又はB列側のいずれかに損傷Dがあるときには、軸箱7のA列側及びB列側の変位の向きが異なるため、変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの向きから軸受6のA列側又はB列側のいずれが損傷Dしているかを判断する。軸受状態評価部24Cは、図9(B)に示すように、変位波形WAのピークPが上向き(凸状)であり、図9(C)に示すように変位波形WBのピークPが下向き(凹状)であるときには、図9(A)に示すように軸箱7のA列側の変位がプラス(下向き)であり軸箱7のB列側の変位がマイナス(上向き)であるため、軸受6のA列側が損傷Dしていると判定する。一方、軸受状態評価部24Cは、図10(B)に示すように、変位波形WAのピークPが下向き(凹状)であり,図10(C)に示すように変位波形WBのピークPが上向き(凸状)であるときには、図10(A)に示すように軸箱7のA列側の変位がマイナス(上向き)であり軸箱7のB列側の変位がプラス(下向き)であるため、軸受6のB列側が損傷Dしていると判定する。
図6に示す軸受状態評価部24Dは、周波数解析部22が解析する解析結果に基づいて、軸受6の損傷Dの有無を評価する。軸受状態評価部24Dは、周波数解析部22が生成する解析結果SA,SBに基づいて軸受6の損傷Dの有無を評価する。軸受状態評価部24Dは、図8(C)(D)に示すように、周波数解析部22が解析した解析結果に存在する高調波f2,f3,f4,…に基づいて、軸受6の損傷Dの有無を評価する。軸受状態評価部24Dは、図8(C)(D)に示すように、欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在するときには、軸受6に損傷Dがあると判定する。一方、軸受状態評価部24Dは、図8(A)(B)に示すように、欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とが存在しないときには、軸受6に損傷Dがないと判定する。
図6に示す評価情報記憶部25は、軸受状態評価部24A〜24Dが出力する評価情報を記憶する手段である。評価情報記憶部25は、例えば、軸受状態評価部24A〜24Dが出力する評価情報を軸受6毎に記憶する記憶装置である。
軸受検査プログラム記憶部26は、軸受6を軸箱7内に収容した状態で、この軸受6の状態を検査する軸受検査プログラムを記憶する手段である。軸受検査プログラム記憶部26は、情報記録媒体から読み取った軸受検査プログラム又は電気通信回線を通じて取り込まれた軸受検査プログラムなどを記憶する記憶装置などである。
表示部27は、軸受検査装置11に関する種々の情報を表示する手段である。表示部27は、例えば、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WB、回転周波数演算部16が演算する内輪6aの回転周波数fR、欠陥周波数演算部18が演算する欠陥周波数fi,fo,fr,fc、演算条件設定部20が設定する演算条件、周波数解析部22が解析する解析結果SA,SB、軸受状態評価部24A〜24Dが評価する軸受6の損傷Dの有無及び/又は損傷箇所などを画面上に表示する表示装置などである。
制御部28は、軸受検査装置11に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部28は、軸受検査プログラム記憶部26から軸受検査プログラムを読み出してこの軸受検査プログラムに従って一連の軸受検査処理を実行する。制御部28は、例えば、変位情報入力部12が出力する変位情報を変位情報記憶部13に出力したり、変位情報記憶部13から変位情報を読み出して変位波形生成部14に出力したり、変位波形生成部14に変位波形WA,WBの生成を指令したり、変位波形生成部14が出力する変位波形情報を変位波形情報記憶部15に出力したり、変位波形情報記憶部15が記憶する変位波形情報を読み出して回転周波数演算部16、周波数解析部22及び軸受状態評価部24A〜24Dに出力したり、回転周波数演算部16に内輪6aの回転周波数fRの演算を指令したり、回転周波数演算部16が出力する回転周波数情報を回転周波数情報記憶部17に出力したり、回転周波数情報記憶部17から回転周波数情報を読み出して欠陥周波数演算部18に出力したり、欠陥周波数演算部18に欠陥周波数fi,fo,fr,fcの演算を指令したり、欠陥周波数演算部18が出力する欠陥周波数情報を欠陥周波数情報記憶部19に出力したり、欠陥周波数情報記憶部19から欠陥周波数情報を読み出して軸受状態評価部24A〜24Bに出力したり、演算条件設定部20が出力する演算条件情報を演算条件情報記憶部21に出力したり、演算条件情報記憶部21から演算条件情報を読み出して回転周波数演算部16及び欠陥周波数演算部18に出力したり、周波数解析部22が出力する周波数解析情報を周波数解析情報記憶部23に出力したり、軸受状態評価部24A〜24Dに軸受6の状態の評価を指令したり、軸受状態評価部24A〜24Dが出力する評価情報を評価情報記憶部25に出力したり、表示部27に種々の情報の表示を指令したりする。軸受検査装置11には、変位情報入力部12、変位情報記憶部13、変位波形生成部14、変位波形情報記憶部15、回転周波数演算部16、回転周波数情報記憶部17、欠陥周波数演算部18、欠陥周波数情報記憶部19、演算条件設定部20、演算条件情報記憶部21、周波数解析部22、周波数解析情報記憶部23、軸受状態評価部24A〜24D、評価情報記憶部25、軸受検査プログラム記憶部26及び表示部27が相互に通信可能に接続されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る軸受検査装置の動作を説明する。
以下では、図9(A)及び図10(A)に示すように、外輪6bの軌道面に損傷Dが発生している場合を例に挙げて、図6に示す制御部28の動作を中心として説明する。
図11に示すステップ(以下、Sという)100において、変位情報入力部12から変位情報が入力したか否かを制御部28が判断する。車両2が運行を開始する時刻になると、変位計測装置M11〜M32及び軸受検査装置11に電源装置から電力が供給されて、軸受検査プログラム記憶部26から軸受検査プログラムを制御部28が読み込み、一連の軸受検査処理を制御部28が実行する。例えば、変位計測装置M11〜M32への車両2の接近を近接検出装置が検出すると、変位計測装置M11〜M32が変位計測動作を開始する。図2に示すように、変位計測装置M11〜M32に車両2が接近して、図1、図3及び図4に示すように変位計測装置M11〜M32上を軸箱7が通過すると、変位計測装置M11〜M32から軸箱7の計測面7aにレーザ光L1が照査されて、計測面7aで反射する反射レーザ光L2を変位計測装置M11〜M32が受光する。その結果、変位計測装置M11〜M32が軸箱7の変位を計測し、変位計測装置M11〜M32から軸受検査装置11に変位情報入力部12を通じて変位情報が送信されて、変位情報入力部12から制御部28にこの変位情報が入力する。変位情報入力部12から変位情報が入力したと制御部28が判断したときにはS110に進む。一方、変位情報入力部12から変位情報が入力していないと制御部28が判断したときには、変位情報が制御部28に入力するまでS100の処理を制御部28が繰り返す。変位情報が制御部28に入力したときには、この変位情報を制御部28が変位情報記憶部13に出力し、この変位情報が変位情報記憶部13に記憶される。
S110において、変位波形WA,WBの生成を変位波形生成部14に制御部28が指令する。変位情報記憶部13から変位情報を制御部28が読み出して、この変位情報を変位波形生成部14に制御部28が出力し、変位波形WA,WBの生成を変位波形生成部14に制御部28が指令する。その結果、図7に示すような変位波形WA,WBを変位波形生成部14が生成し、変位波形情報を制御部28に出力する。変位波形情報が制御部28に入力すると、この変位波形情報を制御部28が変位波形情報記憶部15に出力し、この変位波形情報が変位波形情報記憶部15に記憶される。
S120において、内輪6aの回転周波数fRの演算を回転周波数演算部16に制御部28が指令する。変位情報記憶部13から変位情報を制御部28が読み出すとともに、演算条件情報記憶部21から演算条件情報を読み出して、この変位情報及び演算条件情報を回転周波数演算部16に制御部28が出力し、内輪6aの回転周波数fRの演算を回転周波数演算部16に制御部28が指令する。例えば、図2及び図5に示すように、軸箱7の計測面7aの先端部を変位計測装置M11,M12が検出してからこの計測面7aの先端部を次の変位計測装置M21,M22か検出するまでの軸箱7の移動時間tを、変位波形WA,WBから回転周波数演算部16が演算する。次に、変位計測装置M11,M12から変位計測装置M21,M22までの装置間距離Lに関する演算条件情報を回転周波数演算部16が参照して、装置間距離Lを移動時間tによって回転周波数演算部16が除算して、車両2の速度V=L/tを回転周波数演算部16が演算する。次に、車両2の車輪5aの半径rに関する演算条件情報を回転周波数演算部16が参照して、内輪6aの回転周波数fR=V/2πrを回転周波数演算部16が演算する。回転周波数演算部16が回転周波数情報を制御部28に出力すると、この回転周波数情報を制御部28が回転周波数情報記憶部17に出力し、この回転周波数情報が回転周波数情報記憶部17に記憶される。
S130において、欠陥周波数fi,fo,fr,fcの演算を欠陥周波数演算部18に制御部28が指令する。演算条件情報記憶部21から演算条件情報を読み出して、この演算条件情報を欠陥周波数演算部18に制御部28が出力し、欠陥周波数fi,fo,fr,fcの演算を欠陥周波数演算部18に制御部28が指令する。転動体6cの数Z、内輪6aの回転周波数fR、転動体6cの直径Dw、転動体6cのピッチ円直径Dpw及び接触角αに関する演算条件情報を欠陥周波数演算部18が参照して、欠陥周波数fi,fo,fr,fcを数1〜数4によって欠陥周波数演算部18が演算する。欠陥周波数演算部18が欠陥周波数情報を制御部28に出力すると、この欠陥周波数情報を制御部28が欠陥周波数情報記憶部19に出力し、この欠陥周波数情報が欠陥周波数情報記憶部19に記憶される。
S140において、解析結果SA,SBを周波数解析部22に制御部28が指令する。変位波形情報記憶部15から変位波形情報を制御部28が読み出して、この変位波形情報を周波数解析部22に制御部28が出力し、解析結果SA,SBの生成を周波数解析部22に制御部28が指令する。その結果、図8に示すような解析結果SA,SBを周波数解析部22が生成し、周波数解析情報を制御部28に出力する。周波数解析情報が制御部28に入力すると、この周波数解析情報を制御部28が周波数解析情報記憶部23に出力し、この周波数解析情報が周波数解析情報記憶部23に記憶される。
S150において、軸受6の状態を評価する軸受状態評価処理Aの実行を軸受状態評価部24Aに制御部28が指令する。変位波形情報記憶部15から変位波形情報を制御部28が読み出して、この変位波形情報を軸受状態評価部24Aに制御部28が出力し、軸受状態評価処理Aの実行を軸受状態評価部24Aに制御部28が指令する。
図12に示すS151において、変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在するか否かを軸受状態評価部24Aが判定する。例えば、図9(A)及び図10(A)に示すように、軸受6の外輪6bの軌道面にはく離部分のような損傷Dがあるときには、車軸5bが回転すると転動体6cがこのはく離部分に位置する度に軸箱7が変位し、図7(C)(D)に示すような変位波形WA,WBに周期的なピークPが発生する。変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在すると軸受状態評価部24Aが判定したときにはS152に進み、変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在しないと軸受状態評価部24Aが判定したときにはS153に進む。
S152において、軸受損傷ありと軸受状態評価部24Aが評価する。変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在すると軸受状態評価部24Aが判定したときには、軸受6に損傷Dがある可能性が高いため、軸受損傷ありの評価情報を軸受状態評価部24Aが制御部28に出力する。
S153において、軸受損傷なしと軸受状態評価部24Aが評価する。変位波形WA,WBに周期的なピークPが存在しないと軸受状態評価部24Aが判定したとき、又は変位波形WA,WBにピークPが存在してもこのピークPが周期的ではないと軸受状態評価部24Aが判定したときには、軸受6に損傷Dがない可能性が高いため、軸受損傷なしの評価情報を軸受状態評価部24Aが制御部28に出力する。
S154において、評価情報を評価情報記憶部25が記憶するとともに、評価情報を表示部27が表示する。軸受状態評価部24Aが評価情報を制御部28に出力すると、この評価情報を制御部28が評価情報記憶部25及び表示部27に出力する。その結果、評価情報記憶部25が評価情報を記憶するとともに、表示部27がこの評価情報を表示する。
図11に示すS160において、軸受6の状態を評価する軸受状態評価処理Bの実行を軸受状態評価部24Bに制御部28が指令する。変位波形情報記憶部15から変位波形情報を制御部28が読み出して、この変位波形情報を軸受状態評価部24Bに制御部28が出力し、軸受状態評価処理Bの実行を軸受状態評価部24Bに制御部28が指令する。
図13に示すS161において、変位波形WA,WBのピークPの特定周波数が欠陥周波数fi,fo,fr,fcのいずれかと一致するか否かを軸受状態評価部24Bが判定する。例えば、図9(A)及び図10(A)に示すように、軸受6の外輪6bの軌道面にはく離部分のような損傷Dがあるときには、車軸5bが回転すると転動体6cがこのはく離部分に周期的に位置する度に軸箱7が変位し、変位波形WA,WBに周期的なピークPが発生し、このピークPの間隔(特定周波数)が外輪6bの欠陥周波数foと一致する。変位波形WA,WBの周期的なピークPの特定周波数が欠陥周波数fi,fo,fr,fcのいずれかと一致すると軸受状態評価部24Bが判定したときにはS162に進む。一方、変位波形WA,WBの周期的なピークPの特定周波数が欠陥周波数fi,fo,fr,fcのいずれとも一致しないと軸受状態評価部24Bが判定したときにはS163に進む。
S162において、軸受6の特定箇所に損傷ありと軸受状態評価部24Bが評価する。図7(C)(D)に示すような変位波形WA,WBのピークPの間隔が欠陥周波数fi,fo,fr,fcのいずれかと一致すると軸受状態評価部24Bが判定したときには、軸受6の内輪6a、外輪6b、転動体6c又は保持器6dのいずれかに損傷箇所がある可能性が高い。例えば、変位波形WA,WBのピークPの間隔が外輪6bの欠陥周波数foと一致すると軸受状態評価部24Aが判定したときには、図9(A)及び図10(A)に示すように軸受6の外輪6bに損傷Dがある可能性が高いため、外輪6bに損傷ありの評価情報を軸受状態評価部24Aが制御部28に出力する。
S163において、軸受6の特定箇所に損傷なしと軸受状態評価部24Bが評価する。図7(C)(D)に示すような変位波形WA,WBのピークPの間隔が欠陥周波数fi,fo,fr,fcと一致しないと軸受状態評価部24Bが判定したときには、軸受6の内輪6a、外輪6b、転動体6c又は保持器6dのいずれについても損傷Dがない可能性が高いため、軸受6の特定箇所に損傷なしの評価情報を軸受状態評価部24Aが制御部28に出力する。S164において、S154と同様に、評価情報記憶部25が評価情報を記憶するとともに、表示部27がこの評価情報を表示する。
図11に示すS170において、軸受6の状態を評価する軸受状態評価処理Cの実行を軸受状態評価部24Cに制御部28が指令する。変位波形情報記憶部15から変位波形情報を制御部28が読み出して、この変位波形情報を軸受状態評価部24Cに制御部28が出力し、軸受状態評価処理Cの実行を軸受状態評価部24Cに制御部28が指令する。
図14に示すS171において、変位波形WA,WBのピークPの向きが上向き(凸状)又は下向き(凹状)のいずれであるかを軸受状態評価部24Bが判定する。例えば、図9(A)に示すように、軸受6のA列側の外輪6bの軌道面にはく離部分のような損傷Dがあるときには、車軸5bが回転すると転動体6cがこのはく離部分に周期的に位置する。外輪6bにはラジアル荷重が作用しているため、A列側の外輪6bが非負荷圏側(鉛直方向下側)に変位し、軸箱7のA列側が下向き(変位+)に傾いて、変位計測装置M11〜M32に近づく方向に軸箱7のA列側が変位する。軸箱7のA列側が下向きに変位すると、外輪6bが車軸5bに対して傾き、軸箱7のB列側が上向き(変位−)に傾いて、変位計測装置M11〜M32から遠ざかる方向に軸箱7が変位する。一方、図10(A)に示すように、軸受6のB列側の外輪6bの軌道面にはく離部分のような損傷Dがあるときには、車軸5bが回転すると転動体6cがこのはく離部分に周期的に位置する。外輪6bにはラジアル荷重が作用しているため、B列側の外輪6bが非負荷圏側(鉛直方向下側)に変位し、軸箱7のB列側が下向き(変位+)に傾いて、変位計測装置M11〜M32に近づく方向に軸箱7のB列側が変位する。軸箱7のB列側が下向きに変位すると、外輪6bが車軸5bに対して傾き、軸箱7のA列側が上向き(変位−)に傾いて、変位計測装置M11〜M32から遠ざかる方向に軸箱7が変位する。図9(B)に示すように、A列側の変位波形WAの周期的なピークPの向きが上向きであり、図9(C)に示すようにB列側の変位波形WBの周期的なピークPの向きが下向きであると、軸受状態評価部24Cが判定したときにはS172に進む。一方、図10(B)に示すように、A列側の変位波形WAの周期的なピークPの向きが下向きであり、図10(C)に示すようにB列側の変位波形WBの周期的なピークPの向きが上向きであると、軸受状態評価部24Cが判定したときにはS173に進む。
S172において、軸受6のA列側に損傷ありと軸受状態評価部24Cが評価する。図9(B)に示すように、変位波形WAのピークPが上向きであり、図9(C)に示すように変位波形WBのピークPが下向きであると、軸受状態評価部24Cが判定したときには、軸受6のA列側が損傷している可能性が高いため、A列側損傷の評価情報を軸受状態評価部24Cが制御部28に出力する。
S173において、軸受6のB列側に損傷ありと軸受状態評価部24Cが評価する。図10(B)に示すように、変位波形WAのピークPが下向きであり、図10(C)に示すように変位波形WBのピークPが上向きであると、軸受状態評価部24Cが判定したときには、軸受6のB列側が損傷している可能性が高いため、B列側損傷の評価情報を軸受状態評価部24Bが制御部28に出力する。S174において、S154,S164と同様に、評価情報記憶部25が評価情報を記憶するとともに、表示部27がこの評価情報を表示する。
図11に示すS180において、軸受6の状態を評価する軸受状態評価処理Dの実行を軸受状態評価部24Dに制御部28が指令する。周波数解析情報記憶部23から周波数解析情報を制御部28が読み出して、この周波数解析情報を軸受状態評価部24Dに制御部28が出力し、軸受状態評価処理Dの実行を軸受状態評価部24Dに制御部28が指令する。
図15に示すS181において、解析結果SA,SBの欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在するか否かを軸受状態評価部24Dが判定する。例えば、図9(A)に示すように、軸受6のA列側の外輪6bの軌道面にはく離部分のような損傷Dがあるときに、車軸5bが回転すると転動体6cがこのはく離部分に周期的に位置する。このため、図8(C)(D)に示すように、欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在する。図8(C)(D)に示すように、解析結果SA,SBの欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在すると軸受状態評価部24Dが判定したときにはS182に進む。一方、図8(A)(B)に示すように、解析結果SA,SBの欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在しないときにはS183に進む。
S182において、軸受損傷ありと軸受状態評価部24Dが評価する。図8(C)(D)に示すように、解析結果SA,SBの欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在するときには、軸受6に損傷Dがある可能性が高いため、軸受損傷ありの評価情報を軸受状態評価部24Dが制御部28に出力する。
S183において、軸受損傷なしと軸受状態評価部24Dが評価する。図8(A)(B)に示すように、欠陥周波数f1が存在しないとき、又はこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…にピークPが存在しないときには、軸受6に損傷Dがない可能性が高いため、軸受損傷なしの評価情報を軸受状態評価部24Dが制御部28に出力する。S184において、S154,S164,S174と同様に、評価情報記憶部25が評価情報を記憶するとともに、表示部27がこの評価情報を表示する。
S190において、軸受6の状態の評価を継続するか否かを制御部28が判断する。図1に示すように、軌道1上を車両2が移動すると、変位計測装置M11〜M32上を通過する列車の全ての軸箱7の変位が変位計測装置M11〜M32によって順次計測されて、この列車の全ての軸受6の状態が軸受検査装置11によって順次評価される。変位計測装置M11〜M32から車両2が離間するのを近接検出装置が検出すると、変位計測装置M11〜M32が変位計測動作を終了する。車両2が運行を終了する時刻になると、変位計測装置M11〜M32及び軸受検査装置11への電源装置からの電力の供給が停止されて、変位計測装置M11〜M32及び軸受検査装置11が動作を停止する。車両2が運行を終了する時刻に達したと制御部28が判断したときには、制御部28が一連の軸受検査処理を終了する。一方、車両2が運行を終了する時刻に達していないと制御部28が判断したときにはS100に戻り、S100以降の処理を制御部28が繰り返す。
この発明の第1実施形態に係る軸受検査装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、車軸5bを回転させた状態で軸箱7の変位を非接触で計測する変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸受状態評価部24A〜24Dが軸受6の状態を評価する。このため、軸受6を車軸5bから取り外す必要がなくなって、在姿状態で軸受6の損傷Dを簡単に検査することができるとともに、軸受6毎にセンサなどを取り付ける必要がなくなって、安価で軸受6の状態を検査することができる。
(2) この第1実施形態では、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸箱7の変位の時間変化を表す変位波形WA,WBを変位波形生成部14が生成し、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに基づいて、軸受6の損傷Dの有無及び/又は損傷箇所を軸受状態評価部24A〜24Bが評価する。このため、軸箱7の変位の時間変化を計測することによって、軸受6の状態を簡単に検査することができる。
(3) この第1実施形態では、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPに基づいて、軸受状態評価部24Aが軸受6の損傷Dの有無を評価する。このため、変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPを検出することによって、軸受6のはく離又は傷などの損傷Dを正確に検出することができる。
(4) この第1実施形態では、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの間隔に基づいて、軸受状態評価部24Bが軸受6の損傷箇所を評価する。このため、変位波形WA,WBに存在するピークPの周期と、軸受6の各部位の欠陥周波数fi,fo,fr,fcに対応する周期とを照合することによって、軸受6の損傷箇所を簡単に特定することができる。
(5) この第1実施形態では、変位波形生成部14が生成する変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの向きに基づいて、軸受状態評価部24Cが軸受6の損傷箇所を評価する。このため、例えば、外輪6bの軌道面の損傷箇所を転動体6cが通過するときに、車軸5bに対して外輪6bが傾く現象を、変位波形WA,WBに存在する周期的なピークPの形状から検出して、軸受6の損傷Dの有無及び損傷箇所を簡単に特定することができる。
(6) この第1実施形態では、軸受6が複列軸受であるときに、軸受状態評価部24Cがこの軸受6の各列の損傷Dの有無を評価する。このため、例えば、軸受6のA列側又はB列側のいずれに損傷Dが発生したのかを簡単に特定することができる。
(7) この第1実施形態では、変位計測装置M11〜M32の計測結果に基づいて、軸箱7の変位の時間変化を表す変位波形WA,WBを周波数解析部22が周波数解析し、周波数解析部22が解析する解析結果に基づいて、軸受状態評価部24Dが軸受6の損傷Dの有無を評価する。このため、解析結果SA,SBに存在するピークPの有無によって軸受6の損傷Dの有無を簡単に評価することができる。例えば、軸箱7の振動波形に対して周波数解析を実施し、軸受6の欠陥周波数f1の高調波成分から軸受6の損傷Dの有無を簡単に判定することができる。
(8) この第1実施形態では、周波数解析部22が解析した解析結果に存在する高調波f2,f3,f4,…に基づいて、軸受状態評価部24Dが軸受6の損傷Dの有無を評価する。このため、解析結果SA,SBに高調波f2,f3,f4,…が存在するか否かを評価することによって、軸受6の損傷Dの有無を容易に判定することができる。例えば、図9(A)及び図10(A)に示すような損傷Dが軸受6にない場合であっても、軸受6内の複数の転動体6cの直径が僅かに異なるときには、直径の大きい転動体6cが通過すると外輪6bが上側に変位し、直径の小さい転動体6cが通過すると外輪6bが下側に変位する。このため、図8(C)(D)に示す欠陥周波数f1のみにピークPが表れることがある。このような場合であっても、欠陥周波数f1とこの欠陥周波数f1の高調波f2,f3,f4,…とにピークPが存在するか否かを判定することによって、転動体6cに設計上許容される直径の相違であるのか、軸受6の損傷Dであるのかを正確に判定することができる。
(9) この第1実施形態では、軸受6が輪軸5に取り付けられた状態で、軌道1上をこの輪軸5が転動するときに、変位計側装置M11〜M32の計測結果に基づいて軸受状態評価部24A〜24Dがこの軸受6の状態を評価する。このため、例えば、定置に取り付けられたレーザ変位計によって列車通過時の軸箱7の振動を計測し、この軸箱7の振動波形を解析することによって軸受6の損傷Dを早期に発見することができる。また、軸受6を輪軸5から取り外して検査する手間が不要になるとともに、軌道1上に車両2を走行させながら軸受6の状態を非解体で短時間に検査することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図10に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示す軸箱7は、図4に示す軸箱7とは異なり、外観が略円筒状であり、図16に示す計測面7aは、図4に示す計測面7aとは異なり、軸箱7の底部に湾曲して形成されている。図16及び図17に示す変位計測装置M11,M12は、図3及び図4に示す変位計測装置M11〜M32とは異なり、図16及び図17に示すように、軌道1の幅方向に所定の間隔をあけて2個(軸箱1個当たり合計2個)配置されている。
変位計測装置M11,M12は、輪軸5の車軸5bの一方の軸端側の軸箱7の変位と他方の軸端側の軸箱7の変位とをそれぞれ独立して計測可能なように、一方の軸端側の軸箱7の下方と他方の軸端側の軸箱7の下方とに設置されている。変位計測装置M11は、軸箱7の計測面7aのA列側の変位を計測し、変位計測装置M12は軸箱7の計測面7aのB列側の変位を計測する。変位計測装置M11,M12は、軸受6の状態を評価するために必要な所定の回転数だけ軸受6が回転している間に、軸箱7の変位を連続して計測可能なように、この軸箱7の下方の所定位置に配置されている。図6に示す軸受状態評価部24A〜24Dは、図16及び図17に示すように、軸受6が輪軸5に取り付けられた状態で、所定位置でこの輪軸5が回転するときに、変位計測装置M11,M12の計測結果に基づいてこの軸受6の状態を評価する。
回転装置Rは、輪軸5を回転させる装置である。回転装置Rは、車両2を停止させた状態で輪軸5を所定位置で回転させる。回転装置Rは、回転体R1と、回転駆動部R2と、昇降駆動部R3などを備えている。回転装置Rは、車両2が進入して所定位置で停止したときに、昇降駆動部R3によって回転体R1を上昇させて輪軸5に回転体R1を接触させる。回転装置Rは、回転駆動部R2によって回転体R1を回転させて、回転体R1によって輪軸5を所定位置で回転させる。回転装置Rは、軸箱7の変位の計測を変位計測装置M11,M12が終了したときに、昇降駆動部R3によって回転体R1を下降させて輪軸5から回転体R1を離間させる。回転装置Rは、図17に示すように、レール1aの分断部に配置されており、この回転装置Rに車両2が進入するときには車輪5aがレール1aから回転体R1に乗り上がり、この回転装置Rから車両2が進出するときには車輪5aが回転体R1からレール1aに乗り移る。
図16及び図17に示す回転体R1は、輪軸5の車輪5aと回転接触する部材である。回転体R1は、図16に示すように、この回転体R1の外周部の断面形状が、車輪5aの踏面と回転接触するレール1aの頭頂面と同一である軌条輪のようなローラである。図16及び図17に示す回転駆動部R2は、回転体R1を回転駆動させる手段である。回転駆動部R2は、回転体R1の外周面を車輪5aに接触させた状態でこの回転体R1を回転駆動させる装置である。昇降駆動部R3は、回転体R1を昇降駆動させる手段である。昇降駆動部R3は、軸箱7の変位を計測するときには回転体R1を上昇させて車輪5aに回転体R1を接触させ、軸箱7の変位の計測を終了したときには回転体R1を下降させて車輪5aから回転体R1を離間させる装置である。
この発明の第2実施形態に係る軸受状態検査装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、軸受6が輪軸5に取り付けられた状態で、所定位置でこの輪軸5が回転するときに、変位計側装置M11,M12の計測結果に基づいて軸受状態評価部24A〜24Dがこの軸受6の状態を評価する。このため、例えば、台車4の走行性能を試験する台車走行試験装置、又は車両2の走行状態を定置で模擬する車両試験台のような軌条輪によって輪軸5を回転させながら、変位計側装置M11,M12によって軸箱7の変位を計測し軸受6の状態を検査することができる。また、軌道1上に車両2を所定位置に停止させた状態で、輪軸5を回転させながら軸箱7の変位を計測することができるため、この第1実施形態に比べて変位計側装置M11,M12の設置個数を大幅に削減することができる。さらに、所定位置に軸箱7を停止させた状態で、軸箱7の計測面7aの一点の変位を変位計側装置M11,M12によって計測することができるため、この計測面7aが湾曲面であっても最小限の変位計側装置M11,M12によって軸箱7の変位を継続して計測することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両の車軸5bの軸受6の状態を検査する場合を例に挙げて説明したが、車軸5b以外の回転軸を回転自在に支持する軸受についても、この発明を適用することができる。例えば、圧延ロール、風車、タービン又は電動機などの回転軸を支持する軸受の状態を検査する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、軸受6がころ軸受である場合について説明したが、軸受6が玉軸受、針軸受、円すいころ軸受、球面ころ軸受又はスラスト軸受である場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、軸受6が複列円筒ころ軸受である場合を例に挙げて説明したが、複列円すいころ軸受又は球面ころ軸受などについてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、軸箱7の上下方向の変位を変位計測装置M11〜M32によって計測する場合を例に挙げて説明したが、軸箱7の左右方向の変位を変位計測装置M11〜M32によって計測する場合についても、この発明を適用することができる。例えば、垂直方向に延びる車軸5bのような回転軸を回転自在に支持する軸受を収容する軸箱7のような収容部の左右方向の変位を変位計測装置M11〜M32によって計測して、この軸受の状態を検査することもできる。ここで、左右方向とは、垂直方向に延びる回転軸に対して水平方向及びこの水平方向に対して僅かに傾斜する方向も含む。また、この実施形態では、変位計測装置M11〜M32によって列車通過時に軸箱7の軸端側及び反軸端側の変位を計測する場合を例に挙げて説明したが、軸箱7の軸端側(A列側)、反軸端側(B列側)及びこれらの中央部の変位を計測する場合、軸箱7の軸端側のみの変位を計測する場合、又は軸箱7の反軸端側のみの変位を計測する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、軸受6の外輪6bの軌道面に損傷Dがある場合を例に挙げて説明したが、外輪6b以外の内輪6a、転動体6c又は保持器6dなどに損傷Dがある場合についても、この発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、軸受検査装置11が軌道1上の所定の位置に常設される固定式の装置である場合を例に挙げて説明したが、軸受検査装置11が軌道1上の任意の位置に設置される簡易式の装置である場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、車輪5aの半径rが一定である場合を例に挙げて説明したが、車輪5aの半径rを変位計測装置M11〜M32によって計測する場合についても、この発明を適用することができる。例えば、車軸5bの中心軸と軸箱7の計測面7aとの間の距離と、変位計測装置M11〜M32の照射部とレール1aの頭頂面との間の距離とが固定値である場合には、変位計測装置M11〜M32の照射部と軸箱7の計測面7aとの距離を計測することによって、車輪5aの半径rを計測することができる。この場合には、車輪5aの摩耗を考慮して車両2の速度Vを正確に演算することができる。さらに、この実施形態では、軸受状態評価部24A〜24Dによって軸受6の状態を評価する場合を例に挙げて説明したが、軸受状態評価部24A〜24Dの少なくとも一つによって軸受6の状態を評価する場合についても、この発明を適用することができる。例えば、任意の軸受状態評価部24A〜24Dを選択する軸受状態評価選択部によって任意の軸受状態評価処理A〜Dを実行する場合についても、この発明を適用することができる。
(4) この第1実施形態では、変位計測装置M11〜M32を3行2列にわたり複数個設置する場合を例に挙げて説明したが、変位計測装置M11〜M32の設置個数を3行2列に限定するものではない。また、この第1実施形態では、変位計測装置M11,M12と変位計測装置M21,M22との間を軸箱7が移動する移動時間tを計測する場合を例に挙げて説明したが、この移動時間tの計測方法を限定するものではない。例えば、変位計測装置M21,M22と変位計測装置M31,M32との間を軸箱7が移動する移動時間を計測する場合、又は変位計測装置M11,M12と変位計測装置M31,M32との間を軸箱7が移動する移動時間を計測する場合についても、この発明を適用することができる。同様に、この第1実施形態では、変位計測装置M11〜M32の装置間距離Lが一定である場合を例に挙げて説明したが、変位計測装置M11,M12と変位計測装置M21,M22との間の装置間距離Lと、変位計測装置M21,M22と変位計測装置M31,M32との間の装置間距離Lとが異なる場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この第2実施形態では、軸箱7の計測面7aが湾曲面である場合を例に挙げて説明したが、計測面7aが平坦面である場合についても。この発明を適用することができる。