JP6749079B2 - 蒸着フィルム、包装材及び真空断熱体 - Google Patents
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Description
(Ma−Mb)/Ma<0.45 ・・・(1)
Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
(Ma−Mc)/Ma<0.45 ・・・(2)
Mc:紫外可視吸光度検出器で測定される波長280nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
当該蒸着フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムに積層される金属蒸着層とを備える。当該蒸着フィルムは、金属蒸着層に積層される樹脂コート層、及びその他の層をさらに備えていてもよい。これらの層については、後に詳述する。なお、以下において例示される材料は、特に記載がない限り、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材フィルムは、EVOH(A)を含有する。この基材フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、アルカリ金属塩、その他の成分等をさらに含有していてもよい。以下、EVOH(A)、アルカリ金属塩、及びその他の成分について詳述する。
EVOH(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化したものである。EVOH(A)中のエチレン単位の含有量は、EVOH(A)を構成する全構造単位に対して、0モル%超である。上記エチレン単位の含有量の下限としては、EVOH(A)を構成する全構造単位に対して、3モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。上記エチレン単位の含有量の上限としては、EVOH(A)を構成する全構造単位に対して、60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましく、40モル%が特に好ましい。
ピークトップ分子量(Ma)は、窒素雰囲気下、220℃で50時間熱処理した後のEVOH(A)をゲルパーミションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)を用いて分離し、このときにカラムから溶出されるEVOH(A)の図1に模式的に示すように示差屈折率検出器において測定されるシグナル(図1中の「RI」)のメインピークの最大値に対応する値である。本発明におけるピークトップ分子量(Ma)は、後述の方法により作成される検量線を用いて算出されるポリメタクリル酸メチル換算(以下、「PMMA換算」ともいう)の値である。
吸収ピーク分子量(Mb)及び(Mc)は、図1に模式的に示すようにピークトップ分子量(Ma)の測定と同じ条件でGPCによりEVOH(A)を分離し、紫外可視吸光度検出器において測定される特定波長でのシグナル(図1中の「UV」)の吸収ピークの最大値に相当する値である。この吸収ピーク分子量(Mb)及び(Mc)は、ポリメタクリル酸メチル換算の分子量である。なお、波長220nmにおける吸収ピークの分子量は、「Mb」として表記し、波長280nmにおける吸収ピークの分子量は「Mc」として表記する。
検量線は、例えば標品としてAgilent Technologies社の単分散のPMMA(ピークトップ分子量:1,944,000、790,000、467,400、271,400、144,000、79,250、35,300、13,300、7,100、1,960、1,020、690)を測定し、示差屈折率検出器及び吸光度検出器のそれぞれについて作成する。検量線の作成には、解析ソフトを用いることが好ましい。なお、本測定のPMMAの測定においては、例えば1,944,000と271,400との両分子量の標準試料同士のピークが分離できるカラムを用いる。
EVOH(A)は、下記式(1)で表される条件を満たすものである。
式(1)で表される条件を満たすEVOH(A)を調製する方法としては、従来のEVOHの調製において、
(A)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ビニルエステルに含まれるラジカル重合禁止剤を予め除去する方法、
(B)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合に用いるビニルエステルに含まれる不純物を特定量とする方法、
(C)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合温度を特定範囲とする方法、
(D)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合工程、又は上記重合工程後に未反応のビニルエステルを回収再利用する工程において有機酸を添加する方法、
(E)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒の不純物を特定量とする方法、
(F)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、重合に用いる溶媒とビニルエステルとの質量比(溶媒/ビニルエステル)を高める方法、
(G)エチレンとビニルエステルモノマーとをラジカル重合する際に使用するラジカル重合開始剤として、アゾニトリル系開始剤又は有機過酸化物系開始剤を用いる方法、
(H)原料であるエチレンとビニルエステルとの共重合体の調製において、ラジカル重合後にラジカル重合禁止剤を添加する場合の添加量を残存する未分解のラジカル重合開始剤に対して特定量とする方法、
(I)残存するビニルエステルが極力除去されたエチレンとビニルエステルとの共重合体のアルコール溶液をけん化反応に用いる方法、
(J)けん化に用いるエチレンとビニルエステルとの共重合体に酸化防止剤を添加する方法等
が挙げられ、(A)〜(J)を適宜組み合わせてもよい。また、(A)〜(J)により、式(2)で表される条件を満たすEVOH(A)を調製することもできる。(A)〜(J)の方法について以下で説明する。
上記ラジカル重合禁止剤としては、後述する(H)でラジカル重合後に添加するラジカル重合禁止剤として例示するものと同様のもの等が挙げられる。また、ラジカル重合禁止剤を除去する方法としては、カラムクロマトグラフィーを用いる方法、再沈法、蒸留法等が挙げられ、通常蒸留法が採用される。蒸留法によりラジカル重合禁止剤を除去する場合、ビニルエステルの沸点はラジカル重合禁止剤の沸点よりも低いため、蒸留塔頂部から重合禁止剤が除去されたビニルエステルを得ることができる。
ラジカル重合に用いるビニルエステルに含まれる不純物の合計含有量の下限としては、1ppmが好ましく、3ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。また、上記不純物の合計含有量の上限としては、1,200ppmが好ましく、1,100ppmがより好ましく、1,000ppmがさらに好ましい。
エチレンとビニルエステルとの共重合体の重合温度の下限としては、20℃が好ましく、40℃がより好ましい。一方、上記重合温度の上限としては、90℃が好ましく、70℃がより好ましい。
本方法は、重合系への有機酸の添加により、ビニルエステルのアルコールによる加アルコール分解や微量の水分による加水分解を抑制することで、アセトアルデヒド等のアルデヒドの生成を抑制できる。上記有機酸としては、グリコール酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、シュウ酸、グルタル酸等の多価カルボン酸などが挙げられる。
重合に用いる溶媒の不純物の合計含有量の下限としては、1ppmが好ましく、3ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましい。上記不純物の合計含有量の上限としては、1,200ppmが好ましく、1,100ppmがより好ましく、1,000ppmがさらに好ましい。重合に用いる溶媒の不純物としては、例えば上述のビニルエステルに含まれる不純物として例示したもの等が挙げられる。
上記重合に用いる溶媒とビニルエステルとの質量比(溶媒/ビニルエステル)の下限としては、0.03が好ましい。一方、上記質量比(溶媒/ビニルエステル)の上限としては、例えば0.4である。
アゾニトリル系開始剤としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばアセチルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
ラジカル重合後にラジカル重合禁止剤を添加する場合の添加量としては、残存する未分解のラジカル重合開始剤に対して、5モル当量以下が好ましい。上記ラジカル重合禁止剤としては、例えば共役二重結合を有する分子量1,000以下の化合物であって、ラジカルを安定化させて重合反応を阻害する化合物等が挙げられる。具体的な上記ラジカル重合禁止剤としては、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、フルベン、トロポン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、センブレン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩、アビエチン酸等の2個の炭素−炭素二重結合の共役構造を含む共役ジエン;1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール等の3個の炭素−炭素二重結合を含む共役構造を含む共役トリエン;シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の4個以上の炭素−炭素二重結合の共役構造を含む共役ポリエンなどのポリエンが挙げられる。なお、1,3−ペンタジエン、ミルセン、ファルネセン等のように、複数の立体異性体を有するものについては、そのいずれを用いても良い。上記ラジカル重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2−フェニル−1−プロペン、2−フェニル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、3,5−ジフェニル−5−メチル−2−ヘプテン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−1−ヘプテン、3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−2−ノネン、1,3−ジフェニル−1−ブテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、3,5−ジフェニル−5−メチル−3−ヘプテン、1,3,5−トリフェニル−1−ヘキセン、2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−2−ヘプテン、3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−3−ノネン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等の芳香族系化合物も挙げられる。
残存モノマーの除去率の下限としては、99モル%が好ましく、99.5モル%がより好ましく、99.8モル%がさらに好ましい。残存モノマーを除去する方法としては、例えばカラムクロマトグラフィーを用いる方法、再沈法、蒸留法等が挙げられ、蒸留法が好ましい。蒸留法で残存モノマーを除去する場合、ラシヒリングを充填した蒸留塔の上部からエチレンとビニルエステルとの共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、蒸留塔下部よりメタノール等の有機溶媒蒸気を吹き込む。これにより、蒸留塔頂部より上記有機溶媒と未反応ビニルエステルとの混合蒸気を留出させることができ、蒸留塔底部より未反応のビニルエステルが除去されたエチレンとビニルエステルとの共重合体溶液を取り出すことができる。ここで、「残存モノマーの除去率」とは、エチレンとビニルエステルとの共重合体のアルコール溶液について除去処理前後のモノマー含有量を測定し、以下の式で算出される値である。
残存モノマーの除去率(モル%)={1−(除去後の残存モノマー含有量/除去前の残存モノマー含有量)}×100
上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤としては、これらの中でフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤がより好ましい。
EVOH(A)のメルトフローレートの下限としては、0.5g/10minが好ましく、1.0g/10minがより好ましく、1.4g/10minがさらに好ましい。一方、EVOH(A)のメルトフローレートの上限としては、30g/10minが好ましく、25g/10minがより好ましく、20g/10minがさらに好ましく、15g/10minが特に好ましく、10g/10minがさらに特に好ましく、1.6g/10minが最も好ましい。EVOH(A)のメルトフローレートが上記下限未満である場合、又は上記上限を超える場合、基材フィルムへの成形性及び外観性が悪化するおそれがある。
アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、単独の金属種であってもよく、複数の金属種からなるものであってもよい。上記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられるが、工業的入手の点からはナトリウム及びカリウムが好ましい。基材フィルムがアルカリ金属塩を含有することで、ロングラン性と多層構造体とした際の層間接着力とが向上する。
他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、高級脂肪族カルボン酸の多価金属塩、ヒンダードフェノール系化合物やヒンダードアミン系化合物等の熱安定剤、ポリアミドやポリオレフィン等の他の樹脂、ハイドロタルサイト化合物などが挙げられる。基材フィルムが他の成分を含有する場合、他の成分の合計含有量としては、通常1質量%以下である。
基材フィルムは、例えば上述の成分を含有する樹脂組成物を用い、公知のフィルム形成方法を適用して製造することができる。
上記樹脂組成物の製造方法としては、例えばEVOH(A)のペレットと共に、必要に応じて、アルカリ金属塩、及び他の成分を混合して溶融混練する方法、EVOH(A)のペレットを各成分が含まれる溶液に浸漬させる方法等が挙げられる。なお、ペレットと他の成分との混合には、例えばリボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサー等を用いることができる。
上記樹脂組成物のメルトフローレートの下限としては、0.5g/10minが好ましく、1.0g/10minがより好ましく、1.4g/10minがさらに好ましい。一方、上記樹脂組成物のメルトフローレートの上限としては、30g/10minが好ましく、25g/10minがより好ましく、20g/10minがさらに好ましく、15g/10minが特に好ましく、10g/10minがさらに特に好ましく、1.6g/10minが最も好ましい。上記樹脂組成物のメルトフローレートが上記下限未満である場合、又は上記上限を超える場合、成形性及び外観性が悪化するおそれがある。
上記フィルム形成方法としては、特に限定されず、例えば溶融法、溶液法、カレンダー法等が挙げられ、これらの中で溶融法が好ましい。上記溶融法としては、キャスト法、インフレーション法等が挙げられ、これらの中でキャスト法が好ましい。
金属蒸着層は、当該蒸着フィルムにおいて主としてガスバリア性を確保するものである。この金属蒸着層は、基材フィルム上に積層されている。金属蒸着層は、基材フィルムの両面に積層されていても、基材フィルムの片面のみに積層されていてもよいが、基材フィルムの両面に積層されていることが好ましい。金属蒸着層を基材フィルムの両面に積層することで、ガスバリア性をより向上させ、ガスバリアの安定性が得られる。すなわち、一方の金属蒸着層に物理的衝撃等により欠陥が生じても、他方の金属蒸着層がバリア性を維持することにより、蒸着フィルムとしてのガスバリア性が好適に維持される。
(2)蒸着前の基材フィルムに含まれる揮発分の含有量を1.1質量%以下にする
(3)蒸着前の基材フィルムの表面をプラズマ処理し改質する
樹脂コート層は、蒸着フィルム製造後の工程、例えばラミネーション等のフィルム加工における屈曲等による金属蒸着層の損傷を抑制するものである。このような樹脂コート層を備える蒸着フィルムはガスバリア性の低下を抑制できる。樹脂コート層は、例えばビニルアルコール系重合体(エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール等)を含んでいてもよく、必要に応じて膨潤性無機層状ケイ酸塩を含んでいてもよい。
その他の層としては、例えば熱可塑性樹脂を主成分とする層(以下、「熱可塑性樹脂層」という)、紙層等が挙げられる。ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を指す。
当該蒸着フィルムは、EVOH(A)を含有する基材フィルム上に金属蒸着層を積層したものであるため、蒸着時の蒸着抜けの発生、ラミネーション等の蒸着フィルム加工時のクラックの発生を抑え、金属蒸着層の密着強度に優れる。このため、当該蒸着フィルムは、様々な用途に適用できる。当該蒸着フィルムの用途としては、例えば包装材、真空断熱体等が挙げられる。
当該包装材は、当該蒸着フィルムを備える。当該包装材は、例えば当該蒸着フィルム、又は当該蒸着フィルムを備える積層フィルム等を二次加工することで形成される。当該包装材は、当該蒸着フィルムを備えることで、ガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。
縦製袋充填シール袋は、例えば液体、粘稠体、粉体、固形バラ物、これらを組み合わせた形態の食品、飲料物等を包装するために使用される。縦製袋充填シール袋は、当該蒸着フィルムをヒートシールすることで形成される。ヒートシールが行われる場合、通常当該蒸着フィルムにおける縦製袋充填シール袋の内側となる層、又は縦製袋充填シール袋の内側となる層及び外側となる層の両方として、ヒートシール可能な層を配置することが必要である。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側のみにある場合、通常胴体部は合掌貼りによりシールされる。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側及び外側の両方にある場合、通常胴体部は封筒貼りによりシールされる。ヒートシール可能な層としては、ポリオレフィン層(以下、「PO層」ともいう)が好ましい。縦製袋充填シール袋の層構成としては、当該蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、当該蒸着フィルム/PO層、及びPO層/当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。また、基材フィルムの片面にのみ金属蒸着層が形成されている当該蒸着フィルムを適用する場合、当該蒸着フィルムは、金属蒸着層が基材フィルムよりも外側に配置されるように積層されていても、金属蒸着層が基材フィルムより内側に配置されるように積層されていてもよい。当該包装材は、上述のようにガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。そのため、当該包装材の一例である縦製袋充填シール袋によれば、内容物の品質劣化を長期間にわたって抑制することができる。
真空包装袋は、真空状態で包装することが望まれる用途、例えば食品、飲料物等の保存に使用される。真空包装袋の層構成としては、当該蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、及びポリアミド層/当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。このような真空包装袋は、当該蒸着フィルムを備えることから、真空包装後に行われる加熱殺菌後のガスバリア性に特に優れる。
スパウト付パウチは、液状物質、例えば清涼飲料等の液体飲料、ゼリー飲料、ヨーグルト、フルーツソース、調味料、機能性水、流動食などを包装するために使用される。このスパウト付パウチの層構成としては、当該蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、及びポリアミド層/当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。このようなスパウト付パウチは、当該蒸着フィルムを備えるため、ガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。そのため、上記スパウト付パウチは、輸送後及び長期保存後においても、内容物の変質を防ぐことが可能である。
ラミネートチューブ容器は、例えば化粧品、薬品、医薬品、食品、歯磨等を包装するために使用される。このラミネートチューブ容器の層構成としては、PO層/当該蒸着フィルム/PO層、及びPO層/顔料含有PO層/PO層/当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。このようなラミネートチューブ容器は、当該蒸着フィルムを備えるためガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持される。
容器用蓋材は、畜肉加工品、野菜加工品、水産加工品、フルーツ等の食品などが充填される容器の蓋材である。この容器用蓋材の層構成としては、当該蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、及び当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。このような容器用蓋材は、当該蒸着フィルムを備えるためにガスバリア性に優れ、変形や衝撃などの物理的ストレスを受けた際にもそのガスバリア性が維持されるため、内容物である食品の品質劣化を長期間にわたって抑制できる。
当該真空断熱体は、当該蒸着フィルムを備え、保冷や保温が必要な用途に使用されるものである。当該真空断熱体としては、例えば外包材内にポリウレタンフォーム等の芯材が真空状態で封入されるものが挙げられる。外包材は、例えば少なくとも1層の当該蒸着フィルムと、少なくとも1層の他の層とを積層することによって形成される一対の積層フィルムをヒートシールすることで形成される。他の層としては、例えばポリエステル層、ポリアミド層、ポリオレフィン層、接着層等が挙げられ、ヒートシール可能な層であるポリオレフィン層を備えることが好ましい。外包材における層数及び積層順には特に制限はないが、最外層がヒートシール可能な層(例えばポリオレフィン層)とされることが好ましい。外包材の層構成としては、当該蒸着フィルム/ポリアミド層/PO層、及びポリアミド層/当該蒸着フィルム/PO層が好ましく、層間に接着層を設けてもよい。また、基材フィルムの片面にのみ金属蒸着層が形成されている当該蒸着フィルムを適用する場合、この当該蒸着フィルムは、金属蒸着層が基材フィルムよりも外側に配置されるように積層されていても、金属蒸着層が基材フィルムより内側に配置されるように積層されていてもよい。当該真空断熱体は、外包材が当該蒸着フィルムを備えるためにガスバリア性に優れる。従って、当該真空断熱体は、長期間にわたって断熱効果を保持できることから、冷蔵庫、給湯設備、炊飯器等の家電製品用の断熱材;壁部、天井部、屋根裏部、床部等に用いられる住宅用断熱材;車両屋根材;自動販売機等の断熱パネルなどに利用できる。
[合成例1](EVOHペレットの合成)
(エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合)
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた250L加圧反応槽に、酢酸ビニルを83kg、メタノールを14.9kg仕込み、60℃に昇温した後、反応液に窒素ガスを30分間バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が4.0MPaとなるようにエチレンを導入した。反応槽内の温度を60℃に調整した後、開始剤として12.3gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社の「V−65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を4.0MPaに、重合温度を60℃に維持した。5時間後、酢酸ビニルの重合率が40%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽からエチレンを排気し、さらに反応液に窒素ガスをバブリングしてエチレンを完全に除去した。次いで減圧下で未反応の酢酸ビニルを除去した後、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVAc」と称する)を得た。合成に使用する酢酸ビニルは、下記表1に示す含有量のアセトアルデヒドを添加したものを用いた。
得られたEVAc溶液にメタノールを加え、濃度15質量%のEVAc溶液を得た。このEVAcのメタノール溶液253.4kg(溶液中のEVAcが38kg)に、水酸化ナトリウムを10質量%含むメタノール溶液76.6L(EVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.4)を添加して60℃で4時間撹拌することにより、EVAcのけん化を行った。反応開始から6時間後、酢酸9.2kg及び水60Lを添加して上記反応液を中和し、反応を停止させた。
中和した上記反応液を反応器からドラム缶に移して16時間室温で放置し、ケーキ状に冷却固化させた。その後、遠心分離機(国産遠心器株式会社の「H−130」、回転数1200rpm)を用いて、上記ケーキ状の樹脂を脱液した。次に、遠心分離機の中央部に、上方よりイオン交換水を連続的に供給しながら洗浄し、上記樹脂を水洗する工程を10時間行った。洗浄開始から10時間後の洗浄液の伝導度は、30μS/cm(東亜電波工業株式会社の「CM−30ET」で測定)であった。
上記洗浄後の樹脂を乾燥機を用いて60℃で48時間乾燥し、粉末状のEVOHを得た。乾燥した粉末状のEVOH20kgを水及びメタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=4/6)43Lに溶解させ、80℃で12時間撹拌した。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、上述のEVOHの水及びメタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水及びメタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水EVOHペレットを得た。
上記含水EVOHペレットを遠心分離機で脱液し、さらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返し行って洗浄し、EVOHペレットを得た。得られたEVOHのケン化度は99モル%であった。
酢酸ビニルのアセトアルデヒド含有量、EVOHのエチレン含有量及びケン化度、並びに酢酸ナトリウム(アルカリ金属塩)の含有量を表1に示すようにした以外は合成例1と同様にして合成例2〜5及び比較合成例1の樹脂組成物をペレットとして得た。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS−Z8801準拠)でふるい分けした。このふるいを通過したEVOH粉末5gを100gのイオン交換水中に浸漬し、85℃で4時間撹拌した後、脱液して乾燥する操作を二回行った。得られた洗浄後の粉末EVOHを用いて、下記の測定条件で1H−NMRの測定を行い、下記解析方法でエチレン含有量及びケン化度を求めた。
装置名 :超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社の「Lambda500」)
観測周波数 :500MHz
溶媒 :DMSO−d6
ポリマー濃度 :4質量%
測定温度 :40℃及び95℃
積算回数 :600回
パルス遅延時間:3.836秒
サンプル回転速度:10Hz〜12Hz
パルス幅(90°パルス):6.75μsec
40℃での測定では、3.3ppm付近に水分子中の水素のピークが観測され、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.1ppm〜3.7ppmの部分と重なった。一方、95℃での測定では、上記40℃で生じた重なりは解消するものの、4ppm〜4.5ppm付近に存在するEVOHのビニルアルコール単位の水酸基の水素のピークが、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素のピークのうちの、3.7ppm〜4ppmの部分と重なった。すなわち、EVOHのビニルアルコール単位のメチン水素(3.1ppm〜4ppm)の定量については、水又は水酸基の水素のピークとの重複を避けるために、3.1ppm〜3.7ppmの部分については、95℃の測定データを採用し、3.7ppm〜4ppmの部分については40℃の測定データを採用し、これらの合計値として当該メチン水素の全量を定量した。なお、水又は水酸基の水素のピークは測定温度を上昇させることで高磁場側にシフトすることが知られている。従って、以下のように40℃及び95℃の両方の測定結果を用いて解析した。上記の40℃で測定したスペクトルより、3.7ppm〜4ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I1)及び0.6ppm〜1.8ppmのケミカルシフトのピークの積分値(I2)を求めた。
アルカリ金属含有量の測定は、分光分析装置を用いて定量した。具体的には、乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック社のテフロン(登録商標)製耐圧容器に添加し、硝酸(和光純薬工業社の精密分析用)5mLを添加した。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、マイクロウェーブ高速分解システム(アクタック社の「スピードウェーブ MWS−2」)にて150℃、10分、次いで180℃、10分の処理を行って乾燥EVOHペレットを分解させた。なお、上述の処理では乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、全液を50mLのメスフラスコに移しとり、イオン交換水で定容することで分解溶液を得た。ICP発光分光分析装置(パーキンエルマージャパン社の「Optima 4300 DV」)を用い、上記分解溶液をNaの波長589.592nmで定量分析することで、アルカリ金属含有量を測定した。
溶融粘度(メルトフローレート)は、JIS−K7210(1999)に準拠し、温度190℃、荷重2,160gで測定した。
(測定サンプルの準備)
測定サンプルは、窒素雰囲気下、EVOH(A)を220℃で50時間加熱することで作製した。
GPC測定は、VISCOTECH社の「GPCmax」を用いて行った。分子量は、示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器で検出されるシグナル強度に基づいて算出した。示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器としては、VISCOTECH社の「TDA305」及び「UV Detector2600」を用いた。この吸光度検出器の検出用セルとしては、光路長が10mmのものを用いた。GPCカラムとしては、昭和電工株式会社の「GPC HFIP−806M」を用いた。また、解析ソフトとしては、装置付属の「OmniSEC(Version 4.7.0.406)」を用いた。
測定サンプルを採取し、トリフルオロ酢酸ナトリウム20mmol/Lを含有するヘキサフルオロイソプロパノール(以下「HFIP」という)に溶解し、0.100wt/vol%溶液を調製した。測定には、0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した溶液を用いた。測定サンプルの溶解は、室温にて一晩静置することで行った。
標品として、Agilent Technologies社のポリメタクリル酸メチル(以下「PMMA」と略記する)(ピークトップ分子量:1,944,000、790,000、467,400、271,400、144,000、79,250、35,300、13,300、7,100、1,960、1,020又は690)を測定し、示差屈折率検出器及び吸光度検出器のそれぞれについて、溶出容量をPMMA分子量に換算するための検量線を作成した。各検量線の作成には、上記解析ソフトを用いた。なお、本測定においてはPMMAの測定において、1,944,000及び271,400の両分子量の標準試料同士のピークが分離できるカラムを用いた。
[実施例1]
[基材フィルムの作製]
上記合成例1で得た樹脂組成物ペレット100質量部に対して、合成シリカ(富士シリシア化学株式会社の「サイリシア310P」;レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)を0.03質量部になるようにタンブラーを用いてドライブレンドを行い、240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付け、平均厚み170μmの未延伸フィルムを得た。このフィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、全幅3.6mの二軸延伸フィルム(基材フィルム)を得た。この基材フィルムを巻き返しながら、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cmをスリットし、長さ4,000mのロールを得た。さらに、連続して基材フィルムを製膜し、長さ4,000mのロールを合計100本採取した。得られた基材フィルムの揮発分は0.15質量%であった。また、基材フィルムの作製時の臭気は無かった。この基材フィルムは、吸湿を防止するためにアルミニウム箔ラミネートフィルムで梱包した。
基材フィルムに対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術株式会社の「EWA−105」)を用い、二軸延伸フィルムの表面温度38℃、二軸延伸フィルムの走行速度200m/分として二軸延伸フィルムの片面にアルミニウムを蒸着させることで蒸着フィルムを得た。金属蒸着層のアルミニウムの平均厚みは70nmであった。
合成例2〜5及び比較合成例1の樹脂組成物ペレットを用いて、実施例1と同様に二軸延伸フィルム(基材フィルム)を作製し、さらに金属蒸着層を形成して蒸着フィルムを得た。実施例5については、二軸延伸フィルムの片面にアルミニウムを蒸着後、さらに二軸延伸フィルムの他方の面にもアルミニウムを蒸着した。実施例1〜5及び比較離1の蒸着フィルムについて、以下に示す方法にて、金属蒸着層の厚み、蒸着欠点数(蒸着欠点抑制性)、及び密着強度の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
蒸着フィルムをミクロトームでカットし、断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(エス・アイ・アイナノテクノロジー社の「ZEISS ULTRA 55」)により観察すると共に反射電子検出器を用いて金属蒸着層の厚みを測定した。
蒸着フィルムのロールをスリッターにかけて、フィルム下部から100Wの蛍光灯を当てながら巻きだし、幅0.5m、長さ2mの領域について異なる10箇所で蒸着欠点数を数え、その平均値を1m2あたりの蒸着欠点数とした。蒸着欠点抑制性は、以下の基準で評価した。
B:21個/m2以上40個/m2以下
C:41個/m2以上60個/m2以下
蒸着フィルムの金属蒸着層側の表面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学株式会社の「タケラックA−385」と「タケラックA−50」とを6/1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を第一理化株式会社のバーコーターNo.12を用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させた後、80℃に加熱したニップロールにて、PETフィルム(東洋紡株式会社の「E5000」:平均厚み12μm)とラミネートを行った。このとき、フィルムの半分の領域は、アルミホイルを挟むことでフィルム同士が貼りあわされない部分を設定した。その後、40℃で72時間養生し、ラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムをアルミ蒸着の境目を中心として100mm×15mmの短冊に裁断し、引っ張り試験機により引っ張り速度10mm/分にてT型剥離試験を5回行った。得られた測定値の平均値を密着強度とした。密着強度は以下の基準で評価した。
B:450g/15mm以上500g/15mm未満
C:400g/15mm以上450g/15mm未満
実施例4の蒸着フィルムの片面にPETフィルム(東洋紡株式会社の「E5000」:平均厚み12μm)を積層すると共に蒸着フィルムのもう片面に無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)(三井化学東セロ株式会社の「RXC−21」:平均厚み50μm)を積層して積層フィルムを得た。この積層フィルムについて、以下の方法で酸素透過度を測定した。その結果を表2に示す。
酸素透過度は、積層フィルムの一部を切り取った試料を用いて、JIS−K7126(等圧法)(2006)に準拠し、酸素透過率測定装置(モダンコントロール社の「MOCON OX−TRAN2/20」:検出限界値0.01mL/m2・day・atm)を用いて測定した。測定条件は、温度が40℃、酸素供給側の湿度が90%RH、キャリアガス側の湿度が0%RH、酸素圧が1気圧、キャリアガス圧力が1気圧とした。積層フィルムの酸素透過率測定装置への設置方法は、基材フィルムの片面に金属蒸着層が形成された蒸着フィルムを用いた積層フィルムの場合、金属蒸着層の表面側を酸素供給側、基材フィルムの露出面側をキャリアガス側とした。基材フィルムの両面に金属蒸着層が形成された蒸着フィルムを用いた積層フィルムの場合は、酸素供給側とキャリアガス側とを選ばず設置した。
層構成を表2に示す通りとした以外は実施例6と同様にして積層フィルムを作製し、酸素透過度を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2に示す蒸着PETフィルムとしては東レフィルム加工株式会社の「VM−PET 1510」(平均厚み12μm)を使用した。また、実施例9では実施例6における実施例4の蒸着フィルムの代わりに実施例5で得た蒸着フィルムを用いた。さらに、比較例2では実施例6における実施例4の蒸着フィルムの代わりに比較例1で得た蒸着フィルムを用いた。
Claims (5)
- エチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する基材フィルムと、この基材フィルムに積層される金属蒸着層とを備える蒸着フィルムであって、
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、
示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(1)で表される条件を満たし、
上記金属蒸着層のうち少なくとも一層の平均厚みが、15nm以上80nm以下であることを特徴とする蒸着フィルム。
(Ma−Mb)/Ma<0.10 ・・・(1)
Ma:示差屈折率検出器で測定されるピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量
Mb:紫外可視吸光度検出器で測定される波長220nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量 - 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、
示差屈折率検出器及び紫外可視吸光度検出器を備えるゲルパーミエーションクロマトグラフを用い、窒素雰囲気下、220℃、50時間熱処理後に測定した分子量が、下記式(2)で表される条件をさらに満たす請求項1に記載の蒸着フィルム。
(Ma−Mc)/Ma<0.45 ・・・(2)
Mc:紫外可視吸光度検出器で測定される波長280nmでの吸収ピークの最大値におけるポリメタクリル酸メチル換算の分子量 - 上記金属蒸着層が基材フィルムの両面に積層されている請求項1又は請求項2に記載の蒸着フィルム。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸着フィルムを備える包装材。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸着フィルムを備える真空断熱体。
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