次に、本開示の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本開示の一実施形態である印刷システム1の構成の概略の一例を示す構成図である。図2は、印刷装置10及び収納装置100の概略縦断面図である。図3は、印刷システム1の電気的な接続関係を示すブロック図である。図4は、スキージ固定部24,スキージ30,及びスキージ搬送治具110の斜視図である。図5は、供給部40及びカートリッジ搬送治具120の平面図である。図6は、供給部40及びホルダ122の斜視図である。図7は、基板支持部材70及び支持部材搬送治具130の斜視図である。図8は、突出状態の清掃部80及び清掃部材搬送治具140の斜視図である。図9は、非突出状態の清掃部80の斜視図である。印刷システム1は、粘性流体としてのはんだペースト(以下、単にはんだと称する)をスクリーンマスク55を用いて印刷対象(ここでは基板S)上に印刷処理する印刷装置10を備えている。また、印刷システム1は、印刷装置10で用いられる1種以上の交換可能部材13を収納する収納装置100と、印刷装置10での処理に関する情報を管理する管理コンピュータ(PC)150とを備えている。なお、印刷システム1は、電子部品を基板S上に実装する図示しない実装装置などの他の対基板作業装置をさらに備えた実装システムとして構成されていてもよい。粘性流体としては、はんだのほか、例えば導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。印刷装置10は、印刷対象を異なる種類の基板Sに変更する段取り替えを行う際に、印刷処理に用いる交換可能部材13の自動交換が可能な装置として構成されている。交換可能部材13としては、はんだを収容するカートリッジ49と、スキージ30と、清掃部材82と、スクリーンマスク55と、基板支持部材70と、のうち1種以上が挙げられる。本実施形態の印刷装置10は、これら5種の全てが交換可能部材13として自動交換可能に構成されている。また、これら5種のうちスクリーンマスク55以外の交換処理は、図2に示すスキージ搬送治具110,カートリッジ搬送治具120,支持部材搬送治具130,清掃部材搬送治具140を用いて行われる。本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1,2に示した通りとする。
印刷装置10は、図1,2に示すように、スキージ30を用いてスクリーンマスク55上のはんだをスクリーンマスク55に形成されたパターン孔58に押し込むことによりそのパターン孔58を介して下方の基板Sにはんだを塗布(印刷)する装置である。印刷装置10は、印刷制御部11(交換制御部の一例,図3)と、印刷処理部20と、供給部40と、マスク作業部50と、基板固定部60と、清掃部80と、読取部97と、を備えている。また、印刷装置10は、表示画面が表示され作業者による各種入力操作が可能な操作パネルとして構成された表示操作部98(図3)と、接続された他の機器と通信を行う図示しない通信部とを備えている。
印刷制御部11は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、作業領域として用いられるRAM、各種データを記憶するHDDなどを備えている。印刷制御部11は印刷装置10全体を制御する。
印刷処理部20は、印刷装置10の上段に配設されており、スクリーンマスク55を用いて粘性流体を基板S上に印刷処理するユニットである。印刷処理部20は、図3に示すように、印刷ヘッド21と、印刷移動部22と、スキージ昇降部23と、スキージ固定部24と、スキージ30と、搬送ロッド38とを備えている。印刷移動部22は、印刷ヘッド21を所定の印刷方向(ここでは前後方向)に移動するものであり、前後方向に形成されたガイドとガイドに沿って移動するスライダとスライダを駆動するモータとを備えている。スキージ昇降部23は、ピストンロッド23a(図2,図4)を有するエアシリンダとして構成され、ピストンロッド23aを昇降させることでスキージ固定部24及びスキージ30を昇降させる。印刷処理部20は、第1,第2スキージ30a,30bの2つのスキージ30を有しており、それに対応して2つのピストンロッド23aと2つのスキージ固定部24とを有している。
2つのスキージ固定部24は、前後対称に配設されている点以外は同様の構成であるため、以下、前側のスキージ固定部24について図4を用いて説明する。なお、図4は、スキージ固定部24にスキージ30が取り付けられる前の状態を示しており、この図4ではスキージ30は後述するスキージ交換処理で用いられるスキージ搬送治具110に取り付けられている。
スキージ固定部24は、スキージ30(ここでは第1スキージ30a)を固定する固定状態とスキージ30を固定しない解除状態とを切り替えるように構成された機構である。図4に示すように、スキージ固定部24は、ピストンロッド23aの下端に接続されており、エアシリンダ25と、規制部材26と、を備えている。エアシリンダ25は、下方に突出するシリンダ軸25aを昇降させる機構である。シリンダ軸25aの下端にはフランジ25bが形成されており、フランジ25bの上面がスキージ30を下方から支持するように構成されている。規制部材26は、固定状態でスキージ30の突出部34と係合してスキージ30前後の移動を規制する部材である。規制部材26は、エアシリンダ25の左右両側にそれぞれ1つずつ配設されている。各々の規制部材26は、前方に突出する爪部27a,27bを有している。爪部27a,27bの下面には上方に向かって凹んだ凹部28a,28bがそれぞれ形成されている。スキージ固定部24では、エアシリンダ25がフランジ25bを上昇させた状態が固定状態であり、固定状態に比してエアシリンダ25がフランジ25bを下降させた状態が解除状態である。このフランジ25bの昇降により、スキージ固定部24は、固定状態ではフランジ25bの上面と規制部材26の下面との間でスキージ30の取付部材32を挟持する。また、スキージ固定部24は、解除状態では固定状態に比してフランジ25bと規制部材26とが相対的に上下に離間することで、スキージ30の固定を解除する。
図4に示すように、スキージ30は、パターン孔58(図2)よりも左右に長い長さに形成されたスキージブレード31と、スキージブレード31をスキージ固定部24に取り付けるための取付部材32と、を備えている。取付部材32は、位置決め部材33と、突出部34と、軸部材35と、フランジ部36とを備えている。位置決め部材33は、上面視でU字状に形成された部材であり、スキージ固定部24のシリンダ軸25aが前後に通過可能な開口部33aと、位置決め部材33の下面であり開口部33aに向かって(U字の内側に向かって)水平に突出する被把持面33bとを有している。スキージ固定部24のシリンダ軸25aが後方から前方に向かって位置決め部材33の開口部33a内に入っていくと、フランジ25bの上面が被把持面33bと上下に対向する。この被把持面33bと取付部材32の上面である被把持面32aとが、スキージ固定部24のシリンダ軸25aの上面と規制部材26の下面とに挟持されることで、スキージ30はスキージ固定部24に把持固定される。突出部34は、位置決め部材33の左右両側に1つずつ配設されており、いずれの突出部34もスキージ固定部24の凹部28a,28b内に嵌まり込んで規制部材26と係合するように構成されている。規制部材26と突出部34とが係合することで、スキージ固定部24に対するスキージ30の前後方向への移動が規制される。軸部材35は、位置決め部材33の左右両側に1つずつ配設されており、各々が突出部34の上面から上方に突出している。軸部材35の上端には、それぞれフランジ部36が形成されている。フランジ部36は、スキージ搬送治具110の係合部115と係合する部材である。
図4には、印刷装置10がスキージ30の自動交換に用いるスキージ搬送治具110も併せて図示している。スキージ搬送治具110は、枠状のフレーム111と、スキージ30を取付可能なホルダ112と、フレーム111の右側面の後端付近に配置されたバーコード116とを備えている。スキージ搬送治具110は、前後対称な2つのホルダ112を備えている。各々のホルダ112は、フレーム111を左右に掛け渡すように配置された本体部分と、本体部分からフレーム111の前後方向内側に突出する支持部113とを備えている。支持部113は、各々のホルダ112について左右に並んで2つずつ配設されている。支持部113は、図4右上の拡大図に示すように、スキージ30の軸部材35が前後方向に通過可能な開口部114を有している。また、支持部113は、スキージ30のフランジ部36が係合してスキージ30を固定する係合部115を有している。係合部115は、支持部113の開口縁に形成された、フランジ部36の下面側の部分がはまる凹部である。スキージ30は、係合部115にフランジ部36がはまると、自重によりスキージ搬送治具110に対するXY方向への相対移動が規制される。また、スキージ30は、上方に移動されてフランジ部36が係合部115から外れた位置(取外位置とも称する)では、XY方向への移動規制が解除され、開口部114から取外可能になる。バーコード116は、スキージ搬送治具110に取り付けられているスキージ30を識別するための識別情報であり、例えば作業者によって予め取り付けられる。
搬送ロッド38は、図示しないモーターにより昇降可能に印刷ヘッド21に配設されている(図2)。この搬送ロッド38は、スキージ30よりも下方に突出した状態で印刷移動部22により前後に移動することで、搬送レール53上に載置されたスクリーンマスク55及び各搬送治具を前後に押して搬送する。これにより、搬送ロッド38は、収納装置100から印刷装置10へのスクリーンマスク55及び各搬送治具の搬出入が可能である。
供給部40は、カートリッジ49に収容されたはんだをスクリーンマスク55上へ供給する装置である。供給部40は、供給ヘッド41と、供給移動部46とを備えている。供給ヘッド41は、カートリッジ49を位置決めして保持し、はんだを吐出させるものである。供給移動部46は、供給ヘッド41をX軸方向(左右方向)に移動するものである。供給ヘッド41は、図3などに示すように、エア供給部42と、クランプ部43と、回動モータ44と、を備えている。また、供給ヘッド41は、図6に示すように、供給移動部46に配設される背板部41aと、背板部41aの上端から前方に突出して形成された固定部材41bとを備えている。供給ヘッド41は、スクリーンマスク55上のはんだの吐出位置と、交換用のカートリッジ49が配置されたカートリッジ搬送治具120のホルダ122との間で移動する。エア供給部42は、カートリッジ49に接続し、はんだをカートリッジ49から吐出するためのエアをカートリッジ49へ供給するものである。エア供給部42は、円筒状であり、カートリッジ49に形成された孔状の接続部49dに挿入される。このエア供給部42は、接続部49dに挿入されることによりカートリッジ49の位置が固定されるため、カートリッジ49の位置決め部を兼ねている。このエア供給部42は、下方に開口を有し、固定部材41bの下面に配設されている。このエア供給部42は、図示しない配管を介して供給されたエアを開口から排出する。
クランプ部43は、カートリッジ49を固定する部材である。このクランプ部43は、背板部41aの下側に回動可能に軸支されており、回動モータ44からの駆動力により、カートリッジ49を固定する固定位置とカートリッジ49の固定を解除する解除位置との間で移動(ここでは回動)する。解除位置は、クランプ部43が背板部41aの形成方向と同じ垂直状態となる位置である。固定位置は、クランプ部43が背板部41aの形成方向に直交する水平状態となる位置である。エア供給部42がカートリッジ49の接続部49dに接続した状態において、クランプ部43が固定位置に移動すると、クランプ部43がカートリッジ49を下方から支持して固定する。クランプ部43は、中空の円板形状に形成されており、中空部分にカートリッジ49の底部がはまるようになっている。
供給移動部46は、印刷ヘッド23の前面に配設されている。このため、供給ヘッド41は、印刷移動部24によりY軸方向へ移動し、供給移動部46によりX軸方向に移動する。供給移動部46は、ガイド46aと、ボールねじ46bと、駆動モータ48とを備えている。駆動モータ48がボールねじ46bを回転させることで、供給ヘッド41はガイド46aに沿って左右方向に移動する。
カートリッジ49は、円筒状の本体部49aと、この本体部49aより大きな径で形成され本体部49aの上側及び下側に配設されたフランジ部49bと、上側のフランジ部49bの中央に形成された接続部49dとを有している。また、カートリッジ49の下側のフランジ部49bの中央には、はんだを外部に吐出する図示しないノズルが形成されている。接続部49dは、エア供給部42が挿入接続される孔である。カートリッジ49は、エア供給部42から接続部49dにエアが供給されると、本体部49a内部の図示しない押圧部材が押圧されて、内部のはんだをノズルから吐出する。
図5には、印刷装置10がカートリッジ49の自動交換に用いるカートリッジ搬送治具120も併せて図示している。カートリッジ搬送治具120は、枠状のフレーム121と、カートリッジ49を取付可能な複数のホルダ122と、バーコード126と、を備えている。ホルダ122は、X方向に複数(図5では5個)配列され、各々がフレーム121の後方に取り付けられている。ホルダ122は、図6に示すように、カートリッジ49の本体部49aが通過可能な開口部124を有する支持部123と、支持部123に形成されカートリッジ49の上側のフランジ部49bが係合してカートリッジ49を固定する係合部125とを有している。支持部123は、C字状の板状部材である。係合部125は、支持部123の開口縁に形成された、上側のフランジ部49bの下面側の部分がはまる凹部である。カートリッジ49は、係合部125にフランジ部49bがはまると、自重により、カートリッジ搬送治具120に対するXY方向への相対移動が規制される。また、カートリッジ49は、上方に移動されてフランジ部49bが係合部125から外れた位置(取外位置とも称する)では、XY方向への移動規制が解除され、開口部124から取外可能になる。なお、上述した供給ヘッド41のクランプ部43が固定位置に回動移動すると、クランプ部43がホルダ122に取り付けられたカートリッジ49を押し上げ、ホルダ122の取外位置にカートリッジ49を位置させる。即ち、クランプ部43によるカートリッジ49の固定動作が、ホルダ122からのカートリッジ49の移動規制の解除動作を兼ねる。バーコード126は、カートリッジ搬送治具120の右側面の後端付近に配設されており、より具体的には最も右に位置するホルダ122の右側面に配設されている。バーコード126は、カートリッジ搬送治具120に取り付けられているカートリッジ49を識別するための識別情報であり、例えば作業者によって予め取り付けられる。
マスク作業部50は、図2に示すように上下方向で印刷処理部20と基板固定部60との間に配設されており、スクリーンマスク55を固定保持するユニットである。マスク作業部50は、図3などに示すように、マスク固定部51と、位置調整部52と、搬送レール53と、を備えている。マスク固定部51は、スクリーンマスク55を位置決めして水平な姿勢で支持固定するものである。位置調整部52は、基板固定部60に固定された基板Sに対して適正な位置にスクリーンマスク55のパターン孔58が配置されるようマスク固定部51をXY方向に位置調整するものである。搬送レール53は、前後方向に伸びた左右1対のレールであり、搬送ロッド38に押されたスクリーンマスク55や各搬送治具が前後方向に沿って移動するようにこれらをガイドする。スクリーンマスク55は、所望の配線パターンなどのパターン孔58が形成されたマスク本体56と、マスク本体56を所定のテンションで保持する枠体57とを備えている。マスク本体56は、例えば金属の薄板である。スクリーンマスク55の下面には位置認識用の識別部(例えばマーク)が形成されている。スクリーンマスク55の右側面の後端付近には、スクリーンマスク55の識別情報を表すバーコード57a(図5)が配設されている。このバーコードは例えば作業者によって予め取り付けられる。
基板固定部60は、マスク作業部50の下方に配設され、基板Sを搬入し、搬入した基板Sを位置決めして支持し、スクリーンマスク55に接触,離間させるユニットである。基板固定部60は、図1〜3に示すように、基板搬送コンベア61と、基板ガイド62と、基板ガイド移動部63(図3参照)と、支持台昇降部65と、固定部昇降部66と、支持台67と、基板支持部材70と、を備えている。基板搬送コンベア61は、1対のサイドフレーム60bの各々に設けられ、基板SをX方向に搬送する。基板ガイド62は、1対のサイドフレーム60bの各々の上面に設けられた板状部材である。基板ガイド移動部63は、1対のサイドフレーム60bを前後方向に移動させて互いに接近・離間させる機構である。これにより、基板ガイド62も前後方向に移動し、基板Sの上面と基板ガイド62の上面とが面一の状態で基板Sを挟み固定する。支持台昇降部65は、基板固定部60の本体60aに対して支持台67を昇降する機構である。固定部昇降部66は、印刷装置10本体に対して基板固定部60の全体を昇降する機構である。支持台67は、基板支持部材70を配置可能な部材である。なお、基板固定部60は、基板支持部材70の支持台67上での固定及び位置決めを行う図示しない固定部や位置調整部を備えている。
基板支持部材70は、支持台67上に配置され、図示しない減圧装置に配管で接続されて、負圧により基板Sを下面側から支持しつつ吸着固定する部材である。基板支持部材70は、図7に示すように、本体部70aと、本体部70aの左右から突出するように配設された円柱状の一対の突起部71,71と、突起部71よりも前方に配設された一対の突起部72,72と、本体部70aの上面に開口する複数の吸引口73と、を備えている。この複数の突起部71,72は、図7に示す支持部材搬送治具130の第1〜第4突起保持部132〜135と係合する係合部として機能する。また、本体部70aの上面には、位置認識用の識別部75(例えばマーク)と、基板支持部材70の種別認識用のバーコード76とが形成されている。基板支持部材70は、基板Sに応じて交換される。
図7には、印刷装置10が基板支持部材70の自動交換に用いる支持部材搬送治具130も併せて図示している。支持部材搬送治具130は、枠状のフレーム131と、フレーム131の内側に配設された第1〜第4突起保持部132〜135と、フレーム131の右側面の後端付近に配置されたバーコード136とを備えている。第1〜第4突起保持部132〜135は、前方から後方に向かってこの順で配設されている。第1〜第4突起保持部132〜135は、それぞれ左右方向に1対ずつ配設されており、フレーム131の下方に伸びる腕部の先端に配設されている。支持部材搬送治具130は、第1,第2突起保持部132,133により基板支持部材70を1つ取り付け可能であり、第3,第4突起保持部134,135により基板支持部材70を1つ取り付け可能である。第1〜第4突起保持部132〜135の上面には基板支持部材70の突起部71や突起部72の外径よりもわずかに大きい凹部が形成されている。この凹部に突起部71,72が載置されることで、支持部材搬送治具130は基板支持部材70の前後方向の相対位置を固定しつつ基板支持部材70を搬送可能である。バーコード136は、支持部材搬送治具130に取り付けられている基板支持部材70を識別するための識別情報であり、例えば作業者によって予め取り付けられる。
清掃部80は、図2に示すように上下方向でマスク作業部50と基板固定部60との間に配設されており、スクリーンマスク55の裏面を清掃する清掃処理を行うユニットである。図8,9に示すように、清掃部80は、清掃部材82を含み収納装置100との間で交換が可能な交換モジュール81と、交換モジュール81を載置する載置部材84と、交換モジュール81及び載置部材84を支持する支持部材86と、交換モジュール81及び載置部材84を移動させる清掃移動部87とを備えている。なお、図8には、印刷装置10が交換モジュール81の自動交換に用いる清掃部材搬送治具140も併せて図示している。また、清掃移動部87は、交換モジュール81及び載置部材84を前方に突出させる突出状態と突出させない非突出状態とを切り替えることができる。図8は突出状態を示し、図9は非突出状態を示している。
交換モジュール81は、第1ローラ81aと、第2ローラ81bと、清掃部材82と、取付部材83とを備えている。清掃部材82は、スクリーンマスク55を清掃するための部材であり、本実施形態ではスクリーンマスク55を拭取により清掃する拭取シートとした。第1ローラ81aには清掃部材82が巻き付けられている。第2ローラ81bは、第1ローラ81aよりも前方に配置され、第1ローラ81aから繰り出された清掃部材82を繰り込む。清掃部材82のうち第1ローラ81aに繰り出されて第2ローラ81bに巻き取られるまでの部分が、スクリーンマスク55の清掃に用いられる。
取付部材83は、第1,第2ローラ81a,81b及び清掃部材82を取り付けるための部材である。取付部材83は、上下が開口した箱状の部材である箱体83aを有している。箱体83aの内側には左右に対向する2対計4個(3個のみ図示)の軸受83bが配設されている。2対の軸受83bの各々には、第1,第2ローラ81a,81bの軸端をそれぞれ挿入可能であり、これにより軸受83bは第1,第2ローラ81a,81bを回転可能に軸支する。図示しない右前方の軸受83bは、箱体83aの外側に配設されたギヤ83cと同軸に接続されており、これにより第2ローラ81bとギヤ83cとは一体的に回転する。ギヤ83cは、非突出状態では巻取モータ86aのギヤ86bと噛合するように配置されており、これにより巻取モータ86aからの駆動力で第2ローラ81bが回転して清掃部材82を巻き取るようになっている。また、箱体83aには、取付部材83から左右方向両側にそれぞれ突出する突出部83dを有している。本実施形態では、箱体83aの右側には突出部83dが1個配設され、箱体83aの左側には突出部83dが2個配設されている。この複数の突出部83dは、図8に示す清掃部材搬送治具140の突起保持部142と係合する係合部として機能する。箱体83aの前面には、左右両端の各々に受け部材83eが配設されている。受け部材83eは、左右外側に向かって開口する凹部を有しており、非突出状態ではロック機構86cのロック部材86dと係合するように構成されている。箱体83aの左右の側面にはそれぞれ開口部83fが形成されており、開口部83f内にはY方向に延びる係合軸83gが配置されている。係合軸83gは、載置部材84の爪部材84cと係合するように構成されている(図8右上の拡大図)。
載置部材84は、交換モジュール81を載置して下方から支持する板状の部材として構成されている。この載置部材84及び取付部材83は清掃ヘッドの役割を果たし、清掃移動部87によって前後に移動する。載置部材84の上面には、当接部材84aと、昇降装置84bと、爪部材84cと、接続部84dとが配設されている。当接部材84aは、清掃部材82を下方から支持する部材である。昇降装置84bは、例えばエアシリンダとして構成され、当接部材84aを下方から支持しつつ昇降させる。昇降装置84bが当接部材84aを上昇させた状態では、当接部材84aが清掃部材82を上方に持ち上げることで、清掃部材82の上面をスクリーンマスク55の裏面に当接させることができる。その状態で清掃移動部87が載置部材84を移動させることで、清掃部80はスクリーンマスク55の裏面のはんだを清掃部材82によって拭き取る清掃処理を行う。爪部材84cは、載置部材84がY方向に移動する際の載置部材84からの交換モジュール81の脱落を防止するための部材であり、載置部材84の左右に1つずつ配設されている。爪部材84cは、長手方向が上下方向に沿った略四角柱状の部材である。爪部材84cは、上端の左右方向内側(取付部材83の内部側)に傾斜面を有し、その傾斜面の下方に取付部材83の係合軸83gと係合する凹部が形成されている。爪部材84cは、下端付近に配設されY方向に沿った回転軸を中心に回転可能に軸支されると共に、図示しないスプリングなどの弾性部材によって爪部材84cの上端が左右方向内側に回転する方向に付勢されている。これにより、交換モジュール81が載置部材84の上方から下降してくると、交換モジュール81のうち取付部材83の係合軸83gが爪部材84cの傾斜面にガイドされて爪部材84cの凹部と係合し、取付部材83と載置部材84とのY方向の相対移動が規制される。なお、交換モジュール81が載置部材84から上方に移動しようとすると、係合軸83gと爪部材84cとの係合が解除されるように、爪部材84cを付勢する弾性部材の弾性力が調整されている。接続部84dは、載置部材移動機構89の接続部89bと接続される部材であり、載置部材84の後側に配設されている。
支持部材86は、図1に示すように、左右両端がガイドレール88bに支持されている板状の部材である。これにより、支持部材86は、載置部材84を水平方向に沿った左右方向から支持している。支持部材86には、巻取モータ86aと、ロック機構86cとが配設されている。巻取モータ86aは、支持部材86のうち取付部材83の右側に配置され、ギヤ86bを介してギヤ83c及び第2ローラ81bを回転させる。清掃部80は、例えば清掃処理後の一定時間の間に、巻取モータ86aが第2ローラ81bを回転させることで、清掃部材82のうち清掃処理を行った部分すなわちはんだが付着した部分を第2ローラ81bに繰り込ませるシート送り処理を行う。ロック機構86cは、例えばエアシリンダとして構成され、シリンダを介してロック部材86dをX方向に突出させる機構である。ロック機構86cは、支持部材86のうち取付部材83の左右両側に1つずつ配置されている。図9に示すように、交換モジュール81及び載置部材84が非突出状態にあるときにロック機構86cがロック部材86dを取付部材83側に向けて突出させると、ロック部材86dが取付部材83の受け部材83eの凹部に挿入されて両者が係合する。これにより、交換モジュール81及び載置部材84は支持部材86に対するY方向の相対移動が規制され、非突出状態で固定される。一方、図8に示すようにロック機構86cがロック部材86dを突出させない状態では、交換モジュール81及び載置部材84は載置部材移動機構89によって突出状態と非突出状態とを切替可能になる。
清掃移動部87は、支持部材移動機構88と、載置部材移動機構89とを備えている。支持部材移動機構88は、図1に示すように、Y軸スライダ88aと、前後方向に伸びた左右1対のガイドレール88bとを有している。Y軸スライダ88aは支持部材86に配設されており、Y軸スライダ88aがガイドレール88bに沿って移動することで、支持部材86をY方向に移動させる。支持部材移動機構88は、支持部材86をY方向に移動させることで、交換モジュール81及び載置部材84もY方向に移動させる。載置部材移動機構89は、図8,図9に示すように、例えばエアシリンダとして構成された駆動源89aと、駆動源89aのシリンダロッドの先端に配設されて載置部材84の接続部84dと接続される接続部89bとを備えている。また、載置部材移動機構89は、支持部材86に配設されY方向にスライドする複数のレールを備えた伸縮レール89cを備えている。駆動源89aからのY方向の駆動力が接続部89b及び接続部84dを介して載置部材84に作用すると、伸縮レール89cが伸縮することで、載置部材84は支持部材86に対してY方向に相対移動する。これにより、載置部材移動機構89は、交換モジュール81及び載置部材84を支持部材86に対して相対的に前方に突出させる突出状態(図8)と、交換モジュール81及び載置部材84を支持部材86に対して相対的に前方に突出させない非突出状態(図9)とを切り替えることができる。清掃移動部87は、支持部材移動機構88及び載置部材移動機構89により、清掃部材82を清掃部材82によるスクリーンマスク55の清掃を行う清掃位置と清掃部材82を清掃部材搬送治具140との間で交換する交換位置との間で移動させる。なお、清掃位置は、例えばマスク固定部51に固定されたスクリーンマスク55の真下の位置である。交換位置は、例えば清掃部材搬送治具140と清掃部80との間で交換モジュール81の受け渡しを行う位置である。また、清掃移動部87は、清掃部材82及びこれを含む交換モジュール81の搬出入を行う。
図8に示した清掃部材搬送治具140は、交換モジュール81が取り付けられるホルダとしての役割を果たす。清掃部材搬送治具140は、後側が開放された枠状のフレーム141と、フレーム141の左右方向内側に配設された突起保持部142と、フレーム141の右側面の後端付近に配置されたバーコード146とを備えている。突起保持部142は、取付部材83の突出部83dに対応して同じ数(ここでは3個)だけ配設されている。より具体的には、突起保持部142は、右側に1個配設され、左側に2個配設されている。突起保持部142は、上面に凹部が形成されており、この凹部に載置された突出部83dと係合して、突出部83dを下方から支持する。この凹部に突出部83dが係合することで、清掃部材搬送治具140は交換モジュール81の前後方向の相対位置を固定しつつ交換モジュール81を搬送可能である。バーコード146は、清掃部材搬送治具140に取り付けられている清掃部材82を識別するための識別情報であり、例えば作業者によって予め取り付けられる。
読取部97は、交換可能部材13のうち1種以上に関する情報を読み取る装置であり、本実施形態ではバーコードリーダとして構成されている。読取部97は、図1に示すように印刷装置10内の右前方に配置され、左方向が読取方向である。読取部97は、スクリーンマスク55が搬出入される高さ(搬入高さ及び搬出高さ)と同じ高さに配置されており、スクリーンマスク55の右側面に付されたバーコード57a(図5)を読み取り可能である。また、読取部97は、各搬送治具110,120,130,140についても、同じ高さに搬送されれば、それらの各々に付されたバーコード116,126,136,146を読み取ることができる。
収納装置100は、印刷装置10の前方に配設されており、1種以上(ここでは5種)の交換可能部材13を収納し、印刷装置10との間で交換可能部材13のうち1種以上(ここでは5種)の搬出入を行う装置である。収納装置100は、筐体101と、収納部102と、搬送コンベア104と、コンベア昇降部105と、収納制御部106を備えている。筐体101は略直方体状の箱体であり、内部に収納部102を有している。筐体101の下面にはキャスターなどの移動部が配設されており、例えば作業者が収納装置100を移動可能である。収納部102は、交換可能部材13及び搬送治具を収納可能な箱体であり、内部に複数の搬送コンベア104が配設されている。搬送コンベア104は、上下方向に複数段配設されており、本実施形態では、図2に示すように上から順に第1〜第9搬送コンベア104a〜104iが配設されている。第1〜第9搬送コンベア104a〜104iの各々は、左右一対のベルトコンベアとして構成されており、載置された物体を前後方向に搬送する。なお、図1では図示の都合上、搬送コンベア104を4段のみ示している。収納部102は、この第1〜第9搬送コンベア104a〜104iの各々に交換可能部材13を少なくとも1つ載置可能に構成されている。また、収納部102は、第1〜第9搬送コンベア104a〜104iによって分けられる上下方向に複数段の収納領域103を有している。収納領域103は、第1搬送コンベア104aよりも上側の領域として第1収納領域103aを有しており、同様に第2〜第9搬送コンベア104b〜104iの各々よりも上側の領域として第2〜第9収納領域103b〜103iを有している。なお、収納領域103は必ずしも収納部102の内部にある必要はない。例えば図2に示す第1搬送コンベア104aに載置されたカートリッジ搬送治具120は収納部102から後方に一部飛び出しているが、この飛び出した部分が存在する領域も第1収納領域103aに含まれる。収納部102は前後が開口している。これにより、作業者が前方から収納部102に交換可能部材13を挿入したり、収納装置100が収納部102の後方を介して交換可能部材13を印刷装置10に搬出入したりすることができる。コンベア昇降部105は、収納部102を上下に昇降させる機構であり、例えば図示しないガイドとボールねじと駆動モータとを備えている。コンベア昇降部105が収納部102を昇降させることで、搬送コンベア104が昇降する。
本実施形態では、第1搬送コンベア104a上にカートリッジ搬送治具120が載置され、第2,第3搬送コンベア104b,104c上にはスキージ搬送治具110が載置され、第4,第5搬送コンベア104d,104e上には清掃部材搬送治具140が載置され、第6,第7搬送コンベア104f,104g上にはスクリーンマスク55が載置され、第8,第9搬送コンベア104h,104i上には支持部材搬送治具130が載置されるように構成されている。上下に隣接する搬送コンベア104同士の間隔は、各々の搬送コンベア104に載置される搬送治具及びその搬送治具に取り付けられる交換可能部材13の高さに応じて調整されている。なお、各搬送治具110〜140及びスクリーンマスク55は、複数の搬送コンベア104のいずれにも載置可能となるように左右方向の幅が定められており、例えば左右方向の幅が略同一になっている。
収納制御部106は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、作業領域として用いられるRAM、各種データを記憶するHDDなどを備えている。収納制御部106は、収納装置100全体を制御する。
次に、こうして構成された印刷システム1の動作について説明する。まず、印刷装置10が実行する印刷処理と、印刷処理と並行して収納装置100に収納された交換可能部材13の識別情報を読み取る読取処理とについて説明する。図10は、印刷処理と読取処理とを並行して行う様子を示す説明図である。
まず、印刷処理について説明する。印刷処理を行うための印刷処理ルーチンは、印刷制御部11のHDDに記憶され、印刷制御部11が作業者から表示操作部98を介して印刷処理の実行指示を入力したあと、又は印刷制御部11が管理PC150から印刷処理の実行指令を入力したあとに、実行される。印刷処理ルーチンを開始すると、印刷制御部11は、まず、図10に示すように基板Sを基板固定部60により固定してスクリーンマスク55に当接させる基板搬送固定処理を行う。具体的には、印刷制御部11は、まず、基板搬送コンベア61を駆動して基板固定部60へ基板Sを搬送し、基板Sを基板ガイド62により挟持して固定する。また、印刷制御部11は、必要に応じてマスク作業部50によりスクリーンマスク55の位置を調整して、パターン孔58と基板Sとの位置合わせを行う。次に、印刷制御部11は、支持台67を上昇させて、基板Sの下面に基板支持部材70の上面を当接させ、減圧装置からの負圧により基板Sを基板支持部材70に吸着固定する。そして、印刷制御部11は、基板固定部60を上昇させて基板Sの上面をスクリーンマスク55の下面に当接させる。基板搬送固定処理を行うと、印刷制御部11は、はんだ供給処理を行う。具体的には、印刷制御部11は、スクリーンマスク55上に供給ヘッド41を移動させ、エア供給部42からエアを供給して、カートリッジ49からスクリーンマスク55上にはんだを吐出させる。はんだ供給処理を行うと、印刷制御部11は、スキージ移動処理を行う。具体的には、印刷制御部11は、印刷ヘッド21を移動させると共にスキージ30(図10では第1スキージ30a)を下降させてスキージ30をスクリーンマスク55の上面に当接させ、スキージ30を前後方向に移動させてはんだを基板S上に印刷する。印刷制御部11は、スクリーンマスク55上で第1スキージ30aを後方に移動させる処理と第2スキージ30bを前方に移動させる処理との少なくとも一方を行う。このように、印刷制御部11は、基板搬送固定処理、はんだ供給処理、及びスキージ移動処理を含む印刷処理を行って、基板Sに印刷を行う。印刷制御部11は、生産処理が完了するまでこの印刷処理を繰り返し行う。なお、印刷処理には、上述した清掃処理及びシート送り処理が含まれていてもよい。印刷制御部11は、例えば所定時間経過毎又は所定枚数の基板Sの印刷処理毎などの所定のタイミングで、清掃処理及びシート送り処理を行ってスクリーンマスク55の裏面を清掃する。
作業者は、印刷装置10がこの印刷処理を行っている間に、例えば段取り替えなど、交換可能部材13のうち1以上の交換が必要になる場合に備えて、予め収納装置100に交換用の交換可能部材13を収納しておく。例えば、次の段取り替え時に5種類の交換可能部材13の全ての交換が必要な場合には、作業者は、図2に示すように収納装置100に各搬送治具及びそれに取り付けられた交換可能部材13を収納しておく。具体的には、作業者は、図2に示すように、交換用のカートリッジ49をホルダ122に取り付けた状態のカートリッジ搬送治具120を第1収納領域103aに収納する。このとき作業者は、図5に示すように、カートリッジ搬送治具120の複数のホルダ122のうち少なくとも1つは空き状態にしておく。作業者は、空き状態のスキージ搬送治具110を第2収納領域103bに収納し、交換用のスキージ30を2つ取り付けたスキージ搬送治具110を第3収納領域103cに収納する。作業者は、空き状態の清掃部材搬送治具140を第4収納領域103dに収納し、交換用の交換モジュール81を取り付けた清掃部材搬送治具140を第5収納領域103eに収納する。作業者は、第6収納領域103fを使用中のスクリーンマスク55の印刷装置10からの搬出用に空けておき、交換用のスクリーンマスク55を第7収納領域103gに収納する。作業者は、空き状態の支持部材搬送治具130を第8収納領域103hに収納し、交換用の基板支持部材70を1つ取り付けた支持部材搬送治具130を第9収納領域103iに収納する。このように、作業者は、段取り替えなど交換可能部材13の交換が必要になった時ではなく、印刷装置10が印刷処理を行っている間に、交換用の交換可能部材13を予め収納装置100に収納しておけばよい。そのため、作業者は、作業負担が少ない時間帯に交換用の交換可能部材13を用意する作業を行うことができる。
なお、作業者は、各搬送治具にその搬送治具に取り付けられた交換可能部材13の識別情報を表すバーコードを予め付しておく。例えば、作業者は、カートリッジ搬送治具120のバーコード126に含まれる識別情報には、そのカートリッジ搬送治具120に取り付けられているカートリッジ49の種別を表す情報が含まれるようにしておく。同様に、作業者は、スクリーンマスク55のバーコード57aに含まれる識別情報には、そのスクリーンマスク55の種別を表す情報が含まれるようにしておく。こうすることで、印刷制御部11は、各搬送治具及びスクリーンマスク55のバーコードを読取部97に読み取らせることで、それが5種の交換可能部材13のうちいずれに関するものであるかを識別することができる。また、印刷制御部11は、例えば複数種類のカートリッジ49のうちいずれの種類のカートリッジ49がカートリッジ搬送治具120に取り付けられているかなど、同じ種の交換可能部材13の中の細かい種別を識別することもできる。なお、バーコードには、各搬送治具の状態(ホルダの空きの有無など)を表す情報も含まれていてもよい。例えば、カートリッジ搬送治具120のバーコード126には、カートリッジ搬送治具120の複数のホルダ122のいずれにカートリッジ49が取り付けられているか(いずれのホルダ122が空きであるか)の情報が含まれていてもよい。
次に、読取処理について説明する。読取処理を行うための読取処理ルーチンは、印刷制御部11のHDDに記憶され、例えば所定時間の経過毎、又は作業者から読取処理の実行指示を入力したあとに、実行される。読取処理ルーチンを開始すると、印刷制御部11は、収納装置100の収納制御部106に対して、収納部102に収納された交換可能部材13又は空き状態の搬送治具を読取部97が読取可能な位置に順次移動させるように指令を出力する。この指令を受けた収納制御部106は、まず、第1搬送コンベア104a上のカートリッジ搬送治具120が読取部97と同じ高さに位置するようにコンベア昇降部105により収納部102を昇降させる。また、収納制御部106は、必要に応じて第1搬送コンベア104aによりカートリッジ搬送治具120をY方向に搬送してバーコード126を読取部97が読取可能な位置まで移動させ、その後にカートリッジ搬送治具120を搬送して元の位置に戻す。この間に、印刷制御部11は読取部97にバーコード126を読み取らせて、取得した情報をHDDに記憶する。収納制御部106は、第2搬送コンベア104b〜第9搬送コンベア104iについても順次同様の処理を行う。図10は、収納装置100が第2収納領域103bに収納されたスキージ搬送治具110を読取部97が読み取り可能な位置まで搬送した状態を示している。このように、読取処理では、印刷制御部11は読取部97が読取可能な位置までの移動として、交換可能部材13の搬送と昇降との少なくとも一方を収納装置100に行わせる。この読取処理により、印刷制御部11は、収納装置100の収納領域103の各々に収納された交換可能部材13の情報、収納領域103の各々にいずれの種類の搬送治具が収納されているかの情報など、後述する交換処理で必要な情報を取得して記憶する。また、印刷制御部11は、例えば搬送コンベア104による搬送を行っても読取部97が情報を読み取らない状態が所定時間継続したことを検出することによって、搬送治具が収納されていない空き状態の収納領域103(図10では第6収納領域103f)を特定することもできる。なお、図10に示すように、読取部97は印刷装置10の前側に配設されている。そのため、前方の収納装置100から交換可能部材13などが読取部97の読取位置まで搬送されても、上述した印刷処理における印刷処理部20,供給部40,マスク作業部50,基板固定部60,清掃部80の動作に支障がない。したがって、印刷制御部11は印刷処理と並行して読取処理を行うことができる。これにより、印刷処理を停止することなく印刷制御部11は収納装置100に収納された交換可能部材13及び搬送治具の情報を取得することができる。
なお、読取処理時の収納装置100側の動作に関して、予め収納制御部106の記憶部に読取処理時の動作ルーチンが記憶されており印刷制御部11は動作ルーチンの開始指令を出力するだけであってもよい。あるいは、印刷制御部11がコンベア昇降部105及び搬送コンベア104の個別の動作指令を収納制御部106に順次出力してもよい。
次に、交換可能部材13の自動交換を行う交換処理について説明する。図11は、交換処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この交換処理ルーチンは、印刷制御部11のHDDに記憶されている。印刷制御部11は、例えば管理PC150から取得した印刷処理に関する情報に基づいて、印刷処理が終了する毎に次回の印刷処理に必要な交換可能部材13のうち1種以上が今回の印刷処理と異なるか否かを判定して、交換処理が必要か否かを判定する。そして、印刷制御部11は、交換処理が必要と判定すると、交換処理ルーチンを開始する。なお、印刷制御部11は、上述した読取処理で取得した情報を適宜参照しながら交換処理ルーチンを行う。
印刷制御部11は、交換処理ルーチンを開始すると、カートリッジ交換処理(ステップS100)、清掃部材交換処理(ステップS110)、マスク搬出処理(ステップS120)、スキージ交換処理(ステップS130)、基板支持部材交換処理(ステップS140)、及びマスク搬入処理(ステップS150)のうち1以上の処理を、必要に応じて行う。なお、カートリッジ49及び清掃部材82は消耗品であるため、各々の種別が変更な場合に限らず、交換処理の実行が必要な場合にはカートリッジ交換処理と清掃部材交換処理との少なくとも一方を併せて行って、消耗品の種別は変更せずに消耗品の補充を行うものとしてもよい。例えばスキージ30,スクリーンマスク55,基板支持部材70のうち1以上の交換が必要な場合には、カートリッジ49及び清掃部材82の少なくとも一方も併せて交換してもよい。また、本実施形態では、スクリーンマスク55,スキージ30,及び基板支持部材70の交換を行う際には、いずれの場合も搬送レール53を用いて搬送治具を搬送する。そのため、スキージ交換処理と基板支持部材交換処理との少なくとも一方を行う必要がある場合には、これらの処理より先にマスク搬出処理を行ってスクリーンマスク55を搬送レール53上から退避させ、これらの処理より後にマスク搬入処理を行う。また、マスク搬出処理とマスク搬入処理とを含む処理がマスク交換処理に相当する。なお、スクリーンマスク55を交換する必要がない場合には、マスク搬入処理ではマスク搬出処理で搬出したスクリーンマスク55を搬入する。以下、5種類の交換可能部材13を全て交換する場合を例としてステップS100〜S150の各処理について説明する。
ステップS100のカートリッジ交換処理について説明する。図12は、カートリッジ49を供給ヘッド41に装着する動作の説明図である。カートリッジ交換処理を開始すると、印刷制御部11は、供給ヘッド41に取り付けられたカートリッジ49を搬出するカートリッジ搬出処理と、交換用のカートリッジ49を搬入するカートリッジ搬入処理とを行う。カートリッジ搬出処理では、印刷制御部11は、まず、カートリッジ49を搬出するための高さ(搬出高さ)に第1搬送コンベア104a上の空きのホルダ122を有するカートリッジ搬送治具120が位置するように、コンベア昇降部105を動作させる。カートリッジ49の搬出高さは、供給ヘッド41に装着されているカートリッジ49を空きのホルダ122に取り付けられるような高さであり、本体部49aを開口部124内に挿入できるような高さである。次に、印刷制御部11は、印刷移動部22及び供給移動部46を制御して供給ヘッド41に取り付けられているカートリッジ49をカートリッジ搬送治具120の空きのホルダ122に取り付け可能な引渡位置まで移動させる。続いて、印刷制御部11は、供給ヘッド41によるカートリッジ49の装着を解除して空きのホルダ122にカートリッジ49を取り付ける。カートリッジ搬入処理では、印刷制御部11は、まず、交換用のカートリッジ49を搬入するための高さ(搬入高さ)にカートリッジ搬送治具120が位置するように、コンベア昇降部105を動作させる。なお、本実施形態ではカートリッジ49の搬入高さと搬出高さとは同じであり、コンベア昇降部105を動作させる処理を省略する。次に、印刷制御部11は、ホルダ122に取り付けられている交換用のカートリッジ49を受け取り可能な受取位置まで供給ヘッド41を移動させ、供給ヘッド41に交換用のカートリッジ49を装着させる。以上のようにカートリッジ搬出処理及びカートリッジ搬入処理を行うと、印刷制御部11は、カートリッジ交換処理を終了する。
カートリッジ搬出処理においてカートリッジ49を空きのホルダ122に取り付ける際には、印刷制御部11は、まず、ホルダ122の開口部124に本体部49aを挿入した状態(引渡位置の一例)でクランプ部43を解除位置へ回動させる。すると、クランプ部43の回動に伴い、カートリッジ49が下降し、フランジ部49bが係合部125にはまった状態でカートリッジ49が支持部123に支持される。カートリッジ搬入処理において交換用のカートリッジ49を供給ヘッド41に装着させる際には、印刷制御部11は、まず、エア供給部42の真下に交換用のカートリッジ49の接続部49dが位置する状態(受取位置の一例,図12A)で、クランプ部43を固定位置まで回動させる(図12B)。クランプ部43が固定位置に位置すると、クランプ部43は、カートリッジ49を押し上げてフランジ部49bと係合部125との係合を解除してカートリッジ49を取外位置に位置させる。このとき、エア供給部42が接続部49dに挿入され、カートリッジ49が位置決めされると共に、供給ヘッド41が本体部49aへエアを供給可能になる。そして、印刷制御部11は、本体部49aが開口部124を通過するよう供給ヘッド41を移動させる(図12B)。
ステップS110の清掃部材交換処理について説明する。清掃部材交換処理を開始すると、印刷制御部11は、交換モジュール81を搬出する清掃部材搬出処理と、交換用の交換モジュール81を搬入する清掃部材搬入処理とを行う。図13は、清掃部材搬出処理の様子を示す説明図である。図14は、清掃部材搬入処理の様子を示す説明図である。清掃部材搬出処理では、印刷制御部11は、まず、交換モジュール81を搬出するための高さ(搬出高さ)に空きの清掃部材搬送治具140が位置するようにコンベア昇降部105を動作させる(図13A)。ここでは、印刷制御部11は、空き状態の清掃部材搬送治具140を載置している第4搬送コンベア104dを搬出高さまで昇降する。交換モジュール81の搬出高さは、載置部材84に取り付けられている交換モジュール81の突出部83dよりも下方に清掃部材搬送治具140の突起保持部142が位置するような高さである。また、印刷制御部11は、支持部材移動機構88を制御して交換モジュール81を印刷装置10の前方に移動させる(図13A)。なお、このときの交換モジュール81の位置は、例えば支持部材移動機構88により交換モジュール81を移動可能な領域のうち前端の位置としてもよく、交換モジュール81の初期位置としてもよい。次に、印刷制御部11は、載置部材移動機構89を制御して載置部材84を突出状態にすることで、交換モジュール81を清掃部材搬送治具140に取り付け可能な引渡位置に移動させる(図13B)。引渡位置は本実施形態では収納部102の内部であり、印刷制御部11が交換モジュール81を引渡位置に移動させる動作が交換モジュール81の搬出動作を兼ねている。この状態では、清掃部材搬送治具140の複数の突起保持部142の各々の真上に交換モジュール81の複数の突出部83dの各々が位置する。続いて、印刷制御部11は、コンベア昇降部105により収納部102を上昇させる。これにより、突起保持部142と突出部83dとが係合して交換モジュール81が清掃部材搬送治具140に取り付けられて上昇し、載置部材84からは交換モジュール81が取り外される(図13C)。以上により、交換モジュール81が搬出されて清掃部材搬送治具140に引き渡される。その後、印刷制御部11は、載置部材84を非突出状態にする(図13D)。
清掃部材搬入処理では、印刷制御部11は、まず、突出状態における載置部材84の最上端(ここでは当接部材84aの上端)の高さ(図13C参照)よりも上方に、搬送コンベア104(ここでは第5搬送コンベア104e)上の交換用の交換モジュール81が位置するようにコンベア昇降部105を動作させる(図14A)。次に、印刷制御部11は、載置部材移動機構89を制御して載置部材84を突出状態にすることで、交換モジュール81を清掃部材搬送治具140から受取可能な受取位置に載置部材84を移動させる(図14B)。この受取位置では、交換用の交換モジュール81の真下に載置部材84が位置する。続いて、交換モジュール81を搬入するための高さ(搬入高さ)に第5搬送コンベア104e上の清掃部材搬送治具140が位置するように収納部102を下降させ、その後搬入高さよりもさらに下降させる(図14C)。これにより、載置部材84に交換モジュール81が取り付けられると共に、清掃部材搬送治具140はさらに下降して突起保持部142と突出部83dとの係合が解除される。なお、交換モジュール81の搬入高さは、交換用の交換モジュール81が下降して載置部材84に取り付いたときの高さである。そして、印刷制御部11は、載置部材84を非突出状態にすることで、交換モジュール81を印刷装置10内に搬入する(図14D)。以上により、交換モジュール81が清掃部材搬送治具140から受け取られると共に印刷装置10に搬入される。以上のように清掃部材搬出処理及び清掃部材搬入処理を行うと、印刷制御部11は、清掃部材交換処理を終了する。
ステップS120のマスク搬出処理について説明する。図15は、マスク搬出処理の様子を示す説明図である。マスク搬出処理を開始すると、印刷制御部11は、まず、スクリーンマスク55を搬出するための高さ(搬出高さ)に、空いている搬送コンベア104(ここでは第6搬送コンベア104f)が位置するようにコンベア昇降部105を動作させる。スクリーンマスク55の搬出高さは、第6搬送コンベア104fと搬送レール53とが同じ高さになるような位置である。次に、印刷制御部11は、搬送ロッド38を下方に突出させると共に印刷移動部22を制御して、スクリーンマスク55を搬送レール53に沿って前方に搬送する(図15)。そして、印刷制御部11は、搬送ロッド38によってスクリーンマスク55を第6搬送コンベア104fまで搬送させてスクリーンマスク55を搬出する。また、印刷制御部11は、第6搬送コンベア104fによりスクリーンマスク55をさらに前方に搬送させて、収納部102にスクリーンマスク55を収納させる。これにより、搬送レール53上からスクリーンマスク55が除去されて、他の搬送治具を搬送レール53上で搬送しやすくなる。なお、図15では、搬送ロッド38はスクリーンマスク55の端部(ここでは後端)を外側から押すことでこれを搬送しているが、これに限らず例えば枠体57の内側を押すことでスクリーンマスク55を搬送してもよい。同様に、後述するスキージ搬送治具110などの搬送治具の搬送においても、搬送ロッド38は搬送治具の端部を外側から押してもよいし、搬送治具の内側(例えばフレーム111の内側)又は搬送治具に取り付けられた交換可能部材13を押してもよい。
ステップS130のスキージ交換処理について説明する。スキージ交換処理を開始すると、印刷制御部11は、スキージ30を搬出するスキージ搬出処理と、交換用のスキージ30を搬入するスキージ搬入処理とを行う。図16は、スキージ搬出処理の様子を示す説明図である。スキージ搬出処理では、印刷制御部11は、まず、空きのホルダ112を有するスキージ搬送治具110を載置している搬送コンベア104(ここでは第2搬送コンベア104b)と搬送レール53とが同じ高さ(搬出高さ)になるようにコンベア昇降部105を動作させる。すなわち、印刷制御部11は、第2搬送コンベア104bを上述したスクリーンマスク55の搬出高さと同じ高さに位置させる。そして、第2搬送コンベア104bと搬送ロッド38とを制御してスキージ搬送治具110を印刷装置10内に搬入する(図16A)。次に、印刷制御部11は、印刷移動部22及びスキージ昇降部23を制御してスキージ固定部24に取り付けられた第1スキージ30aを前方に移動させ、スキージ搬送治具110の前側の空きのホルダ112に第1スキージ30aを取り付ける(図16B)。同様に、印刷制御部11は、第2スキージ30bを後方に移動させ、スキージ搬送治具110の後ろ側の空きのホルダ112に第2スキージ30bを取り付ける(図16C)。そして、印刷制御部11は、スキージ30が取り付けられたスキージ搬送治具110を搬送ロッド38によって第2搬送コンベア104bまで搬送させて、スキージ搬送治具110を搬出する(図16D)。また、印刷制御部11は、第2搬送コンベア104bによりスキージ搬送治具110をさらに前方に搬送させて、収納部102にスキージ搬送治具110を収納させる。
スキージ搬入処理では、印刷制御部11は、上述したスキージ搬出処理と逆の手順で、スキージ30を搬入する。すなわち、印刷制御部11は、まず、交換用のスキージ30が取り付けられたスキージ搬送治具110を載置する第3搬送コンベア104cと搬送レール53とが同じ高さ(搬入高さ)になるようにコンベア昇降部105を動作させる。次に、印刷制御部11は、第3搬送コンベア104c及び搬送ロッド38によりスキージ搬送治具110を搬入する。続いて、印刷制御部11は、印刷移動部22及びスキージ昇降部23を制御して前側のスキージ固定部24を前方に移動させ、スキージ搬送治具110の前側のホルダ112に取り付けられたスキージ30を前側のスキージ固定部24に取り付ける。同様に、印刷制御部11は、後側のスキージ固定部24を後方に移動させ、スキージ搬送治具110の後側のホルダ112に取り付けられたスキージ30を後側のスキージ固定部24に取り付ける。その後、印刷制御部11は、スキージ30が取り外されたスキージ搬送治具110を搬送ロッド38により搬出し、第3搬送コンベア104cによりスキージ搬送治具110を収納部102に収納させる。
ここで、スキージ固定部24からホルダ112へのスキージ30の引き渡しと、ホルダ112からスキージ固定部24への交換用のスキージ30の受け取りとについて詳細に説明する。説明の便宜上、スキージ30の受け取りについて先に説明する。図17は、スキージ30をスキージ固定部24に装着する動作の説明図である。なお、図17は前側のスキージ固定部24がスキージ30を受け取る様子を示している。また、図17の左列は位置決め部材33及びエアシリンダ25の上下前後方向に沿った概略断面図であり、図17の中央列は規制部材26及び軸部材35の上下前後方向に沿った概略断面図であり、図17の右列はスキージ固定部24及びスキージ30の右上前方から見た斜視図である。スキージ30を受け取る際には、印刷制御部11は、まず、スキージ固定部24を下降させ、スキージ固定部24を解除状態にし、受け取り対象のスキージ30の後方から、スキージ固定部24を前方に移動させる(図16B,図17A)。これにより、シリンダ軸25aがスキージ30の開口部33aに挿入されていく。このとき、スキージ30の軸部材35は規制部材26の爪部27a,27bの間に挿入されていく。そして、シリンダ軸25aが位置決め部材33と当接してシリンダ軸25aの前方への移動が位置決め部材33によって規制される位置で、両者の前後方向の位置決めがなされる(図17B)。この位置がスキージ30の受取位置である。なお、本実施形態では、受取位置は、位置決め部材33のうち開口部33aに面する後面(開口部33aの行き止まり部分)とシリンダ軸25aの前面とが当接する位置とした。ただし、受取り位置は、フランジ25bと位置決め部材33とが当接してフランジ25bの前方への移動が位置決め部材33によって規制される位置としてもよい。また、スキージ固定部24が受取位置に位置するとき、規制部材26の凹部28aはスキージ30の突出部34の真上に位置する(図17B)。続いて、印刷制御部11は、エアシリンダ25を制御してスキージ固定部24を解除状態から固定状態に切り替える(図17C)。これにより、フランジ25bが固定状態での位置まで上昇して位置決め部材33の被把持面33bを押し上げる。これによりフランジ部36が押し上げられてフランジ部36とホルダ112の係合部115との係合が解除され、スキージ30が取外位置に移動する。また、これによりスキージ30の突出部34は、上昇してスキージ固定部24の凹部28a,28b内に嵌まり込んで規制部材26と係合する。規制部材26と突出部34とが係合することで、スキージ固定部24に対するスキージ30の前後方向への移動が規制される。また、固定状態では、位置決め部材33の下面である被把持面33bと取付部材32の上面である被把持面32aとが、スキージ固定部24のシリンダ軸25aの上面と規制部材26の下面とに挟持されることで、スキージ30はスキージ固定部24に把持固定される。そして、印刷制御部11は、印刷移動部22を制御してスキージ固定部24を後方に移動させる。これにより、スキージ30のフランジ部36が開口部114を通過して、ホルダ112からスキージ30が完全に取り外される(図17D)。なお、スキージ搬送治具110の後側のホルダ112からスキージ固定部24に交換用の第2スキージ30bを受け取る場合は、印刷制御部11は上記の動作と前後対称な動作を行えばよい。
スキージ固定部24からホルダ112へのスキージ30の引き渡しは、上記の受け取りと逆の手順で行うことができる。第1スキージ30aをスキージ搬送治具110の前側のホルダ112に引き渡す場合には、印刷制御部11は、まず、前側のスキージ固定部24を下降させ、ホルダ112の後方から、スキージ固定部24を前方に向けて移動させる。これにより、空きのホルダ112の係合部115の真上にフランジ部36を位置させる。この位置がスキージ30の引渡位置である。次に、印刷制御部11は、スキージ固定部24を固定状態から解除状態に切り替える。これにより、係合部115とフランジ部36とが係合してスキージ30が取付位置に位置し、ホルダ112にスキージ30が取り付けられる。また、規制部材26と突出部34との係合が解除される。そして、印刷制御部11は、スキージ固定部24を後方に移動させる。なお、スキージ搬送治具110の後側のホルダ112に第2スキージ30bを引き渡す場合は、印刷制御部11は上記の動作と前後対称な動作を行えばよい。
ステップS140の基板支持部材交換処理について説明する。基板支持部材交換処理を開始すると、印刷制御部11は、基板支持部材70を搬出する基板支持部材搬出処理と、交換用の基板支持部材70を搬入する基板支持部材搬入処理とを行う。図18,図19は、基板支持部材搬出処理の説明図である。基板支持部材搬出処理では、印刷制御部11は、まず、第1,第2突起保持部132,133と第3,第4突起保持部134,135との少なくとも一方が空いている支持部材搬送治具130を載置している搬送コンベア104(ここでは第8搬送コンベア104h)と搬送レール53とが同じ高さ(搬出高さ)になるようにコンベア昇降部105を動作させる。すなわち、印刷制御部11は、第8搬送コンベア104hを上述したスクリーンマスク55の搬出高さと同じ高さに位置させる。次に、印刷制御部11は、第8搬送コンベア104hと搬送ロッド38とを制御して支持部材搬送治具130を印刷装置10内に搬入する(図18A)。なお、印刷制御部11は、基板支持部材70を取り付ける突起保持部(ここでは第3,第4突起保持部134,135)が基板支持部材70の突起部71,72の直上から前後方向(ここでは後方)にずれて位置するように、支持部材搬送治具130を搬送する。続いて、印刷制御部11は、基板ガイド移動部63により一対のサイドフレーム60b,60bを前後に離間させ、支持台昇降部65及び固定部昇降部66を制御して基板支持部材70を上昇させる(図18B)。これにより、基板支持部材70の突起部71,72が第1〜第4突起保持部132〜135よりも上方まで上昇する。このときの基板支持部材70の位置が、基板支持部材70の引渡位置である。続いて、印刷制御部11は、搬送ロッド38により支持部材搬送治具130を前方に移動させて、基板支持部材70の突起部71,72の真下に第3,第4突起保持部134,135が位置するようにする(図18C)。そして、印刷制御部11は、支持台67を下降させる。これにより、基板支持部材70は突起部71,72が第3,第4突起保持部134,135と係合して、支持部材搬送治具130に取り付けられた状態になる(図19A)。その後、印刷制御部11は、基板固定部60全体を下降させると共に、基板支持部材70が取り付けられた支持部材搬送治具130を搬送ロッド38により前方に搬送して、支持部材搬送治具130を搬出する(図19B)。また、印刷制御部11は、第8搬送コンベア104hにより支持部材搬送治具130をさらに前方に搬送させて、収納部102に支持部材搬送治具130を収納させる。なお、印刷制御部11は、基板固定部60を下降させずにそのまま次の基板支持部材搬入処理を行ってもよい。
印刷制御部11は、上記の基板支持部材搬出処理と逆の手順で基板支持部材搬入処理を行うことができる。基板支持部材搬入処理では、印刷制御部11は、まず、交換用の基板支持部材70が取り付けられた支持部材搬送治具130を載置する第9搬送コンベア104iと搬送レール53とが同じ高さ(搬入高さ)になるようにコンベア昇降部105を動作させる。次に、印刷制御部11は、第9搬送コンベア104i及び搬送ロッド38により支持部材搬送治具130を搬入して、交換用の基板支持部材70を支持台67の上方まで搬送する。続いて、印刷制御部11は、支持台67を上昇させて基板支持部材70を上昇させ、突起部71,72と突起保持部(ここでは第3,第4突起保持部134,135)との係合を解除させる。このときの基板支持部材70の位置が、基板支持部材70の受取位置である。その後、印刷制御部11は、支持部材搬送治具130を前方又は後方に移動させて突起部71,72と第3,第4突起保持部134,135との位置を前後にずらしてから、支持台67を下降させる。そして、印刷制御部11は、基板固定部60全体を下降させると共に、支持部材搬送治具130を搬送ロッド38により前方に搬送して、支持部材搬送治具130を搬出する。また、印刷制御部11は、第9搬送コンベア104iにより支持部材搬送治具130をさらに前方に搬送させて、収納部102に支持部材搬送治具130を収納させる。
ステップS150のマスク搬入処理について説明する。印刷制御部11は、上記のマスク搬出処理と逆の手順でマスク搬入処理を行うことができる。マスク搬入処理では、印刷制御部11は、まず、交換用のスクリーンマスク55を搬入するための高さ(搬入高さ)に、搬送コンベア104(ここでは第7搬送コンベア104g)が位置するようにコンベア昇降部105を動作させる。スクリーンマスク55の搬入高さは、スクリーンマスク55の搬出高さと同じである。次に、印刷制御部11は、第7搬送コンベア104g及び搬送ロッド38により交換用のスクリーンマスク55を後方に搬送させて、交換用のスクリーンマスク55を搬入する。以上のステップS100〜S150を行うと、印刷制御部11は交換処理ルーチンを終了する。
以上詳述した本実施形態の印刷装置10は、カートリッジ49と、スキージ30と、清掃部材82と、スクリーンマスク55と、基板支持部材70と、のうちカートリッジ49とスキージ30と清掃部材82との少なくともいずれか1種を含む2種以上(本実施形態では5種すべて)を含む交換可能部材13の各々について、交換可能部材13の交換位置への移動と交換可能部材13の搬出入との少なくとも一方を行う移動部を備えている。より具体的には、移動部は、カートリッジ49を交換位置に移動し且つカートリッジ49の搬出入を行う印刷移動部22及び供給移動部46と、スキージ30を交換位置に移動する印刷移動部22及びスキージ昇降部23と、スキージ30の搬出入を行う印刷移動部22,搬送ロッド38,及び搬送レール53と、を備えている。また、移動部は、清掃部材82を交換位置に移動し且つ清掃部材82の搬出入を行う清掃移動部87と、スクリーンマスク55の搬出入を行う印刷移動部22,搬送ロッド38及び搬送レール53と、基板支持部材70の交換位置への移動を行う支持台昇降部65及び固定部昇降部66と、基板支持部材70の搬出入を行う印刷移動部22,搬送ロッド38,及び搬送レール53と、を備えている。そして、印刷装置10は、この移動部を制御して交換可能部材13を交換する交換処理を実行する印刷制御部11を備えている。したがって、印刷装置10は、2種以上(本実施形態では5種)の交換可能部材13の自動交換を行うことができる。
また、印刷装置10において、移動部は、交換可能部材13に含まれる2種以上の部材を移動させる共通の移動機構を有している。具体的には、印刷移動部22が、カートリッジ49,スキージ30,スクリーンマスク55,及び基板支持部材70の移動に共通の移動機構である。搬送ロッド38及び搬送レール53が、スキージ30,スクリーンマスク55,基板支持部材70の移動に共通の移動機構である。そのため、印刷装置10は、交換可能部材13のうち2種以上の部材の各々の自動交換を同じ移動機構を用いて行うことができる。したがって、印刷装置10は、例えば印刷装置10が交換可能部材13の種別毎に別々の移動機構を備える場合と比較して、装置構成をコンパクトにすることができる。
さらに、印刷装置10は、交換可能部材13に含まれる2種以上の部材に共通して、その部材及びその部材の搬送治具の少なくとも一方(本実施形態ではスクリーンマスク55及び各搬送治具110,120,130,及び140)に付された各バーコード57a,116,126,136,及び146を読み取る読取部97を備えている。これにより、印刷装置10は、各バーコードを読み取ることで交換可能部材13を識別できるため、より適切に交換処理を行うことができる。また、印刷装置10は、2種以上(本実施形態では5種すべて)の部材の各々のバーコードを同じ読取部97で行うため、例えば印刷装置10が交換可能部材13の種別毎に別々の読取部を備える場合と比較して、装置構成をコンパクトにすることができる。
さらにまた、印刷装置10は、交換可能部材13を収納する収納装置100との間で交換可能部材13の搬出入が可能であり、印刷制御部11は、収納装置100に収納された交換可能部材13のうち1種以上の識別情報を、印刷処理中に読取部97に読み取らせる。そのため、印刷装置10は、交換処理前に交換可能部材13の各バーコード57a,116,126,136,及び146のうち1種以上を予め読み取ることができる。そのため、印刷装置10は、交換処理中に全てのバーコードの読み取りを行う場合と比べて、交換処理を短時間で行うことができる。
さらにまた、印刷制御部11は、交換可能部材13のうち1種以上のバーコードを読取部97に読み取らせるにあたり、収納装置100に収納された交換可能部材13を読取部97が読取可能な位置まで移動させるよう、収納装置100に指令を出力する。したがって、収納装置100に収納されたままでは読取部97が各バーコード57a,116,126,136,及び146を読み取れない場合でも、印刷制御部11が収納装置100に交換可能部材13を移動させることで、読取部97が各バーコード57a,116,126,136,及び146を読み取ることができる。また、バーコードの読み取りは印刷処理中に行われるため、読取のために収納装置100が交換可能部材13を移動させても交換処理の所要時間への影響が少ない。
そしてまた、収納装置100は、上述した交換可能部材13を収納する収納部102と、収納部102と印刷装置10との間で交換可能部材13のうち1種以上(本実施形態ではスキージ30,スクリーンマスク55,基板支持部材70の3種)の搬出入を行う搬送コンベア104と、を備えている。そのため、印刷装置10は作業者とではなくこの収納装置100との間で交換可能部材13の受け渡しを行えばよいから、印刷装置10が交換可能部材13の自動交換を行いやすくなる。また、印刷制御部11は、搬送コンベア104の搬送による搬出入を行わないカートリッジ49及び交換モジュール81について、印刷装置10側の機構で搬出入を行う。
そしてまた、収納装置100は、収納部102を昇降するコンベア昇降部105を備え、収納部102は、交換可能部材13の少なくとも1種(本実施形態では5種すべて)を収納する収納領域103を上下方向に9段有している。したがって、複数段の収納領域103a〜103iの各々が交換可能部材13を収納できるから、収納部102は2種以上の交換可能部材13を収納しやすい。また、コンベア昇降部105が、印刷装置10との間で交換可能部材13を受け渡す際の交換可能部材13の高さを調整できるから、この収納装置100は印刷装置10毎や交換可能部材13の種別毎に適切な高さで交換可能部材13の受け渡しを行うことができる。
そしてまた、収納部102は、交換可能部材13のうち印刷装置10への搬入高さが最も高い交換可能部材13(ここではカートリッジ49)を複数段の収納領域103のうち最上段の第1収納領域103aに収納している。したがって、例えば搬入高さが最も高いカートリッジ49を最上段の第1収納領域103a以外に収納する場合と比較して、コンベア昇降部105に必要とされる昇降範囲を小さくしやすい。
そしてまた、収納部102は、清掃部材82を含む交換モジュール81を清掃部材搬送治具140の突起保持部142に取り付けた状態で収納し、コンベア昇降部105は、収納部102の昇降により清掃部材搬送治具140を昇降させることで、印刷装置10から受け取る(引き渡される)交換モジュール81を清掃部材搬送治具140に取り付ける。また、コンベア昇降部105は、収納部102の昇降により清掃部材搬送治具140を昇降させることで、清掃部材搬送治具140に取り付けられた交換モジュール81を清掃部材搬送治具140から取り外して印刷装置10に引き渡す。したがって、コンベア昇降部105が、収納装置100と印刷装置10との間での交換モジュール81の受け渡しを行う機構を兼ねることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、収納部102は、交換可能部材13のうち印刷装置10への搬入高さが最も高いカートリッジ49を最上段の第1収納領域103aに収納していたが、これに限られない。また、収納部102は、交換可能部材13のうち印刷装置10への搬入高さが最も低い部材を複数段の前記収納領域のうち最下段に収納してもよい。例えば、清掃部材82を第9搬送コンベア104i上の第9収納領域103iに収納してもよい。
上述した実施形態では、印刷制御部11は読取処理を印刷処理中に行ったが、これに限られない。例えば、印刷制御部11は、図11の交換処理を実行する際にステップS100〜S150より前にまず読取処理を行ってもよい。あるいは、印刷制御部11は、読取処理を行わない代わりに、収納部102に収納された交換可能部材13や搬送治具に関する情報を管理PC150から入力したり、作業者から表示操作部98を介して入力したりしてもよい。また、いずれの収納領域103に空き状態のいずれの搬送治具を収納しておくかの規則が予め定められていたり、いずれの収納領域103にいずれの種類の交換可能部材13を収納しておくかの規則が予め定められていたりしてもよい。この場合、印刷制御部11は予めその規則を記憶しておき、作業者はその規則に従って収納領域103に搬送治具及び交換可能部材13を収納すれば、印刷制御部11が読取処理を行わなくてもよい。
上述した実施形態では、印刷装置10が読取部97を備えていたが、これに限らず例えば収納装置100が読取部97を備えていてもよい。この場合、印刷制御部11の代わりに収納制御部106が上述した読取処理を行って、取得した情報を印刷制御部11に出力してもよい。この場合も、印刷制御部11による印刷処理を停止することなく収納制御部106が読取処理を行うことができる。
上述した実施形態では、搬送治具で搬送される交換可能部材13については搬送治具にバーコードが付されていたが、これに限らず交換可能部材13にバーコードが付されていてもよい。また、上述した実施形態ではバーコードが搬送治具及びスクリーンマスク55に付されていたが、バーコードに限らず2次元コードなどが付されていてもよい。
上述した実施形態では、印刷装置10は、5種の交換可能部材13のうち4種の移動に共通の移動機構として印刷移動部22を有していたが、これに限らず5種全ての移動に共通の移動機構を有していてもよい。例えば、載置部材移動機構89が交換モジュール81及び載置部材84の突出状態と非突出状態とを切り替えたが、この切り替えを搬送ロッド38が行うようにしてもよい。例えば搬送ロッド38が交換モジュール81と同じ高さまで下方に突出するように構成して、印刷移動部22により搬送ロッド38を前後に移動させることで突出状態と非突出状態とを切り替えてもよい。この場合、印刷移動部22は交換可能部材13のうち5種全ての移動に共通の移動機構となる。また、印刷装置10は、スキージ30,スクリーンマスク55及び基板支持部材70のうちスキージ30を含む2種以上の部材の移動に共通の移動機構(例えば印刷移動部22,搬送ロッド38及び搬送レール53)を有していてもよい。あるいは、印刷装置10は、スキージ30,スクリーンマスク55,基板支持部材70及び清掃部材82のうちスキージ30と清掃部材82との少なくとも一方を含む2種以上の部材の移動に共通の移動機構(例えば印刷移動部22及び搬送ロッド38)を有していてもよい。
上述した実施形態では、印刷制御部11は交換処理ルーチンにおいてスキージ交換処理を行う前にマスク搬出処理を行ったが、これに限られない。例えば、スクリーンマスク55を退避させなくともスクリーンマスク55よりも前方の領域でスキージ搬送治具110とスキージ固定部24とがスキージ30の受け渡しを行うことができる場合には、印刷制御部11はスキージ交換処理の前にマスク搬出処理を行う必要はない。
上述した実施形態では特に説明しなかったが、印刷制御部11は、交換処理ルーチンの開始時に、読取処理で取得した情報に基づいて、必要な交換用の交換可能部材13が全て収納装置100に収納されているか否かを判定してもよい。そして、印刷制御部11は、必要な交換用の交換可能部材13が収納されていないと判定したときには、表示操作部98と管理PC150との少なくとも一方にその旨を示すエラー情報を出力して、作業者に交換可能部材13が不足していることを報知してもよい。なお、印刷制御部11は、必要な交換用の交換可能部材13が収納されていないと判定したときに、その交換可能部材13以外の種類の交換可能部材13の交換処理を行ってもよい。例えば、印刷制御部11は、交換用のカートリッジ49が収納装置100に収納されていない場合でも、他の4種の交換可能部材13のいずれかの交換処理が必要な場合には、それらの交換処理を実行してもよい。こうすれば、作業者が不足している交換可能部材13を用意している間に、他の交換可能部材13の交換処理を行うことができる。
上述した実施形態では、収納装置100は収納制御部106を備えており、印刷制御部11は収納制御部106に指令を出力することで間接的に収納装置100を制御したが、これに限らず収納制御部106を省略してもよい。この場合、例えば印刷制御部11が通信により搬送コンベア104及びコンベア昇降部105を直接制御すればよい。
上述した実施形態では、収納装置100は移動部を備え作業者により移動可能としたが、これに限らず移動部を備えなくてもよい。また、収納装置100は、移動部を駆動する駆動機構を有する自走可能なAGV(Automatic Guided vehicle:無人搬送車)として構成されていてもよい。この場合、収納装置100が交換用の交換可能部材13が保管された場所に移動して、交換用の交換可能部材13を収納部102に自動で収納してもよい。
上述した実施形態では、主に段取り替えを行う場合の交換可能部材13の交換について説明したが、交換タイミングはこれに限られない。例えばカートリッジ49及び清掃部材82などの消耗品については、例えば残量を検出するセンサが消耗品切れを検出したときに、印刷制御部11が交換処理を行ってもよい。
上述した実施形態では、印刷装置10は5種の交換可能部材13すべての自動交換を収納装置100との間で行ったが、これに限られない。例えば交換可能部材13のうち1種以上について、印刷装置10自身が交換用の交換可能部材13を取り付け可能なホルダを2以上有していてもよい。この場合、少なくとも1つのホルダに交換用の交換可能部材13を作業者が取り付けておき、少なくとも1つのホルダを空き状態にしておけば、印刷装置10がホルダとの間で自動交換を行うことができる。このように、印刷装置10は、交換可能部材13のうち1種以上について搬出入を伴わない交換処理を行ってもよい。
上述した実施形態では、収納装置100は、スクリーンマスク55以外の交換可能部材13についてはいずれも搬送治具に取り付けた状態で収納部102に収納していたが、ホルダに取り付けた状態で収納していればよい。例えば、収納装置100は、搬送コンベア104による搬送が不可能なホルダに取り付けた状態でスクリーンマスク55以外の1種以上の交換可能部材13を収納していてもよい。こうしても、印刷装置10が収納装置100との間で交換可能部材13の受け渡しを行う機構を有していれば、上述した実施形態と同様に自動交換を行うことができる。例えば、上述した実施形態の収納装置100では、カートリッジ49及び交換モジュール81については収納装置100が前後の搬送を行わなくとも自動交換が可能であるため、カートリッジ49と交換モジュール81との少なくとも一方は搬送治具ではなく固定されたホルダに取り付けられていてもよい。
上述した実施形態では、印刷装置10は5種の交換可能部材13すべての自動交換を行うことができるように構成されているが、これに限らずスクリーンマスク55以外の少なくとも1種を含む1種以上の交換可能部材13の自動交換を行うように構成されていてもよい。また、印刷装置10が5種の交換可能部材13のうち2〜4種の自動交換が可能な場合、自動交換可能な交換可能部材13は5種のうちどのような組み合わせを選択してもよい。また、5種の交換可能部材13のうち1種以上4種以下の部材が、作業者による交換も行われない(すなわち交換可能部材ではない)ように構成されていてもよい。また、印刷装置10は、5種の交換可能部材13のうち1以上を備えていなくてもよい。例えば、印刷装置10は清掃部材82を含む清掃部80を備えていなくてもよい。
本開示の印刷装置及び収納装置は、以下のように構成してもよい。
本開示の印刷装置において、前記移動部は、前記交換可能部材に含まれる2種以上の部材を移動させる共通の移動機構を有していてもよい。こうすれば、この印刷装置は、交換可能部材のうち2種以上の部材の各々の自動交換を同じ移動機構を用いて行うことができる。したがって、この印刷装置は、例えば印刷装置が交換可能部材の種別毎に別々の移動機構を備える場合と比較して、装置構成をコンパクトにすることができる。
本開示の印刷装置は、前記交換可能部材に含まれる2種以上の部材に共通して、該部材及び該部材の搬送治具の少なくとも一方に付された識別情報を読み取る読取部を備えていてもよい。こうすれば、この印刷装置は、識別情報を読み取ることで交換可能部材を識別できるため、より適切に交換処理を行うことができる。また、この印刷装置は、2種以上の部材の各々の識別情報を同じ読取部で読み取るため、例えば印刷装置が交換可能部材の種別毎に別々の読取部を備える場合と比較して、装置構成をコンパクトにすることができる。
この場合において、前記印刷装置は、前記交換可能部材を収納する収納装置との間で前記交換可能部材の搬出入が可能であり、前記交換制御部は、前記収納装置に収納された前記交換可能部材のうち1種以上の識別情報を、前記印刷処理中に前記読取部に読み取らせてもよい。こうすれば、この印刷装置は、交換処理前に交換可能部材のうち1種以上の識別情報を予め読み取ることができる。そのため、この印刷装置は、例えば交換処理中に全ての交換可能部材の識別情報の読み取りを行う場合と比べて、交換処理を短時間で行うことができる。
この場合において、前記交換制御部は、前記印刷処理中に前記交換可能部材のうち1種以上の識別情報を前記読取部に読み取らせるにあたり、前記収納装置に収納された前記交換可能部材を該読取部が読取可能な位置まで移動させるよう、前記収納装置に指令を出力してもよい。こうすれば、収納装置に収納されたままでは読取部が識別情報を読み取れない場合でも、交換制御部が収納装置に交換可能部材を移動させることで、読取部が識別情報を読み取ることができる。また、識別情報の読み取りは印刷処理中に行われるため、読取のために収納装置が交換可能部材を移動させても交換処理の所要時間への影響が少ない。
本開示の収納装置は、
印刷対象に対してスクリーンマスクを用いて粘性流体の印刷処理を行う印刷装置で用いられる部材であって、前記粘性流体を収容するカートリッジと、スキージと、前記スクリーンマスクの清掃に用いられる清掃部材と、前記スクリーンマスクと、前記印刷対象を固定する支持部材と、のうち前記カートリッジと前記スキージと前記清掃部材との少なくともいずれか1種を含む2種以上の交換可能部材を収納する収納部と、
前記収納部と前記印刷装置との間で前記交換可能部材のうち1種以上の搬出入を行う搬送部と、
を備えたものである。
この収納装置は、2種以上の交換可能部材を収納し、印刷装置との間で交換可能部材のうち1種以上の搬出入を行う。そのため、印刷装置は作業者とではなくこの収納装置との間で交換可能部材の受け渡しを行えばよいから、印刷装置が交換可能部材の自動交換を行いやすくなる。この収納装置は、上述したいずれかの態様の本開示の印刷装置との間で交換可能部材の受け渡しを行ってもよい。なお、収納装置の搬送部が搬送を行わない交換可能部材が存在する場合、その交換可能部材の搬送は印刷装置側の機構により行ってもよい。
本開示の収納装置は、前記収納部を昇降する昇降部、を備え、前記収納部は、前記交換可能部材の少なくとも1種を収納する収納領域を上下方向に複数段有していてもよい。こうすれば、複数段の収納領域の各々が交換可能部材を収納できるから、収納部は2種以上の交換可能部材を収納しやすい。また、昇降部が、印刷装置との間で交換可能部材を受け渡す際の交換可能部材の高さを調整できるから、この収納装置は印刷装置毎や交換可能部材の種別毎に適切な高さで交換可能部材の受け渡しを行うことができる。
この場合において、前記収納部は、前記交換可能部材のうち前記印刷装置への搬入高さが最も高い部材を複数段の前記収納領域のうち最上段に収納するか、前記交換可能部材のうち前記印刷装置への搬入高さが最も低い部材を複数段の前記収納領域のうち最下段に収納するか、の少なくとも一方を行うように構成されていてもよい。こうすれば、例えば搬入高さが最も高い部材を複数段の収納領域のうち最上段に収納する場合には、最上段以外に収納する場合と比較して、昇降部に必要とされる昇降範囲を小さくしやすい。同様に、例えば搬入高さが最も低い部材を複数段の収納領域のうち最下段に収納する場合には、最下段以外に収納する場合と比較して、昇降部に必要とされる昇降範囲を小さくしやすい。
本開示の収納装置は、前記収納部を昇降する昇降部、を備え、前記収納部は、前記交換可能部材のうち1種以上の部材を、ホルダに取り付けた状態で収納し、前記昇降部は、前記収納部の昇降により前記ホルダを昇降させることで、前記印刷装置から受け取る前記交換可能部材を該ホルダに取り付けるか、該ホルダに取り付けられた前記交換可能部材を該ホルダから取り外して印刷装置に渡すか、の少なくとも一方を行ってもよい。こうすれば、収納部を昇降させる昇降部が、収納装置と印刷装置との間での交換可能部材の受け渡しを行う機構を兼ねることができる。なお、ホルダは収納部に固定されていてもよいし、搬送可能であってもよい。例えば搬送部で搬送可能な搬送治具が有するホルダに交換可能部材が取り付けられていてもよい。