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JP6742122B2 - かつらの製造方法及びかつら - Google Patents

かつらの製造方法及びかつら Download PDF

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JP6742122B2 JP2016062298A JP2016062298A JP6742122B2 JP 6742122 B2 JP6742122 B2 JP 6742122B2 JP 2016062298 A JP2016062298 A JP 2016062298A JP 2016062298 A JP2016062298 A JP 2016062298A JP 6742122 B2 JP6742122 B2 JP 6742122B2
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Description

本発明は、かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらの製造方法及びそのかつらに関する。
一般に、かつらは、かつらベースに人工毛などの毛髪を結着により植毛することで製作されている。
この毛髪の植毛方法においては、巻き数が1回のツイストハーフノットと呼ばれる結着方法や、巻き数が2回のツーアンドハーフノットと呼ばれる結着方法などが知られている。
ツイストハーフノットのように巻き数が少ない植毛方法の場合、結び目は小さく目立ちにくいため自然な外観を提供できるが、結び目が解け易いために毛髪が抜け易い問題がある。
このような問題に対し、ツーアンドハーフノットは、ツイストハーフノットに比べ巻き数を増やしていることで、比較的結び目を解けにくくできるが、その分結び目が大きくなって目立ち易くなる問題がある。
そこで、このような結び目に関する問題を解決するため、2層のかつらベースを備えたかつらの製造方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、網地(ネット)の表側にスキン網を重ねた2層構造のかつらベースを備え、網地に毛髪を結着させた後、この毛髪をスキン網に通して表側に引き出す「引抜き」と呼ばれる植毛方法(手編み方法)が記載されてある。
このような植毛方法によれば、網地に形成された結び目がスキン網により覆われるため、巻き数を問わず結び目を目立たなくすることができる。
特開2006−132072号公報
しかしながら、上述した「引抜き」の植毛方法は、毛髪を網地に結着するだけでなく、結着した毛髪を網地とは別のスキン網から引き出すといった、煩雑な作業が増える。
また、毛髪を抜け難くするため、巻き数の多い植毛方法を採用する場合には、結着時の作業が増えるため、この場合は、さらに煩雑になる。
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、自然な見た目で毛髪が抜け難いかつらを簡易に製作することができるかつらの製造方法及びそのかつらの提供を目的とする。
この目的を達成するため、本発明のかつらの製造方法は、かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらの製造方法であって、毛髪の結び目から延出される当該毛髪の対が、かつらベースの表側を向くように毛髪をかつらベースに結着する第一工程と、毛髪の対のうちの一方を、結び目の近傍から裏側に通し、所定の間隔を隔てた箇所から表側に引き出す第二工程と、を有するようにしている。
また、本発明のかつらは、かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらであって、かつらベースは、毛髪の結び目から延出される当該毛髪の対が、当該かつらベースの表側を向くように前記毛髪を結着し、毛髪の対のうちの一方は、結び目の近傍から裏側に通し、所定の間隔を隔てた箇所から表側に引き出すようにしている。
本発明によれば、自然な見た目で毛髪が抜け難いかつらを簡易に製作し、提供することができる。
本発明の実施形態に係るかつらの平面図である。 本発明の実施形態に係る毛髪の植毛方法を示す図である。 (a)は、図2(6)に示す毛髪を横方向から見た様子を示す図であり、(b)は、図2(10)に示す毛髪を横方向から見た様子を示す図である。 本発明に係る植毛方法と従来の植毛方法とを比較した比較表である。 (a)及び(b)は、本発明の植毛方法により製作されたかつらに対しシャンプーテストを実施したときの実施前及び実施後の写真である。(c)及び(d)は、従来の植毛方法により製作されたかつらに対しシャンプーテストを実施したときの実施前及び実施後の写真である。
以下、本発明のかつらの製造方法及びかつらの実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るかつら1は、かつらベース2と、このかつらベース2に植毛する毛髪5とを備えている。
かつら1は、かつら装着者の頭部のほぼ全体を覆う全頭用の用途でもよく、頭部の一部を覆う部分用の用途であってもよい。
かつらベース2は、毛髪を植毛するベース部材であり、上記用途に合わせて全体の形状が形成されている。
本実施形態のかつらベース2は、図1に示すように、部位に応じて、本体部2aと、周縁部2bと、分け目部2cと、に分かれて構成されている。
本体部2aは、かつらベース2の本体部分であり、フィラメントなどの地糸22を織り込んだ網地21により構成することができる。例えば、本実施形態のように、地糸22を縦方向及び横方向に格子状に織り込むことで複数の角目状の網目23が配列された網地21を用いることができる(図2参照)。
周縁部2bは、本体部2aの周縁をなす部分であり、例えば、本体部2aの周縁を所定幅分折り返すことで構成することができる。
これにより、かつらベース2の周縁を強化して形状安定性を保つことができる。
周縁部2bは、これ以外にも、本体部2aと異なる素材の部材を接合したり、本体部2aとは網目のサイズや形状が異なる網地を接合して構成することもできる。
分け目部2cは、毛髪5の分け目に相当する部分であり、例えば、ウレタンなどの樹脂からなる人工皮膚を本体部2aの所定位置に接合して構成することができる。
毛髪5は、人工毛髪や加工人毛からなり、本体部2a、周縁部2bの網地21や、分け目部2cの人工皮膚に植毛することができる。
本実施形態では、網地21に毛髪5を植毛する植毛方法について、以下に説明する。
植毛方法は、第一工程と第二工程とを有している。
なお、この植毛方法では、適宜、棒状の植毛具6を用いて作業を行うようにしている。
この植毛具6は、毛髪5を引っ掛けやすいように端部が湾曲し、先端の内側に返しが施された鉤部61を形成している。
第一工程は、ツイストハーフノットと呼ばれる結着方法によって毛髪5をかつらベース2に結着する工程である。
具体的には、まず、図2(1)に示すように、結着の準備作業として、毛髪5を二つ折りにしてU字部5uを形成するとともに、植毛具6の鉤部61を、第一の網目23aの表側から挿入し、地糸22の裏側を跨いで、第二の網目23bの裏側から挿入して、鉤部61の先端を表側に突出させる。
次に、図2(2)に示すように、鉤部61にU字部5uを被せた後、この鉤部61を、U字部5uに引っ掛けながら第二の網目23b及び第一の網目23aから引き抜き、続けて、図2(3)に示すように、植毛具6を上方に動かすことで、U字部5uを所望の高さまで引き上げ、その後、図2(4)に示すように、植毛具6を回転させることでU字部5uの根元を捻り、ループ5Lを形成する。
続いて、図2(5)に示すように、鉤部61を、ループ5Lに挿入されている状態のまま、このループ5Lから延びる2本の毛髪5a,5bのうちの一方の毛髪5aに引っ掛け、その後、植毛具6を引くことによって、鉤部61に引っ掛けた毛髪5aをループ5Lから引き出す。
そして、ループ5Lから引き出した毛髪5aと毛髪5bを互いに引き絞ることで、図2(6)に示すように、毛髪5を地糸22に結着する。
これにより、図3(a)に示すように、地糸22に結び目5kが形成され、当該結び目5kから延出される毛髪5の対5a,5bをかつらベース2の表側に向けてV字状に形成することができる。
なお、第一工程の結着方法としてツイストハーフノットを例に挙げたが、これ以外にも、ツーアンドハーフノットやひばり結び等、一の結び目から毛髪5の対や複数本の毛髪5をかつらベース2の表側に向くように延出させることが可能な結着方法であれば特に制限なく適用することができる。
第二工程では、かつらベース2の表側に向けて延出されている毛髪5の対5a,5bのうち、一方の毛髪5aを、結び目5kの近傍から裏側に通し、所定の間隔を隔てた箇所から表側に引き出す。
具体的には、図2(7)に示すように、植毛具6の鉤部61を、第三の網目23cから通した後第一の網目23aから表側に突出させ、図2(8)に示すように、鉤部61で毛髪5aを巻き込みつつ、図2(9)に示すように、植毛具6を引き抜く。
このような簡易な作業によって、毛髪5aは、結び目5kの近傍の第一の網目23aから裏側に通され、当該毛髪5aが流れる方向に沿って所定の間隔(網目2個分)を隔てた第三の網目23cから表側に引き出される。
このようにすると、図2(10)及び図3(b)に示すように、結び目5kから延出する毛髪5の対5a,5bのうち、毛髪5aをかつらベース2側に傾かせ、毛髪5bをより垂直に立たせることができる。
すなわち、第一工程における結着によって、結び目5kからは2本の毛髪5a,5bがV字状(二股)に延出され、かつらベース2に対してそれぞれ所定の角度(θ)で立たせることができる(図3(a)参照)が、本発明の植毛方法は、この状態から、一方の毛髪5aを、その根元からかつらベース2の裏側に通し、毛髪5aの流れに沿って相当の長さ部分をくぐらせて表側に出す第二工程を加えている。
これにより、毛髪5aは、その根元を含めた相当部分がかつらベース2により押さえ付けられて当該かつらベース2側に傾けられ、これに伴って結び目5kが傾く。そうすると、結び目5kから延出されている他方の毛髪5bの延出方向も傾き、この結果、毛髪5bを元の角度(θ)よりも垂直な角度(θ’>θ)で立たせることができる(図3(b)参照)。
このため、毛髪5bによってボリューム感を出すことができる。
また、上述した第一工程や第二工程は、ともに単層のかつらベース2に対して行われる簡易な作業であるため、複層のかつらベースの場合に比べ簡易にかつら1を製作することができる(前述の特許文献1参照)。
また、毛髪5aの相当部分をかつらベース2の裏側をくぐらせた後に表側に延出させることで、毛髪5aをかつらベース2側に大きく傾かせることができる。
これにより、毛髪5aをかつらベース2の表面に沿って寝かすことができ、自然な毛髪5の流れを形成することができる。
このため、例えば、頭頂部と側頭部・後頭部との境界近傍において、頭頂部側に植毛した毛髪5bによってボリューム感を出しつつ、側頭部側や後頭部側に植毛した毛髪5aによって自然な毛髪5の流れを形成することができる。
また、毛髪5aは、相当部分がかつらベース2の裏面と当接していることから、その部分は、摩擦を伴いつつ、かつらベース2により押さえつけられている。
これにより、毛髪5aは、結び目5kの方向に戻りにくくなることから、結び目5kを解けにくくすることができる。すなわち、仮に、毛髪5aに対し結び目5kの方向に向かう力が働いた場合には、かつらベース2との摩擦により、毛髪5aの延出方向に向けて引っ張る力が作用する。
このため、巻き数の少ない結着方法であっても、毛髪5を抜け難くすることができ、併せて、結び目5kを目立ちにくくすることができる。
加えて、このように、毛髪5aを結び目5kの方向に戻りにくくして固定することで、結び目5kの傾いた状態を維持することができ、この結果、毛髪5bの立っている状態を安定的に維持することができる。
さらに、手指やブラシ等により毛髪5aを梳くことによって、当該毛髪5aをその延出方向に引っ張ることができ、これにより、結び目5kを傾いた状態で維持することができる。
このため、このような日常的な動作によっても、毛髪5bが立っている状態を簡易に維持させることができる。
次に、本発明に係る植毛方法の従来の植毛方法と比較した特徴について、図4の比較表を参照しながら説明する。
具体的には、従来の植毛方法として、「ツイストハーフノット」、「ツーアンドハーフノット」、「引抜き」と比較した場合について説明する。
なお、「ツイストハーフノット」は、本発明の第一工程のみに相当する結着方法による植毛方法である(図2(1)〜(6),図3(a)参照)。
「ツーアンドハーフノット」は、「ツイストハーフノット」の巻き数が1回であるのに対し、巻き数が2回の結着による植毛方法である(図示省略)。
「引抜き」は、かつらベースを2層備え、下層のかつらベースに毛髪を結着し、当該結着した毛髪を、上層のかつらベースから引き抜く植毛方法である(特許文献2参照)。この場合の結着方法は、例えば、「ツイストハーフノット」や「ツーアンドハーフノット」を用いることができる。
なお、図4の各数値は、数値が大きいほど良好な効果を奏することを示している。
図4に示すように、本発明の植毛方法の「立ち上がり」は、数値が「10」であり、A〜C欄と比較するとわかるように、従来の植毛方法に比べ良好である。
これは、図3(b)に示すように、本発明の植毛方法が、V字状に毛髪5a,5bを立ち上げる従来の植毛方法(図3(a)参照)に加え、一方の毛髪5aを傾けることで、他方の毛髪5bをより垂直に立ち上げるようにしたからである。
また、本発明の植毛方法の「結び目の目立ちにくさ」は、数値が「8」であり、A〜B欄と比較するとわかるように、「ツイストハーフノット」と同等であり、「ツーアンドハーフノット」に比べ良好であり、
これは、本発明の植毛方法は、結び目5kの巻き数が「ツイストハーフノット」と同じく1回であり(図2参照)、結び目の巻き数が2回の「ツーアンドハーフノット」に比べ、結び目5kを小さくして目立ちにくいようにしているからである。
また、本発明の植毛方法の「植毛時間」は、数値が「8」であり、C欄と比較するとわかるように、「引抜き」に比べ良好である。
これは、本発明の植毛方法は、単層のかつらベース2に対する比較的簡易な作業で済むのに対し、「引抜き」の場合、下層のかつらベースに毛髪を結着する工程に加え、結着した毛髪を上層のかつらベースから引き抜く工程等、層ごとに煩雑な作業が必要であるからである。
また、本発明の植毛方法の「抜け難さ」は、数値が「9」であり、A欄と比較するとわかるように、「ツイストハーフノット」に比べ良好である。
これは、本発明の植毛方法は、図2(10)や図3(a)に示すように、かつらベース2の裏側に毛髪5aを通すことで、当該毛髪5aを当該かつらベース2により押さえ付けるようにしており、これにより、毛髪5aが、結び目5kの方向に戻りにくくして当該結び目5kが解けにくいようにしているからである。
図5(a)及び(b)は、本発明の植毛方法により製作されたかつら1に対しシャンプーテストを実施したときの実施前及び実施後の写真であり、図5(c)及び(d)は、従来の植毛方法としてツイストハーフノットにより製作されたかつらに対しシャンプーテストを実施したときの実施前及び実施後の写真である。
従来の植毛方法の場合、図5(c)及び(d)に示すように、毛髪の結び目が緩んでいる箇所が散見された(図5(d)の点線部分参考)。
これに対し、図5(a)及び(b)に示すように、本発明の植毛方法により毛髪5が植毛されたかつら1の場合、結び目5kが緩んでいる箇所や毛髪が抜けている箇所は見あたらなかった。
このように、本発明のかつらの製造方法及びかつらによれば、自然な見た目で毛髪が抜け難いかつらを簡易に製作し提供することができる。
以上、本発明のかつら及びかつらの製造方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明のかつら及びかつらの製造方法は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、網地21のかつらベース2に毛髪5を植毛する場合について説明したが、分け目部2cに用いられるウレタンなどの樹脂からなる人工皮膚に対しても、本発明の植毛方法により毛髪5を植毛することもできる。
また、角目状の網目23が配列された網地21を例示したが、網目23の形状は、三角形、六角形など、どのような形状であっても良い。
また、上述した実施形態では、毛髪5aを結び目5kに隣接する第一の網目23aから裏側に通し、網目2個分を隔てた第三の網目23cから表側に出すようにしているが、第一の網目と第三の網目の間隔を、網目3個分以上にすることもできる。
また、この場合、毛髪5aを、網目ごとに裏→表→裏→・・・といったように交互にくぐらせて布設することができる。
また、植毛具6を用いた人手による植毛ではなく、上記植毛方法がプログラミングされた植毛装置によって自動的に植毛を行うことができる。
本発明は、かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらやかつらの製造方法に好適に利用することが可能である。
1 かつら
2 かつらベース
2a 本体部
2b 周縁部
2c 分け目部
21 網地
22 地糸
23 網目
23a 第一の網目
23b 第二の網目
23c 第三の網目
5 毛髪
5a 一方の毛髪
5b 他方の毛髪
5u U字部
5L ループ
5k 結び目
6 植毛具
61 鉤部

Claims (3)

  1. かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらの製造方法であって、
    前記毛髪の結び目から延出される当該毛髪の対が、前記かつらベースの表側を向くように、前記毛髪を前記かつらベースに結着する第一工程と、
    前記毛髪の対のうちの一方を、前記結び目の近傍から裏側に通し、所定の間隔を隔てた箇所から表側に引き出す第二工程と、を有する
    ことを特徴とするかつらの製造方法。
  2. 前記かつらベースは、複数の網目が配列された網地からなり、
    前記第一工程は、前記毛髪の結び目から延出される当該毛髪の対が、前記網地の表側を向くように、前記毛髪を前記網地に結着し、
    前記第二工程は、
    前記毛髪の対のうちの一方を、前記結び目の近傍の網目から裏側に通し、所定の間隔を隔てた網目から表側に引き出す
    ことを特徴とする請求項1に記載のかつらの製造方法。
  3. かつらベースに毛髪を植毛してなるかつらであって、
    前記かつらベースは、複数の網目が配列されてなり、
    前記毛髪の結び目から延出される当該毛髪の対が、当該かつらベースの表側を向くように前記毛髪を結着し、
    前記毛髪の対のうちの一方は、前記結び目の近傍から裏側に通し、少なくとも1つの網目を隔てた箇所から表側に引き出している
    ことを特徴とするかつら。
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