JP6740760B2 - エレクトロクロミック装置 - Google Patents
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Description
ここで、例えば、長期間の温湿度環境におけるエージングに伴い、水分や酸素といった活性化物質の浸入が起こり、駆動部内における前記エレクトロクロミズムに、動作ムラや動作不良を生じるといった不具合がある。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本実施形態に係るエレクトロクロミック装置を図1に示す。図1のエレクトロクロミック装置10には、第1の支持基板11と、第1の支持基板11上に形成された第1の電極層12と、第1の電極層12に対向するように形成された第2の電極層14と、第1の電極層12と第2の電極層14との間に形成されたエレクトロクロミック層13と、第1の支持基板11に対向するように形成された第2の支持基板15と、第1の支持基板11と第2の支持基板15との間の領域に形成され、エレクトロクロミック層13の側面に接するように形成された封止層16が図示されている。そして、封止層16内に、エレクトロクロミック装置10の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材17が形成されており、金属部材17は第1の支持基板11及び第2の支持基板14と接するように形成されている。
その他の層としては、例えば、第1の電極層12と第2の電極層14の間に充填され、エレクトロクロミック層13に接するように設けられた固体電解質層や、その他にも劣化防止層、剥離層が挙げられ、また、支持基板の外側に設けられた保護層などが挙げられる。
第1及び第2の支持基板は、第1の電極層12、エレクトロクロミック層13、電解質層、第2の電極層14、及び封止層16を支持する機能を有する。
前記第1及び第2の支持基板としては、例えば、ガラスなどの無機基板を用いてもよいし、ステンレスなどの金属基材を用いてもよいし、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂基板を用いてもよい。
第1の電極層12及び第2の電極層14の材料としては、透明導電性酸化物材料が好適であり、例えば、スズをドープした酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素をドープした酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンをドープした酸化スズ(以下、「ATO」と称する)などが挙げられる。これらの中でも、真空成膜により形成されたインジウム酸化物(以下、「In酸化物」と称する)、スズ酸化物(以下、「Sn酸化物」と称する)、及び亜鉛酸化物(以下、「Zn酸化物」と称する)のいずれか1つを含む無機材料が望ましい。
第1の電極層12及び第2の電極層14の材料としてITO真空製膜を用いた場合、第1の電極層12及び第2の電極層14の各々の厚みは、20nm〜500nmが望ましく、50nm〜200nmがより望ましい。
前記金属材料としては、例えば、Pt、Ag、Au、Cr、ロジウム、Al又はこれらの合金、あるいはこれらの積層構成などが挙げられる。
エレクトロクロミック層13はエレクトロクロミック材料を含む層である。
前記エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック化合物及び有機エレクトロクロミック化合物のいずれであっても構わない。また、エレクトロクロミズムを示すことで知られる導電性高分子を用いてもよい。
前記有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、ビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどが挙げられる。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、又はそれらの誘導体などが挙げられる。
また、n、m、及びlは、それぞれ独立に0、1、又は2を表し、A、B、及びCは、各々独立に置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、及び複素環基のいずれかを表す。
前記エレクトロクロミック層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜5.0μmが望ましい。前記厚みが、0.2μm未満であると、発色濃度が得られにくくなることがあり、5.0μmを超えると、製造コストが増大するとともに、着色によって視認性が低下しやすくなることがある。
前記電解質層は、電解質層の層厚を制御する無機微粒子が混合された固体電解質層が望ましい。
前記固体電解質層の材料としては、オキシエチレン鎖やオキシプロピレン鎖等のオキシアルキレン鎖を有するマトリックスポリマーとイオン性液体との固溶体を含むことが望ましい。均一な電解質層を形成することにより、良好な酸化還元反応が得られる。
なお、前記無機微粒子はエレクトロクロミック層中に混合してもよい。
前記電解質層は、前記無機微粒子と硬化型樹脂と電解質とを混合した溶液としてエレクトロクロミック層13上に塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることが望ましいが、予め多孔質の無機微粒子層を形成した後、前記無機微粒子層に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液として塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。更に、エレクトロクロミック層13が導電性又は半導体性ナノ粒子にエレクトロクロミック化合物が担持された層である場合は、エレクトロクロミック層13に浸透するように、硬化型樹脂及び電解質を混合した溶液を塗布した後、光又は熱で硬化した膜とすることもできる。
前記電解質の材料としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3COO、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2などが挙げられる。
有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造がある。
前記分子構造は、カチオン成分とアニオン成分とからなる。
封止層16は、エレクトロクロミック装置の側面部を物理的及び化学的に保護するように形成されている。封止層16は、例えば、紫外線硬化性や熱硬化性の絶縁性樹脂等を、第1の支持基板11の上面に塗布した後に、金属部材17を設置し、第1の支持基板11と対向する第2の支持基板15で挟み込んだ状態で押圧した状態で、紫外線透過性を有する第1又は第2の支持基板側から紫外線を照射することや、加熱することで硬化させて得られる。また、金属部材17を設置した後に、絶縁性樹脂層を塗布してもよく、側面及び/又は上面を覆うように塗布し、その後硬化させることにより形成できる。
前記無機材料としては、絶縁性、透明性、耐久性が高い材料が望ましく、具体的な材料としては、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、錫などの酸化物又は硫化物、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの膜はスパッタ法や蒸着法などの真空製膜プロセスで容易に形成することができる。
金属部材17は封止層16内に形成されており、金属部材17は第1の支持基板11及び第2の支持基板15と接するように形成されている。
金属部材17は本実施形態のエレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有している。
また、封止層16内に形成された金属部材17は、前記2つの支持基板と、エレクトロクロミック層の外周に隙間なく接していることが望ましい。
Ni−Ti合金である場合、前記Ni−Ti合金中、Niを55〜57質量%含むことが望ましい。
Ni−Ti−Co合金である場合、前記Ni−Ti−Co合金中、Niを53〜55質量%含み、Coを1〜3質量%含むことが望ましい。
第2の電極層14に接して、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に対して逆の電気化学反応する劣化防止層を有することが望ましい。前記劣化防止層は第2の電極層14が電気化学反応により劣化することを抑制する。特に、エレクトロクロミック層13の酸化還元反応に対して逆の電気化学反応する劣化防止層が形成されていることが望ましい。これは、駆動電圧を低減できるためである。
前記劣化防止層の材料としては、例えば、酸化アンチモン錫、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、又はそれらを複数含む導電性又は半導体性金属酸化物を用いることができる。更に、前記劣化防止層の着色が問題にならない場合は、エレクトロクロミック層13におけるエレクトロクロミック材料と同じものを用いることができる。
前記n型半導体性金属酸化物としては、100nm以下の一次粒子径粒子からなる、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、又はそれらを複数含む化合物粒子、あるいは混合物を用いることができる。
これらの有機高分子材料としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)に系材料、ビス(ターピリジン)類と鉄イオンの錯形成ポリマーなどが挙げられる。
次に、第2の実施形態に係るエレクトロクロミック装置20について図5を用いて説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
次に、第3の実施形態に係るエレクトロクロミック装置30について図6を用いて説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
次に、第4の実施形態に係るエレクトロクロミック装置40について図7を用いて説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
絶縁層19としては、無機層や、電気絶縁性に優れた樹脂材料を用いることができる。
次に、第5の実施形態に係るエレクトロクロミック装置50について図8を用いて説明する。第5の実施形態では、第1の実施形態とは層構成の異なるエレクトロクロミック装置を例示する。なお、本実施形態において、既に説明した上記の実施形態と同一の構成部品についての説明は省略する場合がある。
<エレクトロクロミック装置の作製>
実施例1は、図1に示すエレクトロクロミック装置10を作製する例を示す。
まず、第1の支持基板11として最大長軸長さ80mm×最大短軸長さ55mm、厚み0.5mmの楕円ポリカーボネート基板を準備した。
前記第1の支持基板上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第1の電極層12を形成した。
次に、前記ITO膜の表面に酸化チタンナノ粒子分散液(商品名:SP210、昭和タイタニウム株式会社製、平均粒子径:20nm)をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmの酸化チタン粒子膜からなるナノ構造半導体材料を形成した。
続いて、下記構造式(A)で表されるエレクトロクロミック化合物を1.5質量%含む2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をスピンコート法により塗布した後、120℃で10分間アニール処理を行うことにより、前記酸化チタン粒子膜に担持(吸着)させて、エレクトロクロミック層13を形成した(厚み約1.0μm)。
次に、積層体の平面部に、紫外線硬化接着剤(商品名:TB3035B、スリーボンド社製)を滴下し、未硬化状態の紫外線硬化接着剤に、金属部材17(商品名:株式会社吉見製作所製、形状記憶合金ワイヤー・メタルライン 0.03φ×12m)を形成した。
第2の支持基板15として前記第1の支持基板11と同形状及び同厚みのポリカーボネート基板を準備した。
第2の支持基板15上に、ITO膜をスパッタ法により厚み約100nmに製膜して、第2の電極層14を形成した。
次に、前記ITO膜の表面にATO粒子分散液[ATO平均粒子径:20nm/2,2,3,3−テトラフロロプロパノールの6質量%溶液にウレタン系結着剤(HW140SF、DIC社製)を6質量%添加した分散液]をスピンコート法により塗布し、120℃で15分間アニール処理を行うことによって、厚み約1.0μmのATO粒子膜からなる劣化防止層を形成した。
続いて、前記第1の支持基板11上の絶縁性無機微粒子層表面に、ポリエチレンジアクリレート(PEG400DA 日本化薬社製)と、光重合開始剤(IRG184、BASF社製)と、電解質(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩)とを質量比(100:5:40)で混合した溶液を塗布し、第2の支持基板の劣化防止層面と貼り合わせ、紫外線(UV)硬化させて電解質層を形成した。
得られたエレクトロクロミック装置10の発消色を確認した。具体的には、第1の支持基板11の端部及び第2の支持基板15の端部の一部を剥離し、第1の電極層12のコンタクト部及び第2の電極層14のコンタクト部を形成し、前記第1の電極層12と前記第2の電極層14との間に、前記第1の電極層12がマイナス極となるように−1.6Vの電圧を3秒間印加させたところ、前記エレクトロクロミック装置10が上記構造式(A)のエレクトロクロミック化合物に由来するマゼンタ色に発色することが確認できた。
次に、前記第2の支持基板15上に、紫外線硬化接着剤(商品名:KARAYAD R604、日本化薬株式会社製)をスピンコートし、紫外光照射により硬化させることで保護層を3μmの厚みに形成した。
12 第1の電極層
13 エレクトロクロミック層
14 第2の電極層
15 第2の支持基板
16 封止層
17 金属部材
18 押圧部材
19 絶縁層
Claims (8)
- 第1の支持基板と、
前記第1の支持基板上に形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層に対向するように形成された第2の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成されたエレクトロクロミック層と、
前記第1の支持基板に対向するように形成された第2の支持基板と、
前記第1の支持基板と前記第2の支持基板との間の領域に形成され、前記エレクトロクロミック層の側面に接するように形成された封止層と、を有するエレクトロクロミック装置であって、
前記封止層内に、前記エレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材が形成されており、前記金属部材は前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板と接するように形成されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。 - 第1の支持基板と、
前記第1の支持基板上に形成された第1の電極層と、
前記第1の電極層に対向するように形成された第2の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成されたエレクトロクロミック層と、
前記第1の支持基板に対向するように形成された第2の支持基板と、
前記第1の支持基板と前記第2の支持基板との間の領域に形成され、前記エレクトロクロミック層の側面に接するように形成された封止層と、を有するエレクトロクロミック装置であって、
前記封止層内に、前記エレクトロクロミック装置の使用温度域内で形状記憶機能を有する金属部材が形成されており、前記金属部材は下記(a)〜(c)のいずれかとなるように形成されていることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
(a)前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層及び第1の絶縁層が形成されており、前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層及び第2の絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層と接するように形成されている。
(b)前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層が形成されており、前記金属部材は、前記第1の電極層と接するように形成されており、かつ、前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層及び絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記絶縁層と接するように形成されている。
(c)前記第2の支持基板と前記金属部材との間に前記第2の電極層が形成されており、前記金属部材は、前記第2の電極層と接するように形成されており、かつ、前記第1の支持基板と前記金属部材との間に前記第1の電極層及び絶縁層が形成されており、前記金属部材は、前記絶縁層と接するように形成されている。 - 前記第2の支持基板は、所望の波長域における透過性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記金属部材は合金であり、Ni−Ti合金又はNi−Ti−Co合金のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記Ni−Ti合金中、Niを55〜57質量%含むことを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記Ni−Ti−Co合金中、Niを53〜55質量%含み、Coを1〜3質量%含むことを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の各々において、互いに対向する面を内面とし、前記内面とは反対側の面を外面としたとき、前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板の外面の少なくとも一部に前記第1の支持基板及び前記第2の支持基板を押圧する押圧部材が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
- 前記金属部材は複数形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエレクトロクロミック装置。
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