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JP6637977B2 - 二次電池用負極活物質およびこれを用いた二次電池 - Google Patents

二次電池用負極活物質およびこれを用いた二次電池 Download PDF

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Description

本発明の実施例は、二次電池用負極活物質及びこれを用いた二次電池に関する。
従来リチウム電池の負極活物質としてはリチウム金属を使用したが、リチウム金属を使用する場合、デンドライト(dendrite)形成による電池短絡が発生して爆発の危険性があるため、リチウム金属の代わりに炭素系物質が負極活物質として多く使用されている。
前記炭素系活物質としては、グラファイト及び人造黒鉛のような結晶質系炭素とソフトカーボン(soft carbon)及びハードカーボン(hard carbon)のような非晶質系炭素がある。しかし、前記非晶質系炭素は容量が大きいものの、充放電過程で非可逆性が大きいという問題点がある。結晶質系炭素としては、グラファイトが代表的に使用され、理論限界容量が372mAh/gと容量が高くて負極活物質として用いられている。
しかし、このようなグラファイトやカーボン系活物質は、理論容量が多少高いとはいえ、380mAh/g程度に過ぎず、今後、高容量リチウム電池の開発時に上述した負極を使用できなくなるという問題点がある。
このような問題点を改善するために現在活発に研究されている物質が、金属系または金属間化合物(intermetallic compounds)系の負極活物質である。例えば、アルミニウム、ゲルマニウム、シリコン、スズ、亜鉛、鉛などの金属または半金属を負極活物質として活用したリチウム電池が研究されている。このような材料は、高容量かつ高エネルギー密度を有し、炭素系材料を用いた負極活物質より多いリチウムイオンを吸蔵、放出でき、高容量及び高エネルギー密度を有する電池を製造することができる。例えば、純粋なシリコンは4017mAh/gの高い理論容量を有すると知られている。
しかし、これを炭素系材料と比較すると、サイクル特性が低下してまだ実用化に障害となっているが、それは、負極活物質として前記シリコンなどをそのままリチウム吸蔵及び放出物質として使用する場合、充放電過程で体積変化によって活物質間の導電性が低下するか、負極集電体から負極活物質が剥離される現象が発生するからである。即ち、負極活物質に含まれた前記シリコンなどは、充電によってリチウムを吸蔵して、体積が約300〜400%に至るほどに膨張し、放電する場合にリチウムが放出されれば、無機質粒子は収縮するようになる。
このような充放電サイクルを繰り返すことになると、負極活物質のクラックによって電気的絶縁が発生することがあり、寿命が急激に低下するので、リチウム電池への使用に問題点を持っている。
このような問題点を改善するために、シリコン粒子としてナノサイズの粒子を使用したり、シリコンが多孔性を有するようにして、体積変化に対する緩衝効果を持たせる研究が行われた。
韓国公開特許第2004−0063802号は「リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびリチウム二次電池」に関するもので、シリコンとニッケルなどの他の金属を合金させた後、その金属を溶出させる方法を用いており、韓国公開特許第2004−0082876号は「多孔性シリコンおよびナノサイズシリコン粒子の製造方法とリチウム二次電池用負極材料への応用」に関するもので、粉末状態のアルカリ金属またはアルカリ土類金属とシリコンダイオキサイドなどのシリコン前駆体を混合して熱処理した後、酸で溶出させる技術が開示された。
前記特許は、多孔性構造による緩衝効果で初期容量維持率の向上はあるものの、単純に伝導性に劣る多孔性シリコン粒子のみを使用したので、粒子がナノサイズにならないと、電極製造時に粒子間の伝導度が低下して初期効率や容量維持特性が低下する問題を持つことになる。
本発明は、充放電時に体積変化が少なくて電気的絶縁が発生し難いリチウム二次電池用負極活物質を提供することにある。
また、本発明は、初期効率及び容量維持特性に優れたリチウム二次電池用負極活物質を提供するためのものである。
また、本発明は、電池設計において非晶質化度を考慮して最適化した負極活物質を提供するためのものである。
本発明の実施例は、下記の化学式からなる合金として、合金内マトリックス上微細結晶領域の非晶質化度が25%以上である二次電池用負極活物質を提供する。
SixTiyFezAlu(x、y、z、uは原子%であり、x:1−(y+z+u)、y:0.09〜0.14、z:0.09〜0.14、u:0.01超過0.2未満)
前記二次電池用負極活物質は、50サイクル後の膨張率が70〜150%の範囲である。
前記二次電池用負極活物質において原子%(at%)でAlが5〜19%の範囲を有することが好ましい。
前記二次電池用負極活物質において原子%(at%)でAlが10〜19%の範囲を有することが最も好ましい。
前記二次電池用負極活物質は、原子%(at%)でTiとFeがそれぞれ9〜12.5の範囲を有する。
前記二次電池用負極活物質は、TiとFeの割合が2:1〜1:2の範囲を有する。
前記二次電池用負極活物質は、TiとFeの割合が1:1の範囲を有することが好ましい。
前記二次電池用負極活物質は、50サイクル後の放電容量が初期放電容量対比90%以上である。
前記二次電池用負極活物質は、50サイクル後の効率が98%以上である。
本発明の他の実施例によれば、前記負極は50サイクル後の膨張率が70〜150%であり、下記の化学式からなる合金において合金内マトリックス上微細結晶領域の非晶質化度が25%以上の範囲を有し、原子%(at%)でSi:60〜70%、Ti:9〜14%、Fe:9〜14%、Al:5〜19%の範囲を有する負極活物質からなる二次電池を提供する。
式:SixTiyFezAlu(x、y、z、uは原子%(at%)、x:1−(y+z+u)、y:0.09〜0.14、z:0.09〜0.14、u:0.05〜0.19)
本発明によれば、充放電時に体積変化が少なくて電気的絶縁が発生し難く、初期効率及び容量維持特性に優れたリチウム二次電池用負極活物質を得ることができる。
また、本発明は、50サイクル後の膨張率を測定することで、電池設計において最適化した負極活物質の非晶質化度値を提供することができる。
比較例による負極活物質において50サイクル後の膨張特性を測定した組織写真図である。 比較例による負極活物質において50サイクル後の膨張特性を測定した組織写真図である。 比較例による負極活物質において50サイクル後の膨張特性を測定した組織写真図である。 本発明の実施例による負極活物質において50サイクル後の膨張特性を測定した組織写真図である。 本発明の実施例による負極活物質の非晶質化度測定を示したものである。
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示される実施例により限定されるものでなく、互いに異なる多様な形態で具現でき、以下の説明において、ある部分が他の部分と連結されているとするとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の媒体を間に置いて連結されている場合も含む。また、図面において本発明と関係のない部分は、本発明の説明を明確にするために省略しており、明細書全体を通じて類似する部分に対しては同一の図面符号を付している。
以下、添付された部面を参考して本発明に対して説明する。
本発明の実施例は、膨張率が向上した二次電池用負極活物質及びこれを含んだ二次電池を提供する。特に本発明の実施例では、二次電池用負極活物質において合金内マトリックス上微細結晶領域の非晶質化度が25%以上である負極活物質を得ることができる。
一般に、シリコン系負極活物質を研究する場合には、化成(Formation)工程以後、最初のサイクルの満充電時の極板の厚さが初期極板の厚さ(電解液注入前の極板の厚さ)に比べてどれ程増えたのかを測定する。言い換えれば、1サイクル以後の膨張率を測定することであるが、ここで負極活物質にリチウムが吸蔵することで発生する体積の変化が現れるようになる。
しかし、本発明の実施例では、上記の1サイクルではない50サイクルの間に充電と放電を繰り返した以後の厚さを測定して初期極板の厚さと比較した50サイクル後の膨張率を測定した。このような50サイクル後の膨張率測定を介してリチウムの吸蔵、放出による体積変化及び活物質表面で発生する副反応によって電解液が分解されながら積もるSEI(Solid Electrolyte Interface or Interphase)層の発生程度をモニタリングすることができる。
コインハーフセルを製作してシリコン系負極物質の特性を評価する場合、対極として使用するリチウムメタル電極が一般的に50サイクル以後には劣化し始めて結果に影響を及ぼすことになる。したがって、本発明の実施例では、50サイクル寿命評価後にコインセルを解体して極板厚さの変化を測定することで、単純なリチウム吸蔵による初期極板の膨張だけではなく、以後50サイクルの間の副反応層の成長による極板の膨張まで考慮して、負極活物質性能評価の指標とした。したがって、本発明の実施例では、50サイクル後の膨張率の変化が技術的に非常に意味のある性能評価指標であることを見出し、それによる最適の成分範囲を導出することができた。
一般に黒鉛の場合、非常に安定したSEI層が初期化成充電段階で発生し、初期充電段階以後には、極板の体積変化が20%以下の水準で発生するため、明らかな変化なしに初期充電段階でのSEI層がそのまま維持される傾向を見せる。しかし、シリコン系負極活物質は、極板の体積変化が大きいため、初期に活物質表面に発生したSEI層が活物質の収縮時に離れるにつれて新しい活物質表面が電解液に露出し、次の膨張時に前記表面に新しいSEI層が発生する現象が繰り返されて、非常に厚いSEI層である副反応層が発達する。
活物質の表面に積もった副反応層は、二次電池内で抵抗体の役割をしてリチウムの移動を妨げることになり、副反応層を形成するために電解液が消耗されることで、電池の寿命を短縮させる問題を引き起こし得る。また、副反応層の発達による極板の厚さの増加は、電池のゼリーロールに物理的変形を惹起して、一部面積の極板に電流が集中して電池が急速に劣化する現象を引き起こし得る。
既存のシリコン合金素材の場合、充電、放電を繰り返しながら活物質内部にマトリックス(Matrix)はそのままあり、シリコン部分のみ収縮、膨張することにより、マトリックスとシリコンとの間に亀裂が発生する場合がある。このような場合、亀裂内に電解液が浸透することで、電解液の副反応層が活物質の内部に生成されて活物質を分散させる現象が発見され、この際、50サイクル後の極板の厚さに急激な膨張が観察される。
このような現象は、1サイクル後の極板の厚さを測定するときには発見できない現象として、初期に優れた膨張率を持った物質であっても、実際電池に適用したときに電池内部抵抗の増加及び電解液の枯渇など、様々な問題が惹起し得る素材である可能性があることを示唆する。したがって、本実施例が提示している50サイクル後の極板膨張は、シリコン系負極活物質の開発時、活物質の膨張、収縮及び副反応現象を評価するに当たって非常に有用な評価指標である。
本発明の実施例では、50サイクル後の膨張率の大きさを、本発明の実施例に用いられる負極活物質用金属化合物の組成に応じて検討し、組成の変化に応じた最適の膨張率の範囲を導出することになった。
一方、本発明の実施例では、合金のマトリックス(matrix)上に微細結晶領域が存在してリチウムの拡散をより容易にする。そして、このような微細結晶領域が存在する割合は、非晶質化度を介して示すことができ、マトリックス上に非晶質領域が形成されることによって、二次電池の充電時の体積膨張が抑制できる。
本発明でマトリックス上微細結晶領域の非晶質化度は25%以上存在することが特徴である。上記の範囲内で非晶質化度が形成される場合にリチウムの拡散が非常に容易になる。そして、このような非晶質化度の範囲内にあるとき50サイクル後の膨張率も優れることになり、したがって、これを負極活物質として使用する場合、充電時の体積膨張が抑制されることが分かる。
本発明の実施例では、合金のXRDパターン回転角度2θ=20°〜100°範囲で非晶質化度は25%以上であることが好ましい。前記非晶質化度の範囲内では体積膨張が抑制され、電気的絶縁がよく発生するようになる。
本発明で利用された非晶質化度の計算は以下のようであり、これは図3に示されたことにより非晶質化度を求めることができる。
非晶質化度(%)=((全体面積−結晶化面積))÷全体面積)
本発明の実施例で非晶質化度が高いということは、微細結晶領域が多いことを言い、このため、充電時に前記微細結晶領域で緩衝作用を介してリチウムイオンが蓄積されて体積の膨張要因を抑制できる効果を得ることができる。
また、本発明の実施例では、50サイクル後の膨張率が70〜150%の範囲を有し、下記の式からなる二次電池用負極活物質を提供する。
SixTiyFezAlu・・・(1)
(x、y、z、uは原子%(at%)、x:1−(y+z+u)、y:0.09〜0.14、z:0.09〜0.14、u:0.01超過0.2未満)
本実施例で前記Siは原子%(at%)で60〜70%の範囲を有し、Ti及びFeは9〜14%の範囲を有する。一方、前記Alは1%超過及び20%未満の範囲を有するが、好ましくは5〜19%の範囲である。
合金に含まれたTi、FeはSiと結合してSiTiFeという金属間化合物を形成する。したがって、Ti、Feの含量がそれぞれ14at%であれば、Siの28at%以上が金属間化合物を形成するのに消耗されて、活物質のg当たりの容量が減少する現象が現れ、この場合、1000mAh/g以上の容量を得るためにはSiの投入含量を非常に高くしなければならない。
一般に、半金属であるSiを多く含有した場合、溶融の際に溶湯の粘度が高くて急冷凝固作業性が悪くなる傾向が現れるので、Siの含有量を可能な限り70%以内の範囲に維持しており、このため、Ti、Feの含量は14%を超えないことが好ましい。本発明の実施例では、Ti、Feの含量を膨張率と関係して最適の合金成分を導出する過程で、14%以下に下げることが好ましいことを導出した。
また、Alはat%で1%超過及び20%未満の範囲を有することができる。Alが1%程度含まれた場合、50サイクル後の膨張が激しくなり、活物質が分散される現象が現れるようになって好ましくない。また、Alが20%である場合、Si:Matrix体積分率の変化による放電容量が減少して好ましくない。本発明の実施例では、at%で5〜19%の範囲を有するときに最も好ましい膨張率の範囲を有することができることを導出し、この範囲内でまた放電容量の減少が発生しないことが分かった。最も好ましくは、Alは10〜19%であり、この範囲で最も好ましい50サイクル膨張率の範囲を得ることができ、また、放電容量の減少が発生しない。
また、本発明の負極活物質を製造する方法は特に限定されず、例えば、この分野で公知されている多様な微細粉末製造技法(ガスアトマイザー法、遠心ガスアトマイザー法、プラズマアトマイザー法、回転電極法、メカニカルアロイング法など)を利用することができる。本発明では、例えば、Si及びマトリックスを構成する成分を混合し、混合物をアーク溶解法などで溶融させた後、前記溶融物を回転する銅ロールに噴射させる単ロール急冷凝固法に適用して活物質を製造することができる。しかし、本発明で適用される方式が前記方式に限定されるものではなく、単ロール急冷凝固法のほか、十分な急冷速度が得られるものであれば、上記で提示した微細粉末製造技法(ガスアトマイザー法、遠心ガスアトマイザー法、プラズマアトマイザー法、回転電極法、メカニカルアロイング法など)によっても製造することができる。
また、本発明の一実施例に係る負極活物質を用いて二次電池を製造することができるが、二次電池のうち正極としては、リティエーティドインターカレーション(Lithiated Intercalation)化合物を含むことができ、また、その他にも無機硫黄(S8、elemental sulfur)及び黄系化合物(sulfur compound)を使用することも可能であり、前記黄系化合物としては、Li(n=1)、カソード液(catholyte)に溶解されたLi(n=1)、有機硫黄化合物又は炭素−硫黄ポリマー((C:f=2.5〜50、n=2)などを例示することができる。
また、本発明の二次電池に含まれる電解質の種類も特に限定されず、この分野で公知されている一般的な手段を採用することができる。本発明の一つの例示で前記電解液は非水性有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。上記でリチウム塩は、有機溶媒に溶解され、電池内でリチウムイオンの供給源として作用し、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進させることができる。本発明で使用できるリチウム塩の例としては、、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCFSO、LiN(CFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、x及びyは自然数)、LiCl、LiI、及びリチウムビスオキサレートボラート(lithium bisoxalate borate)などの一種または二種以上を支持(supporting)電解塩として含むことが挙げられる。電解質でリチウム塩の濃度は、用途に応じて変化され得るもので、通常0.1M〜2.0Mの範囲内で使用する。
また、前記で有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をするものとして、その例としては、ベンゼン、トルエン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン(iodobenzene)、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、フルオロトルエン、1,2-ジフルオロトルエン、1,3-ジフルオロトルエン、1,4-ジフルオロトルエン、1,2,3-トリフルオロトルエン、1,2,4-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2-ジクロロトルエン、1,3-ジクロロトルエン、1,4-ジクロロトルエン、1,2,3-トリクロロトルエン、1,2,4-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2-ジヨードトルエン、1,3-ジヨードトルエン、1,4-ジヨードトルエン、1,2,3-トリヨードトルエン、1,2,4-トリヨードトルエン、R−CN(ここでは、Rは炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状構造の炭化水素基としては、前記炭化水素基は二重結合、芳香族環又はエーテル結合などを含むことができる)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセテート、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ジメトキシエタン、1,3-ジオキソラン、ジグライム、テトラグライム、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、スルホラン、バレロラクトン、デカノライドまたはメバロラクトンの一種または二種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の二次電池は、上記した要素の他にもセパレータ、缶、電池ケースまたはガスケットなどの通常の要素をさらに含むことができ、その具体的な種類も特に限定されない。また、本発明の二次電池は上記のような要素を含めて、この分野における通常の方式及び形状で製造できる。本発明の二次電池が有することができる形状の例としては、筒形状、錐形状、コイン形状又はポーチ形状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
以下、本発明は実施例を介してさらに詳細に説明する。
本実施例で前記Siは原子%(at%)で60〜70%の範囲を有し、Ti及びFeは9〜14%の範囲を有する。一方、前記Alは1%超過及び20%未満の範囲を有するが、好ましくは5〜19%の範囲である。最も好ましくは10〜19%の範囲である。
下記表1は、本発明の実施例と比較例の組成範囲を示したテーブルである。一方、表2は、前記表1の組成を基盤とする負極活物質に対する評価に関するもので、特に実施例と比較例の1CY−充放電量、1CY−効率、1CY−極板容量、50CY−放電容量、50CY−効率、50CY−容量維持率、50CY−膨張率、非晶質化度(%)を示したものである。表2の各項目に対する技術的意味は、後述して詳細に説明する。
本発明の実施例では、充放電を50回繰り返してこれを測定した。上記で充放電方式は、この分野で一般的に公知されているリチウム二次電池用活物質に対する充放電方式に準じて行った。
まず、本発明の実施例1〜実施例5の場合、Alがat%で5〜19%の範囲内の組成からなり、比較例1はAlを添加せず、比較例2はAlを1%添加した場合を示す。比較例3はAlを20%添加した場合を示す。
一方、Ti、Feの場合、Siと結合してSiTiFeという金属間化合物を形成する。したがって、Ti、Feの含量が高い場合、Siと金属間化合物を形成するのに消耗されて、活物質のg当たりの容量が減少する現象が現れ、この場合、1000mAh/g以上の容量を得るためにはSiの投入含量を非常に高くしなければならない。一般に、半金属であるSiを多く含有した場合、溶融の際に溶湯の粘度が高くて急冷凝固作業性が悪くなる傾向が現れるので、Siの含有量を可能な限り70%以内の範囲に維持することが良い。したがって、Ti、Feの含量は、Siとの金属間化合物を形成することを考慮して、14%を超えないことが好ましい。
下記表1及び表2を見ると、本発明の実施例ではTi、Feの含量を膨張率と関係して最適の合金成分を導出する過程で、14%以下に下げることが好ましいことを導出した。
また、Alはat%で1%超過及び20%未満の範囲を有することが好ましい。Alが1%程度含まれた場合、50サイクル後の膨張が激しくなり、この場合、活物質が分散される現象が現れるようになって好ましくない。また、Alが20%である場合、Si:Matrix体積分率の変化による放電容量が急激に減少して好ましくない。本発明の実施例では、原子%(at%)で5〜19%の範囲を有するときに最も好ましい膨張率の範囲を有することができることを導出し、この範囲内でまた放電容量の減少が発生しないことが分かった。最も好ましくは、Alは10〜19%であり、この範囲で最も好ましい50サイクル膨張率の範囲を得ることができ、また、放電容量の減少が発生しない。
下記表2において本発明の実施例1〜実施例5を見ると、Alを添加することにより活物質の性能が改善されたことが確認できる。特にAlを添加した際に放電容量、可逆効率、膨張特性が顕著に改善されたことが分かる。一方、Alを添加しない比較例1の場合、50サイクル膨張特性が200%を超える値を示す。また、比較例2の場合、Alを1%添加した場合と同様に、50サイクル膨張特性が200%を超える。一方、Alを20%添加した比較例3の場合、50サイクル膨張が40.2%と非常に低く示されるが、この場合、放電容量が顕著に減少するため、二次電池負極活物質の性能改善効果がむしろ低くなる問題がある。
したがって、本発明の実施例で上記表1及び表2を見ると、負極活物質でAl添加による放電容量、可逆効率、膨張特性が顕著に改善されることが分かる。また、このときのAlの添加量をat%で少なくとも1%は超えるが、20%未満の範囲で最適の性能を示すことが分かる。また、比較例1、2の場合、非晶質化度(%)は25%未満を示すことが分かり、したがって、本発明の実施例でAlの成分範囲内で好ましい非晶質化度は少なくとも25%以上であることが分かる。
図1a、b、c及び図2は、それぞれ比較例2、実施例5に係る50サイクル後の膨張率特性を示すための組織写真図である。図1a、b、cで明るい色の粒子形状をなす部分がMatrixであり、暗い色の背景部分がSiであるが、寿命テスト前の初期には、図1cと同様にMatrixがよく集まっている形状であったが、50サイクルの充放電を繰り返すにつれてSi部分の体積が大きくなり、Matrixをなす明るい色の粒子が分散されていくことが確認できる。図1cの場合のような50サイクル後の様子にもかかわらず、Matrixがシリコンの収縮、膨張に関係なく互いに分散されずによく集まっている。活物質Matrixが分散される現象は、50サイクル後の膨張数値の急激な増加をもたらしている。比較例1、2のようにAlが1%以下で添加された場合、50サイクル後の膨張が200%以上と非常に激しく現れるのに対し、活物質の分散現象が観察されていない実施例5の場合、50サイクル後の膨張率が約78%と非常に優れており、寿命特性も非常に優れていることが分かる。
Figure 0006637977
まず、本発明の実施例での活物質の評価は、下記のような組成の極板を製作して評価した。
シリコン合金活物質は、導電性添加剤(カーボンブラック系例):バインダー(有機系、PAIバインダー)の割合が86.6%:3.4%:10%である組成の極板を製作して評価し、NMP溶媒に分散させたスラリーを製造して銅箔集電体の上にドクターブレード方式でコーティングした後、摂氏110℃のオーブンで乾燥し、210℃でAr雰囲気で1時間熱処理してバインダーを硬化させた。
上記のような方法で製作した極板をリチウム金属を対極としてコインセルをつくり、以下のような条件で化成工程を経った。
充電(リチウム挿入):0.1C、0.005V、0.05C cut−off
放電(リチウム放出):0.1C、1.5V cut−off
化成工程以後には、以下のような条件でサイクルテストを行った。
充電:0.5C、0.01V、0.05C cut−off
放電:0.5C、1.0V cut−off
上記表2で1CY−充電(mAh/g)は、活物質1g当たりの化成充電容量であり、コインセルの組立後、最初の充電段階である化成工程のうち充電段階の電荷量を測定して、コインセル極板に含まれている活物質の重量で割った値である。
1CY−放電(mAh/g)は、活物質1g当たりの化成放電容量であり、コインセルの組立後、最初の放電段階である化成工程のうち放電段階の電荷量を測定して、コインセル極板に含まれている活物質の重量で割った値である。本実施例でのg当たりの容量は、このときに測定された放電容量である0.1C化成放電容量を意味する。
1CY−効率は、最初の充放電工程である化成工程で放電容量を充電容量で割った値をパーセントで表したものである。一般に、黒鉛は94%の高い初期効率を有しており、シリコン合金は80〜90%の初期効率、シリコンオキサイド(SiOx)の場合には、最大70%水準の初期効率値を有している。
どの物質でも初期効率が100%未満である理由は、化成工程のうち充電時に最初に投入されるリチウムが不可逆的にトラップされたり、SEI形成など副反応で消耗される現象が発生するからであり、初期効率が低い場合、その分追加的に負極活物質及び正極活物質を投入しなければならない損失を引き起こすため、初期効率が高いことが電池の設計時に重要である。
本発明の実施例で使用しているシリコン合金の場合、85%の初期効率値を有し、導電性添加剤及びバインダーも初期に不可逆的にリチウムを消耗させるので、実質的な活物質自体の初期効率値は約90%である。
50CY−放電は、50サイクルでの活物質g当たりの放電容量であり、化成工程後0.5Cで行われるサイクルテストのうち、化成工程を含めて50番目のサイクルで放電時に測定される電荷量を活物質重量で割った値である。活物質がサイクルテストの進行中に劣化されれば、初期放電容量に比べて低い数値を示すことになり、劣化が殆どなければ、初期放電容量と類似する数値を示すことになる。
50CY−効率は、50サイクルで充電量対比放電量の割合を%で表したものである。50CY−効率が高いほど、当該サイクルでの副反応及びその他の劣化によるリチウムの損失が少ないことを意味する。一般に50CY−効率が99.5%以上である場合、非常に良好な値であると判断し、実験室環境上、コインセル組立の散布を無視できないので、98%以上の場合も良好な値であると判断する。
50CY−維持は、化成工程時に進行されたサイクルを除いて、以後0.5Cサイクル遂行時に最初のサイクルの放電容量を基準に50番目のサイクルでの放電容量の割合を%で表したものである。
50CY−維持割合が高いほど電池寿命の傾きが水平に近いと見ることができ、50CY−維持割合が90%以下の場合、サイクル進行中に劣化が発生して放電容量が減少したことを意味する。一部実施例では、50CY−維持割合が100%を超える場合も現れるが、これは寿命進行中に劣化が殆ど発生しないと同時に、追加的に活性化されるシリコン粒子が現れているものと判断される。
50CY−膨張は、初期極板の厚さ対比50サイクル以後の厚さ増加値を%で表したものである。50CY−膨張の測定方法を詳細に説明すれば、以下のようである。
まず、初期集電体の厚さを測定する。
以後、コインセルに組み立てるために円形に切断した状態の極板をマイクロメーターを利用してその厚さを測定した後、集電体の厚さを差し引いて活物質のみの厚さを計算する。
続いて、50サイクルテストを完了した後、コインセルをドライルームで解体して負極極板のみを分離した後、DEC溶液を用いて極板に残っている電解液を洗浄及び乾燥してマイクロメーターを利用して厚さを測定し、集電体の厚さを差し引いてサイクル以後活物質のみの厚さを計算する。つまり、初期活物質の厚さ対比50サイクル後増加した活物質の厚さを初期活物質の厚さで割って百分率で表示したものが50CY−膨張である。
(実施例2)
下記表3及び表4は、TiとFeの割合範囲を確認するための実験に対して、本発明の実施例と比較例の1CY−充放電量、1CY−効率、1CY−極板容量、50CY−放電容量、50CY−効率、50CY−容量維持率を示したものである。表4の各項目に対する技術的意味は上述した通りである。
表3は、TiとFeの割合範囲を確認するために本発明の実施例と比較例の組成範囲を示した。Ti、Feを除いた他の物質のat%は固定して行い、Ti及びFeの割合のみに変更を加えて実験を行った。
表3によれば、Ti及びFeの割合は、それぞれ2:1〜1:2の範囲であることが好ましく、1:1の割合がより好ましい。Ti及びFeの割合が2:1〜1:2の範囲を維持している実施例7〜9は、容量維持率がいずれも90%以上と高く示されており、1:1の割合である実施例8は96.4%と最も高い容量維持率を示した。一方、Ti及びFeの割合が2:1〜1:2の範囲外に形成された比較例4及び比較例5の場合、容量維持率が51.2%、81.3%と低く示された。したがって、本発明の実施例では、電池性能を最大化するためにTiとFeの割合を2:1〜1:2の範囲内に維持するが、最も好ましくは1:1の割合で制御する。
Figure 0006637977
本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施可能であるということを理解できるだろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述する特許請求範囲により示され、特許請求範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

Claims (2)

  1. 下記の化学式からなる合金として、合金内マトリックス上微細結晶領域の非晶質化度が29.2〜45.5%であり、50サイクル後の膨張率が70〜150%の範囲内であり、原子%(at%)でSi:65〜70%、Ti:9〜12.5%、Fe:9〜12.5%、Al:5〜19%の範囲を有し、TiとFeの割合が2:1〜1:2の範囲を有し、50サイクル後の放電容量が初期放電容量対比90%以上であり、50サイクル後の効率が98%以上であることを特徴とする、二次電池用負極活物質。
    式:SixTiyFezAlu(x、y、z、uは原子%であり、x:1−(y+z+u)、y:0.09〜0.14、z:0.09〜0.14、u:0.01超過0.2未満)
  2. 50サイクル後の膨張率が70〜150%であり、
    下記の化学式からなる合金において合金内マトリックス上微細結晶領域の非晶質化度が29.2〜45.5であり、原子%(at%)でSi:65〜70%、Ti:9〜12.5%、Fe:9〜12.5%、Al:5〜19%の範囲を有し、TiとFeの割合が2:1〜1:2の範囲を有し、50サイクル後の放電容量が初期放電容量対比90%以上であり、50サイクル後の効率が98%以上である負極と、正極と、電解質と、を含むことを特徴とする、二次電池。
    式:SixTiyFezAlu(x、y、z、uは原子%(at%)、x:1−(y+z+u)、y:0.09〜0.14、z:0.09〜0.14、u:0.05〜0.19)
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