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JP6632363B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP6632363B2 JP2015245109A JP2015245109A JP6632363B2 JP 6632363 B2 JP6632363 B2 JP 6632363B2 JP 2015245109 A JP2015245109 A JP 2015245109A JP 2015245109 A JP2015245109 A JP 2015245109A JP 6632363 B2 JP6632363 B2 JP 6632363B2
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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
特許文献1には、タイヤ幅方向の端部に位置するショルダーリブに、主溝に開口する細溝と、この細溝の端部からタイヤ幅方向外側に延びる延長溝とを有する横溝を形成した空気入りタイヤが開示されている。細溝は、主溝からタイヤ回転方向前側へ屈曲して延びるように設けられ、延長溝は、主溝に対して直交方向に延びるように設けられている。また、細溝は、延長溝より溝幅が狭くなるように形成されている。
特開2015−16751号公報
特許文献1のタイヤでは、細溝と延長溝とからなる横溝によって、ウェット性能を確保しつつドライ性能を向上することができる。しかし、このタイヤは、横溝によってタイヤ周方向に区画されている陸部の剛性について、改良の余地がある。
本発明は、陸部の剛性を最適に調整しつつ、トゥヒール偏摩耗の発生を抑制できる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
本発明は、タイヤ周方向に延びている2以上の主溝によってタイヤ幅方向に区画されている3以上のリブと、前記リブのうち前記タイヤ幅方向の一端側に位置するショルダーリブに、前記タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられており、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向に延びている横溝と、前記横溝によって前記ショルダーリブの前記タイヤ周方向に区画されている陸部に設けられており、前記陸部の前記タイヤ幅方向に延びているサイプとを備え、前記横溝は、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の外側端部から前記主溝に向けて延びている横溝本体と、前記横溝本体の前記主溝側端部から前記主溝にかけて延びている細溝とを有し、前記細溝は、前記横溝本体より溝幅が狭く、前記横溝本体に対し設定されているタイヤ回転方向後側に屈曲して形成されており、前記サイプは、前記主溝に向けて前記陸部の前記タイヤ幅方向に延びている第1サイプと、前記第1サイプの前記主溝側端部から前記主溝にかけて延びている第2サイプとを有し、前記第1サイプと前記第2サイプは前記横溝本体より溝幅が狭く、前記第2サイプは前記第1サイプに対して前記タイヤ回転方向後側に屈曲して形成されており、前記横溝本体は、前記タイヤ回転方向前側に位置する第1前壁と、前記タイヤ回転方向後側に位置する第1後壁と、前記第1前壁と前記第1後壁のタイヤ径方向内側に位置する第1底壁とで画定され、前記細溝は、前記タイヤ回転方向前側に位置する第2前壁と、前記タイヤ回転方向後側に位置する第2後壁と、前記第2前壁と前記第2後壁の前記タイヤ径方向内側に位置する第2底壁とで画定されており、未使用状態で前記第1前壁の踏面側縁と前記第2前壁との交点である第1前側屈曲点は、前記第1後壁の踏面側縁と前記第2後壁との交点である第1後側屈曲点より、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の前記主溝から離れた側に位置している、空気入りタイヤを提供する。
この空気入りタイヤによれば、ショルダーリブに横溝本体と細溝とからなる横溝が設けられているため、水の排水性能を向上できる。また、横溝本体は溝幅が横溝本体より狭い細溝を介して主溝に連通されているため、陸部の剛性を過度に低下させることなく、陸部の接地長を延ばすことができる。同様に、陸部には溝幅が横溝より狭い第1サイプと第2サイプとを有するサイプが設けられているため、陸部の剛性を過度に低下させることなく、陸部の接地長を延ばすことができる。よって、車両旋回時の横力による陸部の変形を抑制できる。
また、横溝は、前壁と後壁の屈曲点がショルダーリブのタイヤ幅方向に異なるようにしている。詳しくは、偏摩耗が生じ易いタイヤ回転方向前側(蹴り出し側)の屈曲点は、偏摩耗が生じ難いショルダーリブのタイヤ幅方向中央側に配置され、偏摩耗が生じ難いタイヤ回転方向後側(踏み込み側)の屈曲点は、偏摩耗が生じ易いショルダーリブの主溝側に配置されている。よって、陸部の剛性を良好に調整(均一化)しつつ、確実にトゥヒール偏摩耗の発生を抑制できる。
前記横溝本体の溝幅が前記第1底壁に向けて漸次狭くなるように、前記第1前壁に前側テーパ部が形成されているとともに、前記第1後壁に後側テーパ部が形成されており、前記第1底壁側に位置する前記前側テーパ部の底側縁と前記第2前壁との交点である第2前側屈曲点は、前記第1底壁側に位置する前記後側テーパ部の底側縁と前記第2後壁との交点である第2後側屈曲点より、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の前記主溝側に位置している。この態様によれば、使用によって陸部の摩耗が進むことで、横溝の前壁と後壁の屈曲点の位置が変化する。そして、テーパ部が無くなる位置まで陸部が摩耗すると、未使用状態とは逆に、前壁の屈曲点が後壁の屈曲点より主溝側に位置する。よって、偏摩耗が生じる可能性がある期間中のトゥヒール偏摩耗の発生を大幅に抑制できる。また、テーパ部の摩耗に伴って横溝本体の溝面積が小さくなり、陸部の接地面積が広くなる。そして、陸部の接地面積が広がることにより陸部の剛性(ブロック剛性)が向上するため、ドライ性能の1つである制動距離の低減を図ることできる。
本発明の空気入りタイヤでは、ショルダーリブに設けた横溝によって、水の排水性能を向上できる。また、横溝の細溝の溝幅は横溝本体の溝幅より狭いため、陸部の剛性を過度に低下させることなく、陸部の接地長を延ばすことができる。同様に、陸部には溝幅が横溝本体より狭いサイプが設けられているため、陸部の剛性を過度に低下させることなく、陸部の接地長を延ばすことができる。よって、車両旋回時の横力による陸部の変形を抑制できる。また、横溝は、偏摩耗が生じ易い蹴り出し側の屈曲点が、偏摩耗が生じ難いショルダーリブの中央側に配置され、偏摩耗が生じ難い踏み込み側の屈曲点が、偏摩耗が生じ易いショルダーリブの主溝側に配置されている。よって、横溝の前後のトゥヒール偏摩耗の発生を抑制できる。
第1実施形態の空気入りタイヤを示す平面図。 ショルダーリブの1個の陸部を示す平面図。 図2Aの一部拡大平面図。 横溝の横溝本体の断面図。 横溝の細溝の断面図。 サイプの断面図。 使用中期の状態を示す平面図。 使用後期の状態を示す平面図。 第2実施形態の横溝を示す平面図。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下「タイヤ」と略す。)10を示す。このタイヤ10は、リブ型パターンのトレッド部11と、トレッド部11の両側に連続しているサイドウォール部12,12と、各サイドウォール部12の径方向内側端に成形されているビード部(図示せず)とを備えている。トレッド部11には、タイヤ周方向に延びる2以上(本実施形態では4本)の主溝13A〜13Dが設けられ、これらによってタイヤ幅方向に区画される3以上(本実施形態では5本)のリブ14A〜14Eが形成されている。
本実施形態のタイヤ10は、車両に取り付ける際の回転方向と、車幅方向の内側と外側の面が予め設定されている。複数のリブ14A〜14Eのうち、タイヤ幅方向の両端に位置するリブ14A,14Bは、サイドウォール部12,12に隣接している。図1において右側端部(タイヤ幅方向の一端側)に位置するショルダーリブ14Aは、車幅方向の外側に配置される。図1において左側に位置するショルダーリブ14Bは、車幅方向の内側に配置される。
以下の説明では、タイヤ周方向をX方向といい、タイヤ幅方向をY方向といい、タイヤ径方向をZ方向という。X軸の矢印の向きを+X方向といい、それとは反対の向きを−X方向という場合がある。+X方向は予め設定されたタイヤ回転方向(タイヤ回転方向前側)であり、−X方向はタイヤ回転方向後側である。Y軸の矢印の向きを+Y方向といい、それとは反対の向きを−Y方向という場合がある。+Y方向は予め設定された車幅方向の外端側に向かう向きであり、−Y方向は予め設定された車幅方向の内端側に向かう向きである。Z軸の矢印の向きを+Z方向といい、それとは反対の向きを−Z方向という場合がある。+Z方向はタイヤ10の径方向内側に向かう向きであり、−Z方向はタイヤ10の径方向外側に向かう向きである。
外側ショルダーリブ14Aには、X方向に間隔をあけて複数の横溝16が設けられている。この横溝16により外側ショルダーリブ14Aには、複数の陸部17がX方向に区画して設けられている。各陸部17には、−Y側の主溝13Aから+Y方向に延びるサイプ18が設けられている。
内側ショルダーリブ14Bには、X方向に間隔をあけて複数の横溝20が設けられている。この横溝20により内側ショルダーリブ14Bには、複数の陸部21がX方向に区画して設けられている。各陸部21には、+Y側の主溝13Bから−Y方向に延びるラグ溝22が設けられている。
Y方向の中央に位置しているセンターリブ14Cには、+Y側の主溝13Cから−Y側に向けて延びるラグ溝24がX方向に間隔をあけて設けられている。外側ショルダーリブ14Aとセンターリブ14Cの間に位置している中間リブ14Dには、+Y側の主溝13Aから−Y側に向けて延びるラグ溝26がX方向に間隔をあけて設けられている。内側ショルダーリブ14Bとセンターリブ14Cの間に位置している中間リブ14Eには、+Y側の主溝13Dから−Y側に向けて延びるラグ溝28がX方向に間隔をあけて設けられている。
本実施形態では、外側ショルダーリブ14Aに形成する横溝16とサイプ18に、それぞれ屈曲部が設けられている。この屈曲部を備える横溝16とサイプ18により、横溝16前後の陸部17の剛性を調整し、陸部17のトゥヒール偏摩耗の発生を抑制している。なお、トゥヒール偏摩耗とは、横溝16の+X側に位置する陸部17の蹴り出し側が、横溝16の−X側に位置する陸部17の踏み込み側より、過度に摩耗した状態をいう。
(横溝の詳細)
図2A及び図2Bに示すように、横溝16は、横溝本体30と、細溝35とを備え、外側ショルダーリブ14AのY方向の外側端部から主溝13Aにかけて延びている。横溝本体30は、外側ショルダーリブ14Aの+Y側端部から主溝13Aに向けて−Y側へ延びており、細溝35は、横溝本体30の−Y側端部から主溝13Aにかけて延びている。即ち、細溝35は、一端が横溝本体30の端部に連通(開口)し、他端が主溝13Aに連通している。
横溝本体30は、主溝13Aに対して直交方向に交差する方向へ直線状に延びるスリットからなる。ここで、直交方向に交差するとは、主溝13Aと横溝本体30とのなす角を90度とした厳密な直交に限られず、実質的に直交する形態(例えば90度±5度の範囲)を含む。また、直線状に延びるとは、真っ直ぐ延びる厳密な直線に限られず、滑らかな曲線のような概ね直線である形態を含む。
図3Aを併せて参照すると、横溝本体30は、+X側に位置する陸部17の壁面である第1前壁31と、−X側に位置する陸部17の壁面である第1後壁32と、+Z側に位置する第1底壁33とで画定されている。第1底壁33は、+Z側に位置する第1前壁31の底端と第1後壁32の底端とを連続している。第1前壁31の踏面(トレッド面)側には、第1底壁33中央に向けて−X+Z方向に傾斜する前側テーパ部31aが形成されている。第1後壁32の踏面側には、第1底壁33中央に向けて+X+Z方向に傾斜する後側テーパ部32aが形成されている。これらテーパ部31a,32aにより横溝本体30の溝幅は、踏面側のW1から第1底壁33側のW1’へと、漸次狭くなっている。また、横溝本体30のテーパ部31a,32aより底側は、一様な溝幅W1’になっている。
細溝35は、横溝本体30の溝幅W1,W1’より狭い溝幅W2であり、横溝本体30に対して−X側に屈曲(傾斜)して形成されている。細溝35の溝幅W2は、横溝本体30の溝幅W1の10%以上20%以下の範囲に設定されている。これは、溝幅W2を溝幅W1の10%未満に設定すると陸部17が変形できず、外側ショルダーリブ14Aの全ての陸部17が一つのリブの状態となってしまうため、剛性が必要以上に高くなってしまうためである。溝幅W2を溝幅W1の20%より広く設定すると陸部17の−Y側が変形し易くなり、剛性が低下するためである。なお、細溝35を設けない構成とし、横溝本体30の−Y側端部を閉鎖すると、陸部17の剛性が過度に高くなるうえ、路面との接地長を確保できない。
また、横溝本体30に対する細溝35の傾斜角度αは、25度以上35度以下の範囲に設定されている。これは、傾斜角度αを25度未満に設定すると、横溝16のX方向前後の陸部17,17にゴムボリューム差が無くなり、トゥヒール偏摩耗の発生を抑制できなくなるためである。また、傾斜角度αを35度より広く設定すると、前壁31,36の屈曲点Pf1と後側壁32,37の屈曲点Pb1とのY方向における位置の差が小さくなってしまい、トゥヒール偏摩耗が発生する可能性が大きくなるためである。
図3Bを併せて参照すると、細溝35は、+X側に位置する陸部17の壁面である第2前壁36と、−X側に位置する陸部17の壁面である第2後壁37と、+Z側に位置する第2底壁38とで画定されている。第2底壁38は、+Z側に位置する第2前壁36の底端と第2後壁37の底端とを連続している。
図2Bに示すように、第2後壁37は、Z方向に延びる概ね平面状であり、Z方向に間隔をあけて位置している後側テーパ部32aの踏面側縁32b及び底側縁32cに交差している。以下の説明では、第2後壁37と後側テーパ部32aの踏面側縁32bとの交点を第1後側屈曲点Pb1といい、第2後壁37と後側テーパ部32aの底側縁32cとの交点を第2後側屈曲点Pb2という。
第2前壁36は、第1後側屈曲点Pb1の+X側に位置する部分から分岐している踏面側縁36aと底側縁36bとを備えている。踏面側縁36aと底側縁36bとの間には、三角形状のテーパ部36cが形成されている。踏面側縁36aは前側テーパ部31aの踏面側縁31bに交差し、底側縁36bは前側テーパ部31aの底側縁31cに交差している。以下の説明では、第2前壁36と前側テーパ部31aの踏面側縁31bとの交点を第1前側屈曲点Pf1といい、第2前壁36と前側テーパ部31aの底側縁31cとの交点を第2前側屈曲点Pf2という。
ここで、第1前側屈曲点Pf1及び第1後側屈曲点Pb1は、タイヤ10の使用を開始した初期(未使用状態)に路面と接地する。第2前側屈曲点Pf2及び第2後側屈曲点Pb2は、使用により陸部17の摩耗が進むことで路面と接地する。また、使用を開始した初期の陸部17の剛性は低いため、使用により陸部17には偏摩耗が生じる可能性がある。一方、陸部17は、使用により摩耗が進むに従って剛性が高くなり、後期になると偏摩耗が生じる可能性が無くなる。但し、初期段階で陸部17に偏摩耗が生じると、高剛性の後期になっても偏摩耗状態が最後まで維持される。
本実施形態では、トゥヒール偏摩耗の発生を抑制するために、偏摩耗が生じ易い前壁31,36(蹴り出し側)の第1前側屈曲点Pf1を、陸部17の比較的摩耗し難い部分に配置している。また、偏摩耗が生じ難い後壁32,37(踏み込み側)の第2後側屈曲点Pb1を、陸部17において比較的摩耗し易い部分に配置している。詳しくは、第1前側屈曲点Pf1は、主溝13Aから離れた外側ショルダーリブ14AのY方向中央側に配置され、第1後側屈曲点Pb1は、主溝13Aに近い外側ショルダーリブ14Aの−Y側に配置されている。陸部17のY方向において、第1前側屈曲点Pf1を形成した位置は、第1後側屈曲点Pb1を形成した位置と比較して陸部17が変形し難いため、摩耗し難い領域である。
図2B、図4A及び図4Bに示すように、前側屈曲点Pfと後側屈曲点PbのY方向の位置は、使用によって陸部17の摩耗が進むに従って変化するように設定されている。詳しくは、第2前側屈曲点Pf2は、第1屈曲点Pf1,Pb1とは逆に、第2後側屈曲点Pb2より主溝13Aに近い外側ショルダーリブ14Aの−Y側に配置されている。但し、外側ショルダーリブ14AのY方向全体からすると、第2前側屈曲点Pf2と第2後側屈曲点Pb2とは、概ね同一位置に配置されている。また、第2前側屈曲点Pf2は、第1前側屈曲点Pf1より更に主溝13Aから離れ、外側ショルダーリブ14AのY方向中央側に配置されている。第2後側屈曲点Pb2は、第1後側屈曲点Pb1より主溝13Aから離れ、第2前側屈曲点Pf2よりも外側ショルダーリブ14AのY方向中央側に配置されている。
テーパ部31a,32aの底側縁31c,32cのZ方向の位置、即ちテーパ部31a,32aのZ方向の寸法であるテーパ高さHの設定により、第1屈曲点Pf1,Pb1から第2屈曲点Pf2,Pb2に変化する時期を調整できる。具体的には、テーパ高さHは、横溝本体30のZ方向の寸法である溝深さDの10%以上40%以下の範囲に設定されている。これは、テーパ高さHを溝深さDの10%未満に設定すると、使用により陸部17が摩耗してテーパ部31a,32aが消失した状態で未だ高剛性領域になっていないため、テーパ部31a,32aが消失後に陸部17に偏摩耗が生じる可能性があるためである。テーパ高さHを溝深さDの40%より高く設定すると、陸部17の剛性差を設ける期間が過度になるためである。
また、テーパ部31a,32aのX方向の寸法であるテーパ幅(W1−W1')/2は、横溝本体30の全幅W1の30%以上50%以下の範囲に設定されている。これは、テーパ幅(W1−W1')/2を全幅W1の30%未満に設定すると、第1前側屈曲点Pf1が外側ショルダーリブ14Aの主溝13A側に位置するためである。テーパ幅(W1−W1')/2を全幅W1の50%より広く設定すると、後期の横溝本体30の溝幅W1'が過度に狭くなり、排水性能が低下するためである。
(サイプの詳細)
図2Aに示すように、サイプ18は、陸部17の+Y側から主溝13Aに向けて延びている第1サイプ42と、第1サイプ42の−Y側端部から主溝にかけて延びている第2サイプ47とを備えている。即ち、第2サイプ47は、一端が第1サイプ42の端部に連通し、他端が主溝13Aに連通している。
第1サイプ42と第2サイプ47とは、同一溝幅W3の極細の溝である。これらの溝幅W3は、横溝本体30の溝幅W1より狭く、細溝35の溝幅W2と同一幅以下に設定されている。第1サイプ42は、横溝本体30と同様に、主溝13Aに対して概ね直交方向に交差するように直線状に延びているが、+Y方向の端部は陸部17の+Y側端部までは延びていない。第2サイプ47は、細溝35と同様に、第1サイプ42に対して−X側に屈曲(傾斜)して形成されている。第1サイプ42に対する第2サイプ47の傾斜角度は、細溝35の傾斜角度αと同一に設定されている。
図3Cを併せて参照すると、第1サイプ42は、+X側に位置する陸部17の第1前壁43と、−X側に位置する陸部17の第1後壁44と、+Z側に位置する第1底壁45とで画定されている。同様に、第2サイプ47は、+X側に位置する陸部17の第2前壁48と、−X側に位置する陸部17の第2後壁49と、+Z側に位置する第2底壁50とで画定されている。
このようにしたタイヤ10は、外側ショルダーリブ14Aに形成した横溝16によって、水の排水性能を向上できる。また、横溝本体30は、横溝本体30の溝幅W1より狭い溝幅W2の細溝35を介して主溝13Aに連通されているため、陸部17の剛性を過度に低下させることなく、陸部17の接地長を延ばすことができる。よって、車両旋回時の横力による陸部17の変形を抑制できる。
また、横溝16では、前壁31,36の第1前側屈曲点Pf1を外側ショルダーリブ14AのY方向中央側に配置し、後壁32,37の第1後側屈曲点Pb1を外側ショルダーリブ14Aの主溝13A側に配置している。よって、陸部17の前壁31,36側の剛性と後壁32,37側の剛性とを均一化するように調整しつつ、トゥヒール偏摩耗の発生を抑制できる。よって、タイヤ10の耐偏摩耗性を向上できる
しかも、横溝16の屈曲点Pf,Pbの位置は、偏摩耗が生じ易い図2Bに示す使用初期から、偏摩耗が生じる可能性が残る図4Aに示す使用中期を経て、偏摩耗が生じ難い図4Bに示す使用後期に至るまでに、第1屈曲点Pf1,Pb1から第2屈曲点Pf2,Pb2まで変化するように構成している。よって、偏摩耗が生じる可能性がある期間中のトゥヒール偏摩耗の発生を大幅に抑制できる。また、テーパ部31a,32aの摩耗に伴って横溝本体30の溝面積が小さくなり、陸部17の接地面積が広くなる。そして、陸部17の接地面積が広がることにより陸部17の剛性(ブロック剛性)が向上するため、ドライ性能の1つである制動距離の低減を図ることできる。
そして、陸部17には横溝本体30の溝幅W1,W1’より狭い溝幅W3の第1サイプ42と第2サイプ47とを有する屈曲したサイプ18が形成されている。そのため、陸部17の剛性を過度に低下させることなく、陸部17の接地長を延ばすことができる。よって、陸部17の剛性を最適に調整しつつ、車両旋回時の横力による陸部17の変形を大幅に抑制できる。また、サイプ18においても、横溝16の細溝35と同様に、第2サイプ47を第1サイプ42より溝幅を狭くして、屈曲点を陸部17のY方向中央側に配置することで、踏み込み側と蹴り出し側に剛性差を持たせることができるため、トゥヒール偏摩耗を抑制できる。
(第2実施形態)
図5は第2実施形態のタイヤ10の外側ショルダーリブ14Aに形成した横溝20を示す。この横溝20は、細溝35を画定する第2前壁36を、第2後壁37と同様にZ方向に延びる概ね平面状とした点で、第1実施形態と相違する。このようにした第2前壁36は、Z方向に間隔をあけて位置している前側テーパ部31aの踏面側縁31b及び底側縁31cとそれぞれ交差する。勿論、第1実施形態に示すテーパ部36cは形成されていない。
このようにした第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、第2実施形態では、第2前壁36が平面状に延びているため、第2前壁36と前側テーパ部31aの踏面側縁31bとの交点である第1前側屈曲点Pf1を、更に外側ショルダーリブ14AのY方向中央に配置できる。よって、陸部17の前壁31,36のトゥヒール偏摩耗の発生を大幅に抑制できる。
なお、本発明の空気入りタイヤ10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、外側ショルダーリブ14Aに形成する横溝16は、外端部から主溝13Aにかけて同一幅W1で延びる構成とし、内側ショルダーリブ14Bに形成する横溝20を、横溝本体30及び細溝35を有する構成としてもよい。また、外側ショルダーリブ14Aに形成する横溝16と、内側ショルダーリブ14Bに形成する横溝20の両方を、横溝本体30及び細溝35を有する構成としてもよい。さらに、Y方向の中間に位置するリブ14C〜14Eにも、横溝本体30及び細溝35を有する横溝16と同様の横溝を設けてもよい。
また、前記実施形態では、横溝16の第1前壁31と第1後壁32にテーパ部31a,32aをそれぞれ形成したが、これらテーパ部31a,32aは設けない構成としてもよい。また、トレッド部11には、4本の主溝13A〜13Dを形成することで5本のリブ14A〜14Eを形成したが、主溝の数は2以上であればよい。
10 タイヤ
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13A 主溝
13B〜13D その他の主溝
14A 外側ショルダーリブ
14B〜14E その他のリブ
16 横溝
17 陸部
18 サイプ
20 横溝
21 陸部
22 ラグ溝
24 ラグ溝
26 ラグ溝
28 ラグ溝
30 横溝本体
31 第1前壁
31a 前側テーパ部
31b 踏面側縁
31c 底側縁
32 第1後壁
32a 後側テーパ部
32b 踏面側縁
32c 底側縁
33 第1底壁
35 細溝
36 第2前壁
36a 踏面側縁
36b 底側縁
36c テーパ部
37 第2後壁
38 第2底壁
42 第1サイプ
43 第1前壁
44 第1後壁
45 第1底壁
47 第2サイプ
48 第2前壁
49 第2後壁
50 第2底壁

Claims (3)

  1. タイヤ周方向に延びている2以上の主溝によってタイヤ幅方向に区画されている3以上のリブと、
    前記リブのうち前記タイヤ幅方向の一端側に位置するショルダーリブに、前記タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられており、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向に延びている横溝と、
    前記横溝によって前記ショルダーリブの前記タイヤ周方向に区画されている陸部に設けられており、前記陸部の前記タイヤ幅方向に延びているサイプとを備え、
    前記横溝は、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の外側端部から前記主溝に向けて延びている横溝本体と、前記横溝本体の前記主溝側端部から前記主溝にかけて延びている細溝とを有し、前記細溝は、前記横溝本体より溝幅が狭く、前記横溝本体に対し設定されているタイヤ回転方向後側に屈曲して形成されており、
    前記サイプは、前記主溝に向けて前記陸部の前記タイヤ幅方向に延びている第1サイプと、前記第1サイプの前記主溝側端部から前記主溝にかけて延びている第2サイプとを有し、前記第1サイプと前記第2サイプは前記横溝本体より溝幅が狭く、前記第2サイプは前記第1サイプに対して前記タイヤ回転方向後側に屈曲して形成されており、
    前記横溝本体は、前記タイヤ回転方向前側に位置する第1前壁と、前記タイヤ回転方向後側に位置する第1後壁と、前記第1前壁と前記第1後壁のタイヤ径方向内側に位置する第1底壁とで画定され、
    前記細溝は、前記タイヤ回転方向前側に位置する第2前壁と、前記タイヤ回転方向後側に位置する第2後壁と、前記第2前壁と前記第2後壁の前記タイヤ径方向内側に位置する第2底壁とで画定されており、
    未使用状態で前記第1前壁の踏面側縁と前記第2前壁との交点である第1前側屈曲点は、前記第1後壁の踏面側縁と前記第2後壁との交点である第1後側屈曲点より、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の前記主溝から離れた側に位置している、空気入りタイヤ。
  2. 前記横溝本体の溝幅が前記第1底壁に向けて漸次狭くなるように、前記第1前壁に前側テーパ部が形成されているとともに、前記第1後壁に後側テーパ部が形成されており、
    前記第1底壁側に位置する前記前側テーパ部の底側縁と前記第2前壁との交点である第2前側屈曲点は、前記第1底壁側に位置する前記後側テーパ部の底側縁と前記第2後壁との交点である第2後側屈曲点より、前記ショルダーリブの前記タイヤ幅方向の前記主溝側に位置している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第2前壁は、前記第1前壁側の端に三角形状のテーパ部を有し、
    前記第1前側屈曲点は、前記テーパ部の踏面側縁と前記第1前壁の前記踏面側縁との交点であり、
    前記第2前側屈曲点は、前記テーパ部の底側縁と前記前側テーパ部の前記底側縁との交点である、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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