JP6620575B2 - 厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
厚鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6620575B2 JP6620575B2 JP2016017238A JP2016017238A JP6620575B2 JP 6620575 B2 JP6620575 B2 JP 6620575B2 JP 2016017238 A JP2016017238 A JP 2016017238A JP 2016017238 A JP2016017238 A JP 2016017238A JP 6620575 B2 JP6620575 B2 JP 6620575B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- plate thickness
- thick steel
- steel plate
- rolling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
化学組成が、質量%で、
C:0.040〜0.120%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.30〜2.20%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Cu:0.05〜1.00%、
Ni:0.05〜1.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.050%、
sol.Al:0.005〜0.060%、
N:0.001〜0.010%、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.35%、
V:0〜0.15%、
B:0〜0.0030%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.0050%、
REM:0〜0.0050%、ならびに、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(i)で示されるCeq.が0.400〜0.520であり、かつ、
下記(a)〜(d)を満足する、厚鋼板。
(a)表層5mm以内の組織は圧延方向に伸長した組織を形成し、この組織の平均アスペクト比は1.5以上である。
(b)鋼板内部のミクロ組織はフェライトおよびベイナイトの複合組織を有し、板厚の1/4t部のフェライト分率が5.0〜35.0%、板厚の1/2t部のフェライト分率が3.0〜40.0%であり、かつ、各板厚位置において、フェライトおよびベイナイト以外の組織を合計で5%未満(0%を含む)有する。
(c)板厚の1/4t部の平均フェライト粒径が10.0μm以下、かつ、板厚の1/2t部の平均フェライト粒径が12.0μm以下である。
(d)板厚の1/4t部の平均有効結晶粒径が22.0μm以下、かつ、板厚の1/2t部の平均有効結晶粒径が32.0μm以下である。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(i)
Cr:0.05〜0.50%、
Mo:0.05〜0.35%、および、
V:0.005〜0.15%、
から選択される1種以上を含有する、前記(1)に記載の厚鋼板。
B:0.0003〜0.0030%、
を含有する、前記(1)または(2)に記載の厚鋼板。
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0005〜0.0050%、および、
REM:0.0005〜0.0050%、
から選択される1種以上を含有する、前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の厚鋼板。
前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の組成を有する鋼片を用いて、板厚中心部を1000〜1150℃に加熱し、
板厚中心部が950〜1150℃の温度域において、累積圧下率を15〜60%、各パスの平均圧下率を3.5%以上で再結晶域圧延を行った後、
板厚中心部の温度がAr3以上950℃以下で累積圧下率を40%以上、各パスの平均圧下率を5.0%以上で未再結晶域圧延を行い、
さらに、この未再結晶域圧延の最終パス開始温度を板厚表面でAr3−20℃〜Ar3+30℃として圧延を完了し、
次いで、加速冷却を開始し、表面温度が550℃以下まで加速冷却を行い、
前記加速冷却終了後、焼戻し処理を行う場合には、350〜650℃の温度で行う、厚鋼板の製造方法。
各元素の作用効果と、含有量の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼材の強度を高める元素である。C含有量が0.040%未満では、この効果が得られない。一方、C含有量が0.120%を超えると、強度の上昇により靭性の低下、溶接性の劣化、および、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)の靭性が劣化する。また、アレスト特性が低下する。したがって、C含有量は0.040〜0.120%とする。C含有量は、0.050%以上であることが好ましく、0.090%以下であることが好ましい。
Siは、脱酸元素および強度に有効な元素である。Si含有量が0.05%未満では、これらの効果が得られない。一方、Si含有量が0.50%を超えると、HAZが硬化することにより靭性が低下する。したがって、Si含有量は0.05〜0.50%とする。Si含有量は0.10%以上であることが好ましく、0.30%以下であることが好ましい。
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、鋼材の強度および靭性を高める元素である。Mn含有量が1.30%未満では、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が2.20%を超えると、中心偏析が顕著となり板厚中心部の靭性が顕著に低下する。また、アレスト特性が低下する。したがって、Mn含有量は1.30〜2.20%とする。Mn含有量は1.60%以上であることが好ましく、2.00%以下であることが好ましい。
Pは不純物元素であり、鋼材の機械的特性を低下させ、特に、低温靭性を低下させる。したがって、P含有量は0.020%以下とする。P含有量は0.015%以下であることが好ましく、なるべく低い方がより好ましい。
Sは不純物元素であり、Mnと結合してMnSを形成し、鋼材の低温靭性を低下させる。したがって、S含有量は0.010%以下とする。S含有量は0.005%以下であることが好ましく、なるべく低い方がより好ましい。
Cuは、鋼に固溶して靭性を損なわずに強度を高めることができ、アレスト特性を改善する元素である。Cu含有量が0.05%未満では、これらの効果が得られない。一方、Cu含有量が1.00%を超えると、靭性の低下、および、析出物増加によりアレスト特性の劣化をきたし、さらに、熱間での加工の際、表面に微小な割れを発生させる。したがって、Cu含有量は0.05〜1.00%とする。Cu含有量は0.20%以上であることが好ましく、0.50%以下であることが好ましい。
Niは、鋼に固溶して靭性を損なわずに強度を高めることができ、アレスト特性を改善する元素である。Ni含有量が0.05%未満では、これらの効果が得られない。一方、Niは高価な元素であり、過剰添加はコストの上昇を招く。したがって、Ni含有量は0.05〜1.50%とする。Ni含有量は0.30%以上であることが好ましく、1.10%以下であることが好ましい。
Nbは、本発明の鋼板において重要な元素である。Nbは、微量の添加により、未再結晶オーステナイト域を拡大し、組織微細化による強度およびアレスト特性の改善に寄与する。さらに、変態強化および析出強化に寄与する。Nb含有量が0.005%未満では、上記効果が得られない。一方、Nb含有量が0.050%を超えると、粗大な析出物が生成し、アレスト特性が劣化するだけでなく、HAZ靭性を著しく劣化させる。したがって、Nb含有量は0.005〜0.050%とする。Nb含有量は0.007%以上であることが好ましく、0.020%以下であることが好ましい。
Tiは、本発明の鋼板において重要な元素である。Tiは、TiNを形成し、鋼片の加熱時にオーステナイト粒径が大きくなることを抑制する元素である。オーステナイト粒径が大きくなると、変態後のベイナイトの粒径も大きくなる。そのため、所望のベイナイト粒径を得るために、Ti含有量を0.005%以上とする。Ti含有量が0.050%を超えると、TiCが生成して靭性が低下する。そのため、Ti含有量は、0.050%以下とする。Ti含有量は0.007%以上であることが好ましく、0.020%以下であることが好ましい。
sol.Alは、鋼の脱酸に必要な元素である。脱酸には、sol.Al含有量が0.005%以上であることが必要とされる。一方、sol.Al含有量が0.060%を超えると、粗大な介在物が増加しアレスト特性が低下するだけでなく、HAZの靭性も低下する。したがって、sol.Al含有量は0.005〜0.060%とする。sol.Al含有量は0.010%以上であることが好ましく、0.050%以下であることが好ましい。
Nは、Tiと結合してTiNを形成し、オーステナイト粒の粗大化を抑制する作用を有する元素である。N含有量が0.001%未満では、この効果が得られない。一方、N含有量が0.010%を超えると、不純物として存在し、靭性の低下を招きアレスト特性を劣化させる。したがって、N含有量は0.001〜0.010%とする。N含有量は0.002%以上であることが好ましく、0.006%以下であることが好ましい。
Crは、鋼材の強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。Cr含有量が0.50%を超えると、鋼材の強度増加に伴う靭性の低下が顕著となる。したがって、Cr含有量は0.50%以下とする。一方、Cr含有量が0.05%未満では、鋼材の強度を充分に高めることができない場合がある。したがって、Cr含有量は0.05%以上であることが好ましい。
Moは、鋼材の強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。Mo含有量が0.35%を超えると、鋼材の強度増加に伴う靭性の低下が顕著となる。また、アレスト特性が低下する。したがって、Mo含有量は0.35%以下とする。一方、Mo含有量が0.05%未満では、鋼材の強度を充分に高めることができない場合がある。したがって、Mo含有量は0.05%以上であることが好ましい。
Vは、炭窒化物を形成し、鋼材を析出強化する作用を有するため、必要に応じて含有させてもよい。V含有量が0.15%を超えると、析出強化に伴う靭性の低下が顕著となる。したがって、V含有量は0.15%以下とする。一方、V含有量が0.005%未満では、鋼材を充分に析出強化できない場合がある。したがって、V含有量は0.005%以上であることが好ましい。
Bは、微量の添加で焼入れ性を高める元素であり、必要に応じて含有させてもよい。B含有量が0.0030%を超えると、効果が飽和するとともに、溶接部の靭性を低下させる。したがって、B含有量は0.0030%以下とする。一方、B含有量が0.0003%未満では、焼入れ性を安定して高めることができない場合がある。したがって、B含有量は0.0003%以上であることが好ましい。
Caは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。Ca含有量が0.010%を超えると、HAZ靭性および溶接性が悪化する。そのため、Ca含有量は0.010%以下とする。一方、Ca含有量が0.0005%未満では、HAZ靭性を安定して向上させることができない場合がある。したがって、Ca含有量は0.0005%以上であることが好ましい。
Mgは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。Mgが0.0050%を超えると、HAZ靭性および溶接性が悪化する。そのため、Mg含有量は0.0050%以下とする。一方、Mg含有量が0.0005%未満では、HAZ靭性を安定して向上させることができない場合がある。したがって、Mg含有量は0.0005%以上であることが好ましい。
REMは、HAZ靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。REMが0.0050%を超えると、HAZ靭性および溶接性が悪化する。そのため、REM含有量は0.0050%以下とする。一方、REM含有量が0.0005%未満では、HAZ靭性を安定して向上させることができない場合がある。したがって、REM含有量は0.0005%以上であることが好ましい。
鋼板の炭素当量Ceq.は、下記式(i)で示される。Ceq.が0.400未満では、板厚中心部まで焼きが入らず、降伏強度440MPa以上の高強度が得られない。また、靭性が低下することもある。一方、Ceq.が0.520を超えると、必要な強度を容易に得ることができるが、靭性の低下および溶接性の低下が起こるとともに、コストも増加する。また、アレスト特性が低下する。したがって、Ceq.は0.400〜0.520とする。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(i)
以下に示す(a)〜(d)の組織規定のいずれか一つでも満足しない場合、良好な強度およびアレスト特性が得られない。
加熱温度:1000〜1150℃
加熱温度は、板厚中心部の温度を基準として1000〜1150℃とする。板厚が70mmを超える厚肉材の場合、鋼板の表面と板厚中心部とでは温度差が発生するため、管理温度を表面にしてしまうと、板厚中心部の温度が低下していないにも関わらず次工程に進んでしまう。その結果、必要な強度、靭性およびアレスト特性を満足できない恐れがある。そのため、加熱温度は、板厚中心部の温度を基準とする。加熱温度が1150℃を超えると、加熱γ粒が粗大化するため、アレスト特性を得るための微細な組織を得ることが困難になる。一方、加熱温度が1000℃未満であると、溶体化が不充分となる。好ましい加熱温度範囲は、1000〜1100℃である。
再結晶域圧延の温度域は、板厚中心部の温度を基準として950〜1150℃の範囲とする。板厚中心部の温度を基準とするのは、前記加熱温度において板厚中心部の温度を基準とした理由と同じである。再結晶域圧延の温度域が1150℃を超えると、再結晶による微細なオーステナイト粒が得られず、かえって粗大化する場合がある。一方、再結晶域圧延の温度域が950℃未満であると、オーステナイトの再結晶が顕著に起こらない。また、累積圧下率は15%以上とする。累積圧下率が15%未満であると、鋳造時に生成したポロシティなどの内部欠陥の影響を低減できないだけでなく、製品に必要な鋼材の幅が得られない。再結晶域圧延における累積圧下率が大きいほど、再結晶オーステナイトは微細化するが、次いで行う未再結晶域での累積圧下量を確保できなくなる。そのため、再結晶域圧延における累積圧下率は60%以下とする。また、各パスの平均圧下率は、3.5%以上とする。各パスの平均圧下率が3.5%未満であると、材料内部にひずみが入らず、オーステナイトの再結晶が顕著に起こらない。その結果、微細なオーステナイトが得られないだけでなく、パス数が増加し生産性が低下する。また、各パスの圧下率の上限は特に設けないが、各パスでの圧下率が10%を超えると、再結晶オーステナイトが粗大化する場合がある。そのため、各パスの平均圧下率は、10%以下であることが好ましい。また、各パスの平均圧下率は、4%以上であることが好ましい。
未再結晶域圧延の温度域は、板厚中心部の温度を基準としてAr3以上950℃以下とする。板厚中心部の温度を基準とするのは、前記加熱温度において板厚中心部の温度を基準とした理由と同じである。未再結晶域圧延の温度域が950℃を超えると、オーステナイトの扁平が得られず、冷却後に微細な組織が得られない。一方、未再結晶域圧延の温度域がAr3点未満であると、フェライトおよびオーステナイトの二相域圧延となり、表層および1/4t部で粗大なフェライトが多数生成し、アレスト特性が得られなくなる。また、累積圧下率が40%未満であると、CR(制御圧延)の効果が不充分となり、微細な組織が得られなくなる。そのため、累積圧下率は40%以上とする。累積圧下率の上限値は特に設けないが、板厚が70mmを超えると、未再結晶域で65%を超える累積圧下率を確保しようとすると、再結晶域圧延での累積圧下率を確保できなくなる。そのため、累積圧下率は65%以下であることが好ましい。また、各パスの平均圧下率は5.0%以上とする。各パスの平均圧下率が5.0%未満であると、鋼板内部まで圧延歪みが導入されず、微細な組織が得られないだけでなく、パス回数が増加し生産性が低下する。
未再結晶域圧延の最終パス開始温度は、板厚表面の温度でAr3−20℃〜Ar3+30℃とする。未再結晶域圧延の最終パス開始温度がAr3+30℃を超えると、板厚表面5mm以内にアスペクト比が1.5以上の組織が形成されない。一方、未再結晶域圧延の最終パス開始温度がAr3−20℃未満であると、板厚表面5mmを超える領域にもアスペクト比が1.5以上の組織が形成され、アレスト特性が低下する。
加速冷却は、未再結晶域圧延の完了後、加速冷却を開始する。強度および靭性向上の観点から、加速冷却は、圧延完了後から20℃以上温度が低下する前に開始することが好ましい。板厚が70mmを超える厚鋼板では、熱伝達が遅延することから、板厚中心部の冷却速度は1〜10℃/s程度にしかならない。しかし、本発明では、鋼板表面の組織状態を制御するため、表面温度の冷却速度を50℃/s以上にすることが好ましい。加速冷却の停止温度は、表面温度が550℃以下とする。加速冷却の停止温度が550℃を超えると、板厚中心部の冷却が不充分となり、強度および靭性が低下する。そのため、室温まで冷却することが望ましい。しかしながら、実際の製造においては、鋼板の脱水素を考慮する必要がある。そのため、加速冷却の停止温度は300〜400℃であることがより好ましい。
加速冷却終了後、焼戻し処理を行う場合には、焼戻し温度は350〜650℃とする。焼戻し温度が350℃未満であると、焼戻しの効果が不充分となる。また、焼戻し温度が350℃以上である場合に得られる効果と同等の効果を得るには、長時間の熱処理が必要なるため、工業的でない。一方、焼戻し温度が650℃を超えると、強度の低下が著しくなり、充分な強度が得られない。また、微細な析出部の生成により組織が硬化し、靭性が低下する恐れがある。焼戻し温度は、400〜550℃であることが好ましい。
表1に示す化学組成を有する鋼種a〜qを、表2に示す条件で製造することにより、試験No.1〜30の厚鋼板を得た。各厚鋼板の板厚を表3に示す。
各板厚位置からサンプルを切り出し、ナイタール腐食した組織を光学顕微鏡の500倍で撮影し、フェライトの面積率および結晶粒径、ならびに、表層5mm以内のアスペクト比を測定した。また、有効結晶粒径は、コロイダルシリカで仕上げたサンプルを用いて、1mm×2mmの領域を2μmステップでEBSD測定し、15°傾角を粒界として測定した。結果を表3に示す。
各厚鋼板の1/4t部および1/2t部からそれぞれ、JIS Z 2241(2011)で規定される4号試験片を、圧延方向と平行な方向に採取し、降伏強度(YS)および引張強度(TS)を測定した。結果を表3に示す。なお、降伏強度の目標値は460MPa以上、引張強度の目標値は570〜720MPaとした。
各厚鋼板の表面、1/4t部および1/2t部からそれぞれ、JIS Z 2242:2005で規定されるVノッチ試験片を、圧延方向と平行な方向に採取してシャルピー衝撃試験を行い、脆性破面が50%になる温度(vTrs)を測定した。結果を表3に示す。なお、vTrsの目標値は−40℃以下とした。
アレスト特性は、−10℃におけるKca値を算出することにより、行った。Kca値は、温度勾配型のESSO試験を実施することにより算出した。具体的には、負荷応力を少なくとも3条件以上として温度勾配型のESSO試験を実施し、負荷応力および脆性亀裂長さから求まるKca値を、脆性亀裂が停止した位置の温度でグラフを描画し、対数近似から−10℃におけるKca値を算出した。結果を表3に示す。なお、−10℃におけるKca値の目標値は、6000N/mm1.5以上とした。
Claims (6)
- 板厚が70mmを超える厚鋼板であって、
化学組成が、質量%で、
C:0.040〜0.120%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:1.30〜2.20%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Cu:0.05〜1.00%、
Ni:0.05〜1.50%、
Nb:0.005〜0.050%、
Ti:0.005〜0.050%、
sol.Al:0.005〜0.060%、
N:0.001〜0.010%、
Cr:0〜0.50%、
Mo:0〜0.35%、
V:0〜0.15%、
B:0〜0.0030%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.0050%、
REM:0〜0.0050%、ならびに、
残部:Feおよび不純物であり、
下記式(i)で示されるCeq.が0.400〜0.520であり、かつ、
下記(a)〜(d)を満足する、厚鋼板。
(a)表層5mm以内の組織は圧延方向に伸長した組織を形成し、この組織の平均アスペクト比は1.5以上である。
(b)鋼板内部のミクロ組織はフェライトおよびベイナイトの複合組織を有し、板厚の1/4t部のフェライト分率が5.0〜35.0%、板厚の1/2t部のフェライト分率が3.0〜40.0%であり、かつ、各板厚位置において、フェライトおよびベイナイト以外の組織を合計で5%未満(0%を含む)有する。
(c)板厚の1/4t部の平均フェライト粒径が10.0μm以下、かつ、板厚の1/2t部の平均フェライト粒径が12.0μm以下である。
(d)板厚の1/4t部の平均有効結晶粒径が22.0μm以下、かつ、板厚の1/2t部の平均有効結晶粒径が32.0μm以下である。
Ceq.=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(i) - 前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.05〜0.50%、
Mo:0.05〜0.35%、および、
V:0.005〜0.15%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の厚鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
B:0.0003〜0.0030%、
を含有する、請求項1または2に記載の厚鋼板。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0005〜0.0050%、および、
REM:0.0005〜0.0050%、
から選択される1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の厚鋼板。 - 請求項1〜4のいずれか一つに記載の厚鋼板を製造する方法であって、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成を有する鋼片を用いて、板厚中心部を1000〜1150℃に加熱し、
板厚中心部が950〜1150℃の温度域において、累積圧下率を15〜60%、各パスの平均圧下率を3.5%以上で再結晶域圧延を行った後、
板厚中心部の温度がAr3以上950℃以下で累積圧下率を40%以上、各パスの平均圧下率を5.0%以上で未再結晶域圧延を行い、
さらに、この未再結晶域圧延の最終パス開始温度を板厚表面でAr3−20℃〜Ar3+30℃として圧延を完了し、
次いで、加速冷却を開始し、表面温度が550℃以下まで加速冷却を行う、厚鋼板の製造方法。 - 前記加速冷却終了後、350〜650℃の温度で焼戻し処理を行う、請求項5に記載の厚鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016017238A JP6620575B2 (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 厚鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016017238A JP6620575B2 (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 厚鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017137521A JP2017137521A (ja) | 2017-08-10 |
JP6620575B2 true JP6620575B2 (ja) | 2019-12-18 |
Family
ID=59564855
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016017238A Active JP6620575B2 (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 厚鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6620575B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107779750B (zh) * | 2017-10-31 | 2020-07-24 | 钢铁研究总院 | 一种低合金高强度压力容器钢板及其制备方法 |
JP7104370B2 (ja) * | 2018-04-10 | 2022-07-21 | 日本製鉄株式会社 | 厚鋼板およびその製造方法 |
JP6693607B1 (ja) * | 2018-08-23 | 2020-05-13 | Jfeスチール株式会社 | 熱延鋼板およびその製造方法 |
JP7535028B2 (ja) | 2021-10-29 | 2024-08-15 | 株式会社神戸製鋼所 | 高強度鋼板およびその製造方法 |
CN114107637A (zh) * | 2021-11-26 | 2022-03-01 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种屈服强度890MPa级稀土工程机械用钢的制备方法 |
CN114645192B (zh) * | 2022-02-15 | 2023-06-02 | 南京钢铁股份有限公司 | 一种镍系用钢及其生产方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI463018B (zh) * | 2012-04-06 | 2014-12-01 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 具優異裂縫阻滯性之高強度厚鋼板 |
WO2014038200A1 (ja) * | 2012-09-06 | 2014-03-13 | Jfeスチール株式会社 | 溶接熱影響部ctod特性に優れた厚肉高張力鋼およびその製造方法 |
CN103045942A (zh) * | 2012-12-17 | 2013-04-17 | 南京钢铁股份有限公司 | 抗低温脆性断裂性能优良的特厚海洋工程用钢板制造方法 |
CN103320693B (zh) * | 2013-06-19 | 2015-11-18 | 宝山钢铁股份有限公司 | 抗锌致裂纹钢板及其制造方法 |
-
2016
- 2016-02-01 JP JP2016017238A patent/JP6620575B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017137521A (ja) | 2017-08-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3042976B1 (en) | Steel sheet for thick-walled high-strength line pipe having exceptional corrosion resistance, crush resistance properties, and low-temperature ductility, and line pipe | |
JP6682967B2 (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP5522084B2 (ja) | 厚鋼板の製造方法 | |
KR100957970B1 (ko) | 후물 고강도 고인성 강판 및 그 제조방법 | |
US7914629B2 (en) | High strength thick steel plate superior in crack arrestability | |
JP5655984B2 (ja) | H形鋼及びその製造方法 | |
JP4874435B2 (ja) | 厚鋼板の製造方法 | |
JP6620575B2 (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP4897127B2 (ja) | 溶接構造用高強度鋼板の製造方法 | |
JP5477578B2 (ja) | 脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板及びその製造方法 | |
JP6183545B2 (ja) | H形鋼及びその製造方法 | |
JP6665659B2 (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP5045074B2 (ja) | 低降伏比を有する高張力薄肉鋼板およびその製造方法 | |
JP7221475B6 (ja) | 延性及び低温靭性に優れた高強度鋼材及びその製造方法 | |
CN113330125A (zh) | 厚钢板及其制造方法 | |
JP7082204B2 (ja) | 脆性亀裂伝播抵抗性に優れた構造用鋼材及びその製造方法 | |
JP7348948B2 (ja) | 冷間曲げ性に優れた高強度構造用鋼材及びその製造方法 | |
JP6582590B2 (ja) | Lpg貯蔵タンク用鋼板およびその製造方法 | |
JP6776826B2 (ja) | 脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
JP7348947B2 (ja) | 脆性破壊抵抗性に優れた構造用鋼材及びその製造方法 | |
JP2010174332A (ja) | 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP6327186B2 (ja) | 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2019026927A (ja) | 厚鋼板および厚鋼板の製造方法 | |
JP5732017B2 (ja) | 歪時効前後の靭性変化が少ない厚鋼板 | |
JP2015214724A (ja) | 耐衝突性に優れた鋼板の高能率製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181003 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190710 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191023 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191105 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6620575 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |