JP6611243B2 - 車両運用業務支援システム - Google Patents
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Description
ところが、車両故障や事故、災害などによって、列車運行に乱れが生じた時には、ダイヤを適切に変更して、列車の運行を正常に戻す運転整理が行われる。この運転整理によって車両運用も計画とは大幅に変更になる。変更の仕方によっては、ダイヤ平復が遅れたりダイヤ平復後の運用戻しに手間取るといったことが発生する。
本発明の他の目的は、乱れたダイヤの平復後に、変更された車両運用を、仕業検査の実施を含んだ計画運用に戻すための運用整理案を比較的短時間で作成し提示することが可能な車両運用業務支援システムを提供することにある。
演算処理装置および記憶装置と入力装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用を管理する車両運用業務支援システムにおいて、
前記演算処理装置は、
前記入力装置より入力された現在の車両運用の実績情報を前記記憶装置に格納する運用実績情報格納手段と、
前記記憶装置より計画車両運用データおよび現在の車両運用実績情報を読み出して、現在の車両運用を計画車両運用に戻すための運用整理案を作成する運用整理案作成手段と、
前記運用整理案作成手段が運用整理案を作成する際の条件の設定入力を前記入力装置より可能にする条件設定入力支援手段と、
を備えるとともに、
運用を管理する編成に、所属の異なる複数の編成および車種の異なる複数の編成が含まれる場合に、それらの複数の編成を、所属と車種に応じてグループ分けして運用情報を前記記憶装置に記憶して管理し、
前記記憶装置からグループごとに運用情報を読み出すことで前記グループ内の編成に対して個別に運用整理案を提案する機能と、前記記憶装置からすべてのグループの運用情報を読み出すことですべてのグループにまたがった一括の運用整理案を提案する機能と、を備え、
前記運用整理案作成手段は、前記入力装置より入力された条件に基づいて、可能な範囲で計画車両運用に戻すための運用整理案を作成するように構成したものである。
また、運用整理案の作成の対象に所属が異なったり車種(編成形態を含む)が異なる編成が含まれている場合にも、適切な運用整理案を作成して提示することができる。
かかる構成によれば、変更された車両運用を計画運用に戻すための運用整理案を作成する際に、状況に応じた有効な条件を作業者が設定することができるため、作業者の要望に即した運用整理案を作成して提示することができる。
前記記憶装置より運用表を読み出して、所定の期間内に検査が計画されていない編成を抽出する検査未設定編成抽出手段と、
前記運用表のデータに基づいて、検査作業を実施可能な間合いを抽出する検査間合い抽出手段と、
前記検査間合い抽出手段により抽出された間合いに、前記検査未設定編成抽出手段により抽出された編成の検査作業を割り当てた検査計画を作成し出力する検査計画提案手段と、を備えるように構成する。
かかる構成によれば、検査作業を確実に実施可能な検査計画を含んだ運用整理案を作成して提示することができる。
あるいは、前記運用整理案作成手段は、異なる日に2つの編成に対して同一の実施場所における同一の検査作業が割り当てられている場合に、前記2つの編成に対して割り当てられている検査作業を交換する機能を備えるように構成しても良い。
上記のような構成によれば、運用整理案を作成する際の柔軟性が高まるため、比較的短時間で適切な運用整理案を作成して提示することができる。
前記入力装置より現在の車両運用の実績情報を一括で入力することを可能にする一括入力支援手段を備え、
前記運用整理案作成手段は、翌日以降の運用について、現在の車両運用を計画車両運用に戻すための運用整理案を作成するように構成する。
かかる構成によれば、比較的容易に現在の車両運用の実績情報を装置に反映することができ、それによって比較的短時間で運用整理案を作成して提示することができる。
図1は、本実施形態の車両運用業務支援システムの一実施例を示す。
車両運用業務支援装置100は、CPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置で構成される処理実行制御部110、ROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等の記憶装置で構成されるデータ記憶部120、キーボード141やマウス142などの入力操作装置からの入力を処理する入力処理部131、液晶パネル等の表示装置143に画像を表示させる表示処理部132、及びこれらの間でデータの送受信を可能に接続するバス133などからなる。本実施形態では、上記車両運用業務支援装置100と、入力操作装置(141,142)と、表示装置143とによって車両運用業務支援システムが構成されている。
ここで、「仕業検査」は、例えば2−6日毎の短い周期で行なわれる検査で、集電装置や台車、ブレーキなど特に運転に必要不可欠な装置の点検を、車両を運用から外さずに行う検査である。また、「交番検査」は、仕業検査よりも長い周期(例えば30日)で行われるもので、仕業検査と同じく車両を分解せずに行われる検査であるが、仕業検査よりも詳細な検査が行われる。
図2に示されているように、運用表は、左側の縦の欄に運用対象の編成番号A01,A02,A03……が順に記述され、上側の横の欄に日付が順に記述され、縦欄と横欄の交差する位置(マス目)に運用番号が#1,#2,#3……が記述されている。マス目に黒丸(●)の印が付されている運用は、当日に仕業検査が設定されていることを意味している。図2は基本となる計画運用表であり、この図から分かるように、運用番号#1,#2,#3……は、各編成に対して例えば1か月のような期間で循環して割り当てられる。
ここで、「運用グループ」とは、所属する車両基地(A車両基地とB車両基地等)や車種(5両編成または10両編成等)によって編成を分類して、グループ分けしたものを意味する。2つの車両基地と2車種が存在する場合には、図7に示すように、4つのグループG1,G2,G3,G4に分かれることとなる。基本設定(計画運用)では、運用グループごとに運用順序が循環設定される。
なお、運用整理案作成部112による運用整理案の作成処理は、図2の運用表画面の作業メニュー欄WMCの左側に設けられている「機能」ボタンFBをマウス142でクリックすると表示されるサブ画面で、「運用整理自動提案」を選択することによって実行される機能である。この「運用整理自動提案」を選択されると、例えば図5に示すような、日付を指定することができる日付指定ボタン(b)や、運用の固定などの条件を設定したり設定済みの仕業検査をクリアしたりするチェックリスト欄CLC、処理を開始させる支持を与える実行ボタン(r)などを含むサブ画面CNBが表示される。
この「運用変更一括入力画面」において、輸送指令からの運転計画書に記載されている内容をもとに、変更入力欄TLCへ運用の変更を順次入力してから、「登録」ボタンRBをクリックすると変更後の現在の状態(運用実績)がシステムに反映されることとなる。
そして、作成した運用整理案を反映した運用表(図2)を表示する(ステップS6)。このとき表示する運用整理案は、完璧なものでなく仕業検査の割当等が決まっていない状態のものでよい。なお、未決定あるいは矛盾(不整合)等がある場合には、それが分かるように例えば色を変えたり所定のマークを付記したりするなどの処理をして表示する。
続いて、チェックリスト欄CLCの「運用割当て提案」チェックボックス(k)にチェックマークが付されていると、自由度の低いものから順に運用を割り当てて行く処理を行なう(ステップS54)。具体的には、例えば先ず自由度の低い滞泊運用の割り当てを行い、次に自由度の高い日帰り運用の割り当てを行う。また、夜間の滞泊時間帯に同じ車両基地に存在する編成の翌日の運用を交換することを優先して判断し、次に昼間の同じ時間帯に同じ場所(車両基地,留置線)に存在する編成の運用の交換(差し替え)を判断する。
以上の説明から、本実施形態における運用整理案作成処理は逐次型の処理であることが分かる。そして、このような逐次型の運用整理案作成処理を実行することによって、完成度の高い運用整理案を一回の処理で提案する方法に比べて、装置の負担を減らすことができ、処理速度の遅いCPUであっても比較的短い時間で、満足できる運用整理案を提案することができる。
前述したように、2つの車両基地と2車種の編成が存在する場合には、これらの車両基地に属する編成は、図7に示すように、4つのグループG1,G2,G3,G4に分けられ、基本設定(計画運用)では、運用グループごとに運用順序が循環設定される。例えば、A車両基地に属するグループG1,G2の編成は、1日の初めにA車両基地から出区して1日の終わりにA車両基地に戻り、B車両基地に属するグループG3,G4の編成は、B車両基地から出区してB車両基地に戻るように運用が設定される。また、本実施形態においては、対象となるエリヤに存在する複数の路線を、4つのグループG1〜G4に属する編成がそれぞれ走行するように計画運用が設定されている。しかも、異なる車種の編成が併結(連結)された形態(15両編成)で運行されることもある。
個別管理を適用すれば、対象となる編成の数が少ないため、短時間に運用整理案を得ることができる。一方、一括管理を適用すれば、対象となる編成の数が多くなるため、時間はかかるが他基地(他運用)に属する編成が入り混じって運用変更された場合にも、比較的短い期間に元の計画運用に戻すことができる。個別管理か一括管理かは、例えば図5に示すサブ画面CNBのチェックリスト欄CLCに、「個別管理」と「一括管理」の選択を行う項目を設けることで実現することができる。
図8は、実線と一点鎖線でそれぞれ表わされている2つの運用X,Yの運行スケジュール(行路)を、縦軸に運用対象路線の駅名を記述し横軸に時刻をとって棒線(スジ)で表した運用ダイヤの一部を抽出して表したものである。運用Xは(Z駅)−A駅−B駅−C駅の行路、運用YはA駅−B駅−D駅の行路である。このような場合、運用が異なっていても同一の駅を経由しているため、ダイヤが乱れた際に、運用間で編成が交換するような運用変更が行われることがある。
第1の補助機能は、運用戻しの運用整理提案処理において、運用整理案作成部112は、運用を変更したい各編成について全ての入出区場面を探して変更可能か否か判断して複数の場面を提案するパターン1と、1つの運用に対して運用変更が可能な入出区場面を探して1場面のみに限定して提案するパターン2とを設け、いずれか一方のパターンを選択して実行させることができるようにしている点である。パターン2では、変更可能な数が最も多い場面を選定するのが有効である。
上記のうちパターン1の提案は、計算処理に時間がかかる一方、下位の選択肢が多くなり柔軟性が高まるという利点がある。パターン2の提案は、計算処理に要する時間を短縮することができるという利点がある。パターン2で先ず広く提案結果を得てから、細部の不整合解消のために条件を設定してパターン1の提案をさせることで、より妥当性の高い提案を得ることができる。
かかる補助機能を備えることにより、運用戻しの整理案や仕業検査の実施の提案を作成するに際して、それぞれの実施箇所(車両基地、留置線)の環境の違いを考慮した提案が可能になるという利点がある。午前と午後で運用が異なる場合、図2の運用表においては、例えば「#3/#9」のように表記される(図2の右下欄参照)。
交番検査計画提案処理は、例えば図5に示す運転整理自動提案のダイヤログボックスの表示画面において、マウス142を操作して「交番検査を固定化」のチェック(f)を外すとともに他の条件の設定をした後、下方の「実行ボタン」(r)にカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックすると開始されるようになっている。
この交番検査計画提案処理では、当日の交番検査計画と翌日の交番検査計画とを交換したり、同一日の異なる実施箇所(例えば車両基地AとB)に設定されている交番検査計画を交換したりする提案がなされる。また、本実施形態の車両運用業務支援装置100の作業管理部114は、指定日の指定箇所での交番検査計画を表示装置143に表示させたり、各編成に実施された交番検査の実績を管理する機能も備えている。
仕業検査計画提案は、例えば図2の運用表の表示画面において、マウス142を操作して上部のメニュー欄の一番左側に設けられて「機能」ボタンFBにカーソルを合わせて、マウス142の左ボタンをクリックすると、選択可能な機能の一覧を示すサブ画面が表示される。ここで、マウス142を操作して「仕業検査計画提案」を選択することで開始されるように構成することができる。
続いて、車両運用データ記憶部122から設定済みの「仕業検査」を読み込む(ステップS33)。そして、当該設定済みの「仕業検査」は本来の当初運用計画で設定されている仕業検査であるか判定する(ステップS34)。ここで、当初運用計画の仕業検査である(Yes)と判定すると、ステップS37へ移行する。一方、ステップS34で、当初運用計画の仕業検査でない(No)と判定すると、ステップS35へ進み、運用内の間合い(長時間の停留)を見つけて、入区時刻や出区時刻等からその間合いが仕業検査を実施可能な時間長さ(1〜2時間)であるか否か判定する(ステップS36)。
なお、図10の仕業検査計画提案処理のステップS37の次に、仕業検査計画の対象の編成が例えば5両編成に10両編成が併結されて15両編成にされたような併結車両の一方の編成であるか否か判定し、併結車両の一方の編成である場合には、他方の編成に対しても間合いに「仕業検査」を充当させるようにしてもよい。これにより、トータルの「仕業検査」の作業回数を減らして、運用戻しを完了し易くすることができる。
110 処理実行制御部
111 運用表編集処理部
112 運用整理案作成部
114 仕業検査等作業管理部
120 データ記憶部
121 車両運用業務支援プログラム記憶部
122 車両運用データ記憶部
123 運用表データ記憶部
124 作業実績管理データ記憶部
143 表示装置
Claims (6)
- 演算処理装置および記憶装置と入力装置を備え、前記記憶装置に記憶されている車両運用データに基づいて車両の運用を管理する車両運用業務支援システムであって、
前記演算処理装置は、
前記入力装置より入力された現在の車両運用の実績情報を前記記憶装置に格納する運用実績情報格納手段と、
前記記憶装置より計画車両運用データおよび現在の車両運用実績情報を読み出して、現在の車両運用を計画車両運用に戻すための運用整理案を作成する運用整理案作成手段と、
前記運用整理案作成手段が運用整理案を作成する際の条件の設定入力を前記入力装置より可能にする条件設定入力支援手段と、
を備えるとともに、
運用を管理する編成に、所属の異なる複数の編成および車種の異なる複数の編成が含まれる場合に、それらの複数の編成を、所属と車種に応じてグループ分けして運用情報を前記記憶装置に記憶して管理し、
前記記憶装置からグループごとに運用情報を読み出すことで前記グループ内の編成に対して個別に運用整理案を提案する機能と、前記記憶装置からすべてのグループの運用情報を読み出すことですべてのグループにまたがった一括の運用整理案を提案する機能と、を備え、
前記運用整理案作成手段は、前記入力装置より入力された条件に基づいて、可能な範囲で計画車両運用に戻すための運用整理案を作成することを特徴とする車両運用業務支援システム。 - 前記運用整理案を作成する際の条件には、現在の車両運用が計画車両運用に戻るまでの所要日数と、特定の運用を変更しないように固定する運用固定と、提案する運用に検査作業を含むか否か、が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の車両運用業務支援システム。
- 前記演算処理装置は、
前記記憶装置より運用表を読み出して、所定の期間内に検査が計画されていない編成を抽出する検査未設定編成抽出手段と、
前記運用表のデータに基づいて、検査作業を実施可能な間合いを抽出する検査間合い抽出手段と、
前記検査間合い抽出手段により抽出された間合いに、前記検査未設定編成抽出手段により抽出された編成の検査作業を割り当てた検査計画を作成し出力する検査計画提案手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両運用業務支援システム。 - 前記運用整理案作成手段は、
同一の日に異なる2つの編成に対して実施場所の異なる同一の検査作業が割り当てられている場合に、前記2つの編成に対して割り当てられている検査作業を交換する機能を備えるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両運用業務支援システム。 - 前記運用整理案作成手段は、
異なる日に2つの編成に対して同一の実施場所における同一の検査作業が割り当てられている場合に、前記2つの編成に対して割り当てられている検査作業を交換する機能を備えるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両運用業務支援システム。 - 前記運用整理案作成手段は、
前記入力装置より現在の車両運用の実績情報を一括で入力することを可能にする一括入力支援手段を備え、
前記運用整理案作成手段は、翌日以降の運用について、現在の車両運用を計画車両運用に戻すための運用整理案を作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両運用業務支援システム。
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