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JP6603651B2 - 膝サポーター及び膝関節のサポート方法 - Google Patents

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JP6603651B2 JP2016506504A JP2016506504A JP6603651B2 JP 6603651 B2 JP6603651 B2 JP 6603651B2 JP 2016506504 A JP2016506504 A JP 2016506504A JP 2016506504 A JP2016506504 A JP 2016506504A JP 6603651 B2 JP6603651 B2 JP 6603651B2
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Description

この発明は、着用者の日常動作を支援することのできる膝サポーター及び膝関節のサポート方法に関し、特に、膝関節の安定性を向上して、着用者の疲労を減少すると共に、膝蓋腱への負荷を減少するテーピング機能を具備する膝関節用バンデージ又は膝関節用サポーターに関するものである。
従来、手関節、足関節若しくは膝関節の捻挫などの外傷予防、これらの外傷を受傷したときの応急処置、受傷後から完全回復までのリハビリテーションの補助、又は、外傷等の再発予防などの医療用の目的に対応するために、帯状のテーピングテープ(身体の部分に貼着して使用する伸縮性又は非伸縮性粘着布テープ)又はバンデージや丸編で編成された略筒状のサポーターなどが使用されている。
これらのうち、テーピングテープは、使い切りで経済的ではなく、使用者の体質によっては粘着剤で使用者の皮膚にかぶれを生じさせるうえに、高齢者などの皮膚の弱い使用者にはテーピングテープを剥がす際に表皮剥離を生じさせる虞があるという課題がある。
また、丸編のサポーターは、略筒状であるため、受傷した部位を無理に曲げて挿入にする場合に痛みを伴う虞があるうえに、テーピングテープと比較して固定力が劣るという課題がある。
これに対し、バンデージは、長手方向に伸縮性を有する帯状体であるため、患部に追従し易く、着用者自身で固定力を調整しながら巻回させることができ、着用者の体の動きに対して無理な力が掛からず、安定した固定力が得られ、反復使用が可能なために経済的である。
例えば、従来の膝関節用サポーターは、その一面にパイル機能を有し、且つその片面端部にはパイル機能に接合される接合部を有する帯状伸縮性の第一ベルトと、その一面にパイル機能を有し、且つその片面端部にはパイル機能に接合される接合部を有する帯状伸縮性の第二ベルトとからなり、第二ベルトはその基端部を第一ベルトに対して所定角度で取り付けるようにした(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の膝矯正具は、伸縮自在の付勢バンド(付勢部)の基端は、環状巻回部の螺旋巻回の基端が縫合されている個所に縫合され、付勢バンド(付勢部)の先端の端面ファスナーは環状巻回部の反対側の連結端に係止される。そうすると、付勢バンドによって、螺旋巻回部の基端は付勢端から連結端に向かって付勢され、よって螺旋巻回部はその伸縮方向に対抗する方向に付勢され、脚を動かしても、矯正具が緩まず、矯正の効果が向上する(例えば、特許文献2参照)。
また、従来の膝関節用サポーターは、伸縮性と柔軟性を有した素材と、表面をマジックテープ(登録商標)と係着し得る柔軟性と伸縮性を有した素材で構成した環状帯と螺旋帯を組み合わせ使用し、解剖学的な見地からと運動力学的作用を利用することにより、装着時に違和感を生じる支柱ステー等の補強部材を使用することなく充分な支持力と固定力を得る(例えば、特許文献3参照)。
また、従来の膝サポーターは、膝蓋骨下方外側から膝関節内側を通って大腿下部後側へ掛け回される伸縮性の内側締付ベルトと、膝蓋骨下方内側から膝関節外側を通って大腿下部後側へ掛け回される伸縮性の外側締付ベルトとをサポータ本体に設けて構成され、内側締付ベルトは、外側締付ベルトに比べて相対的に高い伸縮性素材を用いている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、従来の膝関節用サポーターは、大腿部部分、下腿部部分及び膝関節部部分を被覆する弾力性布からなる本体と、本体表面の左右に大腿部部分上方から下腿部部分下方にわたり配置したステーと、ステーを覆うように本体の大腿部部分と下腿部部分にそれぞれ設けたステーカバーと、下腿部部分のいずれか一方のステーカバーの上方側に一端を取り付け脛骨粗面上を通るようにして他端を他方のステーカバーの上方側に取り付けた金具と結合可能な非伸縮性又は難伸縮性の下腿部部分前部ベルトと、下腿部部分のステーカバーのいずれか一方に一端を取り付け下腿部部分の後方を通るようにして他端を他方のステーカバーに取り付けた金具と結合可能な非伸縮性又は難伸縮性の下腿部部分後部ベルトと、大腿部部分のステーカバーのいずれか一方に一端を取り付け大腿部部分の後方を通るようにして他端を他方のステーカバーに取り付けた金具と結合可能な非伸縮性又は難伸縮性の大腿部部分後部ベルトと、下腿部部分の左右ステーカバーの下方側にそれぞれ一端を取り付け脛骨粗面上で互いに交差するように斜め上方に延び大腿部部分に至る伸縮性の2つの補助ベルトとを備えている(例えば、特許文献5参照)。
特開2006−6375号公報 特開2011−45628号公報 特開2005−168532号公報 特開2012−143311号公報 実開平1−150915号公報
特許文献1に記載の従来の膝関節用サポーターは、第二ベルトを下方に引っ張りながら下腿部の内旋方向から巻き、第二ベルトの一面に形成したパイル機能に接合部を接合して固定することにより、脛骨の外側への捻れに対して常に内側に張力が掛かり、大腿骨が内側に脛骨が外側に捻れないように逆方向に引き戻す力が働く。このため、従来の膝関節用サポーターは、脚の外側面及び内側面に掛かる第二ベルトによる張力のバランスに欠けるものであり、膝関節の安定性を向上するものではなく、着用者の疲労を減少するものではない。
また、特許文献1には、第一ベルト及び第二ベルトの最大伸度(最高荷重で引き伸ばしたときの最長の長さ(伸び寸法)と元の長さ(置き寸法)との差の、元の長さに対する百分率)の具体的な開示はない。
また、特許文献2に記載の従来の膝矯正具は、螺旋巻回部の先のほぼ半分が脚を周回して巻回され、螺旋巻回部の先ほぼ半分の周回巻回部分が環状巻回部と同じ機能を果しており、螺旋巻回部が膝に対して螺旋状に巻回され、膝の外旋又は内旋を矯正するものであり、膝関節の安定させるためのテーピングを意図したものではない。
更に、従来の膝矯正具は、ゴム板の表裏面に布(面ファスナー布、通常布)が接合固定されている素材を環状巻回部に用い、ゴム板の周囲を布が覆っている素材を螺旋巻回部に用いており、環状巻回部及び螺旋巻回部の厚みが厚くなるという課題がある。
また、特許文献2には、環状巻回部及び螺旋巻回部の最大伸度の具体的な開示はない。
また、特許文献3に記載の従来の膝関節用サポーターは、環状帯(環状帯上部帯、環状帯下部帯)と螺旋帯との接合手段及び接合位置が不明であるが、特許文献3の図面を見る限り、螺旋帯が環状帯上部帯に接合されており、螺旋帯が環状帯下部帯に接合されていないと考えられる。このため、環状帯上部帯は、螺旋帯の上部アンカーとして機能しているが、環状帯下部帯は、螺旋帯の下部アンカーとして機能していないため、螺旋帯が上方にずれてしまうという課題がある。
また、特許文献4に記載の従来の膝サポーターは、サポーター本体の下部が筒状の下部筒状本体であるため、膝サポータを装着する場合に、開閉フラップを開いた状態で脚を上方から下部筒状本体に差し込む必要があり、下腿部の周径の個人差により、サイズ展開に制限がある。
また、従来の膝サポーターは、内側締付ベルト及び外側締付ベルトにおける膝蓋骨下方で交差した部分を1枚の伸縮性生地からなるフラップで構成し、一体化しているため、交差部分より下方の内側締付ベルト及び外側締付ベルトが独立して作用するものではなく、着用者の膝蓋骨を引き上げる効果を十分に発揮することができないという課題がある。
また、特許文献5に記載の従来の膝関節用サポーターは、両補助バンドが膝蓋骨下部に合わせ脛骨粗面上を通る下腿部部分前部ベルト上で交差しており、立位状態で膝が屈曲しない状態では下腿部部分前部ベルトにより脛骨粗面に適度の圧迫力が加えられて脛骨粗面を正常な位置に絶えず引き戻すように働き、膝が大きく屈曲すると補助ベルトにより脛骨粗面への圧迫力が増大し、脛骨粗面が前方へ突出しようとするのを防止するように働く。このため、従来の膝関節用サポーターは、2つの補助バンドが着用者の膝蓋骨を持ち上げるように作用するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、膝関節の安定性を向上して、着用者の疲労を減少すると共に、膝蓋腱への負荷を減少することができる膝関節用バンデージ又は膝関節用サポーターを提供することを目的とする。
この発明に係る膝サポーターにおいては、面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結される第1のアンカー部と、着用者の膝窩部の下方に少なくとも配置される第2のアンカー部、着用者の膝蓋骨に対応する部分の一の側方に配置される第1の支持部、及び、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で第1の支持部に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に配置される第2の支持部からなり、帯状の織物で織成される本体部と、を備えるものである。
なお、膝サポーターは、経糸方向に伸縮性を有する帯状織物を主材とする膝関節用バンデージと、帯状織物に付随する部材を帯状織物に付加した膝関節用サポーターと、を含む上位概念である。
この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の下腿部に巻回される巻回部、着用者の膝蓋骨に対応する部分の一の側方に配置される第1の支持部、並びに、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で第1の支持部に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に配置される第2の支持部からなる帯状の本体部と、本体部の一端に接合され、面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結するアンカー部と、本体部の他端に接合され、アンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第1の係着部と、を備えるものである。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1の支持部が本体部の一端側に配設され、第2の支持部が本体部の他端側に配設され、巻回部が第1の支持部及び第2の支持部間に配設され、かつ、第1の支持部、巻回部及び第2の支持部が同幅の直線状である。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、本体部の長手方向の最大伸度が、40%〜80%である。
さらに、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1のアンカー部及び本体部が、第1のアンカー部の周方向と本体部の長手方向とのなす角を110°〜130°として接合される。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1のアンカー部と本体部の一端との接合部が、本体部の幅方向の長さよりも長く本体部の他端側を凸に縫製される。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1のアンカー部の幅が、本体部の幅よりも広い。
さらに、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1のアンカー部が、帯状体であり、第1のアンカー部と本体部の一端との接合部は、第1のアンカー部の一端又は他端からの距離が第1のアンカー部の長さの1/4〜1/2の長さになる位置に接合されており、第1のアンカー部が、第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第2の係着部を、一端又は他端に備える。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、第1のアンカー部が、少なくとも、着用者の大腿部に第1のアンカー部を締結した状態における当該第1のアンカー部の上辺と本体部の一端との間、及び/又は、第1の係着部が第1のアンカー部に係着した状態における当該第1のアンカー部の上辺と本体部の他端との間に、本体部の長手方向に延在するスリットを備える。
また、この発明に係る膝関節用バンデージにおいては、必要に応じて、文字、図形若しくは記号又はこれらの結合からなる紋様が、本体部の表地面に形成される。
この発明に係る膝関節用サポーターにおいては、面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結される第1のアンカー部と、帯状の織物であって、着用者の膝窩部の下方に少なくとも配置される第2のアンカー部、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方から一の側方に配置される第1の支持部、及び、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で第1の支持部に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に配置される第2の支持部からなる本体部と、第1のアンカー部及び第2のアンカー部に接合され、第1のアンカー部及び本体部を一体化する連結部と、第2の支持部の端部に接合され、第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第1の係着部と、第1のアンカー部の一端又は他端に接合され、第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第2の係着部と、第1の支持部の端部に接合され、第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第3の係着部と、を備える。
また、この発明に係る膝関節用サポーターにおいては、必要に応じて、本体部の一端側に第1の支持部が配設され、本体部の他端側に第2の支持部が配設され、第1の支持部及び第2の支持部間に第2のアンカー部が配設されており、本体部が同幅の直線状である。
また、この発明に係る膝関節用サポーターにおいては、必要に応じて、連結部が、支持体を内包した左右一対の袋状部であって、着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方に配置される。
また、この発明に係る膝関節用サポーターにおいては、必要に応じて、連結部が、支持体を内包した左右一対の袋状部と、当該左右一対の袋状部、第1のアンカー部の下辺及び第2のアンカー部の上辺で包囲される領域を被覆する被覆部と、であって、着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方から着用者の膝窩部に配置される。
この発明に係る膝関節のサポート方法においては、伸縮性を有する一又は二つの帯状の支持部を備えた膝サポーターを用いて着用者の膝関節をサポートする方法であって、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側から左右の両側方に帯状の支持部を配置させて当該膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーターを装着する。
また、この発明に係る膝関節のサポート方法においては、必要に応じて、膝サポーターが着用者の大腿部に固定するためのループ面を有する帯状のアンカー部を備え、帯状の支持部の一端を帯状のアンカー部に係着させて膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーターを装着する。
また、この発明に係る膝関節のサポート方法においては、必要に応じて、膝サポーターが伸縮性を有する二つの帯状の支持部を備え、二つの帯状の支持部が着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側で交差して膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーターを装着する。
なお、この発明以下の記述においては、「配置」とは「者(着用者の部位器官)に対する所定の位置に当てて止めて置くこと」を意味し示すのに「配置」という文言を用い、「配設」とは「物(サポーター)に対する所定の位置に設けたこと」を意味する示すのに「配設」という文言を用いる。
さらに、この発明のうち膝関節のサポート方法に係る発明は、医療行為を目的とするものではなく、膝サポーターの着用者も主として健常者を対象としている。つまり、本発明の膝関節のサポート方法とは、着用者の普段の日常生活において、歩行や階段の上り下りの補助や運動時の怪我の防止や疲労の軽減等を目的とするものである。
この発明に係る膝サポーター、膝関節用バンデージ及び膝関節用サポーター並びに膝関節のサポート方法においては、本体部(支持部)により着用者の膝部(膝関節)を左右から挟持することで、着用者の膝部が必要以上に左右にぶれずに安定性を確保することができる。さらに、この発明に係る膝サポーター、膝関節用バンデージ及び膝関節用サポーター並びに膝関節のサポート方法においては、本体部(支持部)により着用者の膝部(膝関節)を下方から上方に持ち上げて支持することにより、大腿四頭筋の動きを円滑に補助して、着用者の膝部に掛かる負担を軽減することができる。
(a)は第1の実施形態に係る膝関節用バンデージの概略構成を示す正面図であり、(b)は図1(a)に示す膝関節用バンデージの背面図である。 (a)は図1に示す本体部に紋様を形成した膝関節用バンデージの概略構成を示す正面図であり、(b)は図2(a)に示す膝関節用バンデージの背面図である。 (a)は図1(a)及び図2(a)に示す膝関節用バンデージの左側面図であり、(b)は図1(a)及び図2(a)に示す膝関節用バンデージの右側面図であり、(c)は図1(a)及び図2(a)に示す膝関節用バンデージの平面図であり、(d)は図1(a)及び図2(a)に示す膝関節用バンデージの底面図である。 (a)は図1及び図3に示す膝関節用バンデージの着用状態を右側面側からみた説明図であり、(b)は図1及び図3に示す膝関節用バンデージの着用状態を正面側からみた説明図であり、(c)は図1及び図3に示す膝関節用バンデージの着用状態を背面側からみた説明図であり、(d)は図1及び図3に示す膝関節用バンデージの着用状態を左側面側からみた説明図である。 (a)は図1及び図3に示す膝関節用バンデージのアンカー部を大腿部に締結させた状態を示す説明図であり、(b)は右脚の下腿部の外側面から膝下に本体部を半回転させた状態を示す説明図であり、(c)は図5(b)に示す状態から膝下にさらに半回転させた状態を示す説明図であり、(d)は図5(c)に示す状態から膝下にさらに半回転させた状態を示す説明図である。 (a)は図1に示す本体部のループ面の織物組織の一例を説明するための説明図であり、(b)は図6(a)に示す織物組織の矢視A−A’線の断面図である。 (a)は図2に示す本体部のループ面及び紋様部分の織物組織の一例を説明するための説明図であり、(b)は図7(a)に示す織物組織の矢視B−B’線の断面図である。 (a)は第1の実施形態に係る他の膝関節用バンデージの概略構成を示す正面図であり、(b)は図8(a)に示す膝関節用バンデージの背面図である。 (a)は図8(a)に示す膝関節用バンデージの左側面図であり、(b)は図8(a)に示す膝関節用バンデージの右側面図であり、(c)は図8(a)に示す膝関節用バンデージの平面図であり、(d)は図8(a)に示す膝関節用バンデージの底面図である。 図1に示す本体部の最大伸度の違いによる効果感の評価結果を示す表である。 (a)は第2の実施形態に係る膝関節用バンデージの概略構成を示す正面図であり、(b)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの背面図である。 (a)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの左側面図であり、(b)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの右側面図であり、(c)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの平面図であり、(d)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの底面図である。 (a)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を右側面側からみた説明図であり、(b)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を正面側からみた説明図であり、(c)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を背面側からみた説明図であり、(d)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を左側面側からみた説明図である。 (a)は第3の実施形態に係る膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、(b)は図14(a)に示す膝関節用サポーターの背面図である。 (a)は図14に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させた状態を示す説明図であり、(b)は図14に示す膝関節用サポーターの第1の支持部の第3の係着部を第1のアンカー部に係着させた状態を示す説明図であり、(c)は図14に示す膝関節用サポーターの第2の支持部の第1の係着部を第1のアンカー部に係着させた状態を示す説明図であり、(d)は図14に示す膝関節用サポーターの着用状態を右側面側からみた説明図である。 (a)は図14に示す本体部の表地面の織物組織の一例を説明するための説明図であり、(b)は図16(a)に示す織物組織の矢視C−C’線の断面図である。 (a)は面ファスナーのループ面を有しない本体部の紋様部分の織物組織の一例を説明するための説明図であり、(b)は図17(a)に示す織物組織の矢視D−D’線の断面図である。 (a)は第3の実施形態に係る他の膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、(b)は図18(a)に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させると共に第2のアンカー部を下腿部に締結させた状態を示す説明図である。 (a)は第3の実施形態に係るさらに他の膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、(b)は図19(a)に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させる方法を示す説明図である。 (a)は第4の実施形態に係る膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、(b)は図20(a)に示す膝関節用サポーターの背面図である。
(本発明の第1の実施形態)
本発明において、バンデージとは「経糸方向に伸縮性を有する帯状織物を主材とし、当該帯状織物が身体の一部に巻回されることで、当該身体の機能を補助することができるもの」を意味し、このような効力を有するものであれば、バンデージと表現されていなくても(例えば、テーピングサポーター、サポーターバンドなど)本発明のバンデージの範囲内である。
本発明の膝関節用バンデージ100は、図1〜図9に示すように、面ファスナーのループ面10dを有する織物で織成され、着用者の下腿部に巻回される巻回部11、着用者の膝蓋骨に対応する部分の一の側方に張った状態で配置される第1の支持部12、及び、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で第1の支持部12に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に張った状態で配置される第2の支持部13からなる本体部10と、本体部10の一端10aに接合され、面ファスナーのループ面21を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結する第1のアンカー部20と、本体部10の他端10bに接合され、第1のアンカー部20のループ面21に脱着する面ファスナーのフック面33を有する第1の係着部30と、を備える。なお、膝関節用バンデージ100は、着用者の左足又は右足の膝に着用可能な左右兼用である。
第1のアンカー部20は、着用者の大腿部に締結することにより、着用者の膝関節に対して膝関節用バンデージ100を位置決めすると共に、着用者の膝下で交差する本体部10の上部アンカーとなる。
本体部10及び第1のアンカー部20は、帯状であって、ニードル織機やジャカードニードル織機などの力織機により、経糸1及び緯糸2を組み合わせて織成され、経糸方向(長手方向L、周方向)に伸縮性を有し、緯糸方向(幅方向W)の伸縮性を抑制した細幅の伸縮織物からなる。
更に本体部10は、着用者の下腿部に巻回される巻回部11、着用者の膝蓋骨に対応する部分の一の側方に張った状態で配置される第1の支持部12、及び、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で第1の支持部12に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に張った状態で配置される第2の支持部13から構成され、第1の支持部12が本体部10の一端10a側に配設され、第2の支持部13が本体部10の他端10b側に配設され、巻回部11が第1の支持部12及び第2の支持部13間に配設され、かつ、第1の支持部12、巻回部11及び第2の支持部13が同幅の直線状である。
また、本体部10及び第1のアンカー部20の経糸1は、図6に示すように、緯糸2と共に織物の一の面(例えば、裏地面)を構成する経地糸1aと、経糸方向で隣り合う複数の緯糸2上に浮いて織物の他の面(例えば、表地面)にループを形成するパイル糸1bと、経糸方向に伸縮性を与える弾性糸1cと、を備える。以後、本明細書において、本体部10のループ面10d及び第1のアンカー部20のループ面21を有する面を「表地面」と称し、その背面を「裏地面」と称する。
緯糸2は、経地糸1aと共に織物の裏地面を構成する緯地糸2aと、緯地糸2aに並設される熱融着性を有する融着糸2bと、を備え、1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bを並設して1本の緯糸2として構成される。なお、図6及び図7においては、1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bを1本の緯糸2として図示している。また、図6(b)及び図7(b)においては、並設される緯糸2を基準にして、上側が表地面となり、下側が裏地面となる。
また、本体部10は、ジャカードニードル織機を用いることにより、経糸方向(長手方向L)で隣り合う複数の緯糸2に対して、経糸1の経地糸1aを表地面側に浮かせ、経糸1のパイル糸1bを裏地面側に沈ませて、図2に示すように、自由に開口するジャガード組織にて、文字、図形若しくは記号又はこれらの結合からなる紋様14を表地面に部分的に形成することができ、紋様14の領域を除き、表地面の略全面にループ(ループ面10d)を有することになる。
なお、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、紋様14を形成しないため、ニードル織機により織成される。
次に、図6を用いて本実施形態に係る本体部10及び第1のアンカー部20の織物組織の一例を説明する。すなわち、ループ面10d(ループ面21)をなす経地糸1aは、図6(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、ループ面10d(ループ面21)をなすパイル糸1bは、図6(b)に示すように、隣り合う6本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈み、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との6−2−2−2の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、ループ面10d(ループ面21)をなす弾性糸1cは、図6(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、図6に示す経地糸1a、パイル糸1b及び弾性糸1cによる織物組織は、一例であり、表地面にループ(ループ面10d、ループ面21)を有することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
続いて、図7を用いて本実施形態に係る本体部10に形成する紋様14の織物組織の一例を説明する。すなわち、紋様14をなす経地糸1aは、図7(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなすパイル糸1bは、図7(b)に示すように、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈み、隣り合う2本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮く、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との2−2の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす弾性糸1cは、図7(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、図7に示す経地糸1a、パイル糸1b及び弾性糸1cによる織物組織は、一例であり、表地面のループ面10dの間に紋様14を形成することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
また、本体部10及び第1のアンカー部20は、経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を自在に調整することが可能である。本発明において最大伸度とは、「最高荷重で引き伸ばしたときの最長の長さ(伸び寸法)と元の長さ(置き寸法)との差の、元の長さに対する百分率」を示す。
特に、本実施形態に係る本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度は、後述の官能評価の総合的判断の結果から、40%〜80%に設定することが好ましく、45%〜75%がより好ましく、60%が最も好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の経糸方向(長手方向L)の最大伸度は、本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度よりも大きいのが好ましい。
このように、膝関節用バンデージ100は、第1のアンカー部20の経糸方向(長手方向L)の最大伸度が本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度よりも大きいことにより、第1のアンカー部20による着用者の大腿部に対する締付力を抑制しつつ(大腿部の血流阻害による着用者の不快感を起こさせず)、本体部10の緊締力により膝関節を固定して膝関節の安定性を向上し、膝関節への負担を軽減することができる。
ここで、本体部10の最大伸度を60%に設定し、第1のアンカー部20の最大伸度を80%に設定した実施形態について説明する。本実施形態に係る本体部10の経地糸1aは、太さ100番手のウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、132本のウーリーナイロン双糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の経地糸1aは、太さ100番手のウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、200本のウーリーナイロン双糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10のパイル糸1bは、10本のナイロンフィラメントを撚り合わせて熱を加えて、さらに10本のナイロンフィラメントの撚り方向と反対方向に撚り加工した太さ210デニールの特殊加工糸(210D−10F)であり、本実施形態に係る本体部10には、132本の特殊加工糸(210D−10F)を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20のパイル糸1bは、10本のナイロンフィラメントを撚り合わせて熱を加えて、さらに10本のナイロンフィラメントの撚り方向と反対方向に撚り加工した太さ210デニールの特殊加工糸(210D−10F)であり、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、200本の特殊加工糸(210D−10F)を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さ560デニールのポリウレタン糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、36本のポリウレタン糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の弾性糸1cは、太さ840デニールのポリウレタン糸であり、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、53本のポリウレタン糸を用いている。
すなわち、本実施形態に係る本体部10は、例えば、幅が5cmであれば、経糸1(経地糸1a、パイル糸1b、弾性糸1c)による経密度が、1485.6D/mm(=((210D×132本)+(100D×2本×132本)+(560D×36本))/50mm)である。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、例えば、幅が8cmであれば、経糸1(経地糸1a、パイル糸1b、弾性糸1c)による経密度が、1581.5D/mm(=((210D×200本)+(100D×2本×200本)+(840D×53本))/80mm)である。
なお、本実施形態に係る本体部10及び第1のアンカー部20のパイル糸1bは、フィラメントカウントが10本であることにより、フィラメントカウントがローカウント(例えば、7本)の場合と比較して、密集するフィラメントの接着力が高く、織物(本体部10、第1のアンカー部20)の風合いが柔らかいという利点がある。
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さを560デニールにすることにより、太い弾性糸(例えば、1120デニール)の場合と比較して、織物(本体部10)の厚みを薄くして織物自体を柔らかくすることができる。
さらに、本実施形態に係る本体部10の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸(EW:polyester woolly)1本を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10の融着糸2bには、太さ100デニールのナイロン熱融着糸(例えば、東レ株式会社製「エルダー(登録商標)」)1本を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10には、力織機により1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bが緯糸2として同時に打込まれ、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り36.9回(各36.9本)である。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸(EW)1本を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の融着糸2bには、太さ100デニールのナイロン熱融着糸(例えば、東レ株式会社製「エルダー(登録商標)」)1本を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、力織機により1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bが緯糸2として同時に打込まれ、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り30.8回(各30.8本)である。
すなわち、前述の緯糸2の材質及び打込み回数(本数)における本体部10は、緯糸2(ポリエステルウーリー糸、ナイロン熱融着糸)による緯密度が、9225D/インチ(=(150D+100D)×36.9回/インチ)である。
また、前述の緯糸2の材質及び打込み回数(本数)における第1のアンカー部20は、緯糸2(ポリエステルウーリー糸、ナイロン熱融着糸)による緯密度が、7700D/インチ(=(150D+100D)×30.8回/インチ)である。
なお、本実施形態に係る本体部10及び第1のアンカー部20の緯糸2の緯地糸2aは、太さを150デニールにすることにより、太い緯糸の緯地糸(例えば、300デニール)の場合と比較して、織物(本体部10及び第1のアンカー部20)の厚みを薄くすることができる。
このように、本実施形態に係る本体部10は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を60%に設定することができる。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を80%に設定することができる。
なお、本実施形態に係る弾性糸1cの太さについては、560デニールを一例として挙げてきたが、本発明において、入手(量産)可能な1ランク下の太さの420デニールや1ランク上の太さの1120デニールを選択し、前述の緯糸2の太さ及び打込み回数(本数)を変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る弾性糸1cの太さは、420デニール〜1120デニールであれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。また、第1のアンカー部20の経糸方向の最大伸度も所望の範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
また、本実施形態に係る緯糸2の緯地糸2aの太さについては、150デニールを一例として挙げてきたが、本発明において、入手(量産)可能な1ランク下の太さの100デニールや1ランク上の太さの300デニールを選択し、前述の弾性糸1cの太さ及び緯糸2の打込み回数(本数)を変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る緯糸2の緯地糸2aの太さは、100デニール〜300デニールであれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。また、第1のアンカー部20の経糸方向の最大伸度も所望の範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
また、本実施形態に係る緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)については、2.54cm(1インチ)当り36.9回(各36.9本)を一例として挙げてきたが、本発明において、2.54cm当り32.8回(各32.8本)〜41.0回(各41.0本)を選択し、前述の弾性糸1c及び緯糸2の太さを変更してもよい。すなわち、本実施形態に係る緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)は、2.54cm当り32.8回(各32.8本)〜41.0回(各41.0本)であれば、本体部10の経糸方向の最大伸度を前記範囲内の最大伸度に設定することが可能である。また、第1のアンカー部20の経糸方向の最大伸度も所望の範囲内の最大伸度に設定することが可能である。
なお、本体部10の厚みは、厚すぎる場合に、着用者の下腿部にバンデージを巻回する際に嵩張り巻き難くなり、薄すぎる場合に、バンデージの織物自体が折れ易く所望の固定力が得られない。このために、本体部10の厚みは、バンデージを巻回し易く、所望の固定力が得られる厚みに設定することが好ましく、例えば、本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度が60%であれば、3mm以下に設定することが好ましい。
また、第1のアンカー部20の厚みは、厚すぎる場合に、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を締結する際に嵩張り巻き難くなり、薄すぎる場合に、バンデージの織物自体が折れ易く所望の締結力が得られない。このために、第1のアンカー部20の厚みは、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を締結し易く、所望の締結力が得られる厚みに設定することが好ましく、例えば、第1のアンカー部20の経糸方向(長手方向L)の最大伸度が80%であれば、4mm以下に設定することが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を締結した場合に外側となる面(表地面)にループ(ループ面21)を配設しているので、第1のアンカー部20に配設した第2の係着部40(フック面43)は、脱着の容易性及び係着位置の自由度から、第1のアンカー部20の一端20a又は他端20bの裏地面側に配設する。
同様に、本体部10に配設した第1の係着部30(フック面33)は、脱着の容易性及び係着位置の自由度から、本体部10の他端10bの裏地面側に配設する。
また、本体部10は、膝下の交差部及び下方アンカーを構成するために、着用者の膝下で交差する部分(第1の支持部12及び第2の支持部13)の長さと、着用者の下腿部を少なくとも一周する部分(巻回部11)の長さが必要であり、性別や年齢等により膝周りや下腿部の太さに個人差はあるが、例えば、68cm〜88cmの長さに設定することが考えられる。また、本体部10は、着用者の膝関節の固定を効果的に行なうために、ある程度の幅を要し、例えば、5cmに設定することが好ましい。
なお、本実施形態に係る本体部10は、面ファスナーのループ面10dを有する織物で織成されているが、経糸方向(長手方向L)の最大伸度が所望の最大伸度であれば、面ファスナーのループ面10dは必ずしも必要ではない。
しかしながら、本体部10は、面ファスナーのループ面10dを有する織物で織成されていることにより、ループ面10dを有しない場合と比較して、未使用時に膝関節用バンデージ100を丸めて第1の係着部30のフック面33を本体部10のループ面10dに係着させてコンパクトに保管することができると共に、着用者によっては、第1の係着部30のフック面33を本体部10に係着させて膝関節用バンデージ100を使用する場合もあり、膝関節用バンデージ100の使用方法(係着位置)に自由度を持たせることができる。
更に、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、第1のアンカー部20のループ面21に脱着する面ファスナーのフック面43を有する第2の係着部40を、一端20a又は他端20b(図1では、他端20b)の裏地面側に備えることにより、第1のアンカー部20の円周長の長さの調整が簡易になり、様々な着用者の大腿部の太さに対応することができる。なお、第1のアンカー部20は、着用者の大腿部に締結することができる円周長で一端20aと他端20bを縫製して環状にしてもよい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、着用者の大腿部を周回するために、例えば、帯状体の長さを34cm〜38cmに設定することが好ましい。
なお、第1のアンカー部20及び本体部10(巻回部11)による着用者の大腿部及び下腿部に対する締付力を強くしすぎると、大腿部及び下腿部における血流阻害を生じさせ、着用者に不快感を起こさせる。特に、この不快感は、下腿部に比べ、大腿部において顕著である。
このため、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、本体部10(巻回部11)に対して、着用者の体表に接触する第1のアンカー部20の面積を広げ、第1のアンカー部20による体表にかかる圧力を分散させることで、着用者に与える不快感を緩和している。
すなわち、本実施形態に係る第1のアンカー部20の幅は、本体部10の幅よりも広く、例えば、6cm〜8cmに設定することが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20及び本体部10は、図1に示すように、第1のアンカー部20の長手方向Lと本体部10の長手方向Lとのなす角θを120°として接合されているが、膝関節用バンデージ100を着用した場合に、本体部10が膝下で交差することができるのであれば、このなす角θに限られるものではない。
なお、本体部10を一端10aから他端10b側に牽引した場合には、なす角θが180°に近いほど、第1のアンカー部20の長手方向Lに力が働いて第1のアンカー部20が回転することになり、なす角θが90°に近いほど、第1のアンカー部20の幅方向Wに力が働いて第1のアンカー部20が大腿部下方に沿ってずり上がることになる。このため、なす角θの範囲は、本体部10を一端10aから他端10b側に牽引した場合に、第1のアンカー部20に浮きが生じず、接合部50近傍で本体部10が捩れない状態で、第1のアンカー部20に対して本体部10を斜め下方に牽引できるように、膝関節用バンデージ100の使用方法の簡便さを考慮して、110°〜130°に設定することが好ましい。
また、第1のアンカー部20と本体部10の一端10aとの接合部50は、第1のアンカー部20の一端20a又は他端20b(図1では、一端20a)からの距離が第1のアンカー部20の長さの1/4〜1/2の長さになる位置に接合されている。
特に、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、図1(a)に示すように、本体部10の両側辺のうち第1のアンカー部20の一端20aに近い本体部10の一側辺10cと、第1のアンカー部20の両側辺のうち本体部10の両側辺に交差する第1のアンカー部20の下辺20cとの交差部分を交点23とした場合に、第1のアンカー部20の下辺20cにおける第1のアンカー部20の一端20aから交点23までの距離(第2の係着部40及び第1のアンカー部20の重畳部分の長さ)dを、6cm〜11cmに設定している。
これにより、膝関節用バンデージ100を着用した場合に、第2の係着部40のフック(フック面43)及び第1のアンカー部20のループ(ループ面21)の係着位置と、第1の係着部30のフック(フック面33)及び第1のアンカー部20のループ(ループ面21)の係着位置とが重畳せず、第1の係着部30のフック(フック面33)が第2の係着部40に重畳することによる係着力の低下を防止することができる。
また、第1のアンカー部20と本体部10の一端10aとの接合部50は、本体部10の幅方向Wの長さよりも長く本体部10の他端10b側を凸にして縫製される。
このように、膝関節用バンデージ100は、接合部50が本体部10の他端10b側に向けて凸状に縫製されることにより、膝関節用バンデージ100を着用者の膝関節に巻回する場合に、本体部10の巻回(牽引)方向に対応して、接合部50での捩れを吸収し、接合部50近傍の浮きや皺の発生を抑制することができる。
なお、接合部50が略三角形状である場合には、着用者が膝関節用バンデージ100を着用する際に、本体部10からの引張り応力により、三角形の頂点に応力が集中し、その頂点部分の生地が弱くなり、縫製箇所が崩壊する虞がある。
このため、本実施形態に係る接合部50は、略半円形状にすることにより、本体部10からの引張り応力に対しても、応力が集中することなく、縫製箇所の崩壊を抑制することができ、本体部10の牽引方向の個人差にも対応できると共に、接合部50近傍の浮きや皺の発生を抑制することができる。
また、第1のアンカー部20と本体部10の一端10aとの接合では、本体部10の両側辺で縫製しないことにより、本体部10の両側辺が第1のアンカー部20に固定されず、本体部10の接合部50近傍の両側辺における織物が伸長できる。
このため、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、着用者の下腿部に対する本体部10の巻き付け角度が多少変化しても、本体部10の接合部50近傍の各辺における織物の歪みを吸収して、本体部10の接合部50近傍の各辺における生地の浮きや皺の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、図1に示すように、着用者の大腿部の正しい位置に第1のアンカー部20を締結させ、本体部10が膝下で交差する着用者の膝関節への正しい巻き方となるように、目印としての縫い目によるセンターマーク22を第1のアンカー部20の接合部50近傍に縫製することができる。
本実施形態に係る第1の係着部30は、例えば、図1(b)に示すように、長方形と等脚台形とを組み合わせた平面形状であり、長方形部分31が本体部10の一の面(裏地面)に縫製され、等脚台形部分32が本体部10の他端10bから突出している。
同様に、本実施形態に係る第2の係着部40は、例えば、図1(b)に示すように、長方形と等脚台形とを組み合わせた平面形状であり、長方形部分41が第1のアンカー部20の一の面(裏地面)に縫製され、等脚台形部分42が第1のアンカー部20の他端20bから突出している。
このように、第1の係着部30(第2の係着部40)は、等脚台形部分32(等脚台形部分42)が本体部10の他端10b(第1のアンカー部20の他端20b)から突出していることにより、本体部10(第1のアンカー部20)と重畳しない分だけ薄くなり、等脚台形部分32(等脚台形部分42)を着用者の手の指で把持させ易くし、第1のアンカー部20のループ面21に対してフック面33(フック面43)を容易に脱着することができる。
つぎに、図1及び図3に示す膝関節用バンデージ100の着用方法について、図4及び図5を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、着用者の右膝に膝関節用バンデージ100を着用する場合について説明するが、着用者の左膝に膝関節用バンデージ100を着用する場合は、「右膝」、「下腿部の外側面」、「下腿部の内側面」をそれぞれ「左膝」、「下腿部の内側面」、「下腿部の外側面」に読み替えて、着用する。
着用者は、図5(a)に示すように、第1のアンカー部20のセンターマーク22を膝頭近傍の大腿部の中央に合わせて左手で第1のアンカー部20の一端20aを押さえ、右手で第1のアンカー部20を大腿部に巻回し、伸長状態の第1のアンカー部20を大腿部に配置させて、第1のアンカー部20の他端20bにある第2の係着部40のフック面43を第1のアンカー部20のループ面21に係着させて、第1のアンカー部20を大腿部に締結する。なお、伸長状態とは、着用者が膝関節用バンデージ100を着用後に巻回位置を微調整可能にする伸び代を有する状態を示す。
そして、着用者は、右手で本体部10を把持しながら本体部10を牽引し、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の左側方に伸長状態の本体部10(第1の支持部12)を配置させる。
つぎに、着用者は、図5(b)〜図5(d)に示すように、両手を用いて、伸長状態の本体部10(巻回部11)を下腿部の外側面から腓腹筋に対応する部分を介して下腿部の内側面の方向に下腿部に対して1周半だけ周回させる。
そして、着用者は、右手で本体部10の他端10bを把持して、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の右側方に伸長状態の本体部10(第2の支持部13)を配置させる。
最後に、着用者は、図4に示すように、第1のアンカー部20のループ面21に本体部10の他端10bにある第1の係着部30のフック面33を係着させて、完了する。
なお、前述の膝関節用バンデージ100の着用方法は、本体部10の巻き始めにおいて、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の左側方から本体部10(第1の支持部12)を配置させる場合について説明したが、図8及び図9に示す膝関節用バンデージ100を用いて、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の右側方から本体部10(第1の支持部12)を配置させてもよい。
なお、図8及び図9に示す膝関節用バンデージ100は、図1及び図3に示す膝関節用バンデージ100の本体部10の一端10aを、第1のアンカー部20におけるセンターマーク22を基準にして線対称の位置に接合したものである。
つぎに、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100の本体部10における経糸方向の最大伸度の最適な範囲について、試用試験の試験結果に基づいて説明する。
なお、試用試験には、図1に示すように、下記の表1に示す経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)により織成された最大伸度が45%、60%又は75%である本体部10(長さ:80cm、幅:5cm)と、第1のアンカー部20と、第1の係着部30と、第2の係着部40とを備えた膝関節用バンデージ100(以下、実施例1、実施例2及び実施例3とそれぞれ称す)を作製して使用した。
また、最大伸度が35%又は90%である本体部10(長さ:80cm、幅:5cm)を用いて、上記実施例と同様に膝関節用バンデージ(以下、比較例1及び比較例2とそれぞれ称す)を作製して、試用試験に使用した。
Figure 0006603651
試用試験は、図4に示すように、着用者の右膝に膝関節用バンデージを着用し、図10の評価項目における着用者の効果感の官能評価(計5人)を実施した。評価方法は、先ずは各着用者にて各評価項目に対する官能評価を3段階(3:とても良い、2:良い、1:悪い)で点数化して、各評価項目における着用者全員(5人)の平均点を算出した。その後、実施例1〜3及び比較例1〜2について、各評価項目の合計点及び平均点を算出して、総合的に平均点が2点以上を及第点と判断した。
なお、図10の評価項目「固定力」について、膝関節の可動域抑制力は、歩行、走行、階段の上り下りなどの動作における膝関節の屈曲動作において、必要以上に力を使う可動域の抑制を想定している。また、スポーツ時のジャンプの着地や膝を使う踏ん張り動作における必要以上に力を使う場合、又は膝に荷重のかかる場合における膝関節の屈曲の可動域の抑制を想定している。
さらに、図10の評価項目「痛み」について、織物の圧迫力による痛みであれば、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉又は関節の動きや皮膚の伸び縮みに織物が追従できず、圧迫力をより強く感じて痛みを覚え易いと考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、可動域を抑制する固定力が弱くなると考えられる。また、織物の硬さによる擦れの痛みであれば、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉や皮膚の動きに追従できないため、織物と皮膚が擦れて痛みを感じ易いと考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、筋肉や肌に対して添うように織物が伸びるため、肌へのトラブルが少ないと考えられる。
また、図10の評価項目「面ファスナーの剥がし易さ」について、面ファスナーが剥がし易いということは、非力な着用者にも面ファスナーの着脱使用に支障が無いと共に、面ファスナーのループ面を有する織物自体が硬くて型崩れし難いことになる。
また、面ファスナーが剥がし難いということは、着用者の運動時に、バンデージの着用部位における関節の可動や筋肉の膨張により、面ファスナーのフック面がループ面から外れることが無い反面、面ファスナーのフック面及びループ面間の強い係着力により、面ファスナーのループ面を有する織物からパイル糸を引っ張り出し、面ファスナーを剥がした場合に、パイル糸が織物から突出して織物の毛羽立ちを生じさせることになる。
さらに、図10の評価項目「織物の密着性」について、織物の最大伸度が小さい場合は、筋肉や皮膚の動きに追従できないため、生地が密着せずに肌抵抗が減少し、バンデージの効果を弱めると考えられ、織物の最大伸度が大きい場合は、生地と肌が密着して固定され易く、肌や筋肉の動きにフィットし、バンデージの効果を得易いと考えられる。
また、図10の評価項目「巻き易さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、肌の曲面に沿い難く、本体部10の巻回が困難である。また、織物の最大伸度が大きい場合は、織物と肌が密着して固定され易く、肌や筋肉の動きにフィットし易いが、効果的に着用するためには、本体部10を十分に伸ばしながら巻く必要がある。しかし、本体部10を十分に伸ばすと、本体部10の他端10bを持つ手と第1のアンカー部20との距離が長く離れるため、膝関節への着用及び巻付けが困難である。更に、本体部10の他端10bを第1のアンカー部20の所定位置に固定することが困難になることから、所定位置に固定できるように模索しながら巻く動作が生じてくる。
また、図10の評価項目「固定力の調整のし易さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、強固な固定に適しているが、固定力の調整可能な範囲が狭いため、非力な着用者にとって固定力の調整が難しくなる。
さらに、図10の評価項目「織物の折れ難さ」について、織物の最大伸度が小さい場合は、織目が詰まっているため、織物の腰も有り、織物が折れ難い。また、織物の最大伸度が大きい場合は、織目が空いているため、織物が折れ易い織組織であり、織物が折れることで本体部10の構造が弱くなると考えられる。
以上のような評価項目において、実施例2は、図10に示すように、ほぼ全ての評価項目において良好な評価結果を得ている。
また、実施例3は、固定力が弱いものの、他の評価項目において良好な評価結果を得ている。
また、実施例1は、痛みが有り、織物の密着性が悪いものの、他の評価項目において良好な評価結果を得ている。これに対し、比較例1及び比較例2は、ほとんどの評価項目において悪い評価結果を得ている。
以上より、総合的な評価結果としては、平均点が2点以上である実施例1(最大伸度45%)、実施例2(最大伸度60%)及び実施例3(最大伸度75%)が、本体部10として、最適であることがわかる。
すなわち、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100の本体部10における経糸方向の最大伸度は、40%〜80%が好ましく、45%〜75%がより好ましく、60%が最も好ましい。
つぎに、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100の第1のアンカー部20について、面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)の試験結果に基づいて説明する。
なお、第1のアンカー部20の面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)では、前述の官能評価の評価結果により、最も好ましい結果であった実施例2(経糸方向の最大伸度が60%の本体部10)に対応させて、本体部10の経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)と同様に、弾性糸1cの太さを840デニールから560デニールに変更し、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)を2.54cm(1インチ)当り30.8回(各30.8本)から2.54cm(1インチ)当り36.9回(各36.9本)の条件で織成した第1のアンカー部20を用いて評価した。また、比較例としては、下記の表2に示す経糸1及び緯糸2の材質並びに緯糸2の打込み回数(本数)からなる市販の伸縮織物(以下、比較例3、比較例4及び比較例5とそれぞれ称す)を用いた。なお、比較例3は、面ファスナーとしてのループ面を有していないため、経糸におけるパイル糸及び緯糸における融着糸を備えていない。
Figure 0006603651
なお、実施例2と比較例3〜5との大きな相違点は、パイル糸のフィラメントカウントの相違であり、実施例2の10本に対し、比較例4が7本であり、比較例5が15本であり、比較例3がパイル糸を使用していない(面ファスナーのループ面を有していない)。
面ファスナーの耐久性試験(はく離強さ)は、日本工業規格のJIS L3416「面ファスナ」の7.4.2「はく離強さ」に準拠し、1000回の接着・はく離の繰り返しを行なった実験結果を下記の表3に示す。
Figure 0006603651
実施例2は、表3に示すように、保持率(初期のはく離強さに対する耐久試験後のはく離強さの百分率)が比較例3〜5と比較して最も高く、膝に巻回して面ファスナーのフックで係着させる膝関節用バンデージ100に使用する第1のアンカー部20として最適であることがわかる。
特に、実施例2は、耐久試験後のはく離強さが初期のはく離強さに対して大きくなっている(保持率が100%を超える)ため、膝関節用バンデージ100として長期間継続的に使用するうえで有利である。
なお、パイル糸のフィラメントカウントが多いことは、面ファスナーのフックがループに係着し易くなり、保持率が高くなる一方、最大伸度が低くなる。
比較例5は、パイル糸のフィラメントカウントが実施例2のパイル糸のフィラメントカウントよりも多いのであるが、外観の毛羽立ちを防ぐために樹脂加工が施されているため、面ファスナーのフックがループに係着し難くなり、初期のはく離強さ及び保持率が、実施例2の初期のはく離強さ及び保持率よりも低くなっている。
以上のように、膝関節用バンデージ100は、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)が、着用者の膝蓋骨を下腿側から大腿側に向かって支持すると共に、内側側副靭帯を支持することにより、大腿四頭筋の動きを円滑にでき、膝の左右の振れを抑制することができる。すなわち、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)は、着用者の膝下で交差した略X字状内で着用者の膝蓋骨を下腿側から支えることにより、大腿四頭筋の動きと一体化させ、膝の左右の振れを抑制する副木のような役割を果すことができる。
また、膝関節用バンデージ100は、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)が、膝関節用バンデージ100の着用者の膝に対して内側面から外側面に向けて強い押圧力を与えることで、膝関節用バンデージ100の外側面側から膝に外力を受けた場合に、外力を緩和する内側面から外側面に向けての反発力を生じさせることができ、外力により膝が内側に入り込まず、内側側副靭帯の損傷を抑制することができる。
また、膝関節用バンデージ100は、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)が、膝関節用バンデージ100の着用者の大腿部及び膝の外側面を支持することで、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)による内側面に掛かる押圧力とのバランスを取り、着用者の安定した起立状態を維持することができる。
また、膝関節用バンデージ100の第1の支持部12及び第2の支持部13に相当する帯状の支持部を備えた膝サポーターの装着は、着用者の膝関節をサポートする方法として効果的である。つまり、着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側から左右の両側方に帯状の支持部(例えば、第1の支持部12、第2の支持部13)を配置させて当該膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーター(例えば、膝関節用バンデージ100)を装着することにより、帯状の支持部が着用者の膝蓋骨を左右から挟持しつつ、着用者の膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように支持するため、大腿四頭筋の動きを円滑に補助して、着用者の膝部に掛かる負担を軽減するという作用効果を発揮することができる。
また、帯状の支持部を備えた膝サポーターに、膝関節用バンデージ100の第1のアンカー部20に相当するループ面を有する帯状のアンカー部を備えた膝サポーターの装着は、着用者の膝関節をサポートする方法としてさらに効果的である。つまり、着用者の大腿部に固定した帯状のアンカー部(例えば、第1のアンカー部20)のループ面に、帯状の支持部(例えば、第2の支持部13)の一端を係着させて膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーターを装着することにより、膝サポーターが着用者の膝関節の位置に確実に固定するため、帯状の支持部の作用効果をさらに効果的に発揮することができる。
また、図2に示す膝関節用バンデージ100は、例えば、本体部10の経糸1の経地糸1aに緑色の糸を使用し、第1のアンカー部20の経糸1の経地糸1aに黒色の糸を使用し、本体部10及び第1のアンカー部20の経糸1のパイル糸1bに黒色の糸を使用し、本体部10及び第1のアンカー部20の経糸1の弾性糸1cに黒色の糸を使用し、本体部10及び第1のアンカー部20の緯糸2に黒色の糸を使用すると共に、図7に示すように、共通の緯糸2に対して経地糸1aを浮かせパイル糸1bを沈ませることにより、本体部10の黒色の表地面に緑色の紋様14が形成され、本体部10の表地面の紋様14に対応する本体部10の裏地面の部分が黒色として本体部10の緑色の裏地面に表れる。
なお、膝関節用バンデージ100は、これらの色彩に限られるものではなく、例えば、本体部10の経糸1のパイル糸1bに虹色の七色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)のいずれか一色の糸を使用し、本体部10の紋様14を除く表地面を虹色のいずれか一色にすることが考えられる。これにより、膝関節用バンデージ100は、七色のカラーバリエーションの商品群により、需要者の購買意欲を発揮させることができる。
また、膝関節用バンデージ100は、例えば、本体部10の経糸1のパイル糸1bに蛍光色の糸を使用して本体部10の紋様14を除く表地面を蛍光色にすることにより、需要者の購買意欲を発揮させると共に、夜間の外出時に着用することで、自動車等のヘッドライトに照らされて目立ち、安全防災面にも寄与することが期待できる。
(本発明の第2の実施形態)
図11(a)は第2の実施形態に係る膝関節用バンデージの概略構成を示す正面図であり、図11(b)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの背面図である。図12(a)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの左側面図であり、図12(b)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの右側面図であり、図12(c)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの平面図であり、図12(d)は図11(a)に示す膝関節用バンデージの底面図である。図13(a)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を右側面側からみた説明図であり、図13(b)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を正面側からみた説明図であり、図13(c)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を背面側からみた説明図であり、図13(d)は図11及び図12に示す膝関節用バンデージの着用状態を左側面側からみた説明図である。図11、図12及び図13において図1又は図3と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
第1のアンカー部20は、図11及び図13に示すように、少なくとも、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を締結した状態における当該第1のアンカー部20の上辺20dと本体部10の一端10aとの間(図13(a)参照)、及び/又は、第1の係着部30が第1のアンカー部20に係着した状態における当該第1のアンカー部20の上辺20dと本体部10の他端10bとの間(図13(d)参照)に、本体部10の長手方向L(経糸方向)に延在するスリット24を備える。
なお、以下の説明においては、必要に応じて、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を締結した状態における当該第1のアンカー部20の上辺20dと本体部10の一端10aとの間に存在することになるスリット24を「一端側スリット24a」と称し、第1の係着部30が第1のアンカー部20に係着した状態における当該第1のアンカー部20の上辺20dと本体部10の他端10bとの間に存在することになるスリット24を「他端側スリット24b」と称す。
なお、本実施形態に係るスリット24は、長さが5cm〜9cmであり、第1のアンカー部20の下辺20cからの距離が3cm〜5cmであり、第1のアンカー部20の上辺20dからの距離が2cm〜4cmであるが、本体部10の一端10a(他端10b)の長さよりも長く、第1のアンカー部20が本体部10のアンカーとして機能するのであれば、図11に示すスリット24の位置、大きさ(長さ、幅)及び個数に限定されるものではない。
本体部10は、図11(a)に示すように、一端10aが第1の実施形態と同様に第1のアンカー部20の下辺20cに略平行(図13(a)参照)になるように裁断され、他端10bが等脚台形状の本体部10となるように裁断されており、着用者が膝関節用バンデージ100を正しく着用した場合に、他端10bが第1のアンカー部20の下辺20cに略平行(図13(d)参照)になる。
第1の係着部30は、図11(b)に示すように、平行四辺形の平面形状であり、本体部10の他端10bから突出することなく、本体部10の裏地面に縫製される。
このため、図13(d)に示すように、着用者が膝関節用バンデージ100を正しく着用した場合には、本体部10の他端10bが他端側スリット24bの下方に位置して第1のアンカー部20の下辺20cに略平行になり、第1の係着部30が他端側スリット24bを跨ぐことがない。
なお、この第2の実施形態においては、膝関節用バンデージ100の第1のアンカー部20にスリット24を新たに配設し、本体部10の他端10b及び第1の係着部30の形状を変えるところのみが第1の実施形態と異なるところであり、後述のスリット24による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、第1のアンカー部20にスリット24を備えることにより、本体部10からの引張り応力に対して、スリット24を境界にして第1のアンカー部20の下辺20c側の織物で力を分散させ、第1のアンカー部20の上辺20d側の織物への影響を抑制し、第1のアンカー部20の上辺20d側の織物によるアンカー機能を保持することができる。
また、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、第1のアンカー部20にスリット24を備えることにより、第1のアンカー部20の上辺20d側の織物で支持しつつ、着用者の膝関節の屈曲に対して、第1のアンカー部20の下辺20c側の織物が追従して下降し、着用者の膝関節の伸展に対して、第1のアンカー部20の下辺20c側の織物が復元力で上昇し、着用者の膝関節の動きに対して、第1のアンカー部20が柔軟に対応することができるという作用効果を奏する。
なお、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、一端側スリット24a又は他端側スリット24bのいずれか一方を備えることにより、スリット24を備えない第1の実施形態に係る膝関節用バンデージ100に対して、前述の作用効果を新たに奏する。
しかしながら、一方のみにスリット24を備える場合には、本体部10からの引張り応力により、スリット24を配設した織物側の第1のアンカー部20のずり下がりが抑制されるのに対し、スリット24を配設していない織物側の第1のアンカー部20のずり下がりが生じ、第1の支持部12及び第2の支持部13による膝下の交差部のバランスが保たれず、スリット24による作用効果が半減することになる。このため、本実施形態に係る膝関節用バンデージ100は、一端側スリット24a及び他端側スリット24bの2つのスリット24を備えることが好ましい。
(本発明の第3の実施形態)
図14(a)は第3の実施形態に係る膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、図14(b)は図14(a)に示す膝関節用サポーターの背面図である。図15(a)は図14に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させた状態を示す説明図であり、図15(b)は図14に示す膝関節用サポーターの第1の支持部の第3の係着部を第1のアンカー部に係着させた状態を示す説明図であり、図15(c)は図14に示す膝関節用サポーターの第2の支持部の第1の係着部を第1のアンカー部に係着させた状態を示す説明図であり、図15(d)は図14に示す膝関節用サポーターの着用状態を右側面側からみた説明図である。図16(a)は図14に示す本体部の表地面の織物組織の一例を説明するための説明図であり、図16(b)は図16(a)に示す織物組織の矢視C−C’線の断面図である。図17(a)は面ファスナーのループ面を有しない本体部の紋様部分の織物組織の一例を説明するための説明図であり、図17(b)は図17(a)に示す織物組織の矢視D−D’線の断面図である。図18(a)は第3の実施形態に係る他の膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、図18(b)は図18(a)に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させると共に第2のアンカー部を下腿部に締結させた状態を示す説明図である。図19(a)は第3の実施形態に係るさらに他の膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、図19(b)は図19(a)に示す膝関節用サポーターの第1のアンカー部を大腿部に締結させる方法を示す説明図である。図14〜図19において図1〜図3と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
本発明の膝関節用サポーター200は、図14及び図15に示すように、面ファスナーのループ面21を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結される第1のアンカー部20と、着用者の膝窩部の下方に少なくとも配置される第2のアンカー部211、着用者の膝蓋骨300に対応する部分の下方から一の側方に張った状態で配置される第1の支持部12、及び、着用者の膝蓋骨300に対応する部分の下方で第1の支持部12に交差して着用者の膝蓋骨300に対応する部分の他の側方に張った状態で配置される第2の支持部13からなり、帯状の織物である本体部10と、第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211に接合され、第1のアンカー部20及び本体部10を一体化する連結部70と、を備える。
なお、本実施形態に係る第2のアンカー部211は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る巻回部11に対応するものであり、本実施形態においても第1の支持部12及び第2の支持部13間に配設されて本体部10を構成し、かつ、第1の支持部12、第2のアンカー部211及び第2の支持部13が同幅の直線状である。
また、本実施形態に係る連結部70は、支持体72を内包した左右一対の袋状部71であって、着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方に張った状態で配置される。
なお、以下の説明においては、左右の袋状部71(支持体72)を区別するために、図14(a)において、左側の袋状部71(支持体72)を左袋状部71a(左支持体72a)と称し、右側の袋状部71(支持体72)を右袋状部71b(右支持体72b)と称する。
また、本発明の膝関節用サポーター200は、本体部10の他端10bである第2の支持部13の端部に接合され、第1のアンカー部20のループ面21に脱着する面ファスナーのフック面33を有する第1の係着部30と、第1のアンカー部20の一端20a又は他端20bに接合され、第1のアンカー部20のループ面21に脱着する面ファスナーのフック面43を有する第2の係着部40と、本体部10の一端10aである第1の支持部12の端部に接合され、第1のアンカー部20のループ面21に脱着する面ファスナーのフック面63を有する第3の係着部60と、を備える。
なお、本実施形態に係る第3の係着部60(フック面63)は、脱着の容易性及び係着位置の自由度から、本体部10の一端10aの裏地面側に配設する。
また、本実施形態に係る第3の係着部60は、例えば、図14(b)に示すように、長方形と等脚台形とを組み合わせた平面形状であり、長方形部分61が本体部10の一の面(裏地面)に縫製され、等脚台形部分62が本体部10の一端10aから突出している。
このように、第3の係着部60は、等脚台形部分62が本体部10の一端10aから突出していることにより、本体部10と重畳しない分だけ薄くなり、等脚台形部分62を着用者の手の指で把持させ易くし、第1のアンカー部20のループ面21に対してフック面63を容易に脱着することができる。
なお、膝関節用サポーター200は、着用者の左足又は右足の膝に着用可能な左右兼用である。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る本体部10は、面ファスナーのループ面10dを有する場合について説明したが、本実施形態に係る本体部10は、図14に示すように、面ファスナーのループ面10dを有しない伸縮織物であってもよい。
なお、本実施形態に係る本体部10の経糸方向(長手方向L)の最大伸度は、本体部10が面ファスナーのループ面10dを有しない伸縮織物であっても、第1の実施形態で前述した官能評価に影響するものではなく、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、40%〜80%に設定することが好ましく、45%〜75%がより好ましく、60%が最も好ましい。
この場合に、本体部10は、ループ面10dをなすパイル糸1bを必要とせず、パイル糸1bによるループを保持する融着糸2bを必要としない。
特に、本実施形態に係る本体部10は、経糸1を構成するパイル糸1bの替わりに、前述の経地糸1a(以下、本体部10の経地糸1aを「第1の経地糸1a」と称す)に対して緯糸2との交差浮沈を逆に対応させた経地糸1a(以下、第2の経地糸1dと称す)を用いている。
すなわち、経糸1は、図16に示すように、緯糸2と共に織物の一の面(例えば、裏地面)を構成する第1の経地糸1aと、経糸方向に伸縮性を与える弾性糸1cと、緯糸2と共に織物の他の面(例えば、表地面)を構成する第2の経地糸1dと、を備える。
また、緯糸2は、第1の経地糸1aと共に織物の裏地面を構成する緯地糸2aを備える。
なお、図16(b)及び図17(b)においては、並設される緯糸2を基準にして、上側が表地面となり、下側が裏地面となる。
また、本体部10は、ジャカードニードル織機を用いることにより、経糸方向(長手方向L)で隣り合う複数の緯糸2に対して、経糸1の第1の経地糸1a(例えば、緑色の糸)を表地面側に浮かせて(第2の経地糸1d(例えば、黒色の糸)を裏地面側に沈ませて)、自由に開口するジャガード組織にて、文字、図形若しくは記号又はこれらの結合からなる紋様14を表地面に部分的に形成することができる。
次に、図16を用いて本実施形態に係る織物組織の一例を説明する。すなわち、第1の経地糸1aは、図16(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、弾性糸1cは、図16(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、第2の経地糸1dは、図16(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、図16に示す第1の経地糸1a、弾性糸1c及び第2の経地糸1dによる織物組織は、一例であり、この織物組織に限られるものではない。
続いて、図17を用いて本実施形態に係る紋様部分の織物組織の一例を説明する。すなわち、紋様14をなす第1の経地糸1aは、図17(b)に示すように、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との3−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす弾性糸1cは、図17(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−1の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
また、紋様14をなす第2の経地糸1dは、図17(b)に示すように、1本の緯糸2(緯地糸2a)に対して上側を通って浮き、隣り合う3本の緯糸2(緯地糸2a)に対して下側を通って沈む、緯糸2(緯地糸2a)との1−3の交差浮沈を繰り返して、織物組織を構成する。
なお、図17に示す第1の経地糸1a、弾性糸1c及び第2の経地糸1dによる織物組織は、一例であり、表地面に紋様14を形成することができるのであれば、この織物組織に限られるものではない。
つぎに、本体部10の最大伸度を60%(1.60倍±0.1)に設定し、第1のアンカー部20の最大伸度を95%(1.95倍±0.1)に設定した実施形態について説明する。
本実施形態に係る本体部10の第1の経地糸1a及び第2の経地糸1dは、太さ100デニールのウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、152本のウーリーナイロン双糸を第1の経地糸1a及び第2の経地糸1dにそれぞれ用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の経地糸1aは、太さ100デニールのウーリーナイロン双糸が好ましく、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、200本のウーリーナイロン双糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20のパイル糸1bは、10本のナイロンフィラメントを撚り合わせて熱を加えて、さらに10本のナイロンフィラメントの撚り方向と反対方向に撚り加工した太さ235テックスの特殊加工糸(235T−10F)であり、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、200本の特殊加工糸(235T−10F)を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る本体部10の弾性糸1cは、太さ560デニールのポリウレタン糸(例えば、東レ・オペロンテックス株式会社のポリウレタン弾性繊維「ライクラ(登録商標)ファイバー」)に2本の太さ150デニールのポリエステルウーリー(EW:polyester woolly)単糸をカバーリングしたカバーリング糸が好ましく、本実施形態に係る本体部10には、41本のカバーリング糸を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の弾性糸1cは、太さ840デニールのポリウレタン糸(例えば、旭化成せんい株式会社のスパンデックス(ポリウレタン繊維)「ロイカ(登録商標)」)に2本の太さ150デニールのポリエステルウーリー(EW)単糸をカバーリングしたカバーリング糸であり、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、53本のカバーリング糸を用いている。
さらに、本実施形態に係る本体部10の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー糸(EW)1本を用いるのが好ましい。
なお、本実施形態に係る本体部10は、面ファスナーのループ面を有しないため、本体部10の緯糸2は、パイル糸1bによるループを保持する融着糸2bを備えていない。しかしながら、本実施形態に係る本体部10は、第1の実施形態に係る本体部10と同様に、本体部10の緯糸2に融着糸2bを備え、面ファスナーのループ面を有してもよい。
また、本実施形態に係る本体部10には、力織機により1本の緯地糸2aが緯糸2として打込まれ、緯糸2(緯地糸2a)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り33.6回(33.6本)である。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の緯地糸2aは、太さ150デニールのポリエステルウーリー(EW)単糸1本を用いるのが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20の融着糸2bには、太さ100デニールのナイロン熱融着単糸(例えば、東レ株式会社製「エルダー(登録商標)」)1本を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20には、力織機により1本の緯地糸2a及び1本の融着糸2bが緯糸2として同時に打込まれ、緯糸2(緯地糸2a、融着糸2b)の打込み回数(本数)が2.54cm(1インチ)当り30.8回(各30.8本)である。
このように、本実施形態に係る本体部10は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を60%に設定することができる。
なお、本実施形態に係る本体部10は、ナイロン47%、ポリエステル44%、ポリウレタン9%の混率であるが、この混率に限られるものではない。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、前述の経糸1及び緯糸2の材質(特に、弾性糸1c及び緯地糸2aの太さ)並びに緯糸2の打込み回数(本数)により、経糸方向(長手方向L)の最大伸度を95%に設定することができる。
なお、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、ナイロン66%、ポリエステル24%、ポリウレタン10%の混率であるが、この混率に限られるものではない。
また、本体部10は、膝下の交差部及び下方アンカーを構成するために、着用者の膝下で交差する部分(第1の支持部12及び第2の支持部13)の長さと、着用者の膝窩部の下方で着用者の下腿部を少なくとも半周する部分(第2のアンカー部211)の長さが必要であり、性別や年齢等により膝周りや下腿部の太さに個人差はあるが、例えば、44cm〜52cm(例えば、Sサイズ:44cm、Mサイズ:48cm、Lサイズ:52cm)の長さに設定することが考えられる。
また、本実施形態に係る第1のアンカー部20は、着用者の大腿部を周回するために、例えば、帯状体の長さを29cm〜37cm(例えば、Sサイズ:29cm、Mサイズ:33cm、Lサイズ:37cm)に設定することが好ましい。
また、本実施形態に係る連結部70の袋状部71は、ポリエステル100%のダブルラッセル生地(例えば、井上ニット株式会社の品番「7200SK」)を用いており、支持体72を挟持させて矩形状(例えば、縦17.5cm、横6cm)のダブルラッセル生地を半分に折り畳み、折り返し部分を除く周縁部を縫製することで、支持体72を内包する構造としたものである。
なお、袋状部71は、緩衝性を有する生地であれば、ダブルラッセル生地に限られるのものではなく、例えば、ネオプレーンの両面に他の生地をボンディングした生地や発泡ウレタンの両面に他の生地をボンディングした生地などでもよい。
また、本実施形態に係る左袋状部71a(右袋状部71b)は、第1のアンカー部20の一端20a(他端20b)から左袋状部71a(右袋状部71b)の中心線までの距離が約6cmになる位置に、左袋状部71a(右袋状部71b)の上辺と第1のアンカー部20の上辺20dとを合わせて裏地側から接合(例えば、縫製)され、本体部10の一端10a(他端10b)から左袋状部71a(右袋状部71b)の中心線までの距離が約14.5cmになる位置に、左袋状部71a(右袋状部71b)の下辺と本体部10の下辺とを合わせて裏地側から接合(例えば、縫製)されている。しかしながら、袋状部71(左袋状部71a、右袋状部71b)の接合位置は、本体部10及び第1のアンカー部20の経糸方向(長手方向L)の最大伸度を考慮して、適宜設定することが好ましい。
すなわち、左袋状部71a(左支持体72a)の上端及び右袋状部71b(右支持体72b)の上端間の間隔に対する、左袋状部71a(左支持体72a)の下端及び右袋状部71b(右支持体72b)の下端間の間隔は、同一に限られず、異なる(広い、狭い)構成でもよく、本体部10及び第1のアンカー部20の経糸方向(長手方向L)の最大伸度を考慮して、適宜設定することが好ましい。
また、本実施形態に係る袋状部71に内包される支持体72は、ポリプロピレン(PP:polypropylene)100%の1.2mm〜4.0mm厚のPP板を用いているが、この板厚及び材質のPP板に限られるものではなく、例えば、ポリエチレン発泡体(例えば、「サンペルカ(登録商標)」、「ベルポーレン」)、硬質の塩化ビニール板、硬質のゴム(ラバー)板、又は、ポリカーボネイト板などでもよい。また、本実施形態に係る支持体72は、板状体に限られるものではなく、例えば、円柱や角柱などの柱状体や、長手方向に延在する中空又は溝を有する柱状体や、長手方向に延在する中空又は溝に別部材を嵌合させた柱状体などでもよい。
特に、袋状部71に内包された支持体72が、主面に垂直な方向に湾曲する(主面に水平な方向に湾曲し難い)可撓性を有する板状体であることにより、着用者が膝関節を屈曲した場合に、主面に垂直な方向に湾曲した支持体72の復元力により、着用者の膝関節を正常な位置に戻そうとする力が働くことになる。
なお、袋状部71(左袋状部71a、右袋状部71b)は、本体部10及び第1のアンカー部20の裏地側で接合することにより、膝関節用サポーター200を着用した状態で、本体部10及び第1のアンカー部20に対して内側(着用者側)に連結部70(支持体72)が配設されることになる。
このため、連結部70(袋状部71、支持体72)の上端及び下端を本体部10及び第1のアンカー部20で押圧することができ、連結部70(袋状部71、支持体72)の上端及び下端の突出を防止することができる。
特に、連結部70(袋状部71)の上端と第1のアンカー部20とは、第1のアンカー部20の上辺20d側から裏地側に第1のアンカー部20の上辺20dを折り返し、第1のアンカー部20の折り返し部分で連結部70(袋状部71)の上端を挟持して接合することにより、袋状部71の上端を補強し、支持体72による袋状部71の上端の破損を防止することができる。
つぎに、図14に示す膝関節用サポーター200の着用方法について、図15を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、着用者の右膝に膝関節用サポーター200を着用する場合について説明するが、着用者の左膝に膝関節用サポーター200を着用する場合は、「右膝」、「下腿部の外側面」、「下腿部の内側面」をそれぞれ「左膝」、「下腿部の内側面」、「下腿部の外側面」に読み替えて、着用する。
着用者は、図15(a)に示すように、第1のアンカー部20の一端20aを膝頭近傍の大腿部の中央に合わせて左手で第1のアンカー部20の一端20aを押さえ、右手で第1のアンカー部20を大腿部に巻回し、伸長状態の第1のアンカー部20を大腿部に配置させて、第1のアンカー部20の他端20bにある第2の係着部40のフック面43を第1のアンカー部20のループ面21に係着させて、第1のアンカー部20を大腿部に締結する。
この場合に、左側の連結部70(左袋状部71a、左支持体72a)は、着用者の膝蓋骨300及び縫工筋間に配置され、右側の連結部70(右袋状部71b、右支持体72b)は、着用者の膝蓋骨300及び腸脛靭帯間に配置される。
そして、着用者は、右手で本体部10(第1の支持部12)の一端10aを把持しながら本体部10の第1の支持部12を牽引し、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の下方から右側方に伸長状態の本体部10の第1の支持部12を配置させる。
そして、着用者は、図15(b)に示すように、第1のアンカー部20のループ面21に本体部10の一端10aにある第3の係着部60のフック面63を係着させる。この場合に、第1の支持部12は、右側の連結部70(右袋状部71b、右支持体72b)に重畳し、右側の連結部70を押圧することになる。
そして、着用者は、左手で本体部10(第2の支持部13)の他端10bを把持して、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の下方で第1の支持部12に交差しながら左側方に伸長状態の本体部10の第2の支持部13を配置させる。
最後に、着用者は、図15(c)及び図15(d)に示すように、第1のアンカー部20のループ面21に本体部10の他端10bにある第1の係着部30のフック面33を係着させて、完了する。この場合に、第2の支持部13は、左側の連結部70(左袋状部71a、左支持体72a)に重畳し、左側の連結部70を押圧することになる。
なお、前述の膝関節用サポーター200の着用方法は、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の右側方から本体部10の第1の支持部12を配置させた後に、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の左側方から本体部10の第2の支持部13を配置させる場合について説明したが、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の左側方から本体部10の第2の支持部13を配置させた後に、右膝の膝蓋骨300に対応する部分の右側方から本体部10の第1の支持部12を配置させてもよい。
以上のように、膝関節用サポーター200は、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)が、着用者の膝蓋骨300(膝関節)を下腿側から大腿側に向かって下から持ち上げて包み込むように固定すると共に、着用者の内側側副靭帯及び外側側副靭帯を支持することにより、大腿四頭筋の動きを円滑に補助することができ、膝関節の左右の振れを抑制し、膝に掛かる負担を軽減することができる。
また、膝関節用サポーター200は、本体部10(第1の支持部12、第2の支持部13)が、着用者の膝関節を左右から挟持して押圧し、着用者の膝靭帯(内側側副靭帯及び外側側副靭帯)の余分な伸びを制限することで、膝関節の軟骨の磨り減りや靭帯の炎症を抑え、膝関節の損傷を防止することができる。
特に、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、連結部70を備えることにより、第1の支持部12及び第2の支持部13により第2のアンカー部211を牽引する状態においても、第1のアンカー部20と第2のアンカー部211との間隔を維持して、第2のアンカー部211のずり上がりを防止しつつ、第1の支持部12及び第2の支持部13の伸長に基づく第1の支持部12及び第2の支持部13の交差部分が上方に移動して交差部分による膝蓋骨300の引き上げ機能を十分に発揮することができる。
また、膝関節用サポーター200の第1の支持部12及び第2の支持部13に相当する二つの帯状の支持部を備えた膝サポーターの装着は、着用者の膝関節をサポートする方法として効果的である。つまり、二つの帯状の支持部(例えば、第1の支持部12と第2の支持部13)を着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側で交差してから、左右の両側方に配置させて、当該膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーター(例えば、膝関節用サポーター200)を装着することにより、二つの帯状の支持部が着用者の膝蓋骨を左右から挟持しつつ、二つの帯状の支持部の交差部分が着用者の膝蓋骨に対する作用点して膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように支持するため、大腿四頭筋の動きを円滑に補助して、着用者の膝部に掛かる負担を軽減するという作用効果を発揮することができる。
また、二つの帯状の支持部を備えた膝サポーターに、膝関節用サポーター200の第1のアンカー部20に相当するループ面を有する帯状のアンカー部を備えた膝サポーターの装着は、着用者の膝関節をサポートする方法としてさらに効果的である。つまり、着用者の大腿部に固定した帯状のアンカー部(例えば、第1のアンカー部20)のループ面に、二つの帯状の支持部(例えば、第1の支持部12と第2の支持部13)の一端を各々係着させて膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように膝サポーターを装着することにより、膝サポーターが着用者の膝関節の位置に確実に固定するため、二つの帯状の支持部の作用効果をさらに効果的に発揮することができる。
なお、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、第2のアンカー部211、第1の支持部12及び第2の支持部13が連続して一体に織成された本体部10を用いて説明したが、図18に示すように、第2のアンカー部211と第1の支持部12と第2の支持部13とを別部材として織成し、第1の支持部12及び第2の支持部13を第2のアンカー部211にそれぞれ接合して一体とした本体部10であってもよい。
この場合に、第2のアンカー部211は、面ファスナーのループ面211eを有する織物で織成され、第2のアンカー部211のループ面211eに脱着する面ファスナーのフック面を有する第4の係着部80を、一端211a又は他端211b(図18(a)では、他端211b)の裏地面側に備えることになる。
この形態であれば、図18(b)に示すように、第2のアンカー部211が着用者の下腿部を周回する長さを有することにより、第2のアンカー部211によるアンカー機能を高めることができる。
また、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、図19に示すように、第1のアンカー部20の一端20aの表地面(ループ面21)側に、第1のアンカー部20の他端20bを挿通させることができる環状の取っ手25を配設してもよい。
この場合に、膝関節用サポーター200の着用方法のうち第1のアンカー部20の装着においては、図19(b)に示すように、着用者が、着用者の大腿部に第1のアンカー部20を巻回し、第1のアンカー部20の一端20aにある取っ手25に第1のアンカー部20の他端20bにある第2の係着部40を挿通させる。
そして、着用者は、第1のアンカー部20の他端20b(第2の係着部40)を左手で把持し、第1のアンカー部20の一端20a(取っ手25)を右手で把持した状態で、他端20b(第2の係着部40)及び一端20a(取っ手25)を相対する方向にそれぞれ牽引して、第2の係着部40のフック面43を第1のアンカー部20のループ面21に係着させて、第1のアンカー部20を大腿部に締結する。
このように、取っ手25は、第2の係着部40の存在しない把持し難い第1のアンカー部20の一端20aを右手で牽引する場合に、着用者の手の指を引っ掛けて把持し易くし、非力な女性や老人などの着用者による牽引を補助することができる。
また、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、第1の実施形態において前述した紋様14を本体部10に形成しない場合について説明したが、必要に応じて、ジャカードニードル織機を用いて紋様14を本体部10に形成してもよい。
(本発明の第4の実施形態)
図20(a)は第4の実施形態に係る膝関節用サポーターの概略構成を示す正面図であり、図20(b)は図20(a)に示す膝関節用サポーターの背面図である。図20において図1〜図3、図14〜図19と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
本実施形態に係る連結部70は、図20に示すように、支持体72を内包した左右一対の袋状部71(左袋状部71a、右袋状部71b)と、当該左右一対の袋状部71、第1のアンカー部20の下辺20c及び第2のアンカー部211の上辺211dで包囲される領域を被覆する(第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211に縫製され、着用者の膝頭側を開放し、着用者の膝窩部及び膝の両側面を被覆する)被覆部73であって、着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方から着用者の膝窩部に張った状態で配置される。
なお、本実施形態に係る被覆部73は、第1のアンカー部20、第2のアンカー部211及び袋状部71(左袋状部71a、右袋状部71b)で包囲される領域に重畳する矩形状の生地からなり、膝関節用サポーター200の裏地面側に縫製されている。
また、本実施形態に係る被覆部73は、綿混パワーネット(例えば、井上ニット株式会社の品番「CI1543」(混率:ナイロン60%(糸番手56デシックス)、綿23%(糸番手40単糸)、ポリウレタン17%(糸番手310デシックス))の生地を用いている。
しかしながら、被覆部73は、伸縮性を有する生地であれば、綿混パワーネットに限られるものではなく、例えば、経編生地又は経織生地として、裏地面に起毛を有し、縦方向及び横方向に伸長するツーウェイトリコット起毛(例えば、井上ニット株式会社の品番「NS4426K」(混率:ポリエステル85%、ポリウレタン15%、経編機ゲージ数:28ゲージ、目付:250g/ 2 、原糸:36本のフィラメントを撚り加工した太さ56デシックスのポリエステル糸、44デシックスのポリウレタン糸)、経編のツーウェイトリコット(原糸として、例えば、井上ニット株式会社の品番「3100」(混率:ポリエステル83%、ポリウレタン17%)、井上ニット株式会社の品番「5100」(混率:ナイロン85%、ポリウレタン15%))や、ポリエステル100%のダブルラッセル生地(例えば、井上ニット株式会社の品番「7200SK」)や、丸編のベア天竺(原糸として、例えば、井上ニット株式会社の品番「YG103」(混率:綿95%、ポリウレタン5%)などの生地でもよい。
なお、この第4の実施形態においては、被覆部73を備えるところのみが第3の実施形態と異なるところであり、後述の被覆部73による作用効果以外は、第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、第1のアンカー部20、第2のアンカー部211及び袋状部71(支持体72)に対して内側(着用者側)に被覆部73を備えることにより、着用者が膝関節を屈曲した場合に、被覆部73が緩衝材となり、第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211が接近して第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211で膝窩部の皮膚が挟まれることによる不快感を緩和することができる。
また、本実施形態に係る被覆部73は、第1のアンカー部20と重畳した領域のうち、第1のアンカー部20の上辺20d及び両側辺で縫製し、第1のアンカー部20の下辺20cで縫製しておらず、第2のアンカー部211と重畳した領域のうち、第2のアンカー部211の下辺211c及び両側辺の下辺側一部で縫製し、第2のアンカー部211の上辺211dで縫製していない。
この縫製位置により、第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211との最大伸度が異なる被覆部73が、第1のアンカー部20及び第2のアンカー部211の伸長動作に追従することを極力抑制し、被覆部73の皺の発生を抑制することができる。
特に、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、図20(a)に示すように、第1のアンカー部20の上辺20dで被覆部73を表地側に折り返して接合することにより、第1のアンカー部20の上辺20dで湾曲した被覆部73が緩衝材となり、第1のアンカー部20(上辺20d)の縁端部が着用者の大腿部の背面側の素肌に直接接触することを防止して、第1のアンカー部20(上辺20d)の縁端部からの押圧力を緩和することができる。
また、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、第1のアンカー部20の上辺20d側から裏地側に第1のアンカー部20の上辺20dを折り返し、第1のアンカー部20の折り返し部分で被覆部73及び連結部70(袋状部71)の上端を挟持して接合することにより、袋状部71の上端を補強し、支持体72による袋状部71の上端の破損を防止することができる。
なお、本実施形態に係る膝関節用サポーター200は、支持体72を内包した袋状部71と、被覆部73と、からなる連結部70について説明したが、第1のアンカー部20及び本体部10(第2のアンカー部211)を一体化する構成であれば、被覆部73からなる連結部70であってもよい。
また、第1の実施形態〜第4の実施形態に係る膝サポーター(膝関節用バンデージ100、膝関節用サポーター200)は、素肌に直接巻回する場合について説明したが、例えば、国際公開第2011/090194号パンフレットに開示される膝関節サポーターや膝部を備えるインナーウェア(スパッツ、ストッキング類、タイツ及びパンティ・ストッキング類)を着用した膝関節に対して、膝関節サポーター上やインナーウェア上に巻回することにより、素肌に対する膝サポーター(膝関節用バンデージ100、膝関節用サポーター200)の滑りを無くし、膝サポーター(膝関節用バンデージ100、膝関節用サポーター200)の作用効果を向上することができる。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る膝関節用バンデージ100をインナーウェア上に巻回する場合には、膝関節用バンデージ100とインナーウェアとをセットにすることもできる。
さらに、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る膝関節用バンデージ100をインナーウェア(最大伸度が低いインナーウェアが好ましい)上に巻回する場合に、膝関節用バンデージ100の一態様として、膝関節用バンデージ100の第1のアンカー部20を本体部10から取り除き、インナーウェアの膝部上方における外側面又は内側面に本体部10の一端10aを縫製することにより、インナーウェアの大腿部周りを第1のアンカー部20として機能させることもできる。
1 経糸
1a 経地糸(第1の経地糸)
1b パイル糸
1c 弾性糸
1d 第2の経地糸
2 緯糸
2a 緯地糸
2b 融着糸
10 本体部
10a 一端
10b 他端
10c 一側辺
10d ループ面
11 巻回部
12 第1の支持部
13 第2の支持部
14 紋様
20 第1のアンカー部
20a 一端
20b 他端
20c 下辺
20d 上辺
21 ループ面
22 センターマーク
23 交点
24 スリット
25 取っ手
30 第1の係着部
31 長方形部分
32 等脚台形部分
33 フック面
40 第2の係着部
41 長方形部分
42 等脚台形部分
43 フック面
50 接合部
60 第3の係着部
61 長方形部分
62 等脚台形部分
63 フック面
70 連結部
71a 左袋状部
71b 右袋状部
72 支持体
72a 左支持体
72b 右支持体
73 被覆部
80 第4の係着部
100 膝関節用バンデージ
200 膝関節用サポーター
211 第2のアンカー部
211a 一端
211b 他端
211c 下辺
211d 上辺
211e ループ面
300 膝蓋骨

Claims (7)

  1. 面ファスナーのループ面を有する織物で織成され、着用者の大腿部に締結される第1のアンカー部と、
    帯状の織物であって、着用状態で前記着用者の膝窩部の下方に少なくとも配置される第2のアンカー部、着用状態で着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方から一の側方に配置される第1の支持部、及び、着用状態で着用者の膝蓋骨に対応する部分の下方で前記第1の支持部に交差して着用者の膝蓋骨に対応する部分の他の側方に配置される第2の支持部からなる本体部と、
    前記第1のアンカー部及び前記第2のアンカー部に接合され、第1のアンカー部及び前記本体部を一体化する連結部と、
    前記第2の支持部の端部に接合され、前記第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第1の係着部と、
    前記第1のアンカー部の一端又は他端に接合され、第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第2の係着部と、
    前記第1の支持部の端部に接合され、前記第1のアンカー部のループ面に脱着する面ファスナーのフック面を有する第3の係着部と、を備え、
    前記本体部の一端側に前記第1の支持部が配設され、本体部の他端側に前記第2の支持部が配設され、第1の支持部及び第2の支持部間に前記第2のアンカー部が配設されることを
    特徴とする膝関節用サポーター。
  2. 請求項1に記載の膝関節用サポーターにおいて、
    前記本体部が、同幅の直線状であることを
    特徴とする膝関節用サポーター
  3. 請求項1又は2に記載の膝関節用サポーターにおいて、
    前記連結部が、支持体を内包した左右一対の袋状部であって、前記着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方に配置されることを
    特徴とする膝関節用サポーター
  4. 請求項1又は2に記載の膝関節用サポーターにおいて、
    前記連結部が、支持体を内包した左右一対の袋状部と、当該左右一対の袋状部、前記第1のアンカー部の下辺及び第2のアンカー部の上辺で包囲される領域を被覆する被覆部と、であって、前記着用者の膝蓋骨に対応する部分の両側方から前記着用者の膝窩部に配置されることを
    特徴とする膝関節用サポーター
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の膝関節用サポーターを用いて着用者の膝関節をサポートする方法(医療行為を除く)であって、
    前記着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側から左右の両側方に前記本体部の各支持部を配置させて、前記膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように前記膝関節用サポーターを装着することを
    特徴とする膝関節のサポート方法
  6. 請求項に記載の膝関節のサポート方法において、
    前記各支持部における係着部のある端部を、前記着用者の大腿部に固定した前記第1のアンカー部に係着させて、前記膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように前記膝関節用サポーターを装着することを
    特徴とする膝関節のサポート方法
  7. 請求項5又は6に記載の膝関節のサポート方法において、
    前記二つの支持部が前記着用者の膝蓋骨に対応する部分の下側で交差して、前記膝蓋骨を下方から上方に持ち上げるように前記膝関節用サポーターを装着することを
    特徴とする膝関節のサポート方法
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