JP6600996B2 - 高炭素鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
SR=球状炭化物の個数/炭化物総数×100(%) (2)
本実施形態の高炭素鋼板の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、焼入れにより鋼の強度を高める。Cはさらに、炭化物を形成して鋼の加工硬化挙動を制御する。本実施形態の高炭素鋼板は、成形加工後、自動車のギヤー、クラッチ等の駆動系部品及び鋸、刃物等の素材として用いられる前に、焼入れ、又は焼入れ焼戻し等の熱処理が施され、部品として必要な強度又は靭性を確保する。C含有量が0.65%未満であれば、焼入れによる強度が十分に得られない。一方、C含有量が0.90%を超えれば、張り出し成形時に炭化物を起点とする割れが発生しやすく、張り出し成形性が低下する。したがって、C含有量は0.65〜0.90%である。C含有量の好ましい下限は0.70%である。C含有量の好ましい上限は0.85%である。
シリコン(Si)は、脱酸剤として作用する。Siはさらに、熱延板焼鈍及び冷延板焼鈍において炭化物の粗大化挙動に影響を及ぼし、その添加により粒子径分布の標準偏差を小さくして炭化物の分布形態を制御する。Si含有量が0.01%未満の場合、上記効果が得られない。一方、Si含有量が0.50%を超えれば、フェライトがヘキ開破壊しやすくなり、張り出し成形性が低下する。したがって、Si含有量は0.01〜0.50%である。Si含有量の好ましい下限は0.05%であり、さらに好ましくは0.08%である。Si含有量の好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
マンガン(Mn)は、Siと同様に、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の分布形態を制御する。Mn含有量が0.10%未満では、この効果が得られない。一方、Mn含有量が2.00%を超えれば、徐冷時にオーステナイトからのパーライト変態を促進させ熱延板焼鈍後の炭化物の球状化率が低下し、張り出し成形性が低下する。したがって、Mn含有量は0.10〜2.00%である。Mn含有量の好ましい下限は0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。Mn含有量の好ましい上限は1.80%であり、さらに好ましくは1.50%である。
燐(P)は不純物である。Pは、フェライト粒界を脆化し、張り出し成形性を低下する。したがって、P含有量は0.0200%以下である。P含有量を0.0010%未満にするには精錬コストが顕著に増加するため、P含有量の好ましい下限は0.0010%である。P含有量の好ましい上限は0.0180%であり、さらに好ましくは0.0150%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。
硫黄(S)は不純物である。Sは、MnSなどの非金属介在物を形成する。非金属介在物は張り出し成形において割れ発生の起点となり、張り出し成形性が低下する。したがって、S含有量は0.0200%以下である。S含有量を0.0001%未満にするには精錬コストが顕著に増加するため、S含有量の好ましい下限は0.001%である。S含有量の好ましい上限は0.0180%以下である。S含有量はなるべく低い方が好ましい。
クロム(Cr)は、Si、Mnと同様に、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の形態を制御する。Cr含有量が低すぎればこの効果が得られない。一方、Cr含有量が2.000%を超えれば、炭化物中のCr含有量が顕著に増加し、焼鈍時の炭化物の成長が低下する。この場合、炭化物の粒子径分布における標準偏差σが低下し、張り出し成形性が低下する。したがって、Cr含有量は0.20〜2.00%である。Cr含有量の好ましい下限は0.25%であり、さらに好ましくは0.30%である。Cr含有量の好ましい上限は1.80%であり、さらに好ましくは1.50%である。
Alは任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Alは鋼の脱酸剤として作用する。Al含有量が0.001%未満では、上記効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.500%を超えれば、フェライトの粒界を脆化させ、張り出し成形性が低下する。したがって、Al含有量は0.001〜0.500%である。Al含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Al含有量の好ましい上限は0.300%であり、さらに好ましくは0.100%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Moは、Si、Mn、Crと同様に、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の形態を制御する。Mo含有量が0.001%未満の場合、この効果が得られない。一方、Mo含有量が1.000%を超えれば、炭化物の粒子径分布における標準偏差σが低下し、張り出し成形性が低下する。したがって、Mo含有量は0.001〜1.000%である。Mo含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Mo含有量の好ましい上限は0.800%であり、さらに好ましくは0.600%である。
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Niは、部品の靭性及び焼入れ性を向上する。Ni含有量が0.001%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、Ni含有量が0.500%を超えれば、張り出し成形性が低下する。したがって、Ni含有量は0.001〜0.500%である。Ni含有量の好ましい下限は0.005%である。Ni含有量の好ましい上限は0.450%であり、さらに好ましくは0.400%である。
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Cuは、微細な析出物を形成して鋼の強度を高める。Cu含有量が0.001%未満であれば、上記効果が得られない。一方、Cu含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍及び冷延板焼鈍で炭化物が球状化しにくくなる。この場合、針状の炭化物を起点として割れが発生し、張り出し成形性が低下する。したがって、Cu含有量は0.001〜0.500%である。Cu含有量の好ましい下限は0.003%であり、さらに好ましくは0.005%である。Cu含有量の好ましい上限は0.200%である。
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Bは、部品熱処理時の焼入れ性を改善して鋼の強度を高める。B含有量が0.0001%未満であれば、上記効果が得られない。一方、B含有量が0.0500%を超えれば、粗大なFe−B−C化合物が生成する。この化合物は割れの起点となるため、張り出し成形性が低下する。したがって、B含有量は0.0001〜0.0100%である。B含有量の好ましい下限は0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0080%であり、さらに好ましくは0.0060%である。
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Nbは、炭窒化物を形成し、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の粗大化及び連結を抑制する。Nb含有量が0.001%未満であれば、この効果が得られない。一方、Nb含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程で炭化物が球状化しにくくなる。この場合、針状の炭化物を起点として割れが発生しやすくなり、張り出し成形性が低下する。したがって、Nb含有量は0.001〜0.500%である。Nb含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.008%である。Nb含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.200%である。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Vは、Nbと同様に、炭窒化物を形成し、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の粗大化及び連結を抑制する。V含有量が0.001%未満であれば、上記効果が得られない。一方、V含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程で炭化物が球状化しにくくなり、張り出し成形性が低下する。したがって、V含有量は0.001〜0.500%である。V含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.250%である。
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Tiは、Nb、Vと同様に、炭窒化物を形成し、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の粗大化及び連結を抑制する。Ti含有量が0.001%未満であれば、上記効果は得られない。一方、Ti含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程で炭化物が球状化しにくくなり、張り出し成形性が低下する。したがって、Ti含有量は0.001〜0.500%である。Ti含有量の好ましい下限は0.003%である。Ti含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.150%である。
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Wは、Nb、V、Tiと同様に、炭窒化物を形成し、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の形態を制御する。W含有量が0.001%未満であれば、上記効果が得られない。一方、W含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程で炭化物が球状化しにくくなり、張り出し成形性が低下する。したがって、W含有量は0.001〜0.500%である。W含有量の好ましい上限は0.450%であり、さらに好ましくは0.160%である。
タンタル(Ta)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Taは、Nb、V、Ti、Wと同様に、炭窒化物を形成し、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程での炭化物の形態を制御する。Ta含有量が0.001%未満であれば、上記効果が得られない。一方、Ta含有量が0.500%を超えれば、熱延板焼鈍工程及び冷延板焼鈍工程で炭化物が球状化しにくくなり、張り出し成形時において針状の炭化物を起点として割れが発生する。したがって、Ta含有量は0.001〜0.500%である。Ta含有量の好ましい上限は0.450%であり、さらに好ましくは0.150%である。
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Mgは硫化物の形態を制御する。Mg含有量が0.0001%未満であれば、その効果は得られない。一方、Mg含有量が0.0200%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、Mg含有量は0.0001〜0.0200%である。Mg含有量の好ましい上限は0.0150%であり、さらに好ましくは0.0075%である。
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Caは、Mgと同様に、硫化物の形態を制御する。Ca含有量が0.001%未満であれば、その効果は得られない。一方、Ca含有量が0.020%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、Ca含有量は0.001〜0.020%である。Ca含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
イットリウム(Y)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Yは、Mg、Caと同様に、硫化物の形態を制御する。Y含有量が0.001%未満であればその効果は得られない。一方、Y含有量が0.020%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、Y含有量は0.001〜0.020%である。Y含有量の好ましい下限は0.015%であり、さらに好ましくは0.009%である。
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Zrは、Mg、Ca、Yと同様に、硫化物の形態を制御する。Zr含有量が0.001%未満であれば、その効果は得られない。一方、Zr含有量が0.020%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、Zr含有量は0.001〜0.020%である。Zr含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
ランタン(La)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Laは、Mg、Ca、Y、Zrと同様に、硫化物の形態を制御する。La含有量が0.001%未満であれば、その効果は得られない。一方、La含有量が0.020%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、La含有量は0.001〜0.020%である。La含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
セリウム(Ce)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Ceは、Mg、Ca、Y、Zr及びLaと同様に、硫化物の形態を制御する。Ce含有量が0.001%未満であれば、その効果は得られない。一方、Ce含有量が0.020%を超えれば、フェライトの粒界が脆化し、張り出し成形性が低下する。したがって、Ce含有量は0.001〜0.020%である。Ce含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
窒素(N)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Nは、鋼のベイナイト変態を促進させるとともに、フェライトを脆化し、張り出し成形性を低下する。したがって、N含有量はできるだけ低い方が好ましい。しかしながら、N含有量を0.0001%未満にすれば、精錬コストが増加する。したがって、N含有量は0.0001〜0.0500%である。N含有量の好ましい下限は0.0010%であり、さらに好ましくは0.0020%である。N含有量の好ましい上限は0.0250%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
酸素(O)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Oは、鋼中に粗大な酸化物を形成し、張り出し成形性を低下する。したがって、O含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、O含有量を0.0001%未満にすれば、精錬コストが増加する。したがって、O含有量は0.0001〜0.0500%である。O含有量の好ましい下限は0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。O含有量の好ましい上限は0.0250%であり、さらに好ましくは0.0100%である。
すず(Sn)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Snは、原料としてスクラップを用いた場合に鋼中に含有され、フェライトを脆化して張り出し成形性を低下する。したがって、Sn含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、Sn含有量が0.001%未満であれば、精錬コストが増加する。したがって、Sn含有量は0.001〜0.020%である。Sn含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.010%である。
アンチモン(Sb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Sbは、Snと同様に、鋼原料としてスクラップを用いた場合に含有され、張り出し成形性を低下する。したがって、Sb含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、Sb含有量が0.001%未満であれば、精錬コストが増加する。したがって、Sb含有量は0.001〜0.020%である。Sb含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.011%である。
ヒ素(As)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Asは、Sn、Sbと同様に、鋼原料としてスクラップを用いた場合に含有され、張り出し成形性を低下する。したがって、As含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、As含有量が0.001%未満であれば、精錬コストが増加する。したがって、As含有量は0.001〜0.020%である。As含有量の好ましい上限は0.015%であり、さらに好ましくは0.007%である。
本実施形態の高炭素鋼板の組織は、フェライトと、複数の炭化物とからなる。複数の炭化物のうち、アスペクト比が3未満の球状炭化物の個数割合(球状化率SR)は80〜99%である。鋼中の炭化物の粒子径分布は式(1)の対数正規分布で表すことができ、この場合、複数の炭化物の平均粒子径μは0.2〜1.5μmであり、炭化物粒子の粒子径の標準偏差σは0.10〜0.45である。本実施形態の高炭素鋼板は、このような組織を有することにより、熱処理後に高強度化し、複合張り出し成形(抜き打ちと同時の張り出し成形)を実施する場合、優れた張り出し成形性を示す。
組織中の複数の炭化物において、式(2)で定義される球状化率SRは80〜99%である。球状化率SRが80%未満であれば、針状の炭化物の割合が多い。この場合、針状の炭化物に応力が集中し、張り出し成形時に炭化物が割れる。その結果、ボイドが生成して張り出し成形性が低下する。一方、球状化率SRは高いほど好ましいものの、粒状化率SRを100%にするには製造条件が限定され、製造コストが増加する。したがって、球状化率SRは100%未満が好ましい。したがって、球状化率は80〜99%である。
アスペクト比=炭化物の長軸/短軸 (3)
炭化物の平均粒子径μは0.2〜1.5μmである。ここで、各炭化物の粒子径は、円相当径とする。炭化物の平均粒子径が0.2μm未満であれば、高炭素鋼板の強度が高くなりすぎ、延性が低下する。一方、平均粒子径が1.5μmを超えれば、張り出し成形時に粗大な炭化物を起点として割れが発生し、張り出し成形性が低下する。したがって、炭化物の平均粒子径μは0.2〜1.5μmである。
炭化物の粒子径の標準偏差σは0.10〜0.45である。鋼の加工硬化が向上すれば、張り出し成形性が向上する。加工硬化の向上には、変形中の鋼に導入される転位密度の増加スピードを高めることが有効である。鋼中の炭化物は、この転位密度の増加に影響する。ミクロ的な視点で考慮した場合、張り出し成形時において1つの炭化物の周りに蓄積されるミクロ歪(転位)の量は、炭化物のサイズと正の相関がある。つまり、炭化物のサイズが大きいほどミクロ歪(転位)の蓄積量は多くなる。
ミクロ組織の観察方法は次のとおりである。ミクロ組織観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる。初めに、高炭素鋼板の任意の位置からミクロ組織観察用のサンプルを採取する。サンプルの板厚断面(観察面)に対して、エメリー紙による湿式研磨を実施し、さらに、平均径が1μmのダイヤモンド砥粒を用いた研磨を実施して、観察面を鏡面に仕上げる。その後、観察面を3%硝酸−アルコール溶液でエッチングする。エッチングされた観察面をSEMで観察する。観察面の倍率は400〜3000倍のうち、ミクロ組織中のフェライトの結晶粒数が100個程度含まれる倍率とし、たとえば、800倍とする。
D=(4SF/3.14)0.5
冷延板焼鈍後の組織内のフェライトの好ましい平均粒径Dが3〜40μmである。この場合、張り出し成形性の低下がさらに抑制される。平均粒径Dが3μm未満であれば、延性が低下し張り出し成形性の低下を抑制しにくい。一方、平均粒径Dが40μmを超えれば、張り出し部の表面に模様が発生し、外観の美観を損なう。したがって、フェライトの平均粒径は3〜40μmである。フェライトの平均粒径Dの好ましい下限は5μmである。平均粒径Dの好ましい上限は35μmである。
炭化物の平均粒子径μ及び標準偏差σを次の方法で測定する。炭化物の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる。ミクロ組織観察と同様に、サンプルを採取して観察面を鏡面仕上げする。観察面に対して飽和ピクリン酸アルコール溶液を用いたエッチングを実施する。エッチングされた観察面をSEMで観察する。観察面の倍率は3000倍とする。SEMでの観察において、炭化物が500個以上含まれる視野を16箇所選択し、各視野の写真画像を生成する。
円相当径=2×(SC/3.14)0.5
炭化物の粒子径分布の決定係数(R二乗値)は次の方法で求める。上述の各炭化物の粒子径の個数頻度の実測データ、及び、フィッティングカーブから求めた計算データを2つの変数として、決定係数(R二乗値)を求める。
上述の炭化物の平均粒子径μ及び標準偏差σの測定時に得られた、16箇所の写真画像の各々において、各炭化物の長軸及び短軸を測定する。測定には、三谷商事株式会社製の商品名Win ROOFに代表される画像解析ソフトを用いる。測定された長軸及び短軸に基づいて、各炭化物のアスペクト比を式(3)を用いて求める。求めたアスペクト比が3未満の炭化物を「球状炭化物」と認定し、アスペクト比が3以上の炭化物を「針状炭化物」と認定する。認定された球状炭化物の個数と、全炭化物の個数とを用いて、式(2)に基づいて球状化率SRを求める。
本実施形態の製造方法は、上述の化学組成を有する素材(スラブ)を用いて、熱延鋼板に対する焼鈍条件、及び、冷延鋼板に対する焼鈍条件と調整することにより、上記組織を有する高炭素鋼板を製造する。本実施形態の製造方法の一例は次のとおりである。
熱延工程は、熱間圧延工程と、冷却工程と、巻取り工程とを含む。
[熱間圧延工程]
上述の化学組成を有する素材を製造する。素材はたとえば、スラブや鋼片である。素材がスラブの場合、連続鋳造法によりスラブを製造する。連続鋳造後のスラブをそのまま、又は、連続鋳造後のスラブを冷却後に加熱して、熱間圧延を実施し、熱延鋼板を製造する。熱間圧延での条件は次のとおりである。
加熱時間:4時間以下
素材(スラブ)を加熱して熱間圧延する場合、素材の加熱温度は1300℃以下である。さらに、加熱温度での加熱時間は4時間以下である。加熱温度が1300℃を超えたり、加熱時間が4時間を超える場合、スラブの表層が過剰に脱炭する。この場合、焼入れしても表層の硬さが高まりにくい。そのため、部品として求められる強度が得られない。したがって、加熱温度を1300℃以下として、加熱時間を4時間以下とする。
仕上げ熱延温度FTは600〜1000℃が好ましい。仕上げ熱延温度FTが600℃未満であれば、熱延鋼板(鋼帯)表面への疵の発生を抑制しにくい。この場合、熱延鋼板の変形抵抗が増加して、圧延負荷が高まる。さらに、疵の発生により表面に微細な凹凸が生じるため、張り出し成形後の美観が低下する。さらに、ロール摩耗量が増大する。その結果、生産性が低下する。一方、仕上げ熱延温度FTが1000℃を超えれば、加熱温度の高温化が必須となり熱延鋼板に分厚いスケールが残存する。この場合、スケールが酸素源となり、捲取後にフェライト、パーライト又は上部ベイナイトの結晶粒界が酸化して、表面に微細な凹凸が生じる。微細な凹凸は張り出し成形時に割れの起点となるため、張り出し成形後の美観が低下する。したがって、仕上げ熱延温度FTは600〜1000℃が好ましい。
仕上げ圧延後のランアウトテーブル(ROT)での冷却速度CRは10〜100℃/秒が好ましい。冷却速度CRが10℃/秒未満である場合、冷却速度が緩やかであるため、ROT通板中における分厚いスケールの生成を抑制しにくい。この場合、上述のとおり、熱延鋼板の表面に微細な凹凸が生成し、張り出し成形後の美観が低下する。一方、冷却速度CRが100℃/秒を超えれば、鋼板の最表層部が過剰に冷却されて、下部ベイナイト及びマルテンサイト等の低温変態組織が生成する。この場合、捲き取り後に100℃〜室温まで冷却されたコイルを払い出す際に、低温変態組織を起点に微小クラックが発生する。微小クラックは続く冷延工程においても取り除きにくいため、張り出し成形後の美観を低下する。したがって、冷却速度CRは10〜100℃/秒が好ましい。
巻取り温度CTは350〜700℃が好ましい。巻取り温度CTが350℃未満であれば、仕上げ圧延直後に鋼中に存在するオーステナイトがマルテンサイトに変態し、上述の微小クラックの発生を抑制しにくく、張り出し成形後の美観が低下する。一方、巻取り温度CTが700℃を超えれば、上述のとおり、結晶粒界が酸化して鋼板(鋼帯)表面に微小な凹凸が生成し、張り出し成形後の美観が低下する。したがって、巻取り温度CTは350〜700℃が好ましい。
熱延鋼板(熱延コイル)をそのまま、又は、酸洗した後、焼鈍を実施する(熱延板焼鈍)。熱延焼鈍では2段ステップのヒートパターンを用いる。好ましくは、熱延板焼鈍は箱焼鈍により実施する。
第1焼鈍工程S1での製造条件は次のとおりである。
第1焼鈍温度までの第1加熱速度を30〜150℃/時間とするのが好ましい。第1加熱速度が30℃/時間未満であれば、昇温に時間が掛かりすぎ、生産性が低下する。一方、第1加熱速度が150℃/時間を超えれば、熱延コイルの外周部と内部との温度差が増大する。この場合、熱膨張差に均した擦り疵及び焼付きが発生し、熱延鋼板の表面に凹凸が生成する。張り出し成形時において、この凹凸が起点となりシワが発生するため、張り出し成形後の美観が低下する。したがって、好ましい第1加熱速度は30〜150℃/時間である。
第1焼鈍温度を650〜720℃とする。第1焼鈍温度が650℃未満であれば、炭化物の安定度が低下する。この場合、第2焼鈍工程S2において、オーステナイト中に炭化物を残存させることが困難となり、徐冷時にパーライトの生成を抑えることが困難となる。一方、焼鈍温度が720℃を超えれば、炭化物の安定度を高める前に、オーステナイトが生成するため、上記と同様にパーライトの生成を抑えることが困難となる。熱延板焼鈍後の組織にパーライトが存在する場合、冷延板焼鈍後において、高炭素鋼板の炭化物の粒子径分布が所望の分布にならない。したがって、第1焼鈍温度は650〜720℃である。
第1焼鈍工程S1での第1焼鈍時間は3時間以上である。第1焼鈍時間が3時間未満であれば、炭化物の安定化が不十分であるため、第2焼鈍工程S2で炭化物を残存させるのが困難になる。第1焼鈍時間の上限は特に限定されない。しかしながら、第1焼鈍時間が100時間以下であれば、熱延コイル内での焼付きが抑制され、張り出し成形後の美観が高まる。したがって、第1焼鈍時間の好ましい上限は100時間である。
第2焼鈍工程S2での製造条件は次のとおりである。
第1焼鈍工程S1における第1焼鈍時間が経過した後、第2焼鈍温度までの第2加熱速度を1〜80℃/時間が好ましい。第2焼鈍工程S2は、オーステナイト中の微細な炭化物を固溶させることが目的である。したがって、第2加熱速度の制御はそれほど重要ではない。しかしながら、第2加熱速度が1℃/時間未満であれば、昇温に時間が掛かりすぎるため、生産性が低下する。さらに、熱延コイル内で焼付きが発生し、張り出し成形後の美観が低下する。一方、第2加熱速度が80℃/時間を超えれば、熱延コイルの外周部と内部との温度差が増大し、変態による熱膨張差に起因したすり疵及び焼付きが発生する。この場合、鋼板表面に凹凸が形成されて張り出し成形後の美観が低下する。したがって、好ましい第2加熱速度は1〜80℃/時間である。
第2焼鈍温度を725〜790℃とする。第2焼鈍温度が725℃未満であれば、オーステナイトの生成量が少なすぎ、かつ、フェライト粒内の炭化物の溶解も不十分である。この場合、第2焼鈍工程S2後、微細な炭化物が数多く残存してしまい、高炭素鋼板において所望の炭化物の粒子径分布が得られない。一方、第2焼鈍温度が790℃を超えれば、炭化物が過剰に固溶して、炭化物がオーステナイト中に残存しにくくなる。したがって、第2焼鈍温度は725〜790℃である。
第2焼鈍工程S2での第2焼鈍時間は3〜100時間とする。第2焼鈍時間が3時間未満である場合、オーステナイトの生成量が少なすぎ、フェライト粒内の炭化物の溶解も不十分である。この場合、第2焼鈍工程S2後、微細な炭化物が数多く残存してしまう。一方、第2焼鈍時間が100時間を超えれば、炭化物が過剰に固溶して、炭化物がオーステナイト中に残存しにくくなる。したがって、第2焼鈍時間は3〜100時間である。
冷却工程S3での製造条件は次のとおりである。
第2焼鈍工程S2における焼鈍時間が経過した後、熱延鋼板の温度が650℃になるまでの冷却速度は、30℃/時間以下とする。要するに、650℃までは徐冷する。この徐冷により、第2焼鈍工程S2で生成したオーステナイトをフェライトに変態し、オーステナイト中に残存した炭化物へ炭素原子を吸着させる。冷却速度が30℃/時間を超えれば、オーステナイトがパーライトに変態して針状炭化物が生成する。この場合、炭化物の球状化率が低下し、かつ、高炭素鋼板の炭化物の粒子径分布を所望の分布に制御できない。そのため、張り出し成形性が低下する。したがって、650℃までの冷却速度は30℃/時間以下である。冷却速度の下限は特に限定されない。しかしながら、生産性を高める場合、冷却速度の好ましい下限は1℃/時間である。
熱延焼鈍工程後の熱延焼鈍板(コイル)、又は、熱延焼鈍後に酸洗処理を実施した熱延焼鈍板(コイル)に対して、冷間圧延を実施する(冷延工程)。冷延工程での製造条件は次のとおりである。
冷延率を5〜80%とする。冷延率が5%未満であれば、鋼中に導入される転位密度が少なく、後述の冷延焼鈍において炭化物のオストワルド成長が促進されず、炭化物の粒子径分布が所望の対数正規分布に制御できないため、張り出し成形性が低下する。一方、冷延率が80%を超えれば、冷間圧延により炭化物が破砕する。この場合、微細な炭化物の個数割合が増加し、高炭素鋼板の粒子径分布が所望の対数正規分布に制御できない。さらに、冷延板焼鈍後に得られるフェライトの粒径が微細化し、降伏強度が増加する。その結果、張り出し成形性が低下する。したがって、冷延率は5〜80%である。
前述の熱延板焼鈍工程及び冷延工程を実施した後、冷延板焼鈍工程を実施する。熱延板焼鈍により炭化物の粒子径をある程度の範囲とし、かつ、冷延で鋼板内に歪(転位)を導入する。このような前提の元、冷延板焼鈍工程を実施することにより、炭化物の粒子径分布を式(1)に示す対数正規分布に制御できる。
冷延板焼鈍工程での焼鈍温度を600〜780℃とし、焼鈍温度での保持時間を10〜1800秒とする。焼鈍温度が600℃未満であれば、鋼中の各元素の拡散頻度が著しく低下し、炭化物の粒子径分布を対数正規分布に制御できない。さらに、フェライト粒が微細となり延性が低下するため、張り出し成形性が低下する。一方、焼鈍温度が780℃を超えれば、焼鈍中にオーステナイトが多量に生成する。この場合、冷却後にパーライト等のフェライトと炭化物以外の組織が生成するため、張り出し成形性が低下する。したがって、焼鈍温度は600〜780℃である。
上記焼鈍温度での保持時間を10〜1800秒とする。保持時間が10秒未満であれば、冷延板焼鈍において炭化物のオストワルド成長が十分でなく、粒子径分布を所望の対数正規分布に制御できないため、張り出し性が低下する。一方、保持時間が1800秒を超えれば、上述のとおり、フェライト粒内と粒界上のそれぞれに存在する炭化物での粒子径分布に差が生じ、張り出し成形性が低下する。したがって、保持時間は10〜1800秒である。
上述のミクロ組織観察方法に基づいて、各試験番号の高炭素鋼板の組織を特定した。特定された結果を表2の組織欄に記載する。組織欄中が「F」のみである場合、組織がフェライト単相と炭化物とからなることを意味する。「P」は、組織がパーライトを含むことを意味する。さらに、特定されたフェライトの平均粒径Dを上述の方法で求め、求めた平均粒D(μm)をフェライト粒径と定義した。
各試験番号の高炭素鋼板から幅30mm、長さ50mmの試験片を切り出した。試験片を、850℃に加熱した塩浴内に60min浸漬し、すぐさま水冷して焼入れした。焼入れ後のサンプルに対して、180℃で60min保持する焼き戻し処理を実施した。
各試験番号のサンプルに対して、プレス機を用いて張り出し成形性を評価した。まず、上下駆動のプレス加工の受け側の金型であるダイスの中心位置に、φ2.0mmで高さ0.4mmの円筒突起を形成した。さらに、駆動側の金型であるポンチにおいて、ダイスの円筒突起の中心軸と同軸に中心が位置するように、φ3.0mmで深さ0.4mmの窪みを形成した。
各試験番号の高炭素鋼板から、引張試験片を採取した。採取された引張試験片を用いて、JIS Z2241(2011)に準拠した引張試験を常温大気中で実施し、降伏強度YP(MPa)、引張強度TS(MPa)、降伏比(=YP/TS)を求めた。
表2に評価結果を示す。なお、試験番号中の英語は、対応する試験番号で使用した鋼種(表1)を意味する。たとえば、試験番号「A−1」は、表1中の鋼種Aを使用したことを意味する。
評価結果を表4−1及び表4−2に示す。
表5−1〜表5−7に評価結果を示す。
2 粒界
3 オーステナイト
10,11 炭化物
Claims (3)
- 高炭素鋼板であって、
質量%で、
C:0.65〜0.90%、
Si:0.01〜0.50%、
Mn:0.10〜2.00%、
P:0.0200%以下、
S:0.0200%以下、及び、
Cr:0.20〜2.00%を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
前記高炭素鋼板の組織は、フェライトと複数の炭化物とからなり、
面積が0.002μm 2 以下の前記炭化物を除外した前記炭化物を測定対象として測定したときの平均粒子径μが0.2〜1.5μmである前記複数の炭化物のうち、前記炭化物の総数に対する、アスペクト比が3未満となる炭化物の個数割合で定義される球状化率が80〜99%であり、
前記炭化物の円相当径を粒子径d(μm)と定義した場合、式(1)で定義される対数正規分布の確率密度関数に対して、前記平均粒子径μが0.2〜1.5(μm)、標準偏差σが0.10〜0.45となるように、前記炭化物の粒子径dが分布する、張り出し成形性に優れた高炭素鋼板。
- 請求項1に記載の高炭素鋼板であって、
前記化学組成はさらに、Feの一部に代えて、
Al:0.001〜0.500%、
Mo:0.001〜1.000%、
Ni:0.001〜0.500%、
Cu:0.001〜0.500%、
B:0.0001〜0.0100%、
Nb:0.001〜0.500%、
V:0.001〜0.500%、
Ti:0.001〜0.500%、
W:0.001〜0.500%、
Ta:0.001〜0.500%、
Mg:0.0001〜0.0200%、
Ca:0.001〜0.020%、
Y:0.001〜0.020%、
Zr:0.001〜0.020%、
La:0.001〜0.020%、
Ce:0.001〜0.020%、
N:0.0001〜0.0500%、
O:0.0001〜0.0500%、
Sn:0.001〜0.020%、
Sb:0.001〜0.020%、及び、
As:0.001〜0.020%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、高炭素鋼板。 - 請求項1又は請求項2に記載の化学組成を有する素材を熱間圧延して熱延鋼板とし、巻取る熱間圧延工程と、
巻取られた前記熱延鋼板に対して焼鈍を箱焼鈍炉で実施する熱延板焼鈍工程と、
前記熱延板焼鈍工程後の前記熱延鋼板に対して5〜80%の冷延率で冷間圧延を実施して冷延鋼板とする冷間圧延工程と、
前記冷延鋼板に対して、600〜780℃の焼鈍温度で10〜1800秒保持する焼鈍を連続焼鈍炉で実施する冷延板焼鈍工程とを備え、
前記熱延板焼鈍工程は、
巻取られた前記熱延鋼板を650〜720℃の第1焼鈍温度まで加熱して、前記第1焼鈍温度で3時間以上保持する第1焼鈍工程と、
第1焼鈍工程後、前記熱延鋼板を720〜790℃の第2焼鈍温度まで加熱して、前記第2焼鈍温度で3〜100時間保持する第2焼鈍工程と、
前記第2焼鈍工程後の前記熱延鋼板を30℃/時間以下の冷却速度で650℃まで冷却し、その後、室温まで冷却する工程とを備え、
前記室温まで冷却後の前記熱延鋼板の組織が、フェライトと複数の炭化物とからなり、
面積が0.002μm 2 以下の前記炭化物を除外した前記炭化物を測定対象として測定したときの平均粒子径μが0.2〜1.5μmである前記複数の炭化物のうち、前記炭化物の総数に対する、アスペクト比が3未満となる炭化物の個数割合で定義される球状化率が80〜99%であり、
前記炭化物の円相当径を粒子径d(μm)と定義した場合、式(1)で定義される対数正規分布の確率密度関数に対して、前記平均粒子径μが0.2〜1.5(μm)、標準偏差σが0.10〜0.45となるように、前記炭化物の粒子径dが分布する、高炭素鋼板の製造方法。
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