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JP6699368B2 - エンジンのマウント構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に搭載されるエンジンの車体に対するマウント構造に関するものである。
この種の車両のエンジンにおいて、その動弁機構にはその運転条件によってバルブの開閉位相を変更するようにする機構、即ち可変バルブタイミング装置(VVT;Variable Valve Timing)が普及している。このVVTは、バルブを駆動するためのカムシャフトの軸端部に装着され、チェーンカバーにより覆われる。
一方、カムシャフトを回転駆動するカムタイミングチェーンを覆うチェーンカバーとして、例えば特許文献1に開示されるエンジンでは、フロントカバーには、マウント部材が固定されるマウント部材取付座部が形成され、このマウント部材取付座部、エンジン本体前面側から見た場合、エンジン本体の幅方向の一方側に突出した状態でフロントカバーに形成されている。
特開2010−14001号公報
可変バルブタイミング装置(VVT)は、エンジン本体から前方にオーバハングして装着されることがある。このような取付方法で装着されるVVTはそのままでは、エンジンの車両への搭載性、ひいては車両のコンパクト化を損なう要因となる。
また、チェーンカバーにマウント部材取付部を設ける場合、エンジンをマウントするための大きな荷重を支える必要があるため、かかる荷重に対応する剛性が要求される。そのためマウント部材取付部は一定以上の大きさになることから、十分な取付スペースを必要とする。ところが、チェーンカバーにおけるVVTの駆動部の配置等を考慮すると、チェーンカバーの剛性確保が必ずしも容易ではない。
本発明はかかる実情に鑑み、チェーンカバーの剛性強化を効果的に実現するエンジンのマウント構造を提供することを目的とする。
本発明のエンジンのマウント構造は、吸気側及び排気側それぞれのカムシャフトを支持するシリンダヘッドと、前記カムシャフトを駆動するカムタイミングチェーンと、前記カムタイミングチェーンを覆うチェーンカバーと、前記吸気側及び排気側のカムシャフトの少なくともどちらか一方側のカムシャフトにおける軸端部に装着される可変バルブタイミング装置と、当該エンジンを車体に搭載するためのマウント部材とを有するエンジンのマウント構造であって、前記チェーンカバーには、前記可変バルブタイミング装置を外方から臨むように開口部が形成されると共に、前記マウント部材を取り付けるマウント部材取付部が形成され、前記マウント部材取付部は、前記開口部を挟むように左側取付部と右側取付部とで構成され、前記左側取付部及び前記右側取付部は、前記マウント部材が取り付けられて相互に連結され、前記チェーンカバーは、幅方向で互いに離間した一対の周縁部と前記周縁部を繋ぐカバー部と、前記周縁部に設けられ、エンジン本体の前面と結合するように形成された結合部と、前記開口部を形成する周壁及び前記結合部を連結する前記ボス部とを有し、前記マウント部材の他端部は、前記ボス部に取り付けられる
本発明によれば、可変バルブタイミング装置の両側から架橋されるマウント部材自体が強度部材となり、チェーンカバーの剛性を確保することができる。そして、チェーンカバーの剛性を確保することで、余分な補強部材の追加や肉厚増加等をすることなく、チェーンカバーの剛性を有効に確保することができる。
本発明の適用例として自動車用エンジンを右斜め前方から見た斜視図である。 本発明の適用例として自動車用エンジンの側面図である。 本発明の実施形態におけるチェーンカバーが取り外されたエンジンを前方から見た図である。 本発明の実施形態におけるシリンダヘッドカバーが取り外されたエンジンを上方から見た図である。 本発明の実施形態におけるシリンダヘッドカバーが取り外されたシリンダヘッドまわりを右斜め上前方から見た図である。 本発明の実施形態におけるチェーンカバーにマウント部材が取り付けられたシリンダヘッドまわりを右斜め上前方から見た図である。 本発明の実施形態におけるチェーンカバーにマウント部材が取り付けられたシリンダヘッドまわりをカムシャフトの軸端部の外方から見た図である。
以下、図面に基づき、本発明によるエンジンのマウント構造における好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の適用例として自動車用のエンジン10を右斜め前方から見た状態を示す斜視図である。先ず、図1を用いて、内燃機関であるエンジン10の概略構成について説明する。なお、図1を含め、以下の説明で用いる図においては必要に応じて、クランクシャフトの軸線方向に沿ってトランスミッションからエンジンに向かう方向を前方(矢印Frで示す)とし、その逆の方向を後方(矢印Rrで示す)とする。また、シリンダの軸線及びクランクシャフトの軸線に垂直な方向を、後方から見て右側を右方(矢印Rで示す)、左側を左方(矢印Lで示す)とする。なお、エンジン10の配置方向は図示例の場合に限定されず、車種等に応じて適宜選択可能である。
エンジン10は本実施形態において例えば多気筒、典型的には3気筒DOHCガソリンエンジン等であってよい。エンジン10において、シリンダブロック11の上部に順次、シリンダヘッド13及びシリンダヘッドカバー14が一体的に結合してなり、直列に配置された各気筒(ここでは例えば、1番(♯1、以下同様)〜♯3とする)のそれぞれシリンダ軸線が略鉛直方向を指向する。本実施形態では図1に図示のように♯1〜♯3気筒が前後方向に沿って列設されるが、左右方向に沿って列設される場合であってもよい。また、シリンダブロック11の下部には潤滑油(エンジンオイル)を貯留するオイルパン15が一体的に結合する。エンジン10のエンジン本体の前面側には後述するカムタイミングチェーンが装架され、チェーンカバー16がカムタイミングチェーンを前方から覆っている。
エンジン10には、なお図示等を省略するが、外気から空気を吸入して清浄な空気(吸気)を燃焼室に供給する吸気系部品、燃料を供給する燃料系部品、シリンダ内での燃焼後の排気ガスをエンジン10から排出する排気系部品を有する。また、吸気バルブ及び排気バルブを駆動制御する動弁系部品、エンジン10を冷却する冷却系部品及びエンジン10の可動部を潤滑する潤滑系部品を有する。更に、それらの各部品を所定のシーケンスに沿って適正に作動制御する制御系部品(ECU;Engine Control Unit)が付属する。制御系部品の制御により複数の機能系部品が上述の補機類等と協働し、これによりエンジン10全体として円滑作動が遂行される。
また、図1において、エアクリーナからスロットルバルブを介して、浄化された空気がインテークマニホールドへ送給される。その空気は更にインテークマニホールドから各気筒のインテークポート17(図1においてその一部が図示される)に供給される。また、燃料タンクの燃料が燃料ポンプによりデリバリパイプに供給され、燃料は更にデリバリパイプから各気筒のインジェクタに供給される。
エンジン10は複数のエンジンマウント(なお、図1においてそのうちの1つのマウント部材1を図示する)を介して、図示しない当該自動車の車体フレームに懸架されることで、車体フレームに一体的に結合支持され、車両のエンジンルームに搭載される。エンジンルームにはエンジン10が搭載されると共にボンネットが蓋着し、エンジン10の周囲には上述したような複数の補機類等を始め、それらに関連する多数の装置もしくは部品等が配設される。このようにエンジン10は、エンジンルームにおける極めて狭小スペースに配置される。限られたスペース内でエンジン10及びその周辺装備品等をスペース効率よく配置するのはレイアウト上極めて重要である。
また、図1のようにシリンダブロック11のクランク室にはクランクシャフト18(図1及び図2において一点鎖線により略記する)が回転自在に軸支される。一方、図示等を省略するが、シリンダブロック11の各気筒のシリンダボア内にはピストンがシリンダ軸線方向に移動可能に嵌装される。クランクシャフト18のクランクピンと各気筒のピストンのピストンピンは、コネクティングロッドを介して相互に連結され、ピストンがシリンダボア内でシリンダ軸線方向に沿って往復運動することで、クランクシャフト18が回転駆動されるようになっている。
図3は、チェーンカバー16が取り外されたエンジン10を前方から見た状態を示す図である。エンジン10のエンジン本体の前面側においてシリンダブロック11からシリンダヘッド13までの領域に亘って形成された周縁部10a(図2において、ハッチングにより示す。この領域は基本的にチェーンカバーとの合わせ面である。)にチェーンカバー16が接合するようになっている。チェーンカバー16とエンジン前面に囲まれてカムタイミングチェーン室19が形成される。ここで、エンジン10の動弁系においてシリンダヘッド13には、各気筒の吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動するためのカムを備えたカムシャフトを有する。本実施形態では図3に示されるようにシリンダヘッド13において回転可能に軸支され、気筒の配列方向に沿って配置される吸気側及び排気側のカムシャフト20,21を備える。これらのカムシャフト20,21は後述のようにカムタイミングチェーン25を介してクランクシャフト18と連結される。
更に図4は、シリンダヘッドカバー14が取り外されたエンジン10を上方から見た図である。吸気側及び排気側のカムシャフト20,21のそれぞれ軸端部はカムタイミングチェーン室19に突出し、これらの軸端部に動力伝達部材としてのカムスプロケット22,23が取り付けられる(図3参照)。一方、クランクシャフト18の軸端部には図2に示されるようにクランクスプロケット24が取り付けられ、クランクスプロケット24とカムスプロケット22,23との間にカムタイミングチェーン25が巻回装架される。図3のようにカムタイミングチェーン25はクランクスプロケット24及びカムスプロケット22,23に沿って、前方から見て時計回り(右回り)に回転して走行する。
カムタイミングチェーン室19内には更に、図3を参照してカムタイミングチェーン25の張力を調整するチェーンテンショナ及びテンショナアジャスタ26やチェーンガイド27等が付帯して配置される。これらを含めて、カムタイミングチェーン25、クランクスプロケット24及びカムスプロケット22,23等のカムシャフト20,21の駆動系は、チェーンカバー16によって覆われるカムタイミングチェーン室19内に収容配置される。
なお、本実施形態ではクランクスプロケット24及びカムスプロケット22,23がカムタイミングチェーン25を介して連結されるが、カムタイミングチェーン25の代替としてタイミングベルト、更にこれに付随するタイミングプーリ等を用いることも可能である。
吸気側のカムシャフト20及び排気側のカムシャフト21は、シリンダヘッド13において同一高さ位置に支持され、それぞれ気筒毎にバルブを開閉駆動するためのタペットを付勢する、本実施形態では一対のカム28及び一対のカム29が設けられる。なお、本実施形態のタペットは、厚さの異なる複数のシムの中から適切な厚さのものを選択して装着することで、バルブクリアランスを調整するシム交換式のタイプである。上記のようにカムタイミングチェーン室19においてカムタイミングチェーン25を介してクランクシャフト18及びカムスプロケット22,23が連結される。カムタイミングチェーン25がエンジンの始動により走行することにより、シリンダヘッド13においてクランクシャフト18の回転によりカムシャフト20,21が回転駆動される。これによりカムシャフト20のカム28及びカムシャフト21のカム29がそれぞれ吸気バルブ及び排気バルブを所定のタイミングで開閉駆動する。
エンジン10は更に、カム28,カム29によって駆動されるバルブの開閉タイミングを変更して、クランク角度に対する開閉時の位相を制御させる可変バルブタイミング装置30を備える。この可変バルブタイミング装置30は、吸気側のカムシャフト20及び排気側のカムシャフト21の少なくともどちらか一方側のカムシャフト20,21における軸端部に取り付けられた被駆動部と、チェーンカバー16側に固定され、被駆動部を駆動させる駆動部と、を含んで構成され、これら被駆動部及び駆動部が協働することによりカムタイミングを変更させる。本実施形態では吸気側のカムシャフト20に可変バルブタイミング装置30を装着する例とするが、排気側のカムシャフト21に装着することも可能である。
可変バルブタイミング装置30において吸気側のカムシャフト20の軸端部には、カム28の開閉位相を変更する、被駆動部であるカム位相変換部31が取り付けられ、このカム位相変換部31を駆動することで、クランクシャフト18に対して同期回転するカムスプロケット22とカムシャフト20、従ってカム28との間で位相を変更する。
ここで、可変バルブタイミング装置30、特にその駆動部の作動方式は本発明の一態様によれば、例えば油圧式であり、即ちエンジン10のオイルポンプにて発生した油圧で作動する。この場合、可変バルブタイミング装置30の駆動部においてECUの指令に基づき、カムシャフト作動制御用の油圧回路による油圧制御によって、カムシャフト21のカム29のカム位相を進角あるいは遅角させることができる。
また、可変バルブタイミング装置30における駆動部の作動方式は本発明の他の態様によれば、例えば電動式であり、即ち車載のバッテリの電力で作動する。この場合、駆動部には電動モータを備え、この電動モータによりカムシャフト20の回転速度をカムスプロケット22の回転速度よりも速く又は遅く回転させ、同様にカム位相を進角あるいは遅角させることができる。
本発明において、それら油圧式及び電動式の可変バルブタイミング装置30のどちらも採用可能であり、例えばエンジン仕様等に応じて油圧式及び電動式のいずれかを適宜使い分けることができる。以下では電動式の可変バルブタイミング装置30の実施例として説明するが、その代替として油圧式の可変バルブタイミング装置30も本発明の範囲に含まれる。
チェーンカバー16には、カム位相変換部31に連結してこれを駆動する駆動部であるモータユニット32が装着される。モータユニット32は駆動用の電動モータ及び減速機構を有しており、カム位相変換部31はモータユニット32と協働して、その電動モータの回転数に応じてカム28のカム位相を進角又は遅角させる機能を備える。可変バルブタイミング装置30の動作の一例として、ECUの指令に基づき、例えばモータユニット32の電動モータによりカムシャフト20の回転速度をカムスプロケット22の回転速度よりも速く回転させることで、カム28のカム位相が進角され、また、これとは逆にカムシャフト20の回転速度を減速することでカム28のカム位相が遅角される。
このように可変バルブタイミング装置30は、被駆動部であるカム位相変換部31と駆動部であるモータユニット32とから構成され、電動モータ及び減速機構を持つ駆動部から被駆動部に駆動力を伝達する電動式である。
一方、本実施形態では排気側のカムシャフト21の軸端部に可変バルブタイミング装置30Aが装着される。この可変バルブタイミング装置30Aは油圧式であり、エンジン10のオイルポンプにて発生した油圧で作動するため、可変バルブタイミング装置30のモータユニット32のような駆動部を持たない。可変バルブタイミング装置30AにおいてもECUの指令に基づき、作動制御用の油圧回路による油圧制御によってカムシャフト21のカム29のカム位相を進角あるいは遅角させることができるようになっている。
可変バルブタイミング装置30及び可変バルブタイミング装置30Aが装着されるチェーンカバー16において、図4等に示されるように可変バルブタイミング装置30(特にカム位相変換部31)及び可変バルブタイミング装置30Aを内側に収容する膨出部33が、チェーンカバー16から前方へ膨出して形成される。ここで、図5はシリンダヘッドカバー14が取り外されたシリンダヘッド13まわりを右斜め上前方から見た図、図6はシリンダヘッドカバー14が取り外され、チェーンカバー16にマウント部材1が取り付けられたシリンダヘッド13まわりを右斜め上前方から見た図、図7はシリンダヘッドカバー14が取り外され、チェーンカバー16にマウント部材1が取り付けられたシリンダヘッド13まわりをカムシャフト20,21の軸端部の外方、即ち前方から見た図である。
チェーンカバー16は図4等を参照して、シリンダブロック11からシリンダヘッド13までの領域に亘ってエンジン本体の前面側に形成された周縁部10a(図3参照)に接合する周縁部16aと、この周縁部16aとでカムタイミングチェーン室19を形成するカバー部16bとを有する。周縁部16aは、エンジン本体の前面と結合する結合部として構成され、幅方向で互いに離間した一対の周縁部16aがカバー部16bを介して繋げられる。チェーンカバー16は図4において破線により併記するように、シリンダ軸線と直交方向に沿う一般断面が概して浅い凹状を呈する。周縁部16aはカバー部16bの左右両側において略上下方向に沿って設けられる。膨出部33は吸気側のカムシャフト20及び排気側のカムシャフト21に対応して、カバー部16bから一段高くなるように前方へ突出する。このように膨出部33が本例では前方へ突出することで、可変バルブタイミング装置30及び可変バルブタイミング装置30Aの装着部として機能する。
膨出部33には図4のようにモータユニット32が嵌着する開口部34が形成され、この開口部34は図5に示されるように概して円環状の周壁35に開設される。開口部34は吸気側のカムシャフト20と同軸の円筒面として形成され、モータユニット32は開口部34に挿入される円筒部を持ち、即ち周壁35は内側の開口部34でモータユニット32を保持する。開口部34は、可変バルブタイミング装置30(カム位相変換部31)を外方から臨むように開設される。チェーンカバー16の上端縁16cとシリンダヘッド13の上端縁13aは面一であり、また、図7に示すように吸気側のカムシャフト20と同軸の開口部34の中心が上下方向でチェーンカバー16の上端縁16cと一致する。周壁35の上半部が、チェーンカバー16の上端縁16cから上方へ突出するかたちで形成される。なお、シリンダヘッドカバー14は、周壁35の上半部を含めてチェーンカバー16の上端縁16c及びシリンダヘッド13の上端縁13aと隙間なく接合するように形成される。この場合、チェーンカバー16の上端縁16cに接合するシリンダヘッドカバー14がカムタイミングチェーン室19の上部を形成し、即ちチェーンカバーとして機能する。本実施形態ではシリンダヘッドカバー14は典型的には合成樹脂製とするが、アルミニウム合金等で形成することも可能である。
エンジン10を車体フレームに搭載するための複数のマウント部材が使用され、チェーンカバー16にはそのうちの一つのマウント部材が取り付けられる。図6及び図7等を参照して、マウント部材1は可変バルブタイミング装置30及び可変バルブタイミング装置30Aに対応して、チェーンカバー16の外側(前方側)で左右方向に延設される。マウント部材1の具体的取付構造において、マウント部材1の一端部(左側)に対する第1のマウント部材取付部36(左側取付部)が、吸気側及び排気側のカムシャフト20,21の他方側、本実施形態では排気側のカムシャフト21に対応してチェーンカバー16に突出して形成される。マウント部材1の他端部(右側)に対する第2のマウント部材取付部37(右側取付部)が、可変バルブタイミング装置30を挟んで第1のマウント部材取付部36とは反対側でチェーンカバー16に突出して形成される。このようにマウント部材取付部は、開口部34を挟むように左側取付部と右側取付部とで構成され、後述のようにこれらにマウント部材1が取り付けられて相互に連結される。
この場合チェーンカバー16は、開口部34を形成する周壁35と連結されるボス部38を有し、このボス部38が第2のマウント部材取付部37として機能する。マウント部材1の他端部が、ボス部38に結合するようになっている。なお、ボス部38は図5等に示されるように周壁35の右下に位置して形成される。
このようにチェーンカバー16は、エンジン本体の前面と結合するように形成された結合部、即ち周縁部16aと、周壁35及びこの結合部を連結するボス部38とを有し、マウント部材1の他端部が、ボス部38に取り付けられる。
マウント部材取付部36はエンジン10の排気側に配置され、排気側におけるカバー部16bから膨出部33と同一方向(即ち前方)へ突出する。図4等に示されるように第1のマウント部材取付部36はチェーンカバー16の左右方向幅の1/2程度を占め、周縁部16aと周壁35との間を連結するように左右方向に延設される。第1のマウント部材取付部36の上面はマウント部材1を締結させるための平坦な締結座面36aとして形成され、締結座面36aにてマウント部材1を固定する締結ボルト40(図6参照)が螺合するネジ部39(雌ネジ)が形成されている。
また、第1のマウント部材取付部36は図5等に示されるように、上下方向で周壁35よりも低い高さ位置に形成される。この例では図5等のように第1のマウント部材取付部36の締結座面36aは、チェーンカバー16の上端縁16cよりも下方に設定され、周壁35の開口部34を形成する円筒面の中心(吸気側のカムシャフト20の軸心)よりも低い位置に形成される。
ボス部38は、吸気側におけるカバー部16bから膨出部33と同一方向(即ち前方)へ突出する。ボス部38は図5に示されるように周壁35と面一となるように前方へ突出し、その突出端面はマウント部材1を締結させるための平坦な締結座面38aとして形成され、締結座面38aにてマウント部材1を固定する締結ボルト42(図6参照)が螺合するネジ部41(雌ネジ)が形成されている。
ここで、マウント部材1のボス部38側の端部は、締結座面38aに締結されるアタッチメント2を介して、チェーンカバー16に取り付けられる。アタッチメント2はマウント部材1の他端部にボルト43により固定されると共に、締結ボルト42により締結座面38aに固定される。アタッチメント2を有することでマウント部材1の取付自由度が拡大し、取付あるいは組付作業性の向上を図ることができる。なお、マウント部材1の他端部をこのように分割構成しない、即ち一体で構成することも可能であり、この場合は部品点数の削減を図ることができる。
マウント部材1はチェーンカバー16の前面にて、第1のマウント部材取付部36と第2のマウント部材取付部37の間に架け渡されるように取り付けられる。この場合、図6及び図7等示されるように吸気側及び排気側のカムシャフト20,21にそれぞれ装着される可変バルブタイミング装置30及び可変バルブタイミング装置30Aに対応して、幅方向で離間する一対の周縁部16aに跨るようにマウント部材1が配置される。マウント部材1の左右方向略中央部には、車体フレームに結合するマウント部3が設けられる。
上記の場合、可変バルブタイミング装置30をエンジン10に装着する際、膨出部33において図5あるいは図6の示されるように開口部34が開設されている周壁35に対して、モータユニット32を前方から開口部34に挿入する。モータユニット32の固定方法としては例えば、開口部34に嵌着されたモータユニット32を複数の締結ボルト(図示せず)によって、周壁35に締結することでモータユニット32を固定することができる。なお、周壁35にはその締結ボルトが螺合する図示しない複数のネジ部(雌ネジ)が形成される。図4に示されるようにモータユニット32の出力軸32aがカム位相変換部31側へ延設して、これに接続される。
本実施形態に係るエンジン10において、カムタイミングチェーン25が走行することにより、シリンダヘッド13においてクランクシャフト18の回転に同期してカムシャフト20,21が回転駆動される。これによりカムシャフト20のカム28及びカムシャフト21のカム29がそれぞれ吸気バルブ及び排気バルブを所定のタイミングで開閉駆動する。
本実施形態に係る可変バルブタイミング装置30の基本動作において、エンジン10の運転状態に応じて本実施形態では吸気側のカムシャフト20のカム28の位相を変更する。即ち、モータユニット32の電動モータがカム位相変換部31を駆動して、カム28の開閉位相を適宜、進角又は遅角させる。なお、モータユニット32の駆動電源として車載のバッテリ等の電力を利用することができる。また、可変バルブタイミング装置30AにおいてもECUの指令に基づき、作動制御用の油圧回路による油圧制御によって排気側のカムシャフト21のカム29のカム位相を進角あるいは遅角させることができる。可変バルブタイミング装置30は電動式であるため、その動作がスピーディ且つ的確である等の利点がある。
次に、本発明のエンジンのマウント構造における主要な作用効果について説明する。マウント部材1の一端部に対する第1のマウント部材取付部36が、本例では排気側のカムシャフト21に対応してチェーンカバー16に突出して形成される。また、マウント部材1の他端部に対する第2のマウント部材取付部37(ボス部38)が、可変バルブタイミング装置30を挟んで第1のマウント部材取付部36とは反対側でチェーンカバー16に突出して形成される。
本実施形態では可変バルブタイミング装置30の着脱を行い易くするためにチェーンカバー16には開口部34が開設され、この開口部34を介してカム位相変換部31に対してアクセス可能である。図7を参照して、カム位相変換部31は、吸気側のカムシャフト20の軸端部に対して締結手段である締結ボルト45により固定される。この締結ボルト45を取り外すことで、カム位相変換部31及びカムスプロケット22が一体的にユニット化したものをカムシャフト20から取り外すことができる。なお、この場合、マウント部材1はチェーンカバー16から取り外されているものとする。このように開口部34を設けることで、吸気側及び排気側のバルブのバルブクリアランス調整やVVTの交換等の整備性もしくはメンテナンス性の向上を図ることができる。
一方、周壁35に開口部34を開設すると、そのままでは開口部34まわりのチェーンカバー16の剛性確保は必ずしも容易でない。第1のマウント部材取付部36及び第2のマウント部材取付部37に取り付けられて、可変バルブタイミング装置30の両側から架橋されるマウント部材1自体が強度部材となり、チェーンカバー16の剛性を確保することができる。なお、チェーンカバー16の剛性が十分でないと、チェーンカバー16の振動を発生させ、騒音性能上不利になる。本発明によればチェーンカバー16の剛性を確保することで、余分な補強部材の追加や肉厚増加等をすることなく、チェーンカバー16の剛性を有効に確保することができる。
また、チェーンカバー16は、開口部34を形成する周壁35と連結されるボス部38を有し、マウント部材1の他端部が、第2のマウント部材取付部37として機能するボス部38に結合する。
マウント部材1をボス部38を介して、開口部34の周壁35に連結することで、マウント部材1が開口部34周辺の剛性向上に寄与する補強材として有効に機能する。
また、チェーンカバー16は、エンジン本体の前面と結合するように形成された結合部と、周壁35及びこの結合部を連結するボス部38とを有し、マウント部材1の他端部は、ボス部38に取り付けられる。
チェーンカバー16の周縁部16aは、エンジン本体の前面と結合する結合部として構成され、本実施形態においてチェーンカバー16周りを囲むように形成されているフランジ構造を有する。チェーンカバー16の結合部は、一般にはボルト締結によりシリンダブロック12及びシリンダヘッド13とフランジ面同士を接触させて結合されているため、大きな力がかかっても変形等を極力抑制することを可能にする剛性を確保することができる。そこで、かかる結合部と連結するボス部38にマウント部材1の他端部を取り付けることで、マウント部材1の取付剛性を確保することができる。
また、可変バルブタイミング装置30は、チェーンカバー16の開口部34を覆うように取り付けられる駆動部によって回転駆動されて、カムタイミングを可変にするカム位相変換部31を有する。
チェーンカバー16に開口部34を設けてもマウント部材1の取付時のチェーンカバー16の剛性を確保することができるので、チェーンカバー16において有効に開口部34及び可変バルブタイミング装置30のモータユニット32を取り付けることができる。また、可変バルブタイミング装置30にとってはモータユニット32をどのように取り付けるかが重要であるが、開口部34を設けてモータユニット32を取り付けることができればカム側の位相変換を行うことができる。
また、チェーンカバー16は、幅方向で互いに離間した一対の周縁部16aとこれらの周縁部16aを相互に繋ぐカバー部16bとを有し、エンジン本体の前面と結合する結合部は周縁部16aに設けられる。
チェーンカバー16の周縁部16a自体は、チェーンカバー16のフレーム部材となるので、マウント部材1を強固に固定することができる。
なお、膨出部33は、可変バルブタイミング装置30の駆動部であるモータユニット32を保持する周壁35を有し、モータユニット32が吸気側のカムシャフト20の軸端部の外方から周壁35の開口部34に挿入可能である。可変バルブタイミング装置30をエンジン10に組み込む際、周壁35の開口部34に対してモータユニット32を開口部34の前方からに容易且つ的確に挿入することができ、組付性等に優れている。
ここで、本発明は上記実施形態における変形例として、例えば円環部35をチェーンカバー16と一体形成する場合の他に、シリンダヘッドカバー14及びチェーンカバー16で上下半割りの構成で形成することも可能である。
また、可変バルブタイミング装置30Aが油圧式の場合で説明したが、可変バルブタイミング装置30Aは電動式であってもよい。即ち、可変バルブタイミング装置30と同様にカム位相変換部とこれを駆動するモータユニットとを備えた可変バルブタイミング装置30Aを構成し、これらカム位相変換部及びモータユニットが協働して、カム位相を変更することができる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、上記実施形態では3気筒ガソリンエンジンの例を説明したが、2気筒あるいは4気筒以上のエンジン等であってよい。
10 エンジン、11 シリンダブロック、13 シリンダヘッド、14 シリンダヘッドカバー、15 オイルパン、16 チェーンカバー、17 インテークポート、18 クランクシャフト、19 カムタイミングチェーン室、20 吸気側のカムシャフト、21 排気側のカムシャフト、22,23 カムスプロケット、24 ドライブスプロケット、25 カムタイミングチェーン、26 チェーンテンショナ及びテンショナアジャスタ、27 チェーンガイド、28,29 カム、30 可変バルブタイミング装置、31 カム位相変換部、32 モータユニット、33 膨出部、34 開口部、35 周壁、36 第1のマウント部材取付部、37 第2のマウント部材取付部、38 ボス部、39,41 ネジ部、40,42 締結ボルト、43 ボルト。

Claims (7)

  1. 吸気側及び排気側それぞれのカムシャフトを支持するシリンダヘッドと、前記カムシャフトを駆動するカムタイミングチェーンと、前記カムタイミングチェーンを覆うチェーンカバーと、前記吸気側及び排気側のカムシャフトの少なくともどちらか一方側のカムシャフトにおける軸端部に装着される可変バルブタイミング装置と、当該エンジンを車体に搭載するためのマウント部材とを有するエンジンのマウント構造であって、
    前記チェーンカバーには、前記可変バルブタイミング装置を外方から臨むように開口部が形成されると共に、前記マウント部材を取り付けるマウント部材取付部が形成され、
    前記マウント部材取付部は、前記開口部を挟むように左側取付部と右側取付部とで構成され、
    前記左側取付部及び前記右側取付部は、前記マウント部材が取り付けられて相互に連結され
    前記チェーンカバーは、幅方向で互いに離間した一対の周縁部と前記周縁部を繋ぐカバー部と、前記周縁部に設けられ、エンジン本体の前面と結合するように形成された結合部と、前記開口部を形成する周壁及び前記結合部を連結する前記ボス部とを有し、
    前記マウント部材の他端部は、前記ボス部に取り付けられることを特徴とするエンジンのマウント構造。
  2. 前記右側取付部の右端部と前記左側取付部の左端部の両方が前記周縁部に連結されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのマウント構造。
  3. 前記右側取付部と前記左側取付部のいずれか一方は、前記周縁部と前記周壁との間を連結するように左右方向に延設されることを特徴とする請求項2に記載のエンジンのマウント構造。
  4. 前記周縁部と前記周壁との間を連結するように左右方向に延設された前記取付部は、上下方向で前記開口部の上端よりも低い位置であって前記開口部の下端よりも高い位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載のエンジンのマウント構造。
  5. 前記周縁部と前記周壁との間を連結するように左右方向に延設された前記取付部は、延設された部分の一つの面全体に締結座面を有し、
    前記マウント部材は、前記締結座面に固定されることを特徴とする請求項3に記載のエンジンのマウント構造。
  6. 前記締結座面は、前記周縁部と前記周壁との間を連結するように左右方向に延設された前記取付部の上面に、前記開口部を形成する円筒面の中心よりも低い位置に形成され、
    前記マウント部材は、前記締結座面からその下端が前記開口部を形成する円筒面の中心よりも高い位置まで延びることを特徴とする請求項5に記載のエンジンのマウント構造。
  7. 前記マウント部材は、車体フレームに結合するマウント部が設けられ、
    前記マウント部の上端は前記開口部を形成する円筒面の上端よりも低い位置かつ前記マウント部の下端は前記開口部を形成する円筒面の下端よりも高い位置かつ前記マウント部の右端は前記開口部を形成する円筒面の右端よりも左側かつ前記マウント部の左端は前記開口部を形成する円筒面の左端よりも右側に位置することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのマウント構造。
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