JP6687976B2 - 凍結工法 - Google Patents
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Description
このスクリューコンベア20には高圧の泥土が充填されているため、巨大な礫が混入してスクリューコンベア20を閉塞してしまった場合、故障が発生した場合、その他の点検が必要な場合に、スクリューコンベア20を分解して、点検、修繕することが困難である。
しかし、ドライアイスを充填するのみでは、スクリューコンベア20内部の泥土を冷却するのに多大な時間が必要となる。また、ドライアイスが気化して発生する炭酸ガスにより、トンネル内という狭小空間の作業環境が悪化する恐れが存在する。
しかし、石粉、鉄粉、セメント等を水で練り混ぜて熱伝導性材料を生成し、当該熱伝導性材料を凍結管とスクリューコンベア20との間の空隙に充填することは、トンネルの様な狭小空間では困難である。また、修繕や点検が終了した後、熱伝導性材料が固化してしまうので、凍結管を除去するために多大な労力が必要になるという問題も存在する。さらに、石粉、鉄粉、セメント等を水で練り混ぜた熱伝導性材料は産業廃棄物であるため、その廃棄のための設備及びコストが必要になる。
前記凍結装置(10〜13)は冷媒管(1〜3)を有し、当該冷媒管(1〜3)を内布(4〜6)と外布(7〜8)で包囲しており、内布(4〜6)は熱伝導性が良好な材料(例えば、不織布:水分が過度に偏らないような最小限の透水性を有する材料:或いは水を内蔵した袋体等)で構成されており、外布(7〜8)は断熱性を有し且つ透水性を有していない材料(例えば、透水性を有していない布)で構成されており、
前記内布(4〜6)に水を含浸させ、
冷媒管(1〜3)に冷媒(冷凍対象物を凍結するのに十分な冷熱を有する冷媒:例えば液体窒素:温度の高いブラインも選択可能)を流すことを特徴としている。
本発明において、内布(4〜6)は冷凍対象物との密着性が良好な材料で構成されているのが好ましい。
ここで冷凍対象物は、中空体或いは中実体の柱状体、錐状体、平面構造物の何れをも包含する。
また本発明の実施に際して、前記冷媒管(1)は複数の(例えば半円状に湾曲した)湾曲部(1A)及び直線部(1B)で構成され、直線部(1B)は冷凍対象物(20)の中心軸と直交する方向に延在しているのが好ましい。
或いは、前記冷媒管(2)は複数の(例えば半円状に湾曲した)湾曲部(2A)及び直線部(2B)で構成され、直線部(2B)は冷凍対象物(20)の中心軸と平行な方向に延在しているのが好ましい。
例えば、冷凍対象物がスクリューコンベア(20)の要点検箇所或いは故障した領域の直ぐ切羽側(上流側)であれば、凍結装置(10〜12)を巻き付けた箇所に存在する泥土は急速に冷却され、チャンバー30(図10参照)における高圧は、冷媒管(1、2)を巻き付けた箇所よりも坑口側(下流側)の領域には影響しない。そのため、スクリューコンベア(20)の冷媒管(1、2)を巻き付けた箇所の坑口側領域を分解して、必要な点検作業や、巨礫の除去等の修繕作業を実行することが出来る。
一方、外布(7〜8)は断熱性を有する材料(例えば、透水性を有していない布)で構成されているので、外部からの熱が作用して冷凍効率が低下することが防止されると共に、冷媒管(1〜3)を流れる冷媒の冷熱が効率的に冷凍対象物に伝達される。
そして、凍結装置(10〜13)の取り付け、取り外しの際に、モルタル等の産業廃棄物は発生しない。
また本発明では、例えば坑外等で凍結装置(10〜13)を組み立て、例えば水を内布に含浸させた後、坑内に搬入して冷凍対象物に巻き付けるだけで良い。そのため、従来技術(特許文献2)の様に、凍結管の巻き付け、モルタル塗布、断熱材巻き付けという手間のかかる作業を坑内の狭小空間で行う必要がなく、簡素化、省略化をすることが出来る。撤去作業についても同様である。
最初に図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1で示す凍結装置10は、冷媒管1を、内布4と外布7で包囲して構成されており、全体が布状に構成されている。そして冷媒管1は、半円状に湾曲した湾曲部1Aと直線部1Bを有している。
図1において、冷媒管1は、複数(図1では14箇所)の半円状に湾曲した湾曲部1Aと、複数(図1では15本)の直線部1Bを有しており、隣接する直線部1Bは湾曲部1Aにより接続されている。
冷媒管1の複数の直線部1Bは布状の凍結装置10の長手方向(図1では左右方向)と直交する方向(図1では上下方向)に延在している。図1において、符号1Cは凍結装置10における冷媒の流入部、符号1Dは凍結装置10における冷媒の流出部を示している。
ここで、凍結装置10をスクリューコンベア20に巻き付ける際に(図2参照)、冷媒管1の主として湾曲部1Aに塑性変形を生じさせるため、冷媒管1は強度と耐冷熱性が良好であることに加えて、可撓性に優れた材料(例えば銅)で構成されている。
また、凍結装置10の幅方向の寸法Hは、スクリューコンベア20内部の泥土等を凍結するべき範囲(軸方向長さ)に応じて設定される。
なお、固定具9で取り付けることに代えて、紐、バンド等により凍結装置10をスクリューコンベア20に取り付けることが可能である。
凍結装置10をスクリューコンベア20に巻き付けて固定した後、地上側の図示しない冷媒供給装置から、冷媒管1に冷媒(冷凍対象物を凍結するのに十分な冷熱を有する冷媒:例えばブライン)を供給する。図1において、当該冷媒の流れを矢印Fで示す。
スクリューコンベア20に凍結装置10を巻き付けた後、固定具9(図1)で凍結装置10の両端部を結合することにより、凍結装置10がスクリューコンベア20の冷却箇所20Aに固定される。
スクリューコンベア20に凍結装置10を巻き付けた状態で、流入部1C、流出部1Dを経由して冷媒管1に冷媒(例えばブライン)を流せば、当該冷媒が保有する冷熱は凍結装置10を巻き付けたスクリューコンベア20の冷却箇所20Aに速やかに伝達され、冷却箇所20Aの内側に存在する泥土等は急速に冷却され、凍結する。
なお、図2において、冷媒の流れを矢印Fで示す。
なお、内布4及び外布7において、冷媒管1が配置される部分に予め冷媒管1の形状に合わせて凹部を形成して、内布4及び外布7により冷媒管1が隙間なく包囲することが可能である。そして冷媒管1を包囲した上、内布4及び外布7を公知の手法により(例えば外縁部等の適宜箇所を縫合して)、全体が布状の凍結装置10が構成されている。
図3において、冷媒管1における冷媒の流れが矢印Fで示されている。
一方、外布7は断熱性を有する材料で構成されており、例えば透水性を有していない布が選択される。
一方、冷媒管1のスクリューコンベア20(冷凍対象物)から離隔する側の領域は、断熱性に優れた外布7で被覆されている。そのため、外部からの熱が凍結装置10(冷媒管1)に作用して冷凍効率が低下することが防止されると共に、冷媒管1を流れる冷媒の冷熱が効率的にスクリューコンベア20に伝達される。
ここで、内布4を介して冷媒の冷熱が効率的に冷却箇所20Aに伝達されるので、冷媒管1に冷媒を流すと冷却箇所20Aの内側に存在する泥土等は極めて短い時間で凍結する。そのため、点検や修理を迅速且つ簡単に行うことが出来る。
そして、凍結装置10の取り付け、取り外しの際に、モルタル等の産業廃棄物は発生することもなく、産業廃棄物処理の労力、コストは不要である。
上述した通り、図1で示す様に、冷媒管1の複数の直線部1Bはスクリューコンベア20の軸方向と平行に延在するので、凍結装置10をスクリューコンベア20に巻き付ける際に、複数の直線部1Bを湾曲させる必要がなく、作業員は僅かな力で、無理なく巻き付けることが出来る。換言すれば、図1〜図4で示す凍結装置10をスクリューコンベア20に巻き付ける作業は、直線的な冷媒管をスクリューコンベア20の外周においてつる巻状に配置する作業に比較して極めて容易であり、作業労力が軽減される。
図1〜図4の第1実施形態では冷媒管1は内布4と外布7との境界部分に位置しているが、図5、図6の第1変形例では、内布5を二重に積層し、積層された内布5(5A、5B)の間に冷媒管1を配置している。
図5、図6で示す凍結装置11は、冷媒管1、内布5、外布7を有し、内布5は第1の内布5A及び第2の内布5Bを積層している。
全体を布状に構成された凍結装置11は、図1〜図4の第1実施形態と同様に、スクリューコンベア20等の冷凍対象物の冷却箇所に巻き付けて、当該冷却箇所を冷凍する。
ここで内布5は、第1の内布5A(スクリューコンベア20側の内布)と第2の内布5B(外布7側の内布)を積層して構成されており、第1の内布5Aと第2の内布5Bの間に冷媒管1が配置されている。
第1及び第2の内布5A、5Bにおいて、冷媒管1が配置する部分に予め冷媒管1の形状に合わせて凹部を形成して、第1及び第2の内布5A、5Bに冷媒管1が隙間なく包囲される様にすることが可能である。
図5、図6の第1変形例におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図4の第1実施形態と同様である。
図1〜図4の第1実施形態では、冷媒管1の複数の直線部1Bは布状の凍結装置10の長手方向と直交する方向に延在しているが、図7の第2変形例では、冷媒管2の複数の直線部2Bは布状の凍結装置12の長手方向と平行な方向に延在している。換言すれば、直線部2Bはスクリューコンベア20の中心軸に直交する方向に延在している(図7参照)。
そのため、第2変形例における冷媒管2は、強度、耐冷熱性に加えて、可撓性に優れた材料(例えば銅)で構成されている。そのため、凍結装置12をスクリューコンベア20に巻き付けると、冷媒管2の直線部2Bが塑性変形する。
なお、流入部2C、流出部2Dを経由して冷媒管2内を流れる冷媒は、矢印Fで示されている。
また、凍結装置12をスクリューコンベア20に巻き付ける際に冷媒管2を塑性変形する必要があるが、凍結管をスクリューコンベアの外周面につる巻状に巻き付けることに比較すれば、作業者の労力が軽減される。
図7の第2変形例におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図6の実施形態と同様である。
図1〜図7の実施形態では、冷凍対象物が筒状部材(例えば中空管状のスクリューコンベア)であり、布状の凍結装置10〜12を冷凍対象物に巻き付ける様に配置している。
それに対して、図8、図9の第2実施形態では、冷凍対象物は壁の様な平面部材(例えば、シールドマシンのチャンバーの隔壁)であり、図1〜図7の第1実施形態とは異なっている。
凍結装置13は冷媒管3を有しており、冷媒管3は半円状に湾曲した湾曲部3Aと直線部3Bを有しており、内布6と外布8(図9)で包囲されている。
そして冷媒管3は、複数(図8では7本)の直線部3Bと、複数(図8では6本)の半円状に湾曲した湾曲部3Aを有しており、隣接する直線部3Bは湾曲部3Aにより接続されている。そして、冷媒管3の複数の直線部3Bは布状の凍結装置13の長手方向(図8では左右方向)と平行に延在している。
明確には図示されていないが、冷媒管3を内布6及び外布8で包囲した後、公知の態様で(例えば、例えば外縁部等の適宜箇所を縫合して)全体が布状の凍結装置13を製造している。
さらに、明確には図示されないが、布状に構成された凍結装置13の適宜箇所には、必要に応じて、従来公知の固定具が設けられ、凍結装置13を冷凍対象物であるチャンバー30の隔壁30Aに取り付け、取り外すことが出来る様に構成されている。
なお、図8、図9において、冷媒管13における冷媒の流れが矢印Fで示されている。
一方、外布8としては、断熱性を有する材料で構成され、例えば透水性を有していない布が選択される。
隔壁30Aの冷却箇所30AAを冷却してチャンバー30内の当該範囲の高圧の泥土を凍結することにより、前記の故障、止水、その他の不具合に対する処置を容易に行うことが出来る。
一方、冷媒管3の隔壁30A(冷凍対象物)から離隔する側の領域は、断熱性に優れた外布8で被覆されている。そのため、外部からの熱が凍結装置13(冷媒管3)に作用して冷凍効率が低下することが防止されると共に、冷媒管3を流れる冷媒の冷熱が効率的に隔壁30Aに伝達される。
図8、図9の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図7の実施形態と同様である。
1A、2A、3A・・・湾曲部
1B、2B、3B・・・直線部
4、5、6・・・内布
7、8・・・外布
9・・・固定具
10、11、12、13・・・凍結装置
20・・・スクリューコンベア
20A・・・冷却箇所
30・・・チャンバー
30A・・・チャンバーの隔壁
30AA・・・冷却箇所
40・・・カッターヘッド
50・・・ケース
100・・・泥土式シールド掘進機
Claims (3)
- 全体が布状の凍結装置を冷凍対象物における冷却したい箇所に取り付け、
前記凍結装置は冷媒管を有し、当該冷媒管を内布と外布で包囲しており、内布は熱伝導性が良好な材料で構成されており、外布は断熱性を有し且つ透水性を有していない材料で構成されており、
前記内布に水を含浸させ、
冷媒管に冷媒を流すことを特徴とする凍結工法。 - 前記冷媒管は複数の湾曲部及び直線部で構成され、直線部は冷凍対象物の中心軸と直交する方向に延在する請求項1の凍結工法。
- 前記冷媒管は複数の湾曲部及び直線部で構成され、直線部は冷凍対象物の中心軸と平行な方向に延在する請求項1の凍結工法。
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