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JP6679348B2 - 車両の前後速度推定装置 - Google Patents

車両の前後速度推定装置 Download PDF

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Description

この発明は、車両の前後速度推定装置に関し、特に駆動輪と転舵輪が異なる位置に配置される車両の前後速度推定装置に関する。
車輪の空転を防止する、例えばトラクション制御を行うためには、駆動輪の位置での車両速度が必要である。駆動輪と転舵輪が異なる位置に配置される車両の場合、駆動輪の回転軸と直交する平面と車体の前後方向とが平行になるように駆動輪と車両が配置されている。このため、駆動輪の位置での車両速度は、車両の前後速度とヨーレートから計算できる。車両の前後速度は、従動輪の車輪回転速度を用いることで精度良く推定できる。ここで、車両に生じている横滑り角が大きい場合には、車両の横滑り角の影響を補正する必要がある。
例えば、旋回円の接線方向加速度と法線方向加速度、およびヨーレートを用いて横滑り角速度を求め、その横滑り角速度を積分することで横滑り角を推定する技術が提案されている(特許文献1)。この推定した横滑り角を用いて、旋回中の車両の前後速度を推定している。
ところで、横滑り角の推定に関しては、例えば、ハンドル角と車両速度を入力変数とする車両モデルより横滑り角を推定する技術が提案されている(特許文献2)。推定した横滑り角と車輪の回転速度から、車体の前後速度を推定できる。
特開平10−175537号公報 特開昭62−83247号公報
特許文献1では、旋回円の接線方向加速度と法線方向加速度、およびヨーレートを用いて横滑り角速度を求め、その横滑り角速度を積分することで横滑り角を推定している。ところが、積分演算では誤差(ドリフト)が蓄積されやすい。そのため、長時間の積分演算を行うと横滑り角の推定精度が悪化しやすいため、正確に車両の前後速度を推定できない可能性がある。
特許文献2では、車両モデルから横滑り角を推定している。図6に示すように、タイヤに生じている横滑り角に対して、タイヤが発生できる横力(コーナリングフォース)が線形の関係にある領域(以下、「タイヤの線形領域」と称す)では、良好な精度で横滑り角を推定できるが、タイヤに生じる横滑り角に対して、タイヤが発生できる横力が非線形の関係にある領域(以下、「タイヤの非線形領域」と称す)では、横滑り角の推定精度が悪化する。この場合、正確に車両の前後速度を推定することができない。
他の方法として、前後加速度の積分演算から車両の前後速度を推定することが考えられる。しかし、やはり積分演算では誤差(ドリフト)が蓄積されやすく、正確に車両の前後速度を推定することができない。
この発明の目的は、従動輪となる転舵輪と、駆動輪とを備えた車両において、車両の走行状態にかかわらず精度よく車両の前後速度を推定することができる車両の前後速度推定装置を提供することである。
この発明の車両の前後速度推定装置は、従動輪となる左右の転舵輪3と、左右の駆動輪2とを備えた車両における前後速度を推定する前後速度推定装置10であって、
前記左右の転舵輪3の車輪回転速度をそれぞれ測定する一対の車輪回転速度測定手段14と、
前記車両のハンドル角を測定するハンドル角測定手段15と、
前記車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段16と、
前記車両の前後加速度を測定する前後加速度測定手段17と、
前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段26と、
前記車輪回転速度測定手段14で測定された前記左右の転舵輪3の車輪回転速度、および、前記ハンドル角測定手段15で測定されたハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横滑り角を推定する車両モデル応答計算手段25と、
前記左右の転舵輪3の車輪回転速度、前記ハンドル角、前記ヨーレート測定手段16で測定されたヨーレート、および前記車両モデル応答計算手段25で推定された規範横滑り角を用いて車両の前後速度を推定する第1の車速推定手段27と、
前記前後加速度測定手段17で測定された前後加速度を積分演算して車両の前後速度を推定する第2の車速推定手段28と、
前記走行状態判定手段26で判定された前記車両の走行状態に基づき、定められた規則に従って前記第1の車速推定手段27および前記第2の車速推定手段28のいずれか一方により推定した車両の前後速度を選択する車速選択手段29と、を備え、
この車速選択手段29は、前記定められた規則として、通常時は前記第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度を選択して出力し、前記走行状態判定手段26により前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定されると、前記第2の車速推定手段28によって推定した車両の前後速度を選択して出力することを特徴とする。
前記定められた規則は、設計等によって任意に定める規則であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により適切な規則を求めて定められる。
前記車両の走行状態は、タイヤの線形領域で走行している通常走行状態と、タイヤの非線形領域で走行している限界走行状態とを含む。
前記定められた限界走行状態は、設計等によって任意に定める走行状態であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により適切なタイヤの非線形領域を求めて定められる。
この明細書において、「車輪回転速度」とは、単位時間あたりの車輪回転数と同義である。
この構成によると、車両モデル応答計算手段25は、左右の転舵輪3の車輪回転速度、およびハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横滑り角を推定する。
前記車両モデルとして、例えば、平面2自由度モデル(通称:平面2輪モデル)を用いているが、この平面2輪モデルに限定されるものではない。
第1の車速推定手段27は、左右の転舵輪3の車輪回転速度、ハンドル角、ヨーレート、および規範横滑り角を用いて車両の前後速度を推定する。車速選択手段29は、通常時(例えば、タイヤの線形領域で走行している状態(以下、「通常走行状態」という)において、第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度を選択して出力する。通常走行状態では、良好な精度で規範横滑り角を推定できるため、前記のように第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度を選択して出力することで、正確に車両の前後速度を推定することができる。
走行状態判定手段26により車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定されると、車速選択手段29は、第2の車速推定手段28によって推定した車両の前後速度を選択して出力する。限界走行状態では、規範横滑り角の推定精度が悪化するため、第1の車速推定手段27を適用せず、第2の車速推定手段28を適用する。第2の車速推定手段28は、前後加速度測定手段17で測定された前後加速度を積分演算して車両の前後速度を推定する。このように積分演算する時間を限界走行状態と判定したときに限定することで、誤差(ドリフト)の蓄積による推定精度の悪化を防止できる。以上説明したように車両の走行状態にかかわらず精度よく車両の前後速度を推定することができる。
前記車両の横加速度を測定する横加速度測定手段17を備え、前記車両モデル応答計算手段25において、前記左右の転舵輪3の車輪回転速度および前記ハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横加速度または規範ヨーレートを推定し、
前記走行状態判定手段26は、前記横加速度測定手段17で測定された横加速度と前記規範横加速度との偏差が閾値以上のとき、または前記ヨーレート測定手段16で測定されたヨーレートと前記規範ヨーレートとの偏差が閾値以上のとき、前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定しても良い。
前記各閾値は、それぞれ設計等によって任意に定める値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により適切な値を求めて定められる。
この構成によると、実際に車両に発生している横加速度と規範横加速度との偏差が閾値以上のとき、または実際に車両に発生しているヨーレートと規範ヨーレートとの偏差が閾値以上のとき、定められた限界走行状態であるとみなすことができる。この限界走行状態において第2の車速推定手段28を適用することで、精度よく且つ正確に車両の前後速度を推定することができる。
前記車両の横滑りを防止する横滑り防止制御装置21と、前記車両の制動力を制御する制動制御装置22とを備え、前記走行状態判定手段26は、前記横滑り防止制御装置21および前記制動制御装置22のいずれか一方または両方が作動しているとき、前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定しても良い。このような限界走行状態において第2の車速推定手段28を適用することで、精度よく且つ正確に車両の前後速度を推定することができる。
前記走行状態判定手段26が定められた限界走行状態であると判定したとき、この判定直前に前記第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度を、前記第2の車速推定手段28における前後加速度の積分演算の初期値としても良い。この場合、第2の車速推定手段28により推定する車両の前後速度をより精度よく推定することができる。
この発明の車両の前後速度推定装置は、従動輪となる左右の転舵輪と、左右の駆動輪とを備えた車両における前後速度を推定する前後速度推定装置であって、前記左右の転舵輪の車輪回転速度をそれぞれ測定する一対の車輪回転速度測定手段と、前記車両のハンドル角を測定するハンドル角測定手段と、前記車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段と、前記車両の前後加速度を測定する前後加速度測定手段と、前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段と、前記車輪回転速度測定手段で測定された前記左右の転舵輪の車輪回転速度、および、前記ハンドル角測定手段で測定されたハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横滑り角を推定する車両モデル応答計算手段と、前記左右の転舵輪の車輪回転速度、前記ハンドル角、前記ヨーレート測定手段で測定されたヨーレート、および前記車両モデル応答計算手段で推定された規範横滑り角を用いて車両の前後速度を推定する第1の車速推定手段と、前記前後加速度測定手段で測定された前後加速度を積分演算して車両の前後速度を推定する第2の車速推定手段と、前記走行状態判定手段で判定された前記車両の走行状態に基づき、定められた規則に従って前記第1の車速推定手段および前記第2の車速推定手段のいずれか一方により推定した車両の前後速度を選択する車速選択手段と、を備える。この車速選択手段は、前記定められた規則として、通常時は前記第1の車速推定手段によって推定した車両の前後速度を選択して出力し、前記走行状態判定手段により前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定されると、前記第2の車速推定手段によって推定した車両の前後速度を選択して出力する。このため、従動輪となる転舵輪と、駆動輪とを備えた車両において、車両の走行状態にかかわらず精度よく車両の前後速度を推定することができる。
この発明の実施形態に係る車両の前後速度推定装置のシステム構成を平面視で概略示す図である。 同車両のインホイールモータ駆動装置の断面図である。 同前後速度推定装置の制御系のブロック図である。 各記号と同車両の位置の対応関係を示す図である。 同前後速度推定装置における車両モデルを説明する図である。 横すべり角と横力との関係を示す図である。
この発明の実施形態に係る車両の前後速度推定装置を図1ないし図6と共に説明する。
図1は、この実施形態に係る車両の前後速度推定装置のシステム構成を平面視で概略示す図である。この前後速度推定装置を搭載した車両である電気自動車1は、左右の後輪2が動力源となる電動のモータ4で駆動される駆動輪であり、左右の前輪3が従動輪となる。左右の前輪3は転舵輪とされている。各モータ4は、それぞれ駆動力および制動力を発生可能である。各モータ4は、インホイールモータ駆動装置IWMを構成する。
図2に示すように、インホイールモータ駆動装置IWMは、モータ4、減速機6、および車輪用軸受7を有し、これらの一部または全体が後輪2内に配置される。モータ4の回転は、減速機6および車輪用軸受7を介して後輪2に伝達される。車輪用軸受7のハブ輪7aのフランジ部には摩擦ブレーキ装置8を構成するブレーキロータ8aが固定され、同ブレーキロータ8aは後輪2と一体に回転する。モータ4は、例えば、ロータ4aのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータである。このモータ4は、ハウジング4cに固定したステータ4bと、回転出力軸9に取り付けたロータ4aとの間にラジアルギャップを設けたモータである。
制御系について説明する。
図1に示すように、前後速度推定装置10は、この車両の前後速度を推定する装置である。前後速度推定装置10は、車両に搭載されたECU11と、モータ4に対して設けられたインバータ装置12と、センサ類13とを有する。ECU11は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。ECU11とインバータ装置12とは、例えば、CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)等の車内通信網で接続されている。
センサ類13は、左右の前輪3の車輪回転速度をそれぞれ測定する一対の車輪回転速度測定手段14と、車両のハンドル角を測定するハンドル角測定手段15と、車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段16と、車両の前後加速度および横加速度を測定する加速度センサ17とを有する。またセンサ類13は、アクセル操作手段18の操作量を検出するアクセルセンサ18a、およびブレーキ操作手段19の操作量を検出するブレーキセンサ19aを有する。
ECU11は、この例では次に示す車両コントローラ20と、車両の横滑りを防止する制御を行う横滑り防止制御装置(略称ESC)21と、車両の制動力を制御する制動制御装置(略称ABS)22とを有する。車両コントローラ20には、アクセル操作手段18からの加速指令、およびブレーキ操作手段19からの減速指令が入力され、前記加速指令と前記減速指令の差に応じた制駆動トルクを、インバータ装置12のモータコントローラ12aに与える。モータコントローラ12aは、与えられる制駆動トルクに従い、電流指令に変換して、インバータ12bに電流指令を与える。
図3に示すように、車両コントローラ20は、車両の前後速度推定装置本体23と、スリップ率制御装置24とを有する。前後速度推定装置本体23は、車両モデル応答計算手段25、走行状態判定手段26、第1の車速推定手段27、第2の車速推定手段28、および車速選択手段29を有する。
車両モデル応答計算手段25は、車輪回転速度測定手段14で測定された左右の前輪3の車輪回転速度、および、ハンドル角測定手段15で測定された車両のハンドル角を入力として、車両モデルを用いて、規範横滑り角βref、規範ヨーレートγref、規範横加速度Ayrefを計算する。なお車両モデルから得られる状態量には「規範」が付けられている。前記車両モデルとして、この例では、後述する平面2自由度モデル(通称:平面2輪モデル)を用いている。
走行状態判定手段26は、車両の走行状態が定められた限界走行状態であるか否かを判定する。車両の走行状態は、図6に示すように、タイヤの線形領域で走行している通常走行状態と、タイヤの非線形領域で走行している限界走行状態とを含む。
図3に示すように、走行状態判定手段26は、車両モデル応答計算手段25が計算した規範横加速度Ayrefと、実際に車両に発生している横加速度Aとの偏差(以下、「横加速度偏差」と称す)ΔAがある閾値以上のとき、または車両モデル応答計算手段25が計算した規範ヨーレートγrefと、実際に車両に発生しているヨーレートγとの偏差(以下、「ヨーレート偏差」と称す)Δγがある閾値以上のとき、車両の走行状態が限界走行状態であると判定する。
前記限界走行状態は、車両モデルを用いて推定した規範横滑り角βrefの推定精度が悪化している状態である。実際に車両に発生している横加速度Aは、横加速度測定手段および前後加速度測定手段である加速度センサ17により測定される。実際に車両に発生しているヨーレートγは、ヨーレート測定手段16により測定される。
また走行状態判定手段26は、横滑り防止制御装置21および制動制御装置22のいずれか一方または両方が作動しているとき、車両の走行状態が限界走行状態であると判定する。
走行状態判定手段26は、前述のいずれの条件にもあてはまらないとき、車両モデルを用いて推定した規範横滑り角βrefの推定精度が良好な状態(以下、「通常走行状態」と称す)と判定する。
第1の車速推定手段27は、左右の前輪の車輪回転速度ωFL,ωFR、横滑り角β、ハンドル角δ、およびヨーレートγを用いて、以下の式(a1),(a2)から車両の前後速度Vを推定する。
Figure 0006679348

図4は、各記号とこの車両の位置の対応関係を示す図である。同図4および図3等を適宜参照しつつ説明する。
式(a1),(a2)において、ωFL,ωFRは左右の前輪3の車輪回転速度、βは横滑り角、δはハンドル角、γはヨーレート、δは実舵角、Rは前輪の車輪半径、l(図5)は重心P(図5)から前輪3の車軸位置までの距離、nはステアリングギヤ比である。横滑り角βは、車両諸元およびハンドル角δと転舵輪の車輪回転速度ωFL,ωFRを入力変数とする車両モデルから推定する規範横滑り角である。
車両モデルについて説明する。
1.モデル化
ロール運動を無視した4輪モデルでは、各輪で前後方向と横方向の力および速度を考えるため、運動方程式を記述すると非常に複雑になる。
そこで、左右輪のタイヤ特性に差が無く、実舵角が小さいとした場合について考える。これにより図5に示すように、トレッドの影響を無視することができるため、運動方程式の記述が容易となる。この図5は平面2輪モデルと呼ばれるモデルである。
2.運動方程式
車両重量をm、実舵角をδ、前輪の車軸〜重心位置間の距離をl、後輪の車軸〜重心位置間の距離をl、車両を真上から見たときの重心回りのモーメント(ヨーレート)をr、前後輪の横滑り角をそれぞれβ,β、前後輪に働く横力(コーナリングフォース)をそれぞれY,Yとする。
ここで前後輪の横滑り角、実舵角の絶対値がそれぞれ「1」よりも非常に小さい、つまり|β|、|β|、|δ|≪1とすれば、これらの方向は、車両の横方向に一致すると考えて良い。車両を真上から見た場合において、角度を全て反時計回りを正として、車両の横方向の運動を記述する式は、以下のようになる。
Figure 0006679348

Figure 0006679348

Figure 0006679348

3.伝達関数
式(11)、(12)を代数方程式として解くことで、操舵に対するβ、rの伝達関数を得ることができる。
Figure 0006679348

Figure 0006679348

Figure 0006679348

車両モデルから横滑り角βを推定する場合、通常走行状態には良好な精度で推定できるが、限界走行状態には精度が悪化する。
そのため、図3に示すように、限界走行状態のときには第2の車速推定手段28を用いて車両の前後速度を推定する。第2の車速推定手段28は、加速度センサ17が出力する車両の前後加速度Aを用いて、以下の式(b1)から車両の前後速度Vを推定する。
Figure 0006679348

ここでVxoは、走行状態判定手段26が限界走行状態と判断する直前に、式(a1),(a2)から求められる車両の前後速度Vを用いる。換言すれば、走行状態判定手段26が限界走行状態であると判定したとき、この判定直前に第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度Vを、第2の車速推定手段28における前後加速度の積分演算の初期値とする。第2の車速推定手段28では、積分演算する時間を限界走行状態に限定することで、誤差(ドリフト)の蓄積による推定精度の悪化を防止する。
車速選択手段29は、走行状態判定手段26が通常走行状態と判断した場合には、第1の車速推定手段27で推定した車両の前後速度Vを選択して出力する。車速選択手段29は、走行状態判定手段26が限界走行状態と判断した場合には、第2の車速推定手段28で推定した車両の前後速度Vを選択して出力する。
図3,図4に示すように、スリップ率制御装置24は、例えば、前後速度推定装置本体23が推定した車両の前後速度Vと、車両に発生しているヨーレートから駆動輪の位置での車両速度Vdrvを計算する。図4では、左後輪2の位置での車両速度がVdrvLと表記され、右後輪2の位置での車両速度がVdrvRと表記されている。
図3,図4に示すように、さらにスリップ率制御装置24は、前記駆動輪の位置での車両速度Vdrvと駆動輪の車輪回転速度からスリップ率を計算し、このスリップ率と目標とするスリップ率との偏差から、フィードバック制御で各駆動輪のモータに発生させる制駆動トルクを制御する。このスリップ率制御を行う際、前記前後速度推定装置を適用することで、精度よく車両の前後速度Vを推定することができる。
以上説明した前後速度推定装置10によれば、タイヤの線形領域で走行している、いわゆる通常走行状態では、良好な精度で規範横滑り角を推定できるため、第1の車速推定手段27によって推定した車両の前後速度を選択して出力することで、正確に車両の前後速度を推定することができる。
走行状態判定手段26により車両の走行状態が限界走行状態であると判定されると、車速選択手段29は、第2の車速推定手段28によって推定した車両の前後速度を選択して出力する。限界走行状態では、規範横滑り角の推定精度が悪化するため、第1の車速推定手段27を適用せず、第2の車速推定手段28を適用する。第2の車速推定手段28は、加速度センサ17で測定された前後加速度を積分演算して車両の前後速度を推定する。このように積分演算する時間を限界走行状態と判定したときに限定することで、誤差(ドリフト)の蓄積による推定精度の悪化を防止できる。以上説明したように車両の走行状態にかかわらず精度よく車両の前後速度を推定することができる。
他の実施形態について説明する。
インホイールモータ駆動装置IWMにおいては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、2軸並行減速機、その他の減速機を適用可能であり、また、減速機を採用しない、所謂ダイレクトモータタイプであってもよい。
前述の実施形態では、インホイールモータ方式の電気自動車を用いて説明したが、非インホイールモータ方式の車両、例えば、車体に設置された2台のモータの出力をドライブシャフト等を介して左右の駆動輪に伝達するいわゆる2モータオンボード方式の車両でも本制御の適用が可能である。
本実施形態の前後速度推定装置で推定した前後速度を、車輪の空転を防止するトラクション制御装置に用いても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…電気自動車(車両)
2…後輪(駆動輪)
3…前輪(従動輪、転舵輪)
14…車輪回転速度測定手段
15…ハンドル角測定手段
16…ヨーレート測定手段
17…加速度センサ(前後加速度測定手段、横加速度測定手段)
21…横滑り防止制御装置
22…制動制御装置
25…車両モデル応答計算手段
26…走行状態判定手段
27…第1の車速推定手段
28…第2の車速推定手段
29…車速選択手段

Claims (4)

  1. 従動輪となる左右の転舵輪と、左右の駆動輪とを備えた車両における前後速度を推定する前後速度推定装置であって、
    前記左右の転舵輪の車輪回転速度をそれぞれ測定する一対の車輪回転速度測定手段と、
    前記車両のハンドル角を測定するハンドル角測定手段と、
    前記車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段と、
    前記車両の前後加速度を測定する前後加速度測定手段と、
    前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であるか否かを判定する走行状態判定手段と、
    前記車輪回転速度測定手段で測定された前記左右の転舵輪の車輪回転速度、および、前記ハンドル角測定手段で測定されたハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横滑り角を推定する車両モデル応答計算手段と、
    前記左右の転舵輪の車輪回転速度、前記ハンドル角、前記ヨーレート測定手段で測定されたヨーレート、および前記車両モデル応答計算手段で推定された規範横滑り角を用いて車両の前後速度を推定する第1の車速推定手段と、
    前記前後加速度測定手段で測定された前後加速度を積分演算して車両の前後速度を推定する第2の車速推定手段と、
    前記走行状態判定手段で判定された前記車両の走行状態に基づき、定められた規則に従って前記第1の車速推定手段および前記第2の車速推定手段のいずれか一方により推定した車両の前後速度を選択する車速選択手段と、を備え、
    この車速選択手段は、前記定められた規則として、通常時は前記第1の車速推定手段によって推定した車両の前後速度を選択して出力し、前記走行状態判定手段により前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定されると、前記第2の車速推定手段によって推定した車両の前後速度を選択して出力することを特徴とする車両の前後速度推定装置。
  2. 請求項1に記載の車両の前後速度推定装置において、前記車両の横加速度を測定する横加速度測定手段を備え、前記車両モデル応答計算手段において、前記左右の転舵輪の車輪回転速度および前記ハンドル角を入力として、車両モデルにより規範横加速度または規範ヨーレートを推定し、
    前記走行状態判定手段は、前記横加速度測定手段で測定された横加速度と前記規範横加速度との偏差が閾値以上のとき、または前記ヨーレート測定手段で測定されたヨーレートと前記規範ヨーレートとの偏差が閾値以上のとき、前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定する車両の前後速度推定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両の前後速度推定装置において、前記車両の横滑りを防止する横滑り防止制御装置と、前記車両の制動力を制御する制動制御装置とを備え、前記走行状態判定手段は、前記横滑り防止制御装置および前記制動制御装置のいずれか一方または両方が作動しているとき、前記車両の走行状態が定められた限界走行状態であると判定する車両の前後速度推定装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両の前後速度推定装置において、前記走行状態判定手段が定められた限界走行状態であると判定したとき、この判定直前に前記第1の車速推定手段によって推定した車両の前後速度を、前記第2の車速推定手段における前後加速度の積分演算の初期値とする車両の前後速度推定装置。
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