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JP2010188918A - 挙動制御装置 - Google Patents

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JP2010188918A JP2009036630A JP2009036630A JP2010188918A JP 2010188918 A JP2010188918 A JP 2010188918A JP 2009036630 A JP2009036630 A JP 2009036630A JP 2009036630 A JP2009036630 A JP 2009036630A JP 2010188918 A JP2010188918 A JP 2010188918A
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Abstract

【課題】車輪の横滑りを抑制可能な挙動制御装置を提供する。
【解決手段】目標ヨーレートに基づき車両の挙動を制御する挙動制御装置において、車輪の許容横力を推定する手段(ステップS3)と、車輪の実横力を求める手段(ステップS4)と、許容横力または実横力のうち小さい方を選択する手段(ステップS5)と、選択された横力からヨーモーメントを求める手段(ステップS6)と、選択された横力から横加速度を求める手段(ステップS7)と、ヨーモーメントおよび横加速度から第1目標ヨーレートを求める手段(ステップS8)と、転舵角から第2目標ヨーレートを求める手段(ステップS9)と、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレート以下のときは第2目標ヨーレートを選択し、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えたときは第1目標ヨーレートを選択する手段(ステップS10,S11,S12)とを備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両のヨー運動を制御する挙動制御装置に関するものである。
従来、車両が走行するときのヨー運動を制御する挙動制御装置が知られており、その一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両においては、目標車体フォースおよび目標ヨーモーメントを達成するために各車輪発生力を演算し、各車輪の最大発生力を示す摩擦円の大きさと、各車輪の最大前後力とから前後μ利用率を演算し、各車輪の前後μ利用率、各車輪の横力、各車輪の接地荷重に基づいて、左右同一の操舵角を演算し、演算された操舵角に基づいて車両運動を制御するものである。具体的には、各車輪の制駆動力および各車輪の操舵角を協調制御すると記載されている。なお、車両のヨー運動を制御する挙動制御装置は、特許文献2および特許文献3にも記載されている。
特開2007−269295号公報 特開2007−83741号公報 特開2002−211378号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている挙動制御装置においては、摩擦円を用いて前後μ利用率を求めているが、摩擦円が路面の摩擦係数に合ったものであるかについては考慮がなされておらず、車両の挙動が不安定になる可能性があった。
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、車両のヨー運動を制御するにあたり、一層挙動を安定させることの可能な、挙動制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、転舵輪の転舵角に基づいて車両の目標ヨーレートを求め、その目標ヨーレートに基づいて前記車両の挙動を制御する、挙動制御装置において、前記車輪で発生する前後力に基づいて、前記車輪の横滑りを回避可能な許容横力を推定する許容横力推定手段と、前記車輪における実際の横力を推定する実横力推定手段と、前記許容横力または実際の横力のうちいずれか小さい方の横力を選択する横力制限手段と、この横力制限手段により選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるヨーモーメント算出手段と、前記横力制限手段により選択された横力に基づいて、前記車両の横加速度を求める横加速度算出手段と、前記ヨーモーメントを用い、かつ、前記横加速度により上限および下限が制限された前記車両の第1目標ヨーレートを求める第1ヨーレート算出手段と、前記転舵角に基づいて前記車両の第2目標ヨーレートを求める第2ヨーレート算出手段と、前記第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートとを比較するヨーレート比較手段と、前記第2目標ヨーレートが前記第1目標ヨーレート以下である場合は、前記第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する一方、前記第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、前記第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する最終ヨーレート算出手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、前輪の転舵角に基づいて車両の目標ヨーレートを求め、その目標ヨーレートに基づいて前記車両の挙動を制御する、挙動制御装置において、前記前輪で発生する前後力、および後輪で発生する前後力を求める前後力算出手段と、前記前輪で発生する前後力と、前記後輪で発生する前後力とを比較する前後力比較手段と、前記後輪で発生する前後力が前記前輪で発生する前後力よりも小さい場合は、前記前輪の摩擦円の大きさと前記後輪の摩擦円の大きさとを同一に設定し、その摩擦円に基づいて前記前輪および前記後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する第1許容横力推定手段と、前記前輪で発生する前後力が前記後輪で発生する前後力以下である場合は、前記前輪の摩擦円の大きさと前記後輪の摩擦円の大きさとを異なる値として設定し、各摩擦円に基づいて前記前輪および前記後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する第2許容横力推定手段と、前記車輪における実際の横力を推定する実横力推定手段と、前記第1許容横力推定手段または前記第2許容横力推定手段により推定された許容横力と、実際の横力とを比較し、小さい方の横力を選択する横力制限手段とを有する。
さらに、請求項2の発明は、前記横力制限手段により選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるヨーモーメント算出手段と、前記横力制限手段により選択された横力に基づいて、前記車両の横加速度を求める横加速度算出手段と、前記ヨーモーメントを用い、かつ、前記横加速度により上限および下限が制限された前記車両の第1目標ヨーレートを求める第1ヨーレート算出手段と、前記転舵角に基づいて前記車両の第2目標ヨーレートを求める第2ヨーレート算出手段と、前記第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートとを比較するヨーレート比較手段と、前記第2目標ヨーレートが前記第1目標ヨーレート以下である場合は、前記第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する一方、前記第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、前記第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する最終ヨーレート算出手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、車輪の横滑りを回避可能な許容横力を推定する。また、車輪における実際の横力を推定する。そして、許容横力または実際の横力のうちいずれか小さい方の横力を選択する。その選択された横力を用いて、制限されたヨーモーメントを求め、かつ、車両の横加速度を求める。ついで、ヨーモーメントを用い、かつ、横加速度により上限および下限が制限された第1目標ヨーレートを求める。一方、転舵角に基づいて第2目標ヨーレートを求める。さらに、第1目標ヨーレートと第2目標ヨーレートとを比較する。ここで、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレート以下である場合は、第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する。これに対して、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する。したがって、路面摩擦係数が相対的に低い場合でも、駆動力で前後力を使い切り、車輪の横力が相対的に小さくなり、車輪の横滑りを回避でき、車両の挙動が安定する。
請求項2の発明によれば、前輪で発生する前後力、および後輪で発生する前後力を求め、前輪で発生する前後力と、後輪で発生する前後力とを比較する。ここで、後輪で発生する前後力が前輪で発生する前後力よりも小さい場合は、前輪の摩擦円の大きさと後輪の摩擦円の大きさとを同一に設定し、その摩擦円に基づいて前輪および後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する。これに対して、前輪で発生する前後力が後輪で発生する前後力以下である場合は、前輪の摩擦円の大きさと後輪の摩擦円の大きさとを異なる値として設定し、各摩擦円に基づいて前輪および後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する。さらに、車輪における実際の横力を推定する。さらに、第1許容横力推定手段または第2許容横力推定手段により推定された許容横力と、実際の横力とを比較し、小さい方の横力を選択する。
また、選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるとともに、選択された横力に基づいて、車両の横加速度を求める。そして、ヨーモーメントを用い、かつ、横加速度により上限および下限が制限された第1目標ヨーレートを求める。また、転舵角に基づいて車両の第2目標ヨーレートを求める。さらに、第1目標ヨーレートと第2目標ヨーレートとを比較する。ここで、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレート以下である場合は、第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する。一方、第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する。したがって、路面摩擦係数が相対的に低い場合でも、駆動力で前後力を使い切り、車輪の横力が相対的に小さくなり、車輪の横滑りを回避でき、車両の挙動が安定する。
この発明の制御例を示すフローチャートである。 図1に示す制御例を実行可能な車両の概念図である。 この発明の他の制御例を示すフローチャートである。 図1および図3の制御例を実行可能な他の車両を示す概念図である。
つぎに、この発明の制御を実行可能な車両の構成例を、図2に基づいて説明する。図2に示された車両Aは、車輪、具体的には、左前輪1および右前輪2および左後輪3および右後輪4を有している。また、左前輪1のホイールには、その左前輪1を駆動する電動モータ5が取り付けられており、右前輪2のホイールには、その右前輪2を駆動する電動モータ6が取り付けられており、左後輪3のホイールには、その左後輪3を駆動する電動モータ7が取り付けられており、右後輪4のホイールには、その右後輪4を駆動する電動モータ8が取り付けられている。つまり、4個の車輪はいずれもインホイールモータ型の車輪である。車両Aの車体には蓄電装置(図示せず)が搭載されており、蓄電装置から各電動モータに電力を供給して力行制御することができる。これとは逆に、車両Aの惰力走行時に各電動モータで発電をおこない、その電力を蓄電装置に充電することもできる。前記蓄電装置としては、充電及び放電をおこなうことのできる二次電池、より具体的にはバッテリまたキャパシタを用いることができる。上記の車両Aは、左右の車輪同士の間、または前輪と後輪との間で発生する駆動力配分を制御可能な四輪駆動車である。
また、左前輪1および右前輪2はサスペンション(図示せず)により支持されており、転舵角を変更可能に構成されている。その左前輪1および右前輪2の転舵角を制御するための舵角制御装置12が設けられている。さらに、車両Aにはステアリングホイール(図示せず)が設けられており、そのステアリングホイールが舵角制御装置12に動力伝達可能に接続されている。ステアリングホイールは運転者により操作されて、回転軸を中心として所定角度範囲内で回転可能である。この舵角制御装置12は、ステアリングホイールの回転力を、前輪の転舵力に変換する機構である。これにより、ステアリングホイールの操作力が左前輪1および右前輪2に伝達されて、各車輪の転舵角が変更される。また、舵角制御装置12により、左前輪1および右前輪2の転舵角と、ステアリングホイールの操作量から求められる操舵角とを一致させる制御、または異ならせる制御をおこなうことができる。この舵角制御装置12としては、例えば電動モータまたは油圧シリンダなどのアクチュエータを有するものが用いられる。なお、この種の舵角制御装置12については、例えば、特開平6−336172号公報、特開平5−24553号公報などに記載されているように公知であるため、その具体的な図示および説明を省略する。
さらに、舵角制御装置12を制御する車両用電子制御装置(ECU)9が設けられているとともに、各電動モータを制御するモータ用電子制御装置(ECU)10が設けられている。この車両用電子制御装置9には、ステアリングホイールの操作量(操舵角)を検知する操舵角センサの信号、ステアリングホイールに加えられる操作力(トルク)を検知するトルクセンサの信号、車両Aの前後方向の加速度および横方向の加速度、および車両Aの重心周りにおけるヨーレートを検出するセンサ13の信号、車速を検知するセンサの信号、アクセル開度を検知するセンサの信号、各車輪の回転速度を検知するセンサの信号などが入力される。さらに、車両Aにはナビゲーションシステム14が搭載されている。このナビゲーションシステム14は、車両Aの現在位置を検知し、かつ、車両Aの目的地を入力し、かつ、車両Aの走行予定経路を検索する操作をおこなうことができる装置である。このナビゲーションシステム14をコントロールする電子制御装置と、車両用電子制御装置9との間で信号の授受がおこなわれ、モータ用電子制御装置10と車両用電子制御装置9との間で信号の授受がおこなわれる構成である。
つぎに、図2に示された車両Aで実行される制御例を説明する。まず、車速およびアクセル開度に基づいて、車両Aにおける目標駆動力が求められ、その目標駆動力に基づいて、各電動モータのトルクおよび回転数が制御される。また、車両Aの走行中に、ステアリングホイールの操舵角が求められ、その操舵角に基づいて、左前輪1および右前輪2の転舵角が制御される。これにより、車両Aが直進走行および旋回走行をおこなうことができる。さらに、この実施例では、車両Aの走行中に、車両Aの実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけるために、前輪の転舵角、前輪および後輪の駆動力または制動力とを制御することができる。ここで、左右の前輪で発生する駆動力または制動力の分配比を制御可能であり、左右の後輪で発生する駆動力または制動力の分配比を制御可能である。
つぎに、車両Aの走行中におこなわれる制御例を図1のフローチャートに基づいて説明する。この図1のフローチャートは請求項1に対応する。まず、各車輪の最大前後力Fx**_MAXがそれぞれ読み込まれる(ステップS1)。各車輪の最大前後力Fx**_MAXとは、各車輪の前後方向および左右方向でグリップ力の限界を示す摩擦円内において、発生可能な前後力(駆動力および制動力)の最大値である。ここで、**は各車輪を意味しており、左前輪の最大前後力はFxfl_MAXであり、右前輪の最大前後力はFxfr_MAXであり、左後輪の最大前後力はFxrl_MAXであり、右後輪の最大前後力はFxrr_MAXである。そして、最大前後力Fx**_MAXは、例えば、各車輪の接地荷重および各車輪のスリップ率から求めることができる。各車輪のスリップ率は、各車輪の回転速度および車速をパラメータとして求めることができる。なお、各車輪の最大前後力Fx**_MAXは、トラクションコントロール(TRC)制御またはアンチロックブレーキシステム(ABS)に用いる値でもよい。
また、ステップS2では、各車輪の現在における前後力Fx**_CURが読み込まれる。この現在における前後力Fx**_CURは、各電動モータのトルクおよび電動モータから車輪に至る経路の減速比および各車輪の半径などから求めることができる。さらにステップS3では、各車輪における推定許容横力Fy**_ESTを求める。この推定許容横力Fy**_ESTとは、各車輪の横滑りを回避できる横力の推定値であり、推定許容横力Fy**_ESTを数式(1)により求めることができる。
Fy**_EST=(Fx**_MAX-Fx**_CUR)0.5 ・・・(1)
このように、ステップS1ないしステップS3では、路面の摩擦係数μをパラメータとして、車輪の横滑りを回避できる横力を求めている。
さらに、ステップS4では各車輪の推定実横力(実際の横力の推定値)を、数式(2)および数式(3)により求める。
Fyf*_CUR=((Idγ/dt-Mo)+mGy)/(4Lf) ・・・(2)
Fyr*_CUR=((Mo-Idγ/dt)+mGy)/(4Lr) ・・・(3)
この数式(2)のFyf*_CURは前輪の推定実横力であり、数式(3)のFyr*_CURは後輪の推定実横力である。
ここで、
左前輪の実横力Fyfl_CUR=右前輪の実横力Fyfr_CUR ・・・(4)
左後輪の実横力Fyrl_CUR=右後輪の実横力Fyrr_CUR ・・・(5)
であるものとする。また、前記Iは、車両のヨー慣性モーメントであり、mは車体の質量であり、Moは、左右車輪の駆動力配分で与えられるヨーモーメントであり、Lfは車体の重心点から前輪軸までの距離であり、Lrは車体の重心点から後輪軸までの距離である。
上記のステップS1ないしステップS4についで、各車輪の推定実横力の絶対値と、各車輪の推定許容横力の絶対値とを比較し、推定許容横力で制限された横力Fy**_LIMを、各車輪について求める(ステップS5)。このステップS5では、数式(6)ないし数式(8)を用いる。具体的には、
|Fy**_CUR|≦|Fy**_EST| ・・・(6)
が成立すれば、
Fy**_LIM=Fy**_CUR ・・・(7)
とする。これに対して、数式(6)が不成立であれば、
Fy**_LIM=Fy**_EST ・・・(8)
とする。つまり、ステップS5では、小さい方の推定横力が、制限された横力Fy**_LIMとして選択される。
このステップS5についで、各車輪について制限された横力Fy**_LIMを用いて、車両のヨーレート(微分値)d γlim/dtを求める(ステップS6)。このヨーレートdγlim/dtは数式(9)を用いて求める。
dγlim/dt=[(Lf*Fyf*_LIM-Lr*Fyr_LIM)-Mo]/I ・・・(9)
この数式(9)においてFyf_LIMは、前輪の制限された横力であり、この前輪の制限された横力Fyf_LIMは数式(10)により求める。
Fyf_LIM=Fyfl_LIM+Fyfr_LIM ・・・(10)
この数式(10)において、Fyfl_LIMは左前輪の制限された横力であり、Fyfr_LIMは右前輪の制限された横力である。
また、数式(9)においてFyr_LIMは、後輪の制限された横力であり、この後輪の制限された横力Fyr_LIMは数式(11)により求める。
Fyr_LIM=Fyrl_LIM+Fyrr_LIM ・・・(11)
この数式(11)において、Fyrl_LIMは左後輪の制限された横力であり、Fyrr_LIMは右後輪の制限された横力である。
このステップS6についで、数式(10)および数式(11)の演算結果を用いて、車両Aにおける横G(加速度)の制限値Gylimを求める(ステップS7)。このステップS7では数式(12)を用いる。
Gylim=[Fyf_LIM+Fyr_LIM]/m ・・・(12)
このステップS7についで、制限されたヨーレートの微分値を積分して、ヨーレートを求める(ステップS8)。このステップS8では数式(13)を用いる。
γlim=∫(dγlim/dt)dt ・・・(13)
ただし、積分による発散を防ぐために、横加速度をヨーレートに換算して、ヨーレートγlimの上限ガードおよび下限ガードとする。つまり、
|γlim|≦|Gylim/V| ・・・(14)
とする。この数式(14)において、Vは車速である。
このステップS8についで、ステアリングホイールの操舵角θから、車両Aの目標ヨーレートγreqを求める(ステップS9)。このステップS9では数式(15)を用いる。
γreq=[V/(1+kh*V)](θ/n) ・・・(15)
ここで、khはスタビリティファクタであり、nは舵角制御装置12の伝動装置のギア比である。
このステップS9についで、ヨーレートγlimの絶対値が、目標ヨーレートγreqの絶対値以上であるか否かを判断する(ステップS10)。このステップS10で肯定的に判断された場合は、最終的な目標ヨーレートγreqfixとして、目標ヨーレートγreqを選択し(ステップS11)、この制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS10で否定的に判断された場合は、最終的な目標ヨーレートγreqfixとして、ヨーレートγlimを選択し(ステップS12)、この制御ルーチンを終了する。
上記のように、図1の制御例では、ステップS11およびステップS12で最終的な目標ヨーレートを求める前に、路面の摩擦係数を考慮して制限された横力を求め、その制限された横力を用いて、制限されたヨーモーメントを求め、その制限されたヨーモーメントを用いて、制限された目標ヨーレートを求めている。さらに、制限された目標ヨーレートと、操舵角から求められる目標ヨーレートとを比較して、小さい方の目標ヨーレートを、最終的な目標ヨーレートとして選択している。したがって、路面摩擦係数が相対的に低い場合でも、駆動力で前後力を使い切り、車輪で横力が発生せず横滑りを回避できる。特に、車両Aがコーナーを旋回走行するときに有効である。
ここで、図1に示された機能的手段と、請求項1の構成との対応関係を説明すると、ステップS3が、この発明の許容横力推定手段に相当し、ステップS4が、この発明の実横力推定手段に相当し、ステップS5が、この発明の横力制限手段に相当し、この横力制限手段により選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるヨーモーメント算出手段と、ステップS6が、この発明のヨーモーメント算出手段に相当し、ステップS7が、この発明の横加速度算出手段に相当し、ステップS8が、この発明の第1ヨーレート算出手段に相当し、ステップS9が、この発明の第2ヨーレート算出手段に相当し、ステップS10が、この発明のヨーレート比較手段に相当し、ステップS11,S12が、この発明の最終ヨーレート算出手段に相当する。
ところで、4個の車輪が均一な摩擦係数の路面に接地しているとは限らず、1個の車輪が、他の車輪に比べて摩擦係数の低い路面に接地しているとき(またぎ路面)、特に、後輪が接地する路面の摩擦係数が低い場合は、後輪の安定化モーメントが少なくなり、車両で発生可能な最大ヨーレートが増加する。これにより、車両の挙動が不安定になる可能性がある。これを回避するために、車両Aで実行可能な他の制御例を、図3のフローチャートに基づいて説明する。この図3のフローチャートは請求項2に対応する。図3のフローチャートにおいて、図1のフローチャートと同じ処理をおこなうステップには、図1と同じステップ番号を付してある。
図3のフローチャートと図1のフローチャートとの相違点を説明すると、図3のフローチャートではステップS1についで、各車輪の最大前後力Fx**_MAXを絶対値が大きい順に並べ替え(ソート)する(ステップS22)。このソート方法は、バブルソート法など何でもよい。このステップS22の後、ステップS2を経てステップS23に進む。このステップS23では、各車輪の最大前後力Fx**_MAXの絶対値が最小であるのは後輪か否かが判断される。このステップS23で否定的に判断された場合は、ステップS3に進み、このステップS3以降、図1のフローチャートと同じ処理をおこなう。これに対して、ステップS23で肯定的に判断された場合は、各車輪の推定許容横力を演算し(ステップS24)、ステップS4に進む。
このステップS24では数式(16)および数式(17)を用いる。
Fyf*_EST=(Fxr*_MAX-Fxf*_CUR)0.5 ・・・(16)
Fyr*_EST=(Fxr*_MAX-Fxr*_CUR)0.5 ・・・(17)
ここで、Fyf*_ESTは、前輪の推定許容横力(許容される横力の推定値)であり、Fyr*_ESTは、後輪の推定許容横力(許容される横力の推定値)である。つまり、ステップS24では、前輪の摩擦円の大きさを、後輪の摩擦円の大きさと同じにする。このように、図3のフローチャートにおいても、路面の摩擦係数を考慮し、かつ、横力を確保した目標ヨーレートを設定することができ、車両Aの挙動が安定する。つまり、図1のフローチャートと同じ作用効果を得られる。また、1個の車輪が、他の車輪に比べて摩擦係数の低い路面に接地しているとき、特に、後輪が接地する路面の摩擦係数が低い場合に、車両がスピンすることを回避できる。
つぎに、図1および図3の制御例を実行可能な車両の構成例を図4に基づいて説明する。図4において、図2の構成と同じ構成部分については、図2と同じ符号を付してある。図4の車両Bは、エンジン15に変速機16が動力伝達可能に接続され、その変速機16には、プロペラシャフト17を介在させてデファレンシャル18が動力伝達可能に接続されている。このデファレンシャル18に左後輪3および右後輪4が接続されている。このデファレンシャル18は、左後輪3および右後輪4に伝達する動力の分配比を制御可能に構成されている。ここで、左右の車輪、または前後輪に伝達するトルク配分を制御可能なデファレンシャルは、例えば、特開平5−301573号公報、特開平6−92157号公報などに記載されているように公知であるため、その構成の図示および説明を省略する。
また、デファレンシャル18から左右の後輪に伝達されるトルクの配分を制御するデフ用電子制御装置19が設けられており、そのデフ用電子制御装置19と車両用電子制御装置9との間で信号の授受がおこなわれる構成である。このように、図4に示された車両Bは、左右の後輪に伝達するトルク配分を制御することの可能な二輪駆動車である。この図4に示された車両Bにおいても、図1および図3の制御例を実行可能である。この場合、左右の後輪で発生する駆動力に基づいて、横力、ヨーモーメント、横加速度などの各パラメータを、各ステップで判断および処理をおこない、前輪については各パラメータの判断および処理はおこなわない。なお、制動力については、前輪および後輪で、各パラメータの判断および処理をおこなえる。
ここで、図3に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS2が、この発明の前後力算出手段に相当し、ステップS23が、この発明の前後力比較手段に相当し、ステップS24が、この発明の第1許容横力推定手段に相当し、ステップS3が、この発明の第2許容横力推定手段に相当し、ステップS4が、この発明の実横力推定手段に相当し、ステップS5が、この発明の横力制限手段に相当し、ステップS6が、この発明のヨーモーメント算出手段に相当し、ステップS7が、この発明の横加速度算出手段に相当し、ステップS8が、この発明の第1ヨーレート算出手段に相当し、ステップS9が、この発明の第2ヨーレート算出手段に相当し、ステップS10が、この発明のヨーレート比較手段に相当し、ステップS11,S12が、この発明の最終ヨーレート算出手段に相当する。
ここで、図2および図4に示された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、左前輪1および右前輪2が、この発明の前輪および転舵輪に相当し、左後輪3および右後輪4が、この発明の後輪に相当し、車両A,Bが、この発明の車両に相当する。
1…左前輪、 2…右前輪、 3…左後輪、 4…右後輪、 9…電子制御装置、 A,B…車両。

Claims (2)

  1. 転舵輪の転舵角に基づいて車両の目標ヨーレートを求め、その目標ヨーレートに基づいて前記車両の挙動を制御する、挙動制御装置において、
    前記車輪で発生する前後力に基づいて、前記車輪の横滑りを回避可能な許容横力を推定する許容横力推定手段と、
    前記車輪における実際の横力を推定する実横力推定手段と、
    前記許容横力または実際の横力のうちいずれか小さい方の横力を選択する横力制限手段と、
    この横力制限手段により選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるヨーモーメント算出手段と、
    前記横力制限手段により選択された横力に基づいて、前記車両の横加速度を求める横加速度算出手段と、
    前記ヨーモーメントを用い、かつ、前記横加速度により上限および下限が制限された前記車両の第1目標ヨーレートを求める第1ヨーレート算出手段と、
    前記転舵角に基づいて前記車両の第2目標ヨーレートを求める第2ヨーレート算出手段と、
    前記第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートとを比較するヨーレート比較手段と、
    前記第2目標ヨーレートが前記第1目標ヨーレート以下である場合は、前記第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する一方、前記第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、前記第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する最終ヨーレート算出手段と
    を備えていることを特徴とする挙動制御装置。
  2. 前輪の転舵角に基づいて車両の目標ヨーレートを求め、その目標ヨーレートに基づいて前記車両の挙動を制御する、挙動制御装置において、
    前記前輪で発生する前後力、および後輪で発生する前後力を求める前後力算出手段と、
    前記前輪で発生する前後力と、前記後輪で発生する前後力とを比較する前後力比較手段と、
    前記後輪で発生する前後力が前記前輪で発生する前後力よりも小さい場合は、前記前輪の摩擦円の大きさと前記後輪の摩擦円の大きさとを同一に設定し、その摩擦円に基づいて前記前輪および前記後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する第1許容横力推定手段と、
    前記前輪で発生する前後力が前記後輪で発生する前後力以下である場合は、前記前輪の摩擦円の大きさと前記後輪の摩擦円の大きさとを異なる値として設定し、各摩擦円に基づいて前記前輪および前記後輪の横滑りを回避可能な許容横力をそれぞれ推定する第2許容横力推定手段と、
    前記車輪における実際の横力を推定する実横力推定手段と、
    前記第1許容横力推定手段または前記第2許容横力推定手段により推定された許容横力と、実際の横力とを比較し、小さい方の横力を選択する横力制限手段と、
    この横力制限手段により選択された横力に基づいて前記車両のヨーモーメントを求めるヨーモーメント算出手段と、
    前記横力制限手段により選択された横力に基づいて、前記車両の横加速度を求める横加速度算出手段と、
    前記ヨーモーメントを用い、かつ、前記横加速度により上限および下限が制限された前記車両の第1目標ヨーレートを求める第1ヨーレート算出手段と、
    前記転舵角に基づいて前記車両の第2目標ヨーレートを求める第2ヨーレート算出手段と、
    前記第1目標ヨーレートと前記第2目標ヨーレートとを比較するヨーレート比較手段と、
    前記第2目標ヨーレートが前記第1目標ヨーレート以下である場合は、前記第2目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する一方、前記第2目標ヨーレートが第1目標ヨーレートを超えている場合は、前記第1目標ヨーレートを最終ヨーレートとして選択する最終ヨーレート算出手段と
    を備えていることを特徴とする挙動制御装置。
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