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JP6652434B2 - 船舶用の推進ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、船体後端側の船外に取付けられる推進ユニットに関する。
従来の推進ユニットとして、たとえば特表2013−519574号公報(特許文献1)に開示されるものが知られている。
特許文献1に開示の推進ユニットは、船体後端の船外に取り付けられる船外機であって、クランクシャフトが水平となるように設置された水平クランクシャフトエンジンを搭載し、エンジンの駆動力を第1トランスミッション、第2トランスミッションおよび第3トランスミッションを用いて、プロペラシャフトに伝達する構成となっている。水平クランクシャフトエンジンのクランクシャフトは船舶の後方に向かって延びており、このため、第1トランスミッションは、船体の後端からエンジンを挟んでさらに後方に配置されている。
また、推進ユニットには、船体への取付部に上下方向に沿って延在するステアリング軸が設けられており、このステアリング軸の軸周りに推進ユニットを揺動させることで船舶のステアリング操作が可能となっている。
特表2013−519574号公報
しかしながら、特許文献1に開示の推進ユニットにあっては、推進ユニットが全体的にステアリング軸の軸周りに揺動する構成のため、複数の推進ユニットを船の幅方向に並べて配置するような場合には、互いに隣り合う推進ユニットが干渉しないように、複数の推進ユニットを離間させて設置する必要が生じる。このため、推進ユニットが取り付けられる船体後端の広さに応じて搭載可能な推進ユニットの数が制限される等の問題が生じる。
また、特許文献1の推進ユニットのように、船舶のステアリング操作の際に、重量の重いエンジンを含む推進ユニットが全体的に揺動する構成では、急なステアリング操作をした場合などに船舶の重量バランスが崩れて、スムーズな操船ができなくなるという虞がある。そのうえ、特許文献1の推進ユニットでは、第1トランスミッションが船体の後端からエンジンを挟んでさらに後方に設けられているが、この第1トランスミッションも重量が重いため、船体の重心位置が後方側に移動し、このことによってもスムーズな操船に影響が出る虞がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、互いに隣り合う推進ユニット間の距離を狭めることが可能であり、かつ、操船時の船舶の重量バランスが崩れることを抑制することができる船舶用の推進ユニットを提供することにある。
本発明に基づく船舶用の推進ユニットは船体の後端側の船外に取り付けられる船舶用の推進ユニットであって、船舶の前後方向に沿って延在するクランクシャフトを含むエンジンと、上記船舶の上下方向に対して上記エンジンよりも下方に配置されるとともに、一端側にプロペラが設けられたプロペラシャフトと、上記エンジンから上記船体の後端側に向けて延在する上記クランクシャフトの出力部と上記プロペラシャフトの他端側の連結部とを連結し、上記エンジンの駆動力を上記プロペラシャフトに伝達する動力伝達機構と、上記クランクシャフトの上記出力部および上記動力伝達機構の上部側を収容する上部ケースと、上記船舶の上下方向に対して上記上部ケースの下方側に接続され、上記プロペラが外部に配置されるように上記プロペラシャフトを収容するとともに、上記動力伝達機構の下部側を収容する下部ケースと、を備える。上記動力伝達機構は、上記上部ケースから上記下部ケースに向かって延在するドライブシャフトを有しており、上記上部ケースおよび上記エンジンは上記船体に固定されており、上記上部ケースと上記下部ケースの接続部に、上記下部ケースを上記上部ケースに対して上記ドライブシャフトの延在方向に沿った軸周りに回転させる回転機構が設けられている。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記動力伝達機構は、上記エンジン側から上記プロペラシャフトに至るまでの動力伝達経路上に上記エンジン側から順に設けられた第1動力伝達部、中間シャフト、第2動力伝達部、上記ドライブシャフト、および第3動力伝達部を含んでいてもよい。この場合には、上記中間シャフトは、上記船舶の上下方向に対して上記クランクシャフトと上記プロペラシャフトとの間に設けられ、かつ上記クランクシャフトの回転軸に平行に延在することが好ましく、上記ドライブシャフトは、上記船舶の上下方向に対して上記中間シャフトと上記プロペラシャフトとの間に設けられ、かつ上記中間シャフトから上記プロペラシャフトに向けて延在することが好ましい。さらに、この場合には、上記第1動力伝達部は、上記クランクシャフトの上記出力部に出力された上記エンジンの駆動力を上記中間シャフトに伝達することが好ましく、上記第2動力伝達部は、上記中間シャフトに伝達された上記エンジンの駆動力を上記ドライブシャフトに伝達することが好ましく、上記第3動力伝達部は、上記ドライブシャフトに伝達された上記エンジンの駆動力を上記プロペラシャフトに伝達することが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記上部ケースは、別体で構成された第1収容部および第2収容部を含んでいてもよい。この場合には、上記第1収容部は、上記クランクシャフトの上記出力部と、上記第1動力伝達部と、上記中間シャフトと、上記ドライブシャフトの上端側を収容することが好ましく、上記第2収容部は、上記ドライブシャフトの中間部を収容するとともに、上記船舶の上下方向に対して上記第1収容部の下方側に取り付けられていることが好ましい。さらに、上記下部ケースは、上記第2収容部に接続されることが好ましく、上記第2収容部と上記下部ケースとの接続部に上記回転機構が設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記下部ケースは、上記ドライブシャフトに沿って延在し、かつ、上端側が上記第2収容部の内部に入り込んだ状態で上記第2収容部に接続された筒状部を含むことが好ましい。また、上記筒状部は、上記第2収容部に対して上記ドライブシャフトの回転軸周りに回転可能に構成されることが好ましい。この場合には、上記回転機構は、上記筒状部を回転させる回転駆動部と、上記第2収容部の内部で上記筒状部を回転可能に支持するベアリングと、を含むことが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記回転駆動部は、中心が上記ドライブシャフトの上記回転軸と同軸上に位置するように上記筒状部に固定されたピニオンギヤ部と、上記ピニオンギヤ部に噛合い、上記ドライブシャフトの上記回転軸と交差する方向に移動可能に構成されたラック部とを含むことが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記動力伝達機構は、上記エンジン側から上記プロペラシャフトに至るまでの動力伝達経路上に上記エンジン側から順に設けられたエンジン側動力伝達部、上記ドライブシャフト、およびプロペラシャフト側動力伝達部を含んでいてもよい。この場合には、上記エンジン側動力伝達部は、上記クランクシャフトの上記出力部に設けられるとともに、上記出力部に出力された上記エンジンの駆動力を上記ドライブシャフトに伝達することが好ましく、上記ドライブシャフトは、上記船舶の上下方向に対して上記クランクシャフトの上記出力部と上記プロペラシャフトの間に設けられ、上記出力部から上記プロペラシャフトの上記連結部に向けて延在することが好ましく、上記プロペラシャフト側動力伝達部は、上記ドライブシャフトに伝達された上記エンジンの駆動力を上記プロペラシャフトに伝達することが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記上部ケースは、別体で構成された第1収容部および第2収容部を含んでいてもよい。この場合には、上記第1収容部は、上記クランクシャフトの上記出力部と、上記エンジン側動力伝達部と、上記ドライブシャフトの上端側を収容することが好ましく、上記第2収容部は、上記ドライブシャフトの途中部を収容するとともに、上記船舶の上下方向に対して上記第1収容部の下方側に取り付けられていることが好ましい。さらに、上記下部ケースは、上記第2収容部に接続されることが好ましく、上記第2収容部と上記下部ケースとの接続部に上記回転機構が設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記下部ケースは、上記ドライブシャフトに沿って延在し、かつ、上端側が上記第2収容部の内部に入り込んだ状態で上記第2収容部に接続された筒状部を含むことが好ましい。この場合には、上記筒状部は、上記第2収容部に対して上記ドライブシャフトの回転軸周りに回転可能に構成されることが好ましい。この場合には、上記回転機構は、上記筒状部を回転させる回転駆動部と、上記第2収容部の内部で上記筒状部を回転可能に支持するベアリングと、を含むことが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記回転駆動部は、中心が上記ドライブシャフトの上記回転軸と同軸上に位置するように上記筒状部に固定されたピニオンギヤ部と、上記ピニオンギヤ部に噛合い、上記ドライブシャフトの上記回転軸と交差する方向に移動可能に構成されたラック部とを含むことが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記ドライブシャフトは、第1シャフトおよび第2シャフトを含んでいてもよい。この場合には、上記第1シャフトおよび上記第2シャフトは、上記ドライブシャフトの上記延在方向に沿って同軸上に並んで配置されるとともに、スリーブによって上記ドライブシャフトの上記延在方向に沿って連結されていることが好ましい。さらに、上記第1シャフトは、上記上部ケースに収容されることが好ましく、上記第2シャフトの上端側が上記上部ケースに収容され、上記第2シャフトの下端側が上記下部ケースに収容されていることが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記クランクシャフトの上記出力部には、上記エンジンの振動を吸収する振動吸収部材が設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づく船舶用の推進ユニットにあっては、上記エンジンは、上記クランクシャフトの上記出力部を上記上部ケース内に収容した状態で上記上部ケースの外周側に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、互いに隣り合う推進ユニット間の距離を狭めることが可能であり、かつ、操船時の船舶の重量バランスが崩れることを抑制することができる船舶用の推進ユニットを提供することができる。
実施の形態1に係る推進ユニットを具備する船舶を示す平面図である。 実施の形態1に係る推進ユニットの概略縦断面図である。 実施の形態1に係る推進ユニットの回転機構の周囲を示す概略縦断面図である。 実施の形態1に係る推進ユニットの回転機構の周囲を示す概略横断面図である。 実施の形態1に係る推進ユニットを用いて船舶を着岸させる様子を示す図である。 実施の形態2に係る推進ユニットの概略縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
なお、各図において、X軸方向は、船舶の前後方向を示し、Y軸方向は、船舶の左右方向(船幅方向)を示し、Z軸方向は、船舶の上下方向を示す。また、X軸方向は、推進ユニットが船体に取付けられた取付状態における推進ユニットの前後方向に一致し、Y軸方向は、上記取付状態における推進ユニットの左右方向に一致し、Z軸方向は、上記取付状態における推進ユニットの上下方向に一致する。
(実施の形態1)
(船舶および推進ユニットの構成)
図1は、実施の形態1に係る推進ユニットを具備する船舶を示す平面図である。図2は、実施の形態1に係る推進ユニットの概略縦断面図である。図1および図2を参照して、実施の形態1に係る推進ユニット10について説明する。
図1に示すように、実施の形態1に係る船舶1は、船体2および複数の推進ユニット10を備える。この実施形態では、1つの船体に複数の推進ユニット10が設けられているが、1つの船体に1つの推進ユニットを設ける構成であってもよい。複数の推進ユニット10は、船体2の後方側に設けられている。複数の推進ユニット10は、たとえば2つ設けられている。2つの推進ユニット10は、船体2の船幅方向(Y軸方向)に並んで配置されている。なお、推進ユニット10の個数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
図2に示すように、推進ユニット10は、本体部11および支持部12を備える。支持部12は、船体2の後方側に位置するトランサムボード部3に本体部11を固定する。支持部12は、船体2の船幅方向に平行な軸周りに回動可能に本体部11を支持する。
支持部12は、一対のクランプブラケット13、マウントブラケット14、チルト機構15を含む。一対のクランプブラケット13は、船幅方向に互いに離間して設けられている。一対のクランプブラケット13は、トランサムボード部3に固定されている。
マウントブラケット14は、船幅方向において、一対のクランプブラケット13の外側に設けられている。上方側に位置するマウントブラケット14の前端側には、後述するチルトピン16が挿通されている。マウントブラケット14は、チルトピン16の軸周りに回動可能に設けられている。
チルト機構15は、チルトピン16およびチルトシリンダー17を有する。チルトピン16は、船幅方向に沿って延在する。
チルトシリンダー17は、一対のクランプブラケット13の一方側とマウントブラケット14との間、および一対のクランプブラケット13の他方側とマウントブラケット14との間に、それぞれ設けられている。チルトシリンダー17の上端側は、マウントブラケット14に接続されており、チルトシリンダー17の下端側は、クランプブラケット13の下端側に設けられている。
チルトシリンダー17は、ロッド部18を有する。ロッド部18は、マウントブラケット14の回動に応じて上下方向に引出し可能に設けられている。ロッド部18は、マウントブラケット14がチルトピン16の軸周りにおいて上方側に向けて回動する場合に、上方側に向けてシリンダー本体部から引き出される。一方、ロッド部18は、マウントブラケット14がチルトピン16の軸周りにおいて下方側に向けて回動する場合に、下方側に向けてシリンダー本体部内に引き込まれる。
本体部11は、マウントブラケット14に取付けられている。本体部11は、マウントブラケット14がチルトピン16の軸周りに回動することにより、マウントブラケット14と一体に回動する。
本体部11は、エンジン21、プロペラシャフト51、動力伝達機構60、および回転機構70を含む。
エンジン21は、エンジン本体部22およびクランクシャフト23を有する。エンジン本体部22は、シリンダ本体部、シリンダヘッド部およびクランクケース等によって構成されている。
クランクシャフト23は、船体2の前後方向(X軸方向)に沿って延在する。クランクシャフト23は、出力部25を有する。出力部25は、船体2側に位置するクランクシャフト23の一方側に設けられている。出力部25は、エンジン21から船体2の後端側に向けて延在する。すなわち、出力部25は、エンジン21からX軸正方向に向けて延在する。出力部25には、エンジン21の駆動力が出力される。出力部25は、フライホイール26、ダンパー27および出力軸28を含む。
フライホイール26は、クランクシャフト23と一体に回転する。ダンパー27は、フライホイール26の周縁部に連結されている。ダンパー27は、フライホイール26と一体となって回転する。フライホイール26およびダンパー27は、エンジン21の振動を吸収する振動吸収部材として機能する。エンジン21の振動を吸収することにより、後述の動力伝達機構60への負荷を軽減することができる。
出力軸28は、ダンパー27の中心部に連結されている。出力軸28は、ダンパー27およびフライホイール26を介してクランクシャフト23に連結されている。これにより、出力軸28は、クランクシャフト23とともに回転する。出力軸28は、クランクシャフト23と同軸に設けられている。
エンジン21は、クランクシャフト23の出力部25を後述の上部ケース30内に収容した状態で上部ケース30の外周側に固定されている。このように構成することにより、エンジン21の修理、交換等する際に、分解の規模を小さくすることができる。これにより、エンジン21を容易に修理、交換等することができる。
プロペラシャフト51は、エンジン21よりも下方に配置されている。プロペラシャフトの中心軸は、クランクシャフト23の回転軸に垂直な平面と直交する仮想平面上に配置されている。プロペラシャフト51の一端51a側には、プロペラ52が設けられている。プロペラシャフト51の他端51b側には、連結部としてのベベルギヤ631が設けられている。
プロペラシャフト51の他端51b側は、後述するドライブシャフト65の下端に近い側に位置する。プロペラシャフト51の一端51a側は、ドライブシャフト65の下端から遠い側に位置する。
動力伝達機構60は、クランクシャフト23の一方側およびプロペラシャフト51の他端51b側を連結する。具体的には、動力伝達機構60は、クランクシャフト23の出力部25およびプロペラシャフト51の連結部(ベベルギヤ631)を連結する。動力伝達機構60は、出力部25に出力されたエンジン21の駆動力をプロペラシャフト51に伝達する。
動力伝達機構60は、第1動力伝達部61、中間シャフト64、第2動力伝達部62、ドライブシャフト65、および第3動力伝達部63を含む。第1動力伝達部61、中間シャフト64、第2動力伝達部62、ドライブシャフト65、および第3動力伝達部63は、エンジン21側からプロペラシャフト51に至るまでの動力伝達経路上に順に設けられている。
中間シャフト64は、船舶1の上下方向において、クランクシャフト23とプロペラシャフト51との間に設けられている。中間シャフト64は、クランクシャフト23の回転軸に沿って延在する。中間シャフト64は、クランクシャフト23と略平行に配置されている。
中間シャフト64の一方側(船体2に近い側)には、後述のスプロケット612が設けられている。中間シャフト64の他方側(船体2に遠い側)には、後述のフォワードベベルギヤ621、リバースベベルギヤ622、およびクラッチ623が設けられている。
ドライブシャフト65は、船舶1の上下方向において、中間シャフト64とプロペラシャフト51との間に設けられている。ドライブシャフト65は、後述の上部ケース30から下部ケース40に向かって延在する。ドライブシャフト65は、中間シャフト64からプロペラシャフト51に向けて延在する。ドライブシャフト65は、船舶1の上下方向に沿って延在する。ドライブシャフト65の上端側には、後述のベベルギヤ624が設けられている。ドライブシャフト65の下端側には、後述のベベルギヤ632が設けられている。
第1動力伝達部61は、クランクシャフト23に出力されたエンジン21の駆動力を中間シャフト64に伝達する。より具体的には、第1動力伝達部61は、出力部25の出力軸28に出力されたエンジンの駆動力を中間シャフト64に伝達する。
第1動力伝達部61は、スプロケット611、612および無端状のチェーン613を有する。スプロケット611は、出力軸28に設けられている。スプロケット611の回転軸は、クランクシャフト23の回転軸とほぼ一致する。
スプロケット612は、スプロケット611の下方に設けられている。スプロケット612は、中間シャフト64の一方側に設けられている。スプロケット612の回転軸は、中間シャフト64の回転軸とほぼ一致する。
チェーン613は、スプロケット611およびスプロケット612に巻き掛けられている。チェーン613は、スプロケット611からの回転力をスプロケット612に伝達する。
第1動力伝達部61にあっては、クランクシャフト23が回転することでスプロケット611が回転する。スプロケット611の回転力は、チェーン613によってスプロケット612に伝達され、スプロケット612が回転する。スプロケット612が回転することにより、中間シャフト64も回転する。
なお、第1動力伝達部61は、上述のようなチェーン・スプロケット機構に限定されず、船舶1の上下方向に離間して配置される2つのプーリにベルトが巻き掛けられることで構成されるプーリ機構であってもよい。また、第1動力伝達部61は、出力軸28に設けられた第1ギヤと、当該第1ギヤに噛合うように、中間シャフト64の一方側に設けられた第2ギヤとによって構成されていてもよい。
第2動力伝達部62は、中間シャフト64に伝達されたエンジン21の駆動力をドライブシャフト65に伝達する。
第2動力伝達部62は、フォワードベベルギヤ621、リバースベベルギヤ622、クラッチ623、およびベベルギヤ624を有する。フォワードベベルギヤ621、クラッチ623およびリバースベベルギヤ622は、一方側(船体2に近い側)から他方側(船体に遠い側)に向けて順に並んで配置されている。
フォワードベベルギヤ621およびリバースベベルギヤ622は、ベベルギヤ624に噛み合い可能に構成されている。ベベルギヤ624は、フォワードベベルギヤ621およびリバースベベルギヤ622に対して90度の角度で配置されている。ベベルギヤ624の回転軸は、フォワードベベルギヤ621の回転軸およびリバースベベルギヤ622の回転軸と直交する。
ベベルギヤ624の回転軸は、ドライブシャフト65の回転軸とほぼ一致する。ベベルギヤ624が回転させられることにより、ドライブシャフト65が回転する。フォワードベベルギヤ621の回転軸およびリバースベベルギヤ622の回転軸は、中間シャフト64の回転軸とほぼ一致する。フォワードベベルギヤ621およびリバースベベルギヤ622は、中間シャフト64の回転に伴って回転する。
クラッチ623は、フォワードベベルギヤ621およびリバースベベルギヤ622と、ベベルギヤ624との接続状態を切り換える。
クラッチ623によってフォワードベベルギヤ621とベベルギヤ624とが接続された場合には、フォワードベベルギヤ621の回転力が、ベベルギヤ624を介してドライブシャフト65に伝達される。これにより、ドライブシャフト65が正転する。なお、ドライブシャフト65の正転方向とは、プロペラ52がドライブシャフト65よりも後方側に位置する状態において、船体2が前進するようにプロペラ52を回転させる方向である。
クラッチ623によってリバースベベルギヤ622とベベルギヤ624とが接続された場合には、リバースベベルギヤ622の回転力が、ベベルギヤ624を介してドライブシャフト65に伝達される。これにより、ドライブシャフト65が逆転する。なお、ドライブシャフト65の逆転方向とは、プロペラ52がドライブシャフト65よりも後方側に位置する状態において、船体2が後退するようにプロペラ52を回転させる方向である。
なお、第2動力伝達部62は、中間シャフト64に伝達されたエンジン21の駆動力をドライブシャフト65に伝達しない状態を選択することもできる。クラッチ623の位置をニュートラル位置にすることにより、ベベルギヤ624が、フォワードベベルギヤ621およびリバースベベルギヤ622のいずれにも接続されなくなる。このような場合には、中間シャフト64の回転力は、ドライブシャフト65に伝達されなくなる。
第3動力伝達部63は、ドライブシャフト65に伝達されたエンジンの駆動力をプロペラシャフト51に伝達する。
第3動力伝達部63は、プロペラシャフト51の連結部としてのベベルギヤ631およびベベルギヤ632を含む。ベベルギヤ631およびベベルギヤ632は、互いに噛み合っている。ベベルギヤ631は、ベベルギヤ632に対して90度の角度で配置されている。ベベルギヤ631の回転軸は、ベベルギヤ632の回転軸と直交する。
ベベルギヤ631の回転軸は、プロペラシャフト51の回転軸とほぼ一致する。ベベルギヤ632の回転軸は、ドライブシャフト65の回転軸とほぼ一致する。
第3動力伝達部63にあっては、ドライブシャフト65の回転に伴って回転するベベルギヤ632の回転力が、ベベルギヤ631を介してプロペラシャフト51に伝達される。ドライブシャフト65が正転する場合には、プロペラシャフト51も正転し、ドライブシャフト65が逆転する場合には、プロペラシャフト51も逆転する。
回転機構70は、後述の上部ケース30に対してドライブシャフト65の延在方向に沿った軸周りに後述の下部ケース40を回転させる。回転機構70は、たとえば下部ケース40を360度回転させることができる。回転機構70は、上部ケース30の下部側に設けられている。回転機構70は、ドライブシャフト65の周囲に設けられている。なお、回転機構70の詳細については、図3および図4を用いて後述する。
本体部11は、エンジンケース20、上部ケース30、下部ケース40を含む。本体部11の外殻は、主として、エンジンケース20、上部ケース30および下部ケース40によって構成されている。
エンジンケース20は、エンジン本体部22を収容する。エンジンケース20からは、クランクシャフト23の出力部25が船体2に向けて突出する。エンジンケース20は、上部ケース30の外周側に固定されている。エンジンケース20は、上部ケース30の上部後方に固定されている。
上部ケース30は、クランクシャフト23の出力部25および動力伝達機構60の上部側を収容する。具体的には、上部ケース30は、フライホイール26、ダンパー27および出力軸28、ならびに、第1動力伝達部61、中間シャフト64、第2動力伝達部62、およびドライブシャフト65の上方側を収容する。
上部ケース30は、第1収容部31および第2収容部32を含む。第1収容部31は、第1室31aおよび第2室31bを有する。
第1室31aは、上述のフライホイール26およびダンパー27を収容する。第1室31aは、エンジンケース20の前方に位置する。第1室31aは、第2室31bの上部後方に位置する。なお、ダンパー27が省略される場合には、第1室31aは、フライホイール26を収容する。
第2室31bは、第1室31aから船舶1の前方側へ向けて突出する部分の出力軸28と、第1動力伝達部61と、中間シャフト64と、第2動力伝達部62と、ドライブシャフト65の上端側とを収容する。
第2収容部32は、ドライブシャフト65の途中部および回転機構70を収容する。第2収容部32は、船舶1の上下方向に対して第1収容部31の下方に位置する。第2収容部32は、第1収容部31および下部ケース40と別体に構成されていることが好ましい。この場合には、第2収容部32は、第1収容部31の下方側に取付けられている。
第2収容部32を、第1収容部31および下部ケース40と別体に構成することにより、回転機構70等の第2収容部32に収容された収容物を修理、交換等する際に、分解の規模を小さくすることができる。これにより、上記収容物を容易に修理、交換等することができる。
なお、後述する第2収容部32のケース部34は、射出成形等によって第1収容部31と一体に構成されていてもよい。
下部ケース40は、プロペラ52が外部に配置されるように動力伝達機構60の下部側およびプロペラシャフト51を収容する。より具体的には、下部ケース40は、ドライブシャフト65の下端側、第3動力伝達部63およびプロペラシャフト51を収容する。下部ケース40は、上部ケース30の下方側に接続されている。下部ケース40は、上部ケース30と別体に構成されている。
(回転機構の周囲の構成および回転機構の構成)
図3は、実施の形態1に係る推進ユニットの回転機構の周囲を示す概略縦断面図である。図4は、実施の形態1に係る推進ユニットの回転機構の周囲を示す概略横断面図である。図3および図4を参照して、回転機構70およびその周囲の構成について説明する。回転機構70の周囲の構成として、ドライブシャフト65の構成、第2収容部32、および下部ケース40の構成について説明する。
図3に示すように、ドライブシャフト65は、第1シャフト651、第2シャフト652およびスリーブ653を含む。第1シャフト651および第2シャフト652は、ドライブシャフト65の延在方向に沿って同軸上に並んで配置されるとともに、スリーブ653によってドライブシャフト65の延在方向に連結されている。
第1シャフト651は、上部ケース30に収容される。具体的には、第1シャフト651の上端側が、上部ケース30の第2室31bに収容され、第1シャフト651の下端側が、上部ケース30の第2収容部32に収容される。
第2シャフト652は、上部ケース30および下部ケース40に収容される。第2シャフト652の上端側は、上部ケース30の第2収容部32に収容され、第2シャフト652の下端側が下部ケース40に収容される。
このように、第1シャフト651および第2シャフト652をスリーブ653に連結した構成とすることにより、修理や仕様変更等の際に、第2シャフト652を上部ケース30から容易に取り外すことが可能となる。これにより、分解の規模を小さくすることができ、プロペラシャフト51および下部ケース40を含む下部ユニットを容易に交換することが可能となる。
第2収容部32は、ケース部34、およびゴムカバー36を有する。
ケース部34は、筒状形状を有する。ケース部34は、第2室31bの底面部31b1から下方に向けて突出する。ケース部34の上端側には、取付部341が設けられている。取付部341は、締結部材によって第2室31bの底面部31b1に固定されている。ケース部34は、第2室31bの底面部31b1に液密に固定されている。
ゴムカバー36は、ケース部34の下端側に取付けられている。ゴムカバー36は、略中央部に、後述の筒状部41を挿通可能な挿通部を有する。ゴムカバー36の挿通部は、筒状部41の周囲に密着する。ゴムカバー36は、後述する筒状部41のフランジ部412の下面に当接しつつ、ケース部34の下端側の開口面を塞ぐように設けられている。ゴムカバー36は、ケース部34の内部に水が浸入することを防止する。
下部ケース40は、筒状部41を有する。筒状部41は、下部ケース40の上面40aから上方側に向けて突出する。筒状部41は、ドライブシャフト65の一部が収容されるようにドライブシャフト65に沿って延在する。筒状部41は、上端側が第2収容部32の内部に入り込んだ状態で第2収容部に接続されている。筒状部41の下端側は、第2収容部32の外部に位置する。筒状部41は、第2収容部32に対してドライブシャフト65の回転軸周りに回転可能に構成されている。筒状部41は、後述するベアリング720によって回転可能にケース部34に接続されている。
筒状部41は、取付部411およびフランジ部412を有する。取付部411は、筒状部41の下端側に設けられている。取付部411は、筒状部41の径方向に広がる。取付部411は、締結部材等によって下部ケース40の上面40aに液密に固定される。このため、筒状部41が回転することにより、下部ケース40が全体的にドライブシャフト65の延在方向に沿った軸周りに回転する。具体的には、下部ケース40は、ドライブシャフト65の回転軸周りに回転する。
フランジ部412は、筒状部41の途中部に設けられている。フランジ部412は、筒状部41の周面から、筒部351の径方向に突出する。フランジ部412は、ケース部34の下端側の開口部の少なくとも一部を塞ぐ。フランジ部412は、ケース部34の下端側の開口部内を回転可能に構成されている。フランジ部412は、ゴムカバー36の内周面に当接する。筒状部41が回転した際には、フランジ部412は、ゴムカバー36の内周面に摺動する。これにより、筒状部41の回転時(下部ケース40の回転時)においても、第2収容部32内に海水等の液体が進入することを防止できる。
第2収容部32の内部には、オイルシール37,38が収容されている。具体的には、オイルシール37,38は、フランジ部412の上方側において、ケース部34の内周面と、筒状部41の外周面との間に形成された収容空間Sに形成されている。
オイルシール37,38は、ケース部34の内周面と筒状部41の外周面との間の隙間に圧入されている。オイルシール38は、フランジ部412の上面に当接する。これにより、オイルシール38は、下方側から上記収容空間S内に海水等が侵入することを防止する。オイルシール37は、オイルシール38の上方に設けられている。オイルシール37は、収容空間S内に充填されたオイルが外部に漏れることを防止する。
回転機構70は、上部ケース30と下部ケース40との接続部90に設けられている。なお、上部ケース30と下部ケース40との接続部90とは、上部ケース30の内部に下部ケース40の一部が収容されることにより、船舶1の前後方向から見た場合に、上部ケース30と下部ケース40とが重なる領域を意味する。より具体的には、船舶1の前後方向から見た場合に、第2収容部32と筒状部41とが重なる領域である。
回転機構70は、下部ケース40を、上部ケース30に対してドライブシャフト65の延在方向に沿った軸周りに回転させる。回転機構70は、筒状部41をドライブシャフトの回転軸周りに回転させる回転駆動部710、および筒状部41を回転可能に支持するベアリング720を含む。
ベアリング720は、ケース部34の内部に設けられている。ベアリング720は、たとえば2つ設けられている。2つのベアリング720は、上下方向に並んで配置されている。なお、ベアリング720の数は、単数でも3以上であってもよい。
下部ケース40の一部である筒状部41をドライブシャフト65の回転軸周りに回転可能に構成し、筒状部41の回転に伴って下部ケース40が回転するように構成することにより、推進ユニット全体を船舶の上下方向に沿った回転軸周りに回転させる従来のスイベル機構と比べて、下部ケース40の回転範囲を格段に大きくすることができる。
図3および図4に示すように、回転駆動部710は、筒状部41を回転させる。回転駆動部710は、ラック収容部712、ラック部713、ピニオンギヤ部714、ピストン部715,716を含む。
ピニオンギヤ部714は、筒状部41に固定されている。ピニオンギヤ部714の中心は、ドライブシャフト65の回転軸と同軸上に位置する。
ラック収容部712は、ドライブシャフト65の延在方向に交差する方向に延在する筒状形状を有する。ラック収容部712は、ドライブシャフト65の延在方向に交差する方向にケース部34を貫通する。ラック収容部712の内部の略中央部には、ラック部713が収容されている。ラック収容部712の両端には、ピストン部715,716が設けられている。ラック収容部712は、内部に海水が浸入することを防止できるように構成されている。
ラック部713は、ドライブシャフト65の延在方向に交差する方向に沿って延在している。具体的には、ラック部713は、たとえば船幅方向に延在している。ラック部713は、ピニオンギヤ部714に噛合うように構成されている。ラック部713は、ドライブシャフト65の延在方向に交差する方向に移動可能に構成されている。ラック部713は、ピストン部715,716に押圧されることにより、ドライブシャフト65の延在方向に交差する方向に移動する。
ピストン部715,716は、制御部80に接続されている。船体2上において、使用者が、ハンドルまたは操作画面を操作することにより、下部ケース40ひいてはプロペラシャフト51をドライブシャフト65の回転軸周りに回転させたい方向が制御部80に入力される。制御部80は、入力された情報に基づいてピストン部715,716を駆動する。
ピストン部715またはピストン部716が駆動された場合には、ラック部713が、水平方向に移動する。これにより、ピニオンギヤ部714が、ドライブシャフト65の回転軸周りに回転する。ピニオンギヤ部714が回転することにより、これに固定された筒状部41も上記回転軸周りに回転する。
筒状部41が回転することにより、下部ケース40、ひいては下部ケース40に支持されているプロペラシャフト51が、ドライブシャフト65の回転軸周りに回転する。このように、下部ケース40を回転させることにより、プロペラ52から得られる推進力の向きを変更して、転舵することができる。
具体的には、ピストン部715が駆動されると、ラック部713がピストン部716側に向けて移動することにより、ピニオンギヤ部714が反時計回りに回転する。これにより、筒状部41、下部ケース40およびプロペラシャフト51がドライブシャフト65の回転軸周りに反時計回りに回転する。
一方、ピストン部716が駆動されると、ラック部713がピストン部715側に向けて移動することにより、ピニオンギヤ部714が時計回りに回転する。これにより、筒状部41、下部ケース40およびプロペラシャフト51がドライブシャフト65の回転軸周りに時計回りに回転する。
以上のように、実施の形態1に係る推進ユニット10にあっては、クランクシャフト23が船舶1の前後方向に対して平行に延在し、エンジン21から船体2の後端側に向けて延在するクランクシャフト23の出力部25に動力伝達機構60が連結されている。
これにより、エンジンの後方側に向けてクランクシャフトが延在し、エンジン後方側にて動力伝達機構が連結される構成と比較して、相当程度の重量を有する動力伝達機構60が全体として船体側に近づけることができる。これにより、船幅方向に沿って延在する軸周りに作用する動力伝達機構のモーメントを小さくさせることができる。この結果、船体の重心位置が後方側に移動することを抑制でき、操船時の船舶の重量バランスが崩れることを抑制することができる。また、上記モーメントが小さくなるためトランサムボード部3の耐荷重を確保する点においても有利となる。
特に、動力伝達機構60が、上述のように第1動力伝達部61、第2動力伝達部62、第3動力伝達部63、中間シャフト64、およびドライブシャフト65等を含むような場合には、これらが船体側に近づくことにより、船体の重心位置が後方側に移動することをより効果的に抑制することができる。
また、実施の形態1に係る推進ユニット10にあっては、クランクシャフトの出力部25および動力伝達機構の上部側を上部ケース30に収容するとともに、動力伝達機構60の下部側およびプロペラシャフト51を下部ケース40に収容する。さらに、動力伝達機構60は、上部ケース30から下部ケース40に向かって延びるドライブシャフト65を有しており、上部ケース30と下部ケース40との接続部に、下部ケース40を上部ケース30に対してドライブシャフト65の上下方向に沿った軸周りに回転させる回転機構70が設けられている。
このように構成することにより、推進ユニット全体を上下方向に沿った軸周りに回転させることなく、下部ケース40側のみを回転させることで、船体2の進行方向を変更することができる。
このため、複数の推進ユニット10を船幅方向に並べて設置する場合には、エンジン21等が上下方向に沿った軸周りに回転することで互いに干渉することを考慮する必要がなくなる。これにより、互いに隣り合う推進ユニット10間の距離を狭めて複数の推進ユニット10を設置することが可能となる。
また、船体2の進行方向を変更する際に、動力伝達機構60の一部(より具体的には、第1動力伝達部61、第2動力伝達部62等)およびエンジン21等の重量のあるユニットが、上下方向を軸方向とする軸周りに回転することを防止できる。これにより、転舵の際に船舶1の質量バランスが崩れることを防止できる。この結果、操船をスムーズに行なうことができる。
さらに、推進ユニット全体を回転させることなく、下部ケース40側が回転することにより、後述するように船体の操作性をより向上させることができる。
図5は、実施の形態に係る推進ユニットを用いて船舶を着岸させる様子を示す図である。なお、図5においては、単一の推進ユニット10が船体2に搭載されている場合を図示している。このように、船体2に1つの推進ユニット10を搭載してもよい。
上述のように、推進ユニット10は、下部ケース40側を回転させる構成であるため、推進ユニット全体を回転させる従来の構造と比較して、プロペラシャフト51の回転範囲をより広くすることができる。
プロペラシャフト51の回転範囲が広くなることにより、単一の推進ユニット10だけを用いる場合であっても、船首の位置をほぼ一定の位置に留めた状態で、船尾側を岸200に近づけることができる。このように、上述の構成を有する推進ユニット10を用いて船舶1を操作することにより、船体2の側方側を岸200に沿って容易に着岸させることができる。なお、複数の推進ユニット10を搭載させた場合であっても、個々の推進ユニット10を適宜制御することにより、船体2の側方側を岸200に沿って容易に着岸させることができる。
また、プロペラシャフト51の回転範囲が広くなることにより、着岸のみならず、海上における変進、回頭においても上記の従来の構造と比較して、小回りが可能となる。
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る推進ユニットの概略縦断面図である。図6を参照して、実施の形態2に係る推進ユニット10Aについて説明する。
図6に示すように、実施の形態2に係る推進ユニット10Aは、実施の形態1に係る推進ユニット10と比較した場合に、動力伝達機構60Aの構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
動力伝達機構60Aは、クランクシャフト23の一方側およびプロペラシャフト51の他端51b側を連結する。具体的には、動力伝達機構60Aは、クランクシャフト23の出力部25およびプロペラシャフト51の連結部(ベベルギヤ631)を連結する。動力伝達機構60は、出力部25に出力されたエンジン21の駆動力をプロペラシャフト51に伝達する。
動力伝達機構60は、エンジン側動力伝達部66、ドライブシャフト65A、およびプロペラシャフト側動力伝達部67を含む。エンジン側動力伝達部66、ドライブシャフト65A、およびプロペラシャフト側動力伝達部67は、エンジン21からプロペラシャフト51に至るまでの動力伝達経路上に順に設けられている。
エンジン側動力伝達部66は、クランクシャフト23の出力部25に設けられている。具体的には、エンジン側動力伝達部66は、出力部25の出力軸28に設けられている。
エンジン側動力伝達部66は、フォワードベベルギヤ661、リバースベベルギヤ662、クラッチ663、およびベベルギヤ664を有する。フォワードベベルギヤ661、クラッチ663およびリバースベベルギヤ662は、一方側(船体2に近い側)から他方側(船体に遠い側)に向けて順に並んで配置されている。ベベルギヤ664は、ドライブシャフト65Aの上端側に設けられている。
これらフォワードベベルギヤ661、リバースベベルギヤ662、クラッチ663、およびベベルギヤ664の構成は、実施の形態1に係るフォワードベベルギヤ621、リバースベベルギヤ622、クラッチ623およびベベルギヤ624とほぼ同様である。
エンジン側動力伝達部66は、クランクシャフト23の出力部25に出力されたエンジン21の駆動力をドライブシャフト65Aに伝達する。
クラッチ663によってフォワードベベルギヤ661とベベルギヤ664とが接続された場合には、フォワードベベルギヤ661の回転力が、ベベルギヤ664を介してドライブシャフト65Aに伝達される。これにより、ドライブシャフト65Aが正転する。
クラッチ663によってリバースベベルギヤ662とベベルギヤ664とが接続された場合には、リバースベベルギヤ662の回転力が、ベベルギヤ664を介してドライブシャフト65Aに伝達される。これにより、ドライブシャフト65Aが逆転する。
ドライブシャフト65Aは、船舶1の上下方向に対してクランクシャフト23の出力部25とプロペラシャフト51の間に設けられ、クランクシャフト23の出力部25からプロペラシャフト51の連結部としてのベベルギヤ671に向けて延在する。ドライブシャフト65Aの下端側には、ベベルギヤ672が設けられている。
なお、ドライブシャフト65Aも、実施の形態1同様に、第1シャフトおよび第2シャフトを含み、これら第1シャフトおよび第2シャフトが、ドライブシャフト65Aの延在方向に沿って同軸上に並んで配置されるとともに、スリーブによってドライブシャフト65Aの延在方向に連結されていてもよい。この場合には、第1シャフトは、上部ケース30に収容され、第2シャフトの上端側が上部ケース30に収容され、第2シャフトの下端側が下部ケース40に収容される。
プロペラシャフト側動力伝達部67は、ドライブシャフト65Aに伝達されたエンジンの駆動力をプロペラシャフト51に伝達する。プロペラシャフト側動力伝達部67は、プロペラシャフト51の連結部としてのベベルギヤ671およびベベルギヤ672を含む。ベベルギヤ671およびベベルギヤ672の構成は、実施の形態1に係る第3動力伝達部63のベベルギヤ631およびベベルギヤ632とほぼ同様の構成である。
ドライブシャフト65の回転に伴って回転するベベルギヤ672の回転力が、ベベルギヤ671を介してプロペラシャフト51に伝達される。ドライブシャフト65Aが正転する場合には、プロペラシャフト51も正転し、ドライブシャフト65Aが逆転する場合には、プロペラシャフト51も逆転する。
上部ケース30Aは、別体で構成された第1収容部31Aおよび第2収容部32Aを含むことが好ましい。第1収容部31Aは、クランクシャフト23の出力部25と、エンジン側動力伝達部66と、ドライブシャフト65Aの上端側を収容する。第2収容部32Aは、ドライブシャフト65Aの途中部を収容するとともに、船舶の上下方向に対して第1収容部の下方側に取り付けられている。下部ケース40は、第2収容部32Aに接続され、第2収容部32Aと前記下部ケース40との接続部に回転機構70が設けられている。
なお、第2収容部32Aおよび回転機構70の構成は、実施の形態1に係る第2収容部32と回転機構70の構成とほぼ同様であるため、その説明については省略する。
以上のように、実施の形態2に係る推進ユニット10Aにあっても、クランクシャフト23が船体2の後端側に向けて延在し、クランクシャフト23の出力部25に動力伝達機構60Aが連結されている。
動力伝達機構60Aは、実施の形態1に係る動力伝達機構と比較して、中間シャフトが設けられていないため、出力軸28に出力されたエンジンの駆動力を中間シャフトに伝達するための動力伝達機構を省略することができる。このため、動力伝達機構60Aの構成、ひいては推進ユニット10Aの構成を、簡素化および軽量化することができる。
これにより、船幅方向に沿って延在する軸周りに作用する動力伝達機構のモーメントを実施の形態1よりもさらに小さくすることができる。この結果、船体の重心位置が後方側に移動することを抑制でき、操船時の船舶の重量バランスが崩れることをさらに抑制することができる。
また、実施の形態2に係る推進ユニット10Aにあっては、実施の形態1同様に、推進ユニット全体を上下方向に沿った軸周りに回転させることなく、回転機構70によって下部ケース40側のみを回転させることで、船体2の進行方向を変更することができる。
このため、実施の形態1同様に、互いに隣り合う推進ユニット10間の距離を狭めて複数の推進ユニット10を設置することが可能となるとともに、転舵の際に船舶1の質量バランスが崩れることを防止し、操船をスムーズに行なうことができる。また、ドライブシャフト65Aの回転軸周りのプロペラシャフト51の回転範囲が広くなることにより、着岸のみならず、海上における変進、回頭においても上記の従来の構造と比較して、小回りが可能となる。
なお、上述した実施の形態1および2においては、回転駆動部710がラックアンドピニオン機構を有する場合を例示して説明したが、これに限定されず、筒状部41に巻き掛けられたワイヤーが、ハンドル操作に応じて、一端側または他端側に引っ張られることにより、筒状部41がドライブシャフト65の回転軸周りに回転するように構成されていてもよい。この場合には、第2収容部32内に海水が進入しないように構成される限り、ワイヤーの一端側および他端側が第2収容部の外部に位置するように構成されていてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 船舶、2 船体、3 トランサムボード部、10 推進ユニット、11 本体部、12 支持部、13 クランプブラケット、14 マウントブラケット、15 チルト機構、16 チルトピン、17 チルトシリンダー、18 ロッド部、20 エンジンケース、21 エンジン、22 エンジン本体部、23 クランクシャフト、25 出力部、26 フライホイール、27 ダンパー、28 出力軸、30,30A 上部ケース、31,31A 第1収容部、31a 第1室、31b 第2室、31b1 底面部、32,32A 第2収容部、34 ケース部、36 ゴムカバー、37,38 オイルシール、40 下部ケース、40a 上面部、41 筒状部、51 プロペラシャフト、51a 一端、51b 他端、52 プロペラ、60,60A 動力伝達機構、61 第1動力伝達部、62 第2動力伝達部、63 第3動力伝達部、64 中間シャフト、65 ドライブシャフト、66 エンジン側動力伝達部、67 プロペラシャフト側動力伝達部、70 回転機構、80 制御部、90 接続部、341 取付部、411 取付部、412 フランジ部、611,612 スプロケット、613 チェーン、621 フォワードベベルギヤ、622 リバースベベルギヤ、623 クラッチ、624,631,632 ベベルギヤ、651 第1シャフト、652 第2シャフト、653 スリーブ、661 フォワードベベルギヤ、662 リバースベベルギヤ、663 クラッチ、664 ベベルギヤ、671,672 ベベルギヤ、710 回転駆動部、712 ラック収容部、713 ラック部、714 ピニオンギヤ部、715,716 ピストン部、720 ベアリング。

Claims (11)

  1. 船体の後端側の船外に取り付けられる船舶用の推進ユニットであって、
    船舶の前後方向に沿って延在するクランクシャフトを含むエンジンと、
    前記船舶の上下方向に対して前記エンジンよりも下方に配置されるとともに、一端側にプロペラが設けられたプロペラシャフトと、
    前記エンジンから前記船体の後端側に向けて延在する前記クランクシャフトの出力部と前記プロペラシャフトの他端側の連結部とを連結し、前記エンジンの駆動力を前記プロペラシャフトに伝達する動力伝達機構と、
    前記クランクシャフトの前記出力部および前記動力伝達機構の上部側を収容する上部ケースと、
    前記船舶の上下方向に対して前記上部ケースの下方側に接続され、前記プロペラが外部に配置されるように前記プロペラシャフトを収容するとともに、前記動力伝達機構の下部側を収容する下部ケースと、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記上部ケースから前記下部ケースに向かって延在するドライブシャフトを有しており、
    前記上部ケースおよび前記エンジンは前記船体に固定されており、
    前記上部ケースと前記下部ケースの接続部に、前記下部ケースを前記上部ケースに対して前記ドライブシャフトの延在方向に沿った軸周りに回転させる回転機構が設けられており、
    前記ドライブシャフトは、第1シャフトおよび第2シャフトを含み、
    前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記ドライブシャフトの前記延在方向に沿って同軸上に並んで配置されるとともに、スリーブによって前記ドライブシャフトの前記延在方向に沿って連結されており、
    前記第1シャフトは、前記上部ケースに収容され、
    前記第2シャフトの上端側が前記上部ケースに収容され、前記第2シャフトの下端側が前記下部ケースに収容されている、船舶用の推進ユニット。
  2. 船体の後端側の船外に取り付けられる船舶用の推進ユニットであって、
    船舶の前後方向に沿って延在するクランクシャフトを含むエンジンと、
    前記船舶の上下方向に対して前記エンジンよりも下方に配置されるとともに、一端側にプロペラが設けられたプロペラシャフトと、
    前記エンジンから前記船体の後端側に向けて延在する前記クランクシャフトの出力部と前記プロペラシャフトの他端側の連結部とを連結し、前記エンジンの駆動力を前記プロペラシャフトに伝達する動力伝達機構と、
    前記クランクシャフトの前記出力部および前記動力伝達機構の上部側を収容する上部ケースと、
    前記船舶の上下方向に対して前記上部ケースの下方側に接続され、前記プロペラが外部に配置されるように前記プロペラシャフトを収容するとともに、前記動力伝達機構の下部側を収容する下部ケースと、を備え、
    前記動力伝達機構は、前記上部ケースから前記下部ケースに向かって延在するドライブシャフトを有しており、
    前記上部ケースおよび前記エンジンは前記船体に固定されており、
    前記上部ケースと前記下部ケースの接続部に、前記下部ケースを前記上部ケースに対して前記ドライブシャフトの延在方向に沿った軸周りに回転させる回転機構が設けられており、
    前記エンジンは、前記クランクシャフトの前記出力部を前記上部ケース内に収容した状態で前記上部ケースの外周側に固定されている、船舶用の推進ユニット。
  3. 前記動力伝達機構は、前記エンジン側から前記プロペラシャフトに至るまでの動力伝達経路上に前記エンジン側から順に設けられた第1動力伝達部、中間シャフト、第2動力伝達部、前記ドライブシャフト、および第3動力伝達部を含み、
    前記中間シャフトは、前記船舶の上下方向に対して前記クランクシャフトと前記プロペラシャフトとの間に設けられ、かつ前記クランクシャフトの回転軸に平行に延在し、
    前記ドライブシャフトは、前記船舶の上下方向に対して前記中間シャフトと前記プロペラシャフトとの間に設けられ、かつ前記中間シャフトから前記プロペラシャフトに向けて延在し、
    前記第1動力伝達部は、前記クランクシャフトの前記出力部に出力された前記エンジンの駆動力を前記中間シャフトに伝達し、
    前記第2動力伝達部は、前記中間シャフトに伝達された前記エンジンの駆動力を前記ドライブシャフトに伝達し、
    前記第3動力伝達部は、前記ドライブシャフトに伝達された前記エンジンの駆動力を前記プロペラシャフトに伝達する、請求項1または2に記載の船舶用の推進ユニット。
  4. 前記上部ケースは、別体で構成された第1収容部および第2収容部を含み、
    前記第1収容部は、前記クランクシャフトの前記出力部と、前記第1動力伝達部と、前記中間シャフトと、前記ドライブシャフトの上端側を収容し、
    前記第2収容部は、前記ドライブシャフトの中間部を収容するとともに、前記船舶の上下方向に対して前記第1収容部の下方側に取り付けられており、
    前記下部ケースは、前記第2収容部に接続され、
    前記第2収容部と前記下部ケースとの接続部に前記回転機構が設けられている、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  5. 前記下部ケースは、前記ドライブシャフトに沿って延在し、かつ、上端側が前記第2収容部の内部に入り込んだ状態で前記第2収容部に接続された筒状部を含み、
    前記筒状部は、前記第2収容部に対して前記ドライブシャフトの回転軸周りに回転可能に構成され、
    前記回転機構は、前記筒状部を回転させる回転駆動部と、前記第2収容部の内部で前記筒状部を回転可能に支持するベアリングと、を含む、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  6. 前記回転駆動部は、中心が前記ドライブシャフトの前記回転軸と同軸上に位置するように前記筒状部に固定されたピニオンギヤ部と、前記ピニオンギヤ部に噛合い、前記ドライブシャフトの前記回転軸と交差する方向に移動可能に構成されたラック部とを含む、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  7. 前記動力伝達機構は、前記エンジン側から前記プロペラシャフトに至るまでの動力伝達経路上に前記エンジン側から順に設けられたエンジン側動力伝達部、前記ドライブシャフト、およびプロペラシャフト側動力伝達部を含み、
    前記エンジン側動力伝達部は、前記クランクシャフトの前記出力部に設けられるとともに、前記出力部に出力された前記エンジンの駆動力を前記ドライブシャフトに伝達し、
    前記ドライブシャフトは、前記船舶の上下方向に対して前記クランクシャフトの前記出力部と前記プロペラシャフトの間に設けられ、前記出力部から前記プロペラシャフトの前記連結部に向けて延在し、
    前記プロペラシャフト側動力伝達部は、前記ドライブシャフトに伝達された前記エンジンの駆動力を前記プロペラシャフトに伝達する、請求項1または2に記載の船舶用の推進ユニット。
  8. 前記上部ケースは、別体で構成された第1収容部および第2収容部を含み、
    前記第1収容部は、前記クランクシャフトの前記出力部と、前記エンジン側動力伝達部と、前記ドライブシャフトの上端側を収容し、
    前記第2収容部は、前記ドライブシャフトの途中部を収容するとともに、前記船舶の上下方向に対して前記第1収容部の下方側に取り付けられており、
    前記下部ケースは、前記第2収容部に接続され、
    前記第2収容部と前記下部ケースとの接続部に前記回転機構が設けられている、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  9. 前記下部ケースは、前記ドライブシャフトに沿って延在し、かつ、上端側が前記第2収容部の内部に入り込んだ状態で前記第2収容部に接続された筒状部を含み、
    前記筒状部は、前記第2収容部に対して前記ドライブシャフトの回転軸周りに回転可能に構成され、
    前記回転機構は、前記筒状部を回転させる回転駆動部と、前記第2収容部の内部で前記筒状部を回転可能に支持するベアリングと、を含む、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  10. 前記回転駆動部は、中心が前記ドライブシャフトの前記回転軸と同軸上に位置するように前記筒状部に固定されたピニオンギヤ部と、前記ピニオンギヤ部に噛合い、前記ドライブシャフトの前記回転軸と交差する方向に移動可能に構成されたラック部とを含む、請求項に記載の船舶用の推進ユニット。
  11. 前記クランクシャフトの前記出力部には、前記エンジンの振動を吸収する振動吸収部材が設けられている、請求項1から10のいずれか1項に記載の船舶用の推進ユニット。
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