以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示されている。Z軸方向は例えば鉛直方向、X軸方向及びY方向は例えば水平方向である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電極組立体を備える蓄電装置の分解斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った蓄電装置の断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池又は電気二重層キャパシタである。
図1及び図2に示されるように、蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなす中空のケース2と、ケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されている。ケース2は、一方側において開口した本体部2aと、本体部2aの開口を塞ぐ蓋部2bとを有している。ケース2の内壁面上には、絶縁フィルム(図示せず)が設けられる。ケース2の内部には、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。電極組立体3では、後述する正極11の正極活物質層15、負極12の負極活物質層18、及びセパレータ13が多孔質をなしており、その空孔内に、電解液が含浸されている。ケース2の蓋部2bには、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定され、負極端子6は、絶縁リング8を介してケース2に固定されている。
電極組立体3は、積層型の電極組立体である。電極組立体3は、複数の正極11(電極)と、複数の負極12(電極)と、正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13とによって構成されている。セパレータ13内には、例えば正極11が収容されている。セパレータ13内に正極11が収容された状態で、複数の正極11と複数の負極12とがセパレータ13を介して交互に積層されている。
正極11は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、金属箔14の両面に形成された正極活物質層15と、を有している。正極11の金属箔14は、矩形状の本体14aと、本体14aの一端から突出する矩形状のタブ14bと、を含む。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。正極活物質層15は、本体14aの両面において、少なくとも本体14aの中央部分に正極活物質が担持されて形成されている。
正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。ここでは、一例として、タブ14bには、正極活物質が担持されていない。ただし、タブ14bにおける本体14a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。
タブ14bは、本体14aの上縁部から上方に延び、集電板16を介して正極端子5に接続されている。集電板16はタブ14bと正極端子5との間に配置されている。集電板16は、例えば、正極11の金属箔14と同一の材料から矩形平板状に構成される。積層された複数のタブ14bは、集電板16と、集電板16よりも薄い保護板23との間に配置される(図3参照)。保護板23の詳細については後述する。
負極12は、例えば銅箔からなる金属箔17と、金属箔17の両面に形成された負極活物質層18と、を有している。負極12の金属箔17は、正極11の金属箔14と同様に、矩形状の本体17aと、本体17aの一端部から突出する矩形状のタブ17bと、を含む。負極活物質層18は、本体17aの両面において、少なくとも本体17aの中央部分に負極活物質が担持されて形成されている。負極活物質層18は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。
負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。ここでは、一例として、タブ17bには、負極活物質が担持されていない。ただし、タブ17bにおける本体17a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。
タブ17bは、本体17aの上縁部から上方に延び、集電板19を介して負極端子6に接続されている。集電板19はタブ17bと負極端子6との間に配置されている。集電板19は、例えば、負極12の金属箔17と同一の材料から矩形平板状に構成される。積層された複数のタブ17bは、集電板19と、集電板19よりも薄い保護板27との間に配置される(図3参照)。保護板27の詳細については後述する。
セパレータ13は、正極11を収容している。セパレータ13は、正極11及び負極12の積層方向からみて矩形状である。セパレータ13は、例えば、一対の長尺シート状のセパレータ部材を互いに溶着して袋状に形成される。セパレータ13の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。
図3は、第1実施形態に係る電極組立体の斜視図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った電極組立体の断面図である。図3に示される電極組立体3は、セパレータ13を介して互いに積層された複数の正極11及び複数の負極12を含む。複数の正極11のそれぞれは、XY平面に延在する本体14aと、本体14aの一端からX軸方向に突出するタブ14bとを含む。複数の負極12のそれぞれは、XY平面に延在する本体17aと、本体17aの一端からX軸方向に突出するタブ17bとを含む。タブ14b,17bは、互いに積層されてタブ積層体21,25をそれぞれ構成する。すなわち、電極組立体3は、Z軸方向に積層された複数のタブ14bを有するタブ積層体21と、Z軸方向に積層された複数のタブ17bを有するタブ積層体25とを備える。タブ積層体21,25は、Y軸方向において、互いに離間して配列される。
タブ積層体21は、タブ積層体21の積層方向(Z軸方向)に沿って延在するタブ積層体21の端面21a,21b,21cを備える。端面21a,21bは、タブ積層体21を挟む面であり、端面21cは端面21a,21bを繋ぐ面である。すなわち、端面21a,21bは、タブ積層体21を挟んで互いに反対側に配置されている。また、端面21a,21bは、XZ平面に沿う面である。また、端面21cは、タブ積層体21の先端に向かうに連れてタブ積層体21の厚みが小さくなるようにXY平面に対して傾斜した面である。
タブ積層体21は、複数のタブ14b同士を接続する溶接部Wを有する。溶接部Wは、例えばタブ積層体21の端面21a,21bにそれぞれ位置する。溶接部Wは、端面21a,21bから内側に設けられる。溶接部Wは、端面21a,21bのうち一方にのみ位置してもよい。溶接部Wは、端面21a,21bに隣接する集電板16及び保護板23の内部まで延びている。端面21a,21bにおいて、溶接部WのX軸方向における長さは、保護板23のX軸方向における長さと略等しいか、又は保護板23のX軸方向における長さよりも短いことが好ましい。これにより、タブ積層体21のタブ14bがX軸方向において位置ずれした場合(例えば公差による位置ずれがある場合)であっても安定して溶接部Wを形成することができる。なお、溶接部WのX軸方向における長さが保護板23のX軸方向における長さと略等しい場合、位置ずれにより溶接部WがX軸方向において保護板23の外側にはみ出す可能性がある。また、溶接部WのX軸方向における長さが保護板23のX軸方向における長さよりも長い場合、溶接部WがX軸方向において保護板23の外側にはみ出す。それらの場合であっても、溶接部Wを形成することは可能である。
タブ積層体21は、Z軸方向において、集電板16と保護板23との間に配置される。すなわち、集電板16、タブ積層体21及び保護板23は、Z軸方向において配列される。集電板16及び保護板23は例えば金属板である。本実施形態において、保護板23は第1板状部材又は押圧部材に対応し、集電板16は第2板状部材に対応する。保護板23は、集電板16と接触しておらず、保護板23と集電板16とは、タブ積層体21を積層方向に挟んで離間している。タブ積層体21は保護板23よりも厚く、集電板16はタブ積層体21よりも厚い。電極組立体3は集電板16を備えなくてもよい。
保護板23は、第1熱膨張係数を有する第1金属層23aと、第1熱膨張係数よりも大きい第2熱膨張係数を有する第2金属層23bとを備える。第1金属層23aは、第2金属層23bとタブ積層体21との間に配置される。第1金属層23aは第2金属層23bに圧着されている。すなわち、保護板23はバイメタルである。
第2金属層23bの第2熱膨張係数は、第1金属層23aの第1熱膨張係数の10倍以上であってもよい。第2金属層23bの材料は、タブ14bの材料と同じであってもよく、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。第1金属層23aの材料は、例えばニッケルと鉄との合金である。第1金属層23aの材料としては、例えば36%Ni−Fe(熱膨張係数:1.1×10−6/K)、32%Ni、5%Co−Fe(熱膨張係数:0.1×10−6/K)、40%Ni−Fe(熱膨張係数:2.5×10−6/K)、42%Ni−Fe(熱膨張係数:3.9×10−6/K)、44%Ni−Fe(熱膨張係数:5.6×10−6/K)、46%Ni−Fe(熱膨張係数:7.0×10−6/K)等が挙げられる。第2金属層23bの材料としては、例えばAl(熱膨張係数:20×10−6/K)、Cu(熱膨張係数:16.5×10−6/K)、Ni(熱膨張係数:12.6×10−6/K)、70%Cu−Zn(熱膨張係数:18×10−6/K)、70%Ni−Cu(熱膨張係数:14×10−6/K)、20Ni−Mn−Fe(熱膨張係数:約20×10−6/K)、Ni−Cr−Fe(熱膨張係数:約18×10−6/K)、20Ni−Mo−Fe(熱膨張係数:約18×10−6/K)、70Mn−Ni−Cu(熱膨張係数:約30×10−6/K)等が挙げられる。一実施例においては、第1金属層23aの材料が36%Ni−Feであり、第2金属層23bの材料がAlである。
第1金属層23aは第2金属層23bよりも薄くてもよい。例えば、第1金属層23aの厚みは、第2金属層23bの厚みの10分の1以下である。第1金属層23aの第1熱膨張係数を小さくすれば、第1金属層23aを薄くすることができる。
同様に、タブ積層体25は、タブ積層体25の積層方向(Z軸方向)に沿って延在するタブ積層体25の端面25a,25b,25cを備える。端面25a,25bは、タブ積層体25を挟む面であり、端面25cは端面25a,25bを繋ぐ面である。すなわち、端面25a,25bは、タブ積層体25を挟んで互いに反対側に配置されている。また、端面25a,25bは、XZ平面に沿う面である。また、端面25cは、タブ積層体25の先端に向かうに連れてタブ積層体25の厚みが小さくなるようにXY平面に対して傾斜した面である。
タブ積層体25は、複数のタブ17b同士を接続する溶接部Wを有する。溶接部Wは、例えばタブ積層体25の端面25a,25bにそれぞれ位置する。溶接部Wは、端面25a,25bから内側に設けられる。溶接部Wは、端面25a,25bのうち一方にのみ位置してもよい。溶接部Wは、端面25a,25bに隣接する集電板19及び保護板27の内部まで延びている。端面25a,25bにおいて、溶接部WのX軸方向における長さは、保護板27のX軸方向における長さと略等しいか、又は保護板27のX軸方向における長さよりも短いことが好ましい。これにより、タブ積層体25のタブ17bがX軸方向において位置ずれした場合(例えば公差による位置ずれがある場合)であっても安定して溶接部Wを形成することができる。なお、溶接部WのX軸方向における長さが保護板27のX軸方向における長さと略等しい場合、位置ずれにより溶接部WがX軸方向において保護板27の外側にはみ出す可能性がある。また、溶接部WのX軸方向における長さが保護板27のX軸方向における長さよりも長い場合、溶接部WがX軸方向において保護板27の外側にはみ出す。それらの場合であっても、溶接部Wを形成することは可能である。
タブ積層体25は、Z軸方向において、集電板19と保護板27との間に配置される。すなわち、集電板19、タブ積層体25及び保護板27は、Z軸方向において配列される。集電板19及び保護板27は例えば金属板である。本実施形態において、保護板27は第1板状部材又は押圧部材に対応し、集電板19は第2板状部材に対応する。保護板27は、集電板19と接触しておらず、保護板27と集電板19とは、タブ積層体25を積層方向に挟んで離間している。タブ積層体25は保護板27よりも厚く、集電板19はタブ積層体25よりも厚い。電極組立体3は集電板19を備えなくてもよい。
保護板27は、第1熱膨張係数を有する第1金属層27aと、第1熱膨張係数よりも大きい第2熱膨張係数を有する第2金属層27bとを備える。第1金属層27aは、第2金属層27bとタブ積層体25との間に配置される。第1金属層27aは第2金属層27bに圧着されている。すなわち、保護板27はバイメタルである。
第2金属層27bの第2熱膨張係数は、第1金属層27aの第1熱膨張係数の10倍以上であってもよい。第2金属層27bの材料は、タブ17bの材料と同じであり、例えば銅又は銅合金である。第1金属層27aの材料としては、第1金属層23aと同様の材料が用いられる。第2金属層27bの材料としては、第2金属層23bと同様の材料が用いられる。一実施例においては、第1金属層27aの材料が36%Ni−Feであり、第2金属層27bの材料がCuである。
第1金属層27aは第2金属層27bよりも薄くてもよい。例えば、第1金属層27aの厚みは、第2金属層27bの厚みの10分の1以下である。第1金属層27aの第1熱膨張係数を小さくすれば、第1金属層27aを薄くすることができる。
上述の電極組立体3では、保護板23が、熱により、タブ積層体21を押圧するように変形可能である。すなわち、保護板23が感熱変形部である。よって、溶接部Wを形成する際に、溶接の熱により、Z軸方向において保護板23からタブ積層体21に向かって保護板23が変形する。その結果、保護板23によってタブ積層体21が押圧されるので、溶接時にタブ14b間に隙間が生じ難い。よって、当該隙間に起因するボイドの形成が抑制された溶接部Wがタブ積層体21において得られる。同様に、保護板27は、熱により、タブ積層体25を押圧するように変形可能である。すなわち、保護板27が感熱変形部である。よって、溶接部Wを形成する際に、溶接の熱により、Z軸方向において保護板27からタブ積層体25に向かって保護板27が変形する。その結果、保護板27によってタブ積層体25が押圧されるので、溶接時にタブ17b間に隙間が生じ難い。よって、当該隙間に起因するボイドの形成が抑制された溶接部Wがタブ積層体25において得られる。
第1金属層23aが第2金属層23bよりも薄いと、保護板23の質量を小さくできる。同様に、第1金属層27aが第2金属層27bよりも薄いと、保護板27の質量を小さくできる。
図5〜図8は、第1実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図3に示される電極組立体3は、例えば以下の方法により製造される。
(タブ積層体の準備工程)
まず、図5に示されるように、複数のタブ積層体21,25を準備する。図5(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図であり、図5(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。例えば、まず、集電板16,19上にそれぞれタブ14b,17bを積層することによりタブ積層体21,25を形成する。その後、タブ積層体21,25上にそれぞれ保護板23,27を載置する。
(溶接部の形成工程)
次に、図6に示されるように、タブ積層体25の端面25aにエネルギービームBを照射する。図6(A)はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図であり、図6(B)はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。タブ積層体21は、例えば治具42により保護板23を介して押圧されるが、押圧されなくてもよい。同様に、タブ積層体25は、例えば治具44により保護板27を介して押圧されるが、押圧されなくてもよい。
エネルギービームBは、照射装置30からタブ積層体25の端面25aに向けて照射される。照射装置30は、例えばレンズ及びガルバノミラーを含むスキャナヘッドである。スキャナヘッドにはファイバを介してビーム発生装置が接続される。照射装置30は、例えばプリズム等の屈折式の光学系から構成されてもよい。エネルギービームBは、溶接を行うことができる高エネルギービームである。エネルギービームBは、例えばレーザービーム又は電子ビームである。エネルギービームBの照射は、ノズル32から供給される不活性ガスGの雰囲気中で行われる。
エネルギービームBは、例えば治具44により集電板19及び保護板27を介してタブ積層体25をZ軸方向に押圧した状態でタブ積層体25の端面25aに照射される。
集電板16,19、タブ積層体21,25及び保護板23,27を含むワークは、例えばベルトコンベア等の搬送ステージ40上に載置され、エネルギービームBの照射位置までY軸方向に搬送される。
エネルギービームBは、タブ積層体25の端面25aにおいて、Z軸方向に交差する方向(X軸方向)に沿って走査される。エネルギービームBをZ軸方向に変位させながらX軸方向に沿って走査してもよい。例えば、エネルギービームBをZ軸方向に往復変位(ウォブリング)させながらX軸方向に沿って走査する。エネルギービームBの照射スポットのZ軸方向における変位量は、タブ積層体25の厚みよりも大きい。エネルギービームBの照射スポットは、タブ積層体25の端面25aにおいて、X軸方向に沿った軸線H1上の位置P1から位置P2まで移動する。例えば、位置P1,P2は、Z軸方向においてタブ積層体25の端面25aの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、タブ積層体25の端面25aにおいてX軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にXZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。あるいは、エネルギービームBを、Z軸方向に変位(ウォブリング)させながらX軸方向に沿って走査してもよい。回転の直径又はZ軸方向の変位量がタブ積層体25の厚みよりも大きいと、タブ積層体25の端面25a、集電板19及び保護板27を全体的に溶接できるため好ましい。
上述のようにエネルギービームBを照射することによって、図7及び図8に示されるように、タブ積層体25の端面25aに溶接部Wが形成される。図7及び図8はY軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。図7は溶接途中のタブ積層体25を示し、図8は溶接後のタブ積層体25を示す。図7に示されるように、溶接部Wを形成する際に、エネルギービームBの熱により、Z軸方向において保護板27からタブ積層体25に向かって保護板27が変形する。その結果、保護板27によってタブ積層体25が押圧されるので、溶接時にタブ17b間に隙間が生じ難い。よって、当該隙間に起因するボイドの形成が抑制された溶接部Wが得られる。図8に示されるように、タブ積層体25の端面25aにおいて、溶接部WはX軸方向に広がっている。
次に、タブ積層体25の端面25aと同様に、タブ積層体21の端面21aにエネルギービームBを照射することにより、タブ積層体21の端面21aに溶接部Wを形成する(図4参照)。次に、タブ積層体25の端面25bにも同様にエネルギービームBを照射することにより、タブ積層体25の端面25bに溶接部Wを形成する(図4参照)。次に、タブ積層体21の端面21bにも同様にエネルギービームBを照射することにより、タブ積層体21の端面21bに溶接部Wを形成する(図4参照)。
エネルギービームBの照射の際、タブ積層体21,25を含むワークは、搬送ステージ40によって、エネルギービームBの照射位置までY軸方向に搬送される。
上記工程を経ることによって、電極組立体3が製造される。その後、タブ積層体21,25を折り曲げた電極組立体3をケース2内に収容し、蓄電装置1を製造することができる。
(第2実施形態)
図9〜図11は、第2実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図9〜図11はX軸方向から見たタブ積層体21,25を示す図である。図9〜図11では、図示されないが、エネルギービームBが、照射装置30からX軸方向にタブ積層体25の端面25aに向けて照射される。第2実施形態の電極組立体3は、タブ積層体21,25の端面21c,25cにそれぞれ位置する溶接部Wを更に備えること以外は第1実施形態の電極組立体3と同様の構成を備える。
タブ積層体25の端面25cは、タブ積層体25の先端に位置しており、YZ平面に沿う面である。端面25cは、タブ積層体25の先端を切断することによって形成されてもよいし、異なる長さのタブ17bを用いてタブ17bを積層することによって形成されてもよい。
図9に示されるように、エネルギービームBは、端面25cにおいて、Z軸方向に変位(ウォブリング)させながらY軸方向に沿って走査される。エネルギービームBの照射スポットは、端面25cにおいて、Y軸方向に沿った軸線H1上の位置P3から位置P4まで移動する。例えば、位置P3,P4は、Z軸方向において端面25cの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、端面25cにおいてY軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にYZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。
図10及び図11に示されるように、エネルギービームBの照射により、タブ積層体25の端面25cに溶接部Wが形成される。図10は溶接途中のタブ積層体25を示し、図11は溶接後のタブ積層体25を示す。溶接部Wは、タブ積層体25の端面25cにおいて、Y軸方向に広がっている。
同様に、エネルギービームBをタブ積層体21の端面21cに照射することによって、タブ積層体21の端面21cにも溶接部Wが形成される。エネルギービームBは、タブ積層体21の端面21cにおいて、Y軸方向に沿って走査される。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、第2実施形態では、タブ積層体25の端面25a,25bに加えて端面25cにも溶接部Wが形成されるので、タブ17b間の電気抵抗値を低減することができる。同様に、タブ積層体21の端面21a,21bに加えて端面21cにも溶接部Wが形成されるので、タブ14b間の電気抵抗値を低減することができる。タブ積層体21,25の端面21a,21b,25a,25bに溶接部Wが形成されず、タブ積層体21,25の端面21c,25cにのみ溶接部Wが形成されてもよい。
(第3実施形態)
図12〜図14は、第3実施形態に係る電極組立体の製造方法の一工程を示す図である。図12〜図14はX軸方向から見たタブ積層体25を示す図である。第3実施形態の電極組立体3は、積層型ではなく巻回型の電極組立体であること以外は第1実施形態の電極組立体3と同様の構成を備える。
巻回型の電極組立体3では、正極11、負極12及びセパレータ13がX軸方向の軸を中心に巻回されている。巻回型の電極組立体3は、積層型の電極組立体3と同様に、タブ積層体21,25を備える。タブ積層体21,25はX軸方向において互いに反対側に配置される。タブ積層体25では、タブ17bが、X軸方向の軸を中心に巻回された後、Z軸方向に圧縮されている。そのため、タブ積層体25は、Z軸方向に積層されたタブ17bを有する。具体的には、タブ17bにおける複数の部分がZ軸方向に積層される。溶接部Wは、積層されたタブ17b同士を接続する。具体的には、溶接部Wによって、タブ17bにおける複数の部分同士が接続される。巻回型の電極組立体3において、タブ積層体25は端面25a,25bを備えておらず、先端に位置する端面25cのみを備えている。同様に、タブ積層体21は端面21a,21bを備えておらず、先端に位置する端面21cのみを備えている。
図12に示されるように、エネルギービームBは、端面25cにおいて、Z軸方向に変位(ウォブリング)させながらY軸方向に沿って走査される。エネルギービームBの照射スポットは、端面25cにおいて、Y軸方向に沿った軸線H1上の位置P3から位置P4まで移動する。例えば、位置P3,P4は、Z軸方向において端面25cの中心に位置する。エネルギービームBは、例えば、端面25cにおいてY軸方向に沿って中心点を移動させ、当該中心点を中心にYZ平面においてエネルギービームBの照射スポットを回転させながら走査される。
図13及び図14に示されるように、エネルギービームBの照射により、タブ積層体25の端面25cに溶接部Wが形成される。図13は溶接途中のタブ積層体25を示し、図14は溶接後のタブ積層体25を示す。溶接部Wは、タブ積層体25の端面25cにおいて、Y軸方向に広がっている。
同様に、エネルギービームBをタブ積層体21の端面21cに照射することによって、タブ積層体21の端面21cにも溶接部Wが形成される。エネルギービームBは、タブ積層体21の端面21cにおいて、Y軸方向に沿って走査される。
第3実施形態では、第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第1変形例の保護板)
図15は、第1変形例に係る保護板の分解斜視図である。図16は、図15の保護板の断面図である。図15及び図16に示される保護板127は、第1〜第3実施形態の保護板27に代えて使用され得る。保護板127は、第1熱膨張係数を有する第1金属層127aと、第1熱膨張係数よりも大きい第2熱膨張係数を有する第2金属層27bとを備える。第1金属層127aは、第2金属層27bとタブ積層体25との間に配置される。第1金属層127aは、複数の開口部128を有するメッシュ構造を備える。第1金属層127aは、例えばエキスパンドメタルである。複数の開口部128内には第2金属層27bの一部が配置される。第2金属層27bの一部は、開口部128内を充填してもよい。図示されないが、複数の開口部128は多角形状ではなく円形状でもよい。第1金属層127aが例えばパンチングメタルでも同様の作用効果が得られる。
第1変形例の保護板127では、第1金属層127aと第2金属層27bとの接触面積が増加するので、アンカー効果により、第1金属層127aと第2金属層27bとの密着性が高くなる。そのため、第1金属層127a及び第2金属層27bがタブ積層体25の積層方向に変形する際に、第1金属層127aと第2金属層27bとが剥離しにくい。
保護板127と同様の構成を有する保護板を第1〜第3実施形態の保護板23に代えて使用してもよい。
(第2変形例の保護板)
図17は、第2変形例に係る保護板の分解斜視図である。図17(A)は、熱による変形前の保護板227を示し、図17(B)は、熱による変形後の保護板227aを示す。図17(A)に示される保護板227は、第1〜第3実施形態の保護板27に代えて使用され得る。保護板227は、例えば形状記憶合金等の形状記憶材料を含む。
形状記憶合金としては、例えば、形状記憶特性を有するCu−Al合金又はCu−Al−Mn合金等が挙げられる。Cu−Al−Mn合金としては、例えば、Al20〜30at%、Mn20〜30at%、Cu40〜60at%からなる合金等が挙げられる。
熱による変形後の保護板227aがタブ積層体25を押圧するように、熱による変形前の保護板227は設計される。変形前の保護板227は例えば平坦な表面を有するが、変形後の保護板227aは例えば湾曲した表面を有する。保護板227が形状記憶材料を含む場合、形状記憶材料の変形温度(回復温度Af点)を超えると、保護板227は急激に変形する。図示されないが、タブ積層体25は、治具44により保護板227を介して押圧されるが、押圧されなくてもよい。
保護板227の材料が、タブ14bの材料と同じであると、保護板227とタブ14bとを溶接し易いことに加えて、電位差の生じる電解液中において腐食が進行し難い。
保護板227と同様の構成を有する保護板を第1〜第3実施形態の保護板23に代えて使用してもよい。図示されないが、タブ積層体21は、例えば治具42により保護板227と同様の構成を有する保護板を介して押圧されるが、押圧されなくてもよい。
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る電極組立体の断面図である。図18に示されるように、第4実施形態の電極組立体は、保護板23及び集電板16に代えて保護板323及び集電板116をそれぞれ備え、保護板27及び集電板19に代えて保護板327及び集電板119をそれぞれ備えること以外は第1実施形態の電極組立体3と同様の構成を備える。
保護板323及び保護板327は、熱により変形しない。保護板323は、例えば第1実施形態における第2金属層23bと同じ材料の金属板である。保護板327は、例えば第1実施形態における第2金属層27bと同じ材料の金属板である。保護板323及び保護板327に代えて第1実施形態の保護板23及び保護板27を用いてもよい。
集電板116は、第1熱膨張係数を有する第1金属層116aと、第1熱膨張係数よりも大きい第2熱膨張係数を有する第2金属層116bとを備える。第1金属層116aは、第2金属層116bとタブ積層体21との間に配置される。第1金属層116aは第2金属層116bに圧着されている。すなわち、集電板116は、保護板23と同様のバイメタルである。
同様に、集電板119は、第1熱膨張係数を有する第1金属層119aと、第1熱膨張係数よりも大きい第2熱膨張係数を有する第2金属層119bとを備える。第1金属層119aは、第2金属層119bとタブ積層体25との間に配置される。第1金属層119aは第2金属層119bに圧着されている。すなわち、集電板119は、保護板27と同様のバイメタルである。
第4実施形態の電極組立体では、集電板116が、熱により、タブ積層体21を押圧するように変形可能である。よって、溶接部Wを形成する際に、溶接の熱により、Z軸方向において集電板116からタブ積層体21に向かって集電板116が変形する。その結果、集電板116によってタブ積層体21が押圧されるので、溶接時にタブ14b間に隙間が生じ難い。よって、当該隙間に起因するボイドの形成が抑制された溶接部Wがタブ積層体21において得られる。同様に、集電板119は、溶接の熱により、タブ積層体25を押圧するように変形可能である。よって、溶接部Wを形成する際に、熱により、Z軸方向において集電板119からタブ積層体25に向かって集電板119が変形する(図19参照)。その結果、集電板119によってタブ積層体25が押圧されるので、溶接時にタブ17b間に隙間が生じ難い。よって、当該隙間に起因するボイドの形成が抑制された溶接部Wがタブ積層体25において得られる。
また、集電板116において、第1金属層116aが複数の開口部を有するメッシュ構造を備え、複数の開口部内に第2金属層116bの一部が配置されてもよい。すなわち、集電板116が第1変形例の保護板127と同様の構成を備えてもよい。同様に、集電板119において、第1金属層119aが複数の開口部を有するメッシュ構造を備え、複数の開口部内に第2金属層119bの一部が配置されてもよい。すなわち、集電板119が第1変形例の保護板127と同様の構成を備えてもよい。
さらに、集電板116に代えて、例えば形状記憶合金等の形状記憶材料を含む集電板を使用してもよい。すなわち、集電板116が第2変形例の保護板227と同様の構成を備えてもよい。同様に、集電板119に代えて、例えば形状記憶合金等の形状記憶材料を含む集電板を使用してもよい。すなわち、集電板119が第2変形例の保護板227と同様の構成を備えてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。上記実施形態及び変形例の構成要素は、任意に組み合わせることができる。
例えば、保護板23,27,127,227及び集電板116,119等の押圧部材とタブ積層体21,25との間に別の部材が介在してもよい。また、押圧部材の一部が、熱により、タブ積層体21,25を押圧するように変形可能な感熱変形部であってもよい。例えば、押圧部材のうちタブ積層体21,25側の部分が感熱変形部(保護板23,27,127,227及び集電板116,119等)であってもよい。また、押圧部材のうち溶接部Wに隣接する部分(タブ積層体の端面に位置する部分)が感熱変形部であってもよい。これらの場合、押圧部材の残部は熱により変形しない部分である。
また、溶接部Wは、タブ積層体21の端面21a,21b,21cに位置せず、タブ積層体21の内部に位置してもよい。同様に、溶接部Wは、タブ積層体25の端面25a,25b,25cに位置せず、タブ積層体25の内部に位置してもよい。この場合、溶接部Wは例えば抵抗溶接、超音波溶接等により形成され得る。タブ積層体21の端面21a,21b,21cでは、タブ積層体21の内部に比べて、溶接部Wを形成する際の熱によりタブ14b間の隙間が大きくなる傾向にある。そのような場合であっても、保護板23が変形することによってタブ積層体21が押圧されるので、溶接時にタブ14b間に隙間が生じ難い。
第2又は第3実施形態において、保護板23及び集電板16に代えて保護板323及び集電板116をそれぞれ使用し、保護板27及び集電板19に代えて保護板327及び集電板119をそれぞれ使用してもよい。これにより、第4実施形態と同様の作用効果が得られる。