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JP6643823B2 - 化粧シートおよび化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シートおよび化粧シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築内装材、玄関ドアなどの建築外装部材、建具の表面、家電品の表面材等に用いられる化粧シートおよび化粧シートの製造方法に関するもので、特に、木質ボード類、無機系ボード類、金属板などに貼り合わせて床材用として用いられ、凹み耐性、難燃性および隠蔽性に優れた化粧シートおよび化粧シートの製造方法に関する。
建築内装材のうち床材の用途に用いられる化粧シートには、化粧シートの上からキャスターやイスの足もしくは家具の足などによって局所的な圧力がかかっている。このため、化粧シートの圧力がかかった部分には凹みが生じたり、化粧シートにおける当該圧力の干渉が不十分な場合には、貼り合わせられる木質基材などの表面にも凹みが生じ、リペアーが困難な圧痕が形成されてしまうなどの問題が生じていた。
このような課題を解決するべく、特許文献1においては、凹み耐性を付与するために、化粧シートと基材との間に厚さ200〜350μmの2軸延伸ポリエステルフィルムからなるバッカーを設けることが開示されている。
また、化粧シートの市場の激化が進み、より低価格化が求められている。この要求に応えるべく、主成分である樹脂材料の一部を樹脂材料よりも安価な無機フィラーへと置換させることが試みられているが、樹脂材料に対して無機フィラーを均一に分散させることが難しく、無機フィラーの2次凝集が生じると得られる化粧シートの機械的強度が著しく低下してしまうため、樹脂材料に対して20%程度の充填量が限界であった。
また、特許文献2には、無機フィラー同士が凝集する性質があり、樹脂材料に大量の無機フィラーを充填することは困難であるとして、2種類の無機フィラー、具体的には、層状ケイ酸塩と金属水酸化物とを併用することによって樹脂材料への分散性を向上させることが開示されている。
特開2005−290736号公報 特許第5271770号公報 特開2013−122020号公報
しかしながら、特許文献1のように、化粧シートの下面にバッカーを設ける構成とすると床材に当該バッカーを貼り付けるための施工工程が増えたり、化粧シートと一体の構成としてもバッカーを化粧シートに貼り合わせるための製造工程が増えることでコストが増大するという課題を有していた。
また、特許文献2の化粧シートのように2種類以上の無機フィラーを組み合わせることによる分散性の向上には限界があるため、樹脂材料に対して無機フィラーを高充填する技術について検討し、根本的に樹脂量を低減化した化粧シートの開発が求められている。
ここで、本発明者等は、特許文献3に開示している超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルと、無機フィラーとをポリオレフィン系樹脂材料に添加することで、樹脂材料に対する無機フィラーの分散性を格段に向上させて、ポリオレフィン系樹脂材料中に無機フィラーを均一に分散させた樹脂組成物を得ることに成功した。
本発明においては、化粧シートの構成を増大させることなく化粧シート自身に凹み耐性を付与するとともに、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを用いて機械的強度を低下させることなくポリオレフィン系樹脂の一部を無機フィラーに置換した樹脂組成物によって化粧シートおよび化粧シートの製造方法の低廉化と隠蔽性の付与を実現することを目的とする。
上記課題を達成するべく、本発明の第1の態様の化粧シートは、複数の樹脂層からなり、前記樹脂層のうちの1層が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として無機フィラーが50〜70重量%の割合で添加された樹脂組成物から構成され1軸延伸加工または2軸延伸加工が施された厚さ100〜300μmの原反層とされた化粧シートであって、前記原反層は、前記樹脂組成物に、さらに超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して形成したことを特徴とする。
このような、本発明の第1の態様の化粧シートにおいては、1軸延伸加工または2軸延伸加工が施され厚さ100〜300μmの原反層を備えることで優れた凹み性能を発揮するとともに、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加することによって、樹脂組成物中の無機フィラーが凝集することがなく、機械的強度を損なわずに樹脂組成物の一部を無機フィラーに置換することで、化粧シートの低廉化を可能とする。更に、樹脂組成物に対して、50〜70重量%という多量の無機フィラーを添加することができるので、樹脂組成物の一部を樹脂材料よりも安価な無機フィラーに置換して化粧シートの低廉化を可能とする。
本発明の第の態様の化粧シートは、前記樹脂組成物には、顔料が添加されていることを特徴とする。
このような、本発明の第の態様の化粧シートにおいては、樹脂組成物に対して顔料が添加されていることにより優れた隠蔽性を有する化粧シートを提供することができる。
本発明の第態様の化粧シートは、前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンもしくはポリプロピレンであることを特徴とする。
このような、本発明の第の態様の化粧シートにおいては、原反層がポリエチレンもしくはポリプロピレンから構成されるので、焼却廃棄時においても有毒ガスなど人体に悪影響を及ぼす物質を排出することがなく、安全に焼却処分可能な化粧シートを提供することができる。
本発明の第の態様の化粧シートは、前記無機フィラーが、炭酸カルシウムであることを特徴とする。このような、本発明の第の態様の化粧シートにおいては、無機フィラーとして炭酸カルシウムを用いることにより、製造手法による粒径のコントロールや表面処理によるポリオレフィン樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため化粧シートの低廉化することができる。
本発明の第1の態様の化粧シートの製造方法においては、複数の樹脂層からなる化粧シートの製造方法であって、前記樹脂層のうちの1層を、主成分とするポリオレフィン系樹脂に50〜70重量%の割合で無機フィラーを添加するとともに超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して形成した樹脂組成物に対して、1軸延伸加工または2軸延伸加工を施した厚さ100〜300μmの原反層として形成することを特徴とする。
本発明の化粧シートおよび化粧シートの製造方法によれば、化粧シートの構成を増大させることなく化粧シート自身に優れた凹み耐性を備えるとともに、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを用いて機械的強度を低下させることなくポリオレフィン系樹脂の一部を無機フィラーに置換して、化粧シートの低廉化と隠蔽性の付与を実現することを可能とする。
また、隠蔽性にも優れた化粧シートを提供することができる。
本発明の化粧シートの第1実施形態を示す断面図 本発明の化粧シートの第2実施形態を示す断面図
本発明の化粧シートは、複数の樹脂層からなり、当該樹脂層のうち1層が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として無機フィラーが添加された樹脂組成物から構成され、1軸延伸加工または2軸延伸加工が施された厚さ100〜300μmの原反層とされており、当該原反層は、前記樹脂組成物に、さらに超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して形成した形成されていることが重要である。
無機フィラーとしては、燃焼時において酸素の消費量が少ない材料が好ましく、例えば、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコンなどのジルコニウム化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミの錯体など、三酸化アンチモンとシリカの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華の錯体、ジルコニウムのケイ酸塩、ジルコニウム化合物と三酸化アンチモンの錯体などが挙げられる。特に、炭酸カルシウムは製造手法による粒径のコントロールや表面処理によるポリオレフィン樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため化粧シートの低廉化の観点からも好適である。無機フィラーの粒径は、0.3〜2μm程度とされていることが好ましい。また、樹脂組成物に対して、50〜70重量%の割合で添加されていることが好ましい。
また、当該樹脂組成物には、顔料が添加されていることが重要である。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母などのパール顔料などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどを)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。
分散剤としては、高分子系の界面活性剤、脂肪酸金属塩、シランカップリグ剤、チタネートカップリング剤、シリコーン、ワックス、変性樹脂などが挙げられる。高分子系の界面活性剤としては、脂肪族多価ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アルキルアミン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、ラウリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、モンタン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ミリスチン酸などとリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどが結合したものが挙げられる。シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシポロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−イソシアネートポロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。チタネートカップリング剤としては、テトラキス[2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブトキシ]チタン(IV)、ジ−i−ポロポキシチタンジオソステアレート、(2−nーブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタンなどが挙げられる。シリコーンとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイルなどのオレフィンを重合または、ポリオレフィンを熱分解したもので、それをさらに酸化またはマレイン酸、スルホン酸、カルボン酸、ロジン酸などによって変性したものが挙げられる。樹脂としては、ポリオレフィンをマレイン酸、スルホン酸、カルボン酸、ロジン酸などによって変性したものが挙げられる。
本発明における樹脂組成物を調製する際においては、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加することが特に重要である。ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞(カプセル)で内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質のような生体脂質から構成されるベシクルをリポソームと称する。このような、ベシクル化された状態の分散剤内包ベシクルは極めて分散性に優れており、当該分散剤内包ベシクル、無機フィラーおよびポリオレフィン系樹脂を混練した際に、これらの混合物中において当該分散剤内包ベシクルが凝集することなく均一に分散するため、無機フィラーの粒子間にも当該分散剤内包ベシクルが侵入して、無機フィラーが凝集することをも防止し、ポリオレフィン樹脂中に無機フィラーを均一に分散させることを可能とする。
ここで、超臨界逆相蒸発法は、本発明者等が提案している再表02/032564号公報、特開2003−119120号公報、特開2005−298407号公報および特開2008−063274号公報(以下、「超臨界逆相蒸発法公報類」と称する)に開示されている超臨界逆相蒸発法および装置を用いて行うことができる。
具体的に説明すると、超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態または臨界点以上の温度条件下の二酸化炭素もしくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての分散剤を含む水相を加えて、一層の外膜で封入物質としての分散剤を内包するカプセル状のベシクルを得る方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下の二酸化炭素もしくは臨界点以上の圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度だけ、あるいは臨界圧力だけが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味するものである。この方法により、直径50〜800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。
外膜を形成するリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質などが挙げられる。
外膜を形成するその他の物質としては、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールの混合物などの分散剤が挙げられる。このうちノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン−ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン−ポリ2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリカプロラクタム共重合体等の1種または2種以上を使用することができる。コレステロール類としては、コレステロール、α−コレスタノール、β−コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24−コレスタジエン−3β−オール)、コール酸ナトリウムまたはコレカルシフェロール等を使用することができる。上記の物質から適宜選択して用いることにより、例えば、水溶性ではない内包物を水溶性の分散剤で包んだベシクルとすることにより、水溶性の溶媒などに水溶性ではない内包物を均一に分散させることができる。
本発明の化粧シートにおいては、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルが添加されていることにより、化粧シートとしての引張強度、加工性などを損なうことなく樹脂材の一部を無機フィラーに置換することを可能とする。ちなみに、化粧シートにおいては、引張弾性率500MPa以上2000MPa以下、かつ、引張破断伸度200%以上の引張強度が要求される。
特に、本発明の化粧シートにおいては、分散剤内包ベシクルがリン脂質からなる外膜を具備したリポソームとされていることが重要である。これにより、ポリオレフィン系の樹脂と分散剤内包ベシクルとの相溶性をさらに良好なものとすることができるので、分散剤内包ベシクルの分散性を高めて、より均一に分散剤内包ベシクルを分散させることを可能とする。その結果、分散剤内包ベシクルの高い分散能力によって無機フィラーの二次凝集を抑制し、当該無機フィラーの分散性をも良好なものとすることができる。
以下に、本発明における樹脂組成物から構成された原反層を備えた化粧シートの構成の具体例を図に従って詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シート1の第1実施形態を示し、複数の樹脂層からなる化粧シート1であって、当該化粧シート1が貼り合わせられる木質ボード類、無機質ボード類または金属板などの基材Bに面する側から、原反層2、絵柄模様層3およびトップコート層5を設けた構成とされている。なお、原反層2と基材Bとの間および/または絵柄模様層3とトップコート層5との間の接着性に問題があれば、原反層2と基材Bとの間および/または絵柄模様層3とトップコート層5との間にプライマー層6を適宜設けてもよい。
原反層2としては、ポリオレフィン系樹脂を主成分として無機フィラーが50〜70重量%添加された樹脂組成物から構成され、当該樹脂組成物から原反シート2を製膜する際に、1軸延伸加工または2軸延伸加工が施され、厚さ100〜300μm樹脂シートとされていることが好ましく、この範囲よりも薄いと化粧シート1として要求される剛性を満たすことができず、逆にこの範囲よりも厚いと柔軟性が低下してロールとして巻き取ることができない。特に、250〜300μmの厚さとされていることが好適である。
このとき、当該原反シート2は、JISK7127に記載の方法により測定された引張り弾性率が3000MPa以上とされていることが好ましい。さらに、原反層2を構成する樹脂組成物には、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルが添加されていることが重要である。また、当該樹脂組成物に対して、顔料を添加することにより、化粧シート1に優れた隠蔽性を付与することができる。
絵柄模様層3としては、バインダーとしての硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、また一液タイプでも硬化剤を使用した二液タイプでもよい。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させる方法を用いてもよい。中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いるもので、イソシアネートによって硬化させる方法である。これらのバインダー以外には、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されている。汎用性の高い顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。また、インキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すことも可能である。
トップコート層5としては、特に規定されるものではないが、ポリウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系等から適宜選択できる。形態も水性、エマルジョン、溶剤系いずれでも可能で、且つ硬化も1液タイプでも硬化剤を用いた2液タイプでもよい。中でもイソシアネート反応を利用したウレタン系のトップコートが作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等から適宜選定して用いることができる。
また、化粧シートの表面の硬度をさらに向上させるために、トップコート層5として紫外線や電子線照射で硬化する樹脂を使用することも可能である。さらに耐候性を向上させるためには、紫外線吸収剤及び光安定化剤を適宜添加してもよい。そして、各種機能を付与するために抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤の添加も任意に行うことができる。さらに、表面の意匠性を向上させるために、艶の調整のための、あるいはさらに耐磨耗性を付与するための、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、ガラスビーズ等を添加することもできる。
プライマー層6としては、基本的には絵柄模様層3と同じ材料を用いることができるが、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。
第1実施形態の化粧シート1においては、原反層2は印刷作業性、コストなどを考慮して100μm〜300μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は120μm〜500μmの範囲内とすることが好適である。
図2は本発明の化粧シート1の第2実施形態を示し、第1実施形態の化粧シート1に対してさらに透明樹脂層4を具備した態様について説明する。なお、積層方法は、所望の化粧シート1の性能などに応じて適宜選択することができる。本実施形態の化粧シート1は、当該化粧シート1が貼り合わせられる木質ボード類、無機質ボード類または金属板などの基材Bに面する側から、原反層2、絵柄模様層3、接着剤層7(感熱接着層、アンカーコート層、ドライラミ接着材層)、透明樹脂層4、トップコート層5と積層された構成とされている。また、意匠性を向上させるためにトップコート層5側の透明樹脂層4面にエンボス模様4aを適宜設けてもよい。
第2実施形態における原反層2、絵柄模様層3およびプライマー層6は、第1実施形態と同様の構成のものを用いることができる。
また、本発明の化粧シート1における原反層2のように、オレフィン系の樹脂を用いる場合には、表面が不活性な状態とされていることが多いので、原反層2と基材Bとの間に、プライマー層6を設けることが好ましい。この他にも、オレフィン系材料からなる原反層2と基材Bとの接着性を向上させるために、原反層2に対してコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが望ましい。
透明樹脂層4としては、アイソタクチックペンタット分率(mmmm分率)が95%以上の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂が用いられていることが好ましい。アイソタクチックペンタット分率とは、質量13の炭素C(核種)を用いた13C−NMR測定法(核磁気共鳴測定法)により、上記透明樹脂層を構成する樹脂組成物を所定の共鳴周波数にて共鳴させて得られる数値(電磁波吸収率)から算出されるものであり、樹脂組成物中の原子配置、電子構造、分子の微細構造を規定するものである。ポリプロピレン樹脂のペンタット分率とは、13C−NMRにより求めたプロピレン単位が5個並んだ割合のことであって、結晶化度あるいは立体規則性の尺度として用いられている。主に表面の耐擦傷性を決定付ける重要な要因の一つであり、基本的にはペンタット分率が高いほどシートの結晶化度が高くなるため、耐擦傷性に優れた透明樹脂層4とすることができる。
なお、透明樹脂層4には、必要に応じて既存の熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を添加することもできる。
接着剤層7としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などが挙げられ、一般的には、イソシアネートを用いたポリオールとの反応の2液効果タイプのウレタン系を用いることが好ましい。
隠蔽層8としては、基本的には絵柄模様層3と同じ材料から構成することができるが、隠蔽性を持たせることを目的としているので、顔料としては不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また隠蔽性を向上させるために金、銀、銅、アルミ等の金属を添加することも可能である。一般的にはフレーク状のアルミを添加させることが多い。
本発明の化粧シート1を形成するに当たり、積層方法は特に限定するものではなく、熱圧を応用した方法、押し出しラミネート方法およびドライラミネート方法などの一般的に用いられる方法から適宜選択して形成することができる。エンボス模様4aを形成する場合には、一旦、前記積層方法によってラミネートした後に熱圧によってエンボス模様4aを入れる方法または冷却ロールに凹凸模様を設けて押し出しラミネートと同時にエンボス模様4aを形成することができる。
第2実施形態の化粧シート1においては、原反層2は印刷作業性、コストなどを考慮して100μm〜300μm、接着剤層7は1μm〜20μm、透明樹脂層4は20μm〜200μm、トップコート層5は3μm〜20μmとすることが望ましく、化粧シート1の総厚は130μm〜500μmの範囲内とすることが好適である。
以上のように、本発明の化粧シート1においては、原反層2が1軸延伸加工または2軸延伸加工を施されていることにより、高剛性・低伸長な原反層2とすることができるので、化粧シート表面に対する垂直方向の押圧を受けても凹みが生じにくく、凹み耐性に優れた化粧シート1を提供することができる。さらに、原反層2の厚さを100〜300μmと、従来の化粧シートが備える原反層よりも厚く形成することにより、仮に、化粧シート1の一部分に集中的な押圧を受けた場合においても、当該押圧によって生じた凹み変形を原反層2の厚さ内において吸収することができるので、化粧シート1が貼り付けられている基材Bに圧痕が形成されることを防止することができる。
また、当該原反層2を構成する樹脂組成物に対して、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加することで、樹脂組成物中における無機フィラーが二次凝集することを防止して、無機フィラーを50〜70重量%という高い充填率にて添加することを可能とするので、樹脂組成物の樹脂材料の一部を、樹脂材料よりも安価な無機フィラーに置換して化粧シート1の低廉化を図ることができる。
その上、超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して、樹脂組成物内における無機フィラーの二次凝集を抑制し、無機フィラーを均一に分散させることができるので、二次凝集に起因する樹脂組成物の機械的強度の低下や耐後加工性の悪化が生じることがなく、機械的強度・耐後加工性に優れた化粧シート1を提供することができる。特に、当該分散剤内包ベシクルをリン脂質からなる外膜を具備するリポソームとすることにより、ポリオレフィン系樹脂と分散剤内包ベシクルとの相溶性を極めて良好なものとすることができるので、樹脂組成物中において優れた分散性を実現することができる。
この他にも、本発明の化粧シート1においては、当該樹脂組成物に対して、顔料を添加することにより、優れた隠蔽性を備えた化粧シート1とすることができる。
以下に、本発明の化粧シート1の具体的な実施例について説明する。
まずは、ベシクルの具体的な調製方法手順について説明する。ベシクルの調製は、60℃に保たれた高圧ステンレス容器にメタノールを35.5重量%、分散剤を27重量%、リン脂質としてのホスファチジルコリン2重量%の割合で入れて密閉し、容器内の圧力が20MPaになるように二酸化炭素を注入して超臨界状態とし、激しく攪拌混合しながらイオン交換水を35.5重量%注入し、温度と圧力を保ちながら15分間攪拌混合後、二酸化炭素を排出して大気圧に戻し、超臨界逆相蒸発法によりリン脂質からなる外膜を具備する分散剤リポソームを得た。
<実施例1>
実施例1においては、分散剤として12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムを用いた分散剤内包ベシクル、無機フィラーとして平均粒子径2.0μmの炭酸カルシウムを高密度ポリエチレンと同重量で配合した樹脂組成物に対して、2軸延伸加工を施した厚さ100μmの原反層2を具備する化粧シート1とした。
具体的には、MFR(メルトフローレート)が0.8g/10min(190℃)の高密度ポリエチレン(ハイゼックス5305E;プライムポリマー社製)41.5重量%に対して、上述の分散剤内包ベシクル17重量%と、炭酸カルシウム(ソフトン1000;白石カルシウム株式会社製)41.5重量%とを添加して噛合い型2軸押出機を用いて溶融混練した後ストランドカット法によりペレタライズを実施し、樹脂組成物のペレットを得る。この樹脂組成物のペレットを単軸押出機による溶融製膜にてTダイを用いて押出し、膜厚200μmの樹脂シートを成膜した。得られた当該シートを2軸延伸機にて100μmの厚さまで延伸して、原反層2としての原反シート2とした。次いで、当該原反シート2の一方の面に2液硬化型ウレタンインキ(V180:東洋インキ製造(株)製)にて絵柄印刷を施して絵柄印刷層3を形成し、また、原反シート2の他方の面にプライマーコートを施してプライマー層6を形成した。しかる後、原反シート2の絵柄印刷層3を形成した一方の面側に対して、下記の厚さ80μmの透明樹脂シート4からなる透明樹脂層4をドライラミネート用接着剤(タケラックA540:三井化学工業製;塗布量2g/m2 )による接着剤層7を介してドライラミネート法にて貼り合わせた。次に貼り合わせたシートの透明樹脂層4の上面に、エンボス用の金型ロールを用いてプレスしてエンボス模様4aを施した後、そのエンボス模様4a面上に2液硬化型ウレタントップコート(W184:DICグラフィックス社製)を塗布量3g/m2にて塗布してトップコート層5を形成して図2に示す総厚184μmの化粧シート1を得た。
なお、透明樹脂層4としての透明樹脂シート4は、ペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶化ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)を0.05重量%と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)を0.2重量%と、ヒンダードアミン系光安定剤(キマソーブ944:BASF社製)を0.2重量%とを添加した樹脂を溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層4として使用する厚さ80μmの高結晶性ポリプロピレン製の透明樹脂シート4とされている。また、製膜された透明樹脂シートの両面にはコロナ処理が施されており、表面の濡れが40dyn/cm以上とされている。
<実施例2>
実施例2においては、MFR(メルトフローレート)が0.8g/10min(190℃)の高密度ポリエチレン(ハイゼックス5305E;プライムポリマー社製)50重量%に対して、分散剤として12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムを用いた分散剤内包ベシクル、無機フィラーとして平均粒子径2.0μmの炭酸カルシウム50重量%を配合した樹脂組成物に対して、2軸延伸加工を施した厚さ200μmの原反層2を具備する化粧シート1とした。その他の構成については、実施例1と同様である。
<比較例1>
比較例1においては、MFR(メルトフローレート)が0.8g/10min(190℃)の高密度ポリエチレン(ハイゼックス5305E;プライムポリマー社製)50重量%に対して、分散剤として12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムを用いた分散剤リポソーム、無機フィラーとして平均粒子径2.0μmの炭酸カルシウム50重量%を配合した樹脂組成物に対して、2軸延伸加工を施さない厚さ100μmの原反層2を具備する化粧シート1とした。その他の構成については、実施例1と同様である。
<比較例2>
比較例2においては、MFR(メルトフローレート)が0.8g/10min(190℃)の高密度ポリエチレン(ハイゼックス5305E;プライムポリマー社製)50重量%に対して、分散剤を添加せず、無機フィラーとして平均粒子径2.0μmの炭酸カルシウム50重量%を配合した樹脂組成物に対して、2軸延伸加工を施さない厚さ100μmの原反層2を具備する化粧シート1とした。その他の構成については、実施例1と同様である。
上記実施例1、2および上記比較例1、2で得られた各々化粧シート1について、引張試験、デュポン衝撃試験、キャスター試験、Vカット曲げ加工適正試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
なお、各試験は下記の条件にて行った。
<引張試験>
つかみ具距離:90mm
引張速度:50mm/min
<デュポン衝撃試験>
500gおよび1000gの錘を50cmの高さから自由落下させて、その際の落下点の亀裂・割れの有無による点衝撃強度を判定する。
<キャスター試験>
各化粧シート1を基材Bとしての中質繊維板(MDF)の表面にそれぞれ貼り付け、鉄車輪25kgを用いて、化粧シート1の上から10cmの距離を1000往復させ、その際に基材BとしてのMDFに対して凹みが認められたか否かを判定する。
<Vカット曲げ加工適性試験>
温度条件:常温(25℃)
曲げ角度:90度
また、表1における記号の説明は、下記の通りである。
<表1の記号の説明>
(デュポン衝撃試験)
○:亀裂・割れなどの損傷が生じなかった
×:顕著な亀裂・割れが生じた
(キャスター試験)
○:MDFに凹みは認められなかった
×:MDFに顕著な凹みが認められた
(Vカット曲げ加工適正試験)
○:白化・亀裂などが認められなかった
×:化粧シートとして容認できない白化・亀裂が認められた
引張試験の結果は、表1に示すように、実施例1,2および比較例1の化粧シート1において、化粧シートに要求される引張弾性率500MPa以上2000MPa以下、かつ、引張破断伸度200%以上の条件を満たしていた。比較例2の化粧シート1については、化粧シートに要求される引張弾性率および引張破断伸度を満たしていなかった。これは、分散剤内包ベシクルを添加したか否かの違いであり、この結果から、分散剤内包ベシクルを添加することによって、樹脂材料に対して無機フィラーを添加した場合においても優れた引張強度を実現できることが明らかとなった。
デュポン衝撃試験の結果は、表1に示すように、実施例1,2の化粧シート1においては、500gおよび1000gのいずれの錘を落下させた場合においても、落下点に亀裂・割れは認められなかった。比較例1の化粧シート1においては、500gの錘については落下点に亀裂・割れは認められなかったが、1000gの錘については落下点に亀裂・割れが認められた。なお、比較例2の化粧シート1においては、500gおよび1000gの錘の両方の落下点で亀裂・割れが認められた。この結果から、原反フィルム2に対して2軸延伸加工を施すことにより、優れた点衝撃強度を有する化粧シート1が得られることが明らかとなった。
キャスター試験の結果は、表1に示すように、実施例1,2の化粧シート1を貼り付けた基材BとしてのMDFの表面には凹みが認められなかった。これに対して、比較例1,2の化粧シート1を貼り付けた基材BとしてのMDFの表面には、顕著な凹みが認められた。この結果から、原反フィルム2に対して2軸延伸加工を施すことにより、優れた凹み耐性を有する化粧シート1が得られることが明らかとなった。
Vカット曲げ加工適性試験の結果は、表1に示すように、実施例1,2および比較例1の化粧シート1において白化・亀裂などが生じることなくVカット曲げ加工を行うことができた。比較例2の化粧シート1においては、化粧シートとして容認することができない白化・亀裂が認められた。この結果から、分散剤内包ベシクルを添加することによって、優れた耐加工性を維持しながら、樹脂材料の一部を無機フィラーに置換することが可能であることが明らかとなった。
以上の検討結果から、分散剤内包ベシクルを添加することにより、樹脂組成物に対して多量の無機フィラーを添加した場合においても、当該分散剤内包ベシクルが高分散する作用によって無機フィラーの二次凝集を防止し、化粧シートに要求される引張強度および耐後加工性を備えた化粧シート1を得ることができることが明らかとなった。
また、原反シート2に対して延伸加工を施すことにより、樹脂組成物中の鎖状分子が延伸方向に配向するため、延伸方向に対する伸びが小さくなるとともに原反シート2自身の剛性が向上して、耐屈性および耐衝撃性に優れた化粧シート1を得ることができることが明らかとなった。
以上の結果から、実施例1、2における化粧シート1は、優れた耐凹み性および耐衝撃性を備えるとともに、化粧シートに要求される引張強度および耐後加工性を損なうことなく樹脂材料の一部を無機フィラーに置換して低廉化を実現した化粧シート1であるといえる。
本発明の化粧シート1および化粧シート1の製造方法は、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
1 化粧シート
2 原反層
3 絵柄模様層
4 透明樹脂層
4a エンボス模様
5 トップコート層
6 プライマー層
7 接着層
8 隠蔽層
B 基材

Claims (5)

  1. 複数の樹脂層からなり、
    前記樹脂層のうちの1層が、ポリオレフィン系樹脂を主成分として無機フィラーが50〜70重量%の割合で添加された樹脂組成物から構成され1軸延伸加工または2軸延伸加工が施された厚さ100〜300μmの原反層
    とされた化粧シートであって、
    前記原反層は、前記樹脂組成物に、さらに超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して形成したことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記樹脂組成物には、顔料が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンもしくはポリプロピレンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記無機フィラーが、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 複数の樹脂層からなる化粧シートの製造方法であって、
    前記樹脂層のうちの1層を、主成分とするポリオレフィン系樹脂に50〜70重量%の割合で無機フィラーを添加するとともに超臨界逆相蒸発法によってベシクルに分散剤を内包させた分散剤内包ベシクルを添加して形成した樹脂組成物に対して、1軸延伸加工または2軸延伸加工を施した厚さ100〜300μmの原反層として形成することを特徴とする化粧シートの製造方法。
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