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JP6643696B2 - リニアフィーダ - Google Patents

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JP6643696B2 JP2015178223A JP2015178223A JP6643696B2 JP 6643696 B2 JP6643696 B2 JP 6643696B2 JP 2015178223 A JP2015178223 A JP 2015178223A JP 2015178223 A JP2015178223 A JP 2015178223A JP 6643696 B2 JP6643696 B2 JP 6643696B2
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Description

本発明は、振動を利用して部品等を搬送するリニアフィーダに関するものである。
従来より、直線状をなす長尺のトラフ(搬送台またはシュートとも称される)に振動を与えることで、トラフ上に設定された搬送路に沿って被搬送物を搬送方向下流側へ供給可能なリニアフィーダが知られている。
この種のリニアフィーダとしては、固定台(固定部)と、トラフが接続された可動台(可動部)と、固定部及び可動部を相互に連結し且つ固定部に対して可動部を弾性支持する駆動用バネと、加振源とを備え、加振源から与えられる加振力によって駆動用バネを直接または間接的に起振させると、可動部及び固定部は相対的に振動し、この振動は可動部と一体的に連結されたトラフに伝達され、これによりトラフ上に設定された搬送路上で被搬送物を振動搬送する装置が知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
従来のリニアフィーダでは、例えば図31に模式的に示すように、駆動用バネ104として板状のバネ(板バネ)が適用され、このような駆動用バネ104が、相互に離間した搬送方向上流側の所定位置と搬送方向下流側の所定位置とに対にして配置されている。なお、搬送方向はトラフ102の長手方向と同一方向である。
これら一対の駆動用バネ104は、それぞれ厚み方向を搬送方向と一致させた姿勢で配置されている。また、一対の駆動用バネ104は、トラフ102の搬送路上における被搬送物のピッチング現象やローリング現象等の挙動を防止・抑制すべく、所定の傾斜姿勢で配置されている(図31参照)。
そして、加振源(図示省略)から与えられる加振力によって、可動部103及び固定部101が駆動用バネ104を介して互いに逆方向に振動し、これによって可動部103に接続されているトラフ102が長手方向に振動し、被搬送物が搬送方向に沿って下流側へ搬送される。
特開2012−066931号公報(特許第5741993号) 特開2015−101430号公報
上述のように、従来のリニアフィーダでは、加振源によって駆動用バネを直接又は間接的に起振させて、駆動用バネ自体を撓ませながら可動部及び固定部の両者に相対変位を行わせることができるように構成されている。
したがって、このような構成であれば、図32に模式的に示すように、一対の駆動用バネ104がS字形に撓み変形することによって可動部103及び固定部101も撓み、その結果、可動部103に対して一体的に動作するように固定されているトラフ102も撓むことになり、搬送速度にムラが生じる等、安定した搬送処理に支障を来す場合があると考えられる。特に、振動時(通電ON状態)においてS字変形する駆動用バネ104を用いた従来のリニアフィーダにおいて、高速振動搬送を実現するために振動周波数を高くすべく、駆動用バネ104の厚み寸法を大きく設定する(分厚くする)ほど、トラフの撓みがより一層大きくなると考えられる。
そこで、このような駆動用バネ104のS字変形を考慮した上で可動部103及び固定部101を高い精度で加工製作することによって、トラフ102の撓みを軽減する対策が講じられている場合もあるが、可動部103及び固定部101の加工精度が低い場合には、駆動用バネ104が歪み、それがトラフ102の撓みの要因となり得る。
さらにはまた、従来のリニアフィーダでは、駆動用バネがS字状に変形するため、例えば弓状に変形するバネと比較すると、変形前の時点から最大に変形した時点までの変位量が半分程度であり、振動減衰も大きいため共振による振動増幅率も少なく、効率の点で改善の余地があると考えられる。
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、主たる目的は、従来のリニアフィーダとは全く異なる振動原理で長尺のトラフを長手方向に振動させることを実現し、特に、トラフ上の被搬送物を安定した搬送速度で搬送可能なリニアフィーダを提供することにある。
すなわち本発明のリニアフィーダは、直線状に延伸するトラフに振動を与えて、トラフ上に載置された被搬送物をトラフの長手方向に沿って搬送するリニアフィーダに関するものである。ここで、被搬送物としては、例えば微小サイズの電子部品(ワーク)等を挙げることができるが、本発明のリニアフィーダによって搬送可能なものであれば特に限定されない。
そして、本発明に係るリニアフィーダは、床面上に直接または間接的に固定される固定部と、上端部にトラフを固定した可動部と、固定部と可動部とを連結する支持バネと、一端側に設定した可動部に対する取付部、当該取付部から高さ方向に延伸する柱部、及び自由端である他端側に設定したウェイト部を有し、且つ振り子運動を行う振動子と、振動子を振動させる加振源とを備え、加振源を稼動させることによって、振動子が振り子運動を行うことで可動部及びトラフが被搬送物を搬送するように振動することを特徴としている。
このような本発明に係るリニアフィーダであれば、加振源によって振動子を振動させると、ウェイト部を有する他端側を自由端に設定した振動子のうち柱部が、可動部に取り付けた取付部を支点にしてばねのように振る舞い、振動子全体が振り子運動を行うことで振動し、その反作用で可動部が振動し、可動部の上端部に固定したトラフにその振動が伝達する。その結果、直線状に延伸するトラフが振動し、トラフ上に載置された被搬送物をトラフの長手方向に沿って搬送することができる。なお、振動子は、水平面に直交する面(鉛直面)内、または鉛直面に近い面(鉛直面と見なせる面)内において振り子運動を行い、この振り子運動時に往復動する振動子の自由端の移動軌跡(振動子の往復軌跡)が、平面視した場合、トラフの長手方向と平行または略平行となるように設定することで、長尺のトラフ上に載置された被搬送物をトラフの長手方向に沿って振動搬送することができる。
また、本発明において、固定部が直接または間接的に固定される「床面」は、人が歩く床面はもちろんのこと、リニアフィーダを載置する台の載置面も包含する概念である。このような床面に固定された固定部は、支持バネによって可動部を弾性支持しているため、振動子の振り子運動時にも撓み変形することなく静止している。
このように、本発明に係るリニアフィーダは、振動子の振り子動作を利用した振動によってトラフ上の被搬送物を搬送するというこれまでに着想されることのなかった斬新な振動原理を採用したことによって、従来のリニアフィーダで採用されていた一対の駆動用バネをS字形に撓み変形させる構成であれば必然的に生じる可動部及び固定部の撓み、ひいてはトラフの撓みを回避・抑制することが可能であり、トラフの撓みに伴う搬送速度のばらつき等の不具合を防止・抑制することができ、安定した搬送処理を実現することができる。
特に、本発明に係るリニアフィーダであれば、振動子の振動に伴って曲げ変形や撓み変形が生じない可動部及びトラフの振動周波数を、振動子の振動周波数を変更することで容易に変更することができ、従来のリニアフィーダでは困難であった例えば1000Hz乃至2000Hz等の高周波振動搬送も可能になり、搬送処理速度の高速化を図ることができる。
また、本発明に係るリニアフィーダであれば、トラフの曲げ撓み現象が生じないか、ごく僅かに生じる程度であるため、トラフの長手寸法を大きく設定しても被搬送物を安定して搬送することができる。とりわけ、本発明に係るリニアフィーダであれば、従来のリニアフィーダであればトラフの撓み変形が顕著になる高い周波数域の振動であっても、トラフの撓み変形が生じないか、生じても従来装置と比べればごく僅かな撓み変形に抑制することができるため、トラフの長手寸法を大きく設定することが可能になる。
駆動用バネの歪みがトラフの撓みの要因となり得る従来のリニアフィーダであれば要求される可動部及び固定部に対する高い精度の加工製作が、本発明に係るリニアフィーダには特段要求されないため、この点でも有利である。
さらに、本発明に係るリニアフィーダであれば、振り子運動を行う振動子のうち柱部がS字状に変形するのではなく、弓状に変形するため、S字状に変形する駆動用バネを用いた従来のリニアフィーダと比較して、変形前の時点から最大に変形した時点までの振動子の変位量(ばねのように振る舞う柱部の変位量)を格段に大きくすることができ、振動減衰も少なく、共振による振動増幅率も高くなり、効率の向上を図ることができる。
本発明に係るリニアフィーダは、単数の振動子を備えたものであってもよいし、複数の振動子を備えたものであってもよい。特に、本発明に係るリニアフィーダにおいて、振動子の振り子運動による円弧運動から、可動部及びトラフに直線的な振動を効率良く伝達することが可能な構成としては、一対の振動子を一組または複数組備え、各組における各振動子を、互いに天地逆向きに配設している構成を挙げることができる。つまり、本発明に係るリニアフィーダにおいて、ウェイト部の位置が相互に天地逆となる姿勢となるように各組における各振動子の取付部を可動部に固定することによって、各組における各振動子の円弧運動が合成されて回転モーメントが打ち消し合う結果として直線的な振動が生じ、この振動が可動部及びトラフに伝わり、トラフ上の被搬送物を搬送可能な安定した振動を得ることができる。すなわち、本発明に係るリニアフィーダは、直線状に延伸するトラフに振動を与えて、当該トラフ上に載置された被搬送物を当該トラフの長手方向に沿って搬送するものであって、床面上に直接または間接的に固定される固定部と、上端部にトラフを固定した可動部と、固定部と可動部とを連結する支持バネと、一端側に設定した可動部に対する取付部、当該取付部から高さ方向に延伸する柱部、及び自由端である他端側に設定したウェイト部を有し、且つ振り子運動を行う振動子と、振動子を振動させる加振源とを備え、加振源を稼動させることによって振動子、可動部及びトラフが被搬送物を搬送するように振動し、一対の振動子を一組または複数組備え、各組における各振動子が、ウェイト部の位置が相互に天地逆となる姿勢となるように取付部を可動部に固定していることを特徴としている。
特に、本発明に係るリニアフィーダでは、複数の振動子をトラフの長手方向、高さ方向、または幅方向から選択される一以上の方向に沿って並べて配置することができる。例えば、リニアフィーダの低背化を図る場合には、複数の振動子をトラフの長手方向または幅方向に沿って並べて配置すればよく、リニアフィーダの幅方向におけるコンパクト化を図る場合には、複数の振動子をトラフの長手方向または高さ方向に沿って並べて配置すればよい。
本発明に係るリニアフィーダでは、可動部として、上端部にトラフを固定し、且つ振動子の取付部が取付可能なものであればよく、好適な具体例としては、トラフの幅方向から振動子を挟む位置に配置される一対の側板を備えた可動部や、内部空間に振動子を収容する筐体を備えた可動部を挙げることができる。特に、内部空間に振動子を収容する筐体を用いて構成した可動部を適用したリニアフィーダであれば、振り子運動を行う振動子を筐体の内部空間に収容することによって、防音性・遮音性が向上する。
本発明に係るリニアフィーダは、固定部と可動部を連結する支持バネの傾斜角度次第でトラフの振動方向を任意の方向に設定することができる。したがって、本発明において、固定部と可動部を連結する板状をなす支持バネを、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢と、当該鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢に変更可能に構成すれば、被搬送物の種類や形状、仕様等の諸条件を考慮して、最適なトラフの振動方向を選択・設定することができる。このように、本発明に係るリニアフィーダでは、支持バネが、振動角度調整用バネとして機能し、支持バネの角度を変更することで、トラフの振動方向を変更することができる。
本発明に係るリニアフィーでは、振り子運動を行う振動子のうち一端側に設定した取付部を可動部に取り付け、振動子の振動を可動部及びトラフに伝達して、トラフ上の被搬送物を所定のトラフの長手方向に搬送するという斬新な構成を採用したことによって、構造の複雑化を招来することなく、トラフに曲げ撓みが伝達する従来の不具合を解消し、安定した振動搬送を実現可能なリニアフィーダを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るリニアフィーダの側面図。 同実施形態に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 同実施形態において支持バネを傾斜姿勢に設定したリニアフィーダの図1対応図。 図1から振動子及び加振源のみを抽出して示す図。 図2から振動子及び加振源のみを抽出して示す図。 同実施形態における振動子の振り子運動を模式的に示す図。 同実施形態に係るリニアフィーダにおいて直進振動が発生する原理図。 板バネの変形の違いによって板バネに対する圧電素子の付帯面積が異なることを説明する模式図。 板バネの変形の違いによって板バネの変位量が異なることを説明する模式図。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同変形例に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同変形例に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同実施形態における振動子の一変形例。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同変形例に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同変形例に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 同実施形態に係るリニアフィーダの一変形例の側面図。 同変形例に係るリニアフィーダを一部省略して示す正面図。 従来のリニアフィーダを模式的に示す側面図。 従来のリニアフィーダの振動時を模式的に示す図31対応図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、直線状に延伸するトラフTに振動を与えて、トラフT上に載置された被搬送物(図示省略)をトラフTの長手方向Hに沿って搬送するものである。被搬送物としては、極小サイズの電子部品等を挙げることができるが、振動によってトラフT上を搬送可能なものであれば特に限定されない。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図1及び図2(図1はリニアフィーダXの側面図であり、図2はリニアフィーダXを図1の矢印A方向から見た図(正面図)である。)に示すように、固定部1と、上端部にトラフTを固定した可動部2と、固定部1と可動部2とを連結する支持バネ3と、一端側に設けた取付部41を可動部2に固定し且つ取付部41における所定のポイントを支点として振り子運動を行う振動子4と、振動子4を振動させる加振源5とを備え、加振源5を稼動させることで振動子4を振動させて、振動子4に直接固定している可動部2、及び可動部2に固定しているトラフTが被搬送物を搬送するように振動するものである。ここで、直線状に延伸するトラフTの長手方向Hに沿った一方向と、トラフT上を搬送する被搬送物の搬送方向は一致する。
トラフTは、長尺ブロック状をなし、横断面V字形状をなすように形成された一対の傾斜面によって、被搬送物を搬送するための搬送面T1を構成している。つまり、長手方向に延伸する一対の傾斜面からなる搬送面T1が、被搬送物の搬送路として機能する。本実施形態では、トラフTの上面に搬送面T1(搬送路)を形成している。
固定部1は、床面上に直接または間接的に固定されるものである。本実施形態では、床面上に固定される取付ブロック11によって固定部1を構成している。固定部1を構成する取付ブロック11は、カウンターウェイト(振動調整用ウェイト)としても機能するものである。本実施形態では、例えばネジ(図示省略)によって取付ブロック11を床面に固定している。
可動部2は、トラフTの幅方向Wにおいて対向する位置に配置した一対の側板21を備えたものである。本実施形態では、側板21の上端部同士を連結板22によって連結している。したがって、可動部は、左右一対の側板21及び連結板22を備えたものである。側板21は、略矩形状をなし、板厚方向(厚み方向)をトラフTの幅方向Wに一致させた姿勢で配置され、搬送方向(トラフTの長手方向)に沿った寸法をトラフTの長手寸法よりも短く設定したものである。このような側板21の上端部同士を連結する連結板22は、側板21の内向き面(対向配置した側板21同士が向き合う面)同士の間に挟まれる姿勢で配置され、ネジN1によって側板21と一体的に固定されている。これら一対の側板21及び連結板22によって囲まれる空間、つまり可動部2の内部空間は、後述する振動子4の配置スペースとして利用している。
本実施形態では、連結板22の幅寸法をトラフTの幅寸法よりも長く設定し(図2参照)、連結板22の上向き面にトラフTを載置した状態でトラフTの上方から連結板22に挿通させたネジN2によって、トラフTを連結板22に固定している(図1参照)。図2ではネジN2を省略している。また、本実施形態では、図2に示すように、可動部2の幅寸法(一方の側板21の外向き面から他方の側板21の外向き面までの寸法)を固定部1の幅寸法に略一致させている。
支持バネ3は、固定部1に設けたバネ第1取付部1aに一端を固定し、可動部2に設けたバネ第2取付部2aに他端を固定したものである。本実施形態では、薄板状の板バネで構成した支持バネ3を、その板厚方向(厚み方向)をトラフTの長手方向Hと一致させて姿勢で配置している。また、本実施形態では、バネ第1取付部1aをネジN3によって固定部1に固定するとともに、バネ第2取付部2aをネジN4によって可動部2に固定している。本実施形態では、図1及び図3に示すように、固定部1に、ネジN3の数よりも多いネジ孔を形成し、ネジN3を螺合するネジ孔を適宜選択・変更することによって、固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更可能に構成している。固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更する場合には、バネ第2取付部2aを固定しているネジN4を緩めておくことで、固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更させる処理に伴って、支持バネ3を介してバネ第1取付部1aに連結しているバネ第2取付部2aを、ネジN4を枢支点として回転させることができる。そして、バネ第1取付部1aをネジN3によって固定部1に固定した後に、ネジN4を締め付け直すことでバネ第2取付部2aを可動部2に対して相対移動不能に固定することができる。本実施形態では、可動部2を構成する側板21の外向き面にバネ第2取付部2aをネジN4によって固定するとともに、固定部1のうち、可動部2の側板21の外向き面と略面一となる側面にバネ第1取付部1aをネジN3によって固定している。
以上のように、本実施形態のリニアフィーダXは、板状をなす支持バネ3を、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢(図1参照)と、鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢(図3参照)に変更可能に構成している。
振動子4は、図4及び図5(図4、図5は、それぞれ図1、図2に示すリニアフィーダXから振動子4及び加振源5を抽出した図である。)に示すように、一端側に設けられ且つ可動部2に対して固定可能な取付部41と、取付部41から高さ方向に延伸する柱部42と、自由端である他端側に設定したウェイト部43とを備えたものである。振動子4は、柱部42の両端部に、トラフTの長手方向Hに延伸する第1鍔部44及び第2鍔部45を備え、何れか一方の鍔部(本実施形態では、トラフTの長手方向Hに沿った寸法が相対的に短い方の第1鍔部44)によって取付部41を構成し、他方の鍔部(本実施形態では、トラフTの長手方向Hに沿った寸法が相対的に長い方の第2鍔部45)によってウェイト部43の一部を構成している。
本実施形態では、可動部2のうち側板21の内向き面に振動子4の取付部41を固定するように設定している。本実施形態のリニアフィーダXでは、取付部41を構成する第1鍔部44として、図5に示すように、振動子4の他の部分(柱部42やウェイト部43)よりもトラフTの幅方向W(平面においてトラフTの長手方向Hに直交する方向)において所定寸法分だけ突出し、柱部42、第2鍔部45及びウェイト部43よりも優先して可動部2の内向き面(側板21の内向き面)に接触する突出端面441を有するものを適用している。そして、突出端面441を側板21の内向き面に接触させた状態で、側板21の外向き面側から挿入したネジN5を、取付部41に形成したネジ孔442に螺合させることによって、振動子4を可動部2に固定している(図1及び図2参照)。したがって、取付部41のうち可動部2の内向き面(側板21の内向き面)に接触している面である突出端面441が振動子4の固定面として機能する。本実施形態では、板厚方向(厚み方向)をトラフTの幅方向Wに一致させた姿勢で対向配置した一対の側板21同士の間に振動子4を挟んだ姿勢で、振動子4を可動部2に固定している。なお、取付部41を構成する第1鍔部44の幅寸法は、可動部2を構成する連結板22の幅寸法と同一または略同一である(図2参照)。
特に、本実施形形態のリニアフィーダXでは、高さ方向に延伸する柱部42に対して、取付部41を構成する第1鍔部44をトラフTの長手方向Hに延伸する形状に設定し、第1鍔部44及び柱部42が全体として側面視T字形状をなすように設定している。したがって、可動部2の内向き面(側板21の内向き面)に接触している面である突出端面441もまた、トラフTの長手方向Hに沿って延伸した面である。本実施形態では、取付部41を構成する第1鍔部44のうち、トラフTの長手方向Hに沿った両端に近い位置にネジ孔442を形成している。これらネジ孔442の形成箇所は、柱部42の軸中心(後出の図6に示す想像線L1)から外れた位置にある。
本実施形態の振動子4は、取付部41を構成する第1鍔部44と、ウェイト部43の一部を構成する第2鍔部45と、柱部42とを一体に形成している。
ウェイト部43は、振動子4のうち自由端である他端側に設定したものである。本実施形態では、上述の第2鍔部45と、第2鍔部45とは別体のウェイト部本体46とを備えたウェイト部43を適用している。
ウェイト部本体46は、第2鍔部45のうち長手方向両端部において第1鍔部44に対向する面に接触させた状態でネジN6によって固定されたものである。ウェイト部本体46は、高さ方向に沿った一方の端面を第2鍔部45に接触させた状態で固定され、この固定状態において、高さ方向に沿った他方の端面が第2鍔部45よりも第1鍔部44に近寄った位置となる。そして、ウェイト部本体46を第2鍔部45に固定する際のネジN6の取付方向(螺合進退方向)を、トラフTの延伸方向(長手方向H)以外の方向に設定している。具体的には、ネジN6の取付方向(螺合進退方向)を高さ方向に設定している。第2鍔部45のうち長手方向両端部には、それぞれ左右一対のネジ挿通孔を形成し、1つのウェイト部本体46を2本のネジN6で固定している(図5参照)。ウェイト部本体46には、ネジ孔を形成しておき、第2鍔部45のネジ挿通孔から挿入したネジN6をウェイト部本体46のネジ孔に螺合させて固定している。各ネジ挿通孔には、ネジ頭を収容可能な凹部を形成し、ネジ頭が外部に突出して露出しないように設定している。
このように、本実施形態では、振動子4のうち自由端である他端側に設けた第2鍔部45及びウェイト部本体46を用いてウェイト部43を構成している。また、柱部42のうち第2鍔部45近傍の部分は自由端であり、当該部分もウェイト部43の一部を構成するパーツとして捉えることができる。
そして、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、図6に示すように、取付部41のうち、柱部42の軸中心(柱部42の厚み方向(トラフTの長手方向Hと同一方向)の中心であり、同図において1点鎖線で示す線L1)に一致するポイントを支点として振動子4が振り子運動を行うように設定している。この際、振動子4の柱部42が、素材自体の弾性を利用してばねのように振る舞う。振り子運動を行う振動子4の振動方向は平面視した場合、トラフTの長手方向Hと平行である。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図4及び図5に示すように、振動子4を振動させる加振源5を、板状をなす柱部42のうちトラフTの延伸方向を向く一対の対向面にそれぞれ設けた圧電素子5によって構成している。本実施形態では、柱部42の対向面のうち上下端近傍領域を除く大半の領域を被覆し得るサイズの圧電素子5を適用している(図5参照)。そして、柱部42の対向面にそれぞれ設けた圧電素子5を伸縮させる(例えば、圧電素子5に正弦波状の電圧を印加して周期的な伸びを生じさせる)ことによって、柱部42が、可動部2に対する振動子4の固定面である取付部41のうち柱部42の軸中心L1が通る位置を支点として全体的に弓状に撓み、振り子動作を行う。その結果、振動子4は、ウェイト部43の重量も相俟って適度な振り子動作を行い、振動子4の振動が発生する。ここで、柱部42の厚み寸法(柱部42の厚み方向(図4等に示す矢印H方向と同一方向)に沿った寸法)を変えることで振動周波数を容易に変えることができる。また、柱部42の厚み寸法を大きく設定して高周波振動(例えば1000Hz乃至2000Hz)を発生させた場合であっても、可動部2に対する振動子4の固定面である突出端面441のうち振動する柱部42の支点から外れた位置に形成したネジ孔442に固定用ネジN5を螺合して、振動子4を可動部2に固定しているため、振り子運動時における柱部42の大きな撓みを好適に支えることができる。また、柱部42が弓形に撓み変形して振動減衰が少なく、共振による振動増幅率が大きいため、所望の振幅を得るために必要な圧電素子5の枚数を少なくすることも可能である。圧電素子5は、例えば貼付処理等の適宜の処理によって柱部42の対向面に固定されている。トラフTの長手方向Hにおいて、圧電素子5とウェイト部43(具体的にはウェイト部本体46)との間には所定の隙間を確保し、圧電素子5とウェイト部43が相互に干渉する事態を回避している(図4及び図6参照)。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、上述した振動子4を対にして設け、これら1組の振動子4(振動子4のペア)をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配置している。そして、各振動子4は、ウェイト部43の位置が相互に天地逆となる姿勢で取付部41を共通の可動部2に固定している。つまり、各振動子4を互いに天地逆向きに配設している。各振動子4は、相互に同じ構造である。なお、本実施形態に係るリニアフィーダXの正面図である図2では、線図が極端に煩雑になることを回避するために、一対の振動子4のうち、図1における紙面向かって右側の振動子4のみを模式的に示し、図1における紙面向かって左側の振動子4は省略している。図5も同様である。
以上に説明した本実施形態に係るリニアフィーダXは、天地逆向きに配置した一対の振動子4を可動部2のうち一対の側板21同士の間に挟んだ形態で固定し、可動部2のうち連結板22の上向き面にトラフTを固定し、可動部2の下方に支持バネ3を介して固定部1を配置し、振動子4を弾性支持する構成である。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、加振源5が稼動状態(圧電素子5が伸縮するON状態)になると、振動子4が振り子動作を行い、振動することによって、その反作用で可動部2が振動し、その振動がトラフTに伝播してトラフT自体も振動する。具体的には、少なくとも何れか一方の振動子4における加振源5を構成する圧電素子5を伸び縮みさせると、柱部42が撓んで振動し、振動子4全体が、可動部2に固定されている取付部41の所定箇所(柱部42の軸中心L2が通る位置)を支点として自由端側を円弧状に往復移動させる振り子動作を行う。特に、振動子4のうち自由端側にウェイト部本体46を設けているため、振動の反力が大きくなり、振動子4を効率良く振り子動作させることができる。また、1組の振動子4ペアを構成する2つの振動子4のうち、一方の振動子4に付帯させた圧電素子5のみを通電ON状態にし、他方の振動子4に付帯させた圧電素子5は通電OFF状態にした場合であっても、通電OFF状態の圧電素子5を付帯している振動子4は共振によって振動する。
そして、本実施形態に係るリニアフィーダXは、このような振動子4を対にして相互に天地逆向きの姿勢で配置しているため、対をなす振動子4の振動が合成されて直線運動を生み出すことができる。すなわち、一対の振動子4を天地逆に組み合わせると、図7に示すように、振動子4の固定面441は直線振動をする。詳述すると、振り子運動を行う振動子4を対にして相互に天地逆向けの姿勢で可動部2に設け、各振動子4の支点に働く反力の方向が等しく、且つ振動子4が振れる方向が互いに反対方向になると、可動部2には一方向の反力が作用し、各振動子4の支点に働く回転モーメントが相殺し合うため、可動部2を変形させる力を発生させることなく、振動子4の固定面441は直線振動をする。図7では、天地逆向きの姿勢で配置した振動子4がそれぞれ振り子運動を行っている最中のある時点における各振動子4の振動方向と、振動子4の振動によって各振動子4の固定面441が直線振動をする方向を、それぞれ相対的に太い矢印で模式的に示している。図4では、各振動子4の振動方向を矢印で模式的に示しており、同図紙面向かって右側の振動子4の振動方向と、図7に示す一対の振動子4のうち相対的に上側の振動子4の振動方向は同じであり、図4に示す紙面向かって左側の振動子4の振動方向と、図7に示す一対の振動子4のうち相対的に下側の振動子4の振動方向は同じである。
このように、本実施形態に係るリニアフィーダXは、対をなす振動子4の振り子運動が合成されて直線運動になり、振動子4を固定している可動部2、及び可動部2に一体的に設けたトラフTにもこの振動が伝わり、これら可動部2及びトラフTは直線振動を行う。したがって、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、トラフTに対して曲げ撓みが伝わらず、共振する一対の振動子4の振動によって、トラフT上の被搬送物を所定方向に振動搬送可能な安定した振動を得ることができ、搬送速度のムラを低減することができる。
また、本実施形態に係るリニアフィーダXは、可動部2と固定部1を相互に連結する板状の支持バネ3を、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢(図1参照)と、鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢(図3参照)に変更可能に構成しているため、支持バネ3の傾き次第でトラフTの振動方向を任意の方向に設定することが可能である。図3では、支持バネ3を傾斜姿勢に設定した場合におけるトラフTの振動方向TDを模式的に示している。ここで、鉛直姿勢にある支持バネ3を基準姿勢とした場合、支持バネ3が傾倒姿勢に近付くほど、つまり支持バネ3の傾斜角度が基準姿勢の角度である90度よりも大きい角度または小さい角度になるほどトラフTの上下方向の振動ベクトルは大きくなる。
また、本実施形態に係るリニアフィーダXは、トラフTを駆動する駆動部を備え、駆動部を、加振源5、振動子4及び可動部2を用いて構成した態様であると捉えることができる。そして、振動子4の振動周波数を変えることで、トラフTを駆動させる駆動部全体の振動周波数を変えることができ、高周波振動搬送(例えば1000Hz乃至2000Hz)も容易に実現できる。
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、上述の構成を採用したことによってトラフTへの曲げ撓みの影響は少なくなり、トラフTの長手寸法を長く設定した場合であってもトラフTに形成した搬送路T1上の被搬送物を安定して搬送することができる。特に、本実施形態に係るリニアフィーダXは、トラフTの撓みの影響が顕著になる周波数域でも高周波振動搬送が可能である。
加えて、本実施形態に係るリニアフィーダXは、振動子4のうち、ばねのように振る舞う柱部42が弓状に変形するため、面積の大きい圧電素子5を柱部42に貼付等の適宜の手段によって付帯させることができ、振動子4一つあたりの加振力は大きくなる。ここで、図8の紙面向かって左側に、従来のリニアフィーダで適用されていたS字形状に変形させる板バネに対して圧電素子5を貼付可能な部分及び圧電素子5のサイズを極めて模式的に示し(図8(a))、同図の紙面向かって右側に、本実施形態のリニアフィーダXで適用している弓形に変形させる柱部(ばね)に対して圧電素子5を貼付可能な部分及び圧電素子5のサイズを、従来例と比較できるように模式的に示している(図8(b))。
特に、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、振動子4の柱部42が弓状に変形するばねのように振る舞うため、従来のように板バネがS字形状に変形する態様と比較して、変形前の基準状態から最も変形した最大変形状態までの変位量が大きくなる。ここで、図9の紙面向かって左側に、従来のリニアフィーダで適用されていたS字形状に変形させる板バネの基準状態から最大変形状態までの変位量D1を極めて模式的に示し(図9(a))、同図の紙面向かって右側に、本実施形態のリニアフィーダXで適用している弓形に変形させる柱部(ばね)の基準状態から最大変形状態までの変位量D2を、従来例と比較できるように模式的に示している(図9(b))。このように、本実施形態に係るリニアフィーダXは、振動減衰が少なく共振による振動増幅率が大きいため、圧電素子5の枚数が、板バネをS字形状に変形させる従来のリニアフィーダが備える圧電素子の枚数の半分であっても、従来と同等の振幅を得ることができる。このことは、本実施形態における圧電素子5の枚数が、板バネをS字形状に変形させる従来のリニアフィーダが備える圧電素子と同じ枚数なら、電流が従来よりも半分程度で済むことを意味する。
加えて、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、一対の振動子4がそれぞれ独立しているため、これら一対の振動子4の配置箇所が特に制限されることなく、任意の位置に設置することができる。そして、本実施形態に係るリニアフィーダXは、一対の振動子4をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配置しているため、高さ方向におけるコンパクト化(低背化)を実現することができる。特に、本実施形態に係るリニアフィーダXは、各振動子4の振り子運動を確保できる条件を満たせば、トラフTを振動させて被搬送物を搬送することができるため、複数の振動子4を相互に連結するための部品(本実施形態であれば可動部2を構成する側板21)に高い加工精度が要求されないというメリットも得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、ウェイト部43の一部を構成する振動子4の第2鍔部45及びウェイト部本体46が別体である態様を例示したが、第2鍔部とウェイト部本体を一体に備えた振動子を適用することが可能である。自由端側に第2鍔部45とウェイト部本体46を一体に有するウェイト部43を備えた振動子4の一例を図10に示す。
また、ウェイト部の形状や重量は適宜変更することが可能である。例えば、図11に示すように、柱部42の自由端側において、取付部41(第1鍔部44)から離間する方向に延伸する形状のウェイト部43を適用すれば、上述の実施形態で例示した態様と比較して、ウェイト部43の位置を、可動部2に対する振動子4の固定面から離れた位置に設定することができる。
また、図12に示すように、柱部42の軸中心を対称軸として非対称形に設定したウェイト部43を適用することも可能である。なお、図12には、柱部42の厚み方向(同図のH方向と同一方向)に沿った第2鍔部45の寸法を、柱部42の厚み方向に沿った第1鍔部44の寸法よりも短く設定し、その第2鍔部45のうち柱部42の厚み方向を向く面にウェイト部本体46を接触させた状態で固定した態様を例示している。このように、柱部42の厚み方向に沿った第2鍔部45の寸法は適宜変更することができる。図12では、ウェイト部本体46を第2鍔部45に固定するネジを省略している。
ウェイト部として直方体(立方体含む)以外の形状のもの、例えば所定方向から見た形状が円形や部分円形をなすウェイト部や、球状または部分球状をなすウェイト部を採用しても構わない。また、振動子のうち少なくとも柱部とウェイト部の部分が全体としてY字形状、またはマッチ棒形状をなす振動子を適用することも可能である。
さらにはまた、図13に示すように、それぞれ別体である柱部42、取付部41及びウェイト部43を用いて振動子4を構成することもできる。この場合、ネジ等の固定具によって別体のパーツ同士を一体的に組み付けてよいし、適宜の接着処理によって別体のパーツ同士を一体的に固定してもよい。なお、図13には、柱部42の自由端部を厚み方向に挟む位置に配置するウェイト部本体46同士を共通のネジN6で固定した態様を例示している。同図に示す振動子4は、上述の実施形態における第2鍔部45に相当する部分を、柱部42の自由端部と、ウェイト部本体46の一部とによって形成したものであると捉えることができる。
振動子を構成する柱部の高さ方向のサイズや重量によっては、図14に示すように、第2鍔部やウェイト部本体を備えず、柱部42のうち自由端側領域をウェイト部43として機能させるように構成することもできる。
また、上述の実施形態では一対の振動子を一組備えた態様を例示したが、一対の振動子を複数組備え、各組における振動子のペアを互いに天地逆向きに配設した態様を採用することもできる。図15に、一対の振動子4(振動子4のペア)を2組備え、各組におけるそれぞれの振動子4が、ウェイト部43の位置が相互に天地逆となる姿勢となるように取付部41を共通の可動部2に固定したリニアフィーダXを示す。同図に示すリニアフィーダXは、全ての振動子4をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配設しているため、上述の実施形態で例示したリニアフィーダXよりもトラフTの長手寸法を大きく設定することができる。このように、本発明に係るリニアフィーダXであれば、振動子4の数を増加することで、長尺のトラフTを振動させるための駆動部(複数の振動子4を備えた駆動部)を容易に製作することができる。なお、振動子4の数を増加させることによって、トラフTの長手方向Hに沿った可動部2のサイズも大きくなるため、必要に応じて、可動部2と固定部1とを連結する支持バネ3の数(言い換えれば、支持バネ3による可動部2と固定部1との連結箇所)を増やしてもよい。そして、支持バネ3を、図15に示す鉛直姿勢と図示しない傾斜姿勢との間で姿勢変更することで、トラフTの振動方向を変更することができる。この場合、支持バネ3は、振動角度調整用バネとして機能する。
また、本発明のリニアフィーダでは、図16に示すように、可動部2として、内部空間2Sに振動子4を収容する筐体25(中空状のブロック体)を適用することが可能である。この筐体25は、複数の振動子4を個別に収容可能なスペースを内部に形成したもの(同図参照)、または、1つの振動子4を収容可能なスペースを内部に形成したもの、何れであってもよい。このような筐体25によって可動部2を構成した場合、筐体4の内部において密閉された空間2Sに振動子4を配設することによって静音化(遮音化)を図ることが可能である。筐体25としては、例えば、図17及び図18(図18は、図17の矢印A方向から見た図であって、筐体25及び図17の紙面向かって右側の振動子4を抽出した図である。)に示すように、一側方にのみ開口した筐体本体26と、筐体本体26の開口を側方から蓋封可能な蓋部27とを備えたタイプ、または、上方又は下方にのみ開口した筐体本体と、筐体本体の開口を上方又は下方から蓋封可能な蓋部とを備えたタイプ(図示省略)を挙げることができる。なお、図16乃至図18では、振動子4の取付部41(第1鍔部44)を筐体25に固定するネジN5の取付方向を高さ方向に設定し、振動子4を筐体本体26のうち高さ方向に対向する上壁部または下壁部に固定した態様を例示しているが、ネジN5の取付方向をトラフTの幅方向Wに設定しても構わない。後者の場合、振動子4を、筐体本体26の側壁部、または筐体本体26の側方に開口している内部空間2Sを蓋封する蓋部27に固定すればよい。また、筐体として、所定方向(例えばトラフの幅方向、トラフの長手方向、あるいは高さ方向)に二分割可能な一対の筐体本体を相互に組み付け、内部に振動子を収容可能な空間を有するものを採用することもできる。
本発明において、直線状に延伸するトラフは、可動部の上端部に固定されたものであればよく、可動部として一対の側板を備えたものを適用した場合、上述の図2等で例示するように、側板の上端部同士を連結する連結板にトラフを固定した態様以外に、トラフを、一対の側板の上端部に載置した姿勢(一対の側板の上端部を跨ぐ姿勢であってもよい)で当該トラフを側板または連結板に固定した態様にしても構わない。また、筐体を用いて可動部を構成したリニアフィーダでは、トラフを、筐体の上端部を構成する部分(図18に示す筐体25であれば筐体本体26の上壁部)に載置した姿勢で当該トラフを筐体に固定すればよい。
また、本発明に係るリニアフィーダXでは、一対の振動子4(振動子4のペア)を、トラフTの長手方向Hに沿って並べる構成に代えて、図19及び図20(図20は図19の矢印A方向から見た図から図である。)に示すように、トラフTの幅方向Wに並べる構成を採用することが可能である。同図では、左右一対の側板21を連結板22で連結した可動部2を備え、一対の振動子4(振動子4のペア)のうち一方の振動子4を固定する側板21と、他方の振動子4を固定する側板21が共通の側板21ではないが、側板21同士が連結板22によって連結されていることから、各振動子4の振動によって、可動部2は直線振動になり、トラフTの安定した振動を得ることができる。
また、本発明に係るリニアフィーダは、一対の振動子(振動子のペア)を高さ方向に並べる構成を採用したものであってもよい(例えば図7参照)。この場合、高さ方向に並べた一対の振動子の両方を、可動部の内部空間(一対の側板及び連結板で仕切られる内部空間、または筐体の内部空間)に配設する構成を採用したり、高さ方向に並べた一対の振動子のうち相対的に上側の振動子を可動部の内部空間に配設し、下側の振動子を可動部の内部空間よりも下方の空間に配設する構成を採用することができる。後者の場合の一例として、例えば図21に示すように、可動部2として筐体25を適用しているリニアフィーダXにおいて、上側の振動子4を筐体25の内部空間2Sを仕切る底壁部251の上向き面に載置した姿勢で固定するとともに、下側の振動子4を、筐体25の内部空間2Sを仕切る底壁部251の下向き面に取付部41を接触させた姿勢で固定した構成を挙げることができる。同図では、高さ方向に並べた一対の振動子4を共通のネジN5によって固定した態様を例示している。また、下側の振動子4の振り子動作を損なわないように、固定部1の一部に下側の振動子4との干渉を回避するための凹部13を形成している。
また、一対の振動子(振動子のペア)を高さ方向に並べる構成の一例として、図22に示すように、各振動子4の取付部41(第1鍔部44)を共通化し、取付部41を中心に上下対称形となるように振動子4のペアを高さ方向に並べた構成を採用することもできる。この場合、共通の取付部41に形成したネジ孔442にネジを螺合することによって、振動子4のペアを可動部2に固定すればよい。
また、本発明のリニアフィーダは、単数の振動子を備えたものであっても構わない。図23には、可動部2を構成する側板21に単数の振動子4を固定したリニアフィーダXを例示し、図24には、可動部2を構成する筐体25(ブロック体)に単数の振動子4を固定したリニアフィーダXを例示している。
さらには、3以上の奇数の振動子を備えたリニアフィーダであってもよい。
3以上の振動子を備えたリニアフィーダ、あるいは一対の振動子(振動子のペア)を複数組備えたリニアフィーダXである場合には、複数の振動子をトラフの長手方向、高さ方向、または幅方向の3方向から選択される一以上の方向に沿って並べて配置すればよい。したがって、例えば、相互に天地逆の姿勢で配設される振動子のペアを2組備えたリニアフィーダにおいて、各組において振動子をトラフの長手方向に沿って並べるとともに、組同士を高さ方向に沿って並べたレイアウトを採用することも可能である。
本発明に係るリニアフィーダは、加振源を、圧電素子に代えて、電磁石、アクチュエータ、またはモータの何れかから構成することも可能である。何れの加振源であっても加振源内蔵型のリニアフィーダにすることができる。なお、加振源を外付けにしたリニアフィーダであってもよい。
また、本発明に係るリニアフィーダでは、図25及び図26(図26は図25の矢印A方向から見た図であり、図25の紙面向かって左側の振動子4を省略している。)に示すように、固定部1として、床面上に直接載置した状態で固定されるベース部14と、支持バネ3によって可動部2に連結したカウンターウェイト15と、ベース部14とカンターウェイト15との間に介在させた防振バネ16とを備えたものを適用することもできる。同図には、L形の防振バネ16を適用した態様を例示している。このような固定部1を適用することによって、床面に振動が伝わることを防止・抑制する防振性能に優れたリニアフィーダXを実現することができる。
床面に振動が伝わることを防止・抑制する防振性能を高めるリニアフィーダXとしては、図27及び図28(図28は図27の矢印A方向から見た図であり、振動子4を省略している。)に示すように、上述した各種リニアフィーダ(図25及び図26で示すリニアフィーダXを除く)をリニアフィーダ本体X1として捉え、リニアフィーダ本体X1を防振ユニット7によって吊り下げた状態で支持し、この支持状態でリニアフィーダ本体X1を振動可能に構成した態様を挙げることができる。防振ユニット7は、床面上に直接載置した状態で固定されるベース部71と、ベース部71から上方に向かって延伸し、トラフTの搬送方向において対向配置される一対の起立壁部72と、起立壁部72の下端部同士を連結する連結壁部73と、各起立壁部72の上端に一端部を固定し且つ他端部を可動部2に固定可能な防振バネ74とを備えている。一対の防振バネ74は、トラフTの長手方向Hに沿って対向する姿勢で配置され、各他端部を可動部2にネジN7によって固定している。このように防振バネ74を備えた防振ユニット7によってリニアフィーダ本体X1を支持した状態で、振動子4及び可動部2で構成される駆動部を駆動させると、上述の実施形態と同様の原理でトラフTは長手方向に沿った直線振動を行い、トラフT上の被搬送物を長手方向Hに沿った一方向に振動搬送することができるとともに、防振ユニット7によってリニアフィーダ本体X1の振動が床面に伝播する事態を防止・抑制することができる。なお、リニアフィーダ本体X1の取付台11は、カウンターウェイトとして機能する。また、防振ユニット7は、本発明の「床面上に直接または間接的に固定される固定部」に相当するパーツであり、防振ユニット7の防振バネ74は、本発明の「固定部と可動部とを連結する支持バネ」に相当するものであると捉えることができる。図27及び図28に示すリニアフィーダ本体X1は、上述の図1及び図2に示すリニアフィーダXに相当するものである。
なお、防振性能を高めるリニアフィーダXとして、図29及び図30(図30は図29の矢印A方向から見た図であり、振動子4を省略している。)に示すように、防振ユニット7で支持するリニアフィーダ本体X1が、内部空間2Sに振動子4を収容する筐体25(ブロック体)を用いて構成した可動部2を備えたものであっても構わない。なお、図29に示すリニアフィーダ本体X1は、上述の図17に示すリニアフィーダXに相当するものである。
また、複数の振動子を備えたリニアフィーダにおいて、全ての振動子が何れも同じ構造であることが好ましいが、構造が異なる振動子の組み合わせであってもよい。例えば、図17及び図29に示すリニアフィーダXは、紙面向かって左側の振動子4として、取付部41、柱部42及びウェイト部43を一体に有するものを適用し、紙面向かって右側の振動子4として、ウェイト部43の一部を構成するウェイト部本体46が、取付部41及び柱部42と別体であるものを適用している。このように、複数の振動子4の組み合わせは適宜選択することができる。
さらにまた、複数の振動子を備えたリニアフィーダでは、全ての振動子にそれぞれ加振源を設けた態様にすることもできるが、共振作用に着目して、例えば図15、図17、図27及び図29に示すように、選択した一つの振動子4または全部を除く複数の振動子4にのみ加振源5を設けた態様を採用することもできる。
本発明に係るリニアフィーダは、支持バネを、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢と当該鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢に変更する具体的な機構も適宜変更することができる。したがって、支持バネの傾斜姿勢を複数の傾斜姿勢から選択可能に設定することも可能である。この場合、支持バネの傾斜姿勢を予め決定されている複数の傾斜姿勢から段階的に選択できるように設定したり、支持バネの傾斜姿勢を予め決定されている所定傾斜角度範囲内から無段階的に調整して適宜選択できるように設定することもできる。なお、図3、図19、図21、図23乃至図25では、支持バネ3を鉛直姿勢と傾斜姿勢の間で姿勢変更可能に構成したリニアフィーダXにおいて、支持バネ3を傾斜姿勢に設定し、トラフTの振動方向TDを水平線に対して所定角度傾斜した角度に設定した場合を示している。
また、支持バネの姿勢を一定の姿勢に維持し、支持バネの姿勢を他の姿勢に変更不能に構成したリニアフィーダであっても構わない(図16参照)。
また、振動子の柱部は、取付部から高さ方向に延伸するものであればよく、振動子が振り子運動を行う際にばねのように振る舞う条件を満たせば、素材や形状は特に限定されない。
振動子が、別体をなす柱部とウェイト部とをネジによって連結したものである場合、ネジの取付方向を、トラフの延伸方向に設定しても構わない(図13、図25参照)。
また、本発明のリニアフィーダでは、振動子の一端側に設定した取付部のうち、可動部に固定するためのネジ孔の形成箇所を、振り子運動を行う際の支点から外れた位置に設定することが好ましいが、敢えて支点に一致する箇所に設定してもよい。
本発明に係るリニアフィーダであれば、一対の振動子が互いの慣性モーメントを打ち消すように各振動子の柱部(ばね)の長さとウェイト部として機能する部分の重量を調整することも可能である。
振動子を構成する柱部のうち、トラフの長手方向と同一方向の寸法(柱部の幅寸法)を大きく設定するほど、高周波数の振動を発生させることが可能である。したがって、柱部の幅寸法を適宜の値に設定するだけで、所望の周波数の振動を発生させることができる。
固定部は、カウンターウェイトとして機能するものであることが好ましいが、カウンターウェイトとして機能しないものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…固定部
2…可動部
21…側板
25…筐体
3…支持バネ
4…振動子
41…取付部
42…柱部
43…ウェイト部
5…加振源
T…トラフ
X…リニアフィーダ

Claims (5)

  1. 直線状に延伸するトラフに振動を与えて、当該トラフ上に載置された被搬送物を当該トラフの長手方向に沿って搬送するリニアフィーダであって、
    床面上に直接または間接的に固定される固定部と、
    上端部に前記トラフを固定した可動部と、
    前記固定部と前記可動部とを連結する支持バネと、
    一端側に設定した前記可動部に対する取付部、当該取付部から高さ方向に延伸する柱部、及び自由端である他端側に設定したウェイト部を有し、且つ振り子運動を行う振動子と、
    前記振動子を振動させる加振源とを備え、
    前記加振源を稼動させることによって前記振動子が振り子運動を行うことで前記可動部及び前記トラフが前記被搬送物を搬送するように振動することを特徴としたリニアフィーダ。
  2. 直線状に延伸するトラフに振動を与えて、当該トラフ上に載置された被搬送物を当該トラフの長手方向に沿って搬送するリニアフィーダであって、
    床面上に直接または間接的に固定される固定部と、
    上端部に前記トラフを固定した可動部と、
    前記固定部と前記可動部とを連結する支持バネと、
    一端側に設定した前記可動部に対する取付部、当該取付部から高さ方向に延伸する柱部、及び自由端である他端側に設定したウェイト部を有し、且つ振り子運動を行う振動子と、
    前記振動子を振動させる加振源とを備え、
    前記加振源を稼動させることによって前記振動子、前記可動部及び前記トラフが前記被搬送物を搬送するように振動し、
    一対の前記振動子を一組または複数組備え、各組における前記各振動子が、前記ウェイト部の位置が相互に天地逆となる姿勢となるように前記取付部を前記可動部に固定していることを特徴としたリニアフィーダ。
  3. 複数の前記振動子を前記トラフの長手方向、高さ方向、または幅方向から選択される一以上の方向に沿って並べて配置している請求項1又は2記載のリニアフィーダ。
  4. 前記可動部が、前記トラフの幅方向から前記振動子を挟む位置に配置される一対の側板を用いて構成されたもの、または内部空間に前記振動子を収容する筐体を用いて構成されたものである請求項1乃至3の何れかに記載のリニアフィーダ。
  5. 板状をなす前記支持バネを、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢と、当該鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢に変更可能に構成している請求項1乃至4の何れかに記載のリニアフィーダ。
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