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JP6535035B2 - 緊急離脱用管継手 - Google Patents

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JP6535035B2
JP6535035B2 JP2016574815A JP2016574815A JP6535035B2 JP 6535035 B2 JP6535035 B2 JP 6535035B2 JP 2016574815 A JP2016574815 A JP 2016574815A JP 2016574815 A JP2016574815 A JP 2016574815A JP 6535035 B2 JP6535035 B2 JP 6535035B2
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Description

本発明は、互いに連結されて使用状態にある雌型継手部材及び雄型継手部材に対して、それらを互いに傾動させるような一定以上の大きさの力が作用した際に、その連結が解除されるようにされた緊急離脱用管継手に関する。
通常の管継手は、雌型継手部材と雄型継手部材とが連結されると施錠子によって互いに外れないように保持されるようになっている。そのため、管継手に接続されている配管に何らかの原因により過大な引っ張り力がかかった場合、配管や、この配管に接続された装置等が破損して思わぬ事故を引き起こす虞がある。そこで、このような事故を防止するため、雌型継手部材と雄型継手部材とを互いに引き離す方向に一定以上の大きさの外力が加わった際に、雌型継手部材と雄型継手部材とが分離して、配管等の破損を防止するようにした緊急離脱用管継手が開発されている(特許文献1、2)。
実開平7−35893号公報 特許第5570494号公報
上述のような従来の緊急離脱用管継手は、当該管継手の長手軸線方向での一定以上の外力が雌型継手部材と雄型継手部材とに作用した際にはそれらが互いに分離されるが、例えば雌型継手部材と雄型継手部材とにそれぞれ接続されている配管が互いに対して曲げられて配管及び管継手に大きな曲げ応力がかかっている場合には、例えその曲げ応力により配管等が破損してしまうような場合であったとしても管継手に対する長手軸線方向での引っ張り方向での力はそれほど作用せずに管継手が分離されない可能性がある。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、互いに連結されて使用状態にある雌型継手部材及び雄型継手部材に対して、それらを互いに傾動させるような一定以上の大きさの外力が作用した際に、その連結が解除されるようにされた緊急離脱用管継手を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
前端開口から後端開口にまで延在する雌側通路を有する雌型継手部材と、
前端開口から後端開口にまで延在する雄側通路を有し、前端にある接続端部が該雌型継手部材の前端開口から該雌側通路内に挿入されて該雄側通路と該雌側通路とが連通した状態で該雌型継手部材に連結されるようにされた雄型継手部材と、
を備える緊急離脱用管継手であって、
該雌型継手部材が、
該雌側通路を有する筒状の雌型継手本体と、
該雌型継手本体に保持されており、該雌型継手本体の内周面から突出し該雄型継手部材の施錠子係合面に係合して該雄型継手部材を保持する施錠位置と、該施錠位置から該雌型継手本体の径方向外側に変位して該施錠子係合面との係合を解除する解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
該雌型継手本体に取付けられ、該施錠子を該施錠位置に拘束する拘束位置と、該施錠子が該解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該施錠子に対して相対的に変位可能とされた施錠子拘束部材と、
該雌型継手本体と該施錠子拘束部材との間に配置され、該施錠子拘束部材が該施錠位置となるように付勢する付勢部材と、
を備え、
該雄型継手部材が押圧面を有し、該施錠子拘束部材が該押圧面に係合されて押圧される被押圧面を有しており、
該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態において該雄型継手部材は該雌側通路の長手軸線に対して傾動可能とされており、該雄型継手部材が一定角度傾動したときに該押圧面が該被押圧面を押圧し該施錠子拘束部材が該解放位置にまで変位するとともに該雄型継手部材の該接続端部が該雌型継手部材から抜け出るように構成されている、緊急離脱用管継手を提供する。
当該緊急離脱用管継手においては、例えば雌型継手部材と雄型継手部材とにそれぞれ接続されている配管が互いに対して曲げられて配管及び管継手に大きな曲げ応力が加わったときに、雄型継手部材が雌型継手部材に対して相対的に傾動して雌型継手部材と雄型継手部材との連結が解除可能となり雌型継手部材と雄型継手部材とが分離されるようになるので、配管やそれに繋がる装置などが大きな曲げ応力によって破損することを防止することが可能となる。
好ましくは、該施錠子拘束部材が該拘束位置と該解放位置との間を該雌側通路の長手軸線の方向で変位可能とされているようにすることができる。
さらに好ましくは、該接続端部が球状面を有し、該施錠子拘束部材が該解放位置になるまで、該雄型継手部材が傾動するときに、該球状面の曲率中心の周りで回動するようにすることができる。
より好ましくは、該施錠子係合面が該球状面の一部によって構成されているようにすることができる。
このような構成により、雄型継手部材はどの方向にも円滑に傾動することができるので、どの方向の曲げ応力が作用した場合でも連結を解除することが可能となる。
好ましくは、該雄型継手部材が傾動して該施錠子拘束部材が該拘束位置から該解放位置に変位されたときに該施錠子拘束部材が該雌型継手本体によって該長手軸線の方向での変位が停止され、該雄型継手部材が停止された該施錠子拘束部材の該被押圧面と該雄型継手部材の該押圧面との係合部分を支点として回動して、当該接続端部が該雌側通路から抜け出る方向に動かされるようにすることができる。
このような構成により、雌型継手部材と雄型継手部材との連結が解除可能な状態となった後に、雄型継手部材が雌型継手部材から完全に引き抜かれた状態により確実にすることが可能となる。
好ましくは、
該雌型継手部材が、該雌側通路を閉止する閉止位置と該雌側通路を開放する開放位置との間で変位可能とされた雌側弁部材と、該雌側弁部材を該閉止位置に向かって付勢する雌側弁付勢部材と、をさらに備え、
該雌型弁部材が、該接続端部の該球状面と係合する円錐状シール面を有しており、
該雄型継手部材の該接続端部が該雌側通路内に挿入されたときには、該接続端部の該球状面が該雌側弁部材の該円錐状シール面に係合し、該雌側弁部材を押圧して該開放位置にまで変位させ、且つ該雄型継手部材が傾動したときには、該球状面が該円錐状シール面と密封した状態で摺動するようにすることができる。
さらに好ましくは、
該雄型継手部材が、該雄側通路を閉止する閉止位置と該雄側通路を開放する開放位置との間で変位可能とされた雄側弁部材と、該雄側弁部材を該閉止位置に向かって付勢する雄側弁付勢部材と、をさらに備え、
該雄型継手部材の該接続端部が該雌側通路内に挿入されたときに、該雄側弁部材が該雌側弁部材に係合して押圧され該開放位置にまで変位されるようにすることができる。
このような構成により、連結が解除された後に雌型継手部材や雄型継手部材の内部流体が外部に漏れることを防止することが可能となる。
好ましくは、該施錠子拘束部材の該被押圧面が、該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態における該曲率中心の位置よりも該長手軸線の方向で前方にあり、該雌型継手本体の径方向外側に向かって該長手軸線の方向で前方に傾斜しているようにすることができる。
被押圧面がこのような位置にあることにより、被押圧面上における押圧面が係合する位置は雄型継手部材が傾動していくにしたがって徐々に外方に移動していくことになり、その上で被押圧面がこのように傾斜していることにより、傾動に伴って施錠子拘束部材が押圧される距離が傾斜の分だけ大きくなる。そのため、傾動に対する外側スリーブの変位量が大きくなり、より小さな角度の傾動によって施錠子拘束部材を解放位置にまで変位させることが可能となる。
好ましくは、
該施錠子拘束部材が、該雌型継手本体の外周面上に摺動可能に配置され該施錠子と係合する内側スリーブと、該被押圧部を有し該内側スリーブの外周面上に摺動可能に配置された外側スリーブと、を備え、
該付勢部材が、該外側スリーブを付勢する第1スプリングと、該内側スリーブを付勢する第2スプリングとからなり、
該内側スリーブは、該第2スプリングによって該外側スリーブに押しつけられていて、該施錠子拘束部材が前記拘束位置から前記解放位置に変位する際に該外側スリーブとともに変位するようにされ、該施錠子拘束部材が該拘束位置にある状態から該外側スリーブを変位させることなく該内側スリーブを該第2スプリングの付勢力に抗して変位させることで、該内側スリーブと該施錠子との係合が解除されて該施錠子が該解除位置に変位可能な状態となるようにすることができる。
さらに好ましくは、該外側スリーブが、該外側スリーブの外周面から内周面に貫通する開口を有し、該開口を介して該内側スリーブの外周面の一部が露呈するようにすることができる。
このような構成により、外側スリーブを変位させることなく内側スリーブだけを後退させるように操作して施錠子が解除位置に変位可能な状態とすることが可能となる。これにより、外側スリーブと内側スリーブとを第1及び第2スプリングの付勢力に抗して変位させる場合に比べて、より小さな力で連結可能な状態として、雄型継手部材を雌型継手部材に連結することが可能となる。
好ましくは、
該雌型継手本体が、外側本体部と、該外側本体部内に摺動可能に配置され該付勢部材と該施錠子とを保持する内側本体部とを有し、
該雄型継手部材を該長手軸線の方向で該雌型継手部材から離れる方向に引っ張ったときに、該施錠子によって該接続端部に係止されている該内側本体部が該雄型継手部材と共に該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位して、該施錠子拘束部材が該解除位置となるようにすることができる。
このような構成により、雄型継手部材が傾動するような力を受けた場合に加えて、長手軸線の方向で引っ張られるような力を受けた場合にも、その連結が解除されるようにすることが可能となる。
好ましくは、
該外側本体部及び該施錠子拘束部材のうちの一方又は両方の内周面と該内側本体部の外周面との間に形成された圧力室であって、該内側本体部が該施錠子拘束部材を該解除位置とするように該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位したときに、その容積が減少するようにされた圧力室と、
該圧力室と該雌側通路とを連通するように該内側本体部に形成された連通孔と、
をさらに備えるようにすることができる。
雌型継手部材と雄型継手部材とが連結された状態において流路内に圧力流体が導入されて雌側流路内に流体圧がかかると、雌側継手部材と雄側継手部材とは雌側流路内の容積を大きくするように互いに引き離されるような力を受け、これに伴い内側本体部は施錠子拘束部材を解除位置とする方向に向かう力を受けることになる。一方で、圧力室内に流体圧がかかると、内側本体部はその容積を大きくする方向、すなわち施錠子拘束部材を解除位置とする方向とは逆向きの方向の力を受けることになる。したがって、上述のような圧力室を設けることにより、雌側流路内の流体圧によって生じる内側本体部を押圧する力の少なくとも一部を相殺して、内側本体部に作用する施錠子拘束部材を解除位置とする方向に向かう力を小さくすることができる。これにより、より高い流体圧が加えられても雌型継手部材と雄型継手部材との連結が解除されないようにすることが可能となる。
さらに好ましくは、該内側本体部が該施錠子拘束部材を該解除位置とするように該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位したときの、該圧力室の容積の減少量が、該雌側通路の容積の増加量と略等しくなるようにすることができる。
このような構成とすることにより、内側本体部が雌側流路内の流体圧により受ける力と圧力室内の流体圧により受ける逆向きの力の大きさとが等しくなり、内側本体部は流体圧により長手軸線の方向で変位しなくなる。これにより、流体圧により雌型継手部材と雄型継手部材との連結が解除されることが防止される。
具体的には、
該圧力室が、該施錠子拘束部材の内周面と該内側本体部の外周面との間に形成されており、
該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とに密封係合する第1摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第1摺動係合部を有する、第1摺動シール部材と、
該圧力室の前端において該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とに密封係合する第2摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第2摺動係合部を有する、第2摺動シール部材と、
該圧力室の後端において該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とに密封係合する第3摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第3摺動係合部を有する、第3摺動シール部材と、
をさらに備え、
該第1摺動係合部を外周とする第1仮想面の面積と、該第2摺動係合部を外周とする第2仮想面の面積を該第3摺動係合部を外周とする第3仮想面の面積から引いた面積とが、略等しくなるようにすることができる。
本発明に係る緊急離脱用管継手は更に、該雌型継手部材にその外周面に接するように固定され、該雌型継手部材の前方に延在する補助スリーブを有し、該雄型継手部材が雌型継手部材に連結された状態で該雄型継手部材の外周面に接するように延在するようになされ、該雄型継手部材が該雌型継手部材に対して傾動しようとするときに該傾動に抵抗する力を生じるようにすることができる。
該補助スリーブは、該雌型継手部材に対する該雄型継手部材の該傾動に対して抵抗する作用を有する該付勢部材とともに該傾動に対する抵抗作用を行う。このため、該付勢部材の付勢力をそれが単独で該傾動に抵抗するような構成とされたものに較べ小さくすることができる。
以下、本発明に係る緊急離脱用管継手の実施形態を添付図面に基づき説明する。
本発明の第1の実施形態に係る緊急離脱用管継手の連結状態を示す図である。 図1の緊急離脱用管継手において、雄型継手部材が僅かに傾動している状態を示す図である。 雄型継手部材が図2の状態から更に傾動して、施錠子拘束部材が解放位置に変位し雌型継手部材と雄側継手部材との連結が解除可能となっている状態を示す図である。 雄型継手部材が図3の状態から更に傾動して、雄型継手部材の接続端部が雌側通路の長手方向で変位して施錠子が解除位置に変位した状態を示す図である。 雄型継手部材が図4の状態から更に傾動して、雄型継手部材が雌型継手部材から取り外された状態を示す図である。 図1の緊急離脱用管継手において、雄型継手部材が雌側通路の長手軸線の方向で僅かに引っ張られた状態を示す図である。 雄型継手部材が図6の状態から更に引っ張られて、施錠子拘束部材が解放位置に変位して雌型継手部材と雄型継手部材との連結が解除可能となっている状態を示す図である。 雄型継手部材が図7の状態から更に引っ張られて、雄型継手部材が雌型継手部材から取り外された状態を示す図である。 図1の緊急離脱用管継手の連結が解除された状態において、施錠子拘束部材の内側スリーブが後退して雌型継手部材と雄型継手部材との連結が可能となっている状態を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る緊急離脱用管継手の連結状態を示す図である。 図10の緊急離脱用管継手において、雄型継手部材が傾動して、雄型継手部材が雌型継手部材から取り外された状態を示す図である。 図10の緊急離脱用管継手において、雄型継手部材が雌側通路の長手軸線の方向で引っ張られて雌型継手部材から取り外された状態を示す図である。 図10の緊急離脱用管継手における補助スリーブの側面図であり、同スリーブの外周面に円周方向に延びるスリットが形成されている状態を示している。 本発明の第3の実施形態にかかる緊急離脱用管継手の連結状態を示す図である。
本発明の実施形態に係る緊急離脱用管継手10は、図1に示すように、雄型継手部材12と、この雄型継手部材12を連結している雌型継手部材26とからなり、雄型継手部材12の接続端部18が雌型継手部材26の雌側通路28内で施錠子32によって引き離すことができないように保持された連結状態において雄型継手部材12が雌型継手部材26に対して相対的に傾動することで施錠子32の拘束が解除されて雄型継手部材12と雌型継手部材26との連結が解除可能な状態となるようになっている。以下、当該緊急離脱用管継手10の詳細な構造について説明する。
雄型継手部材12は、配管接続部14を有する基部16と、該基部16から当該雄型継手部材12の前端側(図で見て左側)にあり球状面18−1を有している接続端部18と、接続端部18の先端にある前端開口20−1から配管接続部14にある後端開口20−2にまで長手軸線Lの方向で延びる雄側通路20とを有している。雄側通路20内には雄側弁部材22が配置され、雄側通路20を開放した開放位置と(図1)、雄側通路20を閉止した閉止位置(図5)との間で変位可能とされている。また、雄側通路20内には雄側弁スプリング24も配置されており、この雄側弁スプリング24によって雄側弁部材22は閉止位置に向かって付勢されている。
雌型継手部材26は、前端開口28−1から配管接続部27にある後端開口28−2にまで長手軸線Mの方向に延びる雌側通路28が形成された筒状の雌型継手本体30と、雌型継手本体30に保持された施錠子32と、雌型継手本体30に対して長手軸線Mの方向で摺動可能に取付けられた施錠子拘束部材34と、雌側通路28内に配置された雌側弁部材36とを備える。施錠子32は、雌型継手本体30に形成された施錠子保持孔38内に保持され、雌型継手本体30の内周面30−1から突出して接続端部18の球状面18−1の一部として構成された施錠子係合面18−2に係合する施錠位置(図1)と、施錠位置から雌型継手本体30の径方向外側に変位して施錠子係合面18−2との係合を解除する解除位置(図4)との間で変位可能となっている。施錠子拘束部材34は、施錠位置にある施錠子32に雌型継手本体30の径方向外側から係合して施錠子32を施錠位置に拘束する拘束位置(図1)と、そこから後退して施錠子32が解除位置に変位することを許容する解放位置(図3、図4)との間で長手軸線Mの方向で変位可能となっている。また、施錠子拘束部材34は、主スプリング(第1スプリング)40と補助スプリング(第2スプリング)42とからなる付勢部材で拘束位置に向かって長手軸線Mの方向で前方に付勢されている。雌側弁部材36は、雌側通路28を開放する開放位置(図1)と雌側通路28を閉止する閉止位置(図4、図5)との間で変位可能とされ、雌側弁スプリング44によって閉止位置に向かって付勢されている。
雌型継手本体30は、配管接続部27を有する外側本体部48と、外側本体部48内に配置された内側本体部50とからなっており、内側本体部50は外側本体部48に対して摺動シール部材46によって密封した状態で摺動可能となっている。
施錠子拘束部材34は、雌型継手本体30の内側本体部50の外周面50−1上で摺動可能に配置された筒状の内側スリーブ52と、内側スリーブ52の外周面52−1上に配置され、外側本体部48の内周面48−1と摺動可能に配置された筒状の外側スリーブ54とからなっている。主スプリング40は外側スリーブ54に係合して外側スリーブ54を前方(図で見て右方)に向かって付勢し、補助スプリング42は内側スリーブ52に係合して内側スリーブ52を前方に向かって付勢している。内側スリーブ52の外周面52−1には内側テーパー面52−2が形成され、また外側スリーブ54の内周面54−1には内側スリーブ52の内側テーパー面52−2に当接する外側テーパー面54−2が形成されていて、内側スリーブ52の前方への変位を制限している。すなわち、図1の連結状態から内側スリーブ52がさらに前方に変位することを制限するとともに、外側スリーブ54が後方(図で見て左方)に変位したときには内側スリーブ52も一緒に後方に変位するようになっている。
図1に示す連結状態においては、雄型継手部材12の接続端部18が雌側通路28内に挿入されていて、接続端部18の球状面18−1が雌側弁部材36の前端の円錐状シール面36−1に係合して、雌側弁部材36が押圧されて開放位置にまで変位されているとともに、雄側弁部材22が雌側弁部材36の前端平面36−2に係合して押圧されて開放位置にまで変位された状態となっている。よって、雌側通路28と雄側通路20とがともに開放して連通した状態となっている。このとき施錠子32は、拘束位置にある施錠子拘束部材34によって施錠位置に拘束された状態となり、接続端部18の施錠子係合面18−2に係合して雄型継手部材12が雌型継手部材26から外れないように保持している。また、接続端部18の球状面18−1と雌側弁部材36の円錐状シール面36−1とは、Oリング56により密封係合した状態となっている。
雄型継手部材12の基部16には接続端部18側に向かって突出するように取付けられた筒状の押圧部材58が取付けられており、図1の連結状態において、押圧部材58の先端の押圧面58−1が、外側スリーブ54の前端の被押圧面54−3に近接又は接触した状態となっている。これにより、一定以上の外力が加わっていない状態においては、雌型継手部材26と雄型継手部材12とが、長手軸線Mと長手軸線Lとが整合して直線上に配置された状態に保持される。
図1の連結状態において、例えば、雄型継手部材12と雌型継手部材26とにそれぞれ接続された配管(図示せず)に互いに対して曲げを生じさせるような一定以上の大きさの外力が作用すると、雄型継手部材12が雌型継手部材26の長手軸線Mに対して傾斜するように相対的に傾動し始める(図2)。このとき、雄型継手部材12は、接続端部18の球状面18−1が、雌側通路28を構成する雌型継手本体30の内周面30−1と施錠子32とによって位置を保持された状態で内周面30−1及び施錠子32と摺動しながら傾動することになる。よって、雄型継手部材12は、球状面18−1の曲率中心Cの周りで回動することになる。またこのとき、球状面18−1は円錐状シール面36−1にOリング56を介して密封係合した状態を維持しながら回動する。雄型継手部材12が傾動すると、押圧部材58の押圧面58−1が外側スリーブ54の被押圧面54−3を押圧して外側スリーブ54と内側スリーブ52とからなる施錠子拘束部材34を長手軸線Mの方向で後退させる。雄型継手部材12がさらに傾動されると、施錠子拘束部材34はさらに後退して解放位置にまで変位する(図3)。そうすると、施錠子32は施錠位置に拘束されず解除位置に変位可能な状態となるため、雄型継手部材12と雌型継手部材26との連結が解除可能な状態となる。このとき内側スリーブ52の後端面52−3が内側本体部50の係止面50−2に係合して施錠子拘束部材34の長手軸線Mの方向での変位が停止される。そのため、雄型継手部材12がさらに傾動されると、雄型継手部材12は、変位が停止された施錠子拘束部材34の被押圧面54−3と雄型継手部材12の押圧面58−1との係合部分を支点Fとして回動する。これにより接続端部18が雌側通路28から徐々に抜け出ていき(図4)、最終的には接続端部18が雌側通路28から完全に抜け出て雌側弁部材36と雄側弁部材22とがそれぞれ閉止位置となった状態で雌型継手部材26と雄型継手部材12との連結が完全に解除される(図5)。なお、図3から図5の状態に到る過程において、雄型継手部材12は、接続端部18が雌側弁スプリング44によって雌側弁部材36を介して長手軸線Mの方向に押圧される力によって、雄型継手部材12をさらに傾動させるとともに長手軸線Mの方向で雌型継手部材26から引き離されるような補助的な力を受ける。雌側弁スプリング44の付勢力をより大きくしてこの補助的な力をより大きくすることによって、連結が解除可能な状態になった後に雌型継手部材26と雄型継手部材12とがより確実に引き離されるようにすることも可能である。
外側スリーブ54に形成された被押圧面54−3は、雌型継手本体30の径方向外側に向かって雄型継手部材12の押圧面58−1の側、すなわち長手軸線Mの方向で前方に傾斜している。接続端部18が雌側通路28内にある状態で雄型継手部材12が傾動しているときには雌型継手本体30の径方向での接続端部18の位置は雌側通路28によって拘束されるので、雄型継手部材12は接続端部18の球状面18−1の曲率中心Cを中心として回動しながら長手軸線Mの方向で移動することになる。当該緊急離脱用管継手10においては、連結が解除されていない状態においては、被押圧面54−3は、雄型継手部材12の回転中心となる曲率中心Cよりも長手軸線Mでの前方(図で見て右側)に位置するようになっているので、被押圧面54−3と押圧面58−1との接点である支点Fは雄型継手部材12が傾動していくにしたがって被押圧面54−3に沿って徐々に外方に移動していくことになる。ここで、被押圧面54−3は上述のように傾斜しているので、傾斜がない場合に比べて、雄型継手部材12の傾動に伴う外側スリーブ54の変位量はこの傾斜の分だけ大きくなる。よって、より小さな角度の傾動で施錠子拘束部材34を解放位置にまで変位させることができるようになる。
このように本発明に係る緊急離脱用管継手10は、雌型継手部材26と雄型継手部材12とを相対的に傾動させるような一定以上の大きさの外力が作用した際に、施錠子拘束部材34が解放位置にまで変位して雌型継手部材26と雄型継手部材12との連結が解除可能な状態となり、その連結が解除されるようになっている。
また、当該緊急離脱用管継手10は、図1の連結状態において雌型継手部材26と雄型継手部材12とに長手軸線Mの方向で引き離すような一定以上の大きさの外力が作用したときにも、以下に説明するように、その連結が解除されるようになっている。
図1の連結状態において、雄型継手部材12が雌型継手部材26に対して相対的に長手軸線Mの方向で離れる方向(図で見て右側)に一定以上の大きさの外力で引っ張られると、接続端部18に施錠子32を介して連結されている雌型継手部材26の内側本体部50も雄型継手部材12とともに変位する(図6)。このとき、施錠子拘束部材34の一部である外側スリーブ54は外側本体部48に取付けられた止め輪60によって前方への変位を制限され、また内側スリーブ52もその内側テーパー面52−2が外側スリーブ54の外側テーパー面54−2と係合することによって前方へのそれ以上変位が制限されているため、施錠子拘束部材34は変位しない。したがって、施錠子拘束部材34は前方に変位する内側本体部50に対して相対的には後退し、施錠子拘束部材34と内側本体部50との間に設定された主スプリング40と補助スプリング42は圧縮されていく。図6の状態から雄型継手部材12がさらに引っ張られると、施錠子拘束部材34が解放位置となって、施錠位置に拘束されていた施錠子32が解除位置に変位可能な状態となる。そうすると、接続端部18が施錠子32を押しのけながら変位し(図7)、雌型継手部材26と雄型継手部材12とは、雌側弁部材36と雄側弁部材22とがそれぞれ閉止位置となった状態で、その連結が完全に解除される(図8)。
雌型継手部材26と雄型継手部材12との連結が完全に解除されている状態においては、図5及び図8に示すように、施錠子拘束部材34は拘束位置となり施錠子32は施錠子拘束部材34によって施錠位置に拘束される。そのため、雄型継手部材12と雌型継手部材26とをこの状態から連結する際には、施錠子32が解除位置に変位可能な状態としなければならない。このとき、外側スリーブ54を内側スリーブ52と共に主スプリング40及び補助スプリング42の付勢力に抗して押圧して施錠子拘束部材34を解放位置に変位させるようにしてもよいが、主スプリング40は通常は人の手の力に比べて非常に強い付勢力を有しているので、主スプリング40を圧縮するような操作をすることには大きな労力が必要となる。当該緊急離脱用管継手10においては、外側スリーブ54にその外周面54−4から内周面54−1に貫通する複数の開口54−5が形成され、この開口54−5を介して内側スリーブ52の外周面52−1の一部が露呈し、この開口54−5を介して内側スリーブ52を直接操作することが可能となっている。つまり、図9に示すように、外側スリーブ54を変位させることなく内側スリーブ52だけを後退させて施錠子32が解除位置に変位可能な状態とすることができる。内側スリーブ52を押圧する補助スプリング42は、内側スリーブ52を外側スリーブ54に長手軸線Mの方向で係合する位置にまで変位させるのに必要なだけの付勢力を有していれば良いので、その付勢力は通常は主スプリング40の付勢力に比べて格段に小さく設定されている。従って、内側スリーブ52だけを補助スプリング42の付勢力に抗して後退させる操作にはそれほど大きな力は必要なく、作業者は容易に連結操作を行える。
図10乃至図13は、本発明の第2の実施形態に係る緊急離脱用管継手10を示している。この緊急離脱用管継手10は、その基本的構成は上述した第1の実施形態のものと同じであり、同じ構成要素には同じ用語を用い、同じ参照番号を付して説明する。
図示のように、この緊急離脱用管継手10は、雌型継手本体30の外側本体部48に、該外側本体部48の外周面上に同心状にして固定された補助スリーブ62を備えている。該補助スリーブ62は外側本体部48から前方に延出するようにされており、雄型継手部材12が雌型継手部材26に挿入連結された状態においては、雌型継手本体30の外周面に設けられているシールリング64と、雄型継手部材12の外周面に設けられたシールリング66が、それぞれ、補助スリーブ62の後端部近く及び前端部近くで補助スリーブ62の内周面に密封係合して、塵埃が緊急離脱用管継手10の内部に入らないようにされている。この補助スリーブ62は、硬質ポリ塩化ビニルなどのある程度の剛性を有するように形成されており、雄型継手部材12と雌型継手部材26との相対的傾動に対して抵抗を与えられるようになっている。
この第2の実施形態及び前述の第1の実施形態を含め本発明に係る緊急離脱用管継手10は、雄型継手部材12と雌型継手部材26とが相対的に傾動するような外力が加わったときに、その外力による両継手部材12,26間の相対的傾動を許容し、雄型継手部材12と雌型継手部材26とが相互に離脱できるようにすることを特徴とするものであるが、その外力が一定以上になったときに初めてそのような離脱が生じるようにする必要がある。第1の実施形態においてそのようにするためには、主スプリング40が一定以上の大きさのバネ力を有していることが必要となる。特に、プラント配管などの大型配管においては継手部分に大きなモーメントがかかりやすく、このバネ力も大きくする必要がある。しかし、このバネ力が大きいと、図6乃至図9に基づき説明したように雄型継手部材12を長手軸線Mの方向で雌型継手部材26から引き離すような外力が作用しても内側本体部50が変位しにくくなるため、そのときの雄型継手部材12と雌型継手部材26との連結解除に要する力が大きくなってしまい、長手軸線Mの方向での適正な連結解除ができなくなる可能性がある。
第2の実施形態においては、補助スリーブ62を剛性のあるものとすることにより、主スプリング40に加え、当該補助スリーブ62も雌型継手部材26と雄型継手部材12とが相対的に傾動するのに抵抗するように作用するようになる。このため、第2の実施形態においては、第1の実施形態において主スプリング40のバネ力だけで雌型継手部材26と雄型継手部材12との間の傾動に対する抵抗力を与えていた場合に較べ、主スプリング40のバネ力を小さいものとすることができる。従って、主スプリング40による雄型継手部材12と雌型継手部材26との長手軸線Mの方向で離脱を適正な大きさの外力で生じるようにすると共に、補助スリーブ62の剛性によって雄型継手部材12と雌型継手部材26との傾動による離脱も適正な大きさの外力で生じるようにすることができる。
図13に特によく示してあるが、補助スリーブ62にはその外周面に円周方向でのスリット68が設けられており、雌型継手部材26と雄型継手部材12とにそれらを相対的に傾動する一定以上の外力が加わったときに、該スリット68に沿って破断し、この傾動による連結解除が生じるようにされている。図11はそのようにして連結解除された雄型継手部材12と雌型継手部材26とを示しており、図12は雄型継手部材12と雌型継手部材26とが長手軸線方向での引っ張り力により連結解除された状態を示している。
図14は、本発明の第3の実施形態に係る緊急離脱用管継手110を示している。この緊急離脱用管継手110においては、雌型継手部材126の施錠子拘束部材134が、外側スリーブ154を保持する延長スリーブ155をさらに有している。延長スリーブ155は、その前端部に設けられた止め輪170により外側スリーブ154を保持しており、実質的に外側スリーブ154と一体とされている。またその後端部に設けられた別の止め輪172により外側本体部148に係止され、図14の状態からさらに右方に変位することが制限されるようになっている。内側本体部150の外周面150−1と施錠子拘束部材134の延長スリーブ155の内周面155−1との間には、後述する圧力室174が形成されている。雄型継手部材12は第1の実施形態におけるものと同じである。なお、内側本体部150は、第1内側本体部150aとその外側に固定された第2内側本体部150bとの2つの部材から構成されているが、これらを一体の部材として形成しても良い。
外側本体部148の内周面148−1には第1シール部材収容溝176aが形成され、この第1シール部材収容溝176a内に取り付けられた第1摺動シール部材146aにより、内側本体部150の外周面150−1と外側本体部148の内周面148−1とが密封係合されている。また、延長スリーブ155の内側に突出した部分155−2における内周面155−1には第2シール部材収容溝176bが形成され、この第2シール部材収容溝176b内に取り付けられた第2摺動シール部材146bにより、内側本体部150の外周面150−1と延長スリーブ155の内周面155−1とが密封係合されている。さらに、内側本体部150の第2内側本体部150bにおける外周面150−1には第3シール部材収容溝176cが形成され、この第3シール部材収容溝176c内に取り付けられた第3摺動シール部材146cにより、内側本体部150の外周面150−1と延長スリーブ155の内周面155−1とが密封係合されている。内側本体部150が外側本体部148に対して長手軸線Mの方向で変位すると、第1摺動シール部材146aの内周部である第1摺動係合部146a−1は、内側本体部150の外周面150−1に対して密封係合しながら摺動する。同様に、第2摺動シール部材146bの内周部である第2摺動係合部146b−1は内側本体部150の外周面150−1に対して密封係合しながら摺動し、第3摺動シール部材146cの外周部である第3摺動係合部146c−1は延長スリーブ155の内周面155−1に対して密封係合しながら摺動する。
施錠子拘束部材134の延長スリーブ155の内周面155−1と内側本体部150の外周面150−1との間には、前端が第2摺動シール部材146bにより密封され後端が第3摺動シール部材146cにより密封された圧力室174が形成される。圧力室174内には、延長スリーブ155と内側本体部150とを互いに離れる方向に付勢する主スプリング140が配置されている。また、内側本体部150には圧力室174と雌側通路128とを連通する連通孔178が設けられ、圧力室174内の流体圧が雌側通路128内の流体圧と実質的に同じになるようになっている。この圧力室174は、内側本体部150が右方に変位したときにその容積が減少するように構成されている。したがって、圧力室174内に流体圧がかかると、内側本体部150は、延長スリーブ155及び外側本体部148に対して左方に向かう力を受けることになる。
ここで、本実施形態のような圧力室174がない第1の実施形態にかかる緊急離脱用管継手10(図1)においては、雌側通路28内に流体圧がかかると、内側本体部50と雌側通路28内に挿入された雄型継手部材12とは、雌側通路28の容積を増加させる方向に長手軸線Mの方向で変位するような押圧力を受ける。雌側通路28は、内側本体部50及び雄型継手部材12が右方に変位したときにその変位分だけ長手軸線Mの方向で伸張してその容積が増加することになるため、内側本体部50及び雄型継手部材2は長手軸線Mに沿って右方への力を受ける。雄型継手部材12は施錠子32により内側本体部50に係止されているため、雄型継手部材12が受ける力は内側本体部50が受けることになり、これら力は最終的に主スプリング40及び補助スプリング42が受けることになる。雌側通路28内の流体圧が高くなって内側本体部50が受ける力が主スプリング40と補助スプリング42との付勢力の大きさよりも大きくなると、主スプリング40及び補助スプリング42は圧縮され始め、内側本体部50は雄型継手部材12とともに右方に変位して、図6と同様な状態となる。さらに流体圧が高くなると内側本体部50と雄型継手部材12はさらに右方に変位し、施錠子拘束部材34が解放位置となって、施錠位置に拘束されていた施錠子32が解除位置に変位可能な状態となる。そうすると、雄型継手部材12と雌型継手部材26との連結が解除されて、図7と同様な状態となる。すなわち、流体圧が主スプリング40と補助スプリング42の付勢力に対して過度に高くなると、雄型継手部材12と雌型継手部材26との連結が解除されてしまうことになる。流体圧が連結を解除する程に高くなっていない場合においても、流体圧の大きさによって内側本体部50が右方に押圧される力の大きさが変化するため、雄型継手部材12を雌型継手部材26に対して相対的に長手軸線Mの方向で離れる方向(図で見て右側)に引っ張ったときに連結が解除されるときの外力の大きさが、流体圧の大きさによって変化することになる。すなわち、連結解除に必要とされる長手軸線Mの方向での外力の大きさが一定とならない。なお、雌側通路28内の流体圧により内側本体部50が受ける力(雄型継手部材12から間接的に受ける力も含む)は、内側本体部50が外側本体部48と摺動する部分、すなわち摺動シール部材46の外周部を外周円とする仮想円の面積に流体圧を乗じた大きさとなる。
当該実施形態にかかる緊急離脱用管継手110においては、上述のように、圧力室174が設けられていて、この圧力室174内の流体圧により内側本体部150には左方に押圧される力も作用する。すなわち内側本体部150には、雌側通路128内の流体圧による右方への押圧力と、圧力室174内の流体圧による左方への押圧力とが作用する。よって、内側本体部150に作用する力の合力は、圧力室174内の流体圧による左方への押圧力の分だけ小さくなるため、流体圧よる連結解除が起きにくくなるか、または起きなくなる。雌側通路128及びそれに連通孔178を介して連通する圧力室174に流体圧がかかると、内側本体部150及び雄型継手部材12は、それらを合わせた容積が増加する方向に変位しようとする。したがって、内側本体部150が右方に所定距離だけ変位したときの圧力室174の容積の減少量が雌側通路128の容積の増加量と等しくなれば、内側本体部150が長手軸線Mの方向で左右に変位しても流体で満たされた部分の合計の容積は変わらないことになり、内側本体部150は流体圧によっては左右に変位しなくなる。また、圧力室174の容積の減少量の方が大きくなるようにすれば、流体圧によって内側本体部150は左方に押圧されるようになり、流体圧が高くなるほど雄型継手12を引き抜くのに必要な外力が大きくなる。
以下において流体圧による押圧力についてより詳細に検討する。まず、内側本体部150が雌側通路128内の流体圧Pにより受ける右方への力Fの大きさは、内側本体部150が外側本体部148と摺動する部分である第1摺動係合部146a−1を外周円とする仮想円(第1仮想面)Rの面積Aに流体圧Pを乗じた値となる。すなわち、F=APとなる。次に、圧力室174内の流体圧Pが内側本体部150に左方に向かう力Fを作用させるのに寄与する面は、径方向で見て第3摺動係合部146c−1と第2摺動係合部146b−1との間となる環状部分の面となる。従って、内側本体部150が圧力室174内の流体圧Pによって左方に向かう方向に受ける力Fの大きさは、第2摺動係合部146b−1を外周円とする仮想円R(第2仮想面)の面積Aを第3摺動係合部146c−1を外周円とする仮想円R(第3仮想面)の面積Aから引いた面積A3−2(=A−A)に流体圧Pを乗じた値となる。すなわち、F=A3−2Pとなる。これにより、内側本体部150が雌側通路128及び圧力室174の流体圧Pによって受ける右方への力Fの大きさは、F=F−F=AP―A3−2Pとなる。すなわち、圧力室174を設けることにより、内側本体部150が流体圧によって受ける右方への力FはA3−2Pだけ小さくなることになる。A3−2の大きさは、第2摺動係合部146b−1と第3摺動係合部146c−1の径方向での位置を適宜設定することにより任意に設計できる。図14に示す実施形態においては、左方に押圧するのに寄与する面積A3−2が内側本体部150を右方に押圧するのに寄与する面積Aと等しくなるように第2及び第3摺動係合部146b−1、146c−1の径方向での位置が設定されている。このようにすれば、内側本体部150に作用する右方への力Fと左方への力Fが相殺されてF=0となり、内側本体部150が流体圧Pによっては長手軸線Mの方向に変位しなくなる。これにより、雌型継手部材126と雄型継手部材12との連結が流体圧によって解除されることがなくなり、また雌型継手部材126と雄型継手部材12との連結が外力によって解除されるときのその外力の大きさが流体圧によらず一定となる。なお、面積Aと面積A3−2とを等しくするということは、内側本体部150が右方に所定距離だけ変位したときの雌側通路128の容積の増加量と圧力室174の容積の減少量とを等しくするということに他ならない。
当該実施形態においては、圧力室174の外側部分が施錠子拘束部材134の一部である延長スリーブ155により構成されているが、外側本体部148により構成をすることも、または外側本体部148と延長スリーブ155とにより構成することもできる。また、第1乃至第3摺動シール部材146a−146cを互いに摺動する部材のうちのどちらに取り付けるかは任意に設計可能な事項であり、例えば第1摺動シール部材146aを外側本体部148ではなく内側本体部150に取り付けて外側本体部148に対して摺動するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上述の実施形態においては、雄型継手部材12と雌型継手部材26とを傾動させる外力が加わると、初めは接続端部18の球状面18−1の曲率中心の周りでの傾動が生じ、図3に示すように内側スリーブ52の後端面52−3が内側本体部50の係止面50−2に係合して施錠子拘束部材34の長手軸線Mの方向での変位が停止されると、雄型継手部材12は、変位が停止された施錠子拘束部材34の被押圧面54−3と雄型継手部材12の押圧面58−1との係合部分を支点Fとして回動することにより、接続端部18が雌側通路28から徐々に抜け出ていき(図4)、最終的には接続端部18が雌側通路28から完全に抜け出る状態とされているが(図5)、雌型弁スプリング44を適当な大きさのバネ力を有するようにすることにより、施錠子拘束部材34が解放位置(図3)になった時点で雌型弁スプリング44によって雄型継手部材12が雌型継手部材26から押し出されて抜け出るようにすることも可能である。また、施錠子係合面18−2が球状面18−1の一部によって構成されているが、施錠子係合面18−2は必ずしも球状である必要はなく、例えば円錐状のテーパー面とすることもできる。また、押圧部材58と外側スリーブ54とがそれぞれ筒状となっていて押圧面58−1と被押圧面54−3とがともにリング状の面となっているので、雄型継手部材12がどの方向に傾動しても押圧面58−1と被押圧面54−3とが接触し上述のようにして連結が解除されるようになっているが、例えば、設置した状態での垂直面内での傾動時には連結が解除されず、水平面内での傾動時にのみ連結が解除されるようにするために押圧面58−1と被押圧面54−3とのうちの少なくとも一方を水平面内にのみ設けるようにするなどして、任意の方向での傾動時にのみ連結が解除されるようにすることもできる。さらには、雄型継手部材12はその接続端部18が球状面18−1を有していてどの方向にも傾動できる形態とするのではなく、例えば雌側通路28の長手軸線Mに対して直交する1つの横断軸線を中心とする円弧状面を有していて該横断軸線の周りにおいてのみ傾動するようにするなど、傾動可能な方向を制限するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、雄型継手部材12と雌型継手部材26とがそれぞれ弁部材22、36を備えているが、内部流体の外部への漏れがそれほど問題とならないような場合には、弁部材22、36の一方又は両方をなくした構造とすることもできる。また、施錠子拘束部材34は、雌型継手部材26と雄型継手部材12との連結作業を容易に行えるように内側スリーブ52と外側スリーブ54とからなる構造となっているが、そのような機能を必要としなければ、一体構造とすることもできる。このときには施錠子拘束部材34は2つの別個の部材ではなく単一の部材としてもよい。また、雌型継手本体30は、長手軸線Mの方向での一定以上の外力によっても連結が解除されるようにするために内側本体部50と外側本体部48とからなる構造となっているが、そのような機能を必要としなければ、一体の部材で構成することもできる。さらには、雄型継手部材12において、押圧面58−1を構成する押圧部材58は基部16とは別の部材となっているが、基部16と押圧部材58とは一体の部材として構成してもよいし、施錠子拘束部材34をその被押圧面54−3が基部16に直接接触するようにさらに延在した形状として、押圧部材58を不要な構造とすることもできる。
緊急離脱用管継手10;雄型継手部材12;配管接続部14;基部16;接続端部18;球状面18−1;施錠子係合面18−2;雄側通路20;前端開口20−1;後端開口20−2;雄側弁部材22;雄側弁スプリング24;雌型継手部材26;配管接続部27;雌側通路28;前端開口28−1;後端開口28−2;雌型継手本体30;内周面30−1;施錠子32;施錠子拘束部材34;雌側弁部材36;円錐状シール面36−1;前端平面36−2;施錠子保持孔38;主スプリング(第1スプリング)40;補助スプリング(第2スプリング)42;雌側弁スプリング44;摺動シール部材46;外側本体部48;内周面48−1;内側本体部50;外周面50−1;係止面50−2;内側スリーブ52;外周面52−1;内側テーパー面52−2;後端面52−3:外側スリーブ54;内周面54−1;外側テーパー面54−2;被押圧面54−3;外周面54−4;開口54−5;Oリング56;押圧部材58;押圧面58−1;止め輪60;補助スリーブ62;シールリング64,66;スリット68;緊急離脱用管継手110;雌型継手部材126;雌側通路128;施錠子拘束部材134;主スプリング140;第1摺動シール部材146a;第1摺動係合部146a−1;第2摺動シール部材146b;第2摺動係合部146b−1;第3摺動シール部材146c;第3摺動係合部146c−1;外側本体部148;内周面148−1;内側本体部150;外周面150−1;内側に突出した部分155−2;第1内側本体部150a;第2内側本体部150b;外側スリーブ154;延長スリーブ155;内周面155−1;止め輪170;止め輪172;圧力室174;第1シール部材収容溝176a;第2シール部材収容溝176b;第3シール部材収容溝176c;連通孔178;長手軸線L;長手軸線M;曲率中心C;支点F

Claims (11)

  1. 前端開口から後端開口にまで延在する雌側通路を有する雌型継手部材と、
    前端開口から後端開口にまで延在する雄側通路を有し、前端にある接続端部が該雌型継手部材の前端開口から該雌側通路内に挿入されて該雄側通路と該雌側通路とが連通した状態で該雌型継手部材に連結されるようにされた雄型継手部材と、
    を備える緊急離脱用管継手であって、
    該雌型継手部材が、
    該雌側通路を有する筒状の雌型継手本体と、
    該雌型継手本体に保持されており、該雌型継手本体の内周面から突出し該雄型継手部材の施錠子係合面に係合して該雄型継手部材を保持する施錠位置と、該施錠位置から該雌型継手本体の径方向外側に変位して該施錠子係合面との係合を解除する解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
    該雌型継手本体に取付けられ、該施錠子を該施錠位置に拘束する拘束位置と、該施錠子が該解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該施錠子に対して相対的に変位可能とされた施錠子拘束部材と、
    該雌型継手本体と該施錠子拘束部材との間に配置され、該施錠子拘束部材が該拘束位置となるように付勢する付勢部材と、
    を備え、
    該雄型継手部材が押圧面を有し、該施錠子拘束部材が該押圧面に係合されて押圧される被押圧面を有しており、
    該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態において該雄型継手部材は該雌側通路の長手軸線に対して傾動可能とされており、該雄型継手部材が所定角度傾動したときに該押圧面が該被押圧面を押圧し該施錠子拘束部材が該解放位置にまで変位するとともに該雄型継手部材の該接続端部が該雌型継手部材から抜け出るように構成され
    該施錠子拘束部材が該拘束位置と該解放位置との間を該雌側通路の長手軸線の方向で変位可能とされ、
    該接続端部が球状面を有し、該施錠子拘束部材が該解放位置になるまで、該雄型継手部材が、傾動するときに、該球状面の曲率中心の周りで回動するようにされ、
    該雌型継手部材が、該雌側通路を閉止する閉止位置と該雌側通路を開放する開放位置との間で変位可能とされた雌側弁部材と、該雌側弁部材を該閉止位置に向かって付勢する雌側弁付勢部材と、をさらに備え、
    該雌側弁部材が、該接続端部の該球状面と係合する円錐状シール面を有しており、
    該雄型継手部材が該雌側通路内に挿入されたときには、該接続端部の該球状面が該閉止位置にある該雌側弁部材の該円錐状シール面に係合し、該接続端部が更に挿入されて該雄型継手部材が該雌型継手部材に連結されるのに伴い該雌側弁部材が該開放位置にまで変位されて該雄側通路と該雌側通路とを連通した状態となり、該雄型継手部材と該雌型継手部材とが連結されている状態で該雄型継手部材が傾動するときには該球状面が該円錐状シール面と密封した状態で、該雄型継手部材が該球状面の該曲率中心の周りで回動するようにされた、緊急離脱用管継手。
  2. 前端開口から後端開口にまで延在する雌側通路を有する雌型継手部材と、
    前端開口から後端開口にまで延在する雄側通路を有し、前端にある接続端部が該雌型継手部材の前端開口から該雌側通路内に挿入されて該雄側通路と該雌側通路とが連通した状態で該雌型継手部材に連結されるようにされた雄型継手部材と、
    を備える緊急離脱用管継手であって、
    該雌型継手部材が、
    該雌側通路を有する筒状の雌型継手本体と、
    該雌型継手本体に保持されており、該雌型継手本体の内周面から突出し該雄型継手部材の施錠子係合面に係合して該雄型継手部材を保持する施錠位置と、該施錠位置から該雌型継手本体の径方向外側に変位して該施錠子係合面との係合を解除する解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
    該雌型継手本体に取付けられ、該施錠子を該施錠位置に拘束する拘束位置と、該施錠子が該解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該施錠子に対して相対的に変位可能とされた施錠子拘束部材と、
    該雌型継手本体と該施錠子拘束部材との間に配置され、該施錠子拘束部材が該拘束位置となるように付勢する付勢部材と、
    を備え、
    該雄型継手部材が押圧面を有し、該施錠子拘束部材が該押圧面に係合されて押圧される被押圧面を有しており、
    該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態において該雄型継手部材は該雌側通路の長手軸線に対して傾動可能とされており、該雄型継手部材が所定角度傾動したときに該押圧面が該被押圧面を押圧し該施錠子拘束部材が該解放位置にまで変位するとともに該雄型継手部材の該接続端部が該雌型継手部材から抜け出るように構成され、
    該施錠子拘束部材が該拘束位置と該解放位置との間を該雌側通路の長手軸線の方向で変位可能とされ、
    該接続端部が球状面を有し、該施錠子拘束部材が該解放位置になるまで、該雄型継手部材が、傾動するときに、該球状面の曲率中心の周りで回動するようにされ、
    該施錠子拘束部材の該被押圧面が、該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態における該曲率中心の位置よりも該長手軸線の方向で前方にあり、該雌型継手本体の径方向外側に向かって該長手軸線の方向で前方に傾斜している、緊急離脱用管継手。
  3. 前端開口から後端開口にまで延在する雌側通路を有する雌型継手部材と、
    前端開口から後端開口にまで延在する雄側通路を有し、前端にある接続端部が該雌型継手部材の前端開口から該雌側通路内に挿入されて該雄側通路と該雌側通路とが連通した状態で該雌型継手部材に連結されるようにされた雄型継手部材と、
    を備える緊急離脱用管継手であって、
    該雌型継手部材が、
    該雌側通路を有する筒状の雌型継手本体と、
    該雌型継手本体に保持されており、該雌型継手本体の内周面から突出し該雄型継手部材の施錠子係合面に係合して該雄型継手部材を保持する施錠位置と、該施錠位置から該雌型継手本体の径方向外側に変位して該施錠子係合面との係合を解除する解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
    該雌型継手本体に取付けられ、該施錠子を該施錠位置に拘束する拘束位置と、該施錠子が該解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該施錠子に対して相対的に変位可能とされた施錠子拘束部材と、
    該雌型継手本体と該施錠子拘束部材との間に配置され、該施錠子拘束部材が該拘束位置となるように付勢する付勢部材と、
    を備え、
    該雄型継手部材が押圧面を有し、該施錠子拘束部材が該押圧面に係合されて押圧される被押圧面を有しており、
    該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態において該雄型継手部材は該雌側通路の長手軸線に対して傾動可能とされており、該雄型継手部材が所定角度傾動したときに該押圧面が該被押圧面を押圧し該施錠子拘束部材が該解放位置にまで変位するとともに該雄型継手部材の該接続端部が該雌型継手部材から抜け出るように構成され、
    該施錠子拘束部材が該拘束位置と該解放位置との間を該雌側通路の長手軸線の方向で変位可能とされ、
    該施錠子拘束部材が、該雌型継手本体の外周面上に摺動可能に配置され該施錠子と係合する内側スリーブと、該被押圧面を有し該内側スリーブの外周面上に摺動可能に配置された外側スリーブと、を備え、
    該付勢部材が、該外側スリーブを付勢する第1スプリングと、該内側スリーブを付勢する第2スプリングとからなり、
    該内側スリーブは、該第2スプリングによって該外側スリーブに押しつけられていて、該施錠子拘束部材が前記拘束位置から前記解放位置に変位する際に該外側スリーブとともに変位するようにされ、該施錠子拘束部材が該拘束位置にある状態から該外側スリーブを変位させることなく該内側スリーブを該第2スプリングの付勢力に抗して変位させることで、該内側スリーブと該施錠子との係合が解除されて該施錠子が該解除位置に変位可能な状態となるようにされた、緊急離脱用管継手。
  4. 前端開口から後端開口にまで延在する雌側通路を有する雌型継手部材と、
    前端開口から後端開口にまで延在する雄側通路を有し、前端にある接続端部が該雌型継手部材の前端開口から該雌側通路内に挿入されて該雄側通路と該雌側通路とが連通した状態で該雌型継手部材に連結されるようにされた雄型継手部材と、
    を備える緊急離脱用管継手であって、
    該雌型継手部材が、
    該雌側通路を有する筒状の雌型継手本体と、
    該雌型継手本体に保持されており、該雌型継手本体の内周面から突出し該雄型継手部材の施錠子係合面に係合して該雄型継手部材を保持する施錠位置と、該施錠位置から該雌型継手本体の径方向外側に変位して該施錠子係合面との係合を解除する解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
    該雌型継手本体に取付けられ、該施錠子を該施錠位置に拘束する拘束位置と、該施錠子が該解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該施錠子に対して相対的に変位可能とされた施錠子拘束部材と、
    該雌型継手本体と該施錠子拘束部材との間に配置され、該施錠子拘束部材が該拘束位置となるように付勢する付勢部材と、
    を備え、
    該雄型継手部材が押圧面を有し、該施錠子拘束部材が該押圧面に係合されて押圧される被押圧面を有しており、
    該雌型継手部材と該雄型継手部材とが連結している状態において該雄型継手部材は該雌側通路の長手軸線に対して傾動可能とされており、該雄型継手部材が所定角度傾動したときに該押圧面が該被押圧面を押圧し該施錠子拘束部材が該解放位置にまで変位するとともに該雄型継手部材の該接続端部が該雌型継手部材から抜け出るように構成され、
    該施錠子拘束部材が該拘束位置と該解放位置との間を該雌側通路の長手軸線の方向で変位可能とされ、
    該雌型継手本体が、外側本体部と、該外側本体部内に摺動可能に配置され該付勢部材と該施錠子とを保持する内側本体部とを有し、
    該雄型継手部材を該長手軸線の方向で該雌型継手部材から離れる方向に引っ張ったときに、該施錠子によって該接続端部に係止されている該内側本体部が該雄型継手部材と共に該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位して、該施錠子拘束部材が該解放位置となるようにされた、緊急離脱用管継手。
  5. 該外側スリーブが、該外側スリーブの外周面から内周面に貫通する開口を有し、該開口を介して該内側スリーブの外周面の一部が露呈するようにされた、請求項3に記載の緊急離脱用管継手。
  6. 該接続端部が球状面を有し、該施錠子拘束部材が該解放位置になるまで、該雄型継手部材が、傾動するときに、該球状面の曲率中心の周りで回動するようにされた、請求項3乃至5の何れか一項に記載の緊急離脱用管継手。
  7. 該雄型継手部材が傾動して該施錠子拘束部材が該拘束位置から該解放位置に変位されたときに該施錠子拘束部材が該雌型継手本体によって該長手軸線の方向での変位が停止され、該雄型継手部材が停止された該施錠子拘束部材の該被押圧面と該雄型継手部材の該押圧面との係合部分を支点として回動して、当該接続端部が該雌側通路から抜け出る方向に動かされるようにされた、請求項1、2、及び6の何れか一項に記載の緊急離脱用継手。
  8. 該外側本体部及び該施錠子拘束部材のうちの一方又は両方の内周面と該内側本体部の外周面との間に形成された圧力室であって、該内側本体部が該施錠子拘束部材を該解除位置とするように該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位したときに、その容積が減少するようにされた圧力室と、
    該圧力室と該雌側通路とを連通するように該内側本体部に形成された連通孔と、
    をさらに備える、請求項に記載の緊急離脱用管継手。
  9. 該内側本体部が該施錠子拘束部材を該解除位置とするように該外側本体部及び該施錠子拘束部材に対して該長手軸線の方向で相対的に変位したときの、該圧力室の容積の減少量が、該雌側通路の容積の増加量と略等しくなるようにされた、請求項に記載の緊急離脱用管継手。
  10. 該圧力室が、該施錠子拘束部材の内周面と該内側本体部の外周面との間に形成されており、
    該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とに密封係合する第1摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該外側本体部の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第1摺動係合部を有する、第1摺動シール部材と、
    該圧力室の前端において該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とに密封係合する第2摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第2摺動係合部を有する、第2摺動シール部材と、
    該圧力室の後端において該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの一方に取り付けられて、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とに密封係合する第3摺動シール部材であって、該内側本体部の外周面と該施錠子拘束部材の内周面とのうちの他方に対して密封係合しながら摺動する第3摺動係合部を有する、第3摺動シール部材と、
    をさらに備え、
    該第1摺動係合部を外周とする第1仮想面の面積と、該第2摺動係合部を外周とする第2仮想面の面積を該第3摺動係合部を外周とする第3仮想面の面積から引いた面積とが、略等しくなるようにされた、請求項又はに記載の緊急離脱用管継手。
  11. 該雌型継手部材にその外周面に接するように固定され、該雌型継手部材の前方に延在する補助スリーブを有し、該雄型継手部材が雌型継手部材に連結された状態で該雄型継手部材の外周面に接するように延在するようになされ、該雄型継手部材が該雌型継手部材に対して傾動しようとするときに該傾動に抵抗する力を生じるようにした請求項1乃至10の何れか一項に記載の緊急離脱用管継手。
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